特開2020-44927(P2020-44927A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-44927(P2020-44927A)
(43)【公開日】2020年3月26日
(54)【発明の名称】車両の積載物衝突防止装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 5/04 20060101AFI20200303BHJP
【FI】
   B60R5/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-173822(P2018-173822)
(22)【出願日】2018年9月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174366
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 史郎
(72)【発明者】
【氏名】蓮見 伸吾
【テーマコード(参考)】
3D022
【Fターム(参考)】
3D022BA18
3D022BB01
3D022BC09
3D022BC11
(57)【要約】
【課題】本発明は、荷室のスペースを損なわずに、車両の前側の衝突時、荷室の荷物が車両前方(シート側)へ移動する場合におけるシートの変形が防げる積載物衝突防止装置を提供する。
【解決手段】本発明の積載物衝突防止装置は、車両1のシート13の後方に設けられた、荷物Aの積載が可能な荷室5と、荷室5のシート13直後のフロア面5aに設けられ、常態時は荷室5のフロア面5aの一部をなし、車両1の前側の衝突時、前側から所定以上の衝撃力が加わると、上方へ変位し、積載荷物Aの変位を抑える姿勢に変る荷物抑制体17,41とを具備する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のシートの後方に設けられた、荷物の積載が可能な荷室と、
前記荷室のシート直後のフロア面に設けられ、常態時は前記荷室のフロア面の一部をなし、前記車両の前側の衝突時、所定以上の衝撃力が加わると、上方へ変位し、積載荷物の変位を抑える姿勢に変る荷物抑制体と
を具備したことを特徴とする車両の積載物衝突防止装置。
【請求項2】
前記荷物抑制体は、当該荷物抑制体上に荷物がないときに姿勢が変る
ことを特徴とする請求項1に記載の車両の積載物衝突防止装置。
【請求項3】
前記荷物抑制体は、常態時では荷室のフロア面に沿って伏せた状態に配置され、車両の前側から所定以上の衝撃力が加わると、フロア面沿いに伏せた状態から起立した状態に変るフラップ体を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両の積載物衝突防止装置。
【請求項4】
前記フラップ体は、車幅方向に沿って配置され、荷室のフロア面沿いに伏せた状態から荷室のフロア面から起立した状態へ回動可能なフラップ部材と、前記フラップ部材に設けられ前記フラップ部材の重心位置を所定に定める錘部とを有し、
前記錘部が、衝突時に生じる慣性力により、前記フラップ部材を伏せた状態から起立した状態へ回動させる位置に設けられる
ことを特徴とする請求項3に記載の車両の積載物衝突防止装置。
【請求項5】
前記荷物抑制体は、常態時は荷室のフロア面に沿う状態に配置され、車両の前側から所定以上の衝撃力が加わると、前記荷室のフロア面に沿う状態から上方へ向かって膨らむエアバック体を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両の積載物衝突防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積載荷物のシートへの衝突を防ぐ車両の積載物衝突防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワゴンなど後席(シート)の後方に荷室を有する車両では、車両前側の衝突時、例えば前面衝突時(以下、前突時という)、積載した荷物が慣性力で車両前方へ移動(変位)して、後席に衝突することがある。
このため、前面衝突時、車両前方へ移動する荷物によって、後席(シート)が変形する場合がある。
【0003】
この対策として、特許文献1に開示されているように後席の直後方に、荷室内を仕切るようトノカバーを設けて、慣性力で変位してくる荷物と後席とが衝突するのを防ぐ技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−221888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1はトノカバーによって荷物の移動が後席後方の位置が抑えることができるものの、常時、荷室には、トノカバーが設置される都合上、利用できる荷室のスペースは制約され、荷室のスペースが有効に利用できない問題がある。
そこで、本発明の目的は、荷室のスペースを損なわずに、車両の前側の衝突時、荷室の荷物が車両前方(シート側)へ移動する場合におけるシートの変形が防げる車両の積載物衝突防止装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様は、車両のシートの後方に設けられた、荷物の積載が可能な荷室と、荷室のシート直後のフロア面に設けられ、常態時は荷室のフロア面の一部をなし、車両の前側から所定以上の衝撃力が加わると、上方へ変位し、積載荷物の変位を抑える姿勢に変る荷物抑制体とを具備するものとした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、常態時における荷物抑制体は、荷室のフロア面の一部をなすよう配置されるので、常に荷室のスペースは有効に利用できる。
また前側の衝突時における荷物抑制体は、荷室のフロア面の一部をなす状態から上方へ変位して、荷物の進行(変位)を抑える姿勢に変る。これにより、たとえ荷室の荷物が慣性力により車両前方(シート側)へ移動(変位)した場合、荷物はシートに至る前に荷物抑制体と衝突して進行(変位)が抑えられる。つまり、前側の衝突時における荷物とシートとの衝突は回避され、シートの変形が防げる。
【0008】
それ故、荷室のスペースを損なわずに、車両の前側の衝突時、荷室の荷物が車両前方へ移動する場合におけるシートの変形を防ぐことができる。特に過大な慣性力をもたらすおそれのある荷物、例えば出入り口付近などシートから離れた位置に荷物が載せられた場合などには有効である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(a)は、本発明の第1の実施形態に係る態様となる車両の積載物衝突防止装置を示す平面図、(b)は同じく側断面図。
図2】荷物抑制体の各部の構造を示す側断面図。
図3】前突時、フロア面から荷物抑制体のフラップ部材が立ち上がり、進行してくる荷物を抑えるまでを説明する側面図。
図4】本発明の第2の実施形態に係る態様を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を図1図3に示す第1の実施形態にもとづいて説明する。
図1(a)は車両の平面図を示し、図1(b)は車両の側面図を示している。
車両の主な構成を説明すると、図1(a),(b)中の符号1は車両の車体、3は車体1内に形成された車室、5は車室3に続いて車体1の後部に形成された荷室(荷物Aが積載される室)、7は荷室5の最後方端に形成された荷物用の出入り口、9は同出入り口7を開閉するテールゲートを示している。
【0011】
車両の車室3内には、乗員が着座するシート、例えばセパレート式の前席(図示しない)やセパレート式の後席13(本願のシートに相当)が設けられている。
図1(a),(b)中の符号3aは、前席や後席13が据え付く車室3のフロア面を示し、5aは、フロア面3aに続く荷室5のフロア面を示している。
この車両の後席13の直後のフロア面5a(荷室5)には、積載物衝突防止装置15が設けられている。積載物衝突防止装置15は、荷物抑制体であるところの例えば図2に示されるフラップ体17を有して構成される。積載物衝突防止装置15は、前面衝突時(以下、前突時という:本願の車両前側の衝突時に相当)に搭載された荷物Aが、慣性力で後席13(シート)へ向かう場合における後席13の変形を防ぐ装置である。
【0012】
図1,2を参照して積載物衝突防止装置15の各部を説明すると、図1中の符号19は、後席13の後側の直後に位置するフロア面部分に形成された細長の凹部である。凹部19は、例えば偏平断面をなし、車幅方向に渡り形成される。この凹部19内に上記フラップ体17は収められる。つまり、フラップ体17は、後席13の直後の地点に車幅方向沿いに配置される。
【0013】
フラップ体17は、図2にも示されるように凹部19を占める帯板形のフラップ部材23と、フラップ部材23の後席側(車両前方側)の端部両側に設けた一対の回動軸部25と、フラップ部材23の幅方向中間部に設けた錘部27とを有している。
一対の回動軸部25は、凹部19の車幅方向両側の側壁に回動自在に支持される。この支持により、図1(b)および図2に示されるように帯板形のフラップ部材23は、荷室5のフロア面5aに沿って伏せた状態と、フロア面5aから立ち上がる起立した直立姿勢との間を回動可能となる。ちなみに、起立したフラップ体17は、凹部19の車両前側の縁部に設けたストッパー部29により規制され、直立姿勢に保たれる。
【0014】
常態時、フラップ部材23は、伏せた姿勢で、凹部19内に配置される。これにより、フラップ部材23はフロア面5aの一部をなす。
錘部27は、フラップ部材23の重心位置Gを所定に定めるための所定の重量を有する塊部分で構成される。この錘部27が、フラップ部材23の板面の所定位置に例えば複数個設けられる(図2では1個しか図示せず)。
【0015】
錘部27の位置は、前突時、車両の前部から所定以上の衝撃力F(図3)が加わり、荷室5の荷物Aに作用する慣性力で、当該荷物Aがフロア面5a上を後席13側(車両前側)に移動(変位)するおそれのあるとき、フラップ部材23を立ち上がらせるのに必要な慣性力を生じさせる位置に設定される。
この設定により、前突時、フラップ体17は、フラップ部材23や錘部27に作用する慣性力を利用して、フロア面5aの上方へ変位する。つまり、フラップ体17は、前突時の慣性力により、伏せた状態から起立した状態へ変化して、後席13側(車両前側)に進行(変位)してくる荷物Aの進行を抗う姿勢に変る。
【0016】
ちなみにフラップ体17は、フラップ体17上に荷物Aが有る場合、加わる荷物Aの重量により、上方へは回動(変位)しない。
つぎに、図3を参照して、このように構成された積載物衝突防止装置15の作用について説明する。
常態時、フラップ体17(荷物抑制体)は横向きに配置され、荷室5のフロア面5aの一部をなしている。この状態から積載荷物となる荷物Aが荷室5のフロア面5aに載せられる。
【0017】
つまり、荷室5のスペースを最大限、有効に利用して荷物Aの積載が行える。
この際、例えば図1(a),(b)および図2に示されるように荷物Aが荷室最後端の出入り口7付近にだけに載せられることがある。
この荷物Aを積載した車両が前突(車両前側の衝突)を起こしたとする。
ここで、衝突に伴う慣性力により荷室5に載せた荷物Aが、図3中の矢印αに示されるようにフロア面5a上を後席13側(車両前側)へ移動(変位)したとする。
【0018】
このとき、後席13直後のフラップ体17(横向き状態)は、フラップ体17や錘部27に作用する慣性力を受けて、回動軸部25を支点に上方へ立ち上がる。これによりフラップ体17は、横向きの姿勢から起立した姿勢、すなわち荷物Aの進行を抗う姿勢に変わる。この姿勢はストッパー部29にて位置決められる。
これにより、後席13側へ移動してくる荷物Aは、図3中の実線に示されるように後席13に至る前に、起立したフラップ体17と衝突して、それ以降の荷物Aの進行(変位)が抑えられる。
【0019】
これにより、移動してくる荷物Aと後席13との衝突が回避されたり緩和されたりする。
それ故、本実施形態ように後席直後の荷室5のフロア面5aに、常態時はフロア面5aをなし、前突時は上方へ変位して荷物Aの移動(変位)を抑えるフラップ体17(荷物抑制体)を設けたことにより、前突時、たとえ荷室5の荷物Aが、慣性力によって車両前方側へ移動したとしても、荷物Aは後席13に至る前に、フラップ体17により進行(変位)が抑えられて荷物Aと後席13との衝突が回避(緩和)されるので、後席13(シート)の変形を防ぐことができる。しかも、荷室5のスペースは損なわずにすむ。特に出入り口7付近など後席13から離れた位置(局所的)に荷物Aを載せた場合(過大な慣性力が発生しやすい場合)には、有効である。
【0020】
そのうえ、フラップ体17(荷物抑制体)は、フラップ体17上に荷物Aがないときにだけ起立姿勢に変るようにしたので、フラップ体17の作動は、後席13(シート)から離れた位置に荷物Aを載せた場合など、荷物Aの移動量が多いことが想定される場合だけとなり、過大な慣性力の生じやすい荷物Aから、後席13の変形を防ぐには有効である。
特にフラップ体17は、錘部27に作用する慣性力を利用して、起立した姿勢に変える構造なので、簡単な構造ですむ。
【0021】
なお、フラップ体17は、錘部27がもたらす慣性力により起立させるだけでなく、図1(b)中の二点鎖線に示されるようにフラップ部材23に、例えば衝突センサ(図示しない)に応動して作動するアクチュエータ31を組み合わせて、前突時にフラップ部材23を起立させるようにしてもよい。
この場合も、アクチュエータ31は、過大な慣性力が荷物Aに生じるときに作動するよう、荷物Aがフラップ体17上にない状況のとき、フラップ体17の起立を行う設定にしてある。
【0022】
図4は、本発明の第2の実施形態を示す。
本実施形態は、荷物抑制体としてフラップ体でなく、エアバッグ体41を用いて、荷物Aが後席13と衝突するのを回避(あるいは緩和)するようにしたものである。
すなわち、エアバッグ体41は、折り畳まれて凹部19内に格納され、常態時においてフロア面5aの一部をなす。エアバッグ体41は、図4中の破線に示されるように上方へ向かって膨らむ形状に設定される。このエアバッグ体41が、インフレータ43を介して衝突センサ45に接続される。
【0023】
これにより、前突時、所定以上の衝撃を衝突センサ45が感知すると、インフレータ43が作動して、発生するガスにより瞬時にエアバッグ体41は膨らむ。つまり、エアバッグ体41が、荷物Aの進行を抗う起立状態(例えば断面三角形の梁形)に変るようにしたものである。
第2の実施形態の場合も、第1の実施形態と同様にエアバッグ体41は、荷物Aが折畳んだエアバッグ体41上にないとき、エアバッグ体41が膨らむ設定にしてある。
【0024】
このようにしても第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
但し、図4において第1の実施形態と同じ部分には同一符号を付してその説明を省略した。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々可変して実施しても構わない。
【符号の説明】
【0025】
1 車体
5 荷室
5a 荷室のフロア面
13 後席(シート)
17、41 フラップ体、エアバッグ体(荷物抑制体)
23 フラップ部材
27 錘部
A 荷物(積載荷物)
図1
図2
図3
図4