特開2020-40929(P2020-40929A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2020040929-新規な環式ジオール化合物 図000010
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-40929(P2020-40929A)
(43)【公開日】2020年3月19日
(54)【発明の名称】新規な環式ジオール化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 319/08 20060101AFI20200225BHJP
【FI】
   C07D319/08CSP
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-171977(P2018-171977)
(22)【出願日】2018年9月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000191250
【氏名又は名称】新日本理化株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 祥太郎
(72)【発明者】
【氏名】廣 祥二
(72)【発明者】
【氏名】辻本 真也
【テーマコード(参考)】
4C022
【Fターム(参考)】
4C022HA04
(57)【要約】
【課題】ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂及びポリメタクリル酸エステル樹脂等の樹脂原料や樹脂改質剤として有用である新規な環式ジオール化合物を提供すること。
【解決手段】 一般式(1)
【化1】

[式中、Rは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又は炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を示す。]
で表される新規な環式ジオール化合物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】
[式中、Rは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又は炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を示す。]
で表される、環式ジオール化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な環式ジオール化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステル樹脂やポリカーボネート樹脂の樹脂原料として各種のジオール化合物が知られている。しかし、工業的に入手可能な環式ジオール化合物としては、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオールや2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン(水素化ビスフェノールA)がある(特許文献1及び2)が、その種類は非常に少なく、様々な応用分野における多岐に渡る要求を満足させることが難しいのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−310900号公報
【特許文献2】特開2003−048966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂等の樹脂原料や樹脂改質剤として有用である新規な環式ジオール化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは,上記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、特異な構造を有する環式ジオール化合物が文献未記載の化合物であり、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂及びポリメタクリル酸エステル樹脂等の樹脂原料や樹脂改質剤として有用なことを見出し、かかる知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明は、以下の項目を要旨とする新規な環式ジオール化合物を提供するものである。
【0007】
[項1]
一般式(1)
【化1】
[式中、Rは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又は炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を示す。]
で表される、環式ジオール化合物。
【0008】
[項2]
一般式(1)
【化2】
[式中、Rは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又は炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を示す。]
で表される環式ジオール化合物の、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂又はポリメタクリル酸エステル樹脂の樹脂原料としての使用方法。
【0009】
[項3]
一般式(1)
【化3】
[式中、Rは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又は炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を示す。]
で表される環式ジオール化合物からなる、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂又はポリメタクリル酸エステル樹脂の樹脂改質剤。
【0010】
[項4]
一般式(2)
【化4】
で表される、ビス(9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール。
【発明の効果】
【0011】
本発明の新規な環式ジオール化合物は、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂等の樹脂原料又は樹脂改質剤として使用出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1で得られたビス(9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタールのIRスペクトルである。
図2】実施例1で得られたビス(9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタールのH−NMRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の新規な環式ジオール化合物は、下記一般式(1)
【化5】
[式中、Rは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又は炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を示す。]
で表される、環式ジオール化合物である。
【0014】
一般式(1)において、Rで表される炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基としては、特に制限ないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基が挙げられる。このうち好ましくは、メチル基、エチル基、イソブチル基、tert−ブチル基である。
【0015】
一般式(1)で表される環式ジオール化合物の具体的な例としては、ビス(9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(2−フルオロ−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(2−クロロ−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(2−ブロモ−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(2−メチル−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(2−エチル−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(2−イソプロピル−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(2−tert−ブチル−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(3−フルオロ−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(3−クロロ−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(3−ブロモ−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(3−メチル−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(3−エチル−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(3−イソプロピル−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(3−tert−ブチル−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(4−フルオロ−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(4−クロロ−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(4−ブロモ−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(4−メチル−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(4−エチル−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(4−イソプロピル−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(4−tert−ブチル−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(2,7−ジフルオロ−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(2,7−ジクロロ−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(2,7−ジブロモ−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(2,7−ジメチル−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(2,7−ジエチル−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(2,7−ジイソプロピル−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(2,7−ジ−tert−ブチル−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(3,6−ジフルオロ−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(3,6−ジクロロ−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(3,6−ジブロモ−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(3,6−ジメチル−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(3,6−ジエチル−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(3,6−ジイソプロピル−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(3,6−ジ−tert−ブチル−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(4,5−ジフルオロ−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(4,5−ジクロロ−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(4,5−ジブロモ−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(4,5−ジメチル−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(4,5−ジエチル−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(4,5−ジイソプロピル−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール、ビス(4,5−ジ−tert−ブチル−9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタール等が挙げられる。
【0016】
本発明の新規な環式ジオール化合物は、例えば、下記反応式に示すようにして製造される。
(反応式)
【化6】
[式中、Rは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又は炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を示す。]
【0017】
上記の反応式に示すように、本発明の新規な環式ジオール化合物(一般式(1))の製造方法としては、一般式(3)で表される9−フルオレノン化合物をメタノール存在下、酸性触媒存在下でアセタール化反応して、一般式(4)で表される9−フルオレノン化合物のジメチルアセタールとした後、酸性触媒存在下、ジペンタエリスリトールを用いてアセタール交換反応させる製造方法が例示される。
【実施例】
【0018】
以下に実施例を掲げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本実施例において、環式ジオール化合物の各種測定は以下の方法により測定した。また、特に言及していない化合物は試薬を使用した。
【0019】
<使用化合物>
9−フルオレノン:東京化成工業株式会社製
p−トルエンスルホン酸一水和物:ナカライテスク株式会社製
メタノール:ナカライテスク株式会社製
ジペンタエリスリトール:東京化成工業株式会社製
【0020】
<ガスクロマトグラフィー(GC)による分析>
9−フルオレノンジメチルアセタールの純度(GC面積%)はガスクロマトグラフィー(GC)により測定した。
【0021】
[測定条件]
機器:島津製作所製 GC−2010
カラム:アジレント・テクノロジー株式会社製DB−1 30mx0.25mm×0.25μm
カラム温度:100〜320℃(昇温速度15℃/min)
インジェクション温度/検出器温度:250℃/325℃
検出器:FID
キャリアガス:ヘリウム
ガス線速度:30cm/sec
試料:1質量%のアセト二トリル溶液
注入量:1μl
【0022】
<赤外吸収スペクトル(IRスペクトル)>
環式ジオール化合物のIRスペクトルは、赤外分光分析装置(株式会社パーキンエルマージャパン製Spectrum400)を用い、ATR法(減衰全反射法)で行った。
【0023】
<プロトン核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)>
環式ジオール化合物のH−NMRは、重DMSOに溶かした後、核磁気共鳴装置(Bruker社製DRX−500)を用い、H−NMR(500MHz)測定で行った。
【0024】
[実施例1]
還流冷却管を装着した1L4ツ口フラスコに9−フルオレノン35.0g(194.2mmol )、オルト蟻酸トリメチル57.0g(537.1mmol)、p−トルエンスルホン酸一水和物1.80g(9.5mmol)、メタノール325.0g(10.1mol )を仕込み、50℃で5時間攪拌した後、トリエチルアミンを加えて中和した。メタノール溶媒を減圧留去し、得られた濃縮粗物に、酢酸エチル115gおよび5%炭酸水素ナトリウム水115gを加え攪拌した。分層後、水層を除去し、有機層を60gの水で2回洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、酢酸エチルを減圧留去して、純度98.8GC面積%の9−フルオレノンジメチルアセタールを得た。得られた9−フルオレノンジメチルアセタールはさらなる精製を行うことなく、次の反応に用いた。
【0025】
還流冷却管付きディーンスタークトラップを装着した200mLナスフラスコにジペンタエリスリトール10.3(40.5mmol)、9−フルオレノンジメチルアセタール8.0g(35.4mmol)、p−トルエンスルホン酸一水和物38mg(0.22mmol)、トルエン29.4g、N,N−ジメチルホルムアミド55.9gを仕込み、系を窒素置換した後、昇温してトルエン還流下で、5.5時間攪拌した。反応混合物を室温に戻し、トリエチルアミンで中和し、水150gを加えて攪拌した。分層後、有機層と水層に分け、水層を酢酸エチル150mlで3回抽出し、酢酸エチルと先に分けていた有機層とを合わせた。100mlの水で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥した。得られた有機層から酢酸エチルを減圧留去し、粗ビス(9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタールを得た。得られた粗ビス(9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタールをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−n−ヘキサン混合溶媒)法により、ビス(9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタールを単離した。
【0026】
得られたビス(9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタールについて、IRスペクトル及びH−NMRスペクトルを測定した。得られた結果を、図1及び図2に示した。図中に示される下記特性ピークよりビス(9−フルオレノン)ジペンタエリスリトールジアセタールであることを確認した。
【0027】
IR(cm-1):3499,3044,2967,2944,2890,1610,1481,1466,1450,1185,1119,1069,1004,760,733,688
【0028】
H−NMR(500MHz,ppm):3.74(d,4H),3.76(s,4H),4.18(d,4H),4.27(d,4H),5.04(t,2H),7.25(dd,2H),7.32(dd,2H),7.40(d,2H),7.44(d,2H),7.74(d,2H),7.75(d,2H),7.83(dd,4H)
(なお、2.5ppm付近のピークは溶媒の重DMSOに由来するピークである。また、1.15ppm,1.96ppm,4.00ppm付近のピークは残存溶媒の酢酸エチルに由来するピークであり、3.36ppm付近のピークは重DMSO中の水に由来するピークである。)
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の新規な環式ジオール化合物は、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂及びポリメタクリル酸エステル樹脂等の樹脂原料や樹脂改質剤として使用することができる。
図1
図2