(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-42248(P2020-42248A)
(43)【公開日】2020年3月19日
(54)【発明の名称】ラベルシール
(51)【国際特許分類】
G09F 3/10 20060101AFI20200225BHJP
G09F 3/00 20060101ALI20200225BHJP
B32B 7/022 20190101ALI20200225BHJP
【FI】
G09F3/10 B
G09F3/00 E
B32B7/02 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-188028(P2018-188028)
(22)【出願日】2018年10月3日
(31)【優先権主張番号】107131807
(32)【優先日】2018年9月11日
(33)【優先権主張国】TW
(71)【出願人】
【識別番号】518352422
【氏名又は名称】王蔡 金枝
【氏名又は名称原語表記】WANGTSAI, CHIN−CHIH
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王蔡 金枝
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AK07A
4F100AK25B
4F100AK25D
4F100AK41A
4F100AK52B
4F100AN00B
4F100AT00A
4F100AT00C
4F100AT00E
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10E
4F100CB03B
4F100CB03D
4F100CB05B
4F100CB05D
4F100DG06A
4F100DG10A
4F100GB90
4F100JA06B
4F100JA06D
4F100JB08B
4F100JB08D
4F100JB09B
4F100JB09D
4F100JL13B
4F100JL13D
4F100JL14E
4F100YY00A
4F100YY00B
(57)【要約】
【課題】加工過程で残留した糊残りがラベルシールの使用に干渉することを防ぐ、ラベルシールを提供する。
【解決手段】ラベルシール1は、底層11、離型層12、第1の面材層14及び第2の面材層16を備える。離型層12は、底層11の上面に塗布される。第1の面材層14の底面には、高粘性粘着層13が塗布されるか粘着される。第1の面材層14の底面は、高粘性粘着層13を介して離型層12の上に貼着される。第2の面材層16の底面には、低粘性粘着層15が塗布される。第2の面材層16の底面は、低粘性粘着層15を介して第1の面材層14の上面に貼着される。第2の面材層16の形状は、第1の面材層14の形状に対応する。第2の面材層16の面積は、第1の面材層14の面積に等しい。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底層、離型層、第1の面材層及び第2の面材層を備えたラベルシールであって、
前記離型層は、前記底層の上面に塗布され、
前記第1の面材層の底面には、高粘性粘着層が塗布されるか粘着され、前記第1の面材層の底面は、前記高粘性粘着層を介して前記離型層の上に貼着され、
前記第2の面材層の底面には、低粘性粘着層が塗布され、前記第2の面材層の底面は、前記低粘性粘着層を介して前記第1の面材層の上面に貼着され、前記第2の面材層の形状は、前記第1の面材層の形状に対応し、前記第2の面材層の面積は、前記第1の面材層の面積に等しいことを特徴とするラベルシール。
【請求項2】
前記第2の面材層の厚さは、0.01〜0.1mmであることを特徴とする請求項1に記載のラベルシール。
【請求項3】
前記低粘性粘着層の厚さは、0.01〜0.1mmであることを特徴とする請求項1に記載のラベルシール。
【請求項4】
前記第2の面材層は、コート紙、テトロン(登録商標)及びポリプロピレン合成紙からなる群から選ばれた材料からなることを特徴とする請求項1に記載のラベルシール。
【請求項5】
前記高粘性粘着層は、油性アクリル系粘着剤、水性アクリル系粘着剤及び熱熔融型糊からなる群から選ばれた材料からなることを特徴とする請求項1に記載のラベルシール。
【請求項6】
前記低粘性粘着層は、油性アクリル系粘着剤、水性アクリル系粘着剤、ゴム、熱熔融型糊及びシリコーンからなる群から選ばれた材料からなることを特徴とする請求項1に記載のラベルシール。
【請求項7】
前記第2の面材層の厚さは、0.05mmであることを特徴とする請求項2に記載のラベルシール。
【請求項8】
前記低粘性粘着層の厚さは、0.03mmであることを特徴とする請求項3に記載のラベルシール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベルシールに関し、特に、加工過程で残留した糊残り(adhesive residue)がラベルシールの使用にとって干渉ないし妨げとなることを防ぐことができるラベルシールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシールには、粘着面の粘性が高くなりすぎることを防ぐために高粘性粘着剤は用いられないが、シールの加工製造過程において、加工装置の表面に糊残りが生じてしまうことがあり、物品から剥した後、糊残りが残留することがあった。従来のラベルシールには、例えば、油、水、埃などの媒体物質が表面に付くか、物品の温度が低いときに、物体に粘着させることが困難なことがあるため、高粘性粘着剤が用いられている。しかし、従来のラベルシールの加工過程では、従来のラベルシール上に塗布された粘着剤が高粘性を有するため、連続シール材料を切断型(cutting die)で切断加工する際、連続シール材料上の高粘性粘着剤が切断型の刃先に付着し、切断型の刃先が連続シール材料を切断して連続シール材料から離れると、粘着した高粘性粘着剤も一緒に引き上げられることがあった。
そのため、
図1に示すように、切断後のラベルシール完成品2の表面縁部には糊残り21が残留する上、切断後のラベルシール完成品を、加工後に生じる連続した廃材から分離させると、ラベルシール完成品の高粘性粘着剤も一緒に引き上げられ、ラベルシール完成品の表面縁部に糊残りが残留することがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ラベルシール完成品の表面縁部に生じた糊残りには、埃その他の汚れが付着し易く、ラベルシール完成品の表面縁部が汚れ、ラベルシールの見た目に悪影響を及ぼすことがあった。また、ラベルシール完成品を巻き取るか、ラベルシール完成品の表面にインクで印刷する場合、ラベルシール完成品を巻き取るか、ラベルシール完成品に印刷する機械設備では、ラベルシール完成品の表面の糊残りに容易に粘着して機械設備の駆動に悪影響を及ぼすか、印刷の品質が低下することがあり、最悪の場合、機械設備が故障して停止してしまうこともあった。また、ラベルシールを絶縁片として使用する場合、ラベルシール表面上の糊残りも他の部品に粘着してしまう虞があった。そのため、加工過程で生じる糊残りがラベルシールの使用に干渉することを防ぐ技術が求められていた。
【0004】
本発明の目的は、従来のラベルシールの上述した問題点を改善するため、加工過程で残留した糊残りがラベルシールの使用にとって干渉ないし妨げとなることを防ぐ、ラベルシールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の形態によれば、底層、離型層、第1の面材層及び第2の面材層を備えたラベルシールであって、前記離型層は、前記底層の上面に塗布され、前記第1の面材層の底面には、高粘性粘着層が塗布されるか粘着され、前記第1の面材層の底面は、前記高粘性粘着層を介して前記離型層の上に貼着され、前記第2の面材層の底面には、低粘性粘着層が塗布され、前記第2の面材層の底面は、前記低粘性粘着層を介して前記第1の面材層の上面に貼着され、前記第2の面材層の形状は、前記第1の面材層の形状に対応し、前記第2の面材層の面積は、前記第1の面材層の面積に等しいことを特徴とするラベルシールが提供される。
【0006】
前記第2の面材層の厚さは、0.01〜0.1mmであることが好ましい。
【0007】
前記低粘性粘着層の厚さは、0.01〜0.1mmであることが好ましい。
【0008】
前記第2の面材層は、コート紙、テトロン(登録商標)及びポリプロピレン合成紙からなる群から選ばれた材料からなることが好ましい。
【0009】
前記高粘性粘着層は、油性アクリル系粘着剤、水性アクリル系粘着剤及び熱熔融型糊からなる群から選ばれた材料からなることが好ましい。
【0010】
前記低粘性粘着層は、油性アクリル系粘着剤、水性アクリル系粘着剤、ゴム、熱熔融型糊及びシリコーンからなる群から選ばれた材料からなることが好ましい。
【0011】
前記第2の面材層の厚さは、0.05mmであることが好ましい。
【0012】
前記低粘性粘着層の厚さは、0.03mmであることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のラベルシールは、加工過程で残留した糊残りがラベルシールの使用に干渉することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】従来のラベルシールに糊残りが生じた状態を示す説明図である。
【
図2】本発明の一実施の形態に係るラベルシールの製造工程を示す流れ図である。
【
図3】本発明の一実施の形態に係るラベルシールを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の目的、特徴及び効果をより分かりやすくするために、具体的な実施の形態について図に基づいて詳しく説明する。
【0016】
図2を参照すると、
図2は、本発明の一実施の形態に係るラベルシールの製造工程を示す流れ図である。
図2に示すように、本発明の一実施の形態に係るラベルシール1の製造工程は、以下の工程を含む。
【0017】
まず、連続底層11aを準備し、連続底層11aの上面に連続離型層12aを塗布する。次に、連続した第1の面材層14aを準備し、連続した第1の面材層14aの底面に高粘性粘着剤13aを塗布する。連続した第1の面材層14aの底面を連続離型層12a上に貼着し、連続底層11a、連続離型層12a、高粘性粘着剤13a及び連続した第1の面材層14aにより連続シール片10を形成する。その後、切断型(図示せず)により連続シール片10を裁断加工し、裁断した連続シール片10から連続した廃材(図示せず)を引き上げ、複数のシール構造100を製作する。これら複数のシール構造100は、従来のラベルシールの場合には、前述した裁断加工過程により、切断型の刃先に高粘性粘着剤13aが粘着し、切断型が連続シール片10を切断して連続シール片10から離れるときに、切断型に粘着した高粘性粘着剤13aの糊残りが引き上げられ、シール構造100の第1の面材層14の上面縁部に糊残りが残留する。
【0018】
これに対し、本実施の形態の場合には、シール構造100の第1の面材層14の上面縁部に残留した糊残りがラベルシールの使用に干渉することを防ぐために、シール構造100の第1の面材層14の上面を第2の面材層16で覆い、シール構造100の第1の面材層14の上面縁部に残留した糊残りが第2の面材層16により覆われ、複数のシール構造100の第1の面材層14の上面縁部に残留した糊残りがラベルシール1の完成品の使用にとって干渉ないし妨げとなることを防ぐことができる。以下、各第2の面材層16により各シール構造100の第1の面材層14の上面を覆う過程について説明する。
【0019】
まず、各シール構造100の第2の面材層16の底面に低粘性粘着剤を塗布して低粘性粘着層15を形成してから、各第2の面材層16の底面を各シール構造100の第1の面材層14の上面に貼着する。各第2の面材層16の形状は、各シール構造100の形状に対応する。各第2の面材層16の面積は各シール構造100の面積に等しく、本実施の形態のラベルシール1が製造される。続いて、ラベルシール1の印刷工程又はプリント工程へ進む。例えば、ラベルシール1の最上層の第2の面材層16上にインクで印刷するか、ラベルシール1の最上層の第2の面材層16上にリボン(ribbon)又はトナーで印刷し、識別ラベル、広告ラベル又は絶縁ラベルとして用いてもよいが、必要に応じてラベルシール1に他の加工製造工程を実施してもよく、本実施の形態だけに限定されるわけではない。
【0020】
図3を参照する。
図3に示すように、ラベルシール1は、底層11、離型層12、高粘性粘着層13、第1の面材層14、低粘性粘着層15及び第2の面材層16を含む。離型層12は、底層11の上面に塗布される。第1の面材層14の底面には、高粘性粘着層13が塗布される。第1の面材層14の底面は、高粘性粘着層13を介して離型層12上に貼着される。第2の面材層16の底面には、低粘性粘着層15が塗布される。第2の面材層16の底面は、低粘性粘着層15を介して第1の面材層14の上面に貼着される。第2の面材層16の形状は、第1の面材層14の形状に対応する。第2の面材層16の面積は、第1の面材層14の面積に等しく、第2の面材層16により第1の面材層14の上面縁部を覆う。
【0021】
ここで、第2の面材層16と第1の面材層14との「面積が等しい」とは、「実質的に面積が等しい」ことを指す。即ち、第2の面材層16の面積が公差又は製作上の必要により、第1の面材層14の面積より僅かに大きくなった場合でも、第2の面材層16の表面縁部を肉眼で観察したときに第1の面材層14の表面の縁部境界を越えていることが顕著でない場合、第2の面材層16と第1の面材層14とは依然として「面積が等しい」とみなす。
【0022】
ラベルシール1の加工製作過程において、高粘性粘着剤の糊残りが第1の面材層14の上面縁部に粘着され、第2の面材層16により第1の面材層14上が覆われると、第1の面材層14の上面縁部の糊残りも第2の面材層16により覆われる。そのため、ラベルシール1は、加工過程で残留した糊残りがラベルシール1の後続使用(例えば、物体上に粘着させて識別標識を表したり、ラベルシール1の表面に印刷加工を行ったりする工程)にとって干渉ないし妨げとなることを防ぐことができる。
【0023】
本実施の形態の第2の面材層16の厚さは0.05mmであるが、これだけに限定されるわけではなく、他の実施の形態では0.01〜0.1mmにしてもよいし、必要に応じて他の厚さにしてもよい。また、第1の面材層14の厚さは、第2の面材層16と同じにしてもよいし、必要に応じて第1の面材層14の厚さを変えてもよい。
【0024】
本実施の形態の低粘性粘着層15の厚さは0.03mmであるが、これだけに限定されるわけではなく、0.01〜0.1mmにしたり必要に応じて他の厚さにしたりしてもよい。また、高粘性粘着層13の厚さは、低粘性粘着層15と同じにしてもよいし、必要に応じて他の厚さにしてもよい。
【0025】
本実施の形態の底層11の材料はグラシン(Glassine)紙であるが、これだけに限定されるわけではなく、必要に応じて離型層12と結合可能な既知の従来の材料にしてもよい。本実施の形態の離型層12の材料はシリコーン(silicone)である。また、他の実施の形態では、底層11及び離型層12をPEフィルム離型紙に代替してもよい。
【0026】
第1の面材層14及び第2の面材層16の材料はテトロン(登録商標)(即ち、ポリエステル繊維)であるが、これだけに限定されるわけではなく、他の実施の形態では、コート紙、「テトロン」及びポリプロピレン合成紙からなる群から選んでもよいし、粘着剤の材料を載せることができる既知の材料から選んでもよい。
【0027】
本実施の形態において、高粘性粘着剤は、2Pa・s(パスカル秒)より高い粘度を有する粘着剤か、付着させることが容易でない物体上に強固に付着する粘着剤を指す。本実施の形態において、高粘性粘着剤は、粘度が低粘性粘着剤より高い粘着剤を指す。高粘性粘着層13の材料は油性アクリル系粘着剤であるが、他の実施の形態では、水性アクリル系粘着剤、熱熔融型糊、シリコーンその他従来の高粘性粘着剤に用いる材料を選択してもよく、本実施の形態だけに限定されるわけではない。また、本実施の形態では、高粘性粘着層13を形成する粘着剤を第1の面材層14の底面に塗布し、第1の面材層14の底面に高粘性粘着層13を付着させるが、他の実施の形態では、高粘性粘着層13はフィルム(ここでフィルムとは、ポリエチレンテレフタレート基材又は綿基材を指す)でもよく、フィルム方式の高粘性粘着層13を第1の面材層14の底面に粘着させ、高粘性粘着層13を第1の面材層14の底面に付着させる。
【0028】
本実施の形態において、低粘性粘着剤は、2Pa・s(パスカル秒)より低い粘度を有する粘着剤(adhesive glue)を指すか、物体に付着された状態から容易に除去することができる粘着剤を指す。本実施の形態において、低粘性粘着剤は、高粘性粘着剤より低い粘着剤を指す。低粘性粘着層15の材料は水性アクリル系粘着剤であるが、他の実施の形態では、油性アクリル系粘着剤、シリコーン、ゴム、熱熔融型糊その他従来の低粘性粘着剤を用いてもよく、本実施の形態だけに限定されるわけではない。
【0029】
上述したことから分かるように、本発明のラベルシールは、第1の面材層上を第2の面材層で覆い、第1の面材層の上面縁部の糊残りも第2の面材層により覆われるため、加工過程で残留した糊残りがラベルシールの後続使用にとって干渉ないし妨げとなることを防ぐことができる。
【0030】
当該分野の技術を熟知する者には理解できるように、本発明の好適な実施の形態を前述の通り開示したが、これらは決して本発明を限定するものではない。本発明の主旨と領域を逸脱しない範囲内で各種の変更や修正を加えることができる。従って、本発明の特許請求の範囲は、このような変更や修正を含めて広く解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0031】
1 ラベルシール
2 ラベルシール完成品
10 連続シール片
11 底層
11a 連続底層
12 離型層
12a 連続離型層
13 高粘性粘着層
13a 高粘性粘着剤
14 第1の面材層
14a 連続した第1の面材層
15 低粘性粘着層
16 第2の面材層
21 糊残り
100 シール構造