(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-40204(P2020-40204A)
(43)【公開日】2020年3月19日
(54)【発明の名称】高速切削を伴う工作機械のためのC軸ユニット
(51)【国際特許分類】
B23Q 1/54 20060101AFI20200225BHJP
B23Q 1/00 20060101ALI20200225BHJP
【FI】
B23Q1/54
B23Q1/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-165126(P2019-165126)
(22)【出願日】2019年9月11日
(31)【優先権主張番号】102018000008535
(32)【優先日】2018年9月12日
(33)【優先権主張国】IT
(71)【出願人】
【識別番号】519329612
【氏名又は名称】フィディア エッセ.ピ.ア.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クラウディオ ウーゴ プロタソ レポッシーニ
(72)【発明者】
【氏名】ジュゼッペ モルフィーノ
【テーマコード(参考)】
3C048
【Fターム(参考)】
3C048AA07
3C048BC03
3C048DD17
(57)【要約】
【課題】従来の欠点が少なくとも部分的に克服されることを可能にする工作機械を提供すること。
【解決手段】工作機械用のC軸ユニットが提供され、これは、工作機械のユニット支持体121に固定されるように適合されたブッシュ134と、動作ヘッド40を受け入れるように適合され、またブッシュ134によって支持され且つ垂直軸の回りでブッシュ134に対して回転可能であるヘッド搭載プラットフォーム130と、ブッシュ134によって支持され且つヘッド搭載プラットフォーム130の回転を制御するように構成されたプラットフォーム回転モータ150と、ヘッド搭載プラットフォーム130を貫く貫通孔133内に配置される駆動延長部163を通して動作ヘッド40上のバイト担持スピンドル45の回転を制御するスピンドル・モータ160とを有する。スピンドル・モータ160は、ヘッド搭載プラットフォーム130に対し固定されて回転的に一体である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械のためのC軸ユニットであって、
工作機械のユニット支持体(121)の下端部において前記ユニット支持体(121)に固定されるように適合されたブッシュ(134)であって、前記工作機械の前記ユニット支持体(121)に固定されたときに垂直軸(Z)に沿って延びるブッシュ(134)と、
動作ヘッド(40)を受け入れるように適合されたヘッド搭載プラットフォーム(130)であって、前記ブッシュ(134)によって支持され且つ前記垂直軸の回りで前記ブッシュ(134)に対して回転可能であるヘッド搭載プラットフォーム(130)と、
前記ブッシュ(134)によって支持され且つ前記ヘッド搭載プラットフォーム(130)の回転を制御するように構成されたプラットフォーム回転モータ(150)と
を有するC軸ユニットにおいて、
前記ヘッド搭載プラットフォーム(130)を貫いて得られた貫通孔(133)内に配置された駆動延長部(163)を通じて前記動作ヘッド(40)上のバイト担持スピンドル(45)の回転を制御するように構成されたスピンドル・モータ(160)であって、前記ヘッド搭載プラットフォーム(130)に固定され且つ前記ヘッド搭載プラットフォーム(130)と回転的に一体であるスピンドル・モータ(160)をさらに有することを特徴とする、C軸ユニット。
【請求項2】
工作機械であって、
少なくとも1つの軸に沿って並進移動可能なユニット支持体(121)であって、その下端部に請求項1に記載のC軸ユニットが取り付けられているユニット支持体(121)と、
前記動作ヘッド(40)に少なくとも1種の流体を供給するために設けられた流体回転継手(173、174)であって、前記流体回転継手(173、174)は、前記ユニット支持体(121)の上端部に配置されており、且つ前記ユニット支持体(121)に固定された固定部分(173)、及び前記垂直軸の回りで前記ブッシュ(134)に対して回転可能な回転部分(174)を含む流体回転継手(173、174)と
を有する、工作機械。
【請求項3】
前記流体回転継手の前記回転部分(174)は、前記ユニット支持体(121)上に配置され且つ前記プラットフォーム回転モータ(150)とは別体の継手モータ(191)により回転的に制御可能であり、前記継手モータ(191)及び前記プラットフォーム回転モータ(150)は、前記流体回転継手の前記回転部分(174)の角度位置及び回転速度と、前記ヘッド搭載プラットフォーム(130)の角度位置及び回転速度とを同期させるように制御可能である、請求項2に記載の工作機械。
【請求項4】
前記スピンドル・モータ(160)及び動作ヘッド(40)のうちの少なくとも一方の動力供給及び制御のための複数の電力及び信号ケーブル(181)を有し、前記電気ケーブルは、前記スピンドル・モータ(160)の上方で前記垂直軸(Z)に径方向に配置されたケーブル担持部材(182)を通して前記ユニット支持体(121)の外側から搬送され、前記ケーブル担持部材は、前記ユニット支持体(121)に固定された上端部、及び前記流体回転継手の前記回転部分(174)と回転的に一体である下端部を有する、請求項2又は3に記載の工作機械。
【請求項5】
前記スピンドル・モータ(160)及び動作ヘッド(40)のうちの少なくとも一方の動力供給及び制御のための複数の電力及び信号ケーブル(181)を有し、また
前記ユニット支持体(121)の上端部に配置されたスリップリングであって、前記ユニット支持体(121)に固定された固定部分(201)と、前記流体回転継手の前記回転部分(174)と回転的に一体である回転部分(202)とを含み、前記スリップリングの前記回転部分(202)は、前記スピンドル・モータ(160)及び動作ヘッド(40)のうちの少なくとも一方に電気的に接続される、スリップリングをさらに有する、請求項2又は3に記載の工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、チップ除去による機械加工のための工作機械産業部門に関し、詳細には、高速切削機械(HSC:high−speed cutting machine)に関する。
【背景技術】
【0002】
HSC技術の力強く且つ継続的な進化は、送り軸及びバイト担持スピンドルのどちらにも高い動的性能を有する工作機械を必要とする。
【0003】
5軸彫刻機械加工の産業部門、即ちモールディング、航空学、エネルギー部門、センター・モデルのスタイリング等では、直線軸及び極軸のどちらにも高い動的性能を有する5軸機械に対する要望がますます強くなっており且つ切迫してきている。
【0004】
言及した産業部門から生まれる他の強い要望は、加工費の削減、及びモジュール式であり且つ再構成可能であり得る、即ち機械加工プロセスに関する複雑且つ相互関係のある問題に応じることが可能なマルチタスク機械の使用である。
【0005】
機械の仕様に横断的に影響を及ぼす、機械加工プロセスに由来する要望を考慮すると、現在の技術水準の5軸機械を特徴付ける重大な問題が明確になった。
【0006】
それらのうちの幾つかは、現在のHSC技術の水準に合わせられた動作ヘッドを用いて荒削り作業及び仕上げ作業を行うことが可能な(3直線及び2極の)5軸工作機械を構成する必要性を言及する。
【0007】
機械加工システムの構成可能性(configurability)及びモジュール性もまた、強力、高速、且つ信頼性のある一連の動作ヘッドの自動的な連結を可能にすることができなければならない極軸Cの形態により、強く条件付けられる。
【0008】
図1から3を参照しながら、知られた工作機械がこの目的のために説明され、そのうちの極軸Cに従う運動に関連する部分のみが、
図1から3に示されている。5軸工作機械では、3つの直線軸が慣例的にX、Y、及びZで明示されるのに対し、水平軸Xの回り及び垂直軸Zの回りでの回転の2つの極軸は、それぞれA及びCで明示される。図において、表示されていない軸Yは、描画面に対して垂直である(軸X及びYは、反転され得る)。
【0009】
工作機械は、
図1では単純に描写されている支持構造部(bearing structure)10と、支持構造部10によって支持され、且つ少なくとも1つの軸に沿って、特に直交する2つの水平な軸X及びY並びに垂直軸Zに沿ってそれ自体は知られた態様で支持構造部10に対して並進移動可能である支持体グループ(support group)21とを備える。
【0010】
図示された実例では、ユニット支持体(unit support)21は、垂直軸Zに沿って延在するラムとして作られており、また簡潔さのために以下ではそのようなものとして示される。ラム21は、それ自体は知られた方法で工作機械の支持構造部10に接続される。
【0011】
C軸ユニット20が、ラム21の下端部においてラム21上に配置される。
【0012】
C軸ユニットは、動作ヘッド40を受け入れるように適合されたヘッド搭載プラットフォーム30を備える。ヘッド搭載プラットフォーム30は、垂直軸Zの回りで、したがって極軸Cの方向においてラム21に対して回転可能である。ヘッド搭載プラットフォーム30は、動作ヘッド40が固定されることが意図されている本体31、及び軸Zと同軸に延在するシャフト32を備える。シャフト32は、本体31により単体として作られており、また以下で明らかになるように回転継手の回転部分を構成する。ヘッド搭載プラットフォーム30を貫いて中央貫通孔33が得られるが、その目的は以下で明らかになる。中央孔33に沿って一連のガスケット33aが配置される。
【0013】
ヘッド搭載プラットフォーム30は、ラム21の底部に固定されたブッシュ34によって支持される。特に、ヘッド搭載プラットフォーム30は、ラジアル−アキシアル軸受35及びころ軸受36を用いてブッシュ34によって支持される。ヘッド搭載プラットフォーム30とブッシュ34との間には、ヘッド搭載プラットフォーム30をブッシュ34/ラム21に対してロックする必要があるときに作動され得る多板クラッチ34aがさらに挿入されている。
【0014】
ヘッド搭載プラットフォーム30の本体31の下面31a上には、動作ヘッド40上の電力利用物(user)、信号利用物、及び流体利用物に供給するように適合された電気コネクタ37及び液圧コネクタ38が配置される。ヘッド搭載プラットフォーム30の本体31の下部には、手動のもの又は自動的なものであり得るヘッド連結システム39(
図3aの拡大された細部に見ることができる)も配置される。これらのヘッド連結システム39はまた、ヘッド搭載プラットフォーム30と動作ヘッド40との間の接続により優れた剛性及び機械的安定性を与えるように作動され得るHirth(ハース)タイプの歯付き前面コネクタ39aを含むロックを備える。
【0015】
動作ヘッド40は、垂直軸Zの回りで回転可能でもあるように、ヘッド搭載プラットフォーム30に(手動で、半自動的に、又は自動的に)固定される。示された実例では、動作ヘッド40は、水平軸Xの回りで、したがって極軸Aの方向に従って動作ヘッド40に対して回転可能な部分41を有するように構成される。動作ヘッド40の部分41上には、バイト(図示せず)の取付けを目的としたバイト担持スピンドル45が配置される。上述のヘッド40は、取り外されて、異なるアーキテクチャを有するヘッドと交換され得る。
【0016】
動作ヘッド40の下には、被加工物を支持するための被加工物担持ユニットが配置されている。
【0017】
C軸ユニットは、ヘッド搭載プラットフォーム30の回転を制御するように構成されたプラットフォーム回転モータ50をさらに備える。プラットフォーム回転モータ50は、例えばトルク・モータ、ウォーム歯車/はすば歯車モータ、又は予め組み込まれた電気的な2重モータ(preloaded electrical double motors)で構成され得る。プラットフォーム回転モータ50は、ブッシュ34に固定された径方向外側の固定子部品51、及びヘッド搭載プラットフォーム30のシャフト32に固定された径方向内側の回転子部品52を備える。
【0018】
スピンドル・モータ60が、スピンドル・モータ60に関連付けられた歯車箱61と一緒に、ラム21の上部においてラム21上に配置される。スピンドル・モータ60は、動作ヘッド40上のバイト担持スピンドル45の回転を制御するように構成される。この目的のために、伝動シャフト62及び駆動延長部63が設けられて、ヘッド搭載プラットフォーム30に動力を伝達する。伝動シャフト62の上端部が、上部伝動カップリング64により歯車箱61の出力シャフトに接続され、一方で、伝動シャフト62の下端部が、下部伝動カップリング65により駆動延長部63と回転的に一体化される。駆動延長部63は、軸受66により、ヘッド搭載プラットフォーム30に接続される。
【0019】
駆動延長部63は、キー溝接続又は溝付きシャフト67〜68により、動作ヘッド40内の機構に、またスピンドル45に接続され得る。カップリングは、ヘッド搭載プラットフォーム30からの動作ヘッド40の分離を確実にするために、2つの部品で構築される。カップリングの雌部品67は、駆動延長部63と一体であり、一方で、カップリング68の雄部品は、動作ヘッド40の入力シャフト上に装着される。
【0020】
動作ヘッド40上の流体利用物は、工作機械の専用の液圧制御ユニット(図示せず)をラム21の隔壁(水平リブ)に固定された液圧分配器72に接続する配管71を通じて供給を受ける。液圧弁72の本体はまた、モータ/歯車箱ユニット60、61のための支持体として機能する。
【0021】
液圧分配器72と動作ヘッド40上の利用物との間には、固定部分73(ラム21に対して不動)及び回転部分を含む流体回転継手が間置されている。この回転部分は、ヘッド搭載プラットフォーム30のシャフト32で構成される。回転継手の固定部分73は、ヘッド搭載プラットフォーム30の中央孔33に挿入される。回転継手の固定部分73の回転を防止する拘束は、(回転継手の固定部分73に接続された)支持体74によって得られ、この管75を通して、支持体74が、ラム21の隔壁(水平リブ)に固定された液圧分配器72の本体に接続される。駆動シャフト62は、管75の内側に収容される。
【0022】
回転継手の固定部分73は、液圧分配器72を支持体74に接続し次いで回転継手の固定部分73に接続する配管76を通じて、流体的に供給を受ける。
【0023】
回転継手の固定部分73及びガスケット33a内に作られた流体供給孔73aを通じて、ヘッド搭載プラットフォーム30及び液圧コネクタ38に流体が供給される。
【0024】
動作ヘッド40上の動力利用物及び信号利用物は、工作機械の電気的及び数値的な制御キャビネット(図示せず)を分配器72の本体の固定部分内に固定された電力及び信号コネクタ81に接続する電力及び信号ケーブルによって供給を受ける。
【0025】
ヘッド搭載プラットフォーム30への、したがって電気コネクタ37への動力供給は、分配器72の電気コネクタ81をヘッド搭載プラットフォーム30のシャフト32と一体に配置された電気コネクタ83につなぐ螺旋状の軌道に従って巻かれたケーブル82によって提供される。これらの電気コネクタ83は、ひいてはヘッド搭載プラットフォーム30の表面31a上に配置された電気コネクタ37に電気的に接続される。
【0026】
螺旋状の軌道に沿って移動する電気ケーブル82と固定されて回転しない配管76との間の損害を伴う衝突及び破損を回避するために、管84が、平滑且つ油を塗られた外表面を有して採用され、この管84は、ヘッド搭載プラットフォーム30と一緒に回転し、且つ電気ケーブルと液圧配管との間の分離を可能にする。
【0027】
上述の機械は、幾つかの重大な問題を有する。
【0028】
第一に、ラム21の上端部においてラム21上に設置されたスピンドル・モータ60は、動作ヘッドの電力及び信号ケーブルの配置、液圧回転継手のアーキテクチャ、及び液圧配管のレイアウトを困難にする。
【0029】
さらに、動作に当たっては、電力及び信号ケーブル82は、螺旋状のパターンにおいて捻られ且つ曲げられて、一方ではヘッドの移動角距離を+/−180°に制限し、他方では頻繁なメンテナンスが必要となるケーブルの著しい摩耗をもたらす。電気ケーブル82の手間のかかる管理は、C軸の動的性能をさらに制限し、HSC機械加工に支障を来す。典型的には、5rpmの機械加工速度、及び、0.1rad/sec
2の角加速度が達成され得る。
【0030】
さらに、システムの形態は、例えば航空部門において強く求められている特定の特徴である無限機械加工(endless machining)(極軸の連続的回転)を可能にするスリップリングの採用を可能としない。
【0031】
歯車箱/スピンドル・モータ・ユニット61、60の上部内の場所は、ケーブル82の曲り及び捻れを軽減しそれによりその許容寿命を確保するために必須であり、ケーブル82の十分な長さを可能にするために大きくなければならない伝動シャフト62の長さに依存する。長い伝動シャフト62は、かなりのトルクを必要とする激しい荒削り作業を制限するような、その捻れ剛性への強い悪影響を有する。また、機械式スピンドル45の高速仕上げ削りは、臨界回転速度を制限する伝動シャフト62の長さにより、厳しく制約される。
【0032】
部品73及び32で形成された下部液圧回転継手は、ヘッド搭載プラットフォーム30に組み入れられる。動作ヘッドの利用物への供給に必要な多数のガスケット33aは、高い摩擦トルクを発生させ、この摩擦トルクは、プラットフォームを回転させるモータ50にトルク外乱をもたらす。
【0033】
上述の重大な問題は、C軸及び動作ヘッドのスピンドルのモータ・ドライブの動的性能を厳しく制限する。さらに、種々のユニットの組立は複雑であり、また、構成要素の構造は、モジュール式且つ再構成可能なシステムの最も現代的なガイドラインに合致していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
本発明の目的は、従来技術による機械の上述の欠点が少なくとも部分的に克服されることを可能にする工作機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0035】
上記その他の目的は、本発明によれば、工作機械のためのC軸ユニットであって、
ユニット支持体の下端部において工作機械のユニット支持体に固定されるように適合されたブッシュであって、工作機械のユニット支持体に固定されたときに垂直軸に沿って延在するブッシュと、
動作ヘッドを受け入れるように適合されたヘッド搭載プラットフォームであって、ブッシュによって支持され且つ前述の垂直軸の回りでブッシュに対して回転可能であるヘッド搭載プラットフォームと、
ブッシュによって支持され、且つヘッド搭載プラットフォームの回転を制御するように構成されたプラットフォーム回転モータと、
を備え、C軸ユニットが、
ヘッド搭載プラットフォームを貫いて得られた貫通孔内に配置された駆動延長部により動作ヘッドのバイト担持スピンドルの回転を制御するように構成されたスピンドル・モータであって、ヘッド搭載プラットフォームに固定され、且つヘッド搭載プラットフォームと回転的に一体であるスピンドル・モータ
をさらに備えることを特徴とする、C軸ユニットによって達成される。
【0036】
もはやラムの構造体に一体に固定されていないスピンドル・モータは、電力及び信号ケーブルの通過を妨害することはなく、したがって、ケーブルはもはや動作中に曲り及び捻りを経験する形で配置される必要はないので、組立がより容易になり、また電気ケーブルの寿命が延びる。
【0037】
ヘッド搭載プラットフォームと一体に回転する電気ケーブルは、もはや知られた実施におけるように螺旋状に巻かれることはなく、+/−360°までの移動角距離の大幅な向上並びに例えば30rpmの角速度及び30rad/sec
2の角加速度などのC軸の動的性能を伴うヘッド搭載プラットフォーム30の回転をケ−ブルを捻ること及び曲げることなしに確実に達成するように適合された市販のケーブル担持チェーン内で搬送され得る。
【0038】
ヘッド搭載プラットフォーム上のスピンドル・モータの適用はまた、液圧ヘッド配管の位置の重大な単純化であり、且つラムの上部を利用可能にし、したがって専用の機構によって駆動される流体回転継手を適用可能にする。ヘッド搭載プラットフォームからの回転継手の分離、したがってガスケットの摩擦の排除は、C軸の位置決め及び機械加工の精度への、並びに動作ヘッドが利用できる動力への重大なプラス効果を有する。
【0039】
回転継手の頂部における場所は、ケーブル担持チェーンをC軸の無限回転を可能にする適切なスリップリングと交換することを可能にする。
【0040】
ヘッド搭載プラットフォームに直接固定されるスピンドル・モータの適用は、機構の組立ての著しい単純化と、スピンドル回転の機構の動的性能の並外れた向上とを可能にする。
【0041】
事実上、重大な捻れ破壊の発生源である長い伝動棒の排除により、高度のチップ除去による機械加工と、チャタリングの発生をなくすことと、動作ヘッドの回転速度の向上とを可能にするような、機構の捻れ剛性及び振動数の著しい向上が得られる。
【0042】
本発明の利点は、例えば30rpmの軸回転速度及び30rad/sec
2の角加速度といったヘッド搭載プラットフォームの動的性能の大幅な向上、並びに20%のスピンドル回転の機構の動的性能の大幅な向上を達成することを可能にする。
【0043】
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付の図面を参照して単に限定的ではない実例として挙げられた以下の詳細な説明から、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】従来技術による工作機械のためのC軸ユニットの断面図である。
【
図2】
図1におけるC軸ユニットの、
図1においてIIで示された部分の拡大した縮尺での図である。
【
図3】
図1におけるC軸ユニットの、
図1においてIIIで示された部分の拡大した縮尺での図である。
【
図4】本発明の一実施例による工作機械のためのC軸ユニットの断面図である。
【
図5】
図4におけるC軸ユニットの、Vで示された部分の拡大した縮尺での図である。
【
図6】
図4におけるC軸ユニットの、VIで示された部分の拡大した縮尺での図である。
【
図7】
図4におけるC軸ユニットの、VIIで示された部分の拡大した縮尺での図である。
【
図8】本発明の別の実施例による工作機械のためのC軸ユニットの断面図である。
【
図9】
図8におけるC軸ユニットの、IXで示された部分の拡大した縮尺での図である。
【
図10】
図8におけるC軸ユニットの、Xで示された部分の拡大した縮尺での図である。
【
図11】
図8におけるC軸ユニットの、XIで示された部分の拡大した縮尺での図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
次に、
図4から7を参照しながら、本発明によるC軸ユニットを備える工作機械について説明する。
図4から6では、極軸Cに従う運動に関連する部分のみが示されている。慣例的に、2つの直線軸がX及びYで示されているのに対し、水平軸Xの回り及び垂直軸Zの回りでの回転の2つの極軸は、それぞれA及びCで明示されている。図において、示されていない軸Yは、描画面に対して垂直である(軸X及びYは、反転され得る)。しかし、工作機械が5つの運動軸を有することは、本発明の目的にとって重要ではない。
【0046】
工作機械は、
図4では単純に描写されている支持構造部10と、支持構造部10によって支持され、且つ少なくとも1つの軸に沿って、特に直交する2つの水平な軸X及びY並びに垂直軸Zに沿って、支持構造部10に対してそれ自体は知られた態様で移動可能である、支持体グループ121と、を備える。
【0047】
示された実例では、ユニット支持体121は、垂直軸Zに沿って延在するラムとして形成されており、また簡潔さのために以下ではそのようなものとして示される。ラム121は、それ自体は知られた方法で工作機械の支持構造部10に接続される。
【0048】
C軸ユニット120が、ラム121の下端部においてラム121上に配置される。
【0049】
C軸ユニットは、動作ヘッド40を受け入れるように適合されたヘッド搭載プラットフォーム130を備える。ヘッド搭載プラットフォーム130は、垂直軸Zの回りで、したがって極軸Cの方向においてラム121に対して回転可能である。ヘッド搭載プラットフォーム130は、動作ヘッド40が固定されることが意図されている本体131、及び軸Zと同軸に延在するシャフト132を備える。シャフト132は本体131と一体に作られる。ヘッド搭載プラットフォーム130を貫いて中央貫通孔133が得られ、その目的は以下で明らかになる。
【0050】
ヘッド搭載プラットフォーム130は、ラム121の底部に固定されたブッシュ134によって支持される。特にヘッド搭載プラットフォーム130は、ラジアル−アキシアル軸受135及びころ軸受136を用いて、ブッシュ134によって支持される。ヘッド搭載プラットフォーム130とブッシュ134との間には、ヘッド搭載プラットフォーム130をブッシュ134/ラム121に対してロックする必要があるときに作動され得る多板クラッチ134aがさらに挿入されている。
【0051】
ヘッド搭載プラットフォーム130の本体131の下面131a上には、動作ヘッド40上の電力利用物、信号利用物、及び流体利用物に供給するように適合された電気コネクタ137及び液圧コネクタ138が配置される。ヘッド搭載プラットフォーム130の本体131の下部には、例えば
図3aに示されたものに類似した、手動のもの又は自動的なものであり得るヘッド連結システムも配置される。
【0052】
動作ヘッド40は、垂直軸Zの回りでも回転可能であるように、ヘッド搭載プラットフォーム130に(手動で、半自動的に、又は自動的に)固定される。示された実例では、動作ヘッド40は、水平軸Xの回りで、したがって極軸Aの方向に従って動作ヘッド40に対して回転可能な部分41を有するように構成される。動作ヘッド40の部分41上には、バイト(図示せず)の取付けを目的としたバイト担持スピンドル45が配置される。上述のヘッド40は、取り外されて、異なるアーキテクチャを有するヘッドと交換され得る。動作ヘッド40の構造は、本発明の目的にとって重要ではない。
【0053】
動作ヘッド40の下には、被加工物を支持するための被加工物担持ユニットが配置されている。
【0054】
C軸ユニットは、ヘッド搭載プラットフォーム130の回転を制御するように構成されたプラットフォーム回転モータ150をさらに備える。プラットフォーム回転モータ150は、例えばトルク・モータ、ウォーム歯車/はすば歯車モータ、又は予め組み込まれた電気的な2重モータで構成され得る。プラットフォーム回転モータ150は、ブッシュ134に固定された径方向外側の固定子部品151、及び、ヘッド搭載プラットフォーム130のシャフト132に固定された径方向内側の回転子部品152を備える。
【0055】
C軸ユニットは、互いに固定され且つ161及び160aで図に示されている2つの部品から成るモータ支持体によりヘッド搭載プラットフォーム130に固定されたスピンドル・モータ160をさらに備える。したがってスピンドル・モータ160は搭載プラットフォーム130のシャフト132に接続され、それによりヘッド搭載プラットフォーム130と回転的に一体化する。
【0056】
歯車箱、例えば遊星歯車箱が、スピンドル・モータ160に関連付けられ得る。
【0057】
スピンドル・モータ160は、動作ヘッド40上のバイト担持スピンドル45の回転を制御するように構成される。この目的のために、駆動延長部163が設けられて、ヘッド搭載プラットフォーム130に動力を伝達する。駆動延長部163の上端部が、上部伝動カップリング164によりスピンドル・モータ160の出力シャフトに接続され、一方で、駆動延長部163の下端部が、ヘッド搭載プラットフォーム130の中央孔133に挿入されて、軸受166によりヘッド搭載プラットフォーム130に接続される。
【0058】
駆動延長部163は、キー溝接続又は溝付きシャフト167〜168により、動作ヘッド40内の機構に、またスピンドル45に接続され得る。カップリングは、ヘッド搭載プラットフォーム130からの動作ヘッド40の分離を確実にするために、2つの部品で構築される。カップリングの雌部品167は、駆動延長部163に取り付けられ、一方で、カップリングの雄部品168は、動作ヘッド40の入力シャフト上に設置される。
【0059】
動作ヘッド40上の流体利用物は、工作機械の専用の液圧制御ユニット(図示せず)を液圧分配器172に接続する配管171を通じて供給を受ける。液圧分配器172は、液圧回転継手の固定部分173上に搭載され、この固定部分173は、ひいてはラム121の隔壁(水平リブ)に固定される。
【0060】
流体回転継手は、固定部分173内の孔に挿入された回転部分174を備える。回転継手の固定部分173と回転部分174との間には、回転部分174を収容する孔に沿って配置された一連のガスケット174aが挿入されている。
【0061】
回転継手の回転部分174は、回転継手の固定部分173及びガスケット174a内に作られた流体供給孔173aを通じて流体的に供給を受ける。回転継手の回転部分174内に作られ、且つ片側では回転継手の回転部分174に接続されもう片側ではモータ支持体160aに接続された配管175に接続された流体供給孔174bを通じて、モータ支持体160aは流体的に供給を受ける。モータ支持体160a内に作られ、ヘッド搭載プラットフォーム130内に作られた対応する供給孔130bに接続された流体供給孔160bを通じて、ヘッド搭載プラットフォーム130及び液圧コネクタ138は供給を受ける。
【0062】
動作ヘッド40上の動力利用物及び信号利用物は、工作機械の電気的及び数値的な制御キャビネット(図示せず)をC軸ユニットに接続する動力及び信号ケーブル181によって供給を受ける。ケーブル181は、板181aに係止され、板181aは、ひいては入力支持体181bに固定される。入力支持体181bは、分配器172、及び回転継手の固定部分173に取り付けられる。ケーブル担持チェーン182の頂端部が、板181aに固定され、且つ回転継手の回転部分174にある中央貫通孔の内側に配置される。したがってケーブル181は、板181aからケーブル担持チェーン182の内側に送られる。ケーブル担持チェーン182の下端部が支持体183に固定され、支持体183は、支柱184により、ヘッド搭載プラットフォーム130と一緒に回転するモータ支持体160aに固定される。したがってケーブル181は、部分的にはスピンドル・モータ160に電気的に接続され、部分的にはヘッド搭載プラットフォーム130の底面131a上に配置された電気コネクタ137に接続される。当然ながら、固定された利用物、例えば回転プラットフォームモータの固定子に接続された電力ケーブル及び信号ケーブルも存在するが、これらのケーブルは、互いに対して回転され得る接続部品ではなく、それらは本発明の目的に関係するものではないので、図示されていない。
【0063】
ガスケット174aの摩擦に起因するプラットフォーム回転モータ150に対するトルク外乱をなくすために、液圧回転継手173〜174は、専用の機構190及びモータ191によって回転的に制御される。液圧回転継手173〜174の回転とプラットフォーム回転モータ150の回転との同期は、モータ150及び191に組み入れられた2つの計測系と、数値制御の制御アルゴリズム(CNC:control algorithm of the numerical control)とによって得られる。
【0064】
上述の構成におけるC軸ユニットは、ケーブル担持チェーン182内でヘッド搭載プラットフォーム30の回転軸に配置されたケーブル181の限られた捻れを伴って、C軸に従った+/−360°の回転をこなすことができる。
【0065】
次に、
図8〜11を参照しながら、本発明の第2の実施例によるC軸ユニットを備える工作機械について説明する。前の実施例の要素に対応する要素は、同じ符号で明示されており、さらに説明されることはない。
図8から11の実施例は、ケーブル担持チェーンの代わりにスリップリングを設ける点において、前の実施例とは本質的に異なる。このデバイスは、C軸ユニットの無限回転が達成されることを可能にする。
【0066】
図8〜11において200で示されたスリップリングは、入力支持体181b上に設置された固定部分201、及び流体回転継手の回転部分174と一体に作られた回転部分202を備える。工作機械の電気的及び数値的な制御キャビネットをC軸ユニット120に接続する電力及び信号ケーブル181は、スリップリングの固定部分201に電気的に接続される。電流及び信号は、それ自体は知られた態様でスリップリングの固定部分201から回転部分202へ伝送される。追加の電気ケーブル181cがスリップリングの回転部分202に接続されて、種々の利用物の間で分配される。したがってケーブル181cは、部分的にはスピンドル・モータ160に電気的に接続され、部分的にはヘッド搭載プラットフォーム130の底面131a上に配置された電気コネクタ137に接続される。スリップリングの真下の部分では、ケーブル181cは、液圧回転継手の回転部分174を貫いて得られた中央貫通孔に通される。
【0067】
当然ながら、本発明の原理を変えることなしに、実施例及び構造の詳細は、添付の特許請求の範囲において定義される本発明の範囲から逸脱することなく、単に限定的ではない実例として説明され且つ図示されたものに対して幅広く変化し得る。
【外国語明細書】