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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-41747(P2020-41747A)
(43)【公開日】2020年3月19日
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28D 9/00 20060101AFI20200225BHJP
   F28F 3/08 20060101ALI20200225BHJP
   F28F 9/00 20060101ALI20200225BHJP
【FI】
   F28D9/00
   F28F3/08 301A
   F28F9/00 321
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-169593(P2018-169593)
(22)【出願日】2018年9月11日
(71)【出願人】
【識別番号】000221834
【氏名又は名称】東邦瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 敏春
【テーマコード(参考)】
3L065
3L103
【Fターム(参考)】
3L065AA12
3L065BA13
3L065BA15
3L103AA05
3L103AA31
3L103CC22
3L103CC27
3L103DD12
(57)【要約】
【課題】配管を小さく集約することができるとともに、熱交換エレメントの清掃、交換等のメンテナンスを容易にすることができる熱交換器を提供する。
【解決手段】熱交換器1は、熱交換エレメント2及び一対の平行流ダクト3A,3Bを備える。熱交換エレメント2においては、燃焼用空気Aが流れる直線状の第1熱交換流路21Aと、排ガスGが流れる直線状の第2熱交換流路21Bとが直交する状態で形成されている。一対の平行流ダクト3A,3Bは、熱交換エレメント2の両側に着脱可能に接続されている。熱交換エレメント2は、第1熱交換流路21Aが開口する一対の第1端面201と、第2熱交換流路21Bが開口する一対の第2端面202とを有する。一対の第1端面201及び一対の第2端面202は、一対の平行流ダクト3A,3Bの接続方向Lに対して傾斜する状態に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流体が流れる直線状の第1熱交換流路と、前記第1流体よりも高温の第2流体が流れる直線状の第2熱交換流路とが、流路壁を介して直交する状態で形成された熱交換エレメントと、
前記熱交換エレメントの両側に着脱可能に接続され、前記第1流体が流れる第1流路と前記第2流体が流れる第2流路とが互いに隣接して平行に設けられた一対の平行流ダクトと、を備え、
前記熱交換エレメントは、前記第1熱交換流路が直交する状態で開口する一対の第1端面と、一対の前記第1端面に直交し、前記第2熱交換流路が直交する状態で開口する一対の第2端面とが形成された直方体形状を有し、
前記第1端面及び前記第2端面が一対の前記平行流ダクトの接続方向に対して傾斜して配置されていることにより、前記第1流路と前記第1熱交換流路とが接続されるとともに、前記第2流路と前記第2熱交換流路とが接続されている、熱交換器。
【請求項2】
前記第1流路と前記第2流路とは、前記平行流ダクトを仕切る仕切壁を介して、前記第1流体と前記第2流体との伝熱が可能な状態で形成されている、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記熱交換エレメントは、前記第1熱交換流路が形成された、正方形の板形状の第1エレメント部と、前記第2熱交換流路が形成された、正方形の板形状の第2エレメント部と、が交互に複数積層された積層構造を有し、
複数積層された前記第1エレメント部及び前記第2エレメント部における前記第1端面及び前記第2端面は、一対の前記平行流ダクトの接続方向に対して45°傾斜している、請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
一方の前記平行流ダクトは、前記第1流体を前記第1エレメント部に流入させるための前記第1流路としての第1入口流路と、前記第2流体を前記第2エレメント部から流出させるための前記第2流路としての第2出口流路と、を有し、
他方の前記平行流ダクトは、前記第1流体を前記第1エレメント部から流出させるための前記第1流路としての第1出口流路と、前記第2流体を前記第2エレメント部に流入させるための前記第2流路としての第2入口流路と、を有する、請求項3に記載の熱交換器。
【請求項5】
一方の前記平行流ダクトは、前記第1流体を前記第1エレメント部に流入させるための前記第1流路としての第1入口流路と、前記第2流体を前記第2エレメント部に流入させるための前記第2流路としての第2入口流路と、を有し、
他方の前記平行流ダクトは、前記第1流体を前記第1エレメント部から流出させるための前記第1流路としての第1出口流路と、前記第2流体を前記第2エレメント部から流出させるための前記第2流路としての第2出口流路と、を有する、請求項3に記載の熱交換器。
【請求項6】
一方の前記平行流ダクトは、前記熱交換エレメントにおける、一方の前記平行流ダクトの側に位置する前記第1端面及び前記第2端面に対面するV形状の第1取付フランジに取り付けられており、
他方の前記平行流ダクトは、前記熱交換エレメントにおける、他方の前記平行流ダクトの側に位置する前記第1端面及び前記第2端面に対面するV形状の第2取付フランジに取り付けられている、請求項4又は5に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記熱交換エレメントは、前記第1取付フランジと前記第2取付フランジとの間に掛け渡されたボルトを締め付けることによって、前記第1取付フランジと前記第2取付フランジとの間に挟み込まれている、請求項6に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記第1流体は、燃焼機器に用いられる燃焼用空気であり、前記第2流体は、前記燃焼機器又は前記燃焼機器とは別の燃焼機器から排気される排ガスである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1流体と第2流体との熱交換を行う熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換器は、温度の異なる2種類の流体を別々の流路に流通させ、流路同士の間の流路壁を介して、温度が高い方の流体から温度が低い方の流体へ熱を移動させるよう構成されている。熱交換器は、例えば、燃料の燃焼が行われた後の排ガスと、新たな燃料の燃焼に用いる空気との熱交換を行って、排ガスの廃熱を空気へ回収するよう構成されている。
【0003】
また、例えば、特許文献1の熱交換器の伝熱エレメントにおいては、加熱流体用通路と受熱流体用通路とを、両通路が交互に位置するよう金属製受熱板によって仕切ることが記載されている。この伝熱エレメントにおいては、両通路内に波形状の伝熱フィンが配置されており、加熱流体用通路と受熱流体用通路とは、互いに直交する状態で形成されている。また、伝熱エレメントには、2種類の流体を流通させるための2種類の配管が接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭59−175889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
伝熱エレメントへの2種類の配管の取り付けを容易にするためには、加熱流体用通路と受熱流体用通路とが直交する直交型の伝熱エレメントを形成し、2種類の配管の入口配管部及び出口配管部を、四方に分散して配置することが考えられる。しかし、この場合には、熱交換器において、2種類の配管が占めるスペースが大きく、分散して配置された2種類の配管が取り扱いにくくなる。
【0006】
直交型の伝熱エレメントを用いる場合に、熱交換器において、2種類の配管が占めるスペースを小さくし、2種類の配管の取り扱いを容易にするためには、2種類の配管が平行に配置されるよう、伝熱エレメント(熱交換エレメント)の構造を工夫することが考えられる。特許文献1の伝熱エレメントにおいては、伝熱エレメントに接続された2種類の配管を平行に配置することが記載されている。
【0007】
熱交換器の伝熱エレメントにおいては、煤、粉塵等の異物が堆積することがある。また、伝熱エレメントが熱応力によって損傷することもある。これらの場合、伝熱エレメントの清掃、交換等を行うために、伝熱エレメントから2種類の配管を取り外す必要が生じる。しかし、特許文献1の伝熱エレメントには、2種類の配管が直接設けられており、伝熱エレメントを容易に取り外す工夫はなされていない。
【0008】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたもので、配管を小さく集約することができるとともに、熱交換エレメントの清掃、交換等のメンテナンスを容易にすることができる熱交換器を提供しようとして得られたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、第1流体が流れる直線状の第1熱交換流路と、前記第1流体よりも高温の第2流体が流れる直線状の第2熱交換流路とが、流路壁を介して直交する状態で形成された熱交換エレメントと、
前記熱交換エレメントの両側に着脱可能に接続され、前記第1流体が流れる第1流路と前記第2流体が流れる第2流路とが互いに隣接して平行に設けられた一対の平行流ダクトと、を備え、
前記熱交換エレメントは、前記第1熱交換流路が直交する状態で開口する一対の第1端面と、一対の前記第1端面に直交し、前記第2熱交換流路が直交する状態で開口する一対の第2端面とが形成された直方体形状を有し、
前記第1端面及び前記第2端面が一対の前記平行流ダクトの接続方向に対して傾斜して配置されていることにより、前記第1流路と前記第1熱交換流路とが接続されるとともに、前記第2流路と前記第2熱交換流路とが接続されている、熱交換器にある。
【発明の効果】
【0010】
前記一態様の熱交換器においては、直交型の熱交換エレメントへの一対の平行流ダクトの接続の仕方に工夫をしている。具体的には、熱交換器においては、第1熱交換流路と第2熱交換流路とが流路壁を介して直交する状態で形成された直交型の熱交換エレメントを用いている。そして、直交型の熱交換エレメントの両側に、第1流路及び第2流路が設けられた平行流ダクトをそれぞれ着脱可能に接続している。これにより、熱交換エレメントに、例えば煤、粉塵等の異物が堆積して、熱交換エレメントの清掃、交換等のメンテナンスを行う場合には、熱交換エレメントから一対の平行流ダクトを容易に取り外すことができる。そして、熱交換エレメントのメンテナンスを容易にすることができる。
【0011】
また、前記一態様の熱交換器においては、直方体形状の熱交換エレメントの第1端面及び第2端面は、一対の平行流ダクトの接続方向に対して傾斜して配置されている。そして、熱交換エレメントの一方の第1端面及び第2端面が、一方の平行流ダクトに向けられ、熱交換エレメントの他方の第1端面及び第2端面が、他方の平行流ダクトに向けられている。そのため、直交型の熱交換エレメントの両側に各平行流ダクトを容易に接続することができる。そして、一対の平行流ダクトを用いることにより、熱交換器における配管を小さく集約することができる。
【0012】
それ故、前記一態様の熱交換器によれば、配管を小さく集約することができるとともに、熱交換エレメントの清掃、交換等のメンテナンスを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態にかかる、熱交換エレメントと一対の平行流ダクトとに分解された熱交換器を示す斜視図。
図2】実施形態にかかる、熱交換器を示す説明図。
図3】実施形態にかかる、熱交換器を示す側面図。
図4】実施形態にかかる、熱交換エレメントを第1端面の方向から見た状態で示す断面図。
図5】実施形態にかかる、他の熱交換器を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
前述した熱交換器にかかる好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
<実施形態>
本形態の熱交換器1は、図1図3に示すように、熱交換エレメント2及び一対の平行流ダクト3A,3Bを備える。熱交換エレメント2は、第1流体としての燃焼用空気Aが流れる直線状の第1熱交換流路21Aと、燃焼用空気Aよりも高温の第2流体としての排ガスGが流れる直線状の第2熱交換流路21Bとが、流路壁20を介して直交する状態で形成されたものである。一対の平行流ダクト3A,3Bは、熱交換エレメント2の両側に着脱可能に接続されている。一方の平行流ダクト3Aは、熱交換エレメント2の一方側に接続されており、他方の平行流ダクト3Bは、熱交換エレメント2の他方側に接続されている。一対の平行流ダクト3A,3Bにおいては、燃焼用空気Aが流れる第1流路31A,32Aと排ガスGが流れる第2流路31B,32Bとが、互いに隣接して平行に設けられている。
【0015】
図4に示すように、熱交換エレメント2は、互いに対向する一対の第1端面201と、一対の第1端面201に直交して互いに対向する一対の第2端面202とを有する直方体形状に形成されている。第1端面201は第1熱交換流路21Aが開口する端面であり、第2端面202は第2熱交換流路21Bが開口する端面である。
【0016】
図2に示すように、熱交換エレメント2の一対の第1端面201及び一対の第2端面202は、一対の平行流ダクト3A,3Bの接続方向Lに対して傾斜する状態に配置されている。各平行流ダクト3A,3Bの第1流路31A,32Aは、第1流路31A,32Aに対して傾斜する、熱交換エレメント2の第1熱交換流路21Aに接続されている。また、各平行流ダクト3A,3Bの第2流路31B,32Bは、第2流路31B,32Bに対して傾斜する、熱交換エレメント2の第2熱交換流路21Bに接続されている。
【0017】
以下に、本形態の熱交換器1について詳説する。
(燃焼バーナ)
本形態の熱交換器1は、排ガスGと燃焼用空気Aとの熱交換を行うものである。熱交換器1は、燃焼バーナにおける燃焼後の排ガスGの廃熱を、燃焼バーナによって新たに燃焼を行うための燃焼用空気Aに回収するために用いられる。なお、熱交換器1は、排ガスGの廃熱を流体に回収するための種々の用途に用いることができる。
【0018】
本形態の第1流体は、燃焼機器としての燃焼バーナに用いられる燃焼用空気Aであり、本形態の第2流体は、燃焼バーナから排気される排ガスGである。なお、第1流体は、第1の燃焼機器に用いられる燃焼用空気Aとし、第2流体は、第1の燃焼機器とは別の第2の燃焼機器から排気される排ガスGとすることもできる。また、第1流体及び第2流体は、温度が互いに異なる種々の気体、液体等とすることができる。
【0019】
(熱交換エレメント2)
図1及び図4に示すように、熱交換エレメント2は、第1熱交換流路21Aが形成された第1エレメント部2Aと、第2熱交換流路21Bが形成された第2エレメント部2Bとが交互に複数積層された積層構造を有する。第1エレメント部2Aと第2エレメント部2Bとの積層方向Dは、一対の平行流ダクト3A,3Bの接続方向Lに対して直交している。第1エレメント部2Aと第2エレメント部2Bとは、同じ平面形状に形成されており、いずれも正方形の板形状に形成されている。
【0020】
図1に示すように、第1エレメント部2A及び第2エレメント部2Bは、波形状の断面に形成された波板22A,22Bと、平坦形状の断面に形成された平板23とが接合されて形成されている。第1熱交換流路21Aと第2熱交換流路21Bとを仕切る流路壁20は、平板23によって構成されている。第1熱交換流路21A及び第2熱交換流路21Bは、波板22A,22Bと平板23との間において、波板22A,22Bによって複数に分割されて形成されている。熱交換エレメント2を構成する波板22A,22B及び平板23は、正方形の平面形状に形成されている。
【0021】
本形態においては、波板22A,22Bと平板23とが交互に積層されている。第1エレメント部2A及び第2エレメント部2Bは、第1熱交換流路21A及び第2熱交換流路21Bが交互に配置されるように、波板22A,22Bと波板22A,22Bの両側に位置する平板23とを利用して形成されている。波板22A,22Bには、第1熱交換流路21Aを形成するための第1波板22Aと、第2熱交換流路21Bを形成するための第2波板22Bとがある。第1波板22Aにおける波形状の形成方向と、第2波板22Bにおける波形状の形成方向とは90°異なっている。なお、熱交換エレメント2は、別々に独立して形成された第1エレメント部2Aと第2エレメント部2Bとが交互に積層されたものとすることもできる。
【0022】
図1及び図2に示すように、熱交換エレメント2は、第1熱交換流路21Aの形成方向K1と第2熱交換流路21Bの形成方向K2とが直交する直交型のものである。熱交換エレメント2は、一対の平行流ダクト3A,3Bの接続方向Lに対して、第1熱交換流路21A及び第2熱交換流路21Bが斜めに位置するように、一対の平行流ダクト3A,3Bの間に配置されている。熱交換エレメント2の一対の第1端面201及び一対の第2端面202、換言すれば、複数積層された第1エレメント部2A及び第2エレメント部2Bにおける一対の第1端面201及び一対の第2端面202は、一対の平行流ダクト3A,3Bの接続方向Lに対して45°傾斜している。
【0023】
また、第1熱交換流路21Aの形成方向K1(第1熱交換流路21Aが直線状に延びる方向)と第2熱交換流路21Bの形成方向K2(第2熱交換流路21Bが直線状に延びる方向)とは、互いに90°異なっている。また、第1熱交換流路21Aの形成方向K1及び第2熱交換流路21Bの形成方向K2は、一対の平行流ダクト3A,3Bの接続方向Lに対して45°傾斜している。一対の平行流ダクト3A,3Bの接続方向Lに対して熱交換エレメント2の一対の第1端面201及び一対の第2端面202が45°傾斜する構成により、熱交換エレメント2に接続された一対の平行流ダクト3A,3Bにおいて、第1流路31A,32Aと第2流路31B,32Bとを対称形状に形成し、平行流ダクト3A,3Bの構成を簡単にすることができる。
【0024】
図1に示すように、熱交換エレメント2の一対の第1端面201においては、第1熱交換流路21Aの両端の流路開口部211が開口しており、熱交換エレメント2の一対の第2端面202においては、第2熱交換流路21Bの両端の流路開口部211が開口している。第1熱交換流路21Aは、一対の第1端面201に対して垂直に形成されており、第2熱交換流路21Bは、一対の第2端面202に対して垂直に形成されている。
【0025】
一対の第1端面201とは、熱交換エレメント2における6つの表面のうち、第1熱交換流路21Aの両側の流路開口部211が開口する2つの表面のことをいう。一対の第2端面202とは、熱交換エレメント2における6つの表面のうち、第2熱交換流路21Bの両側の流路開口部211が開口する2つの表面のことをいう。一対の第1端面201及び一対の第2端面202以外の2つの表面は、平板23によって閉じられている。また、各熱交換流路21A,21Bの両側の側面も、平板23によって閉じられている。
【0026】
また、熱交換エレメント2における、第1端面201の輪郭部(流路が形成されていない平面部)、第2端面202の輪郭部と、後述する各取付フランジ4A,4Bとの間には、燃焼用空気A及び排ガスGの漏れを封止するためのパッキン(図示略)が挟み込まれている。
【0027】
なお、各図における熱交換エレメント2は模式的に示す。実際には、図示する場合に比べて、第1エレメント部2A及び第2エレメント部2Bの形成幅がもっと狭く、これらの形成数がもっと多くなる。
【0028】
(平行流ダクト3A,3B)
図1及び図2に示すように、一対の平行流ダクト3A,3Bにおける第1流路31A,32A及び第2流路31B,32Bは、熱交換エレメント2に接続された部位として互いに平行に形成されている。一対の平行流ダクト3A,3Bは、熱交換エレメント2から離れた部位において適宜屈曲していてもよい。各平行流ダクト3A,3B内には、第1流路31A,32Aと第2流路31B,32Bとを仕切る仕切壁32が配置されている。第1流路31A,32Aと第2流路31B,32Bとは、仕切壁32を介して、燃焼用空気Aと排ガスGとの伝熱が可能な状態で形成されている。
【0029】
第1流路31A,32Aと第2流路31B,32Bとが仕切壁32を介して形成されていることにより、平行流ダクト3A,3Bにおいても、燃焼用空気Aと排ガスGとの熱交換を行うことができる。これにより、排ガスGから燃焼用空気Aへの廃熱の回収をより効果的に行うことができる。
【0030】
なお、各平行流ダクト3A,3Bは、第1流路31A,32Aが形成された配管部と、第2流路31B,32Bが形成された配管部とが、所定の間隔を空けて互いに隣接して配置されたものとしてもよい。
【0031】
図2に示すように、本形態の熱交換器1においては、燃焼用空気Aと排ガスGとの対向流が形成されている。換言すれば、本形態の一対の平行流ダクト3A,3Bにおいては、燃焼用空気Aと排ガスGとが互いに逆方向に流れ、本形態の熱交換エレメント2においては、燃焼用空気Aと排ガスGとが直交するとともに斜めに対向して流れる。
【0032】
一方の平行流ダクト3Aは、燃焼用空気Aを第1エレメント部2Aに流入させるための第1流路としての第1入口流路31Aと、排ガスGを第2エレメント部2Bから流出させるための第2流路としての第2出口流路32Bとを有する。他方の平行流ダクト3Bは、燃焼用空気Aを第1エレメント部2Aから流出させるための第1流路としての第1出口流路32Aと、排ガスGを第2エレメント部2Bに流入させるための第2流路としての第2入口流路31Bとを有する。
【0033】
(他の平行流ダクト3A,3B)
なお、図5に示すように、熱交換器1においては、燃焼用空気Aと排ガスGとの並行流を形成してもよい。換言すれば、一対の平行流ダクト3A,3Bにおいては、燃焼用空気Aと排ガスGとが互いに同方向に流れ、熱交換エレメント2においては、燃焼用空気Aと排ガスGとが直交するとともに斜めに並行して流れるようにしてもよい。
【0034】
この場合には、一方の平行流ダクト3Aには、燃焼用空気Aを第1エレメント部2Aに流入させるための第1流路としての第1入口流路31Aと、排ガスGを第2エレメント部2Bに流入させるための第2流路としての第2入口流路31Bとが形成される。また、他方の平行流ダクト3Bには、燃焼用空気Aを第1エレメント部2Aから流出させるための第1流路としての第1出口流路32Aと、排ガスGを第2エレメント部2Bから流出させるための第2流路としての第2出口流路32Bとが形成される。
【0035】
(取付フランジ4A,4B)
図1及び図3に示すように、一方の平行流ダクト3Aの端部には、熱交換エレメント2に接続するための第1取付フランジ4Aが設けられており、他方の平行流ダクト3Bの端部には、熱交換エレメント2に接続するための第2取付フランジ4Bが設けられている。各取付フランジ4A,4Bは、各平行流ダクト3A,3Bを熱交換エレメント2に接続するための板状部材として形成されている。
【0036】
図2に示すように、各取付フランジ4A,4Bには、各平行流ダクト3A,3Bの各第1流路31A,32A及び各第2流路31B,32Bを、それぞれ第1熱交換流路21A及び第2熱交換流路21Bに連通させるための開口部41が形成されている。より具体的には、第1取付フランジ4Aには、第1入口流路31Aが連通される開口部41と、第2出口流路32Bが連通される開口部41とが形成されている。また、第2取付フランジ4Bには、第1出口流路32Aが連通される開口部41と、第2入口流路31Bが連通される開口部41とが形成されている。
【0037】
図3に示すように、各取付フランジ4A,4Bは、熱交換エレメント2における、直角状の角部203を形成する一方の第1端面201及び第2端面202に対面するV形状の板状部材として形成されている。各平行流ダクト3A,3Bの、熱交換エレメント2側の端部は、45°に傾斜しており、V形状の各取付フランジ4A,4Bに接合されている。
【0038】
図1及び図2に示すように、一方の平行流ダクト3Aが取り付けられた第1取付フランジ4Aは、一方の第1端面201及び第2端面202に対面している。また、他方の平行流ダクト3Bが取り付けられた第2取付フランジ4Bは、他方の第1端面201及び第2端面202に対面している。
【0039】
そして、一方の平行流ダクト3Aの第1入口流路31Aは、第1取付フランジ4Aの開口部41を介して、熱交換エレメント2の第1端面201における、第1熱交換流路21Aの流路開口部211に連通されている。また、一方の平行流ダクト3Aの第2出口流路32Bは、第1取付フランジ4Aの開口部41を介して、熱交換エレメント2の第2端面202における、第2熱交換流路21Bの流路開口部211に連通されている。
【0040】
また、他方の平行流ダクト3Bの第1出口流路32Aは、第2取付フランジ4Bの開口部41を介して、熱交換エレメント2の第1端面201における、第1熱交換流路21Aの流路開口部211に連通されている。また、他方の平行流ダクト3Bの第2入口流路31Bは、第2取付フランジ4Bの開口部41を介して、熱交換エレメント2の第2端面202における、第2熱交換流路21Bの流路開口部211に連通されている。
【0041】
図1及び図3に示すように、熱交換エレメント2は、第1取付フランジ4Aと第2取付フランジ4Bとの間に掛け渡されたボルト61をナット62に締め付けることによって、第1取付フランジ4Aと第2取付フランジ4Bとの間に挟み込まれている。ボルト61及びナット62の締め付けを行う際には、着座ブロック5が用いられる。着座ブロック5は、一対の平行流ダクト3A,3Bの接続方向Lに対して45°に傾斜する各取付フランジ4A,4Bの外面を、接続方向Lに垂直にするために用いる。
【0042】
本形態の着座ブロック5は、各取付フランジ4A,4Bの外面に配置される。着座ブロック5には、ボルト61の頭部又はナット62を着座させるための着座面51が形成されている。着座ブロック5は、各取付フランジ4A,4Bの外面に接合されていてもよく、各取付フランジ4A,4Bの外面に接合されていなくてもよい。
【0043】
また、図3に示すように、各取付フランジ4A,4Bにおける積層方向Dの両端部には、複数の貫通孔42が形成されている。また、着座ブロック5にも、貫通孔42に連通される貫通孔52が形成されている。そして、第1取付フランジ4Aの各貫通孔42及び着座ブロック5の各貫通孔52と、第2取付フランジ4Bの各貫通孔42及び着座ブロック5の各貫通孔52とには、それぞれボルト61が連続して挿通されてナット62に締め付けられている。
【0044】
各取付フランジ4A,4B及び各平行流ダクト3A,3Bは、ボルト61及びナット62の締め付け及び緩めを行うことによって、熱交換エレメント2に着脱可能である。
【0045】
(熱交換器1における熱交換)
熱交換器1の一方の平行流ダクト3Aの第1入口流路31Aには、燃焼用空気Aが流入し、熱交換器1の他方の平行流ダクト3Bの第2入口流路31Bには、排ガスGが流入する。そして、燃焼用空気Aは、第1入口流路31Aから熱交換エレメント2の各第1エレメント部2Aにおける第1熱交換流路21Aに流入し、排ガスGは、第2入口流路31Bから熱交換エレメント2の各第2エレメント部2Bにおける第2熱交換流路21Bに流入する。このとき、各第1エレメント部2A及び各第2エレメント部2Bにおいては、燃焼用空気Aと排ガスGとの熱交換が行われ、排ガスGの廃熱が燃焼用空気Aに回収される。
【0046】
次いで、燃焼用空気Aは、熱交換エレメント2の各第1エレメント部2Aにおける第1熱交換流路21Aから他方の平行流ダクト3Bの第1出口流路32Aへ流出し、排ガスGは、熱交換エレメント2の各第2エレメント部2Bにおける第2熱交換流路21Bから一方の平行流ダクト3Aの第2出口流路32Bへ流出する。
【0047】
また、一方の平行流ダクト3A内においては、仕切壁32を介して、第2出口流路32Bにおける排ガスGの廃熱が第1入口流路31Aにおける燃焼用空気Aに回収される。また、他方の平行流ダクト3B内においては、仕切壁32を介して、第2入口流路31Bにおける排ガスGの廃熱が第1出口流路32Aにおける燃焼用空気Aに回収される。排ガスGによって加熱された燃焼用空気Aは、燃焼バーナにおける燃焼に使用され、燃焼用空気Aによって冷却された排ガスGは、大気等に排気される。
【0048】
(作用効果)
本形態の熱交換器1においては、直交型の熱交換エレメント2への一対の平行流ダクト3A,3Bの接続の仕方に工夫をしている。本形態の熱交換器1においては、第1熱交換流路21Aと第2熱交換流路21Bとが平板23による流路壁20を介して直交する状態で形成された直交型の熱交換エレメント2を用いている。そして、直交型の熱交換エレメント2の一方側に、第1入口流路31A及び第2出口流路32Bが設けられた一方の平行流ダクト3Aを、第1取付フランジ4Aによって着脱可能に接続し、直交型の熱交換エレメント2の他方側に、第1出口流路32A及び第2入口流路31Bが設けられた他方の平行流ダクト3Bを、第2取付フランジ4Bによって着脱可能に接続している。
【0049】
これにより、熱交換エレメント2に、例えば煤、粉塵等の異物が堆積して、熱交換エレメント2の清掃、交換等のメンテナンスを行う場合には、熱交換エレメント2から一対の平行流ダクト3A,3Bを容易に取り外すことができる。そして、熱交換エレメント2のメンテナンスを容易にすることができる。
【0050】
また、本形態の熱交換器1においては、直方体形状の熱交換エレメント2の一対の第1端面201及び一対の第2端面202、並びに第1熱交換流路21A及び第2熱交換流路21Bは、一対の平行流ダクト3A,3Bの接続方向Lに対して45°傾斜して配置されている。そして、熱交換エレメント2の一方の第1端面201及び第2端面202が、一方の平行流ダクト3Aに向けられ、熱交換エレメント2の他方の第1端面201及び第2端面202が、他方の平行流ダクト3Bに向けられている。そのため、直交型の熱交換エレメント2の両側に、各取付フランジ4A,4Bを介して各平行流ダクト3A,3Bを容易に接続することができる。そして、一対の平行流ダクト3A,3Bを用いることにより、熱交換器1における配管を小さく集約することができる。
【0051】
それ故、本形態の熱交換器1によれば、配管を小さく集約することができるとともに、熱交換エレメント2の清掃、交換等のメンテナンスを容易にすることができる。
【0052】
熱交換エレメント2の第1エレメント部2A及び第2エレメント部2Bは、正方形の平面形状に形成する以外にも、長方形の平面形状に形成することができる。この場合には、第1エレメント部2Aによる第1熱交換流路21Aの形成長さと、第2エレメント部2Bによる第2熱交換流路21Bの形成長さとが異なることになる。
【0053】
本発明は、実施形態のみに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲においてさらに異なる実施形態を構成することが可能である。また、本発明は、様々な変形例、均等範囲内の変形例等を含む。
【符号の説明】
【0054】
1 熱交換器
2 熱交換エレメント
2A 第1エレメント部
2B 第2エレメント部
20 流路壁
201 第1端面
202 第2端面
21A 第1熱交換流路
21B 第2熱交換流路
3A,3B 平行流ダクト
31A 第1入口流路(第1流路)
32A 第1出口流路(第1流路)
31B 第2入口流路(第2流路)
32B 第2出口流路(第2流路)
32 仕切壁
4A 第1取付フランジ
4B 第2取付フランジ
61 ボルト
A 燃焼用空気
G 排ガス
図1
図2
図3
図4
図5