【解決手段】底部12は、前壁部14から離れた位置に縁部13を有している。縁部13と前壁部14との間に、底部12に対して凹む凹部22が形成されている。可動部材30は、上端33が凹部22内に配置される位置から、上端33が前壁部14の上縁14Aに到達する位置まで、前壁部14に沿って上方へ移動して、スティック包装体を前壁部14の上縁14Aを乗り越えさせてカセット10から取り出すように、構成されている。
前記可動部材は、前記壁部に対向する対向面と、前記対向面と反対側の反対面とを有し、前記上端における前記可動部材の厚みよりも前記可動部材の厚みを小さくするように前記反対面が窪んだ窪み部を前記上端の下方に有する、請求項1に記載のカセット。
前記上端における前記可動部材の厚みは、前記スティック包装体の幅の0.5倍未満、かつ、前記スティック包装体の厚みの0.5倍以上1.5倍未満である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のカセット。
前記可動部材が、前記上端が前記壁部の前記上縁の近傍に到達する位置にあるとき、前記可動部材が前記スティック包装体の前記凹部へ向かう移動を規制する、請求項7に記載のカセット。
前記壁部の前記上縁に向かって移動する前記可動部材の前記上端に前記スティック包装体が搭載され、前記スティック包装体は前記壁部の前記上縁を乗り越えて前記カセットから前記容器へ移動する、請求項9〜12のいずれか1項に記載の物品供給装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施形態について図面に基づいて説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0022】
[スティック包装体100]
まず、実施形態に基づくカセットに収容され、実施形態に基づく物品供給装置によって供給される物品の一例である、スティック包装体100について説明する。
図1は、スティック包装体100を模式的に示す斜視図である。
【0023】
図1に示されるように、スティック包装体100は偏平な筒状の形状を有している。スティック包装体100は、本体部101と、シール部102とを有している。本体部101は、長さ方向(図中に示すX方向)に延びる長尺の形状を有している。長さ方向における本体部101の両端に、シール部102が設けられている。シール部102は、スティック包装体100を構成する包材が熱融着され、その後熱融着部が切断されることにより、形成されている。シール部102は、長さ方向と直交する幅方向(図中に示すY方向)に延びている。
【0024】
図1中に符号wを付した、幅方向におけるスティック包装体100の寸法を、スティック包装体100の幅と称する。長さ方向および幅方向と直交する方向(図中に示すZ方向)を、厚み方向と称する。
図1中に符号tを付した、厚み方向におけるスティック包装体100の寸法を、スティック包装体100の厚みと称する。
【0025】
スティック包装体100は、幅方向に延びるシール部102に加えて、長さ方向に延びる縦シール部(
図1には不図示)を有している。スティック包装体100は、本体部101の内部に密閉された空間を有する袋として形成されており、その本体部101の内部空間に内容物が収納されている。スティック包装体100の内容物は、たとえば、薬剤または飲食物などである。スティック包装体100の内容物が薬剤の場合、剤形は、顆粒剤、散剤、錠剤または液剤などであってもよい。
【0026】
本明細書中においては、スティック包装体100が載せ置かれる載置面に対して略平行にスティック包装体100の長さ方向および幅方向が延び、偏平形状が載置面に沿うようにしたスティック包装体100の姿勢を、スティック包装体100が横たわった姿勢と称する。スティック包装体100の長さ方向が載置面に略平行に延び、幅方向は載置面に略直交して延び、偏平形状が載置面に対して略直交するようにしたスティック包装体100の姿勢を、スティック包装体100が立った姿勢と称する。
【0027】
[物品供給装置1]
図2は、物品供給装置1の概略構成を示す模式的な正面図である。
図2に示されるように、物品供給装置1は、筐体2を備えている。物品(スティック包装体100)を収容する複数のカセット10が、上下方向に複数(実施形態では6つ)並べられかつ左右方向に複数(実施形態では4つ)並べられて、筐体2に収納されている。カセット10は、筐体2から取り外し可能に構成されている。物品供給装置1を使用するユーザは、カセット10を取り出して、手作業でカセット10の内部にスティック包装体100を収容することができる。
【0028】
筐体2にはまた、搬送容器60と、中継容器80とが収納されている。搬送容器60および中継容器80は、それぞれ別体に設けられ、別個に筐体2に取り付けられている。搬送容器60は、カセット10に対して前方の位置において、上下方向および左右方向に移動可能に構成されている。中継容器80は、カセット10に対して下方に位置している。
【0029】
中継容器80の下方には、払出トレイ90が配置されている。払出トレイ90は、筐体2の外部から、筐体2の内部における中継容器80の下方の所定位置に搬送される。また、払出トレイ90は、筐体2の内部における中継容器80の下方の所定位置から、筐体2の外部に搬送される。
【0030】
[カセット10]
図3は、カセット10の概略構成を示す斜視図である。
図3に示されるように、カセット10は、上方が開口した矩形箱状の概略形状を有しており、収容空間20を内部に有している。カセット10は、収容空間20内に、1以上のスティック包装体100を収容可能である。
【0031】
カセット10は、底部12と、前壁部14と、側壁部16,17と、後壁部18とを備えている。底部12は、略平板状の形状を有しており、収容空間20の底面を構成している。前壁部14、側壁部16,17および後壁部18は、底部12に対して立ち上がるように設けられている。前壁部14、側壁部16、側壁部17および後壁部18は、各々、収容空間20の一壁を構成している。
【0032】
前壁部14と後壁部18とは、収容空間20を間に挟んで配置されている。側壁部16と側壁部17とは、収容空間20を間に挟んで配置されている。前壁部14、側壁部16、側壁部17および後壁部18は、概略矩形箱状のカセット10の四方の側面を構成している。前壁部14および後壁部18の延びる方向と、側壁部16,17の延びる方向とは、互いに直交している。
【0033】
なお本明細書では、カセット10に関して、底部12に直交する方向を、上下方向と称する。前壁部14および後壁部18の並びの方向、すなわち側壁部16,17の延びる方向を、前後方向と称する。側壁部16および側壁部17の並び方向、すなわち前壁部14および後壁部18の延びる方向を、左右方向と称する。上下方向、前後方向および左右方向は、互いに直交している。
【0034】
上下方向において、底部12から収容空間20に向く方向を上方向とし、上方向と反対の方向を下方向とする。前後方向において、後壁部18から収容空間20へ向く方向を前方向とし、前壁部14から収容空間20へ向く方向を後方向とする。カセット10においては、前壁部14が最前方に配置されており、後壁部18が最後方に配置されている。
【0035】
前壁部14は、上縁14Aを有している。前壁部14の上縁14Aに、出口傾斜部15が設けられている。出口傾斜部15は、前壁部14から前方へ向かってカセット10の外側へ張り出すように、かつ上縁14Aから下方へ向かうように、傾斜している。
【0036】
カセット10は、可動部材30をさらに備えている。可動部材30は、前壁部14に沿って配置されており、前壁部14、側壁部16,17および後壁部18によって取り囲まれる空間の内部に配置されている。可動部材30は、上下方向に往復移動可能に構成されている。可動部材30の詳細構成および動作については後述する。
【0037】
カセット10は、規制部40と軸部41とをさらに備えている。軸部41は、側壁部16から側壁部17にまで亘って左右方向に延びている。軸部41は、側壁部16および側壁部17に対して回転可能に取り付けられている。側壁部16および側壁部17には、同心の貫通孔が形成されている。軸部41は、これらの貫通孔を貫通して配置されており、側壁部16,17によってその端部の近傍が支持されている。
【0038】
軸部41の左右方向における中央部分に、規制部40が設けられている。規制部40は、軸部41と一体的に回転可能に、軸部41に取り付けられている。たとえば軸部41は二面幅を有する形状に形成され、規制部40はその二面幅を両側から挟むようにして、軸部41に取り付けられてもよい。規制部40は、軸部41の回転の径方向の外側に向かって延びるように、軸部41に取り付けられている。
図3に示す規制部40は、軸部41から下方へ向かって延びている。
図3に示す配置において、規制部40と底部12との間隔が、軸部41と底部12との間隔よりも小さくなっている。
【0039】
側壁部17を貫通してカセット10の外側へ突出する軸部41の端部に、ピニオン部42が取り付けられている。ピニオン部42は、軸部41と一体に回転可能に、軸部41に固定されている。ピニオン部42は、円形歯車の一部形状を有している。
【0040】
カセット10は、ラック部44をさらに備えている。ラック部44は、側壁部17との間に隙間を空けて、側壁部17に対して外側に配置されている。ラック部44は、側壁部17と平行に前後方向に延びている。ラック部44は、外部から(実施形態の物品供給装置1においては、搬送容器60から)駆動力を伝達されて、前後方向に往復移動するように構成されている。ラック部44は、不図示の付勢部材によって、前方に付勢されている。ラック部44には、前後方向に延びる長穴45,46が形成されている。側壁部17にはカセット10の外側へ突出する形状のピン部47,48が固定されている。ピン部47は長穴45と係合しており、ピン部48は長穴46と係合している。長穴45,46がそれぞれピン部47,48に対して相対移動することにより、ラック部44は側壁部17に対して相対的に前後方向に往復移動する。
【0041】
ラック部44は、前後方向に延びるように形成された直線状のギヤ歯を有している。ラック部44のギヤ歯は、ピニオン部42と噛み合っている。ラック部44の前後方向の往復移動によって、ピニオン部42が回転移動する。このピニオン部42の回転に伴って、軸部41および規制部40も一体的に回転する。
【0042】
図4は、カセット10の異なる角度からの斜視図である。なお
図4では、図示の明確化のために、ラック部44の背後にある構成がラック部44を透視して図示されている。
図4に示されるように、カセット10は、係合部材50をさらに備えている。係合部材50は、前壁部14を挟んで可動部材30に対向するように配置されている。係合部材50と可動部材30とは、一体として上下方向に移動するように構成されている。
【0043】
係合部材50には、左右方向に延びる係合溝51が形成されている。係合溝51に外部の部材(実施形態の物品供給装置1においては、搬送容器60の後述する係合横棒65)が係合して、この外部の部材が上下方向に移動することにより、係合部材50と可動部材30とが一体的に上下方向に往復移動する。
【0044】
係合溝51の内部に、ロック解除部52が配置されている。係合溝51に外部の部材が係合していないとき、係合部材50および可動部材30はロックされて、係合部材50および可動部材30の上下方向への移動が規制される。係合溝51に外部の部材が係合して、この外部の部材がロック解除部52を押圧して変位させることにより、係合部材50および可動部材30のロックが解除され、係合部材50および可動部材30は上下方向に移動できるようになる。
【0045】
側壁部17の下縁の前端部分に、切欠き部17Aが形成されている。切欠き部17Aに外部の部材(実施形態の物品供給装置1においては、搬送容器60の後述する引掛け部67)が係合して、カセット10に前後方向の力を作用させることにより、カセット10は前後方向に移動する。カセット10は、筐体2の内部の収容位置と、収容位置よりも筐体2の前方の、カセット10からスティック包装体100が取り出されるときに配置される取出位置との間を、前後方向に往復移動可能である。
【0046】
切欠き部17Aに、不図示のロック解除部17Bが配置されている。カセット10が筐体2(
図2)に取り付けられた状態において、切欠き部17Aに外部の部材が係合していないとき、カセット10はロックされて、カセット10の前後方向への移動が規制される。切欠き部17Aに外部の部材が係合して、この外部の部材がロック解除部17Bを押圧して変位させることにより、カセット10のロックが解除され、カセット10は前後方向に移動できるようになる。
【0047】
図5は、俯瞰角度を変化させたカセット10の斜視図である。
図5に示されるように、底部12は、底部12の前方の縁を構成する縁部13を有している。縁部13は、前壁部14から離れた位置に配置されている。縁部13は、前壁部14よりも後方に配置されている。前後方向において、縁部13と前壁部14とは、間隔を空けて配置されている。
【0048】
縁部13と前壁部14との間には、凹部22が形成されている。凹部22は、底部12から下方に凹んだ形状に形成されている。可動部材30は、縁部13と前壁部14との間に配置されている。可動部材30は、凹部22内に配置されている。
【0049】
規制部40と軸部41とは、前後方向において、縁部13の近傍に配置されている。より具体的には、規制部40と軸部41とは、縁部13よりもわずかに後方の位置に配置されている。
【0050】
図6は、
図5から可動部材30の図示を省略した斜視図である。
図6に示されるように、凹部22の底面は、縁部13から前方へ向かって次第に凹部22の凹み深さが大きくなり、かつ、前壁部14の近傍において凹部22の凹み深さが若干小さくなるように、湾曲している。凹部22は、縁部13と前壁部14との間、詳しくはその間における前壁部14寄りの位置において、凹み深さが最大になっている。
【0051】
凹部22の底面の左右方向における中央部分に、穴部24が形成されている。穴部24が形成されていることにより、カセット10を上下方向に貫通する貫通孔が、縁部13と前壁部14との間に形成されている。可動部材30は、穴部24内に配置されている。左右方向における穴部24の両側の縁に、それぞれ段差部25,26が形成されている。段差部25,26は、凹部22の底面に対して一段凹むように形成されている。可動部材30の上端33(
図5)の左右方向における両端部が、各々段差部25,26上に収容される。
【0052】
前壁部14には、上下方向に延びるスリット14Bが形成されている。可動部材30は、スリット14Bを経由して前方へ延び前壁部14からカセット10の外側に突出する部分を有しており、この突出している部分に係合部材50が取り付けられている。
【0053】
[可動部材30]
図7は、可動部材30の構成を示す斜視図である。
図8は、可動部材30の異なる角度からの斜視図である。
図7,8に示されるように、可動部材30は、対向面31と、反対面32と、上端33とを有している。
【0054】
対向面31は、可動部材30の表面のうち、前壁部14に対向する一部表面である(
図3〜5も併せて参照)。対向面31は、平面状の形状を有している。
図8に示されるように、可動部材30は、貫通リブ38と嵌合部39とを有している。貫通リブ38は、対向面31から直立しており、上下方向に延びている。嵌合部39は、貫通リブ38の、対向面31から最も離れる先端に設けられており、対向面31と平行に延びる略平板状の形状を有している。貫通リブ38は、前壁部14に形成されたスリット14B(
図6)を前後方向に貫通して配置されており、嵌合部39は前壁部14よりも前方に配置されている。嵌合部39は、係合部材50に嵌合しており、この嵌合により可動部材30と係合部材50とが一体的に取り付けられている。
【0055】
反対面32は、対向面31と反対側の、可動部材30の一部表面である。反対面32は、対向面31と異なり、湾曲した形状を有している。具体的には、反対面32は、窪み部34と、傾斜面部35と、立面部36とを有している。上端33の直ぐ下方において反対面32が窪んで、窪み部34が形成されている。窪み部34は、上端33における可動部材30の厚み(
図8に示される厚みT1)よりも可動部材30の厚みを小さくするように、反対面32が窪んで形成されている。なお可動部材30の厚みとは、穴部24(
図6)に可動部材30が収容されたときに前後方向の寸法となる、可動部材30の差し渡し寸法をいう。
【0056】
傾斜面部35は、窪み部34につながっており、窪み部34の下方に設けられている。傾斜面部35は、窪み部34から下方に向かうにつれて反対面32が対向面31から離れるように、傾斜している。傾斜面部35は、窪み部34から下方に向かうにつれて可動部材30の厚みを増大させるように、傾斜している。
【0057】
立面部36は、傾斜面部35につながっており、傾斜面部35の下方に設けられている。立面部36は、平面状の形状を有しており、対向面31と平行に延びている。穴部24に可動部材30が収容されたとき、立面部36は上下方向および左右方向に延びている。立面部36の下縁が、反対面32の下縁37をなしている。反対面32の下縁37における可動部材30の厚み(
図8に示される厚みT2)は、上端における可動部材30の厚み(厚みT1)よりも、大きくなっている。
【0058】
[搬送容器60]
図9は、搬送容器60の概略構成を示す斜視図である。搬送容器60は、その上部に開口61を有している。搬送容器60は、上向きに開口した中空箱形状を有している。搬送容器60の内部と外部とは、開口61を介して互いに連通している。搬送容器60は、カセット10から取り出されるスティック包装体100を受ける。搬送容器60は、係合横棒65と、不図示の押圧ローラと、引掛け部67と、第1駆動機構70と、第2駆動機構71とを有している。
【0059】
第1駆動機構70は、駆動源が発生する駆動力を係合横棒65へ伝達して、係合横棒65を上下方向に移動させる。係合横棒65が係合部材50の係合溝51に係合した状態で上下方向に移動することにより、係合部材50および可動部材30が上下方向に往復移動する。
【0060】
第1駆動機構70はまた、駆動源が発生する駆動力を押圧ローラへ伝達して、押圧ローラを上下方向に移動させる。押圧ローラがラック部44に当接した状態で上下方向に移動することにより、押圧ローラがラック部44を押圧して、ラック部44を後方へ移動させる。ラック部44の移動に伴って、ピニオン部42が回転し、したがって軸部41および規制部40が一体に回転する。
【0061】
第2駆動機構71は、駆動源が発生する駆動力を引掛け部67へ伝達して、引掛け部67を回動させる。引掛け部67は、回動によって、側壁部17の切欠き部17Aに係合し、または切欠き部17Aとの係合を解除される。引掛け部67が切欠き部17Aに係合した状態で、引掛け部67がカセット10に対して前後方向の力を作用させることにより、カセット10は往復移動する。
【0062】
第1駆動機構70は、可動部材30に対し、可動部材30を上下方向に移動させる駆動力を伝達する。第1駆動機構70はまた、規制部40に対し、規制部40を回転移動させる駆動力を伝達する。同一の第1駆動機構70から可動部材30と規制部40とに駆動力が伝達されており、そのため規制部40は、可動部材30と連動して動作する。
【0063】
図10は、カセット10の前方に搬送容器60を隣合せて配置した斜視図である。なお
図10では、図示の明確化のためにラック部44の背後にある構成がラック部44を透視して図示されており、したがって引掛け部67が切欠き部17Aに係合している状態が示されている。
【0064】
引掛け部67がカセット10に対して、カセット10を引っ張る方向の力を作用させることにより、カセット10は前方へ移動し
図10に示される搬送容器60に隣り合う位置に配置される。
図10に示される配置において、可動部材30が上下方向に往復移動することにより、カセット10から搬送容器60にスティック包装体100を移動させることが可能である。
【0065】
図10に示される、カセット10からスティック包装体100を取り出し可能な配置において、カセット10は、前壁部14がその上縁14Aに向かうにつれて搬送容器60に近づく向きに傾斜するように、配置されている。カセット10は、底部12がその縁部13に向かうにつれて下方に傾斜するように、配置されている。
【0066】
[動作]
以上説明した構成を備えている物品供給装置1の動作について、以下に説明する。
図11は、カセット10から搬送容器60へ物品(スティック包装体100)を移動させる動作を示す第1の図である。なお
図11および後続の
図12〜15においては、簡略化のため、側壁部17を透視して左右方向に見たカセット10が図示されており、搬送容器60は図示を省略されている。
【0067】
図11に示す配置においては、可動部材30は、上端33が前壁部14の上縁14Aに到達する位置にある。可動部材30は、その大部分が穴部24の外に出ている。可動部材30の反対面32は、その下縁37を除く大部分が、底部12よりも上方に配置されている。底部12の縁部13に、可動部材30の立面部36が対向している。
【0068】
可動部材30の立面部36および傾斜面部35が、スティック包装体100の凹部22へ向かう移動を規制している。底部12が傾斜しているため、底部12に搭載されているスティック包装体100は、自重によって凹部22へ向かう方向に移動しようとする。縁部13にまで到達したスティック包装体100は、
図11に示されるように、凹部22へ向かう移動を遮られ、可動部材30に寄り掛かるように配置されている。
【0069】
このとき、規制部40は、軸部41を中心に図中の反時計回り方向に回転移動したことにより、底部12から離れて配置されている。これにより、規制部40および軸部41と底部12との間を、スティック包装体100が通過することが可能とされている。
図11に示される、上端33が前壁部14の上縁14Aに到達する位置に可動部材30が配置されているとき、規制部40は、凹部22へ向かおうとするスティック包装体100の移動を規制せず、スティック包装体100の移動を許容している。
【0070】
図12は、カセット10から搬送容器60へ物品を移動させる動作を示す第2の図である。
図12に示される可動部材30は、
図11に示される上端33が前壁部14の上縁14Aに到達している位置から、前壁部14に沿って下方へ移動している。可動部材30の一部が穴部24内に収容されており、底部12の縁部13に窪み部34が対向している。
【0071】
可動部材30の移動に伴って、スティック包装体100は、窪み部34に引っ掛けられて回転するように移動して、凹部22内に引き込まれる。スティック包装体100は、窪み部34に引っ掛けられなくても、自重で凹部22内に移動する場合もある。
【0072】
図13は、カセット10から搬送容器60へ物品を移動させる動作を示す第3の図である。
図13に示される可動部材30は、
図12に示される配置から、前壁部14に沿ってさらに下方に移動している。
図13に示される可動部材30は、その可動範囲の下限の位置にある。可動部材30の上端33は、凹部22内に配置されている。スティック包装体100は、立った姿勢で上端33に搭載されている。窪み部34によってスティック包装体100を引っ掛けて回転させることで、凹部22に引き込まれたスティック包装体100を立った姿勢として、スティック包装体100を立った姿勢で上端33に搭載することが可能とされている。
【0073】
上端33における可動部材30の厚みT1は、スティック包装体100の幅w(
図1)の0.5倍未満とされている。これにより、スティック包装体100が
図1に示す横たわった姿勢で上端33に搭載されることが回避されている。また可動部材30の厚みT1は、スティック包装体100の厚みtの0.5倍以上1.5倍未満とされている。これにより、立った姿勢のスティック包装体100が2本以上、上端33に搭載されることが回避されている。したがって、
図13に示されるように、1本のみのスティック包装体100が可動部材30の上端33に立った姿勢で搭載される構成が、実現されている。
【0074】
このとき、規制部40は、
図11に示される位置から軸部41を中心に図中の反時計回り方向に90°回転移動したことにより、底部12に接近している。このとき規制部40は、規制部40と底部12との間をスティック包装体100が通過することを抑制している。
図13に示される、上端33が凹部22内に配置される位置に可動部材30が配置されているとき、規制部40は、凹部22へ向かおうとするスティック包装体100の移動を規制している。
【0075】
図14は、カセット10から搬送容器60へ物品を移動させる動作を示す第4の図である。
図14に示される可動部材30は、
図13に示される配置から、前壁部14に沿って上方に移動している。可動部材30の上端33に搭載されたスティック包装体100は、前壁部14に寄り掛かるようにして立った姿勢を保ちながら、可動部材30の移動に伴って上方へ移動し、前壁部14の上縁14Aに接近している。
【0076】
図15は、カセット10から搬送容器60へ物品を移動させる動作を示す第5の図である。
図15に示される可動部材30は、
図14に示される配置から、前壁部14に沿ってさらに上方に移動し、
図11と同様に、上端33が前壁部14の上縁14Aに到達する位置に配置されている。
図15に示される可動部材30は、その可動範囲の上限の位置にある。
【0077】
可動部材30の上端33に搭載された状態で上方へ移動したスティック包装体100は、前壁部14の上縁14Aを乗り越えて、カセット10の外部へ取り出されている。スティック包装体100は、出口傾斜部15によって導かれ、
図10に示される開口61を通って搬送容器60内に移動する。搬送容器60は、カセット10から取り出されるスティック包装体100を受ける。
【0078】
図11〜15に示される動作を繰り返すことにより、スティック包装体100が1本ずつカセット10から搬送容器60へ移動する。所望の数のスティック包装体100がカセット10から取り出されて搬送容器60へ収容されると、カセット10からのスティック包装体100の取り出しが停止される。
【0079】
その後、搬送容器60は、中継容器80(
図2)の上方の位置に移動し、搬送容器60内のスティック包装体100を搬送容器60から落下させて中継容器80に供給する。このようにして、所望の数のスティック包装体100を中継容器80に供給する動作が行われる。
【0080】
別の種類のスティック包装体100をさらに中継容器80に供給することが必要な場合には、搬送容器60は、該当のカセット10の前方へ移動し、該当のカセット10からのスティック包装体100の取り出しを同様に行なう。所望の数のスティック包装体100の取り出しを終えると、搬送容器60は中継容器80に移動して、取り出されたスティック包装体100が中継容器80に供給される。
【0081】
この後、中継容器80の下方の所定位置にある払出トレイ90に、中継容器80からスティック包装体100が供給される。スティック包装体100が中継容器80から払出トレイ90に供給されると、この払出トレイ90が筐体2の外部に搬送される。
【0082】
[作用および効果]
上述した説明と一部重複する部分もあるが、本実施形態の特徴的な構成、ならびにその作用および効果を列挙すると、以下のようになる。
【0083】
実施形態のカセット10において、底部12は、
図5,6に示されるように、前壁部14から離れた位置に縁部13を有している。縁部13と前壁部14との間に、底部12に対して窪む凹部22が形成されている。可動部材30は、
図13に示される上端33が凹部22内に配置される位置から、
図15に示される上端33が前壁部14の上縁14Aに到達する位置まで、前壁部14に沿って上方へ移動して、スティック包装体100を前壁部14の上縁14Aを乗り越えさせてカセット10から取り出すように、構成されている。
【0084】
スティック包装体100を凹部22内に移動させて、凹部22内に配置された可動部材30の上端33にスティック包装体100を搭載し、その状態で可動部材30を上端33が前壁部14の上縁14Aに到達する位置まで上方へ移動させることで、スティック包装体100がカセット10から取り出される。可動部材30を上下に往復移動させる単純な動作で、スティック包装体100をカセット10から確実に取り出すことができる。
【0085】
図7,8に示されるように、可動部材30は、前壁部14に対向する対向面31と、対向面31と反対側の反対面32とを有している。可動部材30は、上端33における可動部材30の厚みT1よりも可動部材30の厚みを小さくするように反対面32が窪んだ窪み部34を、上端33の下方に有している。可動部材30が下方へ移動するときに、スティック包装体100を窪み部34で引っ掛けて、スティック包装体100を凹部22へ移動させる動作が行なわれる。したがって、スティック包装体100をより確実に凹部22内へ移動させることができる。
【0086】
図8に示されるように、反対面32の下縁37における可動部材30の厚みT2は、上端33における可動部材30の厚みT1よりも大きくなっている。この厚みの差によって、可動部材30が凹部22内に向かって下方へ移動するときに、凹部22内に、底部12の縁部13と可動部材30の反対面32との間にスペースが生じる。このスペースにスティック包装体100を移動させることができ、このようにすればスティック包装体100をより確実に凹部22内へ移動させることができる。
【0087】
可動部材30の上端33の厚みT1は、スティック包装体100の幅wの0.5倍未満である。このように寸法を規定することで、スティック包装体100が横たわった姿勢で上端33に搭載されることを回避することができる。可動部材30の上端33の厚みT1は、スティック包装体100の厚みtの0.5倍以上1.5倍未満である。このように寸法を規定することで、2本以上のスティック包装体100が立った姿勢で上端33に搭載されることを回避でき、スティック包装体を1つずつ取り出すことができる。
【0088】
図13に示されるように、規制部40は、収容空間20に収容されたスティック包装体100の凹部22へ向かう移動を規制する。凹部22内に移動するスティック包装体100の数を適切に調整することで、凹部22内においてスティック包装体100を立った姿勢で上端33に搭載する動作を、より確実に実行することができる。
【0089】
図11に示されるように、規制部40は、スティック包装体100の凹部22へ向かう移動を許容するように、その配置を変更可能である。規制部40の配置変更によって、スティック包装体100の移動が規制される状態とスティック包装体100の移動が許容される状態とが切り替えられ、凹部22内に移動するスティック包装体100の数を適切に調整することが可能になる。
【0090】
図11,13に示されるように、上端33が凹部22内に位置するように可動部材30が配置されているとき、規制部40はスティック包装体100の移動を規制し、上端33が前壁部14の上縁14Aに位置するように可動部材30が配置されているとき、規制部40はスティック包装体100の移動を許容する。可動部材30の配置に対応させて規制部40の配置を変更して、スティック包装体100の移動が規制される状態とスティック包装体100の移動が許容される状態とを切り替えることができる。
【0091】
図11に示されるように、上端33が前壁部14の上縁14Aに位置するように可動部材30が配置されているとき、可動部材30がスティック包装体100の凹部22へ向かう移動を規制する。規制部40がスティック包装体100の移動を許容し、一方可動部材30がスティック包装体100の移動を規制するように配置することで、凹部22内のスティック包装体100の数を適切に調整することができる。
【0092】
実施形態の物品供給装置1は、
図10に示されるように、カセット10と、上向きに開口し、カセット10から取り出されるスティック包装体100を受ける、搬送容器60とを備えている。係る構成によれば、カセット10から取り出されるスティック包装体100を搬送容器60で受けて、スティック包装体100を払い出すことができる。
【0093】
図10に示されるように、カセット10は、前壁部14が上縁14Aに向かうにつれて搬送容器60に近づく向きに傾斜して配置されている。このようにすれば、可動部材30の上端33にスティック包装体100を搭載して可動部材30を上方へ移動させるとき、スティック包装体100を前壁部14に寄り掛からせて、スティック包装体100の立った姿勢を維持することができる。したがって、カセット10からスティック包装体100を1つずつ取り出すことができる。
【0094】
図10に示されるように、カセット10は、底部12が縁部13に向かうにつれて下方に向かうように傾斜して配置されている。このようにすれば、スティック包装体100を自重で凹部22へ向けて移動させることができ、スティック包装体100をより確実に凹部22内へ移動させることができる。
【0095】
図10に示されるように、可動部材30を上下方向に往復移動させる駆動力は、搬送容器60の第1駆動機構70から、係合部材50を介して可動部材30に伝達される。搬送容器60が第1駆動機構70を備えている構成とすることで、可動部材30を移動させる駆動力を可動部材30に伝達するための構成を別に設ける必要がない。したがって、物品供給装置1の構成を簡略化することができる。
【0096】
図10,13〜15に示されるように、可動部材30の上端33にスティック包装体100が搭載され、上端33が前壁部14の上縁14Aに到達するまで可動部材30が上方へ移動すると、スティック包装体100は前壁部14の上縁14Aを乗り越えてカセット10から搬送容器60へ移動する。このようにすれば、カセット10から搬送容器60へスティック包装体100を確実に移動させることができる。
【0097】
これまでの実施形態の説明においては、
図15に示されるように、上端33が前壁部14の上縁14Aに到達する位置に可動部材30が移動して、スティック包装体100をカセット10から取り出す例を説明した。可動部材30の可動範囲の上限は、必ずしも上端33が前壁部14の上縁14Aに到達する位置でなくてもよい。
【0098】
可動部材30は、上端33が前壁部14の上縁14Aを超えてさらに上方へ移動するように構成されてもよい。または、上端33が前壁部14の上縁14Aに到達しなくても、上縁14Aに対してスティック包装体100の幅wの二分の一未満だけ下方の位置まで上端33が到達すれば、スティック包装体100の自重で、スティック包装体100を前壁部14の上縁14Aを乗り越えてカセット10の外部へ移動させることが可能である。このように可動部材30は、少なくとも上端33が前壁部14の上縁14Aの近傍に到達する位置まで、上方へ移動すればよい。スティック包装体100の内容物が本体部101の内部で片寄ってスティック包装体100の重心位置が変動する可能性を考慮すると、可動部材30を少なくとも上端33が前壁部14の上縁14Aに到達する位置まで移動させるのが望ましい。
【0099】
図10に示されるカセット10では、底部12の全体が傾斜しているが、必ずしも底部12の全体が傾斜していなくてもよい。少なくとも縁部13の近傍において底部12が傾斜していれば、底部12に搭載されたスティック包装体100を自重で凹部22へ向けて移動させる作用が、同様に奏される。たとえば、前後方向において軸部41に対向する位置から縁部13までの範囲で底部12が傾斜している構成としてもよい。
【0100】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。