特開2020-44686(P2020-44686A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-44686(P2020-44686A)
(43)【公開日】2020年3月26日
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/17 20060101AFI20200303BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20200303BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20200303BHJP
【FI】
   B41J2/17 103
   B41J2/01 125
   B41J2/01 303
   B41J2/01 305
   B41J2/165 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2018-173329(P2018-173329)
(22)【出願日】2018年9月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116665
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 和昭
(74)【代理人】
【識別番号】100194102
【弁理士】
【氏名又は名称】磯部 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】辻 明菜
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056EA20
2C056FA10
2C056HA29
2C056HA37
2C056HA46
2C056JB04
2C056JC17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ノズル面における結露を抑制する記録装置を提供する。
【解決手段】記録装置10は、キャリッジ41に収納され、メディアMの表面Maに液滴を吐出してメディアMに記録する記録ヘッド42と、メディアMの裏面Mbを支持する支持面30aを有する支持部30と、支持部30に設けられ、メディアMの表面Maに付着した液滴を加熱するヒーター34と、を備え、キャリッジ41には、ヒーター34により液滴が加熱された際に発生する蒸気を捕集可能な捕集部46が設けられている。記録ヘッド42には、液滴を吐出するための複数の孔が形成されたノズルカバー43が設けられ、ノズルカバー43は、支持面30aと対向するノズル面を有し、捕集部46は、ノズル面よりも親水性の高い材料で構成されると共に、キャリッジ41の下面且つノズル面とは異なる位置に設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に往復移動するキャリッジと、
前記キャリッジに収納され、メディアの表面に液滴を吐出して前記メディアに記録する記録ヘッドと、
前記メディアの裏面を支持する支持面を有する支持部と、
前記支持部に設けられ、前記メディアの表面に付着した前記液滴を加熱する加熱部と、
を備え、
前記キャリッジは、
前記加熱部により前記液滴が加熱された際に発生する蒸気を捕集可能な捕集部を有し、
前記記録ヘッドは、
前記液滴を吐出するための複数の孔が形成されたノズルカバーを有し、
前記ノズルカバーは、
前記支持面と対向するノズル面を有し、
前記捕集部は、
前記ノズル面よりも親水性の高い材料で構成されると共に、前記キャリッジの下面且つ前記ノズル面とは異なる位置に設けられていることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置であって、
前記捕集部の単位体積当たりの熱拡散率は、前記ノズルカバーの単位体積当たりの熱拡散率より小さいことを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の記録装置であって、
前記捕集部は、
前記キャリッジと一体形成されていることを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の記録装置であって、
前記捕集部は、
前記第1方向と交差する第2方向において、前記記録ヘッドに対して前記第2方向における一方側に位置する第1捕集部と、前記記録ヘッドに対して前記第2方向における他方側に位置する第2捕集部と、を含むことを特徴とする記録装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の記録装置であって、
前記捕集部は、
前記支持面と対向する捕集面を有し、
前記捕集面と前記支持面との間の距離は、前記ノズル面と前記支持面との間の距離と等しいことを特徴とする記録装置。
【請求項6】
請求項5に記載の記録装置であって、
前記捕集面の表面粗さは、前記ノズル面の表面粗さよりも大きいことを特徴とする記録装置。
【請求項7】
請求項6に記載の記録装置であって、
前記捕集面の表面粗さは、0.012μm以上6.3μm以下であることを特徴とする記録装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の記録装置であって、
前記捕集部が通る経路には、前記捕集部と当接可能なワイパーが設けられていることを特徴とする記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載されているように、種々のメディア(ロール紙、単票紙等)に画像・文字を記録する記録装置が周知である。このような記録装置では、溶媒を含むインクを、インクジェットヘッドを用いてメディア表面に吐出して画像・文字を記録したあと、ヒーター(加熱部)による加熱で溶媒を蒸発させてインクをメディアに定着させる。特許文献1に記載の記録装置では、溶媒が蒸発する際に発生する蒸気が記録ヘッドのノズル面で凝集して結露することを防止するために、導電性のノズルプレート(ノズル面)を電磁誘導加熱によって加熱している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−44128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載の記録装置では、以下のような問題があった。例えば、使用されるインク種によっては、ノズルプレート(ノズル面)を加熱すると、インクがノズルプレート(ノズル面)に形成されたノズル(孔)近傍で固化する場合がある。インクがノズル近傍で固化すると、インクがノズルから吐出される際にメニスカスの状態が変化し、吐出不良を招く可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の記録装置は、第1方向に往復移動するキャリッジと、前記キャリッジに収納され、メディアの表面に液滴を吐出して前記メディアに記録する記録ヘッドと、前記メディアの裏面を支持する支持面を有する支持部と、前記支持部に設けられ、前記メディアの表面に付着した前記液滴を加熱する加熱部と、を備え、前記キャリッジは、前記加熱部により前記液滴が加熱された際に発生する蒸気を捕集可能な捕集部を有し、前記記録ヘッドは、前記液滴を吐出するための複数の孔が形成されたノズルカバーを有し、前記ノズルカバーは、前記支持面と対向するノズル面を有し、前記捕集部は、前記ノズル面よりも親水性の高い材料で構成されると共に、前記キャリッジの下面且つ前記ノズル面とは異なる位置に設けられていることを特徴とする。
【0006】
上記の記録装置において、前記捕集部の単位体積当たりの熱拡散率は、前記ノズルカバーの単位体積当たりの熱拡散率より小さいことが好ましい。
【0007】
上記の記録装置において、前記捕集部は、前記キャリッジと一体形成されていることが好ましい。
【0008】
上記の記録装置において、前記捕集部は、前記第1方向と交差する第2方向において、前記記録ヘッドに対して前記第2方向における一方側に位置する第1捕集部と、前記記録ヘッドに対して前記第2方向における他方側に位置する第1捕集部と、を含むことが好ましい。
【0009】
上記の記録装置において、前記捕集部は、前記支持面と対向する捕集面を有し、前記捕集面と前記支持面との間の距離は、前記ノズル面と前記支持面との間の距離と等しいことが好ましい。
【0010】
上記の記録装置において、前記捕集面の表面粗さは、前記ノズル面の表面粗さよりも大きいことが好ましい。
【0011】
上記の記録装置において、前記捕集面の表面粗さは、0.012μm以上6.3μm以下であることが好ましい。
【0012】
上記の記録装置において、前記捕集部が通る経路には、前記捕集部と当接可能なワイパーが設けられていることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態1に係る記録装置を幅方向X(−)側から見た側面図。
図2】実施形態1に係るキャリッジを幅方向X(−)側から見た側面図。
図3】実施形態1に係るキャリッジを鉛直方向Z(−)側から見た下面図。
図4】実施形態1に係る記録ヘッドの斜視図。
図5】実施形態1に係る記録部を前後方向Y(+)側から見た正面図。
図6】実施形態1に係る記録部における蒸気発生領域を示した図。
図7】実施形態1に係るキャリッジの側面を拡大して幅方向X(−)側から見た図。
図8】実施形態1に係る幅方向における表面粗さの分布の一例。
図9】実施形態1に係る捕集面と支持面との間の距離及びノズル面と支持面との間の距離を示した図。
図10】実施形態2に係る捕集部の配置の一例を示した図。
図11】実施形態3に係る記録部とワイパーとを前後方向Y(+)側から見た正面図。
図12】実施形態3に係る記録部とワイパーとを鉛直方向Z(+)側から見た上面図。
図13】実施形態3に係るキャリッジとワイパーとを鉛直方向Z(−)側から見た下面図。
図14】実施形態3に係るワイパーが捕集部に当接する様子を前後方向Y(+)側から見た正面図。
図15】実施形態3に係るワイパーが捕集部に当接する様子を鉛直方向Z(−)側から見た下面図。
図16】変形例2に係る捕集部を鉛直方向Z(−)側から見た下面図。
図17】変形例3に係る捕集部を鉛直方向Z(−)側から見た下面図。
図18】変形例3に係る捕集部を鉛直方向Z(−)側から見た下面図。
図19】変形例5に係る捕集部とワイパーとを鉛直方向Z(−)側から見た下面図。
図20】変形例6に係るノズル面とワイパーとを鉛直方向Z(−)側から見た下面図。
図21】変形例7に係るノズル面と捕集部とを鉛直方向Z(−)側から見た下面図。
図22】変形例7に係るノズル面と捕集部とを鉛直方向Z(−)側から見た下面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材の尺度を実際とは異ならせしめている。
【0015】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る記録装置を幅方向X(−)側から見た側面図である。また、図2は、実施形態1に係るキャリッジを幅方向X(−)側から見た側面図である。また、図3は、実施形態1に係るキャリッジを鉛直方向Z(−)側から見た下面図である。また、図4は、実施形態1に係る記録ヘッドの斜視図である。また、図5は、実施形態1に係る記録部を前後方向Y(+)側から見た正面図である。また、図6は、実施形態1に係る記録部における蒸気発生領域を示した図である。また、図7は、実施形態1に係るキャリッジの側面を拡大して幅方向X(−)側から見た図である。また、図8は、実施形態1に係る幅方向における表面粗さの分布の一例である。また、図9は、実施形態1に係る捕集面と支持面との間の距離及びノズル面と支持面との間の距離を示した図である。まず、実施形態1に係る記録装置10の概略構成について、図1乃至図3を用いて説明する。本実施形態の記録装置10は、長尺のメディア(用紙)に液滴の一例としてのインクを吐出することで、文字や画像を印刷するラージフォーマットプリンターである。
【0016】
図1に示すように、記録装置10は、メディアMの繰り出しを行う繰出部20と、メディアMを支持する支持部30と、メディアMに印刷を行う記録部40と、メディアMを搬送する搬送部50と、メディアMの巻き取りを行う巻取部60と、を備えている。また、図1及び図2に示すように、記録装置10は、捕集部46を備えている。なお、メディアMの材質は特に限定されず、紙材やフィルム材等を適用することができる。
【0017】
なお、以降の説明では、記録装置10の幅方向を「幅方向X」とし、記録装置10の前後方向を「前後方向Y」とし、記録装置10の上下方向を「鉛直方向Z」とし、メディアMが搬送される方向を「搬送方向F」とする。本実施形態では、幅方向X、前後方向Y及び鉛直方向Zは互いに交差(直交)する方向であり、搬送方向Fは幅方向Xと交差(直交)する方向である。また、幅方向X、前後方向Y及び鉛直方向Zにおいて、矢印が向いている方を正として、幅方向X(+)などと表現する。また、前後方向Y(+)側から見た図を「正面図」、鉛直方向Z(+)側から見た図を「上面図」、鉛直方向Z(−)側から見た図を「下面図」等と呼ぶ。
【0018】
繰出部20は、長尺のメディアMが巻き重ねられたロール体21と一体回転する繰出軸22を備えている。そして、繰出部20は、繰出軸22を図1における反時計方向に回転させることで搬送方向Fの下流側にメディアMを繰り出す。なお、繰出部20は、搬送方向Fの下流に繰り出すメディアMに「しわ」や「よれ」が生じないように、繰出軸22の回転速度を調整することで、メディアMに張力を作用させることが好ましい。
【0019】
支持部30は、メディアMの裏面Mbを支持する。支持部30は、アルミニウム(Al)やステンレス(SUS)等の金属でできており、鉛直方向Z(−)側からメディアMの裏面Mbに接触する略平面状の支持面30aを有する。すなわち、支持部30は、メディアMの裏面Mbを支持する支持面30aを有する。なお、図1においては、便宜上メディアMの裏面Mbが、支持面30aに対して鉛直方向Z(+)側にずれた状態で図示されている。支持部30には、メディアMを加熱可能なヒーター34が配置されている。本実施形態のヒーター34は、加熱部の一例であり、支持部30の支持面30aとは反対側の面(裏面)側に配置されている。ヒーター34は、例えば、チューブヒーターであり、アルミテープ等を介して、支持部30の裏面に貼付されている。そして、ヒーター34を駆動させることにより、熱伝導でメディアMの裏面Mbを支持する支持面30aを加熱することができる。すなわち、支持部30には、メディアMの表面Maに付着した液滴を加熱する加熱部が設けられている。なお、本実施形態の支持部30は、搬送方向Fに沿って3つ設けられているが、これに限定されない。後述するが、少なくともメディアMにおいて記録ヘッド42によりインクが吐出される領域を支持していればよい。このとき、ヒーター34は少なくともメディアMにおいて記録部40によりインクが吐出される領域を支持する支持部30に設けられていればよい。また、支持面30aは、略平面でなくてもよい。例えば、幅方向Xと前後方向Yとの少なくとも一方に形成され、鉛直方向Z(−)側からメディアMの裏面Mbに接触可能な複数のリブが設けられていてもよい。
【0020】
搬送部50は、メディアMを搬送方向Fに搬送するものである。搬送部50は、メディアMに搬送力を付与する駆動ローラー53と、駆動ローラー53に向けてメディアMを押さえ付ける従動ローラー54と、を有している。そして、搬送部50は、駆動ローラー53及び従動ローラー54にメディアMを挟持させた状態で、駆動ローラー53を駆動させることで、メディアMを搬送方向Fの下流側に向かって搬送する。
【0021】
図1及び図2に示すように、記録部40は、第1方向としての幅方向Xに往復移動するキャリッジ41と、キャリッジ41に収納され、メディアMの表面Maにインクを液滴として吐出してメディアMに記録する記録ヘッド42と、キャリッジ41を幅方向Xに移動可能に支持するガイド軸44と、キャリッジ41を幅方向Xに移動させる駆動源となる移動機構45と、少なくとも記録ヘッド42により画像が記録される領域を支持する支持部30と、を備えている。これにより、記録部40を用いて幅方向Xに往復移動しながらインクをメディアMの表面Maに吐出し、画像や文字を記録することができる。移動機構45は、例えばモーターの回転トルクをプーリー及び伝動ベルトを用いて幅方向Xの往復移動のトルクに変換し、キャリッジ41を駆動させる構成が考えられるが、これに限定されるものではない。また、キャリッジ41は、ヒーター34によりインクが加熱された際に発生する蒸気を捕集可能な捕集部46を有している。なお、本実施形態のインクは、溶媒として「水」が用いられるものとする。
【0022】
図1に示すように、巻取部60は、長尺のメディアMを巻き重ねたロール体61と一体回転する巻取軸62を備えている。そして、巻取部60は、巻取軸62を図1における反時計方向に回転させることでメディアMの巻き取りを行う。なお、巻取部60は、繰出部20と同様に、メディアMに「しわ」や「よれ」が生じないように、巻取軸62の回転速度を調整することで、メディアMの長手方向に張力を作用させることが好ましい。
【0023】
次に、図2乃至図4を用いて、キャリッジ41及び記録ヘッド42の詳細な構成について説明する。
図2及び図3に示すように、記録ヘッド42は、インクを吐出するための複数のノズル42nが形成されたノズルプレート421と、インクを吐出するための複数の孔43hが形成されたノズルカバー43と、を有する。各々の孔43hの直径D2は、各々のノズル42nの直径D1よりも10%〜30%ほど大きい。したがって、鉛直方向Z(−)側からノズルカバー43を見た場合、複数の孔43hから複数のノズル42nの一部が露出している。複数のノズル42n及び複数の孔43hは、記録ヘッド42の長手方向が前後方向Yとなるようにキャリッジ41に収納された状態において、前後方向Yに並んで配置される。
【0024】
図3に示すように、記録ヘッド42は幅方方向Xに並べられている。本実施形態では、図3における左側から順にブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色のインクに対応した記録ヘッド42K,42C,42M,42Yが配置されている。なお、本実施形態の記録ヘッド42は、幅方向Xに沿って4つ設けられているが、これに限定されない。1つでもよいし、5つ以上設けられていてもよい。また、本実施形態ではブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色に対応した記録ヘッド42が配置されているが、これらに加えてメディアMの表面Maに付着したインクを定着させるための前処理液或いは後処理液を吐出するための記録ヘッド42や、ホワイト(W)のインクを吐出するための記録ヘッド42が設けられていてもよい。また、各色に対応した記録ヘッド42の配置の順番は、特に限定されるものではない。また、各々の記録ヘッド42は千鳥状に配置されていてもよい。なお、ノズル面43aが幅方向Xに並んで配置された状態で、ノズル面43aが設けられている範囲をAとする。
【0025】
記録ヘッド42は、駆動素子としての圧電素子の駆動により、ノズルプレート421に形成された複数のノズル42nからインクが吐出される。ノズルプレート421は、例えばシリコン(Si)によって構成され、少なくとも支持面30aと対向する側には、撥水処理が施されている。ノズルプレート421には、支持面30aと対向する側に、ノズルカバー43が設けられている。ノズルカバー43は、例えばステンレス(SUS)によって構成され、ノズルプレート421に密着した状態で、記録ヘッド42と共にキャリッジ41に支持される。すなわち、ノズルカバー43は記録ヘッド42を構成する部品の一つであり、記録ヘッド42は、インクを吐出するための複数の孔43hが形成されたノズルカバー43を有する。ノズルカバー43は、ノズルプレート421の支持面30aと対向する面を覆っている。前述のように、ノズルカバー43に形成された複数の孔43hの直径D2が、ノズルプレート421に形成された複数のノズル42nの直径D1よりも大きく設定されていることで、複数のノズル42nからインクが吐出される際、ノズルカバー43に形成された複数の孔43hによってインクの吐出が阻害されることを抑制できる。また、ノズルカバー43は、支持面30aに対向する側のノズルプレート421の、複数の孔43hを除く略全ての領域を被覆することで、支持面30aに対向する側のノズルプレート421が傷付くことを抑制できる。なお、図3においてはノズルプレート421に形成された複数のノズル42nと、ノズルカバー43に形成された複数の孔43hと、の個数は5個であるが、適宜変更可能である。また、本実施形態では、複数の孔43hを複数のノズル42nと対応する位置に並べて設けているが、これに限定されない。例えば、幅方向Xの幅がD2で、前後方向Yに延びるスリット形状でもよい。
【0026】
図4に示すように、記録ヘッド42は、ノズルプレート421と、本体部422と、ノズルカバー43と、を含む。前述した圧電素子は、本体部422に内蔵されている。図示は省略するが、本体部422には圧電素子の他、複数のノズル42nと連通する少なくとも一つの圧力室が備えられている。当該圧力室を構成する壁面には圧電素子が取り付けられ、圧電素子に電圧が与えられると圧電素子が変形し、その変形の作用が圧力室の体積を変化させる。これにより、記録ヘッド42は複数のノズル42nからインクを吐出させることができる。
【0027】
ノズルカバー43は、前後方向Yを長手方向とする薄板状部材である。具体的には、幅方向Xの長さがL1、前後方向Yの長さがL2、鉛直方向Zの長さがL3であり、本実施形態ではL3<L1<L2の関係が成り立つ。すなわち、L1,L2,L3の中で、鉛直方向Zの長さL3が最も小さい。ここで、ノズルカバー43に形成された複数の孔43hの直径D2は約10〜30μmである。また、ノズルカバー43の幅方向Xの長さL1は約2cm、ノズルカバー43の前後方向Yの長さL2は約5cm、ノズルカバー43の鉛直方向Zの長さL3は約0.5mmほどである。したがって、複数の孔43hの直径D2は、L1,L2,L3のいずれよりも十分小さい。そして、ノズルカバー43は、支持面30aと対向するノズル面43aを有する。ノズル面43aは、支持面30aと略平行となるように、支持面30aと対向する。これにより、複数の孔43hからインクが吐出される際、所望の位置からインクの着弾位置がずれることを抑制できる。
【0028】
図2及び図3に示すように、キャリッジ41は、支持面30aと対向する下面41aを有する。キャリッジ41は、アルミニウム(Al)を切削加工することにより形成される。下面41aは、キャリッジ41のうち支持面30aと対向する部分を全て含む概念である。本実施形態では、下面41aは支持面30aと略平行であるが、例えば下面41aが支持面30aに対して傾斜していてもよい。また、本実施形態における下面41aは略平面だが、凹凸があってもよい。また、本実施形態におけるノズル面43aは、下面41aよりも鉛直方向Z(−)側に突出しているが、これに限定されるものではない。例えば、ノズル面43aが下面41aを含む平面と同一平面内にあってもよく、ノズル面43aが下面41aを含む平面よりも鉛直方向の上側にあってもよい。
【0029】
ここで、図5を用いて記録部40によるメディアMへの画像の記録について説明する。
図5に示すように、記録ヘッド42は、メディアMあるいは支持部30の幅方向Xにおける長さ以下の記録領域Eにおいて、メディアMの表面Maにインクを吐出して画像、文字等を記録するものである。前述したように、記録ヘッド42はキャリッジ41に収納された状態で、幅方向Xに往復移動可能である。すなわち、記録ヘッド42は、幅方向Xに往復移動しながら、記録領域EにおいてメディアMの表面Maにインクを吐出して画像、文字等を形成することができる。本実施形態では、記録ヘッド42が実行するメディアMの表面Maへの画像、文字等の形成動作を「記録動作」と呼称する。また、本実施形態では、記録ヘッド42が往復移動する方向は幅方向Xと一致しているが、これに限らない。例えば、記録ヘッド42が往復移動する方向が幅方向Xと異なっていてもよい。
【0030】
また、記録領域Eに対して幅方向X(+)側と幅方向X(−)側との少なくとも一方の領域は、記録ヘッド42による記録動作が行われない非記録領域NEである。非記録領域NEでは、図示しないがメンテナンスポジションとして利用することができる。例えば、ノズル面43aに付着したインクミスト等を拭き取るワイパーや、ノズル面43aに密着して複数のノズル42n及び複数の孔43hで固化したインクを吸い出すフラッシングユニット等を、非記録領域NEに設けることができる。本実施形態では、記録領域Eに対して幅方向X(+)側と、記録領域Eに対して幅方向X(−)側と、の両方が非記録領域NEであるが、これに限らない。
【0031】
また、記録領域Eでは、支持面30aに支持されたメディアMを鉛直方向Z(+)側(表面Ma側)から支持面30a側に押さえる押え部(図示せず)や、メディアMの裏面Mbを吸引して支持面30aに密着させるための吸引孔(図示せず)が設けられている。吸引孔の場合は、鉛直方向Zにおいて、支持部30の支持面30aとは反対側の面(裏面)側に大気圧よりも気圧を低く保つ箱状の負圧室(図示せず)と、負圧室を大気圧よりも気圧を低くするための吸引ファン(図示せず)と、が設けられていることが好ましい。これにより、支持面30a上のメディアMの浮き等を抑えた状態で、記録ヘッド42からインクを吐出させる。これにより、インクを正確な位置に着弾させ、画像品質を向上させることができる。すなわち、メディアMは、少なくとも記録ヘッド42によりインクが吐出される記録領域Eと対応する部分が、支持部30によって支持されている。
【0032】
次に、捕集部46の構成と作用について、図2図3及び図6を用いて詳述する。
【0033】
図2及び図3に示すように、キャリッジ41は、ノズルカバー43に対して前後方向Y(+)に捕集部46を有する。言い換えれば、キャリッジ41は、ノズル面43aに対して前後方向Y(+)に捕集部46を有する。更に言い換えれば、捕集部46は、キャリッジ41を構成する部材の一つである。なお、捕集部46は、ノズルカバー43に対して前後方向Y(−)のみに設けられていてもよい。捕集部46は、接着剤を用いてキャリッジ41の下面41aに取り付けられている。また、捕集部46は、幅方向Xにおいて、ノズル面43aが設けられている範囲Aよりも広い範囲、且つ、キャリッジ41の下面41aの幅方向Xの長さと同じ範囲に設けられている。捕集部46は、ノズル面43aよりも親水性の高い材料で構成される。ここでいう親水性とは、水に対する濡れ性を指す。すなわち、「材料の親水性が高い」とは、「材料の水に対する濡れ性が高い」ことと等しい。
【0034】
水に対する濡れ性は、材料の表面エネルギーによって略決定される。材料の表面エネルギーは、材料を構成する原子間或いは分子間に働く力の他、材料の表面の粗さにも依存する。材料を構成する原子間或いは分子間に働く力が大きいほど表面エネルギーも大きく、材料の表面の粗さが大きいほど表面エネルギーも大きくなる。捕集部46は、例えばアルミニウム(Al)で構成される。すなわち、捕集部46は、キャリッジ41を構成する材料と同じ材料で構成されている。本実施形態では、捕集部46は例えばアルミニウム(Al)を、後述する表面加工したもので構成される。以上をまとめると、捕集部46は、ノズル面43aよりも親水性の高い材料で構成されると共に、キャリッジ41の下面41a且つノズル面aとは異なる位置に設けられている。なお、捕集部46は、鉛直方向Zから見てキャリッジ41の下面41a且つノズル面43aと異なる位置に設けられていればよく、その配置は特に限定されない。
【0035】
ここで、記録ヘッド42による記録動作に伴う蒸気の発生と、ノズル面43aにおける結露の発生について、図6を用いて説明する。
図6は、記録ヘッド42がメディアMの表面Maに記録動作を行う際、支持部30に設けられたヒーター34によってメディアMが加熱されている状態を示す。具体的には、メディアMは、記録ヘッド42により画像や文字等が形成される際、記録ヘッド42のノズル面43aと対向する支持部30の支持面30aまで、搬送部50によって搬送される。
【0036】
記録ヘッド42は、幅方向Xに往復移動しながらメディアMの表面Maにインクを吐出することで、メディアMの表面Maに画像や文字等を形成する。鉛直方向Zにおいて支持部30の支持面30aとは反対側の面(裏面)側に配置されたヒーター34によってメディアMが加熱されることで、メディアMの表面Maに着弾したインクが加熱され、画像や文字等がメディアMの表面Maに定着する。このとき、インクが加熱されると、インクに含まれる溶媒が蒸発し、蒸気が少なくとも記録領域Eに拡散する。通常、蒸気の形状は不定であるが、図6においては説明を簡単にするために、少なくとも記録領域E近傍で蒸気が発生する領域を蒸気発生領域STとして図示する。溶媒は、例えば「水」であり、蒸気は溶媒が蒸発温度以上に加熱されることで気化したものである。したがって、蒸気の中には、多数の溶媒分子としての水分子が含まれている。
【0037】
時間が経過するにつれ、蒸気発生領域STに含まれる蒸気の量は増加する。この状態でキャリッジ41及び記録ヘッド42が幅方向Xに往復移動すると、キャリッジ41及び記録ヘッド42が蒸気発生領域STを通過し、キャリッジ41及び記録ヘッド42が蒸気に曝露される。このとき、ノズル面43aが蒸気と接触し、ノズル面43a及びノズル面43aの近傍の温度が蒸気の凝集温度以下の場合は、ノズル面43aで蒸気が凝集して液体となり、結露が発生する。ノズル面43aに液体が堆積すると、複数の孔43hに液体が入り込み、記録ヘッド42の動作不良を招く可能性がある。
【0038】
これに対し、本実施形態では、ノズル面43aよりも親水性の高い捕集部46が、鉛直方向Zから見てキャリッジ41の下面41a且つノズル面43aと異なる位置に設けられている。これにより、記録ヘッド42が蒸気発生領域STを通過する場合であっても、蒸気がノズル面43aよりも親水性の高い捕集部46に付着しやすくなる。これは、捕集部46がノズル面43aに比べて水に対する濡れ性が高いからである。このとき、ノズル面43aを加熱して結露を抑制している訳ではないため、複数の孔43hでインクが硬化して吐出不良が発生することを防止しながら、ノズル面43aにおける結露を抑制できる。
【0039】
次に、図7を用いて、捕集部46の親水性をノズル面43aの親水性よりも高くする構成について更に詳述する。図7は、本実施形態に係るキャリッジ41の側面拡大図である。
図7に示すように、捕集部46は、幅方向Xから見て、支持面30aと対向する第1の捕集面46aと、第1の捕集面46aと交差する第2の捕集面46bと、を有する。特に、第1の捕集面46aは、本願発明における「捕集面」に相当する。捕集部46は、鉛直方向Z(−)から見て、幅方向Xに延びた矩形状部材である。第1の捕集面46aは、キャリッジ41の下面41aよりも鉛直方向Z(−)側に突出している。本実施形態では、幅方向Xにおける捕集部46の長さは、幅方向Xにおけるキャリッジ41の下面41aの長さと略同じであるが、これに限定されない。
【0040】
第1の捕集面46aの表面粗さは、ノズル面43aの表面粗さよりも大きい。このとき、本実施形態における表面粗さとは、「算術平均表面粗さRa」を表す。算術平均表面粗さRa[μm]は、幅方向Xにおいては以下の式で定義される。
【0041】
【数1】
【0042】
式(1)の意味について、図8を用いて説明する。
図8は、幅方向Xに沿って、例えば第1の捕集面46aの表面粗さを測定した場合の測定結果の一例である。まず、幅方向Xにおいて、略連続的に表面粗さを複数点において測定する。測定区間は、原点をX=0mmとして、X=lmmの箇所までとし、当該測定区間を[0,l]と表現する。測定区間[0,l]において、略連続的に表面粗さを測定する。そうすると、図8に示すように、幅方向Xに対して表面粗さの分布f(X)が決まる。表面粗さの分布f(X)を幅方向Xにおける測定区間で積分することで、基準軸である幅方向Xの軸f(X)=0、表面粗さの分布f(X)、X=0及びX=lにより囲まれる部分の面積すなわち積分値を求めることができる。図8には、この積分値を斜線で表している。この積分値を測定区間で除することで、測定区間における表面粗さの平均Raを求めることができる。すなわち、表面粗さの平均Raは、第1の捕集面46aを含む平面と直交する鉛直方向Zにおける、幅方向Xに対する表面粗さの統計分布の平均値である。したがって、表面粗さは、鉛直方向Zに関する値である。以降、算術平均表面粗さを「表面粗さRa」と呼称する。なお、前後方向Yにおいても同様であるため、前後方向Yにおける表面粗さの説明は省略する。また、第1の捕集面46aの表面粗さRaについて言及したが、第2の捕集面46bに対しても同様に表面粗さRaを定義することができる。
【0043】
本実施形態における第1の捕集面46aの表面粗さRaは、式(1)のような1次元の式で計算した値であるが、これに限定されない。例えば、第1の捕集面46aが含まれる2次元平面において、当該2次元平面での表面粗さの分布f(X,Y)を測定して、表面粗さの分布f(X,Y)を面積分し、測定区間たる2次元平面の面積で除するものでもよい。
【0044】
ここで、第1の捕集面46aの表面粗さRaが、ノズル面43aの表面粗さRaよりも大きいことによる、蒸気の吸着作用について説明する。本実施形態における「吸着」とは、所謂物理吸着を指す。物理吸着は、一般的には、相の異なる2つ以上の物質が接触する界面で生じる。例えば、気相の物質と固相の物質との界面である。本実施形態では、気相の物質は蒸気、固相の物質は捕集部46やノズルカバー43である。このとき、蒸気と捕集部46とが接触する第1の捕集面46aや第2の捕集面46bが、界面に相当する。なお、本実施形態では、鉛直方向Z(−)側から第1の捕集面46aを見た場合の第1の捕集面46aの面積が、前後方向Yから第2の捕集面46bを見た場合の第2の捕集面46bの面積よりも十分大きい。したがって、後述する吸着作用は、ほとんど第1の捕集面46aの寄与によるものである。
【0045】
固相の物質の表面粗さRaが大きい場合、表面粗さRaが小さい場合と比べ、表面(界面)の原子配列が乱雑になる。これにより、固相の物質の表面自由エネルギーが増加する。すると、固相の物質は、表面(界面)で接触している気相の物質を吸着して、表面(界面)の原子配列を整えようとする。具体的には、乱雑な原子配列の隙間に、気相の物質を構成する原子や分子を補填することで、原子配列を整えようとする。これにより、固相の物質の表面自由エネルギーが減少し、安定化する。
【0046】
キャリッジ41に設けられた捕集部46が、キャリッジ41と共に蒸気発生領域STを通過すると、前述した物理吸着の作用によって第1の捕集面46aに蒸気が吸着される。具体的には、蒸気を構成する微粒子が、物理吸着の作用によって第1の捕集面46aに吸着される。蒸気は、水分子が大気中の塵を核として集合した微粒子から構成される。すなわち、「蒸気が吸着される」とは、蒸気を構成する微粒子が吸着されることと同じである。蒸気が第1の捕集面46aに吸着されると、第1の捕集面46aには水分子数個分の水分子層が形成される。その後、水分子層近傍の蒸気が、分子間力によって水分子層に引き付けられる。水分子層近傍の温度が凝集温度以下である場合、蒸気を構成する水分子の運動エネルギーが奪われ、蒸気は、第1の捕集面46aに液体として堆積する。なお、吸着作用は、ほとんどが第1の捕集面46aの寄与によるものであるが、第2の捕集面46bの寄与もゼロではない。すなわち、捕集部46による蒸気の捕集作用は、第1の捕集面46a及び第2の捕集面46bにおける物理吸着と、第1の捕集面46a及び第2の捕集面46bにおける蒸気の凝集と、によって実現される。
【0047】
以上をまとめると、本実施形態における捕集部46は、支持面30aと対向する第1の捕集面46aを有し、第1の捕集面46aの表面粗さRaは、ノズル面43aの表面粗さRaよりも大きい。これにより、第1の捕集面46aの方がノズル面43aよりも表面自由エネルギーが大きくなるため、ノズル面43aよりも第1の捕集面46aにおいて蒸気が吸着されやすくなる。すなわち、第1の捕集面46aは、IUPAC(International Union of Pure and Applied Chemistry、国際純正・応用化学連合)により定義されているメソ孔を有する多孔質材料と同様の作用機序を有する。これにより、ノズル面43aにおける結露をより一層抑制できる。一般的に、物理吸着作用が発揮される表面(界面)では、親水性が高い。すなわち、本願発明における「親水性」とは、材料そのものが有する表面自由エネルギーに加え、捕集部46の表面を加工することによって、物理吸着が発揮されるような性質を含めた概念である。捕集部46の表面を加工する方法としては、例えば切削加工が挙げられる。すなわち、第1の捕集面46aの表面粗さRaを、切削加工によってノズル面43aの表面粗さRaよりも大きくすることで、捕集部46の親水性を発現させることを含む。この場合、ノズル面43aの表面粗さRaと捕集部46の表面粗さRaとは、公知の表面粗さ測定装置(原子間力顕微鏡、白色干渉計或いはレーザー顕微鏡等)を用いて表面粗さを測定し、第1の捕集面46aの表面粗さRaがノズル面43aの表面粗さRaよりも大きくなるように、第1の捕集面46aの表面粗さRaを調整する。
【0048】
また、捕集部46の表面を加工する方法としては、改質も挙げられる。例えば、アルミニウム(Al)で構成される第1の捕集面46aにアルミニウム酸化被膜(Al23)を形成して、第1の捕集面46aの表面粗さRaがノズル面43aの表面粗さRaよりも大きくなるように、第1の捕集面46aに形成される酸化被膜の厚さをばらつかせることで実現できる。これらの他、捕集部46の表面を加工する方法としては、第1の捕集面46aにエッチング等の化学処理を施すことも考えられる。
【0049】
なお、第1の捕集面46aを切削加工した際は、第1の捕集面46aをアセトン等の有機溶剤や水等で洗浄することが好ましい。これは、切削加工する際は、材料を冷却するために疎水性を有する切削油が用いられる場合があるからである。具体的には、当該切削油が第1の捕集面46aに残留すると、当該切削油が疎水性を有する場合、第1の捕集面46aの親水性が低下する可能性がある。本実施形態では、第1の捕集面46aを切削加工した後に、第1の捕集面46aをアセトン等の有機溶剤や水等で洗浄することによって第1の捕集面46aが有する親水性が低下することを抑制できる。また、第1の捕集面46aを改質や化学処理した場合においても、第1の捕集面46aを洗浄することが好ましい。アルミニウム酸化被膜(Al23)を形成する手段として、例えば陽極酸化を用いた場合には、第1の捕集面46aに電解液が残存し、当該電解液が第1の捕集面46aの捕集作用を低下させる可能性がある。また、第1の捕集面46aをウェットエッチング等の化学処理によって加工した場合には、第1の捕集面46aにエッチング液が残存し、当該エッチング液が第1の捕集面46aの捕集作用を低下させる可能性がある。これらの場合においても、第1の捕集面46aをアセトン等の有機溶剤や水等で洗浄することによって第1の捕集面46aが有する親水性が低下することを抑制できる。
【0050】
本実施形態において、第1の捕集面46aの表面粗さRaは、0.012μm以上6.3μm以下であることが好ましい。上述したように、例えば切削加工と表面粗さの測定とによって、第1の捕集面46aの表面粗さRaが0.012μm以上6.3μm以下となるように調整する。蒸気を構成する粒子の大きさは、記録装置10の周囲環境によって変動するものの、約0.01μm〜6μmの範囲内にある。蒸気は、前述したように水分子が大気中の塵を核として集合した微粒子から構成される。したがって、第1の捕集面46aの表面粗さRaを、蒸気の微粒子の大きさの範囲が包括されるように、0.012μm以上6.3μm以下とすることにより、蒸気を構成する粒子を第1の捕集面46aに取り込んで、蒸気を第1の捕集面46aに吸着させることができる。ゆえに、捕集部46による捕集作用を十分に実現できる。言い換えれば、多孔質のメソ孔の大きさを、吸着したい物質の粒子サイズに合わせて最適化することと同様の概念である。
【0051】
なお、図9において、第1の捕集面46aと支持面30aとの間の距離H1は、ノズル面43aと支持面30aとの間の距離H2と等しい(H1=H2)。この作用について、第1の捕集面46aと支持面30aとの間の距離H1が、ノズル面43aと支持面30aとの間の距離H2と異なる場合と比較して説明する。
【0052】
第1の捕集面46aと支持面30aとの間の距離H1がノズル面43aと支持面30aとの間の距離H2と異なる場合は、二つある。一つ目は、第1の捕集面46aと支持面30aとの間の距離H1が、ノズル面43aと支持面30aとの間の距離H2よりも大きい場合である。この場合、蒸気が第1の捕集面46aに到達するまでの距離が長くなってしまうため、第1の捕集面46aに到達する前にノズル面43aに付着してしまう可能性がある。二つ目は、第1の捕集面46aと支持面30aとの間の距離H1が,ノズル面43aと支持面30aとの間の距離H2よりも小さい場合である。この場合、第1の捕集面46aに捕集された蒸気が凝集して液体となった際、当該液体がメディアMの表面Maに接触しやすくなる可能性がある。
【0053】
これに対し、本実施形態における捕集部46は、支持面30aと対向する第1の捕集面46aを有する。そして、第1の捕集面46aと支持面30aとの間の距離H1は、ノズル面43aと支持面30aとの間の距離H2と等しい(H1=H2)。すなわち、支持面30aから第1の捕集面46aまでの高さと支持面30aからノズル面43aまでの高さとが等しい。これにより、支持面30aから第1の捕集面46aまでの高さと支持面30aからノズル面43aまでの高さとが異なる場合の弊害が抑制される。したがって、第1の捕集面46aによる蒸気の捕集効果をより一層向上したり、第1の捕集面46aに捕集された蒸気が凝集して液体となった場合に、当該液体がメディアMの表面Maに接触してメディアMの表面Maを汚損したりすることを抑制できる。なお、本実施形態ではH1=H2=約2mmである。そして、前述したように、第1の捕集面46aの表面粗さRaは、0.012μm以上6.3μm以下であり、大きくても第1の捕集面46aの表面粗さRaは数μm程度である。したがって、H1,H2よりも第1の捕集面46aの表面粗さRaの値の方が十分小さいため、第1の捕集面46aの表面粗さRaがH1,H2の値に与える影響は非常に小さい。したがって、H1,H2の値は、ものさし等の測定器が有する種々の測定誤差に加え、第1の捕集面46aの表面粗さRaを加味した誤差の範囲で、H1=H2となっていればよい。
【0054】
次に、図2乃至図7を用いて、キャリッジ41とノズルカバー43との熱力学的な特性について詳述する。
【0055】
前述したように、結露は、第1の捕集面46a及び第1の捕集面46a近傍の温度、第2の捕集面46b及び第2の捕集面46b近傍の温度が蒸気の凝集温度以下となっている場合に、第1の捕集面46a及び第2の捕集面46bに蒸気が凝集して液体となることで発生する。言い換えれば、第1の捕集面46a及び第1の捕集面46a近傍の温度、第2の捕集面46b及び第2の捕集面46b近傍の温度が蒸気の凝集温度以下となれば、第1の捕集面46a及び第2の捕集面46bにおける蒸気の凝集作用を向上させることができる。本実施形態では、第1の捕集面46a及び第2の捕集面46bにおける蒸気の凝集作用を向上させるため、捕集部46の単位体積当たりの熱拡散率kCは、ノズルカバー43の単位体積当たりの熱拡散率kNCより小さく設定されている(kC<kNC)。
【0056】
以下、単位体積当たりの熱拡散率kについて説明する。以降は、物体に関する一般的な説明であるので、特に添え字は付さない。物体の温度をT[K]、時間をt[s]とすると、例えば幅方向Xにおける一次元の熱伝導方程式は次のように書かれる。
【0057】
【数2】
【0058】
式(2)において、m[kg]は物体の質量、c[J/(kg・K)]は物体の比熱、λ[W/(m・K)]は物体の熱伝導率である。物体の質量mは、物体の密度ρ[kg/m3]と物体の体積V[m3]とを用いてm=ρ×Vと表されるから、式(2)は以下のように書き直すことができる。
【0059】
【数3】
【0060】
式(3)において、右辺の∂T/∂Xの係数λ/(ρ×c)が、一般的に熱拡散率と呼称されているものである。すなわち、熱拡散率は、物体の熱伝導率λを、物体の密度ρと物体の比熱cとの積で除した値である。更に、式(3)において、右辺の∂T/∂Xには、熱拡散率の他に、体積の逆数1/Vも係数として掛けられている。言い換えれば、右辺の∂T/∂Xには、物体の熱拡散率を、物体の体積Vで除したものが係数として掛けられている。すなわち、右辺の∂T/∂Xの係数が、「単位体積当たりの熱拡散率k」である。単位体積当たりの熱拡散率kは、熱力学的には物体の温度Tの時間変化のしやすさを表す。式(3)からも明らかなように、右辺の熱拡散率kが大きいほど、左辺の∂T/∂tも大きくなる。
【0061】
例えば、ある物体に熱エネルギーが与えられるとする。このとき、単位体積当たりの熱拡散率kが大きい場合、単位体積当たりの熱拡散率kが小さい場合と比べて、物体の温度が早く上昇する。すなわち、時間変化が大きい。ここで、改めて単位体積当たりの熱拡散率kを書くと、以下のようになる。式(4)から明らかなように、単位体積当たりの熱拡散率kの単位は、[m-1・s-1]である。また、式(4)の分母は物体の熱容量C[kg/K]を表しているから、単位体積当たりの熱拡散率kは、物体の熱伝導率λ[W/(m・K)]を熱容量C[kg/K]で除した値とも言える。
【0062】
【数4】
【0063】
上記説明に基づいて、捕集部46の単位体積当たりの熱拡散率kCと、ノズルカバー43の単位体積当たりの熱拡散率kNCについて説明する。なお、実際には、密度ρ、比熱c及び熱伝導率λは温度依存性を有するが、本実施形態の記録装置10は密度ρ、比熱c及び熱伝導率λの温度依存性が発現しない温度範囲(60℃〜80℃)でメディアMを加熱するため、密度ρ、比熱c及び熱伝導率λの温度依存性は無視できるものとする。
【0064】
まず、ノズルカバー43の単位体積当たりの熱拡散率kNCについて説明する。図4を用いて説明したように、ノズルカバー43は、具体的には、幅方向Xの長さL1、前後方向Yの長さがL2、鉛直方向Zの長さがL3の、薄板状部材である。したがって、ノズルカバー43の体積VNCは、L1×L2×L3である。また、本実施形態では、L1=約2cm、L2=約5cm、L3=約0.5mmほどであるから、ノズルカバー43の体積VNCは約5×10-73である。ここで、ノズルカバー43にはインクを吐出するための複数の孔43hが形成されているが、各々の孔43hの直径D2は、L1,L2及びL3に比べて十分小さい。したがって、各々の孔43hの直径D2がノズルカバー43の体積VNCの値に与える影響は無視できる。また、ノズルカバー43はステンレス(SUS)で構成されている。SUSの密度ρは約7750kg/m3、比熱cは約460J/(kg・K)、熱伝導率λは約27.2W/(m・K)である。これらの値と式(4)とを用いてノズルカバー43の単位体積当たりの熱拡散率kNCを計算すると、本実施形態では約15m-1・s-1となる。
【0065】
次に、捕集部46の単位体積当たりの熱拡散率kCについて説明する。捕集部46は、図2及び図3を用いて説明したように、アルミニウム(Al)で構成されている。一方、キャリッジ41もアルミニウム(Al)で構成されている。すなわち、キャリッジ41と捕集部46とは、同じ材料で構成されている。キャリッジ41と捕集部46とは接着剤を用いて互いに接着しているが、本実施形態における接着剤は熱伝導性を有することが好ましい。例えば、接着剤として銀(Ag)等の熱伝導性フィラーを含むシリコーン系接着剤を用いることで実現できる。捕集部46を熱伝導性の接着剤でキャリッジ41に接続することにより、キャリッジ41と捕集部46との間で熱エネルギーが出入りできるようになる。すなわち、捕集部46を熱伝導性の接着剤でキャリッジ41に接続することにより、キャリッジ41と捕集部46とを、熱力学的に一つの系として扱うことができる。したがって、本実施形態では、「捕集部46の熱拡散率」は、捕集部46を含むキャリッジ41の熱拡散率を指す。すなわち、本実施形態における「捕集部46の単位体積当たりの熱拡散率kC」は、捕集部46を含むキャリッジ41の単位体積当たりの熱拡散率を指す。
【0066】
図2等で表されるように、捕集部46を含むキャリッジ41の形状は、単純な形状ではない。したがって、本実施形態では、捕集部46を含むキャリッジ41に対応する立体モデルから、数値計算により捕集部46を含むキャリッジ41の体積VCRを求めることとした。数値計算の詳細は省略する。本実施形態では、捕集部46を含むキャリッジ41の体積VCRは約0.012m3である。アルミニウム(Al)の密度ρは約2700kg/m3、比熱cは約940J/(kg・K)、熱伝導率λは約236W/(m・K)である。これらの値と式(4)とを用いて捕集部46を含むキャリッジ41の単位体積当たりの熱拡散率kCを計算すると、本実施形態では約0.0077m-1・s-1となる。
【0067】
以上までの熱拡散率の計算をまとめると、捕集部46の単位体積当たりの熱拡散率kCは約0.0077m-1・s-1、ノズルカバー43の単位体積当たりの熱拡散率kNCは約15m-1・s-1である。したがって、捕集部46の単位体積当たりの熱拡散率kCは、ノズルカバー43の単位体積当たりの熱拡散率kNCより小さい(kC<kNC)。
【0068】
ここで、捕集部46の単位体積当たりの熱拡散率kCがノズルカバー43の単位体積当たりの熱拡散率kNCより小さいことによる作用を説明する。
図6および図7に示すように、支持部30に設けられたヒーター34によって、メディアMの表面Maに付着したインクが加熱される。このとき、ヒーター34の温度は60℃〜80℃に設定されており、メディアMの表面Maに付着したインクは当該温度範囲で加熱される。したがって、蒸気発生領域STに存在する蒸気は、ヒーター34の温度範囲と略同じ温度となる。このとき、蒸気発生領域STをキャリッジ41、ノズルカバー43及び捕集部46が通過すると、キャリッジ41、ノズルカバー43及び捕集部46が蒸気と接触し、蒸気から熱エネルギーを受け取る。
【0069】
キャリッジ41、ノズルカバー43及び捕集部46が蒸気から熱エネルギーを受け取ると、キャリッジ41、ノズルカバー43及び捕集部46の温度が、蒸気から熱エネルギーを受け取る前と比べて、時間の経過と共に上昇する。前述したように、本実施形態の捕集部46によるノズル面43aでの結露の抑制は、主に第1の捕集面46aの物理吸着作用と、第1の捕集面46aでの蒸気の凝集と、により実現される。特に、後者は第1の捕集面46a及び第1の捕集面46a近傍の温度に依存する。捕集部46の温度が上昇すると、第1の捕集面46a及び第1の捕集面46a近傍の温度も上昇するため、第1の捕集面46a及び第1の捕集面46a近傍が蒸気の凝集温度を超えやすくなる。第1の捕集面46a及び第1の捕集面46a近傍が蒸気の凝集温度を超えると、第1の捕集面46aにおける蒸気の凝集が生じにくくなる。例えば、捕集部46の単位体積当たりの熱拡散率kCがノズルカバー43の単位体積当たりの熱拡散率kNC以上(kC≧kNC)の場合、ある時刻において、捕集部46の温度の方がノズルカバー43の温度よりも高い。なぜなら、捕集部46の方がノズルカバー43よりも単位時間で温度変化しやすいからである。すなわち、ある時刻において、第1の捕集面46a及び第1の捕集面46a近傍が蒸気の凝集温度を超えやすくなる。すると、第1の捕集面46aでの蒸気の凝集作用が低下し、ノズル面43aでの結露が抑制し難くなる。例えば、前後方向Yにおいて、捕集部46から離れたノズル面43aに蒸気が凝集して付着する可能性がある。
【0070】
これに対し、本実施形態の捕集部46の単位体積当たりの熱拡散率kCは、ノズルカバー43の単位体積当たりの熱拡散率kNCより小さい(kC<kNC)。これにより、ある時刻において、捕集部46の温度の方がノズルカバー43の温度よりも低い。言い換えれば、所定時間経過した際、捕集部46近傍の温度がノズル面43a近傍の温度よりも低い状態が実現されやすくなる。したがって、捕集部46近傍では、ノズル面43a近傍に比べて蒸気の凝集温度以下となりやすい。これにより、捕集部46の単位体積当たりの熱拡散率kCがノズルカバー43の単位体積当たりの熱拡散率kNC以上(kC≧kNC)の場合と比べて、捕集部46における蒸気の凝集効果を向上できる。
【0071】
なお、本実施形態では、捕集部46の単位体積当たりの熱拡散率kCを計算するに当たり、簡単のため捕集部46とキャリッジ41との間で熱の出入りが可能であることを前提とした。そして、「捕集部46の単位体積当たりの熱拡散率kC」を、キャリッジ41も含めて計算した。これは、捕集部46の単位体積当たりの熱拡散率kCがノズルカバー43の単位体積当たりの熱拡散率kNCより小さくなるように捕集部46及びノズルカバー43を設計する際、捕集部46の体積VCRとノズルカバー43の体積VNCとの大小関係と、捕集部46の熱伝導率とノズルカバー43の熱伝導率との大小関係と、が重要な因子となるからである。
【0072】
具体的に説明すると、次のようになる。本実施形態における捕集部46を含むキャリッジ41の体積VCRは約0.012m3、ノズルカバー43の体積VNC=約5×10-73である。これにより、本実施形態では、捕集部46を含むキャリッジ41の体積VCRの方が、ノズルカバー43の体積VNCより約24000倍大きいことになる。一方、捕集部46を含むキャリッジ41の熱伝導率λは約236W/(m・K)、ノズルカバー43の熱伝導率λは約27.2W/(m・K)である。これにより、本実施形態では、捕集部46を含むキャリッジ41の熱伝導率λの方が、ノズルカバー43の熱伝導率λより約8.7倍大きいことになる。熱伝導率λのみの観点から言うと、捕集部46を含むキャリッジ41の方がノズルカバー43より温まりやすい。しかしながら、単位体積当たりの熱拡散率kを考慮すると、所定時間経過した際、捕集部46を含むキャリッジ41の方がノズルカバー43より温まりにくい。したがって、材料の観点では捕集部46を含むキャリッジ41の方がノズルカバー43より温まりやすいはずだが、熱伝導率の大きさの違いに比べて体積の大きさの違いが支配的であることにより、捕集部46を含むキャリッジ41の方がノズルカバー43より温まりにくい構成となっている。これは、熱エネルギーが伝達する空間が広いほど、熱エネルギーが空間全体に伝達するまでの時間が長くなるからである。すなわち、本実施形態では、捕集部46とキャリッジ41との間で熱の出入りが可能となるように、捕集部46を熱伝導性の接着剤によりキャリッジ41に接続することで、捕集部46の熱力学的な体積を増加させることで、熱エネルギーが捕集部46を含むキャリッジ41の全体に伝達するまでの時間を長くしている。
【0073】
しかしながら、捕集部46とキャリッジ41との間で熱の出入りが無くても、捕集部46の単位体積当たりの熱拡散率kCがノズルカバー43の単位体積当たりの熱拡散率kNCより小さくなれば、他の形態も採用され得る。例えば、捕集部46とキャリッジ41との間が略断熱されている場合であっても、捕集部46の形状や材料が特定されていればよい。具体的には、捕集部46のみの体積が定義され、捕集部46を構成する材料の材料定数(熱伝導率等)が決まればよい。その上で、捕集部46の単位体積当たりの熱拡散率kCがノズルカバー43の単位体積当たりの熱拡散率kNCより小さくなるように、材料定数を考慮して体積の設計を適宜最適化すればよい。
【0074】
また、捕集部46とキャリッジ41とは、一体形成されていてもよい。例えば、キャリッジ41を、アルミニウム(Al)を切削加工して成形する際、同時に捕集部46を形成してもよい。すなわち、キャリッジ41の一部を捕集部46として兼用してもよい。これにより、捕集部46とキャリッジ41とが別体である場合と比べて、組立工数の削減や、捕集部46をキャリッジ41に接続する際の位置ずれ、当該位置ずれを修正するのに必要な組立工数を抑制することができる。
【0075】
(実施形態2)
図10は、実施形態2に係る捕集部46の配置の一例を示した図であり、幅方向X(−)側から見ている。
捕集部46は、図10に示すように、幅方向X(第1方向)と交差する第2方向としての前後方向Yにおいて、ノズル面43aに対して前後方向Y(+)に位置する第1捕集部461と、ノズル面43aに対して前後方向Y(−)に位置する第2捕集部462と、を含んでもよい。すなわち、捕集部46は、第1方向と交差する第2方向において、記録ヘッド42に対して第2方向における一方側に位置する第1捕集部461と、記録ヘッド42に対して第2方向における他方側に位置する第2捕集部462と、を含む。これにより、蒸気を2つの捕集部46(461,462)に捕集させることができるため、ノズル面43aにおける結露をより一層抑制できる。このとき、第1捕集部461が有する第1の捕集面461aと支持面30aとの間の距離H1と、第2捕集部462が有する第2の捕集面462aと支持面30aとの間の距離H1と、がノズル面43aと支持面30aとの間の距離H2と等しいことが好ましい。これにより、第1捕集部461が有する第1の捕集面461aと支持面30aとの間の距離H1と、第2捕集部462が有する第2の捕集面462aと支持面30aとの間の距離H1と、がノズル面43aと支持面30aとの間の距離H2と異なる場合の弊害が抑制される。
【0076】
(実施形態3)
図11は、実施形態3に係る記録部とワイパーとを前後方向Y(+)側から見た正面図である。また、図12は、実施形態3に係る記録部とワイパーとを鉛直方向Z(+)側から見た上面図である。また、図13は、実施形態3に係るキャリッジとワイパーとを鉛直方向Z(−)側から見た下面図である。また、図14は、実施形態3に係るワイパーが捕集部に当接する様子を前後方向Y(+)側から見た正面図である。また、図15は、実施形態3に係るワイパーが捕集部に当接する様子を鉛直方向Z(−)側から見た下面図である。
【0077】
図11に示すように、本実施形態では、記録領域Eに対して幅方向X(−)側の非記録領域NEにワイパー70が設けられている。ワイパー70は鉛直方向Z(+)側に摺接面70aを有し、ワイパー70の鉛直方向Z(−)側はワイパーベース80に固定されている。摺接面70aには、例えば不織布等の吸水性を有する材料が貼り付けられている。ワイパーベース80の少なくとも一部は支持部30に固定されている。このとき、摺接面70aと支持面30aとの間の距離は、第1の捕集面46aと支持面30aとの間の距離H1と等しい。また、摺接面70aと支持面30aとの間の距離は、ノズル面43aと支持面30aとの間の距離H2とも等しい。なお、ワイパー70は、記録領域Eに対して幅方向X(+)側の非記録領域NEに設けられていてもよい。また、ノズル面43aに対して前後方向Y(−)側にも捕集部46が設けられていてよい。
【0078】
図12及び図13に示すように、第1の捕集面46aの前後方向Yの長さをW1、ワイパー70の前後方向Yの長さをW2とする。ワイパー70の前後方向Yの長さW2は、第1の捕集面46aの前後方向Yの長さW1より大きい。なお、ワイパー70の前後方向Yの長さW2は、第1の捕集面46aの前後方向Yの長さW1と等しくてもよい。すなわち、ワイパー70の前後方向Yの長さW2は、第1の捕集面46aの前後方向Yの長さW1以上であればよい。ここで、捕集部46が通る経路をSPとする。捕集部46が通る経路SPは、幅方向Xの長さがW1であり、第1の捕集面46aの前後方向Yの長さと等しい。すなわち、捕集部46が通る経路SPは、捕集部46がキャリッジ41と共に幅方向Xを往復移動する際の捕集部46の軌跡である。捕集部46が通る経路SPは、記録領域Eと非記録領域NEとを横切り、幅方向Xと平行である。なお、捕集部46が通る経路SPは幅方向Xと平行でなくてもよい。ワイパー70は、捕集部46が通る経路SPと重なる位置に、捕集部46と当接可能に設けられている。すなわち、捕集部46が通る経路SPには、捕集部46と当接可能なワイパー70が設けられている。捕集部46が通る経路SPと重なる位置にワイパー70を設けることで、捕集部46をワイパー70に当接させ、捕集部46に付着した蒸気や、蒸気が凝集して生成された液体を拭き取ることができる。
【0079】
ここで、ノズル面43aの前後方向Yの長さL2を、前後方向Yにおいてノズル面43aが設けられる範囲とする。そして、前後方向Yにおいてノズル面43aが設けられる範囲のうち、前後方向Y(+)側の端をノズル面43aの第1の端P1、前後方向Y(−側)の端をノズル面43aの第2の端P2とする。すなわち、ノズル面43aは、前後方向Yにおいて、第1の端P1から第2の端P2の範囲に設けられている。また、前後方向Yにおいてワイパー70が設けられる範囲のうち、前後方向Y(+)側の端をワイパー70の第1の端Q1、前後方向Y(−)側の端をワイパー70の第2の端Q2とする。すなわち、ワイパー70は、前後方向Yにおいて、第1の端Q1から第2の端Q2の範囲に設けられている。
【0080】
本実施形態では、ワイパー70の前後方向Yにおける第2の端Q2は、ノズル面43aの前後方向Yにおける第1の端P1よりも、前後方向Y(+)側に位置する。このような構成により、捕集部46が往復移動してワイパー70に当接する際、ワイパー70がノズル面43aに接触することを抑制できる。例えば、ワイパー70が捕集部46に当接して蒸気や蒸気が凝集した液体を拭き取った後、ワイパー70がノズル面43aに当接すると、ワイパー70に付着した液体によってノズル面43aが汚れてしまう可能性がある。これに対し、ワイパー70の前後方向Yにおける第2の端Q2は、ノズル面43aの前後方向Yにおける第1の端P1よりも、前後方向Y(+)側に位置しているので、ノズル面43aを汚すことを抑制できる。
【0081】
次に、図14及び図15を用いて、ワイパー70が捕集部46に当接する様子を説明する。
図14は、キャリッジ41が記録領域Eから幅方向X(−)側に移動して非記録領域NEに位置した状態を示す。キャリッジ41が幅方向X(−)側に移動することに伴い、捕集部46も幅方向X(−)側に移動する。やがて、捕集部46の少なくとも一部が、幅方向X(−)側の非記録領域NEに到達する。すると、第1の捕集面46aにワイパー70の摺接面70aが当接し、キャリッジ41が幅方向X(−)側に移動するに伴って、第1の捕集面46aに付着した液体をワイパー70が拭き取る。これにより、捕集部46において凝集した液体を、ワイパー70によって拭き取って捕集部46における液体の堆積量を抑制できる。これにより、捕集部46に捕集された蒸気が凝集して生成された液体が、メディアMの表面Maに落下することを抑制できる。図15は、図14の状態で、キャリッジ41とワイパー70とを、鉛直方向Z(−)側から見た図である。ワイパー70の前後方向Yにおける第2の端Q2が、ノズル面43aの前後方向Yにおける第1の端P1よりも、前後方向Y(+)側に位置しているので、捕集部46がワイパー70に当接しても、ノズル面43aがワイパー70に当接しないことが分かる。なお、本実施形態では捕集部46のうち第1の捕集面46aだけにワイパー70の摺接面70aが当接する構成が採用されているが、第2の捕集面46bにもワイパー70の摺接面70aが当接する構成も採用され得る。例えば、ワイパー70の摺接面70aが起毛状態であったり、ブラシ状であったりする場合は、第2の捕集面46bにもワイパー70の摺接面70aが当接する状態が実現され得る。
【0082】
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更及び組み合わせ可能であり、上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
【0083】
(変形例1)
上述した実施形態では、捕集部46を構成する材料はアルミニウム(Al)であったが、これに限らない。捕集部46を構成する材料として、銅(Cu)、チタン(Ti)等の金属材料が用いられてもよい。このような構成を採用しても、上述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0084】
(変形例2)
上述した実施形態では、捕集部46の第1の捕集面46aと第2の捕集面46bとを所定の表面粗さとなるように加工することで、親水性並びに物理吸着作用を発現させていたが、これに限らない。例えば、図16に示すように、平均直径が約1mm〜5mm程度の複数の細孔を、第1の捕集面46aと第2の捕集面46bとの少なくとも一方に形成することで、親水性を発現させてもよい。すなわち、炭素繊維シートやメソポーラスシリカ、ゼオライト等の多孔性材料や、金属の表面に複数の細孔を形成して物理吸着作用を発現させてもよい。このとき、複数の細孔の直径は、公知の水銀圧入式ポロシメーター等を用いて測定、評価することができる。
【0085】
(変形例3)
上述した実施形態では、捕集部46は、幅方向Xにおいて、ノズル面43aが設けられている範囲Aよりも広い範囲、且つ、キャリッジ41の下面41aの幅方向Xの長さと同じ範囲に設けられていたが、これに限らない。例えば、図17に示すように、幅方向Xにおいて、複数の捕集部46が設けられていてもよい。または、図18に示すように、幅方向Xにおいて、複数の捕集部46が千鳥状に設けられていてもよい。この場合、幅方向Xにおける各々の捕集部46の長さは、幅方向Xにおける各々のノズル面43aの長さよりも長いことが好ましい。また、前後方向Yにおいて、ノズル面43aの少なくとも一部が、捕集部46と重なっていることが好ましい。このような構成を採用しても、上述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0086】
(変形例4)
上述した実施形態では、捕集部46は、鉛直方向Zから見て矩形状であったが、これに限らない。楕円等種々の形状を採用してもよい。このような構成を採用しても、上述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0087】
(変形例5)
上述した実施形態では、ノズル面43aに対して前後方向Y(+)側に設けられた捕集部46に対応するように、ノズル面43aに対して前後方向Y(+)側にワイパー70が設けられていたが、これに限らない。例えば、ノズル面43aに対して前後方向Y(−)側にも捕集部46が設けられている場合は、当該捕集部46が通る経路SPと重なる位置にワイパー70が設けられていてもよい。この場合、図19に示すように、ワイパー70の前後方向Yにおける第1の端Q1は、ノズル面43aの前後方向Yにおける第2の端P2よりも、前後方向Y(−)側に位置することが好ましい。このような構成により、上述した実施形態と同様に、捕集部46が往復移動してワイパー70に当接する際、ワイパー70がノズル面43aに接触することを抑制できる。このような構成を採用しても、上述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0088】
(変形例6)
上述した実施形態では、第1の端P1及び第2の端P2について、複数のノズル面43aが、幅方向Xに沿って並んでいる場合の定義を説明したが、これに限らない。例えば、図20に示すように、複数のノズル面43aが幅方向Xにおいて千鳥状に配置されている場合は、記録ヘッド42C、記録ヘッド42Yそれぞれに対応するノズル面43aに対応させて、第1の端P1の位置を決める。また、記録ヘッド42K、記録ヘッド42Mそれぞれに対応するノズル面43aに対応させて、第2の端P2の位置を決める。そして、第1の端P1或いは第2の端P2に合わせて、ワイパー70の位置を調整することが可能である。このような構成を採用しても、上述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0089】
(変形例7)
上述した実施形態では、捕集部46がキャリッジ41の下面41a且つノズル面43aとは異なる位置に設けられていることの一例として、捕集部46は、ノズル面43aに対して前後方向Y(+)側と、ノズル面43aに対して前後方向Y(−)側と、の少なくとも一方に設けられていたが、これに限らない。例えば、図21に示すように、記録ヘッド42Kに対して幅方向X(+)側と、記録ヘッド42Yに対して幅方向X(−)側と、の両方に設けられていてもよい。或いは、記録ヘッド42Kに対して幅方向X(+)側と、記録ヘッド42Yに対して幅方向X(−)側と、のいずれか一方に設けられていてもよい。すなわち、記録ヘッド42Kに対して幅方向X(+)側と、記録ヘッド42Yに対して幅方向X(−)側と、の少なくとも一方に設けられていてもよい。このような構成を採用しても、上述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。または、図22に示すように、幅方向Xにおいて、各々の記録ヘッド42と交互に捕集部46が設けられていてもよい。また、この場合、幅方向Xに加えて、ノズル面43aに対して前後方向Y(+)側と、ノズル面43aに対して前後方向Y(−)側と、の少なくとも一方に捕集部46が設けられていてもよい。このような構成を採用しても、上述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0090】
(変形例8)
上記実施形態の記録装置10として、インク以外の他の流体を噴射したり吐出したりする液体吐出装置を採用してもよい。例えば、微小量の液滴を吐出させるヘッド等を備える各種の記録装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記記録装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体吐出装置が吐出(噴射)させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状体、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたもの等を含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクが挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。また、メディアとしては、塩化ビニル系フィルム等のプラスチックフィルム以外に、薄く熱伸びする機能紙、布や織物といったテキスタイル、基板や金属板等を包含するものとする。
【0091】
以下に、上述した実施形態から導き出される内容を記載する。
【0092】
本願の記録装置は、第1方向に往復移動するキャリッジと、前記キャリッジに収納され、メディアの表面に液滴を吐出して前記メディアに記録する記録ヘッドと、前記メディアの裏面を支持する支持面を有する支持部と、前記支持部に設けられ、前記メディアの表面に付着した前記液滴を加熱する加熱部と、を備え、前記キャリッジは、前記加熱部により前記液滴が加熱された際に発生する蒸気を捕集可能な捕集部を有し、前記記録ヘッドは、前記液滴を吐出するための複数の孔が形成されたノズルカバーを有し、前記ノズルカバーは、前記支持面と対向するノズル面を有し、前記捕集部は、前記ノズル面よりも親水性の高い材料で構成されると共に、前記キャリッジの下面且つ前記ノズル面とは異なる位置に設けられていることを特徴とする。
【0093】
本願の記録装置において、キャリッジは蒸気を捕集可能な捕集部を有し、捕集部は、ノズル面よりも親水性の高い材料で構成されると共に、キャリッジの下面且つノズル面とは異なる位置に設けられている。これにより、記録ヘッドが蒸気発生領域を通過する場合であっても、蒸気がノズル面よりも親水性の高い捕集部に付着しやすくなり、ノズル面における結露を抑制できる。これは、捕集部がノズル面に比べて水に対する濡れ性が高いからである。
【0094】
本願の記録装置において、前記捕集部の単位体積当たりの熱拡散率は、前記ノズルカバーの単位体積当たりの熱拡散率より小さいことが好ましい。
【0095】
捕集部による蒸気の捕集作用は、捕集部の親水性に基づく物理吸着と、捕集部における蒸気の凝集と、によって実現される。上記構成によれば、ある時刻で見た場合に、捕集部の温度の方がノズルカバーの温度よりも低い。言い換えれば、所定時間経過した時に、捕集部近傍の温度がノズル面近傍の温度よりも低くなっているので、捕集部近傍では、蒸気の凝集温度以下となっている。これにより、捕集部における蒸気の凝集作用を向上できる。なお、捕集部の体積として、捕集部単体の体積の他、熱エネルギーが伝達し得る捕集部周辺の構成も考慮して捕集部の体積を計算する。例えば、捕集部とキャリッジとの間で熱の出入りが可能な場合(例えば、捕集部がキャリッジに熱伝導性の接着剤を用いて接続されている場合)には、捕集部の体積にキャリッジの体積も加算する。これは、捕集部において熱エネルギーの授受が起きた場合、その熱エネルギーはキャリッジにも伝達し、結果的にキャリッジの分だけ捕集部の体積が熱力学的に見かけ上増加するからである。
【0096】
本願の記録装置において、前記捕集部は、前記キャリッジと一体形成されていることが好ましい。
【0097】
上記構成によれば、捕集部とキャリッジとが別体である場合と比べて、組立工数の削減や、捕集部をキャリッジに接続する際の位置ずれ、当該位置ずれを修正するのに必要な組立工数を抑制することができる。
【0098】
本願の記録装置において、前記捕集部は、前記第1方向と交差する第2方向において、前記記録ヘッドに対して前記第2方向における一方側に位置する第1捕集部と、前記記録ヘッドに対して前記第2方向における他方側に位置する第2捕集部と、を含むことが好ましい。
【0099】
上記構成によれば、蒸気を2つの捕集部に捕集させることができるため、ノズル面における結露をより一層抑制できる。
【0100】
本願の記録装置において、前記捕集部は、前記支持面と対向する捕集面を有し、前記捕集面と前記支持面との間の距離は、前記ノズル面と前記支持面との間の距離と等しいことが好ましい。
【0101】
捕集面と支持面との間の距離がノズル面と支持面との間の距離と異なる場合は、二つある。一つ目は、捕集面と支持面との間の距離が、ノズル面と支持面との間の距離よりも大きい場合である。この場合、蒸気が捕集面に到達するまでの距離が長くなってしまうため、捕集面に到達する前にノズル面に付着してしまう可能性がある。二つ目は、捕集面と支持面との間の距離が,ノズル面と支持面との間の距離よりも小さい場合である。この場合、捕集面に捕集された蒸気が凝集して液体となった際、当該液体がメディアの表面に接触しやすくなる可能性がある。
【0102】
これに対し、上記構成によれば、本実施形態における捕集部は、支持面と対向する捕集面を有する。そして、捕集面と支持面との間の距離は、ノズル面と支持面との間の距離と等しい。すなわち、支持面からの捕集面の高さと支持面からのノズル面の高さとが等しい。これにより、支持面からの捕集面の高さと支持面からのノズル面の高さとが異なる場合の弊害が抑制される。したがって、捕集面による蒸気の捕集効果をより一層向上したり、捕集面に捕集された蒸気が凝集して液体となった場合に、当該液体がメディアの表面に接触してメディアの表面を汚損したりすることを抑制できる。
【0103】
本願の記録装置において、前記捕集面の表面粗さは、前記ノズル面の表面粗さよりも大きいことが好ましい。
【0104】
上記構成によれば、捕集面の表面粗さがノズル面の表面粗さよりも大きいことに起因して、捕集面の方がノズル面よりも表面自由エネルギーが大きくなる。すると、ノズル面よりも捕集面の方が表面自由エネルギーを小さくしようとする働きが大きくなることで、蒸気が捕集面に吸着されやすくなる。これにより、ノズル面における結露をより一層抑制できる。
【0105】
本願の記録装置において、前記捕集面の表面粗さは、0.012μm以上6.3μm以下であることが好ましい。
【0106】
蒸気を構成する粒子の大きさは、約0.01μm〜6μmの範囲内にある。上記構成によれば、捕集面の表面粗さが、蒸気の粒子の大きさの範囲が包括されるように、0.012μm以上6.3μm以下に設定されている。これにより、蒸気を構成する粒子を捕集面に取り込んで、蒸気を捕集面に吸着させることができる。ゆえに、捕集部による捕集作用を一層向上できる。
【0107】
本願の記録装置において、前記捕集部が通る経路には、前記捕集部と当接可能なワイパーが設けられていることが好ましい。
【0108】
捕集部に捕集された蒸気は、時間と共に凝集及び堆積して液体となる。上記構成によれば、捕集部において凝集した液体を、ワイパーによって拭き取って捕集部への液体の堆積量を抑制できる。これにより、捕集部に捕集された蒸気が凝集して生成された液体がメディア表面に落下することを抑制できる。
【符号の説明】
【0109】
10…記録装置、20…繰出部、30…支持部、34…ヒーター、30a…支持面、40…記録部、41…キャリッジ、41a…キャリッジ41の下面、42…記録ヘッド、42n…複数のノズル、43…ノズルカバー、43a…ノズル面、43h…インク(液滴)を吐出するための複数の孔、44…ガイド軸、45…移動機構、46…捕集部、46a…第1の捕集面(捕集面)、46b…第2の捕集面、50…搬送部、60…巻取部、70…ワイパー、70a…摺接面、80…ワイパーベース、H1…第1の捕集面(捕集面)と支持面30aとの間の距離、H2…ノズル面43aと支持面30aとの間の距離、D1…複数のノズル42nの直径、D2…インク(液滴)を吐出するための複数の孔43hの直径、Ra…表面粗さ。
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