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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-44771(P2020-44771A)
(43)【公開日】2020年3月26日
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20200303BHJP
   B41J 2/14 20060101ALI20200303BHJP
【FI】
   B41J2/01 207
   B41J2/14 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-176248(P2018-176248)
(22)【出願日】2018年9月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125689
【弁理士】
【氏名又は名称】大林 章
(74)【代理人】
【識別番号】100128598
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 聖一
(74)【代理人】
【識別番号】100121108
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 太朗
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 範晃
(72)【発明者】
【氏名】新川 修
(72)【発明者】
【氏名】上柳 雅史
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EA14
2C056EB08
2C056EB39
2C056EB40
2C056EC07
2C056EC38
2C056FA04
2C056FA10
2C057AF72
2C057AL13
2C057AM21
2C057AM22
2C057AR08
2C057BA04
2C057BA14
(57)【要約】
【課題】ノズルへの異物の付着の有無を正確に判定する。
【解決手段】駆動信号を生成する生成部と、駆動信号により駆動される圧電素子を具備し、圧電素子の駆動に応じて、ノズルから液体を吐出する圧力室が設けられた吐出部と、圧電素子が駆動信号により駆動される駆動期間の後の検出期間において、吐出部に生じる残留振動を検出する検出部と、を備え、生成部は、駆動信号の電位を、駆動期間のうち第1期間において第1電位に維持し、駆動期間のうち第1期間の後の第2期間において第2電位に維持し、駆動期間のうち第2期間の後の第3期間において第3電位に維持し、検出期間において検出電位に維持し、第1電位は、第2電位及び第3電位の間の電位であり、検出電位は、第1電位及び第2電位の間の電位である、ことを特徴とする液体吐出装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動信号を生成する生成部と、
前記駆動信号により駆動される圧電素子を具備し、
前記圧電素子の駆動に応じて、ノズルから液体を吐出する圧力室が設けられた吐出部と、
前記圧電素子が前記駆動信号により駆動される駆動期間の後の検出期間において、
前記吐出部に生じる残留振動を検出する検出部と、
を備え、
前記生成部は、前記駆動信号の電位を、
前記駆動期間のうち第1期間において第1電位に維持し、
前記駆動期間のうち前記第1期間の後の第2期間において第2電位に維持し、
前記駆動期間のうち前記第2期間の後の第3期間において第3電位に維持し、
前記検出期間において検出電位に維持し、
前記第1電位は、前記第2電位及び前記第3電位の間の電位であり、
前記検出電位は、前記第1電位及び前記第2電位の間の電位である、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記駆動信号の電位が前記第3電位である場合の前記圧力室の容積は、
前記駆動信号の電位が前記検出電位である場合の前記圧力室の容積よりも小さい、
ことを特徴とする、請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記検出部の検出結果に基づいて、
前記吐出部に異物が付着しているか否かを判定する判定部を備える、
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記生成部は、前記駆動信号の電位を、
前記第1期間の終了時から前記第2期間の開始時にかけて、前記第1電位から前記第2電位へと遷移させ、
前記第2期間の終了時から前記第3期間の開始時にかけて、前記第2電位から前記第3電位へと遷移させ、
前記第3期間の終了時から前記検出期間の開始時にかけて、前記第3電位から前記検出電位へと遷移させる、
ことを特徴とする、請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記第3期間の開始時刻から、前記検出期間の開始時刻までの時間長は、
前記残留振動の周期よりも短い、
ことを特徴とする、請求項1乃至4のうち何れか1項に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンター等の液体吐出装置は、液体吐出装置が具備する吐出部に設けられた圧電素子を駆動させることにより、吐出部に設けられた圧力室に充填されたインク等の液体をノズルから吐出させて、記録媒体に画像を形成する。このような液体吐出装置において、ノズルに紙粉等の異物が付着すると、ノズルから吐出される液体の弾道が、所望の弾道からずれてしまい、記録媒体に形成される画像の画質が低下する。このため、液体吐出装置が形成する画像の画質の低下を予防するためには、ノズルへの異物の付着の有無を把握することが必要となる。例えば、特許文献1には、吐出部から液体を押し出すように圧電素子を駆動した後に吐出部に生じる残留振動の検出結果に基づいて、吐出部に設けられたノズルに異物が付着しているか否かを判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−105219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の技術では、ノズルに異物が付着しているときに吐出部に生じる残留振動と、ノズルに異物が付着していないときに吐出部に生じる残留振動とが、略同じ波形となることがあり、ノズルへの異物の付着の有無を正確に判定できない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本発明に係る液体吐出装置は、駆動信号を生成する生成部と、前記駆動信号により駆動される圧電素子を具備し、前記圧電素子の駆動に応じて、ノズルから液体を吐出する圧力室が設けられた吐出部と、前記圧電素子が前記駆動信号により駆動される駆動期間の後の検出期間において、前記吐出部に生じる残留振動を検出する検出部と、を備え、前記生成部は、前記駆動信号の電位を、前記駆動期間のうち第1期間において第1電位に維持し、前記駆動期間のうち前記第1期間の後の第2期間において第2電位に維持し、前記駆動期間のうち前記第2期間の後の第3期間において第3電位に維持し、前記検出期間において検出電位に維持し、前記第1電位は、前記第2電位及び前記第3電位の間の電位であり、前記検出電位は、前記第1電位及び前記第2電位の間の電位である、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の第1実施形態に係るインクジェットプリンター1の構成の一例を示すブロック図である。
図2】インクジェットプリンター1の概略的な内部構造の一例を示す斜視図である。
図3】吐出部Dの構造の一例を説明するための説明図である。
図4】ヘッドモジュール3におけるノズルNの配置の一例を示す平面図である。
図5】ヘッドユニットHUの構成の一例を示すブロック図である。
図6】インクジェットプリンター1の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図7】波形PS1の一例を説明するための説明図である。
図8】個別指定信号Sd[m]の一例を説明するための説明図である。
図9】吐出部D[m]におけるインクの動きの一例を説明するための説明図である。
図10】吐出部D[m]におけるインクの動きの一例を説明するための説明図である。
図11】波形PS2の一例を説明するための説明図である。
図12】メニスカス面の動きの一例を説明するための説明図である。
図13】本発明の第2実施形態に係る波形PS3の一例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0008】
<<A.第1実施形態>>
本実施形態では、インクを吐出して記録用紙Pに画像を形成するインクジェットプリンターを例示して、液体吐出装置を説明する。なお、本実施形態において、インクとは「液体」の一例であり、記録用紙Pとは「媒体」の一例である。
【0009】
<<1.インクジェットプリンターの概要>>
以下、図1及び図2を参照しつつ、本実施形態に係るインクジェットプリンター1の構成について説明する。
【0010】
図1は、インクジェットプリンター1の構成の一例を示す機能ブロック図である。インクジェットプリンター1には、パーソナルコンピューターまたはデジタルカメラ等のホストコンピューターから、インクジェットプリンター1が形成すべき画像を示す印刷データImgが供給される。インクジェットプリンター1は、ホストコンピューターから供給される印刷データImgの示す画像を記録用紙Pに形成する印刷処理を実行する。
【0011】
図1に例示するように、インクジェットプリンター1は、インクジェットプリンター1の各部を制御する制御部2と、インクを吐出する吐出部Dが設けられたヘッドユニットHUを具備するヘッドモジュール3と、吐出部Dを駆動するための駆動信号Comを生成する駆動信号生成回路4と、各種情報を記憶する記憶部5と、吐出部Dにおけるインクの吐出状態を判定する判定ユニットJUを具備する判定モジュール6と、ヘッドモジュール3に対する記録用紙Pの相対位置を変化させるための搬送機構7と、を備える。なお、駆動信号生成回路4は、「生成部」の一例である。
【0012】
なお、本実施形態では、図1に示すように、ヘッドモジュール3が、4個のヘッドユニットHUを備え、判定モジュール6が、4個のヘッドユニットHUと1対1に対応する4個の判定ユニットJUを備える場合を、一例として想定する。以下では、4個のヘッドユニットHUのうち一のヘッドユニットHUと、4個の判定ユニットJUのうち一のヘッドユニットHUに対応する一の判定ユニットJUと、について説明するが、当該説明は、他のヘッドユニットHU及び他の判定ユニットJUについても同様に該当する。
【0013】
制御部2は、CPUを含んで構成される。但し、制御部2は、CPUの代わりに、または、CPUに加えて、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを備えるものでよい。ここで、CPUとは、Central Processing Unitの略称であり、FPGAとは、field-programmable gate arrayの略称である。制御部2は、CPUが、記憶部5に記憶されている制御プログラムに従って動作することで、印刷信号SI、及び、波形指定信号dCom等の、インクジェットプリンター1の各部の動作を制御するための信号を生成する。
【0014】
ここで、波形指定信号dComとは、駆動信号Comの波形を規定するデジタルの信号である。また、駆動信号Comとは、吐出部Dを駆動するためのアナログの信号である。駆動信号生成回路4は、DA変換回路を含み、波形指定信号dComにより規定される波形を有する駆動信号Comを生成する。なお、本実施形態では、駆動信号Comが、駆動信号Com-Aと駆動信号Com-Bとを含む場合を想定する。また、印刷信号SIとは、吐出部Dの動作の種類を指定するためのデジタルの信号である。具体的には、印刷信号SIは、吐出部Dに対して駆動信号Comを供給するか否かを指定することで、吐出部Dの動作の種類を指定する信号である。
【0015】
図1に例示するように、ヘッドユニットHUは、スイッチ回路31と、記録ヘッド32と、検出回路33と、を備える。
記録ヘッド32は、M個の吐出部Dを備える。ここで、値Mは、「M≧1」を満たす自然数である。なお、以下では、記録ヘッド32に設けられたM個の吐出部Dのうち、m番目の吐出部Dを、吐出部D[m]と称する場合がある。ここで、変数mは、「1≦m≦M」を満たす自然数である。また、以下では、インクジェットプリンター1の構成要素または信号等が、M個の吐出部Dのうち、吐出部D[m]に対応する場合は、当該構成要素または信号等を表わすための符号に、添え字[m]を付すことがある。
スイッチ回路31は、印刷信号SIに基づいて、駆動信号Comを吐出部D[m]に供給するか否かを切り替える。なお、以下では、駆動信号Comのうち、吐出部D[m]に供給される駆動信号Comを、供給駆動信号Vin[m]と称する場合がある。また、スイッチ回路31は、印刷信号SIに基づいて、吐出部D[m]が具備する圧電素子PZ[m]の上部電極Zu[m]の電位を示す検出電位信号Vout[m]を、検出回路33に供給するか否かを切り替える。なお、圧電素子PZ[m]及び上部電極Zu[m]については、図3において後述する。
検出回路33は、検出電位信号Vout[m]に基づいて、残留振動信号Vd[m]を生成する。残留振動信号Vd[m]は、吐出部D[m]が供給駆動信号Vin[m]により駆動された後に、吐出部D[m]に残留している振動である残留振動の波形を示す。なお、検出回路33は、「検出部」の一例である。
【0016】
また、上述のとおり、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、図1に例示するように、残留振動信号Vd[m]に基づいて吐出部D[m]におけるインクの吐出状態を判定する判定ユニットJUを備える。判定ユニットJUは、周期特定回路61と吐出状態判定回路62とを備える。なお、判定ユニットJUは、「判定部」の一例である。
周期特定回路61は、残留振動信号Vd[m]に基づいて、残留振動信号Vd[m]の周期を示す周期情報NTCを生成する。
吐出状態判定回路62は、周期情報NTCに基づいて、吐出部D[m]におけるインクの吐出状態を判定し、当該判定の結果を示す判定情報HNTを生成する。
なお、以下では、判定ユニットJUにおける判定情報HNTの生成に関連する処理を、吐出状態判定処理と称する場合がある。また、以下では、吐出状態判定処理のために、検出回路33による検出電位信号Vout[m]の検出の対象となる吐出部D[m]を、判定対象吐出部D-Sと称する場合がある。
【0017】
図2は、インクジェットプリンター1の概略的な内部構造の一例を示す斜視図である。
図2に示すように、本実施形態では、インクジェットプリンター1がシリアルプリンターである場合を想定する。具体的には、インクジェットプリンター1は、印刷処理を実行する場合、副走査方向に記録用紙Pを搬送しつつ、副走査方向に交差する主走査方向にヘッドモジュール3を往復動させながら、吐出部Dからインクを吐出させることで、記録用紙P上に、印刷データImgに応じたドットを形成する。
以下では、+X方向とその逆方向である−X方向とを「X軸方向」と総称し、X軸方向に交差する+Y方向とその逆方向である−Y方向とを「Y軸方向」と総称し、X軸方向及びY軸方向に交差する+Z方向とその逆方向である−Z方向とを「Z軸方向」と総称する。そして、本実施形態では、図2に例示するように、上流側である−X側から下流側である+X側に向かう方向を副走査方向とし、+Y方向及び−Y方向を主走査方向とする。
【0018】
図2に例示するように、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、筐体100と、筐体100内をY軸方向に往復動可能でありヘッドモジュール3を搭載するキャリッジ300と、を備える。
また、上述のとおり、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、搬送機構7を備える。搬送機構7は、印刷処理が実行される場合に、キャリッジ300をY軸方向に往復動させるとともに、記録用紙Pを+X方向に搬送することで、記録用紙Pのヘッドモジュール3に対する相対位置を変化させ、記録用紙Pの全体に対するインクの着弾を可能とする。搬送機構7は、図1に例示するように、キャリッジ300を往復動させるためのキャリッジ搬送機構71と、記録用紙Pを搬送するための媒体搬送機構72と、を具備する。また、搬送機構7は、図2に例示するように、キャリッジ300をY軸方向に往復自在に支持するキャリッジガイド軸760と、キャリッジ300に固定されキャリッジ搬送機構71により駆動されるタイミングベルト710と、を具備する。このため、搬送機構7は、ヘッドモジュール3をキャリッジ300と共に、キャリッジガイド軸760に沿ってY軸方向に往復動させることができる。また、搬送機構7は、キャリッジ300の−Z側に設けられたプラテン750と、媒体搬送機構72の駆動に応じて回転しプラテン750上の記録用紙Pを+X方向に搬送する搬送ローラ730と、を備える。
【0019】
本実施形態では、図2に例示するように、キャリッジ300が、シアン、マゼンタ、イエロー、及び、ブラックの、4色のインクと1対1に対応する4個のインクカートリッジ310を格納している場合を想定する。また、本実施形態では、一例として、4個のインクカートリッジ310が、4個のヘッドユニットHUと1対1に対応して設けられている場合を想定する。各吐出部Dは、当該吐出部Dの属するヘッドユニットHUに対応するインクカートリッジ310からインクの供給を受ける。これにより、各吐出部Dは、供給されたインクを内部に充填し、充填したインクをノズルNから吐出することができる。なお、インクカートリッジ310は、キャリッジ300の外部に設けられてもよい。
【0020】
ここで、印刷処理が実行される場合の制御部2の動作の概要を説明する。
印刷処理が実行される場合、制御部2は、まず、ホストコンピューターから供給される印刷データImgを、記憶部5に記憶させる。次に、制御部2は、記憶部5に記憶されている印刷データImg等の各種データに基づいて、印刷信号SI等のヘッドユニットHUを制御するための信号と、波形指定信号dCom等の駆動信号生成回路4を制御するための信号と、搬送機構7を制御するための信号と、を生成する。そして、制御部2は、印刷信号SI等の各種信号や、記憶部5に記憶されている各種データに基づいて、ヘッドモジュール3に対する記録用紙Pの相対位置を変化させるように搬送機構7を制御しつつ、吐出部Dが駆動されるように駆動信号生成回路4及びスイッチ回路31を制御する。これにより、制御部2は、吐出部Dからのインクの吐出の有無、インクの吐出量、及び、インクの吐出タイミング等を調整し、印刷データImgに対応する画像を記録用紙Pに形成する印刷処理が実行されるように、インクジェットプリンター1の各部を制御する。
【0021】
また、上述のとおり、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、吐出状態判定処理を実行する。 吐出状態判定処理とは、制御部2が、吐出状態判定処理の対象となる判定対象吐出部D-Sを選択する処理と、駆動信号生成回路4が、制御部2の出力する波形指定信号dComに基づいて駆動信号Comを生成する処理と、制御部2による制御の下で、スイッチ回路31が、駆動信号生成回路4の出力する駆動信号Comを供給駆動信号Vinとして判定対象吐出部D-Sに供給することで、判定対象吐出部D-Sを駆動する処理と、検出回路33が、判定対象吐出部D-Sに生じた残留振動を示す検出電位信号Voutに応じて残留振動信号Vdを生成する処理と、周期特定回路61が、残留振動信号Vdに基づいて周期情報NTCを生成する処理と、吐出状態判定回路62が、周期情報NTCに基づいて、判定対象吐出部D-Sにおけるインクの吐出状態を判定し、当該判定の結果を示す判定情報HNTを生成する処理と、を含む、インクジェットプリンター1により実行される一連の処理である。
ここで、吐出状態判定回路62が実行する、判定対象吐出部D-Sにおけるインクの吐出状態の判定とは、判定対象吐出部D-Sからのインクの吐出状態が正常であるか否か、すなわち、判定対象吐出部D-Sにおいて吐出異常が生じていないか否か、を判定する処理である。また、吐出異常とは、吐出部Dにおけるインクの吐出状態が異常となること、つまり、吐出部Dが具備するノズルNからインクを正確に吐出することのできない状態の総称である。より具体的には、吐出異常とは、駆動信号Comにより吐出部Dを駆動して吐出部Dからインクを吐出させようとしても、駆動信号Comが規定する態様によりインクを吐出できない状態である。ここで、駆動信号Comが規定するインクの吐出態様とは、吐出部Dが、駆動信号Comの波形により規定される量のインクを、駆動信号Comの波形により規定される速度で吐出することである。すなわち、駆動信号Comが規定するインクの吐出態様によりインクを吐出できない状態とは、吐出部Dからインクを吐出できない状態の他に、駆動信号Comにより規定されるインクの吐出量とは異なる量のインクが吐出部Dから吐出される状態、及び、駆動信号Comにより規定されるインクの吐出速度と異なる速度でインクが吐出されるために記録用紙P上の所望の着弾位置にインクを着弾させることができない状態、等を含む。
【0022】
<<2.記録ヘッド及び吐出部の概要>>
図3及び図4を参照しつつ、記録ヘッド32と、記録ヘッド32に設けられる吐出部Dと、について説明する。
【0023】
図3は、吐出部Dを含むように記録ヘッド32を切断した、記録ヘッド32の概略的な一部断面図である。
図3に示すように、吐出部Dは、圧電素子PZと、内部にインクが充填されたキャビティ322と、キャビティ322に連通するノズルNと、振動板321と、を備える。ここで、キャビティ322は、「圧力室」の一例である。吐出部Dは、圧電素子PZが供給駆動信号Vinにより駆動されることにより、キャビティ322内のインクをノズルNから吐出させる。キャビティ322は、キャビティプレート324と、ノズルNが形成されたノズルプレート323と、振動板321と、により区画される空間である。キャビティ322は、インク供給口326を介してリザーバ325と連通している。リザーバ325は、インク取入口327を介して、当該吐出部Dに対応するインクカートリッジ310と連通している。圧電素子PZは、上部電極Zuと、下部電極Zdと、上部電極Zu及び下部電極Zdの間に設けられた圧電体Zmと、を有する。下部電極Zdは、電位VBSに設定された給電線Bdと電気的に接続される。そして、上部電極Zuに供給駆動信号Vinが供給されて、上部電極Zu及び下部電極Zdの間に電圧が印加されると、当該印加された電圧に応じて圧電素子PZが+Z方向または−Z方向に変位し、その結果、圧電素子PZが振動する。振動板321には、下部電極Zdが接合されている。このため、圧電素子PZが供給駆動信号Vinにより駆動されて振動すると、振動板321も振動する。そして、振動板321の振動によりキャビティ322の容積及びキャビティ322内の圧力が変化し、キャビティ322内に充填されたインクがノズルNより吐出される。
【0024】
図4は、−Z方向からインクジェットプリンター1を平面視した場合の、ヘッドモジュール3が具備する4個の記録ヘッド32と、当該4個の記録ヘッド32に設けられた合計4M個のノズルNの配置の一例を説明するための説明図である。図4に示すように、ヘッドモジュール3に設けられた各記録ヘッド32には、ノズル列NLが設けられる。ここで、ノズル列NLとは、所定方向に列状に延在するように設けられた複数のノズルNである。本実施形態では、各ノズル列NLが、X軸方向に延在するように配置されたM個のノズルNから構成される場合を、一例として想定する。
【0025】
<<3.ヘッドユニットの構成>>
以下、図5を参照しつつ、各ヘッドユニットHUの構成について説明する。
【0026】
図5は、ヘッドユニットHUの構成の一例を示すブロック図である。上述のとおり、ヘッドユニットHUは、スイッチ回路31と、記録ヘッド32と、検出回路33と、を備える。また、ヘッドユニットHUは、駆動信号生成回路4から駆動信号Com-Aが供給される配線Baと、駆動信号生成回路4から駆動信号Com-Bが供給される配線Bbと、検出電位信号Voutを検出回路33に供給するための配線Bsと、電位VBSが供給される給電線Bdと、を備える。
【0027】
図5に示すように、スイッチ回路31は、M個のスイッチRa[1]〜Ra[M]と、M個のスイッチRb[1]〜Rb[M]と、M個のスイッチRs[1]〜Rs[M]と、各スイッチの接続状態を指定する接続状態指定回路311と、を備える。
接続状態指定回路311は、制御部2から供給される印刷信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び、期間規定信号Tsigの、少なくとも一部の信号に基づいて、スイッチRa[m]のオンオフを指定する接続状態指定信号Ga[m]と、スイッチRb[m]のオンオフを指定する接続状態指定信号Gb[m]と、スイッチRs[m]のオンオフを指定する接続状態指定信号Gs[m]と、を生成する。
ここで、スイッチRa[m]は、接続状態指定信号Ga[m]に基づいて、配線Baと、吐出部D[m]に設けられた圧電素子PZ[m]の上部電極Zu[m]との、導通及び非導通を切り替える。本実施形態において、スイッチRa[m]は、接続状態指定信号Ga[m]がハイレベルの場合にオンし、ローレベルの場合にオフすることとする。また、スイッチRb[m]は、接続状態指定信号Gb[m]に基づいて、配線Bbと、吐出部D[m]に設けられた圧電素子PZ[m]の上部電極Zu[m]との、導通及び非導通を切り替える。本実施形態において、スイッチRb[m]は、接続状態指定信号Gb[m]がハイレベルの場合にオンし、ローレベルの場合にオフすることとする。また、スイッチRs[m]は、接続状態指定信号Gs[m]に基づいて、配線Bsと、吐出部D[m]に設けられた圧電素子PZ[m]の上部電極Zu[m]との、導通及び非導通を切り替える。本実施形態において、スイッチRs[m]は、接続状態指定信号Gs[m]がハイレベルの場合にオンし、ローレベルの場合にオフすることとする。
なお、上述のとおり、供給駆動信号Vin[m]は、駆動信号Com-A及びCom-Bのうち、スイッチRa[m]またはRb[m]を介して、吐出部D[m]の圧電素子PZ[m]に供給される信号である。
【0028】
検出回路33には、判定対象吐出部D-Sとして駆動された吐出部D[m]の圧電素子PZ[m]の電位を示す検出電位信号Vout[m]が、配線Bsを介して供給される。検出回路33は、検出電位信号Vout[m]に基づいて残留振動信号Vd[m]を生成する。
【0029】
<<4.ヘッドユニットの動作>>
以下、図6乃至図8を参照しつつ、各ヘッドユニットHUの動作について説明する。
【0030】
本実施形態において、インクジェットプリンター1の動作期間は、1または複数の単位期間Tuを含む。また、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、各単位期間Tuにおいて、印刷処理のために各吐出部Dを駆動することができる。また、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、各単位期間Tuにおいて、吐出状態判定処理における判定対象吐出部D-Sの駆動、及び、当該判定対象吐出部D-Sからの検出電位信号Voutの検出をすることができる。
【0031】
図6は、単位期間Tuにおけるインクジェットプリンター1の動作を示すためのタイミングチャートである。
図6に示すように、制御部2は、パルスPlsLを有するラッチ信号LATを出力する。これにより、制御部2は、パルスPlsLの立ち上がりから次のパルスPlsLの立ち上がりまでの期間として、単位期間Tuを規定する。また、制御部2は、単位期間Tuにおいて、パルスPlsCを有するチェンジ信号CHを出力する。そして、制御部2は、単位期間Tuを、パルスPlsLの立ち上がりからパルスPlsCの立ち上がりまでの制御期間Tu1と、パルスPlsCの立ち上がりからパルスPlsLの立ち上がりまでの制御期間Tu2と、に区分する。また、制御部2は、単位期間Tuにおいて、パルスPlsT1及びパルスPlsT2を有する期間規定信号Tsigを出力する。そして、制御部2は、単位期間Tuを、パルスPlsLの立ち上がりからパルスPlsT1の立ち上がりまでの制御期間TSS1と、パルスPlsT1の立ち上がりからパルスPlsT2の立ち上がりまでの制御期間TSS2と、パルスPlsT2の立ち上がりからパルスPlsLの立ち上がりまでの制御期間TSS3と、に区分する。
【0032】
本実施形態に係る印刷信号SIは、各単位期間Tuにおける吐出部D[1]〜D[M]の駆動の態様を指定する個別指定信号Sd[1]〜Sd[M]を含む。制御部2は、単位期間Tuにおいて印刷処理または吐出状態判定処理が実行される場合、図6に示すように、当該単位期間Tuに先立って、個別指定信号Sd[1]〜Sd[M]を含む印刷信号SIを、クロック信号CLに同期させて接続状態指定回路311に供給する。そして、接続状態指定回路311は、当該単位期間Tuにおいて、個別指定信号Sd[m]に基づいて、接続状態指定信号Ga[m]、Gb[m]、及び、Gs[m]を生成する。
なお、本実施形態では、吐出部D[m]が、大ドットと、大ドットよりも小さい中ドットと、中ドットよりも小さい小ドットとを、形成可能である場合を想定する。そして、本実施形態では、個別指定信号Sd[m]が、各単位期間Tuにおいて、吐出部D[m]に対して、大ドットに相当する量のインクを吐出する態様での駆動を指定する値「1」と、吐出部D[m]に対して、中ドットに相当する量のインクを吐出する態様での駆動を指定する値「2」と、吐出部D[m]に対して、小ドットに相当する量のインクを吐出する態様での駆動を指定する値「3」と、吐出部D[m]に対して、インクを吐出しない態様での駆動を指定する値「4」と、吐出部D[m]に対して、判定対象吐出部D-Sとしての駆動を指定する値「5」と、の5つの値のうち、何れか1つの値をとることができる場合を想定する。
【0033】
図6に示すように、本実施形態において、駆動信号Com-Aは、制御期間Tu1に設けられた波形PXと、制御期間Tu2に設けられた波形PYと、を有する。本実施形態では、波形PXの最高電位VxHと最低電位VxLとの電位差が、波形PYの最高電位VyHと最低電位VyLとの電位差よりも大きくなるように、波形PX及び波形PYが定められている。具体的には、波形PXを有する駆動信号Com-Aが吐出部D[m]に供給される場合、吐出部D[m]が、中ドットに相当する量のインクを吐出する態様で駆動されるように、波形PXが定められる。また、波形PYを有する駆動信号Com-Aが吐出部D[m]に供給される場合、吐出部D[m]が、小ドットに相当する量のインクを吐出する態様で駆動されるように、波形PYが定められる。また、本実施形態において、波形PX及び波形PYは、開始時及び終了時の電位が基準電位V0に設定されている。
なお、本実施形態では、一例として、吐出部D[m]に供給される供給駆動信号Vin[m]の電位が高電位の場合に、低電位の場合と比較して、吐出部D[m]の備えるキャビティ322の容積が小さくなる場合を想定する。このため、吐出部D[m]が波形PXを有する供給駆動信号Vin[m]により駆動される場合、供給駆動信号Vin[m]の電位が最低電位VxLから最高電位VxHに変化することで、吐出部D[m]内のインクがノズルNから吐出される。また、吐出部D[m]が波形PYを有する供給駆動信号Vin[m]により駆動される場合、供給駆動信号Vin[m]の電位が最低電位VyLから最高電位VyHに変化することで、吐出部D[m]内のインクがノズルNから吐出される。
【0034】
図7は、駆動信号Com-Bの有する波形PS1を示すタイミングチャートである。
図7に示すように、波形PS1は、制御期間TSS1の開始時刻を含む期間T1において、基準電位V0を維持し、制御期間TSS1のうち期間T1よりも後に開始される期間T2において、基準電位V0よりも低電位の電位VsLを維持し、制御期間TSS1のうち期間T2よりも後に開始される期間T3において、基準電位V0よりも高電位の電位VsHを維持し、制御期間TSS2において、基準電位V0及び電位VsLの間の電位VsKを維持する波形である。すなわち、波形PS1は、期間T1の終了時から期間T2の開始時にかけて、基準電位V0から電位VsLへと遷移し、期間T2の終了時から期間T3の開始時にかけて、電位VsLから電位VsHへと遷移し、期間T3が終了する時刻tt1から制御期間TSS2が開始する時刻tt2までの期間Tplにおいて、電位VsHから電位VsKへと遷移し、制御期間TSS3において、電位VsKから基準電位V0へと遷移する波形である。
なお、本実施形態において、吐出部D[m]が波形PS1を有する供給駆動信号Vin[m]により駆動される場合、供給駆動信号Vin[m]の電位が電位VsHである場合の吐出部D[m]のキャビティ322の容積は、供給駆動信号Vin[m]の電位が電位VsKである場合の吐出部D[m]のキャビティ322の容積よりも小さい。換言すれば、本実施形態において、吐出部D[m]が波形PS1を有する供給駆動信号Vin[m]により駆動される場合、期間Tplにおいて、吐出部D[m]のキャビティ322の容積が拡大し、期間Tplにおいて、吐出部D[m]内のインクが+Z方向に向けて引き込まれる。また、本実施形態では、吐出部D[m]が波形PS1を有する供給駆動信号Vin[m]により駆動される場合、吐出部D[m]からインクが吐出されないように、波形PS1が定められていることとする。
なお、本実施形態において、制御期間TSS1は「駆動期間」の一例であり、制御期間TSS2は「検出期間」の一例である。また、本実施形態において、期間T1は「第1期間」の一例であり、期間T2は「第2期間」の一例であり、期間T3は「第3期間」の一例である。また、本実施形態において、基準電位V0は「第1電位」の一例であり、電位VsLは「第2電位」の一例であり、電位VsHは「第3電位」の一例であり、電位VsKは「検出電位」の一例である。また、本実施形態において、電位VsHと電位VsKとの電位差を電位差ΔVs1と称する。
【0035】
図8は、個別指定信号Sd[m]と、接続状態指定信号Ga[m]、Gb[m]、及び、Gs[m]との関係を説明するための説明図である。
図8に示すように、個別指定信号Sd[m]が、単位期間Tuにおいて、吐出部D[m]に対して大ドットに相当する量のインクを吐出する態様での駆動を指定する値「1」を示す場合、接続状態指定回路311は、接続状態指定信号Ga[m]を単位期間Tuに亘りハイレベルに設定する。この場合、スイッチRa[m]が単位期間Tuに亘りオンするため、吐出部D[m]は、単位期間Tuにおいて、波形PX及び波形PYを有する供給駆動信号Vin[m]により駆動され、大ドットに相当する量のインクを吐出する。
図8に示すように、個別指定信号Sd[m]が、単位期間Tuにおいて、吐出部D[m]に対して中ドットに相当する量のインクを吐出する態様での駆動を指定する値「2」を示す場合、接続状態指定回路311は、接続状態指定信号Ga[m]を制御期間Tu1に限りハイレベルに設定する。この場合、スイッチRa[m]が制御期間Tu1に限りオンするため、吐出部D[m]は、単位期間Tuにおいて、波形PXを有する供給駆動信号Vin[m]により駆動され、中ドットに相当する量のインクを吐出する。
図8に示すように、個別指定信号Sd[m]が、単位期間Tuにおいて、吐出部D[m]に対して小ドットに相当する量のインクを吐出する態様での駆動を指定する値「3」を示す場合、接続状態指定回路311は、接続状態指定信号Ga[m]を制御期間Tu2に限りハイレベルに設定する。この場合、スイッチRa[m]が制御期間Tu2に限りオンするため、吐出部D[m]は、単位期間Tuにおいて、波形PYを有する供給駆動信号Vin[m]により駆動され、小ドットに相当する量のインクを吐出する。
図8に示すように、個別指定信号Sd[m]が、単位期間Tuにおいて、吐出部D[m]に対してインクを吐出しない態様での駆動を指定する値「4」を示す場合、接続状態指定回路311は、接続状態指定信号Ga[m]、Gb[m]、及び、Gs[m]を単位期間Tuに亘りローレベルに設定する。この場合、吐出部D[m]は、単位期間Tuにおいて、駆動信号Comにより駆動されず、インクを吐出しない。
図8に示すように、個別指定信号Sd[m]が、単位期間Tuにおいて、吐出部D[m]に対して判定対象吐出部D-Sとしての駆動を指定する値「5」を示す場合、接続状態指定回路311は、接続状態指定信号Gb[m]を制御期間TSS1及び制御期間TSS3においてハイレベルに設定し、また、接続状態指定信号Gs[m]を制御期間TSS2においてハイレベルに設定する。この場合、スイッチRb[m]が制御期間TSS1及び制御期間TSS3においてオンし、スイッチRs[m]が制御期間TSS2においてオンする。すなわち、この場合、制御期間TSS1において、吐出部D[m]が、波形PS1を有する供給駆動信号Vin[m]により駆動され、制御期間TSS2において、吐出部D[m]に残留振動が生じている状態が作り出される。つまり、この場合、制御期間TSS2において、吐出部D[m]の上部電極Zu[m]の電位は、吐出部D[m]に生じている残留振動に応じて変化する。このため、この場合、制御期間TSS2において、検出回路33は、吐出部D[m]に生じる残留振動に基づく検出電位信号Vout[m]を検出する。
【0036】
上述のとおり、検出回路33は、検出電位信号Vout[m]に基づいて、残留振動信号Vd[m]を生成する。具体的には、検出回路33は、検出電位信号Vout[m]を増幅し、ノイズ成分を除去することで、判定ユニットJUにおける処理に適した波形に整形された残留振動信号Vd[m]を生成する。すなわち、本実施形態において、残留振動信号Vd[m]は、制御期間TSS2において吐出部D[m]に生じる残留振動の波形を示す。
【0037】
<<5.判定ユニット>>
次に、吐出部Dに生じる残留振動について説明した上で、判定ユニットJUについて説明する。
【0038】
一般的に、吐出部Dに生じる残留振動は、ノズルN及びキャビティ322の形状及び大きさ、並びに、キャビティ322に充填されたインクの重量、等により決定される固有振動周期を有する。例えば、一般的に、吐出部Dのキャビティ322に気泡が混入しているために吐出異常が生じている場合には、吐出状態が正常な場合と比較して、当該吐出部Dに生じる残留振動の周期が短くなる。また、一般的に、吐出部DのノズルN付近に紙粉等の異物が付着しているために吐出異常が生じている場合には、吐出状態が正常な場合と比較して、当該吐出部Dに生じる残留振動の周期が長くなる。このように、吐出部Dにおけるインクの吐出状態に応じて、当該吐出部Dに生じる残留振動の周期Tcが変動する。このため、吐出部Dに生じる残留振動の周期Tcに基づいて、当該吐出部Dにおけるインクの吐出状態を判定することができる。
上述のとおり、残留振動信号Vd[m]は、判定対象吐出部D-Sとして駆動された吐出部D[m]に生じる残留振動の波形を示す。すなわち、残留振動信号Vd[m]は、周期Tcを有する。このため、残留振動信号Vd[m]の周期Tcに基づいて、吐出部D[m]におけるインクの吐出状態を判定することができる。
【0039】
上述のとおり、判定ユニットJUは、周期特定回路61と吐出状態判定回路62とを備える。
このうち、周期特定回路61は、残留振動信号Vd[m]と、残留振動信号Vd[m]の振幅中心レベルの電位とを比較する。そして、周期特定回路61は、当該比較の結果に基づいて、残留振動信号Vd[m]の周期Tcを特定し、当該周期Tcを示す周期情報NTCを生成する。
また、吐出状態判定回路62は、周期情報NTCの示す周期Tcと、閾値Tth1及び閾値Tth2のうち少なくとも一方と、を比較することで、判定対象吐出部D-Sとして駆動された吐出部D[m]におけるインクの吐出状態を判定し、当該判定の結果を示す判定情報HNTを生成する。ここで、閾値Tth1は、判定対象吐出部D-Sの吐出状態が正常である場合における残留振動の周期Tcと、判定対象吐出部D-Sのキャビティ322に気泡が混入した場合における残留振動の周期Tcとの、境界を示す値である。また、閾値Tth2は、閾値Tth1よりも大きい値であって、判定対象吐出部D-Sの吐出状態が正常である場合における残留振動の周期Tcと、判定対象吐出部D-SのノズルN付近に異物が付着した場合における残留振動の周期Tcとの、境界を示す値である。そして、吐出状態判定回路62は、周期情報NTCの示す周期Tcが、「Tth1≦Tc≦Tth2」を満たす場合には、判定対象吐出部D-Sにおけるインクの吐出状態が正常であると判定する。そして、この場合、吐出状態判定回路62は、判定情報HNTに対して、判定対象吐出部D-Sにおけるインクの吐出状態が正常であることを示す値、例えば「1」を設定する。また、吐出状態判定回路62は、周期情報NTCの示す周期Tcが、「Tc<Tth1」を満たす場合には、判定対象吐出部D-Sにおいて気泡による吐出異常が生じていると判定する。そして、この場合、吐出状態判定回路62は、判定情報HNTに対して、判定対象吐出部D-Sにおいて気泡による吐出異常が生じていることを示す値、例えば「2」を設定する。また、吐出状態判定回路62は、周期情報NTCの示す周期Tcが、「Tc>Tth2」を満たす場合には、判定対象吐出部D-Sにおいて異物付着による吐出異常が生じていると判定する。そして、この場合、吐出状態判定回路62は、判定情報HNTに対して、判定対象吐出部D-Sにおいて異物付着による吐出異常が生じていることを示す値、例えば「3」を設定する。
【0040】
<<6.実施形態の効果>>
以下、吐出部D[m]のノズルNに紙粉等の異物が付着している場合における、吐出部D[m]に生じる残留振動の周期Tcについて説明したうえで、本実施形態の効果を説明する。
【0041】
図9は、吐出部D[m]におけるインクの吐出状態が正常である場合における、吐出部D[m]におけるインクの動きを説明するための説明図である。
図9に示すように、キャビティ322のZ軸方向の長さを「Lc」とし、キャビティ322をZ軸方向に垂直な平面で切断した場合の断面積を「Sc」とし、吐出部D[m]内のインクの密度を「ρ」とすると、キャビティ322内のインクのイナータンスMcは、以下の式(1)で表される。また、ノズルNに存在するインクのZ軸方向の長さを「Ln」とし、ノズルNをZ軸方向に垂直な平面で切断した場合の断面積を「Sn」とすると、ノズルN内のインクのイナータンスMnは、以下の式(2)で表される。
【数1】
【0042】
波形PS1を有する供給駆動信号Vin[m]により駆動される吐出部D[m]において、期間Tplにおける長さLcの変化量を「dLc1」とした場合、期間Tplにおけるキャビティ322内のインクのイナータンスMcの変化量dMc1は、以下の式(3)で表される。また、波形PS1を有する供給駆動信号Vin[m]により駆動される吐出部D[m]において、期間Tplにおける長さLnの変化量を「dLnA1」とした場合、期間TplにおけるノズルN内のインクのイナータンスMnの変化量dMnA1は、以下の式(4)で表される。
【数2】
【0043】
一般的に、吐出部D[m]に生じる残留振動の周期Tcは、式(1)に示すイナータンスMcと、式(2)に示すイナータンスMnと、吐出部D[m]のコンプライアンスCmと、を用いて、以下の式(5)で表される。そして、波形PS1を有する供給駆動信号Vin[m]により駆動される吐出部D[m]において、時刻tt1に生じている振動の周期と、時刻tt2に生じている振動の周期との差分である、周期変化量dTcA1は、以下の式(6)で表される。
【数3】
【0044】
図10は、吐出部D[m]のノズルNの近傍に異物PPが付着して吐出異常が生じている場合における、吐出部D[m]におけるインクの動きを説明するための説明図である。
図10に示すように、波形PS1を有する供給駆動信号Vin[m]により駆動される吐出部D[m]のノズルNの近傍に、異物PPが付着している場合において、期間Tplにおける長さLnの変化量を「dLnB1」としたとき、期間TplにおけるノズルN内のインクのイナータンスMnの変化量dMnB1は、以下の式(7)で表される。そして、波形PS1を有する供給駆動信号Vin[m]により駆動される吐出部D[m]のノズルNの近傍に、異物PPが付着している場合において、時刻tt1に生じている振動の周期と、時刻tt2に生じている振動の周期との差分である、周期変化量dTcB1は、以下の式(8)で表される。
【数4】
【0045】
一般的に、断面積Snは断面積Scより小さく、変化量dLc1は変化量dLnA1より小さい。そこで、本実施形態では、式(3)における「dLc1÷Sc」が、式(4)における「dLnA1÷Sn」に比べて、無視できる程度に小さいと仮定する。換言すれば、本実施形態では、変化量dMc1が、変化量dMnA1に比べて、無視できる程度に小さいと仮定する。このため、本実施形態では、式(6)を、以下の式(9)に近似できることとする。同様に、変化量dLc1は変化量dLnB1よりも小さいため、本実施形態では、式(3)における「dLc1÷Sc」が、式(7)における「dLnB1÷Sn」に比べて、無視できる程度に小さいと仮定する。換言すれば、本実施形態では、変化量dMc1が、変化量dMnB1に比べて、無視できる程度に小さいと仮定する。このため、本実施形態では、式(8)を、以下の式(10)に近似できることとする。
【数5】
【0046】
ここで、係数ωを以下の式(11)のように定める場合、周期変化量dTcA1と周期変化量dTcB1との差分値dTc1は、以下の式(12)で表される。
【数6】
【0047】
なお、図10に示すように、吐出部D[m]のノズルNの近傍に異物PPが付着している場合、期間Tplにおいて、吐出部D[m]内のインクを+Z方向に引き込もうとしても、異物PPと接触しているインクの表面張力等の影響により、吐出部D[m]内のインクと外気との境界であるメニスカス面を+Z方向に大きく引き込むことができない。このため、図10に示すような、吐出部D[m]のノズルNの近傍に異物PPが付着している場合においては、図9に示すような、吐出部D[m]のノズルNの近傍に異物PPが付着していない場合と比較して、期間Tplにおけるメニスカス面の変化量が小さく押さえられることになる。換言すれば、図10に示す変化量dLnB1は、図9に示す変化量dLnA1よりも小さくなる。このため、吐出部D[m]のノズルNの近傍に異物PPが付着している場合の周期Tcは、吐出部D[m]のノズルNの近傍に異物PPが付着していない場合の周期Tcと比較して、式(12)に示す差分値dTc1だけ長くなる。これにより、吐出状態判定回路62は、吐出部D[m]に生じる残留振動の周期Tcに基づいて、吐出部D[m]のノズルNの近傍に異物PPが付着しているか否かを判定することが可能となる。
【0048】
以下、本実施形態の効果の説明の便宜上、吐出部D[m]を、波形PS1を有する供給駆動信号Vin[m]により駆動する代わりに、波形PS2を有する供給駆動信号Vin[m]により駆動する態様である「参考例」を説明する。
【0049】
図11は、波形PS2を示すタイミングチャートである。
図11に示すように、波形PS2は、期間Tplにおいて、電位VsHから電位VsMへと遷移し、制御期間TSS2において、電位VsMを維持し、制御期間TSS3において、電位VsMから基準電位V0へと遷移する点において、波形PS1と相違する。ここで、電位VsMは、電位VsHと基準電位V0との間の電位である。なお、図7及び図11からも明らかなように、電位VsHと電位VsMとの電位差ΔVs2は、電位差ΔVs1よりも小さい。このため、参考例のように、波形PS2を有する供給駆動信号Vin[m]により吐出部D[m]を駆動する場合、本実施形態のように、波形PS1を有する供給駆動信号Vin[m]により吐出部D[m]を駆動する場合と比較して、期間Tplにおける、吐出部D[m]内のインクの+Z方向への引き込み量が小さくなる。
【0050】
参考例において、期間Tplにおける長さLcの変化量を「dLc2」とした場合、期間Tplにおけるキャビティ322内のインクのイナータンスMcの変化量dMc2は、以下の式(13)で表される。
また、参考例において、吐出部D[m]のインクの吐出状態が正常である場合に、期間Tplにおける長さLnの変化量を「dLnA2」とすると、期間TplにおけるノズルNにおけるインクのイナータンスMnの変化量dMnA2は、以下の式(14)で表される。そして、この場合、吐出部D[m]において、時刻tt1に生じている振動の周期と、時刻tt2に生じている振動の周期との差分である、周期変化量dTcA2は、以下の式(15)で表される。
また、参考例において、吐出部D[m]のノズルNの近傍に異物PPが付着して吐出異常が生じている場合に、期間Tplにおける長さLnの変化量を「dLnB2」とすると、期間TplにおけるノズルNにおけるインクのイナータンスMnの変化量dMnB2は、以下の式(16)で表される。そして、この場合、吐出部D[m]において、時刻tt1に生じている振動の周期と、時刻tt2に生じている振動の周期との差分である、周期変化量dTcB2は、以下の式(17)で表される。
【数7】
【0051】
そして、吐出部D[m]のノズルNの近傍に異物PPが付着している場合の周期変化量dTcA2は、吐出部D[m]のノズルNの近傍に異物PPが付着していない場合の周期変化量dTcB2と比較して、以下の式(18)に示す差分値dTc2だけ長くなる。
【数8】
【0052】
図12は、変化量dLnA1及び変化量dLnB1の差分値dLn1と、変化量dLnA2及び変化量dLnB2の差分値dLn2との関係を示す説明図である。
上述のとおり、波形PS1の期間Tplにおける電位差ΔVs1は、波形PS2の期間Tplにおける電位差ΔVs2よりも大きい。このため、図12に示すように、制御期間TSS2において、変化量dLnA1は変化量dLnA2よりも大きくなる。
他方、吐出部D[m]のノズルNの近傍に異物PPが付着している場合に、期間Tplにおいて、吐出部D[m]内のインクを+Z方向に大きく引き込もうとしても、吐出部D[m]内のインクと外気との境界であるメニスカス面を+Z方向に大きく引き込むことができないことは、吐出部D[m]を波形PS2の供給駆動信号Vin[m]により駆動する場合においても、吐出部D[m]を波形PS1の供給駆動信号Vin[m]により駆動する場合と同様である。このため、図12に示すように、制御期間TSS2において、変化量dLnB1は変化量dLnB2と略同じになる。なお、本明細書において、「略同じ」とは、完全に同一である場合の他に、所定の割合の誤差を有する場合を含む概念であることとする。ここで、所定の割合の誤差とは、例えば、10%の誤差であってもよい。
従って、図12に示すように、変化量dLnA1及び変化量dLnB1の差分値dLn1は、変化量dLnA2及び変化量dLnB2の差分値dLn2よりも大きくなる。そして、式(12)及び式(18)からも明らかなように、差分値dLn1が差分値dLn2よりも大きい場合、差分値dTc1は、差分値dTc2よりも大きくなる。
このため、本実施形態のように、制御期間TSS2において、吐出部D[m]内のインクを+Z方向に大きく引き込む波形PS1により吐出部D[m]を駆動する場合、制御期間TSS2において、吐出部D[m]内のインクを+Z方向に小さく引き込む波形PS2により吐出部D[m]を駆動する参考例と比較して、吐出部D[m]のノズルNの近傍に異物PPが付着している場合の周期Tcと、吐出部D[m]のノズルNの近傍に異物PPが付着していない場合の周期Tcとの差分を大きくすることができる。これにより、本実施形態によれば、参考例と比較して、判定ユニットJUにおいて、吐出部D[m]のノズルNの近傍に異物PPが付着しているか否かを判定する場合における、判定の精度を高くすることが可能となる。
【0053】
また、本実施形態では、期間T1の終了時から期間T2の開始時にかけて、吐出部D[m]内のインクを+Z方向に引き込み、期間T2の終了時から期間T3の開始時にかけて、吐出部D[m]内のインクを−Z方向に押し出した後に、期間Tplにおいて、吐出部D[m]内のインクを+Z方向に再び引き込む。すなわち、本実施形態によれば、期間T1の終了時から期間T2の開始時にかけて、吐出部D[m]内のインクを+Z方向に引き込むことで、引き込まない場合と比較して、期間T2の終了時から期間T3の開始時にかけて、吐出部D[m]内のインクを−Z方向に強く押し出すことができる。また、本実施形態によれば、期間T2の終了時から期間T3の開始時にかけて、吐出部D[m]内のインクを−Z方向に押し出すことで、押し出さない場合と比較して、期間Tplにおいて、吐出部D[m]内のインクを+Z方向に強く引き込むことができる。すなわち、本実施形態によれば、期間T1の終了時から期間T2の開始時にかけて、吐出部D[m]内のインクを+Z方向に引き込まない場合、または、期間T2の終了時から期間T3の開始時にかけて、吐出部D[m]内のインクを−Z方向に押し出さない場合と比較して、期間Tplにおいて、吐出部D[m]内のインクを+Z方向に強く引き込むことができる。このため、本実施形態によれば、期間T1の終了時から期間T2の開始時にかけて、吐出部D[m]内のインクを+Z方向に引き込まない場合、または、期間T2の終了時から期間T3の開始時にかけて、吐出部D[m]内のインクを−Z方向に押し出さない場合と比較して、吐出部D[m]のノズルNの近傍に異物PPが付着している場合の周期Tcと、吐出部D[m]のノズルNの近傍に異物PPが付着していない場合の周期Tcとの差分を大きくすることができ、判定ユニットJUにおいて、吐出部D[m]のノズルNの近傍に異物PPが付着しているか否かを判定する場合における、判定の精度を高くすることが可能となる。
【0054】
<<B.第2実施形態>>
以下、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以下に例示する各形態において作用や機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0055】
第2実施形態は、判定対象吐出部D-Sを波形PS3により駆動する点において、判定対象吐出部D-Sを波形PS1により駆動する第1実施形態と相違する。
【0056】
図13は、波形PS3を示すタイミングチャートである。
図13に示すように、波形PS3は、期間Tplにおいて、電位VsHから電位VsNへと遷移し、制御期間TSS2において、電位VsNを維持し、制御期間TSS3において、電位VsNから基準電位V0へと遷移する点において、波形PS1と相違する。本実施形態では、電位VsNが、基準電位V0及び電位VsLの間の電位である場合を想定する。但し、電位VsNは、基準電位V0と同電位であっても構わない。すなわち、波形PS3は、電位VsHと電位VsNとの電位差ΔVs3が、電位VsHと基準電位V0との電位差以上であって、電位VsHと電位VsLとの電位差以下となるように定められればよい。
ここで、期間Tplのうち、波形PS3が最初に電位VsNとなる時刻を時刻ttnと称し、時刻tt1から時刻ttnまでの期間を期間Thnと称する。また、波形PS3により吐出部D[m]を駆動した場合に、制御期間TSS2において吐出部D[m]に生じる残留振動の周期Tcを、周期Tc-PS3と称する。そして、期間T3の時間長を「ΔT3」と表現し、期間Thnの時間長を「ΔThn」と表現する場合、波形PS3は、以下の式(19)を満たすような波形に定められる。
ΔT3+ΔThn<Tc-PS3 …(19)
【0057】
波形PS3が式(19)を満たす場合、満たさない場合と比較して、期間Tplにおいて、吐出部D[m]内のインクを+Z方向に強く引き込むことができる。このため、本実施形態によれば、式(19)を満たさない場合と比較して、吐出部D[m]のノズルNの近傍に異物PPが付着している場合の周期Tcと、吐出部D[m]のノズルNの近傍に異物PPが付着していない場合の周期Tcとの差分を大きくすることができ、判定ユニットJUにおいて、吐出部D[m]のノズルNの近傍に異物PPが付着しているか否かを判定する場合における、判定の精度を高くすることが可能となる。
【0058】
なお、本実施形態において、波形PS3を、期間T3の時間長ΔT3が、図13に示す波形PS3zが電位VsHとなる期間T3zの時間長ΔT3zよりも長くなるように定めてもよい。ここで、波形PS3zとは、波形PS3の期間T3の時間長を変更した波形のうち、波形PS3zにより吐出部D[m]を駆動した場合に、制御期間TSS2において吐出部D[m]に生じる残留振動の振幅が最小となる波形である。このように、時間長ΔT3を、時間長ΔT3zよりも長くすることで、時間長ΔT3と時間長ΔT3zとが等しい場合と比較して、期間Tplにおいて、吐出部D[m]内のインクを+Z方向に強く引き込むことができる。このため、時間長ΔT3を、時間長ΔT3zよりも長くすることで、時間長ΔT3と時間長ΔT3zとが等しい場合と比較して、判定ユニットJUにおいて、吐出部D[m]のノズルNの近傍に異物PPが付着しているか否かを判定する場合における、判定の精度を高くすることが可能となる。
【0059】
<<C.変形例>>
以上の各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲内で適宜に併合され得る。なお、以下に例示する変形例において作用や機能が実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0060】
<<変形例1>>
上述した実施形態1及び2では、供給駆動信号Vin[m]の電位が高電位となる場合に、供給駆動信号Vin[m]により駆動される吐出部D[m]の容積が小さくなる態様を例示したが、本発明なこのような態様に限定されるものではない。例えば、供給駆動信号Vin[m]の電位が高電位となる場合に、供給駆動信号Vin[m]により駆動される吐出部D[m]の容積が大きくなるように、圧電素子PZ[m]が設けられていてもよい。例えば、本変形例において、波形PS1は、電位VsKが電位VsHよりも高電位となることで、期間Tplにおいて、吐出部D[m]内のインクを+Z方向に向けて引き込む波形であって、基準電位V0が、電位VsLと電位VsHとの間の電位であり、且つ、電位VsKが、基準電位V0と電位VsLとの間の電位となる波形であればよい。また、本変形例において、波形PS3は、電位VsNが電位VsHよりも高電位となることで、期間Tplにおいて、吐出部D[m]内のインクを+Z方向に向けて引き込む波形であって、基準電位V0が、電位VsLと電位VsHとの間の電位であり、且つ、電位VsNが、基準電位V0と電位VsLとの間の電位または基準電位V0と同電位となる波形であればよい。
【0061】
<<変形例2>>
上述した実施形態1及び2並びに変形例1において、判定ユニットJUは、制御部2とは別個の回路として設けられるが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。判定ユニットJUのうちの一部または全部は、制御部2のCPU等が制御プログラムに従って動作することにより実現される機能ブロックとして実装されてもよい。
【0062】
<<変形例3>>
上述した実施形態1及び2並びに変形例1及び2において、インクジェットプリンター1は、4個のヘッドユニットHUと、4個のインクカートリッジ310と、が1対1に対応するように設けられるが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。インクジェットプリンター1は、1個以上のヘッドユニットHUと、1個以上のインクカートリッジ310と、を備えていればよい。
また、上述した実施形態1及び2並びに変形例1及び2において、インクジェットプリンター1には、各ヘッドユニットHUに1対1に対応して判定ユニットJUが設けられるが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。インクジェットプリンター1には、複数のヘッドユニットHUに対して1個の判定ユニットJUが設けられてもよく、1個のヘッドユニットHUに対して複数の判定ユニットJUが設けられてもよい。
【0063】
<<変形例4>>
上述した実施形態1及び2並びに変形例1乃至3では、インクジェットプリンター1がシリアルプリンターである場合を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。インクジェットプリンター1は、ヘッドモジュール3において、複数のノズルNが、記録用紙Pの幅よりも広く延在するように設けられた、所謂ラインプリンターであってもよい。
【符号の説明】
【0064】
1…インクジェットプリンター、2…制御部、3…ヘッドモジュール、4…駆動信号生成回路、5…記憶部、6…判定モジュール、7…搬送機構、31…スイッチ回路、32…記録ヘッド、33…検出回路、61…周期特定回路、62…吐出状態判定回路、322…キャビティ、D…吐出部、HU…ヘッドユニット、JU…判定ユニット、N…ノズル、PZ…圧電素子。
図1
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