特開2020-40910(P2020-40910A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-40910(P2020-40910A)
(43)【公開日】2020年3月19日
(54)【発明の名称】水中油型乳化組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/891 20060101AFI20200225BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20200225BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20200225BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20200225BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20200225BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20200225BHJP
【FI】
   A61K8/891
   A61K8/34
   A61K8/81
   A61K8/06
   A61Q19/00
   A61Q1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-169657(P2018-169657)
(22)【出願日】2018年9月11日
(71)【出願人】
【識別番号】000135324
【氏名又は名称】株式会社ノエビア
(72)【発明者】
【氏名】山下 洋美
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AC022
4C083AC102
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC352
4C083AC432
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD171
4C083AD172
4C083CC03
4C083CC05
4C083CC11
4C083DD33
4C083EE01
(57)【要約】
【課題】
本発明は、保湿効果に優れ、べたつきが少なく、保存安定性が良好で、透明な外観を有する水中油型乳化組成物を提供する。
【解決手段】
本発明は、下記(A)から(D)の条件を満たす水中油型乳化組成物。
(A)環状シリコーンを含有し、その含有量が油性成分の50質量%以上である。
(B)多価アルコールを含有し、その含有量が組成物全体の20質量%以上である。
(C)ポリアクリルアミド化合物を含有する。
(D)可溶化剤を含有する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)から(D)の条件を満たす水中油型乳化組成物。
(A)環状シリコーンを含有し、その含有量が油性成分の50質量%以上である。
(B)多価アルコールを含有し、その含有量が組成物全体の20質量%以上である。
(C)ポリアクリルアミド化合物を含有する。
(D)可溶化剤を含有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中油型乳化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
水相と油相の屈折率を一致させることにより、透明な油中水型乳化組成物が得られることが知られている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−127318号公報
【特許文献2】特開2012−188392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、油中水型乳化組成物は、使用感がべたつく、安定性が保ちにくいなどの課題があった。また屈折率をあわせても、完全に透明な乳化化粧料が得られない、という課題もあった。そこで本発明は、透明かつ安定な水中油型乳化組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
下記(A)から(D)の条件を満たす水中油型乳化組成物を提供する。
(A)環状シリコーンを含有し、その含有量が油性成分の50質量%以上である。
(B)多価アルコールを含有し、その含有量が組成物全体の20質量%以上である。
(C)ポリアクリルアミド化合物を含有する。
(D)可溶化剤を含有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の水中油型乳化組成物は、保湿効果に優れ、べたつきが少なく、保存安定性が良好で、透明な外観を有するという効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下本発明を実施するための形態を説明する。
【0008】
[水中油型乳化組成物]
本発明の一態様である水中油型乳化組成物(以下、「本発明の組成物」と略す場合がある。)は、下記(A)から(D)の条件を満たすことを特徴とする。
(A)環状シリコーンを含有し、その含有量が油性成分の50質量%以上である。
(B)多価アルコールを含有し、その含有量が組成物全体の20質量%以上である。
(C)ポリアクリルアミド化合物を含有する。
(D)可溶化剤を含有する。
本発明者は、主な油性成分として「環状シリコーン」を、さらに水相の屈折率を上げる「多価アルコール」を使用することにより、透明度の高い水中油型乳化組成物を調製できることを見出した。これはエマルジョンを形成している内外相の屈折率が一致するためであると思われる。
【0009】
<(A)の条件>
本発明の組成物は、環状シリコーンを含有し、その含有量が油性成分の50質量%以上であることを特徴の1つとする。環状シリコーンの具体的種類は特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。
具体的な環状シリコーンとしては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等が挙げられるが、デカメチルシクロペンタシロキサンが特に好ましい。なお、環状シリコーンは、1種類又は2種以上を併用して用いてもよい。
【0010】
本発明の組成物における環状シリコーンの含有量(2種類以上の場合は総含有量)は、油性成分の50質量%以上であるが、好ましくは油性成分の60質量%以上である。上記範囲内であると、組成物の透明度を確保し易くなる。
【0011】
本発明の組成物は、環状シリコーンを含有し、その含有量が油性成分の50質量%以上であれば、環状シリコーン以外の油性成分を含有していてもよい。
具体的な油性成分としては、マカデミアナッツ油、アボカド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等;エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソブチル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類等が挙げられる。なお、環状シリコーン以外の油性成分は、1種類を単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよい。
【0012】
本発明の組成物における油性成分の含有量(2種類以上の場合は総含有量)は、通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上であり、通常30質量%以下、好ましくは25質量%以下である。上記範囲内であると、水中油型乳化組成物を調製し易くなる。
【0013】
<(B)の条件>
本発明の組成物は、多価アルコールを含有し、その含有量が組成物全体の20質量%以上であることを特徴の1つとするが、多価アルコールの具体的種類は特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。 具体的な多価アルコールとしては、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール(イソプレングリコール)、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、グリセリン、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジグリセリン等のほか、スクロース、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、グリコシルトレハロース等の糖類が挙げられる。この中でも、グリセリン及び1,3−ブタンジオール、グリコシルトレハロース、ジプロピレングリコールを含有することが好ましく、1,3−ブタンジオール、グリセリン、ジグリセリンがさらに好ましく、グリセリンが最も好ましい。
【0014】
本発明の組成物における多価アルコールの含有量(2種類以上の場合は総含有量)は、組成物全体の20質量%以上であるが、好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上であり、通常50質量%以下、好ましくは45質量%以下である。上記範囲内であると、組成物の透明性を確保し易くなる。
グリセリンを含有する場合、グリセリンの含有量は、組成物全体の通常10質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上であり、通常55質量%以下、好ましくは50質量%以下である。
【0015】
<(C)の条件>
本発明の組成物は、ポリアクリルアミド化合物を含有する。ポリアクリルアミド化合物は、アクリルアミドならびにそれらの誘導体のホモポリマーまたはコポリマーの群から選ばれる1種又は2種以上のポリマーである。ポリアクリルアミド化合物には、ポリアクリルアミド、アクリルアミドコポリマーが含まれる。ポリアクリルアミドコポリマーとしては、アクリルアミド及び/又はアクリロイルジメチルタウリンを構成単位として含むコポリマーが挙げられる。
【0016】
ポリアクリルアミド及びそのコポリマーとしては、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリン)コポリマー、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸Na、(アクリルアミド/アクリル酸アンモニウム)コポリマー等が挙げられる。
【0017】
(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーとしては、例えばSEPPIC社のセピノブEMT10もしくは複合原料であるSEPPIC社のSIMULGEL NS((アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、スクワラン、ポリソルベート60、水;(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーを35〜40質量%含有)を用いることができる。
【0018】
(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリン)コポリマーとしては、例えば、SEPPIC社の複合原料であるSIMULGEL EG((アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリン)コポリマー、イソヘキサデカン、ポリソルベート80、水;(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリン)コポリマーを37.5質量%含有)、SIMULGEL EPG((アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリン)コポリマー、ポリイソブテン、(カプリリル/カプリル)グルコシド、水)等を用いることができる。
【0019】
ポリアクリルアミドとしては、例えば2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の架橋コポリマーが挙げられ、例えばSEPPIC社の複合原料であるセピゲル305(ポリアクリルアミド、水添ポリイソブテン、ラウレス−7、水;ポリアクリルアミドを40質量%含有)、セピゲル501(ポリアクリルアミド、ポリソルベート85、ミネラルオイル、イソパラフィン;ポリアクリルアミドを20質量%含有)を用いることができる。
【0020】
(アクリルアミド/アクリル酸アンモニウム)コポリマーとしてはSEPPIC社の複合原料であるSEPIPLUS 265((アクリルアミド/アクリル酸アンモニウム)コポリマー、ポリイソブテン、ポリソルベート20、水)等を用いることができる。
【0021】
これらの(C)ポリアクリルアミド化合物としては、より好ましくは(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリン)コポリマーである。これらを用いることにより、安定な組成物を得ることができる。
【0022】
本発明で用いる(C)ポリアクリルアミド化合物の配合量は、組成物全量に対し、0.1〜3質量%、さらには0.2〜2.0質量%とすることが好ましい。この範囲であれば、経時安定性に優れる。
【0023】
<(D)の条件>
本発明の組成物は、可溶化剤を含有する。可溶化剤としては、通常乳化組成物に用いられうるものであれば特に限定されない。例えば、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油(HLB値12.5)、ポリオキシエチレン(50)硬化ヒマシ油(HLB値13.5)、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油(HLB値14.0)、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル(HLB値16.5)、ポリオキシエチレン(12)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテル(HLB値8.5)、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテル(HLB値11)、ポリオキシエチレン(30)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテル(HLB値12)、ポリオキシエチレン(30)フィトステロール(HLB値18)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(HLB値15)などがあげられる。これらの可溶化剤のなかでも、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましく、さらにはポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(50)硬化ヒマシ油から選択される1種又は2種を用いることがより好ましい。
【0024】
本発明の組成物は、前述の(A)〜(D)の条件を満たすものであれば、その他については特に限定されないが、水中油型乳化組成物であるため、水を含有する。なお、水は通常精製水であるが、水道水、イオン交換水等であってもよい。
【0025】
本発明の組成物における水の含有量は、組成物全体の通常10質量%以上、好ましくは15質量%以上であり、通常50質量%以下、好ましくは40質量%以下である。上記範囲内であると、透明な水中油型乳化組成物を調製し易くなる。
【0026】
本発明の組成物は、前述の(A)〜(D)の条件を満たすものであれば、その他については特に限定されないが、使用感の点からエタノールを配合することが好ましい。エタノールを配合する場合、その配合量は組成物全量に対し、1〜15質量%が好ましい。
【0027】
本発明の組成物の剤形は、特に限定されず、液状、クリーム状、ジェル状等の様々なものに利用することができる。
【0028】
本発明の組成物は、透明度が高いことを特長とするが、例えばパール粉体、金属粉体等の鮮やかな粉体を配合することにより、粉体の鮮やかさを損なうことなく、際立たせることができる一方、ソフトフォーカス粉体等を配合することにより、自然な仕上がりを実現できる「素肌感を有する化粧料」を創出することもできる。なお、「パール粉体」とは、反射光沢或いは干渉光沢の著しい偏平粉体を意味し、「ソフトフォーカス粉体」とは、光を様々な方向に散乱させることでシワ等を目立ちにくくするソフトフォーカス効果を発揮する粉体を意味する。
パール粉体としては、マイカ、セリサイト、薄片状アルミナ、薄片状シリカ、薄片状ガラスフレーク、ホウケイ酸ガラス等のアスペクト比の高い薄片状粉体の表面を酸化亜鉛や二酸化チタンの厚さの異なる薄膜で被覆した粉体が挙げられる。これらのパール粉体は市販されており、エンジェルハード・コーポレーション社製の「フラメンコレッド100」、「フラメンコゴールド100」、「フラメンコグリーン100」、「フラメンコブルー100」、「クロイゾネゴールデン ブロンズ」、「ジェムトーンタン オパール」、「フラメンコスパークルオレンジ32J」、「リフレクスピンポインツオブパール」、「リフレクスレイズオブレッド」、「リフレクスギルディッドゴールド」、「リフレクスビジョンズオブV」、「リフレクスMDチェンジングチェリー」、「リフレクスMDシフティングサファイア」、メルク・ジャパン社製の「チミ・スーパーシーンMP1001」、「チミ・スーパーシルクMP1005」、「ティミロンスターラストレMP115」、「ティミロンダイアモンドクラスターGOLD」、「コロロナブライドゴールド」、「コロロナブロンズファイン」、「シローナシルバー」、日本板硝子株式会社製の「メタシャインMC1080RS」、「メタシャインMC1080RYS1」、「メタシャインMC1040TP」、「メタシャインMC1040TZ」、「メタシャインMC1080RB」、「SAメタシャインMC1040RR」、「メタシャインMC1040RS」、「メタシャインMC1040RY」、「メタシャインMC1040RB」、「メタシャインMC1040RG」、「メタシャインMC1080KY」、「メタシャインMC1120RS」、「メタシャインMC1120RY」、「メタシャインMC2080PS」等が挙げられる。
ソフトフォーカス粉体としては、シリカ、ナイロン、メタクリル酸メチルクロスポリマー等が挙げられるが、メタクリル酸メチルクロスポリマーが特に好ましい。
【0029】
本発明の組成物に粉体を配合する場合その配合含有量(2種類以上の場合は総含有量)は、組成物全体の通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上であり、通常3.0質量%以下、好ましくは1.0質量%以下である。
【0030】
本発明の組成物は、透明度が高いことを特長とするが、具体的な透明度は特に限定されず、目的に応じて適宜調整することができる。なお、本発明において、透明とは、組成物を30mL容量のマヨネーズ瓶に充填し、マヨネーズ瓶ごしに10ポイントの文字がはっきり読める状態をいう。
【0031】
本発明の組成物は、透明な外観を保つために、水相、油相それぞれの屈折率が1.39〜1.43であり、かつ水相と油相の屈折率差が0.01以下であることが好ましい。水相、油相の屈折率については、1.39未満に調製しようとすると、水相は簡単に調製できるものの、油相については、組成物に使用されるほとんどの油性成分が1.39を超えるものであるため、実質的に不可能となる。また1.43を超える屈折率に調製しようとすると、油相は簡単に調製できるものの、水相においては水以外の成分の配合量が極端に増えることによってベタつきが生じるなど嗜好性に悪影響を及ぼしたり、最終製品の屈折率が高くなることで、塗布時にぎらつきを生じたりオイリー感が出てしまうなど、この場合もまた嗜好性に悪影響を及ぼしてしまう。
また、水相と油相の屈折率の差が0.01を超えてしまうと組成物に濁りを生じ、美観を損ね、嗜好性が下がってしまう。
【0032】
水相、油相の屈折率は、水相、油相を、それぞれ屈折率計を用いて測定することも可能であるが、各成分の屈折率と比重の値から算出することも可能である。その場合、水相又は油相のそれぞれの成分の容積比率と屈折率の積の総和を用いることで各相の屈折率を算出することができる。
【0033】
本発明の水中油型乳化組成物には上述の必須成分の他に、必要に応じて通常水中油型乳化組成物に配合される、水性成分、油性成分、保湿剤、色素、界面活性剤、紫外線吸収剤、増粘剤、美容成分、香料、高分子物質、防菌防微剤、アルコール類、粉体、スクラブ剤、生体由来成分等を適宜配合することができる。
【実施例】
【0034】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これにより本発明の範囲が限定されるものではない。なお、配合量は特に断りのない限り質量%である。
【0035】
表1に示した処方を用いて定法により水中油型乳化組成物を調製した。組成物に関し、電気伝導度の測定を行い、電気伝導を有することを確認し、水中油型乳化組成物であることを確認した。また、ポリアクリルアミド化合物混合物として、シマルゲルEGを用いた。
【0036】
[透明性]
組成物を30mL容量のマヨネーズ瓶に充填し、マヨネーズ瓶ごしに10ポイントの文字がはっきり読める状態を「〇」、読みにくい状態を「△」、読めない状態を「×」として評価した。
【0037】
[安定性]
得られた組成物をマヨネーズ瓶に充填し、50℃の恒温槽で30日間整地した後の状態を観察し、分離、濁りが認められないものを「〇」、若干分離、濁りが認められるものを「△」、分離、濁りが明確に認められるものを「×」として評価した。
【0038】
【表1】