【解決手段】テラヘルツ波の照射装置20は、テラヘルツ波の発振器21と、該テラヘルツ波を所定の光束とする集光用部品22と、テラヘルツ波を透過及び反射又は反射する複数のハーフミラー23と、を備え、複数のハーフミラー23を行列状に所定の箇所に配設し、光束を複数のハーフミラー23の列の一端又は他端の上側又は横側から入射し、複数のハーフミラー23における透過及び反射により、列の下端側からテラヘルツ波をライン状に出射する。さらに、ライン状に出射するテラヘルツ波を所定の出力分布となるように、複数のハーフミラーの透過率又は反射率を設定することができる。ハーフミラー23を、シリコンウェハーとすることが好ましく、キャリア密度が異なるシリコンウェハーの組合せとしたり、厚さが異なるシリコンウェハーの組合せとすることが好ましい。
シリコンウェハーからなり、該シリコンウェハーへ入射するテラヘルツ波に対する透過率又は反射率を、該シリコンウェハーのキャリア密度により設定する、テラヘルツ波のハーフミラー。
前記ライン状に出射するテラヘルツ波を所定の出力分布となるように、前記複数のハーフミラーの透過率又は反射率を設定する、請求項3に記載のテラヘルツ波の照射装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図を用いて詳細に説明するが、本発明の範囲は実施形態に限定されることなく適宜変更することができる。特に、図面に記載した各部材の形状、寸法、位置関係などについては概念的な事項を示すに過ぎず、その適用場面に応じて任意に変更することができる。各図において、同一の又は対応する部材等には同一の符号を付している。
【0018】
[第1実施形態]
第1実施形態では、テラヘルツ波の照射装置に用いるハーフミラーについて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るハーフミラー1の動作を説明する図で、(a)は透過波3と反射波4を示す概略断面図、(b)は透過波3を説明する概略断面図、(c)は透過波3の強度を説明するグラフである。
図1(a)に示すように、ハーフミラー1に発振器2から照射されるテラヘルツ波2aが入射すると、ハーフミラー1を透過するテラヘルツ波と、ハーフミラー1の表面で反射するテラヘルツ波が生じる。ハーフミラー1を透過したテラヘルツ波が透過波3であり、ハーフミラー1の表面で反射したテラヘルツ波が反射波4である。入射するテラヘルツ波の強度を100とした場合に、入射波に対して透過波3の強度を%で表示した透過率及び反射波4の強度を%で表示した反射率は、ハーフミラー1に用いる材料で調整することができる。
【0019】
ハーフミラー1に用いる材料は、絶縁物と導体の性質を有するシリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)のような半導体を好適に用いることができる。ハーフミラー1としては、結晶性が高くかつ安価なシリコンウェハーを好適に用いることができる。以下の記載においては、ハーフミラー1を、後述する実施例1においてテラヘルツ波で良好な特性を示すことが判明したシリコンウェハーとして説明する。
【0020】
シリコンウェハー1は、後述するテラヘルツ波における透過率や反射率の測定結果及びその取扱いの容易さから、0.1mmから2mm位の厚さとすることができる。
【0021】
シリコンウェハーのキャリア密度が低く、例えば1×10
12cm
−3程度の値であれば、透過波3と反射波4が同時に得られるハーフミラー1となることが分かった。
【0022】
図1(b)に示すように、ハーフミラー1にテラヘルツ波が入射すると、透過波3の強度は、下記式(1)で表される。
I=I
0×exp(−αx) (1)
ここで、I
0はシリコンウェハーの厚さ方向に垂直なx方向において、表面、つまりx=0のときのテラヘルツ波の入射光強度である。αはテラヘルツ波の吸収係数(cm
−1)であり、テラヘルツ波の強度がシリコンウェハー表面のテラヘルツ波の強度がI
0から1/eI
0、つまり約0.37I
0に減衰する距離の逆数である。
【0023】
透過率が約37%となるシリコンウェハーの厚さは大凡1/αである。このαに基づいてシリコンウェハーの厚さ方向(x方向)の透過率を式(1)で計算することにより、シリコンウェハーの所定の厚さにおける透過率を計算することができる(
図1(c)参照)。
【0024】
図1(c)は、exp(−αx)の計算例であり、この計算に基づいて所定の透過率を得るための厚さを算出することができる。透過率は必ずしも約37%でなくとも、所定の値が得られた場合には、その透過率に対応するxの値を
図1(c)より求め、その値から所定の透過率を得るための厚さを算出してもよい。これにより、同じキャリア密度のシリコンウェハーを用いる場合には、その厚さにより透過率を調整できる。
【0025】
他方、シリコンウェハーのキャリア密度が、例えば大凡1×10
16cm
−3以上であれば、シリコンウェハー表面の導電性が向上するので、反射波4だけが生じるハーフミラー1となる。シリコンウェハーの反射率は、そのキャリア密度で制御することができ、キャリア密度を高めることで反射率を増加させることができる。本発明のハーフミラー1は、例えば、シリコンウェハーからなり、金属とは異なり100%の反射は得難く、後述するように、テラヘルツ波が透過しないで反射が同時に生起、つまり吸収と100%以下の反射が生じる。本明細書においては、このようなテラヘルツ波の吸収と反射が同時に生起する場合は、反射が生じるハーフミラーと呼ぶことにする。
【0026】
(透過率及び反射率の測定)
シリコンウェハーの透過波3及び反射波4は、シリコンウェハーの厚さ、キャリア密度で変化し、さらに、シリコンウェハーに入射するテラヘルツ波の周波数でも変化する。このため、シリコンウェハーのテラヘルツ波に対する正確な透過率及び反射率は、用いるテラヘルツ波の周波数において実測して求めることが望ましい。
【0027】
図2は、ハーフミラー1の透過率及び反射率をテラヘルツ波で測定する装置9を示すブロック図である。
図2に示すようにテラヘルツ波の透過率及び反射率の測定装置9は、ハーフミラー1にテラヘルツ波を照射する発振器2と、ハーフミラー1を透過したテラヘルツ波の透過波3を検出する検出器5と、ハーフミラー1で反射したテラヘルツ波の反射波4を検出する検出器6と、を含んで構成されている。
【0028】
テラヘルツ波の集光用部品7として、発振器2とハーフミラー1との間には、例えば放物面鏡を配設してもよい。又、ハーフミラー1と透過波3の検出器5との間及びハーフミラー1と反射波4の検出器6との間には集光用部品8として、例えばレンズを配設してもよい。レンズの材料としてはテフロン(登録商標)のようなフッ素樹脂を用いることができる。
【0029】
図2に示す透過率及び反射率の測定装置9によれば、発振器2から集光用部品7を介してハーフミラー1に入射する所定の周波数のテラヘルツ波の強度を100として、集光用部品8を介して検出器5及び検出器6により測定した透過波3及び反射波4の強度により透過率及び反射率を測定することができる。テラヘルツ波の周波数は、例えば60GHz、90GHz、140GHz等である。
【0030】
[第2実施形態]
第2実施形態として、テラヘルツ波の照射装置について説明する。
本発明の第2の実施形態では、第1の実施形態のハーフミラー1を用いたテラヘルツ波の照射装置が検査装置に組み込まれた例を用いて説明する。この検査装置の利用の一例として、以下に示すように紙葉類の表面又は裏面に透明なテープ等の異物が付着しているか否かを検査する装置に適用される。
【0031】
図3は、本発明の第2実施形態に係るテラヘルツ波の照射装置20を用いた検査装置10を説明する図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
図3(a)及び(b)に示すように、この検査装置10は、検査対象の紙葉類11を搬送する搬送装置12と、搬送装置12により搬送される紙葉類11の一方の面側からテラヘルツ波を照射する照射装置20と、紙葉類11の他方の面側で透過波を検出する検出装置30と、を備えている。
【0032】
テラヘルツ波が照射される対象である紙葉類11は長方形の紙幣等であり、一方の面全面が被照射部位となっている。
搬送装置12は、紙葉類11を面に沿う方向に搬送し、テラヘルツ波の照射位置12aを短手方向又は長手方向に通過させるように、紙葉類11の上部及び下部に搬送ガイド13、13が配設される構成を有している。搬送ガイド13,13の部材としては、樹脂やガラスを用いることができる。
【0033】
照射装置20は、発振器21と、集光用部品22と、複数のハーフミラー23と、を備え、複数のハーフミラー23により発振器21からのテラヘルツ波をライン光源にして、搬送装置12の照射位置12aで紙葉類11に照射する。さらに、集光用部品22を備え、発振器21からのテラヘルツ波を所定の光束として、ハーフミラー23に照射することが望ましい。
【0034】
発振器21は、例えばガンダイオード、IMPATT(インパット)ダイオード、タンネットダイオード等の各種ダイオード、Siのような半導体、SiGe,GaAs、InPのような化合物半導体から形成されるトランジスタなどの発振素子を有し、30GHz(GHzは10
9Hz)〜12THzの周波数帯のテラヘルツ波を出射可能なものである。発振器21は、例えば銅板やアルミニウム板等の熱伝導性の優れた金属板状に設置するのがよい。金属板をさらに筐体等の金属製部材に熱的に接続することで、放熱面積を広げて放熱効果を向上させることができる。例えば、照射装置20は、照射装置用ケースを備え、発振器21をこの照射装置用ケースに接続してもよい。
【0035】
図3(a)に示す照射装置20では、複数のハーフミラー23の配置についてその断面を摸式的に示している。複数のハーフミラー23は、5列3行の行列状の配置において、その7箇所に配設される第1〜第7のハーフミラー23
a〜23
gから構成されている。
図3(a)に示すように、列はX方向に配設され最左側が1列であり、行はZ方向に配設され上側が1行である。図示の場合、各複数のハーフミラー23には、その表面にテラヘルツ波が45°の角度で入射される配置としている。但し、後述する各ハーフミラーからの出射光の強度の分布、即ち出力分布を均一にするため角度を微調整してもよい。
【0036】
発振器21から出射したテラヘルツ波は放物面鏡のような集光用部品22により集光されて、1列1行の第1のハーフミラー23aに入射される。図示のように、発振器21にはアンテナ21aが接続されてもよい。アンテナ21aは例えばホーンアンテナである。集光用部品22により所定の光束にされたテラヘルツ波は、第1のハーフミラー23aと第2のハーフミラー23
bを、紙面の下方(Z方向)に透過して、紙面最左側の第1の出射光26
aとなる。複数のハーフミラー23において、最初に発振器21から所定の光束にされたテラヘルツ波が入射されるハーフミラーは、行列の1行目の一端又は他端が好ましく、図示のように、1列1行のハーフミラーの上側から入射させることができる。又、上側ではなく、横側から入射させてもよい。
【0037】
第1のハーフミラー23
aで紙面右方向に反射したテラヘルツ波は、第3のハーフミラー23
cで反射してZ方向に反射され、第4のハーフミラー23
dをZ方向に透過して、紙面左側から2番目の第2の出射光26
bとなる。
【0038】
第2のハーフミラー23
bで紙面右方向に反射したテラヘルツ波は、第5のハーフミラー23
eでZ方向に反射して、紙面左側から3番目の第3の出射光26
cとなる。
【0039】
第4のハーフミラー23
dで紙面右方向に反射したテラヘルツ波は、第6のハーフミラー23
fでZ方向に反射されて、紙面左側から4番目の第4の出射光26
dとなる。
【0040】
第3のハーフミラー23
cで紙面右方向に透過したテラヘルツ波は、第7のハーフミラー23
gでZ方向に反射されて、紙面左側から5番目の第5の出射光26eとなる。
【0041】
これにより、複数のハーフミラー23が配設される行列の1行目の一端又は他端に入射した所定の光束のテラヘルツ波が、各列の下端側、即ち
図3(a)に示す出射部25から第1〜第5の出射光26
a〜26
eが出射される。
【0042】
照射装置20の組み立て方の一例について説明する。
最初に、複数のハーフミラー23の作製方法を説明する。
後述する所定のテラヘルツ波の周波数における複数のハーフミラー23の構成に応じ、複数のシリコンウェハーを用意する。複数のシリコンウェハーの形状は例えば、円形、四角形や矩形の形状とすることが好適である。複数のシリコンウェハーを所定の位置に配置できシリコンウェハーの保持部となる溝等を有し、例えば樹脂製のホルダーを作製する。樹脂製のホルダーは、複数のハーフミラー23の各ハーフミラーを所定の角度で保持する保持部を備えて構成されてもよい。
次に、上記ホルダーの保持部に矩形形状のシリコンウェハーを挿入し、接着剤等で固定する。これにより、複数のハーフミラー23を構成する各ハーフミラーは、所定の角度で保持する保持部に固定される。
次に、ホルダーに保持された複数のハーフミラー23を発振器21と集光用部品22と共に所定の光学配置となるように調整した後、照射装置用ケースに接着剤や螺子等で固定することにより、照射装置20を製造することができる。
【0043】
本発明の第2実施形態に係るテラヘルツ波の照射装置20によれば、複数のハーフミラー23を行列状の所定の箇所に配設し、光束を複数のハーフミラー23の列の一端又は他端の上側から入射し、複数のハーフミラー23における透過及び反射により、列の下端側からテラヘルツ波をライン状に出射する。さらに、複数のハーフミラー23の透過率又は反射率を設定することにより、所定の出力分布を得ることができる。所定の出力分布とは、例えばライン状に均一な出力分布や、凹状や凸状の出力分布であり、照射装置20の目的に応じて適宜に選定すればよい。
【0044】
つまり、発振器21から入射したテラヘルツ波が、複数のハーフミラー23
a〜23
gにより透過波3や反射波4となり、さらに透過又は反射したテラヘルツ波が他のハーフミラー23により反射又は透過することにより上記のような光路を経てライン状の第1〜第5の出射光26
a〜26
eとなる。例えば、紙葉類11の搬送方向に直角な方向のライン光源となる。これにより、
図3(b)に示すように、照射装置20からのライン状のテラヘルツ波は、紙葉類11には垂直ではなく所定の角度となるように照射されて、紙葉類11を透過したテラヘルツ波が検出装置30に入射される。
【0045】
紙葉類11の他方の面側で透過波を検出する検出装置30は、例えば、フレネルレンズ、凸レンズ、凹レンズ等からなる集光用光学部品31と、集光用光学部品31を介して照射装置20の出射部25と対向するように直線状に多数配置される、ショットキーバリヤダイオード32a〜32n等からなる検出素子群33と、検出素子群33の検出結果を搬送装置12の搬送情報などともに処理することで異物の有無及び位置を判定する情報処理部34と、を有している。ショットキーバリヤダイオード32a〜32nは、例えばプリント基板35上に搭載されている。
【0046】
情報処理部34は、紙葉類11に異物の付着のない紙葉類11を検出したときの透過波の二次元強度分布と、検査時に異物が付着した紙葉類11を検出したときの透過波の二次元強度分布とを比較することで、異物が付着しているか否かを検出するように構成されている。
【0047】
この検査装置10では、搬送装置12により紙葉類11が搬送されると、表面又は裏面を照射装置20側に対向させた状態で短手方向又は長手方向に移動して照射位置12aを通過する。照射位置12aには照射装置20から紙葉類11を長手方向又は短手方向に横断するようにライン状のテラヘルツ波が照射されている。紙葉類11が照射位置12aを通過することで、長手方向又は短手方向に横断したライン状のテラヘルツ波が短手方向又は長手方向に順に相対移動して紙葉類11の全面を照射する。照射位置12aでは紙葉類11を透過したテラヘルツ波が検出装置30で検出され、情報処理部34において紙葉類11に異物が付着しているか否かが検出される。
【0048】
本発明の第2の実施形態に係るテラヘルツ波の照射装置20によれば、照射装置20の内部に配設される複数のハーフミラー23の透過及び反射により、出射部25から出射光26、つまり、第1〜第5の出射光26
a〜26
eが出射する。そのため出射部25を紙葉類11に沿って近接配置することで、容易に紙葉類11にテラヘルツ波をライン状に照射できる。
【0049】
テラヘルツ波の照射装置20によれば、一つの発振器21によりライン状のテラヘルツ波を紙葉類11に照射できるので、多数の発振器や一つの発振器21と走査素子の組み合わせを用いる必要もない。これにより照射装置20を大幅に小型化し得る。
【0050】
さらに紙葉類11の全長を照射するために走査素子の必要もなく、駆動機構や防振機構なども不要である。しかも照射装置20は、複数のハーフミラー23によりライン光源を構成できるので、構成を簡素化できる。そのため振動や使用環境等の影響を受け難く、テラヘルツ波を長期間安定して照射できる。
【0051】
(ハーフミラーの構成例)
次に、60GHz、90GHz及び140GHzにおけるテラヘルツ波の照射装置20の複数のハーフミラー23の構成例について説明する。
なお、以下のハーフミラー23の構成で使用するシリコンウェハーの厚さ、キャリア密度、透過率及び反射率等の具体的な物性値は、後述する実施例1における測定により取得したデータに基づいている。また、出力分布としては、ライン状に均一な出力分布や略凹状の出力分布が得られる構成例を示している。
【0052】
(60GHzの構成例1)
図4は、60GHzにおける複数のハーフミラーの構成例1を示す図である。複数のハーフミラー23は、1列1行に配設される第1のハーフミラー23
1と、1列2行に配設される第2のハーフミラー23
2と、2列2行に配設される第3のハーフミラー23
3と、3列1行に配設される第4のハーフミラー23
4と、3列2行に配設される第5のハーフミラー23
5と、4列2行に配設される第6のハーフミラー23
6と、5列1行に配設される第7のハーフミラー23
7と、からなる5列2行の行列(マトリクスとも呼ぶ)に配設される7枚のハーフミラー23
1〜23
7から構成されている。
【0053】
発振器21から出射したテラヘルツ波は、第1のハーフミラー23
1と第2のハーフミラー23
2をZ方向に透過して、紙面最左側の第1の出射光26
1となる。第2のハーフミラー23
2で紙面右方向に反射したテラヘルツ波は、第3のハーフミラー23
3で反射してZ方向に反射されて、紙面左側から2番目の第2の出射光26
2となる。第1のハーフミラー23
1で紙面右方向に反射したテラヘルツ波は、第4のハーフミラー23
4で反射して第5のハーフミラー23
5をZ方向に透過して、紙面左側から3番目の第3の出射光26
3となる。第5のハーフミラー23
5で紙面右方向に反射したテラヘルツ波は、第6のハーフミラー23
6でZ方向に反射されて、紙面左側から4番目の第4の出射光26
4となる。第4のハーフミラー23
1で紙面右方向に透過したテラヘルツ波は、第7のハーフミラー23
7でZ方向に反射されて、紙面左側から5番目の第5の出射光26
5となる。
【0054】
第1のハーフミラー23
1と、第2のハーフミラー23
2と、第4のハーフミラー23
4と、第5のハーフミラー23
5と、第7のハーフミラー23
7は、例えば、キャリア密度が1×10
12cm
−3のシリコンウェハーを用いることができる。例えば厚さが601μmのシリコンウェハーの60GHzの透過率は36%、反射率は64%である。
【0055】
第3のハーフミラー23
3と、第6のハーフミラー23
6は、例えば、キャリア密度が5.1×10
15cm
−3のシリコンウェハーを用いることができる。例えば厚さが628μmのシリコンウェハーの60GHzの透過率は0%、反射率は57%である。
【0056】
第1〜第5の出射光26
1〜26
5の強度は、発振器21からの出力を100として、第1〜第7のハーフミラー23
1〜23
7の透過率及び反射率から計算することができ、以下に示す出力となる。
図4に示す数字は、第1〜第7のハーフミラー23
1〜23
7における透過波3、反射波4及び出射光の強度を示している。
第1の出射光の強度:13
第2の出射光の強度:13
第3の出射光の強度:14.7
第4の出射光の強度:14.9
第5の出射光の強度:14.7
合計:70.3
【0057】
図4に示すように、第1〜第5の出射光26
1〜26
5の強度は、それぞれ13、13、14.7、14.9、14.7となり、合計70.3となり、各列からの出力がほぼ均一となることが分かる。例えば、第1〜第7のハーフミラー23
1〜23
7の間隔、つまり列の間隔を25mm〜50mm程度とし、各ハーフミラー23
1〜23
7に入射されるテラヘルツ波の光束が適当な広がりを有している場合には、本発明のテラヘルツ波の照射装置20は、60GHzにおいて大凡10cm〜20cm程度のライン光源となる。
【0058】
(60GHzの構成例2)
図5は、60GHzにおける複数のハーフミラー23の構成例2を示す図である。複数のハーフミラー23は、1列1行に配設される第10のハーフミラー23
10と、1列3行に配設される第11のハーフミラー23
11と、2列3行に配設される第12のハーフミラー23
12と、3列1行に配設される第13のハーフミラー23
13と、3列2行に配設される第14のハーフミラー23
14と、3列3行に配設される第15のハーフミラー23
15と、4列3行に配設される第16のハーフミラー23
16と、5列2行に配設される第17のハーフミラー23
17と、5列3行に配設される第18のハーフミラー23
18と、6列1行に配設される第19のハーフミラー23
19と、からなる6列3行の行列に配設される8枚のハーフミラー23
10〜23
19から構成されている。
【0059】
第10のハーフミラー23
10と、第11のハーフミラー23
11と、第13のハーフミラー23
13は、例えば、キャリア密度が2.2×10
13cm
−3のシリコンウェハーを用いることができる。例えば厚さが301μmのシリコンウェハーの60GHzの透過率は29%、反射率は64%である。
【0060】
第12のハーフミラー23
12と、第19のハーフミラー23
19は、例えば、キャリア密度が2.8×10
14cm
−3のシリコンウェハーを用いることができる。厚さが559μmのシリコンウェハーの60GHzの透過率は26%、反射率は50%である。
【0061】
第14のハーフミラー23
14と、第15のハーフミラー23
15と、第18のハーフミラー23
18は、例えば、キャリア密度が1×10
12cm
−3のシリコンウェハーを用いることができる。厚さが601μmのシリコンウェハーの60GHzの透過率は36%、反射率は64%である。
【0062】
第16のハーフミラー23
16と、第17のハーフミラー23
17は、例えば、キャリア密度が8.8×10
18cm
−3のシリコンウェハーを用いることができる。厚さが520μmのシリコンウェハーの60GHzの透過率は0%、反射率は85%である。
【0063】
発振器21から出射したテラヘルツ波は、第10のハーフミラー23
10と第11のハーフミラー23
11をZ方向に透過して、紙面最左側の第11の出射光26
11となる。第11のハーフミラー23
11で紙面右方向に反射したテラヘルツ波は、第12のハーフミラー23
12で反射してZ方向に反射されて、紙面左側から2番目の第12の出射光26
12となる。
【0064】
第10のハーフミラー23
10で紙面右方向に反射したテラヘルツ波は、第13のハーフミラー23
13で反射して、第14及び第15のハーフミラー23
14,23
15をZ方向に透過して、紙面左側から3番目の第13の出射光26
13となる。この際、第12のハーフミラー23
12を透過したテラヘルツ波が、第15のハーフミラー23
15で反射して、第13の出射光26
13に重畳される。
ここで、第12のハーフミラー23
12を透過したテラヘルツ波を、第13の出射光26
13として重畳しない場合には、第12のハーフミラー23
12を透過したテラヘルツ波を吸収する吸収体を、第12のハーフミラー23
12と第15のハーフミラー23
14との間に設けてもよい。又、吸収体は、第12のハーフミラー23
12の透過する側の面、つまり第12のハーフミラー23
12の裏面に張り付けてもよい。
【0065】
第15のハーフミラー23
15で紙面右方向に反射したテラヘルツ波は、第16のハーフミラー23
16でZ方向に反射されて、紙面左側から4番目の第14の出射光26
14となる。第14のハーフミラー23
14で紙面右方向に透過したテラヘルツ波は、第17のハーフミラー23
17でZ方向に反射されて、第18のハーフミラー23
18を透過して、紙面左側から5番目の第15の出射光26
15となる。第10のハーフミラー23
10で紙面右方向に透過したテラヘルツ波は、第13のハーフミラー23
13で紙面右方向に透過し、第19のハーフミラー23
19でZ方向に反射されて、紙面左側から6番目の第16の出射光26
16となる。
【0066】
第11〜第16の出射光26
11〜26
16の強度は、発振器21からの出力を100として、第10〜第19のハーフミラー23
10〜23
19の透過率及び反射率から計算することができ、以下に示す出力となる。
図5に示す数字は、各ハーフミラー23
10〜23
19における透過波3、反射波4及び出射光の強度を示している。
第11の出射光の強度:8.4
第12の出射光の強度:9.3
第13の出射光の強度:8.4
第14の出射光の強度:9.5
第15の出射光の強度:8.0
第16の出射光の強度:9.3
合計:52.9
【0067】
図5に示すように、第11〜第16の出射光26
11〜26
16の強度は、それぞれ8.4、9.3、8.4、9.5、8.0、9.3となり、合計52.9となり、各列からの出力がほぼ均一となることが分かる。例えば、第10〜第19のハーフミラー23
10〜23
19の間隔、つまり列の間隔を20mm〜40mm程度とし、各ハーフミラー23
10〜23
19に入射されるテラヘルツ波の光束が適当な広がりを有している場合には、本発明のテラヘルツ波の照射装置20は、60GHzにおいて大凡10cm〜20cm程度のライン光源となる。
【0068】
(90GHzの構成例1)
図6は、90GHzにおける複数のハーフミラー23の構成例1を示す図である。複数のハーフミラー23は、1列1行に配設される第21のハーフミラー23
21と、1列3行に配設される第22のハーフミラー23
22と、2列1行に配設される第23のハーフミラー23
23と、2列2行に配設される第24のハーフミラー23
24と、3列3行に配設される第25のハーフミラー23
25と、4列2行に配設される第26のハーフミラー23
26と、5列1行に配設される第27のハーフミラー23
27と、からなる5列3行の行列に配設される第21〜第27の7枚のハーフミラー23
21〜23
27から構成されている。
【0069】
発振器21から出射したテラヘルツ波は、第21のハーフミラー23
21と第22のハーフミラー23
22をZ方向に透過して、紙面最左側の第21の出射光26
21となる。第21のハーフミラー23
21で紙面右方向に反射したテラヘルツ波は、第23のハーフミラー23
23でZ方向に反射されて、第24のハーフミラー23
24を透過し、紙面左側から2番目の第2の出射光26
22となる。第22のハーフミラー23
22で紙面右方向に反射したテラヘルツ波は、第25のハーフミラー23
25で反射して、紙面左側から3番目の第23の出射光26
23となる。第24のハーフミラー23
24で紙面右方向に反射したテラヘルツ波は、第26のハーフミラー23
26でZ方向に反射されて、紙面左側から4番目の第24の出射光26
24となる。第21のハーフミラー23
21で紙面右方向に透過したテラヘルツ波は、第23のハーフミラー23
23を透過し、第27のハーフミラー23
27でZ方向に反射されて、紙面左側から5番目の第25の出射光26
25となる。
【0070】
第21のハーフミラー23
21と、第22のハーフミラー23
22と、第23のハーフミラー23
23は、例えば、キャリア密度が2.2×10
13cm
−3のシリコンウェハーを用いることができる。例えば厚さが301μmのシリコンウェハーの90GHzの透過率は25%、反射率は58%である。
【0071】
第24のハーフミラー23
24は、例えば、キャリア密度が2.8×10
14cm
−3のシリコンウェハーを用いることができる。例えば厚さが559μmのシリコンウェハーの90GHzの透過率は33%、反射率は33%である。
【0072】
第25〜第27のハーフミラー23
25〜23
27は、例えば、キャリア密度が8.8×10
18cm
−3のシリコンウェハーを用いることができる。例えば厚さが520μmのシリコンウェハーの90GHzの透過率は0%、反射率は80%である。
【0073】
第21〜第25の出射光26
21〜26
25の強度は、発振器21からの出力を100として、第21〜第27のハーフミラー23
21〜23
27の透過率及び反射率から計算することができ、以下に示す出力となる。
図6に示す数字は、発振器21からの出力を100とした場合の各ハーフミラー23
21〜23
27における透過波3及び反射波4の強度を示している。
第21の出射光の強度:6.3
第22の出射光の強度:11.1
第23の出射光の強度:11.6
第24の出射光の強度:8.9
第25の出射光の強度:11.6
合計:49.5
【0074】
図6に示すように、第21〜第25の出射光26
21〜26
25の強度は、それぞれ6.3、11.1、11.6、8.9、11.6となり、合計49.5の出力となることが分かる。例えば、第21〜第27のハーフミラー23
21〜23
27の間隔、つまり列の間隔を25mm〜50mm程度とし、各ハーフミラーに入射されるテラヘルツ波の光束が適当な広がりを有している場合には、本発明のテラヘルツ波の照射装置20は、90GHzにおいて大凡10cm〜20cm程度のライン光源となる。ここで、第21の出射光26
21の強度は6.3であり、他の第22〜第25の出射光26
22〜26
25の強度よりも低い値である。従って、ライン光源の出射光の強度分布を重視する場合には、第22〜第25の出射光26
22〜26
25だけを用いてもよい。このときの合計の出力は43.2となり、各列からの出力がほぼ均一となる。この場合には、第22のハーフミラー23
22を透過したテラヘルツ波を吸収する吸収体を、透過する側の面、つまり第22のハーフミラー23
22の裏面に張り付けてもよい。
【0075】
(90GHzの構成例2)
図7は、90GHzにおける複数のハーフミラー23の構成例2を示す図である。複数のハーフミラー23は、1列1行に配設される第31のハーフミラー23
31と、1列2行に配設される第32のハーフミラー23
31と、2列2行に配設される第33のハーフミラー23
33と、3列1行に配設される第34のハーフミラー23
34と、3列2行に配設される第35のハーフミラー23
35と、4列2行に配設される第36のハーフミラー23
36と、5列1行に配設される第37のハーフミラー23
37とからなる5列2行の行列に配設される第31〜第37の7枚のハーフミラー23
31〜23
37から構成されている。
【0076】
第31のハーフミラー23
31と、第32のハーフミラー23
32と、第34のハーフミラー23
34と、第35のハーフミラー23
35は、例えば、キャリア密度が2.2×10
13cm
−3のシリコンウェハーを用いることができる。例えば厚さが301μmのシリコンウェハーの90GHzの透過率は25%、反射率は58%である。
【0077】
第33のハーフミラー23
33と、第37のハーフミラー23
37は、例えば、キャリア密度が5.1×10
15cm
−3のシリコンウェハーを用いることができる。例えば厚さが628μmのシリコンウェハーの90GHzの透過率は0%、反射率は67%である。
【0078】
第36のハーフミラー23
36は、例えば、キャリア密度が1×10
12cm
−3のシリコンウェハーを用いることができる。例えば厚さが601μmのシリコンウェハーの90GHzの透過率は58%、反射率は42%である。
【0079】
発振器21から出射したテラヘルツ波は、第31のハーフミラー23
31と第32のハーフミラー23
32をZ方向に透過して、紙面最左側の第31の出射光26
31となる。第32のハーフミラー23
32で紙面右方向に反射したテラヘルツ波は、第33のハーフミラー23
33でZ方向に反射されて、紙面左側から2番目の第32の出射光26
32となる。第31のハーフミラー23
31で紙面右方向に反射したテラヘルツ波は、第34のハーフミラー23
34でZ方向に反射されて、第35のハーフミラー23
35を透過して、紙面左側から3番目の第33の出射光26
33となる。第35のハーフミラー23
35により紙面右方向に反射されたテラヘルツ波は、第36のハーフミラー23
36でZ方向に反射されて、紙面左側から4番目の第34の出射光26
34となる。第34のハーフミラー23
34を紙面右方向に透過したテラヘルツ波は、第37のハーフミラー23
37でZ方向に反射されて、紙面左側から5番目の第35の出射光26
35となる。
【0080】
第31〜第35の出射光26
31〜26
35の強度は、発振器21からの出力を100として、第31〜第37のハーフミラー23
31〜23
37の透過率及び反射率から計算することができ、以下に示す出力となる。
図7に示す数字は、各ハーフミラー23
31〜23
37における透過波3、反射波4及び出射光の強度を示している。
第31の出射光の強度:6.3
第32の出射光の強度:8.4
第33の出射光の強度:8.4
第34の出射光の強度:8.4
第35の出射光の強度:8.2
合計:39.7
【0081】
図7に示すように、第31〜第35の出射光26
31〜26
35の強度は、それぞれ6.3、8.4、8.4、8.4、8.2となり、合計39.7となり、各列からの出力がほぼ均一となることが分かる。例えば、第31〜第37のハーフミラー23
31〜23
37の間隔、つまり列の間隔を25mm〜50mm程度とし、各ハーフミラー23
31〜23
37に入射されるテラヘルツ波の光束が適当な広がりを有している場合には、本発明のテラヘルツ波の照射装置20は、90GHzにおいて大凡10cm〜20cm程度のライン光源となる。
【0082】
(140GHzの構成例1)
図8は、140GHzにおける複数のハーフミラー23の構成例1を示す図である。
図8に示すように、複数のハーフミラー23は、1列1行に配設される第41のハーフミラー23
41と、1列2行に配設される第42のハーフミラー23
42と、2列2行に配設される第43のハーフミラー23
43と、3列1行に配設される第44のハーフミラー23
44と、3列2行に配設される第45のハーフミラー23
45と、4列2行に配設される第46のハーフミラー23
46と、5列1行に配設される第47のハーフミラー23
47と、からなる5列2行の行列に配設される第41〜第47の7枚のハーフミラー23
41〜23
47から構成されている。この構成は、
図4に示す60GHzの構成例1と同様である。
【0083】
第41のハーフミラー23
41と、第42のハーフミラー23
42と、第44のハーフミラー23
44と、第45のハーフミラー23
45と、第7のハーフミラー23
47は、キャリア密度が1×10
12cm
−3のシリコンウェハーを用いることができる。例えば厚さが601μmのシリコンウェハーの140GHzの透過率は36%、反射率は64%であり、
図4に示す60GHzの構成例1と同じ値である。
【0084】
第43のハーフミラー23
43と、第46のハーフミラー23
46は、キャリア密度が5.1×10
15cm
−3のシリコンウェハーを用いることができる。例えば厚さが628μmのシリコンウェハーの140GHzの透過率は0%、反射率は55%である。この透過率は
図4に示す60GHzの構成例1と同様に0%であるが、反射率は、
図4に示す60GHzの構成例1の57%よりも若干低い55%である。
【0085】
発振器21から出射したテラヘルツ波は、第41のハーフミラー23
41と第42のハーフミラー23
42によりZ方向に透過し、紙面最左側の第41の出射光26
41となる。第42のハーフミラー23
42で紙面右方向に反射したテラヘルツ波は、第43のハーフミラー23
43で反射してZ方向に反射され、紙面左側から2番目の第42の出射光26
42となる。第41のハーフミラー23
41で紙面右方向に反射したテラヘルツ波は、第44のハーフミラー23
44で反射して、第45のハーフミラー23
45をZ方向に透過し、紙面左側から3番目の第43の出射光26
43となる。第45のハーフミラー23
45で紙面右方向に反射したテラヘルツ波は、第46のハーフミラー23
46でZ方向に反射されて、紙面左側から4番目の第44の出射光26
44となる。第44のハーフミラー23
44により紙面右方向に透過したテラヘルツ波は、第47のハーフミラー23
47でZ方向に反射されて、紙面左側から5番目の第45の出射光26
45となる。
【0086】
第41〜第45の出射光26
41〜26
45の強度は、発振器21からの出力を100として、第41〜第47のハーフミラー23
41〜23
47の透過率及び反射率から計算することができ、以下に示す出力となる。
図8に示す数字は、各ハーフミラー23
41〜23
47における透過波3、反射波4及び出射光の強度を示している。
第1の出射光の強度:13
第2の出射光の強度:12.7
第3の出射光の強度:14.7
第4の出射光の強度:14.4
第5の出射光の強度:14.7
合計:69.5
【0087】
図8に示すように、第41〜第45の出射光26
41〜26
45の強度は、それぞれ13、12.7、14.7、14.4、14.7、合計69.5となり、各列からの出力がほぼ均一となることが分かる。例えば、第41〜第47のハーフミラー23
41〜23
47の間隔、つまり列の間隔を25mm〜50mm程度とし、各ハーフミラー23
41〜23
47に入射されるテラヘルツ波の光束が適当な広がりを有している場合には、本発明のテラヘルツ波の照射装置20は、140GHzにおいて大凡10cm〜20cm程度のライン光源となる。
【0088】
図8に示す第41〜第47のハーフミラー23
41〜23
47の配列と使用するハーフミラー23
41〜23
47のキャリア密度は、
図4に示した60GHzの構成例1と同様の構成を有しているので、第41〜第47の出射光26
41〜26
45の140GHzにおける強度もほぼ同様となる。
【0089】
(140GHzの構成例2)
図9は、140GHzにおける複数のハーフミラー23の構成例2を示す図である。複数のハーフミラー23は、1列1行に配設される第51のハーフミラー23
51と、1列2行に配設される第52のハーフミラー23
52と、2列2行に配設される第53のハーフミラー23
53と、3列1行に配設される第54のハーフミラー23
54と、3列2行に配設される第55のハーフミラー23
55と、4列1行に配設される第56のハーフミラー23
56と、5列1行に配設される第57のハーフミラー23
57と、5列2行に配設される第58のハーフミラー23
58と、からなる5列2行に配設される第51〜第58の8枚のハーフミラー23
51〜23
58から構成されている。
【0090】
第51のハーフミラー23
51は、キャリア密度が1×10
12cm
−3のシリコンウェハーを用いることができる。例えば厚さが601μmのシリコンウェハーの140GHzの透過率は36%、反射率は64%であり、
図4に示す60GHzの構成例1と同じ値である。
【0091】
第52のハーフミラー23
52は、例えば、キャリア密度が2.8×10
14cm
−3のシリコンウェハーを用いることができる。例えば厚さが559μmのシリコンウェハーの140GHzの透過率は23%、反射率は55%である。この透過率23%は
図4に示す60GHzの構成例1の透過率26%よりも小さく、反射率は、
図4に示す60GHzの構成例1の50%よりも若干高い55%である。
【0092】
第53のハーフミラー23
53と、第57のハーフミラー23
57は、キャリア密度が5.1×10
15cm
−3のシリコンウェハーを用いることができる。例えば厚さが628μmのシリコンウェハーの140GHzの透過率は0%、反射率は55%である。この透過率は
図4に示す60GHzの構成例1と同様に0%であるが、反射率は、
図4に示す60GHzの構成例1の57%よりも若干低い55%である。
【0093】
第54のハーフミラー23
54と、第55のハーフミラー23
55と、第56のハーフミラー23
56と、第58のハーフミラー23
58は、例えば、キャリア密度が2.2×10
13cm
−3のシリコンウェハーを用いることができる。例えば厚さが301μmのシリコンウェハーの140GHzの透過率は68%、反射率は27%である。この透過率68%は
図4に示す60GHzの構成例1の透過率29%よりも大きく、反射率27%は
図4に示す60GHzの構成例1の64%よりも低い値である。
【0094】
発振器21から出射したテラヘルツ波は、第51のハーフミラー23
51と第52のハーフミラー23
52によりZ方向に透過し、紙面最左側の第51の出射光26
51となる。第52のハーフミラー23
52で紙面右方向に反射したテラヘルツ波は、第53のハーフミラー23
53で反射してZ方向に反射されて、紙面左側から2番目の第52の出射光26
52となる。第51のハーフミラー23
51で紙面右方向に反射したテラヘルツ波は、第54のハーフミラー23
54で反射して、第55のハーフミラー23
55をZ方向に透過して、紙面左側から3番目の第53の出射光26
53となる。第54のハーフミラー23
54で紙面右方向に透過したテラヘルツ波は、第56のハーフミラー23
56でZ方向に反射されて、紙面左側から4番目の第54の出射光26
54となる。第56のハーフミラー23
56により紙面右方向に透過したテラヘルツ波は、第57のハーフミラー23
57でZ方向に反射されて、第58のハーフミラー23
58をZ方向に透過して紙面左側から5番目の第55の出射光26
55となる。
【0095】
第51〜第55の出射光26
51〜26
55の強度は、発振器21からの出力を100として、第51〜第58のハーフミラー23
51〜26
58の透過率及び反射率から計算することができ、以下に示す出力となる。
図9に示す数字は、各ハーフミラー23
51〜26
58における透過波3、反射波4及び出射光の強度を示している。
第51の出射光の強度:8.3
第52の出射光の強度:10.9
第53の出射光の強度:11.8
第54の出射光の強度:11.8
第55の出射光の強度:11.1
合計:53.9
【0096】
図9に示すように、第51〜第55の出射光26
51〜26
55の強度は、それぞれ8.3、10.9、11.8、11.8、11.1となり、合計53.9となり、各列からの出力がほぼ均一となることが分かる。例えば、第51〜第58のハーフミラー23
51〜26
58の間隔、つまり列の間隔を25mm〜50mm程度とし、各ハーフミラー23
51〜26
58に入射されるテラヘルツ波の光束が適当な広がりを有している場合には、本発明のテラヘルツ波の照射装置20は、140GHzにおいて大凡10cm〜20cm程度のライン光源となる。
【0097】
(140GHzの構成例3)
図10は、140GHzにおける複数のハーフミラー23の構成例3を示す図である。複数のハーフミラー23は、1列1行に配設される第61のハーフミラー23
61と、1列2行に配設される第62のハーフミラー23
62と、2列1行に配設される第63のハーフミラー23
63と、3列2行に配設される第64のハーフミラー23
64と、4列1行に配設される第65のハーフミラー23
65と、5列1行に配設される第66のハーフミラー23
66とからなる5列2行に配設される第61〜第66の6枚のハーフミラー23
61〜23
66から構成されている。
【0098】
第61のハーフミラー23
61と、第63のハーフミラー23
63と、第65のハーフミラー23
65は、キャリア密度が2.2×10
13cm
−3のシリコンウェハーを用いることができる。例えば厚さが301μmのシリコンウェハーの140GHzの透過率は68%、反射率は27%である。この透過率68%は
図4に示す60GHzの構成例1の透過率29%よりも大きく、反射率27%は
図4に示す60GHzの構成例1の64%よりも低い値である。
【0099】
第62のハーフミラー23
62と第64のハーフミラー23
64は、キャリア密度が8.8×10
18cm
−3のシリコンウェハーを用いることができる。例えば厚さが520μmのシリコンウェハーの140GHzの透過率は0%、反射率は75%である。この透過率は
図4に示す60GHzの構成例1と同様に0%であるが、反射率は、
図4に示す60GHzの構成例1の85%よりも若干低い75%である。
【0100】
第66のハーフミラー23
66は、キャリア密度が5.1×10
15cm
−3のシリコンウェハーを用いることができる。例えば厚さが628μmのシリコンウェハーの140GHzの透過率は0%、反射率は55%である。この透過率は
図4に示す60GHzの構成例1と同様に0%であるが、反射率は、
図4に示す60GHzの構成例1の57%よりも若干低い55%である。
【0101】
140GHzの構成例1及び2においては、発振器21から出射したテラヘルツ波は、何れも1列1行に配設される第41及び第51のハーフミラー23
41、23
51の上側から入射される構成例である。これに対して、140GHzの構成例3の複数のハーフミラー23においては、140GHzの構成例1及び2とは異なり、発振器21から出射したテラヘルツ波は、1列1行に配設される第61のハーフミラー23
61の横側から入射する構成とした。
【0102】
発振器21から出射したテラヘルツ波は、第61のハーフミラー23
61の横側から入射し、第61のハーフミラー23
61を紙面右方向に透過し、第63のハーフミラー23
63によりZ方向に反射されて、紙面左側から1番目の第61の出射光26
61となる。第61のハーフミラー23
61によりZ方向に反射したテラヘルツ波は、第62のハーフミラー23
53で紙面右方向に反射し、さらに、第64のハーフミラー23
64によりZ方向に反射して、紙面左側から2番目の第62の出射光26
62となる。第63のハーフミラー23
63を紙面右方向に透過したテラヘルツ波は、さらに、第65のハーフミラー23
65によりZ方向に反射して、紙面左側から3番目の第63の出射光26
63となる。第65のハーフミラー23
65を紙面右方向に透過したテラヘルツ波は、第66のハーフミラー23
66によりZ方向に反射して、紙面左側から4目の第64の出射光26
64となる。
【0103】
第61〜第64の出射光26
61〜26
64の強度は、発振器21からの出力を100として、第61〜第66のハーフミラー23
61〜26
66の透過率及び反射率から計算することができ、以下に示す出力となる。
図10に示す数字は、各ハーフミラー23
61〜26
66における透過波3、反射波4及び出射光の強度を示している。
第61の出射光の強度:18.4
第62の出射光の強度:15.2
第63の出射光の強度:12.5
第64の出射光の強度:17.3
合計:63.4
【0104】
図10に示すように、第61〜第64の出射光26
61〜26
64の強度は、それぞれ18.4、15.2、12.5、17.3、合計63.4となり、各列からの出力としては両端の強度が大きい略凹状の出力分布となることが分かる。例えば、第61〜第64のハーフミラー23
61〜26
66の各間隔、つまり列の間隔を25mm〜50mm程度とし、各ハーフミラー23
61〜26
66に入射されるテラヘルツ波の光束が適当な広がりを有している場合には、本発明のテラヘルツ波の照射装置20は、140GHzにおいて大凡10cm〜20cm程度のライン光源となる。
このように、構成を変更することで、複数のハーフミラー23の透過率又は反射率を種々に設定することにより、ライン状に均一な出力分布や凸状の出力分布を得ることができ、或いは、照射対象及び照射目的に応じた所望の出力分布を得るように設定することができる。以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0105】
実施例1として、ハーフミラー1を、シリコンウェハーを用いて作製した。シリコンウェハーは直径が6インチのCZ法(チョクラルスキー法)又はFZ法(浮遊帯法)で製造されたN型で方位が(100)面の結晶を、所定の厚さと所定のキャリア密度としたものを用いた。用いたシリコンウェハーを表1に示す。キャリア密度は、CV法(容量電圧法)により測定した。
【0106】
【表1】
【0107】
番号1のシリコンウェハーは、厚さの仕様が600±10μm、キャリア密度が1×10
12cm
−3である。番号2のシリコンウェハーは、厚さの仕様が300±10μm、キャリア密度が2.2×10
13cm
−3であった。番号3のシリコンウェハーは、厚さの仕様が550±15μmで、キャリア密度が2.8×10
14cm
−3であった。番号4のシリコンウェハーは、厚さの仕様が620±15μm、キャリア密度が5.1×10
15cm
−3であった。番号5のシリコンウェハーは、厚さの仕様が525±15μmで、キャリア密度が8.8×10
18cm
−3であった。なお、表1には、使用したシリコンウェハーの厚さを実際に測定し、5回の測定の平均値を5回平均の厚さ(μm)として示している。以下に示すシリコンウェハーの厚さは、5回平均の厚さである。
【0108】
(透過率及び反射率の測定:60GHz)
シリコンウェハーの60GHzにおける透過率及び反射率は、
図2に示すテラヘルツ波の透過率及び反射率の測定装置9により測定した。テラヘルツ波の発振器2として、60GHzの連続発振(CW発振)のガンダイオード発振器(SPACEK LABS社製、モデルGDO−15−6013R)を使用した。ガンダイオード発振器2の出力は、約10mWである。
図2に示すように、シリコンウェハーには、テラヘルツ波2aを45°の入射角度で照射し、透過波3及び反射波4を、60GHz用のショットキーバリヤダイオード(SPACEK LABS社製、モデルDV−2N)により測定した。
【0109】
テラヘルツ波2aの出力を100として正規化した透過率及び反射率を測定した。表2は表1に示す5水準のシリコンウェハーにおける60GHzの透過率及び反射率を示す。
【0110】
【表2】
【0111】
番号1のシリコンウェハー(キャリア密度:1×10
12cm
−3)における透過率は36%、反射率は64%であった。番号2のシリコンウェハー(キャリア密度:2.2×10
13cm
−3)における透過率は29%、反射率は64%であった。番号3のシリコンウェハー(キャリア密度:2.8×10
14cm
−3)における透過率は26%、反射率は50%であった。番号4のシリコンウェハー(キャリア密度:5.1×10
15cm
−3)における透過率は0%、反射率は57%であった。番号5のシリコンウェハー(キャリア密度:8.8×10
18cm
−3)における透過率は0%、反射率は85%であった。
【0112】
番号1〜3のシリコンウェハーのキャリア密度は、1×10
12cm
−3〜2.8×10
14cm
−3であり、透過波3と反射波4が生じることが判明した。データからは、シリコンウェハーのキャリア密度の上昇と共に透過率が減少することが分かる。また、番号1のシリコンウェハー(厚さ:約600μm)においては、透過率が約37%となるシリコンウェハーの厚さが大凡1/αであることから、αは約16.7cm
−1と求まる。これにより、シリコンウェハーの厚さを変えることで、透過率を調整できることが分かる。
【0113】
番号4及び5のシリコンウェハーのキャリア密度は、5.1×10
15cm
−3〜8.8×10
18cm
−3であり、反射波4のみが生じることが判明した。上記のデータからは、シリコンウェハーのキャリア密度の上昇により透過率が減少し、キャリア密度がある程度高くなると反射波4のみが生じることが推定できる。これにより、シリコンウェハーのキャリア密度を変えることで、反射率を調整できることが分かる。
【0114】
(透過率及び反射率の測定:90GHz)
90GHzにおける透過率及び反射率の測定は、60GHzと同様に、
図2に示すテラヘルツ波の透過率及び反射率の測定装置9により測定した。テラヘルツ波の発振器2として、90GHzの連続発振のガンダイオード発振器(SPACEK LABS社製、モデルGW−900P)を使用した。ガンダイオード発振器の出力は、約10mWである。60GHzと同様に透過波3及び反射波4を、テフロン(登録商標)製のレンズ8で集光し、ショットキーバリヤダイオード(millitech社製、モデルDXP−10−RPF0)により検出した。
【0115】
テラヘルツ波2aの出力を100として正規化した透過率及び反射率を測定した。表3は、表1に示す5水準のシリコンウェハーにおける90GHzの透過率及び反射率を示す。
【0116】
【表3】
【0117】
番号1のシリコンウェハー(キャリア密度:1×10
12cm
−3)における透過率は58%、反射率は42%であった。番号2のシリコンウェハー(キャリア密度:2.2×10
13cm
−3)における透過率は25%、反射率は58%であった。番号3のシリコンウェハー(キャリア密度:2.8×10
14cm
−3)における透過率は33%、反射率は33%であった。番号4のシリコンウェハー(キャリア密度:5.1×10
15cm
−3)における透過率は0%、反射率は67%であった。番号5のシリコンウェハー(キャリア密度:8.8×10
18cm
−3)における透過率は0%、反射率は80%であった。
【0118】
90GHzにおいても60GHzと同様に、番号1〜3のシリコンウェハーにより透過波3及び反射波4が得られ、かつ、番号4及び5のシリコンウェハーにより反射波4のみが得られた。これにより、90GHzにおいても60GHzと同様にシリコンウェハーはハーフミラー1として動作し、透過率及び反射率はキャリア密度や厚さにより調整できることが分かった。
【0119】
(透過率及び反射率の測定:140GHz)
140GHzにおける透過率及び反射率の測定は、60GHzと同様に、
図2に示すテラヘルツ波の透過率及び反射率の測定装置9により測定した。テラヘルツ波の発振器2として、140GHzの連続発振のIMPATTダイオードを用いた発振器(ELVA−1社製、モデルCIDO−06/140/20)を使用した。IMPATTダイオード発振器2の出力は大凡10mWである。60GHzと同様に透過波3及び反射波4を、テフロン(登録商標)製のレンズ8で集光し、ショットキーバリヤダイオード(ELVA−1社製、モデルZBD−06)により検出した。
【0120】
テラヘルツ波2aの出力を100として正規化した透過率及び反射率を測定した。表4は、表1に示す5水準のシリコンウェハーにおける140GHzの透過率及び反射率を示す。
【0121】
【表4】
【0122】
140GHzにおいても60GHzと同様に、番号1〜3のシリコンウェハーにより透過波3及び反射波4が得られ、かつ、番号4及び5のシリコンウェハーにより反射波4のみが得られた。これにより、140GHzにおいても60GHzと同様にシリコンウェハーはハーフミラー1として動作し、透過率又は反射率はキャリア密度や厚さにより調整できることが分かった。
【実施例2】
【0123】
実施例2として、第1の実施形態のハーフミラー23を用いたテラヘルツ波の照射装置20について説明する。
90GHzの構成例1(
図6参照)に示す複数のハーフミラー23として、7枚のシリコンウェハーを用いたテラヘルツ波の照射装置20を作製した。ハーフミラー23に用いたシリコンウェハーは表1に示したものであり、番号2のシリコンウェハー(キャリア密度:2.2×10
13cm
−3)を3枚、番号3のシリコンウェハー(キャリア密度:2.8×10
14cm
−3)を1枚、番号5のシリコンウェハー(キャリア密度:8.8×10
14cm
−3)を3枚使用している。
【0124】
図11は、実施例2のテラヘルツ波の照射装置20の模式的な平面図である。実施例2の照射装置20は、具体的には螺子穴付きの光学定盤に、90GHzの発振器21と、放物面鏡22と、7枚のシリコンウェハーからなるハーフミラー23
21〜23
27とを配置して構成した。用いる複数のハーフミラー23の構成は、
図6に示す90GHzの構成例1と同じであるので、各ハーフミラー23及び各列の出射光26には、
図6と同様の符号を付した。ここで、
図6に示す90GHzの構成例1で説明したように、出射光の強度分布を重視して第22〜第25の出射光26
22〜26
25をライン光源として取り出した。
【0125】
各シリコンウェハーの大きさは34mm×60mmであり、該シリコンウェハーを、7台のミラースタンドに張り付けた。各シリコンウェハーは、
図11に示すように、入射するテラヘルツ波に対して、大凡45°の角度とした。
【0126】
90GHzの発振器21として、実施例1と同様に、ガンダイオード発振器(SPACEK LABS社製、モデルGW−900P)を使用し、ホーンアンテナ21aで出力した。ガンダイオード発振器の出力は、約10mWであり、放物面鏡22により所定の光束として、第21のハーフミラー23
21に入射した。
【0127】
照射装置20の出射部25に、90GHzのショットキーバリヤダイオード(millitech社製、モデルDXP−10−RPF0)を配設して、
図11に示すようにX方向のテラヘルツ波、つまり第2〜第5列の出射光26
22〜26
25を測定した。
【0128】
図12は、実施例2のテラヘルツ波の照射装置20のX方向のテラヘルツ波の出力分布を示す図であり、横軸はX方向の距離(mm)、縦軸はショットキーバリヤダイオードの出力(任意目盛)である。
図12に示すように、左から右に向って5つのピークが生じ、90GHzの発振器21からのテラヘルツ波が、シリコンウェハーからなるハーフミラー23
21〜23
27により約10cmのライン光源に変換されていることが分かった。
図12に示す各ピークの大きさが異なるのは、特に1列及び2列のシリコンウェハーの角度が45°からずれていることに起因すると推定される。
【0129】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施することができる。
例えば、上述した実施例2においては、5列3行のマトリクス状に配設した複数のハーフミラー23を示したが、これに限らず、他のハーフミラー23の構成も使用できることは明らかである。
【0130】
上述した実施例2においては、7枚のハーフミラー23を5列3行のマトリクス状に配設したが、これに限らず、行は3行の配置ではなく2行でもよく、又、使用するシリコンウェハーの厚さやキャリア密度は、適宜に変更できることは明らかである。
【0131】
なお、上記実施形態は本発明の範囲内において適宜変更可能である。例えばテラヘルツ波の照射装置20を紙葉類11の検査装置10に用いた例について説明したが、何ら限定されるものではなく、他の用途に用いることもでき、例えば立体形状の被照射部位にテラヘルツ波を照射する装置であってもよく、人体等の生物にテラヘルツ波を照射する装置であってもよい。
【0132】
上記実施形態では、照射装置20を用いた検査装置10として、紙葉類11を透過したテラヘルツ波を検出装置30により検出したが、これに限定されるものではない。紙葉類11に対して照射装置20と同じ側に検出部を設けることで、紙葉類11の表面又は裏面で反射されたテラヘルツ波を検出するように構成することも可能である。