特開2020-40180(P2020-40180A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-40180(P2020-40180A)
(43)【公開日】2020年3月19日
(54)【発明の名称】スリッター装置
(51)【国際特許分類】
   B26D 1/24 20060101AFI20200225BHJP
   B26D 7/26 20060101ALI20200225BHJP
【FI】
   B26D1/24 E
   B26D7/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-170429(P2018-170429)
(22)【出願日】2018年9月12日
(71)【出願人】
【識別番号】591123355
【氏名又は名称】山王鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091904
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 重雄
(72)【発明者】
【氏名】今田 博之
【テーマコード(参考)】
3C021
3C027
【Fターム(参考)】
3C021JA03
3C021JA07
3C021JA09
3C021JA10
3C027WW01
3C027WW02
(57)【要約】
【課題】密着して配置される回転部品どうしの分離を容易に行う。
【解決手段】複数の回転部品3は、一の回転部品と、この一の回転部品に隣接する他の回転部品とを備えている。一の回転部品は、第1当接面を備えており、この第1当接面は、他の回転部品に形成された第2当接面に密着させられている。第1当接面には、第1当接面から離間する方向への弾発力を第2当接面に対して与える弾性部材8が取り付けられている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔で配置された複数の回転部品を用いてシート状の被切断材料を切断し、又は、前記被切断材料の切断により形成された帯状材料を分離するためのスリッター装置であって、
前記複数の回転部品は、一の回転部品と、この一の回転部品に隣接する他の回転部品とを備えており、
前記一の回転部品は、第1当接面を備えており、この第1当接面は、前記他の回転部品に形成された第2当接面に密着させられており、
前記第1当接面には、前記第1当接面から離間する方向への弾発力を前記第2当接面に対して与える弾性部材が取り付けられている
ことを特徴とするスリッター装置。
【請求項2】
前記一又は他の回転部品は、前記被切断材料を切断するためのカッタ、前記カッタどうしの間隔を調整するためのスペーサ、及び、前記帯状部品を分離するためのセパレータのいずれかである
請求項1に記載のスリッター装置。
【請求項3】
前記弾性部材は、前記第1当接面に形成された凹部に、少なくとも部分的に収納されており、
さらに、前記弾性部材は、前記第1当接面と前記第2当接面とが離間した状態においては前記第1当接面よりも外部方向に突出する突出部を備えており、
前記突出部は、前記第1当接面と前記第2当接面とが密着した状態において、前記第2当接面と当接することにより変形し、前記第1当接面と同じ位置まで後退する構成となっており、
さらに、前記突出部は、前記第1当接面と同じ位置まで後退した状態において、前記第2当接面に向けて開口された前記凹部の開口部を隙間なく閉塞する構成となっている
請求項1又は2に記載のスリッター装置。
【請求項4】
前記弾性部材は、弾性変形可能な弾性体により構成されており、
前記弾性部材と前記凹部との間には、変形した前記弾性部材の一部を収容する間隙が形成されており、これによって、前記した前記突出部の後退を可能とする構成となっている
請求項3に記載のスリッター装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のスリッター装置において用いられる前記一の回転部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の被切断材料を切断し、又は、被切断材料の切断により形成された帯状材料を分離するためのスリッター装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、カッタやスペーサの表面に溝を形成することにより、密着して配置されたカッタやスペーサの取り外しを容易にする技術が示されている。この技術では、形成された溝により、表面どうしの接触面積を減らし、これによって、密着した表面の分離を容易にしている。
【0003】
ところで、この技術では、溝に油やごみが入り込むことがあり、このために、隣接して配置されるカッタやスペーサの位置精度が低下する可能性がある。また、溝に切削屑が入り込んだ場合には、部品のかじりを生じる恐れがあるという問題もある。
【0004】
この問題を軽減するためには、溝の本数や面積を減らすことも考えられるが、そのようにすると、表面どうしの接触面積が増えるので、密着した表面の分離が難しくなるという問題を生じる。つまりこれらの問題はトレードオフの関係にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−345012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記した状況に鑑みてなされたものである。本発明の主な目的は、前記したトレードオフを解消して、スリッター装置において用いられる回転部品の分離を容易にする技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の項目に記載の発明として表現することができる。
【0008】
(項目1)
所定間隔で配置された複数の回転部品を用いてシート状の被切断材料を切断し、又は、前記被切断材料の切断により形成された帯状材料を分離するためのスリッター装置であって、
前記複数の回転部品は、一の回転部品と、この一の回転部品に隣接する他の回転部品とを備えており、
前記一の回転部品は、第1当接面を備えており、この第1当接面は、前記他の回転部品に形成された第2当接面に密着させられており、
前記第1当接面には、前記第1当接面から離間する方向への弾発力を前記第2当接面に対して与える弾性部材が取り付けられている
ことを特徴とするスリッター装置。
【0009】
(項目2)
前記一又は他の回転部品は、前記被切断材料を切断するためのカッタ、前記カッタどうしの間隔を調整するためのスペーサ、及び、前記帯状部品を分離するためのセパレータのいずれかである
項目1に記載のスリッター装置。
【0010】
(項目3)
前記弾性部材は、前記第1当接面に形成された凹部に、少なくとも部分的に収納されており、
さらに、前記弾性部材は、前記第1当接面と前記第2当接面とが離間した状態においては前記第1当接面よりも外部方向に突出する突出部を備えており、
前記突出部は、前記第1当接面と前記第2当接面とが密着した状態において、前記第2当接面と当接することにより変形し、前記第1当接面と同じ位置まで後退する構成となっており、
さらに、前記突出部は、前記第1当接面と同じ位置まで後退した状態において、前記第2当接面に向けて開口された前記凹部の開口部を隙間なく閉塞する構成となっている
項目1又は2に記載のスリッター装置。
【0011】
(項目4)
前記弾性部材は、弾性変形可能な弾性体により構成されており、
前記弾性部材と前記凹部との間には、変形した前記弾性部材の一部を収容する間隙が形成されており、これによって、前記した前記突出部の後退を可能とする構成となっている
項目3に記載のスリッター装置。
【0012】
(項目5)
項目1〜4のいずれか1項に記載のスリッター装置において用いられる前記一の回転部品。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、回転部品の位置精度の劣化や、部品のかじりを防止しつつ、回転部品の分離を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態に係るスリッター装置における要部の一部断面図である。
図2図1の装置に用いられるカッタ部分を側面視した状態での説明図である。
図3図1の装置に用いられるカッタの断面図である。
図4図3の側面図である。
図5図3の斜視図である。
図6図1におけるA部分の拡大図である。
図7図1の装置に用いられるスペーサの側面図である。
図8図7の断面図である。
図9】回転部品の端面に形成された凹部の拡大断面図である。
図10】弾性部材の変形動作を説明するための説明図であって、図(a)は変形前、図(b)は変形後を示す。
図11】本発明の第2実施形態の装置において用いられる弾性部材の拡大断面図である。
図12】第2実施形態の弾性部材の変形動作を説明するための説明図であって、図(a)は変形前、図(b)は変形後を示す。
図13】本発明の第3実施形態の装置において用いられるカッタの側面図である。
図14図13の斜視図である。
図15】本発明の第3実施形態の装置において用いられる弾性部材の拡大断面図である。
図16】第3実施形態の弾性部材の変形動作を説明するための説明図であって、図(a)は変形前、図(b)は変形後を示す。
図17】第3実施形態の変形例において用いられる弾性部材の拡大断面図である。
図18】本発明の第4実施形態の装置において用いられる弾性部材の拡大断面図である。
図19】第4実施形態の弾性部材の変形動作を説明するための説明図であって、図(a)は変形前、図(b)は変形後を示す。
図20】第4実施形態の変形例において用いられる弾性部材の拡大断面図である。
図21】本発明の第5実施形態の装置において用いられるスペーサの側面図である。
図22】本発明の第6実施形態に係るセパレータディスクホルダ・セットの概略的な説明図である。
図23図22の装置に用いられるセパレータにより帯状部材が案内される状態を説明するための側面図である。
図24図23のセパレータの側面図であって、中心線から右半分を省略した図である。
図25図23のセパレータの正面図である。
図26図23のセパレータどうしが密着した状態を示す、要部断面を用いた説明図であって、図20のB部分に対応する図である。
図27図23のセパレータどうしが離間した状態を示す、要部断面を用いた説明図であって、図20のC部分に対応する図である。
図28】本発明の第7実施形態に係るセパレータディスクホルダ・セットの側面図であって、中心線から右半分を省略した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、添付図面を参照しながら、本発明の第1実施形態に係るスリッター装置(以下単に「装置」と略称することがある)について説明する。この装置は、所定間隔で配置された複数の回転部品3を用いてシート状の被切断材料100を切断するためのものである。被切断材料100としては、本実施形態では、シート状の金属材料が用いられているが、特に制約されるものではない。
【0016】
(本実施形態の構成)
本実施形態の装置は、上軸1と、下軸2と、それぞれの軸1及び2に取り付けられた複数の回転部品3とを主要な構成要素として備えている(図1参照)。
【0017】
(上軸)
上軸1は、図示しない駆動手段により軸回りで回転されるようになっている。上軸1に取り付けられた回転部品3は、上軸1の回転に伴って同じ方向に回転するようになっている(図2参照)。
【0018】
(下軸)
下軸2は、上軸1と同様に、図示しない駆動手段により軸回りで回転されるようになっている。ただし、下軸2の回転方向は、上軸1とは逆向きとされている。下軸2に取り付けられた回転部品3は、下軸2の回転に伴って同じ方向に回転するようになっている。
【0019】
(回転部品)
本実施形態の回転部品3は、互いに隣接して配置された複数のカッタ4とスペーサ5とから構成されている。
【0020】
(カッタ)
カッタ4は、中空の円板状に形成されている(図3図5参照)。カッタ4の縁部(刃)は、他方の軸に取り付けられたカッタ4の縁部(刃)との間に被切断材料100(図1及び図2参照)を挟み込むことによって、被切断材料100を切断し、所定幅の帯状材料101(後述の図25参照)を形成できるようになっている。
【0021】
本実施形態におけるカッタ4は、その軸方向両端において、第1端面41と第2端面42とを備えている。図6の例では、図中右端のカッタ4においては、第2端面42がスペーサ5に密着し、図中左端のカッタ4においては、第1端面41がスペーサ5に密着している。なお、図中右端のカッタ4の第1端面41は、隣接する別のスペーサ5(図1参照)に密着している。本例では、第1端面41と第2端面42のうち、隣接した回転部品3(カッタ4又はスペーサ5)に接するほうが本発明における第1当接面に対応し、第1当接面に対面するほうを第2当接面に対応するものとする。
【0022】
カッタ4の第1端面41及び第2端面42には、溝状の凹部43が形成されている。この溝の形状としては綾目状となっている(図4参照)。この凹部43には、カッタ4から離間する方向への弾発力を、対面する回転部品3の端面に対して与える弾性部材8(後述)が取り付けられている。なお、図6においては、対向する端面に取り付けられた弾性部材8どうしが当接した状態を示したが、これに限らず、弾性部材8が、対向する端面における弾性部材8以外の部分に当接してよい。
【0023】
(スペーサ)
スペーサ5は、カッタ4と同様に、中空の円板状に形成されている(図6図8参照)。本例のスペーサ5は、スペーサ本体6とその外周側に配置された保護材7とから構成されている。スペーサ本体6は、2枚のカッタ4の間に挟まれており、カッタ4の位置決めができるようになっている(図1及び図6参照)。保護材7は、例えば変形可能な合成樹脂から構成されている。保護材7を省略することは可能である。
【0024】
本実施形態におけるスペーサ本体6は、その軸方向両端において、第1端面61と第2端面62とを備えている。図6の例では、いずれのスペーサ5においても、第1端面61及び第2端面62が、隣接する他の回転部品(スペーサ又はカッタ)に密着している。スペーサ5についても、第1端面61と第2端面62のうち、隣接した回転部品3(カッタ4又はスペーサ5)に接するほうが本発明における第1当接面に対応し、第1当接面に対面するほうを第2当接面に対応するものとする。
【0025】
スペーサ5の第1端面61及び第2端面62には、カッタ4と同様に、溝状の凹部63が形成されている(図7参照)。この凹部63には、回転部品3(スペーサ5又はカッタ4)から離間する方向への弾発力を、当該回転部品3の端面に対して与える弾性部材8が取り付けられている。
【0026】
(弾性部材)
本実施形態の弾性部材8は、カッタ4の凹部43及びスペーサ5の凹部63に部分的に収納されている。この収納状態は、本実施形態においては、両方の凹部において同様なので、同じ図(図9)を参照しながら、基本的にはカッタ4に取り付けられる弾性部材8を例にとって説明する。
【0027】
本実施形態の弾性部材8は、隣接した回転部品3(カッタ4又はスペーサ5)の端面どうしが離間した状態においてはこの端面よりも外部方向に突出する突出部81を備えている。
【0028】
突出部81は、隣接する回転部品3の端面どうしが密着した状態において、この端面と当接することにより変形し、取り付けられた回転部品の端面と同じ位置まで後退する構成となっている。また、突出部81は、回転部品3の端面と同じ位置まで後退した状態において、対向する端面に向けて開口された凹部43の開口部を隙間なく閉塞する構成となっている。この点についてはさらに後述する。
【0029】
弾性部材8は、弾性変形可能な弾性体、例えば合成樹脂、より具体的にはウレタン樹脂やその他ゴム素材などにより構成されている。ただし、弾性部材8としては、液体物質を内部に含む弾性体であってもよく、要するに、実用上必要な程度の弾性変形が可能なものであればよい。
【0030】
(本実施形態の動作)
次に、前記した本実施形態の装置の動作を、さらに図10を参照しながら説明する。まず、初期状態では、隣接する回転部品3(カッタ4又はスペーサ5)どうしが離間していると仮定する。この状態では、図10(a)に示すように、弾性部材8の突出部81が、回転部品3の端面から外部方向に突出している。その後、カッタ4及びスペーサ5を適宜に組み合わせて、上軸1又は下軸2に取り付け、所定の締め付け力でクランプする。この状態では、隣接する回転部品3の端面が突出部81に当接して、図10(b)に示すように、突出部81が凹部43の内部に押し込まれる。すると、突出部81の先端位置は、回転部品3の端面と同じ位置(いわゆる面一)となる。したがって、この実施形態によれば、回転部品3の取り付け精度が低下しないという利点がある。
【0031】
また、本実施形態では、押し込まれた状態の突出部81が収容された凹部43と、対向する回転部品3の端面との間に空隙が生じない。すなわち、凹部43の開口部44を、弾性部材8により隙間なく閉塞することができる。このため、隣接する回転部品の間に油やごみが介在するおそれを低減させることができ、その点でも回転部品3の取り付け精度の低下を抑止することができる。
【0032】
さらに、本実施形態では、組み付けられた状態の回転部品3の間には、弾性部材8の弾発力により、離間方向への付勢力が働く。したがって、本実施形態の装置によれば、回転部品3どうしを離間させる作業が容易になるという利点がある。
【0033】
(第2実施形態)
次に、図11及び図12を参照して、本発明の第2実施形態に係る装置を説明する。この第2実施形態の説明においては、前記した第1実施形態と基本的に共通する要素については、同一符号を用いることにより、重複した説明を避ける。
【0034】
第2実施形態の装置においては、弾性部材8と凹部43との間に、変形した弾性部材8の一部を収容する間隙9が形成されており、これによって、突出部81の後退が容易となっている。すなわち、この間隙9は、回転部品3の組み付け時に変形した弾性部材8を収容できるようになっている(図12(a)及び(b)参照)。
【0035】
この第2実施形態の装置によれば、変形した弾性部材8を間隙9に収容できるので、回転部品3の組み付け時における突出部81の後退が容易になり、このため、回転部品3の組み付け精度の低下を一層確実に抑止できるという利点がある。
【0036】
第2実施形態の装置における前記以外の構成及び利点は、前記した第1実施形態と基本的に同様なので、これ以上詳しい説明は省略する。
【0037】
(第3実施形態)
次に、図13図16を参照して、本発明の第3実施形態に係る装置を説明する。この第3実施形態の説明においては、前記した第1実施形態と基本的に共通する要素については、同一符号を用いることにより、重複した説明を避ける。
【0038】
前記した第1実施形態では、カッタ4に溝状の凹部43を形成した。これに対して、この第3実施形態では、溝状の凹部に代えて、穴状の凹部243が形成されている(図13及び図14参照)。そして、この凹部243に略円柱状の弾性部材8が挿入されている。弾性部材8の一端側(図15において下端側)には、外周方向に拡径された鍔部82が形成されている。この鍔部82は、対応して凹部243に形成された拡径部244に嵌合しており、凹部243への弾性部材8の保持を確実に行えるようになっている。
【0039】
第3実施形態においても、弾性部材8の突出部81は、隣接する他の回転部品3の端面に当接することによって圧迫されて後退するので、回転部品3の位置決め精度が低下しない(図16(a)及び(b)参照)。
【0040】
第3実施形態の装置によれば、溝状に代えて穴状の凹部243を形成しているので、凹部の加工が容易になるという利点がある。
【0041】
第3実施形態の装置における前記以外の構成及び利点は、前記した第1実施形態と基本的に同様なので、これ以上詳しい説明は省略する。
【0042】
図17には、第3実施形態の変形例における弾性部材8を示す。この例では、鍔部82が弾性部材8の軸方向両端に形成されており、それに対応して、拡径部244がカッタ4(回転部品3)の表裏両面に形成されている。弾性部材8の軸方向両端は、いずれも突出部81とされている。この例では、カッタ4の両面において、弾性部材8による弾発機能が期待できる。他の構成及び利点は前記した第3実施形態と同様である。
【0043】
(第4実施形態)
次に、図18及び図19を参照して、本発明の第4実施形態に係る装置を説明する。この第4実施形態の説明においては、前記した第1又は第2実施形態と基本的に共通する要素については、同一符号を用いることにより、重複した説明を避ける。
【0044】
第4実施形態の装置においては、第2実施形態の場合と同様に、弾性部材8と凹部243との間に、間隙9が形成されている。この間隙9は、回転部品3の組み付け時に変形した弾性部材8を収容できるようになっている(図19(a)及び(b)参照)。
【0045】
第4実施形態の装置における前記以外の構成及び利点は、前記した第1又は第2実施形態と基本的に同様なので、これ以上詳しい説明は省略する。
【0046】
図20には、第4実施形態の変形例における弾性部材8を示す。この例は、図17に示した例と基本的に同様であるが、弾性部材8の軸方向両端に間隙9が形成されているので、軸方向両端において弾性部材8を変形させることができる。また、鍔部82と、カッタ4に形成された座面との間に間隙9aを形成することにより、弾性部材8の変形量をさらに拡大することができる。他の構成及び利点は前記した第4実施形態と同様である。
【0047】
(第5実施形態)
次に、図21を参照して、本発明の第5実施形態に係る装置を説明する。この第5実施形態の説明においては、前記した第1又は第3実施形態と基本的に共通する要素については、同一符号を用いることにより、重複した説明を避ける。
【0048】
前記した第3実施形態では、カッタ4に穴状の凹部243を形成したが、この第5実施形態では、スペーサ5における溝状の凹部に代えて、第3実施形態と同様に、穴状の凹部263が形成されている。
【0049】
第5実施形態の装置における前記以外の構成及び利点は、前記した第3実施形態と基本的に同様なので、これ以上詳しい説明は省略する。
【0050】
(第6実施形態)
次に、図22図27を参照して、本発明の第6実施形態に係る装置を説明する。この第6実施形態の説明においては、前記した第1実施形態と基本的に共通する要素については、同一符号を用いることにより、重複した説明を避ける。
【0051】
第6実施形態の装置としては、被切断材料100が切断されて形成された帯状材料101(図22参照)を所定間隔で分離するためのセパレータディスクホルダ・セットが用いられている。この装置は、駆動部(軸受部)11及び回転する主軸10を備えており、この主軸10には、所定間隔で、回転部品としてのセパレータディスクセット12が配置されている。
【0052】
セパレータディスクセット12は、円筒状のセパレータホルダ本体13と、このセパレータホルダ本体13の外周方向に向けて突出されたセパレータディスクと、セパレータホルダ部材13の外周を保護するゴム製の保護材15とを備えている。
【0053】
セパレータホルダ本体13の軸線方向における両端面には、すでに説明した溝状の凹部43と同様の凹部131が形成されている。この溝状の凹部131には、第1実施形態と同様に、弾性部材8が収納されている。
【0054】
セパレータディスクセット12は、待機時には、図22の主軸10の基端部分(駆動部(軸受部)11側の部分)に示されたように、隣接するセパレータディスクセット12どうしが密着する状態で保持される(図26参照)。そして、使用時には、図22の主軸10の先端部分に示されたように、セパレータ12どうしが所定間隔で(つまり生成される帯状材料101の幅に合わせて)離間される(図27参照)。
【0055】
ここで、従来のセパレータディスクホルダ・セットでは、待機状態(図26参照)または場合によって稼動時において、セパレータディスクセット12どうしの端面が密着しているために、この状態から使用状態(図27参照)又は次工程にセパレータディスクセット12を移動させる際に、想定を大きく超える力が必要になったり、密着したまま複数枚を移動させたりすることがあるという問題がある。すると、セパレータディスクセット12の位置決めをロボットにより自動的に行うことが難しくなってしまう。
【0056】
これに対して、本実施形態の装置によれば、既に説明したように、弾性部材8からの弾発力により、隣接する回転部品3どうしの離間を容易とすることができる。したがって、本実施形態によれば、前記した問題を解消することができ、その結果、セパレータ12の位置決め作業の自動化が容易かつ正確になるという利点がある。
【0057】
第6実施形態の装置における前記以外の構成及び利点は、前記した第1実施形態と基本的に同様なので、これ以上詳しい説明は省略する。
【0058】
(第7実施形態)
次に、図28を参照して、本発明の第7実施形態に係る装置を説明する。この第7実施形態の説明においては、前記した第6又は第3実施形態と基本的に共通する要素については、同一符号を用いることにより、重複した説明を避ける。
【0059】
この第7実施形態では、溝状の凹部に代えて、第3実施形態と同様に、穴状の凹部132が形成されている。
【0060】
第7実施形態の装置における前記以外の構成及び利点は、前記した第6及び第3実施形態と基本的に同様なので、これ以上詳しい説明は省略する。
【0061】
なお、本発明の内容は、前記実施形態に限定されるものではない。本発明は、特許請求の範囲に記載された範囲内において、具体的な構成に対して種々の変更を加えうるものである。
【0062】
例えば、前記した各実施形態では、各回転部品の両面に凹部を形成しているが、一方の面にのみ凹部を形成し、そこに弾性部材8を収容することも可能である。回転部品の一方の面に弾性部材8を配置し、対向する面には弾性部材を配置しない構成とすることにより、加工コストの低減も可能になる。
【0063】
また、回転部材3に配置する弾性部材8の数については、特に制約はなく、実用上の効果を期待できる程度の数に設定される。
【0064】
さらに、弾性部材3を配置する周辺領域(例えば図13の例において凹部243の周辺の領域)に、製造者あるいは使用者の名称又は氏名を記載することも可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 上軸
2 下軸
3 回転部品
4 カッタ
41 カッタの第1端面
42 カッタの第2端面
43 溝状の凹部
44 開口部
243 穴状の凹部
244 拡径部
5 スペーサ
6 スペーサ本体
61 スペーサ本体の第1端面
62 スペーサ本体の第2端面
63 溝状の凹部
263 穴状の凹部
7 スペーサの保護材
8 弾性部材
81 突出部
82 鍔部
9 間隙
10 主軸
11 駆動部(軸受部)
12 セパレータディスクセット
13 セパレータホルダ本体
131 溝状の凹部
132 穴状の凹部
14 セパレータディスク部材
15 セパレータホルダの保護材
100 被切断材料
101 帯状材料
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