【解決手段】取り出しエリアR1において、載置部11に載せられている物品5が保持部14に載せられて又は保持部14により挟まれ、保持部14によって物品5が保持される。取り出しエリアR1から受け渡しエリアに、保持部14によって保持されている物品5が移動させられる。保持部14によって物品5を保持する工程は、負圧発生部13によって発生される負圧によって物品5を高さ方向の上方へ移動させる工程と、物品5が載置部11から離れている状態で、物品5よりも下方に保持部14を配置し又は物品5を保持部14によって挟む工程と、物品5よりも下方に保持部14が配置され又は物品5が保持部14によって挟まれている状態で、負圧の発生を停止させる工程と、を含む。
負圧を発生させて高さ方向の上方に向かって働く力を物品に作用させる負圧発生部であって、前記物品と前記負圧発生部との間に向けて気体を噴出させることによって負圧を発生させる負圧発生部と、
前記物品を保持する保持部であって、前記物品が載せられる又は前記物品を挟む保持部と、
前記保持部を移動させる第1移動部と、
前記負圧発生部を移動させる第2移動部と、
前記負圧発生部、前記第1移動部及び前記第2移動部を制御し、取り出しエリアにおいて載置部に配置されている前記物品を前記保持部によって保持し、前記物品が前記保持部によって保持されている状態で前記物品を前記取り出しエリアから受け渡しエリアに移送する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記負圧発生部、前記第1移動部及び前記第2移動部を制御して、前記取り出しエリアにおいて前記保持部が前記物品を保持する前に、前記物品を前記負圧によって前記高さ方向の上方へ移動させて前記物品を前記載置部から離れさせる物品移送装置。
前記制御部は、前記負圧発生部、前記第1移動部及び前記第2移動部を制御して、前記負圧によって前記受け渡しエリアに配置された前記物品に対して前記高さ方向の上方に向かって働く力を作用させつつ前記保持部を前記物品から退避させて、前記保持部が前記物品から退避した後に前記負圧の発生を停止させる請求項4に記載の物品移送装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
【0019】
図1は、物品移送装置10の平面図である。
図2は、物品移送装置10の側方図である。なお理解を容易にするために、
図1及び
図2において、物品移送装置10の各要素を駆動する駆動部(
図6参照)の図示は省略されている。
【0020】
物品移送装置10は、取り出しエリアR1から受け渡しエリアR2(
図12参照)に物品5を移送する装置である。本実施形態の物品移送装置10は、取り出しエリアR1において物品5を載置部11から持ち上げて、物品5が持ち上げられた状態を維持しつつ当該物品5を取り出しエリアR1から受け渡しエリアR2に移送する。
【0021】
物品5は限定されず、任意の形状及び材質を有することができる。一例として、日用品(例えば包装袋)や食品を物品5として物品移送装置10により移送することができる。
【0022】
取り出しエリアR1及び受け渡しエリアR2は、所定の位置を基準に水平方向に関してある大きさを持つ範囲である。取り出しエリアR1及び受け渡しエリアR2の具体的な範囲は限定されず、取り出しエリアR1及び受け渡しエリアR2の各々は、1つの物品5のみを配置可能な範囲であってもよいし、2以上の物品5を配置可能な範囲であってもよい。取り出しエリアR1及び受け渡しエリアR2は、後述の負圧発生部13及び保持部14が移動可能な範囲に含まれる。
【0023】
物品移送装置10の構成は限定されない。例えばスカラロボット(水平多関節ロボット)を利用して物品移送装置10を構成することが可能である。図示の物品移送装置10は、載置部11、移動部12、負圧発生部13、保持部14、状態情報取得部16及び制御部15を備える。
【0024】
[載置部]
載置部11には、複数の物品5が載せられる。載置部11に載せられている複数の物品5のうちの1又は2以上が取り出しエリアR1に配置される。
【0025】
図示の載置部11は搬送コンベアによって構成されており、搬送コンベアのコンベアベルト上に物品5が載せられる。コンベアベルトは、制御部15の制御下で駆動部(
図6の「コンベア駆動部51」参照)によって駆動され、走行する。なお、コンベアベルトは制御部15によって制御されていなくてもよい。コンベアベルト上の物品5は、連続的に移動させられてもよいし、間欠的に移動させられてもよい。
【0026】
載置部11は図示の構成には限定されない。載置部11は、物品5を移動させることが可能な他の機構によって構成されていてもよいし、物品5を移動させない構成を有していてもよい。例えばトレイ(図示省略)によって載置部11が構成されていてもよく、そのようなトレイが作業者又は機械装置によって取り出しエリアR1に適時配置されてもよい。
【0027】
[移動部]
移動部12(第1移動部及び第2移動部)は、保持部14及び負圧発生部13を移動させて、取り出しエリアR1において保持部14により保持された物品5を受け渡しエリアR2に移送し、当該物品5を受け渡しエリアR2において保持部14から解放して受け渡し部35に載せる。
【0028】
移動部12の構成は限定されない。図示の移動部12のように、保持部14及び負圧発生部13を同一の機構によって移動させてもよい。また移動部12は、複数の別個の機構を含んでいてもよく、保持部14を移動させる機構(第1移動部)と、負圧発生部13を移動させる機構(第2移動部)とを具備していてもよい。
【0029】
図示の移動部12は、スタンド21、第1往復回転支点軸22、第1水平揺動アーム23、第2往復回転支点軸24、第2水平揺動アーム25、昇降軸26、回転部27、第1エアシリンダ28、第2エアシリンダ29及び第3エアシリンダ30を有する。
【0030】
スタンド21は、図示しない架台に対して固定的に設けられており、第1往復回転支点軸22を軸回転自在に支持する。図示のスタンド21は、中空形状を有し、高さ方向に延在する内部空間を含む。
【0031】
第1往復回転支点軸22は、スタンド21の内部空間を貫通するように高さ方向に延在し、第1水平揺動アーム23を固定的に支持する。第1往復回転支点軸22は、駆動部(
図6の「第1支点軸駆動部52」参照)によって駆動され、高さ方向に延びる第1往復回転支点軸22の中心軸線(以下「第1支点軸線」とも称する)を中心に回転する。
【0032】
第1水平揺動アーム23は、水平方向に延在し、第1往復回転支点軸22によって第1支点軸線を中心に揺動させられ、第2往復回転支点軸24を軸回転自在に支持する。第1往復回転支点軸22は、図示の第1水平揺動アーム23の一方の端部に対して固定的に取り付けられ、第2往復回転支点軸24は、図示の第1水平揺動アーム23の他方の端部に対して回転自在に取り付けられている。したがって第1水平揺動アーム23は、第1往復回転支点軸22の軸回転に応じて、第1支点軸線を中心に揺動する。また第2往復回転支点軸24は、第1水平揺動アーム23の揺動に応じて、第1支点軸線を中心とした円軌道上を移動する。
【0033】
第2往復回転支点軸24は、高さ方向に延在し、第2水平揺動アーム25の一方の端部に固定されている。第2往復回転支点軸24は、駆動部(
図6の「第2支点軸駆動部53」参照)によって駆動され、高さ方向に延びる第2往復回転支点軸24の中心軸線(以下「第2支点軸線」とも称する)を中心に回転する。
【0034】
第2水平揺動アーム25は、水平方向に延在し、第2往復回転支点軸24によって第2支点軸線を中心に揺動させられ、昇降軸26を昇降自在に支持する。第2往復回転支点軸24は、図示の第2水平揺動アーム25の一方の端部に対して固定的に取り付けられ、昇降軸26は、図示の第2水平揺動アーム25の他方の端部に対して昇降自在に取り付けられている。したがって第2水平揺動アーム25は、第2往復回転支点軸24の軸回転に応じて、第2支点軸線を中心に揺動する。また昇降軸26は、第2水平揺動アーム25の揺動に応じて、第2支点軸線を中心とした円軌道上を移動する。
【0035】
昇降軸26は高さ方向に延在し、昇降軸26の下方端部には回転部27が取り付けられており、昇降軸26は回転部27を介して第1エアシリンダ28に取り付けられている。昇降軸26は、駆動部(
図6の「昇降駆動部54」参照)によって駆動され、高さ方向に昇降し、保持部14及び負圧発生部13を高さ方向に移動させる。昇降軸26は第2水平揺動アーム25に対して昇降自在に設けられているが、昇降軸26の水平移動及び軸回転は、第2水平揺動アーム25によって制限されている。
【0036】
回転部27は、昇降軸26の中心軸線(以下「昇降軸線」とも称する)上に設けられ、第1エアシリンダ28に連結される回転体(図示省略)を具備する。この回転体は、高さ方向に延在する軸線(以下「回転軸線Ax」とも称する)を中心に、第1エアシリンダ28と一緒に回転することができるように設けられている。図示の回転部27では、回転軸線Axと昇降軸線とが一致しており、回転体及び第1エアシリンダ28は昇降軸線を中心に回転することができるが、回転軸線Axは昇降軸線と一致していなくてもよい。回転部27は、駆動部(
図6の「回転駆動部55」参照)によって駆動され、回転体を介し、第1エアシリンダ28と第1エアシリンダ28に連結される他のデバイス(例えば第2エアシリンダ29、第3エアシリンダ30、保持部14及び負圧発生部13)とを、回転軸線Axを中心に回転させる。
【0037】
第1エアシリンダ28は、回転部27を介して昇降軸26の下方端部に取り付けられている。第1エアシリンダ28は、第1本体部28aと、第1本体部28aから水平方向に延在する第1水平シリンダ軸28b及び第2水平シリンダ軸28cとを具備する。第1水平シリンダ軸28b及び第2水平シリンダ軸28cは、回転軸線Axを中心に反対方向に延在し、第1本体部28aからの水平方向への突出量が可変である。第1エアシリンダ28は、駆動部(
図6の「第1エアシリンダ駆動部56」参照)によって駆動され、第1本体部28aからの第1水平シリンダ軸28b及び第2水平シリンダ軸28cの突出量が変えられる。第1エアシリンダ28の構成は限定されず、第1水平シリンダ軸28bの突出量及び第2水平シリンダ軸28cの突出量は、同一の機構によって調整されてもよいし、別個の機構によって調整されてもよい。同一の機構によって第1水平シリンダ軸28b及び第2水平シリンダ軸28cの突出量を調整する場合、第1水平シリンダ軸28b及び第2水平シリンダ軸28cを対称的に駆動することが可能である。別個の機構によって第1水平シリンダ軸28b及び第2水平シリンダ軸28cの突出量を調整する場合、第1水平シリンダ軸28b及び第2水平シリンダ軸28cを互いに独立して個別的に駆動することが可能である。
【0038】
第2エアシリンダ29は、第1水平シリンダ軸28bの先端部に対して固定的に取り付けられている。第2エアシリンダ29は、第2本体部29aと、第2本体部29aから高さ方向(特に鉛直方向(すなわち下向きの高さ方向))に延在する第1鉛直シリンダ軸29bとを具備する。第2エアシリンダ29は、駆動部(
図6の「第2エアシリンダ駆動部57」参照)によって駆動され、第2本体部29aからの第1鉛直シリンダ軸29bの突出量が変えられる。
【0039】
第3エアシリンダ30は、第2水平シリンダ軸28cの先端部に対して固定的に取り付けられている。第3エアシリンダ30は、第3本体部30aと、第3本体部30aから高さ方向(特に鉛直方向(すなわち下向きの高さ方向))に延在する第2鉛直シリンダ軸30bとを具備する。第3エアシリンダ30は、駆動部(
図6の「第3エアシリンダ駆動部58」参照)によって駆動され、第3本体部30aからの第2鉛直シリンダ軸30bの突出量が変えられる。
【0040】
[保持部]
保持部14は、物品5に物理的に接触しつつ物品5を保持するために設けられる。例えば、保持部14に物品5が載せられたり、物品5が保持部14によって挟まれたりすることによって、保持部14は物品5を保持することが可能である。
【0041】
図示の保持部14は第1保持部14a及び第2保持部14bを有し、第1保持部14a及び第2保持部14bに物品5が載せられることによって、保持部14によって物品5が保持される。第1保持部14aは、第1鉛直シリンダ軸29bの先端部に取り付けられ、水平方向に延在する。第2保持部14bは第2鉛直シリンダ軸30bの先端部に取り付けられ、水平方向に延在する。第1保持部14aのうち回転軸線Axから相対的に遠い側の端部に、第1鉛直シリンダ軸29bが取り付けられている。第2保持部14bのうち回転軸線Axから相対的に遠い側の端部に、第2鉛直シリンダ軸30bが取り付けられている。図示の第1保持部14a及び第2保持部14bは、回転軸線Axを中心にしてお互いに向かい合うように延在する。
【0042】
[負圧発生部]
負圧発生部13は、負圧を発生させて高さ方向の上方に向かって働く力を物品5に作用させるために設けられている。図示の負圧発生部13は、取り付け部材31を介して第1エアシリンダ28に取り付けられており、第1エアシリンダ28より下方において回転軸線Ax上に配置されている。負圧発生部13は、制御部15によって駆動及び制御され(
図6参照)、所望の負圧を発生させたり、そのような負圧の発生を停止させたりする。
【0043】
負圧発生部13の構成は限定されず、負圧を発生させる方式も限定されない。典型的には、負圧発生部13は、物品5の上方の気体(通常は空気)を吸引することによって、物品5の上方に負圧を生じさせることができる。或いは負圧発生部13は、物品5と負圧発生部13との間に向けて気体(通常は空気)を噴出させることによって負圧を発生させることができる。これらの方式はいずれも当業者に知られている技術であり、その詳細なメカニズムの説明は省略する。
【0044】
図3は、気体を噴出させることによって負圧を発生させる負圧発生部13の一例を示す図である。
図4は、
図3に示す負圧発生部13によって物品5が保持されている状態を示す図である。
【0045】
図3及び
図4に示す負圧発生部13は、ガイド部41及び気体噴出部42を有する。気体噴出部42は、図示しないポンプ等から気体供給路43を介して圧縮気体が供給され、高圧の圧縮気体を概ね水平方向に噴出する(
図3の矢印参照)。気体噴出部42から噴出された気体はガイド部41のガイド面41aに沿って水平方向へ流動する。
図4に示すように、物品5の上方近傍に負圧発生部13のガイド面41aを配置した状態で、負圧発生部13から気体を噴出させることにより、物品5の上方の空間が負圧になり、物品5は持ち上げられて載置部11から離れる。
【0046】
なお、気体噴出部42から噴出された気体がガイド面41aに沿って流れているため、載置部11から持ち上げられた物品5は、基本的にはガイド面41aに接触せず、浮遊状態で保持される。ただし物品5の形状や負圧の程度によっては、物品5が持ち上げられた際に物品5がガイド面41aに接触することもありうるが、その場合、物品5がガイド面41aから受ける力は非常に弱い。
【0047】
なお気体噴出部42から噴出される気体の具体的な流れ方向は限定されず、例えば回転軸線Axを中心に放射方向へ気体が噴出されてもよいし、旋回流が形成されるように旋回方向に気体が噴出されてもよい。
【0048】
図5は、気体を噴出させることによって負圧を発生させる負圧発生部13の他の例を示す図である。負圧発生部13は、持ち上げられた物品5に接触することが意図された緩衝部44を有していてもよい。緩衝部44は、負圧発生部13による負圧の発生を阻害しないように設けられることが好ましい。
図5に示す緩衝部44は、負圧発生部13の中央部(例えば
図1に示す回転軸線Ax周りの部分)の周囲に配置される。なお緩衝部44の設置位置は限定されず、例えばガイド面41aの外周部に緩衝部44が設置されてもよい。緩衝部44を設けることによって、物品5が意図せずにガイド面41aに衝突することを防ぐとともに、負圧によって持ち上げられた物品5を緩衝部44によって安定的に支持することができる。緩衝部44の具体的な構成は限定されず、例えばウレタンなどのクッション性に優れた部材によって緩衝部44を構成することが好ましい。
【0049】
[状態情報取得部]
図1に示す状態情報取得部16は、取り出しエリアR1における載置部11上の物品5の状態(例えば位置及び姿勢(角度情報))を直接的又は間接的に示す情報を取得し、取得した情報を制御部15に送る。
【0050】
状態情報取得部16の具体的な構成は限定されない。
図1に示す状態情報取得部16は、載置部11よりも上方において支持フレーム(図示省略)によって支持されており、載置部11上の物品5を撮影する撮像部によって構成されている。載置部11(図示の例ではコンベアベルト)及び載置部11上の物品5の画像データを撮像部によって取得し、その画像データを解析することによって載置部11上における物品5の状態(例えば位置及び姿勢)を示す情報を取得することが可能である。画像データの解析は撮像部によって行われてもよいし、撮像部からの画像データを受信する制御部15によって行われてもよい。したがって制御部15は、画像解析結果の情報を状態情報取得部16から受信してもよいし、画像データを状態情報取得部16から受信してもよい。
【0051】
図示の状態情報取得部16(撮像部)は、載置部11上の物品5の移動方向(
図1の下から上に向かう方向)を基準に、取り出しエリアR1よりも上流側において物品5の画像データを取得し、当該画像データを解析することによって取り出しエリアR1における物品5の状態を間接的に取得する(すなわち予測する)。なお状態情報取得部16は、取り出しエリアR1において載置部11上に配置されている物品5の画像データを直接的に取得してもよい。
【0052】
[制御部]
図6は、制御部15の機能ブロック図である。制御部15は、物品移送装置10を構成する移動部12(第1移動部及び第2移動部)、負圧発生部13、及びその他のデバイスを制御し、取り出しエリアR1において載置部11に配置されている物品5を保持部14によって保持し、物品5が保持部14によって保持されている状態で物品5を取り出しエリアR1から受け渡しエリアR2に移送する。制御部15はCPU等の演算装置やメモリ等が適宜組み合わされて構成されるが、制御部15の具体的な構成は限定されず、単一デバイスによって構成されてもよいし、複数の分離したデバイスが組み合わされて構成されてもよい。
【0053】
本実施形態の制御部15は、例えばコンベア駆動部51、第1支点軸駆動部52、第2支点軸駆動部53、昇降駆動部54、回転駆動部55、第1エアシリンダ駆動部56、第2エアシリンダ駆動部57、第3エアシリンダ駆動部58及び負圧発生部13に接続されている。
【0054】
制御部15は、載置部11のコンベアベルトを駆動するコンベア駆動部51(例えばモータ等)を制御する。制御部15は、予め入力された情報に基づいてコンベア駆動部51を制御してもよいし、状態情報取得部16等の外部デバイスから取得される情報に基づいて適応的にコンベア駆動部51を制御してもよい。またコンベア駆動部51は制御部15によって制御されていなくてもよい。
【0055】
また制御部15は、第1支点軸駆動部52及び第2支点軸駆動部53を制御し、負圧発生部13及び保持部14の水平方向位置を調整する。また制御部15は、昇降駆動部54を制御し、負圧発生部13及び保持部14の高さ方向位置を調整する。また制御部15は、回転駆動部55を制御し、負圧発生部13及び保持部14の姿勢(すなわち角度)を調整する。また制御部15は、第1エアシリンダ駆動部56を制御し、保持部14(第1保持部14a及び第2保持部14b)の水平方向位置を調整する。また制御部15は、第2エアシリンダ駆動部57及び第3エアシリンダ駆動部58を制御し、保持部14(第1保持部14a及び第2保持部14b)の高さ方向位置を調整する。また制御部15は、負圧発生部13を制御し、負圧の発生状態を調整し、ひいては物品5の保持及び解放を調整する。
【0056】
なお制御部15には各種のデータが送られ、例えば状態情報取得部16が制御部15に接続されている。また制御部15には図示しない他のデバイスも接続可能であり、例えばユーザからの情報の入力を受け付ける入力デバイス、各種情報を表示可能なディスプレイデバイス、及び各種情報を保存可能な記憶デバイスが制御部15に接続されていてもよい。また制御部15は、制御対象の保持部14(第1保持部14a及び第2保持部14b)及び負圧発生部13の状態情報(例えば位置、姿勢、作動状態、及びその他の状態の情報)を保有している。
【0057】
このように制御部15は、状態情報取得部16から得られる物品5の状態情報、負圧発生部13の状態情報、及び保持部14の状態情報に基づいて、移動部12(第1移動部及び第2移動部)及び負圧発生部13を制御し、保持部14及び負圧発生部13の水平方向位置及び高さ方向位置を調整するとともに、物品5の保持及び解放を行うことができる。
【0058】
[物品移送方法]
次に、上述の物品移送装置10を使った物品移送方法について説明する。
【0059】
本実施形態の物品移送方法は、取り出しエリアR1において載置部11に載せられている物品5を保持部14によって保持する工程と、保持部14によって保持されている物品5を取り出しエリアR1から受け渡しエリアR2に移動させる工程と、受け渡しエリアR2において物品5を保持部14から解放する工程と、を含む。
【0060】
これらの工程は、物品移送装置10を構成する要素が制御部15の制御下でお互いに協働することによって行われる。具体的な制御フローは限定されず、その詳細な説明は省略する。
【0061】
なお、保持部14による物品5の具体的な保持方法は限定されない。上述のように、物品5が保持部14に載せられることによって保持部14が物品5を保持してもよいし、物品5が保持部14によって挟まれることによって保持部14が物品5を保持してもよい。以下では、物品5が保持部14に載せられることによって、保持部14が物品5を保持する例を説明する。
【0062】
[取り出しエリアにおいて物品を保持する工程]
図7〜
図11は、取り出しエリアR1において物品5を保持する工程を説明する図である。
【0063】
まず
図7に示すように、載置部11上の1又は2以上の物品5が取り出しエリアR1に配置される。1又は2以上の物品5が取り出しエリアR1に配置された状態で、載置部11(ベルトコンベア)は、当該1又は2以上の物品5の搬送を継続してもよいし、止めてもよい。
【0064】
また
図7に示すように、移動部12によって、負圧発生部13及び保持部14が取り出しエリアR1に位置する物品5の上方に配置される。負圧発生部13及び保持部14の具体的な配置位置は限定されない。例えば、対象の物品5が回転軸線Ax(
図2参照)上に位置するように、負圧発生部13及び保持部14が配置されることが好ましい。取り出しエリアR1において1又は2以上の物品5の搬送が継続される場合、負圧発生部13及び保持部14がその1又は2以上の物品5を追従しつつ後述の処理を行うことができるように、制御部15が移動部12を制御する。また負圧発生部13及び保持部14の具体的な角度(すなわち姿勢)も限定されない。負圧発生部13及び保持部14が物品5の形状に適合し且つ他の物品5と衝突しないように、負圧発生部13及び保持部14の角度が回転部27によって調整されることが好ましい。
【0065】
この際、保持部14は退避位置に配置されている。ここでいう退避位置は、保持部14が下降しても物品5と衝突しない位置である。
図7に示す例では、保持部14が退避位置に配置されている場合、第1本体部28aからの第1水平シリンダ軸28b及び第2水平シリンダ軸28cの突出量が最大の状態にあり、第2本体部29aからの第1鉛直シリンダ軸29bの突出量が最小の状態であり、第3本体部30aからの第2鉛直シリンダ軸30bの突出量が最小の状態であり、負圧発生部13の下面よりも上方に保持部14(第1保持部14a及び第2保持部14b)が位置している。なお退避位置は図示の位置に限定されず、例えば負圧発生部13の下面よりも下方に、保持部14(第1保持部14a及び第2保持部14b)の少なくとも一部が位置していてもよい。
【0066】
その後、
図8に示すように、昇降軸26が下降させられて負圧発生部13が対象の物品5の直上に配置され、負圧発生部13が作動されて負圧が発生させられる。これにより物品5は負圧発生部13によって保持される。なお負圧発生部13は、昇降軸26の下降動作の開始前から負圧の発生を開始していてもよいし、昇降軸26の下降動作中に負圧の発生を開始してもよいし、昇降軸26の下降動作完了後に負圧の発生を開始してもよい。また昇降軸26とともに下降した負圧発生部13は、対象の物品5に対して接触していてもよいし、接触していなくてもよい。対象の物品5の直上に配置された負圧発生部13が対象の物品5に接触しない場合、負圧発生部13が負圧を発生させることによって、対象の物品5は持ち上げられて載置部11から離れる。一方、対象の物品5の直上に配置された負圧発生部13が対象の物品5に接触する場合、負圧発生部13が負圧を発生させても、物品5は保持部14に接触した状態を維持する。
【0067】
その後、
図9に示すように、昇降軸26が上昇させられ、負圧発生部13が対象の物品5を保持しつつ上昇する。そして保持部14が、対象の物品5と載置部11との間に配置される。例えば、対象の物品5が負圧発生部13とともに上昇させられた後に、第1鉛直シリンダ軸29b及び第2鉛直シリンダ軸30bの突出量が増大され、第1水平シリンダ軸28b及び第2水平シリンダ軸28cの突出量が減少されることによって、
図9に示すように物品5と載置部11との間に第1保持部14a及び第2保持部14bを配置することができる。
【0068】
その後、負圧発生部13が負圧の発生を停止し、負圧発生部13は対象の物品5の保持を解放する。これにより対象の物品5は、
図10に示すように保持部14上に載せられて保持部14により保持される。
【0069】
その後、
図11に示すように、昇降軸26が更に上昇させられ、負圧発生部13及び保持部14とともに、保持部14に保持されている物品5が更に上昇する。これにより、保持部14及び物品5が載置部11から十分に離され、保持部14を水平に移動させても保持部14及び物品5は載置部11に対して接触及び衝突しない。
【0070】
このように制御部15は、負圧発生部13及び移動部12(第1移動部及び第2移動部)を制御して、載置部11に配置されている物品5を保持部14が保持する前に、物品5を負圧によって高さ方向の上方へ移動させて物品5を載置部11から離れさせる。
【0071】
[取り出しエリアから受け渡しエリアに物品を移動させる工程]
図11に示すように保持部14によって物品5が保持された状態で、移動部12が制御部15によって制御され、取り出しエリアR1から受け渡しエリアR2に物品5が移動させられる。この際、物品5を水平方向に移動させて水平方向への慣性力が物品5に働いても、物品5は保持部14と物理的に接触して保持部14により比較的強固に保持されているので、物品5が保持部14から脱落することはない。
【0072】
なお取り出しエリアR1から受け渡しエリアR2に物品5を移動させる際の移動経路は限定されない。例えば、水平方向への移動のみよって取り出しエリアR1から受け渡しエリアR2に物品5が移動させられてもよいし、水平方向への移動と高さ方向への移動とが組み合わされて取り出しエリアR1から受け渡しエリアR2に物品5が移動させられてもよい。
【0073】
[受け渡しエリアにおいて物品を保持部から解放する工程]
図12及び
図13は、受け渡しエリアR2において物品5の保持を解放する工程を説明する図である。
【0074】
取り出しエリアR1から受け渡しエリアR2に物品5が移動させられた直後は、物品5、負圧発生部13及び保持部14は、
図11に示す状態と同様の状態に置かれている。
【0075】
そして
図12に示すように、受け渡しエリアR2において、物品5を負圧発生部13によって保持しつつ、保持部14の保持から当該物品5を解放する。すなわち、まず保持部14が物品5を保持している状態で負圧発生部13が負圧を発生させて、物品5を負圧発生部13によって保持する。この際、物品5と負圧発生部13との間の距離を十分に小さくするように、第1鉛直シリンダ軸29b及び第2鉛直シリンダ軸30bの突出量が調整されてもよい。また物品5は、負圧により持ち上げられ保持部14から離れた状態で負圧発生部13により保持されてもよいし、保持部14に接触した状態を維持しつつ負圧発生部13により保持されてもよい。
【0076】
そして負圧発生部13が物品5を適切に保持した後に、保持部14は物品5から退避させられる。具体的には、第1水平シリンダ軸28b及び第2水平シリンダ軸28cの突出量が増大され、第1保持部14a及び第2保持部14bが水平方向に関して物品5から離れた位置に配置される。なお、物品5が第1保持部14a及び第2保持部14bに接触した状態を維持しつつ負圧発生部13により保持されている場合、第1鉛直シリンダ軸29b及び第2鉛直シリンダ軸30bの突出量を増大させて第1保持部14a及び第2保持部14bを物品5から離した後に、第1保持部14a及び第2保持部14bを水平方向に移動させることが好ましい。この場合、保持部14から物品5に摩擦力を作用させることなく、保持部14を物品5から退避させることができる。このような一連の動作が実施されることによって、物品5は負圧発生部13によって保持され且つ保持部14の保持から解放される。
【0077】
その後、物品5が負圧発生部13によって保持された状態で、昇降軸26が下降される。これにより負圧発生部13によって保持されている物品5が、受け渡しエリアR2の受け渡し部35の直上の位置に配置される。この際、保持部14が受け渡し部35と衝突しないように、第1鉛直シリンダ軸29b及び第2鉛直シリンダ軸30bの突出量が調整される。
図13に示す例では、保持部14(第1保持部14a及び第2保持部14b)は、負圧発生部13の下面よりも上方に位置しているが、これに限定されず、例えば負圧発生部13の下面よりも下方に、保持部14(第1保持部14a及び第2保持部14b)の少なくとも一部が位置していてもよい。
【0078】
そして、物品5が受け渡し部35の直上位置に配置された状態で、負圧発生部13による負圧の発生が停止させられる。これにより
図13に示すように、物品5が負圧発生部13の保持から解放され、物品5は受け渡し部35に載せられる。
【0079】
このように制御部15は負圧発生部13及び移動部12(第1移動部及び第2移動部)を制御し、受け渡しエリアR2に配置された物品5に対して負圧によって高さ方向の上方に向かって働く力を作用させつつ、保持部14を物品5から退避させて、保持部14が物品5から退避した後に負圧の発生を停止させる。
【0080】
物品5が受け渡し部35上に載せられた後、次の物品5を取り出しエリアR1から受け渡しエリアR2に移送して受け渡し部35上に載せるため、物品移送装置10は上述の一連の動作(
図7〜
図13参照)を繰り返し行う。
【0081】
[変形例]
図14は、保持部14の第1変形例を示す拡大図である。上述の実施形態では、複数の分離した部材(第1保持部14a及び第2保持部14b)によって保持部14が構成されているが、単一の一体的な部材によって保持部14が構成されていてもよい。
図14に示す保持部14は単一の一体的な部材によって構成されており、保持部14のうち物品5が載せられる部分は、水平方向に延在する平板構造を有する。なお
図14に示す保持部14はL字状の断面形状を有するが、保持部14の具体的な形状は限定されない。
【0082】
保持部14が単一の一体的な部材によって構成される場合には、複数の分離した部材によって保持部14が構成される場合に比べ、保持部14を水平方向及び高さ方向に移動させる移動部12(特に第1移動部)を簡素化することができる。例えば、保持部14が単一の一体的な部材によって構成される場合には、上述の第2エアシリンダ29及び第3エアシリンダ30のうちの一方の鉛直シリンダ軸に保持部14を取り付けることによって、他方のエアシリンダを設置する必要がない。
【0083】
図15は、保持部14の第2変形例を示す拡大図である。上述の実施形態では、物品5が保持部14に載せられることによって保持部14が物品5を保持するが、物品5が保持部14(第1保持部14a及び第2保持部14b)に挟まれることによって保持部14が物品5を保持してもよい。
図15に示す第1保持部14a及び第2保持部14bは、物品5のうちの互いに反対側に位置する両側部に接触して水平方向へ物品5を押圧することで、物品5を保持する(
図15の点線部参照)。
【0084】
なお物品5を保持部14で挟むことによって保持する場合、基本的には上述の実施形態(
図7〜
図13)と同様にして、物品5が取り出しエリアR1から受け渡しエリアR2に移送される。ただし取り出しエリアR1において、負圧発生部13が保持している物品5を保持部14によって保持する際に、負圧発生部13が負圧を発生させている状態で、保持部14(第1保持部14a及び第2保持部14b)が当該物品5を挟む。また取り出しエリアR1において保持部14が物品5を挟んでいる状態で、負圧発生部13は負圧の発生を停止させる。また受け渡しエリアR2において、保持部14が物品5を挟んでいる状態で、負圧発生部13は負圧を発生させて当該物品5を保持する。また受け渡しエリアR2において負圧発生部13が物品5を保持している状態で、保持部14は物品5から退避して、物品5の保持を解除する。
【0085】
以上説明したように上述の実施形態及び変形例に係る物品移送方法によれば、保持部14によって物品5を保持する工程は、負圧発生部13によって発生される負圧によって、物品5を高さ方向の上方へ移動させて当該物品5を載置部11から離れさせる工程と、物品5が載置部11から離れている状態で、保持部14によって物品5を保持する工程と、を含む。より具体的には、保持部14によって物品5を保持する工程は、負圧発生部13によって発生される負圧によって、物品5を高さ方向の上方へ移動させて当該物品5を載置部11から離れさせる工程と、物品5が載置部11から離れている状態で、当該物品5よりも高さ方向の下方に保持部14を配置する、又は、当該物品5を保持部14によって挟む工程と、物品5よりも高さ方向の下方に保持部14が配置された状態で、又は、物品5が保持部14によって挟まれている状態で、負圧の発生を停止させる工程と、を含む。
【0086】
これにより、物品5を取り出しエリアR1から受け渡しエリアR2に移動させる間、物品5を保持部14によって保持することができる。そのため、物品5を的確に持ち上げて、取り出しエリアR1から受け渡しエリアR2に物品5を移送することができる。特に、負圧を利用した物品5の保持に比べて保持部14は物品5を安定的に保持することができるため、取り出しエリアR1から受け渡しエリアR2に物品5を高速移送し、物品移送装置10の処理能力を向上させることも可能である。
【0087】
また受け渡しエリアR2において物品5を保持部14から解放する工程は、負圧発生部13によって発生される負圧によって、高さ方向の上方に向かって働く力を物品5に作用させる工程と、負圧によって高さ方向の上方に向かって働く力が物品5に作用している状態で、保持部14を物品5から退避させる工程と、保持部14が物品5から退避した後に、負圧の発生を停止させる工程と、を含む。
【0088】
このように受け渡しエリアR2において、保持部14による物品5の保持から、負圧発生部13による物品5の保持に切り替えられる。これにより保持部14が物品5から退避する際に、保持部14が物品5から離れた状態で、保持部14を水平方向に移動させることが可能である。これにより、保持部14から物品5に対して水平方向への摩擦力が作用することを防ぎ、受け渡しエリアR2(受け渡し部35)の所望位置に物品5を高精度に配置することができる。
【0089】
なお、保持部14が物品5の保持を解放する前に負圧発生部13が物品5を保持しない場合、保持部14に載せられている物品5には保持部14の退避動作に伴って水平方向に摩擦力が働き、物品5の姿勢が乱されたり、物品5の形状が崩されたり、物品5の位置が変えられたりする懸念がある。また、保持部14が物品5の保持を解放する前に負圧発生部13が物品5を保持しない場合、物品5は保持部14から直接的に落下するため、受け渡し部35への着地の際に大きな衝撃力が物品5に加えられる懸念がある。一方、保持部14が物品5の保持を解放する前に負圧発生部13が物品5を保持する場合、昇降軸26を昇降させることで負圧発生部13に保持されている物品5と受け渡し部35との距離を調整することが可能であり、物品5に加えられる衝撃力を抑えつつ、物品5を受け渡しエリアR2(受け渡し部35)の所望位置に精度良く配置することができる。
【0090】
また負圧発生部13は、物品5と負圧発生部13との間に向けて気体を噴出させることによって負圧を発生させることができる。この場合、負圧発生部13が物品5に含まれる液体や粉体を吸い込む懸念がなく、負圧発生部13の汚染を防いで、清掃等のメンテナンス作業の負荷を軽減することができる。このタイプの負圧発生部13によって物品5を保持する場合、物品5と負圧発生部13との間の接触を防ぐことも可能である(
図4参照)。この場合、物品5は負圧発生部13によって優しく持ち上げられるため、持ち上げに伴って物品5に加えられるダメージを抑えることができ、食品等の損傷しやすい物品5であっても載置部11から適切に持ち上げることが可能である。
【0091】
本発明は、上述の実施形態及び変形例には限定されない。例えば、上述の実施形態及び変形例の各要素に各種の変形が加えられてもよい。また、本発明によって奏される効果も上述の効果に限定されず、各実施形態の具体的な構成に応じた特有の効果も発揮されうる。このように、本発明の技術的思想及び趣旨を逸脱しない範囲で、特許請求の範囲、明細書、要約書及び図面に記載される各要素に対して種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。