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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-40922(P2020-40922A)
(43)【公開日】2020年3月19日
(54)【発明の名称】新規な脂環式ジオール化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 319/08 20060101AFI20200225BHJP
【FI】
   C07D319/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-171041(P2018-171041)
(22)【出願日】2018年9月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000191250
【氏名又は名称】新日本理化株式会社
(72)【発明者】
【氏名】廣 祥二
(72)【発明者】
【氏名】森 一紘
(72)【発明者】
【氏名】辻本真也
【テーマコード(参考)】
4C022
【Fターム(参考)】
4C022HA04
(57)【要約】
【課題】ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂及びポリメタクリル酸エステル樹脂等の樹脂原料や樹脂改質剤として有用である新規な脂環式ジオール化合物を提供すること。
【解決手段】 一般式(1)
【化1】

[式中、Rは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又は炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を示す。]
で表される新規な脂環式ジオール化合物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】
[式中、Rは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又は炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を示す。]
で表される、脂環式ジオール化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な脂環式ジオール化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステル樹脂やポリカーボネート樹脂の樹脂原料として各種のジオール化合物が知られている。しかし、工業的に入手可能な環式ジオール化合物としては、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオールや2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン(水素化ビスフェノールA)がある(特許文献1及び2)が、その種類は非常に少なく、様々な応用分野における多岐に渡る要求を満足させることが難しいのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−310900号公報
【特許文献2】特開2003−048966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂等の樹脂原料や樹脂改質剤として有用である新規な環式ジオール化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を達成すべく、鋭意検討した結果、特異な構造を有する脂環式ジオール化合物が文献未記載の化合物であり、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂及びポリメタクリル酸エステル樹脂等の樹脂原料や樹脂改質剤として有用なことを見出し、かかる知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明は、以下の項目を要旨とする新規な脂環式ジオール化合物を提供するものである。
【0007】
[項1]
一般式(1)
【化1】
[式中、Rは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又は炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を示す。]
で表される、脂環式ジオール化合物。
【0008】
[項2]
一般式(1)
【化2】
[式中、Rは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又は炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を示す。]
で表される脂環式ジオール化合物の、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂又はポリメタクリル酸エステル樹脂の樹脂原料としての使用方法。
【0009】
[項3]
一般式(1)
【化3】
[式中、Rは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又は炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を示す。]
で表される脂環式ジオール化合物からなる、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂又はポリメタクリル酸エステル樹脂の樹脂改質剤。
【0010】
[項4]
一般式(2)
【化4】
で表される、シクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール。
【発明の効果】
【0011】
本発明の新規な脂環式ジオール化合物は、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂等の樹脂原料又は樹脂改質剤として使用出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1で得られたシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタールのIRスペクトルである。
図2】実施例1で得られたシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタールのH−NMRスペクトルである。
図3】実施例1で得られたシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタールの13C−NMRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の新規な脂環式ジオール化合物は、下記一般式(1)
【化5】
[式中、Rは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又は炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を示す。]
で表される、脂環式ジオール化合物である。
【0014】
一般式(1)において、Rで表される炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基としては、特に制限ないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基が挙げられる。このうち好ましくは、メチル基、エチル基、イソブチル基、tert−ブチル基である。
【0015】
一般式(1)で表される脂環式ジオール化合物の具体的な例としては、シクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2−フルオロシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2−クロロシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2−ブロモシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2−ヨードシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2−メチルシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2−エチルシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2−プロピルシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2−イソプロピルシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2−ブチルシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2−イソブチルシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2−tert−ブチルシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,2−ジフルオロシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,2−ジクロロシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,2−ジブロモシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,2−ジヨードシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,2−ジメチルシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,2−ジエチルシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,2−ジプロピルシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,2−ジイソプロピルシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,2−ジブチルシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,2−ジイソブチルシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,12−ジフルオロシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,12−ジクロロシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,12−ジブロモシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,12−ジヨードシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,12−ジメチルシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,12−ジエチルシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,12−ジプロピルシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,12−ジイソプロピルシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,12−ジブチルシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,12−ジイソブチルシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,12−ジ−tert−ブチルシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,2,12−トリフルオロシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,2,12−トリクロロシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,2,12−トリブロモシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,2,12−トリヨードシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,2,12−トリメチルシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,2,12−トリエチルシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,2,12−トリプロピルシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,2,12−トリイソプロピルシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,2,12−トリブチルシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,2,12−トリイソブチルシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,2,12,12−テトラフルオロシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,2,12,12−テトラクロロシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,2,12,12−テトラブロモシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,2,12,12−テトラヨードシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,2,12,12−テトラメチルシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,2,12,12−テトラエチルシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,2,12,12−テトラプロピルシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,2,12,12−テトライソプロピルシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,2,12,12−テトラブチルシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール、2,2,12,12−テトライソブチルシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタール等が挙げられる。
【0016】
本発明の新規な脂環式ジオール化合物は、例えば、下記反応式に示すようにして製造される。
(反応式)
【化6】
[式中、Rは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又は炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を示す。]
【0017】
上記の反応式に示すように、本発明の新規な脂環式ジオール化合物(一般式(1))の製造方法としては、一般式(3)で表されるシクロドデカノン化合物をメタノール存在下、酸性触媒存在下でアセタール化反応して、一般式(4)で表されるシクロドデカノン化合物ジメチルアセタールとした後、酸性触媒存在下、ペンタエリスリトールを用いてアセタール交換反応させる製造方法が例示される。
【実施例】
【0018】
以下に実施例を掲げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本実施例において、脂環式ジオール化合物の各種測定は以下の方法により測定した。また、特に言及していない化合物は試薬を使用した。
【0019】
<使用化合物>
シクロドデカノン:東京化成工業株式会社製
りんタングステン酸:和光純薬工業株式会社製
ペンタエリスリトール:パーストープ社製
BSTFA−TMCS:N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(1%トリメチルクロロシランを含む)東京化成工業株式会社製
【0020】
<ガスクロマトグラフィー(GC)による分析>
シクロドデカノンジメチルアセタールは、1質量%のピリジン溶液を調整した後、ガスクロマトグラフィー(GC)により測定した。また、脂環式ジオール化合物の純度は、下記の方法で脂環式ジオールのヒドロキシル基をトリメチルシリル化してトリメチルシリル化化合物とした後、ガスクロマトグラフィー(GC)分析を行い、トリメチルシリル化化合物を面積百分率法より求め、その値を脂環式ジオールの純度とした。
(トリメチルシリル化化合物のサンプル調整)
脂環式ジオール化合物0.1gをピリジン3mlで完全に溶解させ、その溶液1gに、BSTFA−TMCS0.2g加え、室温で振り混ぜ、トリメチルシリル化化合物とした。
【0021】
[測定条件]
機器:島津製作所製 GC−2010
カラム:Phenomenex社製 ZB−XLB−HT INFERNO 30mx0.25mm×0.25μm
カラム温度:120〜320℃(昇温速度15℃/min)
インジェクション温度/検出器温度:280℃/325℃
検出器:FID
キャリアガス:ヘリウム
ガス線速度:30cm/sec
注入量:1μl
【0022】
<融点>
脂環式ジオール化合物の融点は、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製示差熱量測定装置DSC6220を用いて測定した。試料9.2mgを同社製アルミパンに入れて密封し、50ml/分の窒素気流下、昇温速度10℃/分で30℃から200℃まで昇温して、吸熱ピークを観測した。そのピークトップが示した温度を融点とした。
【0023】
<赤外吸収スペクトル(IRスペクトル)>
脂環式ジオール化合物のIRスペクトルは、赤外分光分析装置(株式会社パーキンエルマージャパン製Spectrum400)を用い、ATR法(減衰全反射法)で行った。
【0024】
<プロトン核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)>
脂環式ジオール化合物のH−NMRは、重メタノールに溶かした後、核磁気共鳴装置(Bruker社製DRX−500)を用い、H−NMR(500MHz)測定で行った。
【0025】
<カーボン核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)>
脂環式ジオール化合物の13C−NMRは、重DMSOに溶かした後、核磁気共鳴装置(Bruker社製DRX−500)を用い、13C−NMR(125.8MHz)測定で行った。
【0026】
[実施例1]
還流冷却管を装着した100mL4ツ口フラスコにシクロドデカノン10.0g(54.9mmol )、オルト蟻酸トリメチル11.7g(110.3mmol)、りんタングステン酸0.25g、メタノール3.9g(121.7mmol )を仕込み、還流条件下で2時間攪拌した後、トリエチルアミン0.36g(3.6mmol)を加えて中和した。反応粗物を5%炭酸水素ナトリウム水溶液40gに加えた後、酢酸エチル20gを加えて攪拌した。分層後、水層を除去し、有機層を20gの水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、酢酸エチルを減圧留去して、純度90.9GC面積%のシクロドデカノンジメチルアセタールを得た。得られたシクロドデカノンジメチルアセタールはさらなる精製を行うことなく、次の反応に用いた。
【0027】
還流冷却管付きディーンスタークトラップを装着した300mL4ツ口フラスコにペンタエリスリトール22.3g(163.8mmol)、シクロドデカノンジメチルアセタール12.5g(54.7mmol)、りんタングステン酸0.13g、N,N−ジメチルホルムアミド94.4gを仕込み、120℃で2時間攪拌した後、トリエチルアミン0.36g(3.6mmol)を加えて中和した。反応粗物を5%炭酸水素ナトリウム水溶液200gに加えた後、酢酸エチル300gを加えて攪拌した。分層後、水層を除去し、有機層を200gの水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、粗物が220gになるまで、酢酸エチルを減圧留去し、析出した結晶を濾過した。更に、母液を135gになるまで減圧濃縮し、析出した結晶を濾過して、得られた結晶を併せて、トルエン106gに加え、100℃で30分スラリー洗浄を行った。放冷して30℃で結晶を濾過することにより、純度99.4GC面積%のシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタールを得た。融点は、163.1℃であった。
【0028】
得られたフルオレノンペンタエリスリトールモノアセタールについて、IRスペクトル、H−NMRスペクトル及び13C−NMRスペクトルを測定した。得られた結果を、図1〜3に示した。図中に示される下記特性ピークよりシクロドデカノンペンタエリスリトールモノアセタールであることを確認した。
【0029】
IR(cm-1):3268,2928,2846,1468,1173,1143,1113,1095,1041
【0030】
1H−NMR(500MHz,ppm):1.38(br,18H),1.73(br,4H),3.70(s,4H),3.56(s,4H)
(なお、3.3、4.9ppm付近のピークは、溶媒の重メタノールに由来するピークである。)
【0031】
13C−NMR(125.8MHz,ppm):19.5,22.0,22.3,26.1,26.2,28.9,39.2,61.1,61.5,101.3
(なお、40ppm付近のピークは、溶媒の重DMSOに由来するピークである。)
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の新規な脂環式ジオール化合物は、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂及びポリメタクリル酸エステル樹脂等の樹脂原料や樹脂改質剤として使用することができる。
図1
図2
図3