特開2020-45092(P2020-45092A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2020-45092電化区間および非電化区間を有する路線上を運行可能な車両編成および車両編成用の車両
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  • 特開2020045092-電化区間および非電化区間を有する路線上を運行可能な車両編成および車両編成用の車両 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-45092(P2020-45092A)
(43)【公開日】2020年3月26日
(54)【発明の名称】電化区間および非電化区間を有する路線上を運行可能な車両編成および車両編成用の車両
(51)【国際特許分類】
   B61D 17/10 20060101AFI20200303BHJP
   B61D 37/00 20060101ALI20200303BHJP
【FI】
   B61D17/10
   B61D37/00 H
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-158384(P2019-158384)
(22)【出願日】2019年8月30日
(31)【優先権主張番号】1814964.1
(32)【優先日】2018年9月14日
(33)【優先権主張国】GB
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドーテル, クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】フリジェリオ, ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】園 真
(57)【要約】
【課題】パンタグラフを車両編成の好ましい位置に配置しながら床下空間を確保可能な車両編成および車両を提供することを目的とする。
【解決手段】電化区間および非電化区間を有する路線上で運行可能な車両編成の最初または最後の位置に配置可能な先頭車両であって、前記先頭車両の屋根に位置するパンタグラフと、前記先頭車両の客室の床面の下に配置された発電ユニットと、前記先頭車両を駆動するための牽引モータとを有し、前記床面は、前記パンタグラフの下方に延在する前記床面の第1の部分が、前記発電ユニットの上方に延在する前記床面の第2の部分よりも低くなるように、前記パンタグラフと前記発電ユニットとの間で高さを変えて構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電化区間および非電化区間を有する路線上で運行可能な車両編成の最初または最後の位置に配置可能な先頭車両であって、
前記先頭車両の屋根に位置するパンタグラフと、前記先頭車両の客室の床面の下に配置された発電ユニットと、前記先頭車両を駆動するための牽引モータとを有し、
前記発電ユニットは、エンジンと、前記エンジンによって駆動される発電機とを備え、
前記牽引モータは、前記パンタグラフによって収集された電力によって、または、前記発電ユニットによって生成された電力によって選択的に駆動可能であり、
前記パンタグラフは、前記車両編成の端部を形成する前記先頭車両の端部に相対的に近い位置に設けられ、前記発電ユニットは、前記先頭車両の端部から相対的に離れた位置に設けられ、
前記床面は、前記パンタグラフの下方に延在する前記床面の第1の部分が、前記発電ユニットの上方に延在する前記床面の第2の部分よりも低くなるように、前記パンタグラフと前記発電ユニットとの間で高さを変えて構成される、先頭車両。
【請求項2】
前記第1の部分と前記第2の部分との間において、前記床面の傾斜部分により、前記第1の部分と前記第2の部分との間の前記床面の高さを次第に変化させるように構成される、請求項1に記載の先頭車両。
【請求項3】
前記第1の部分が前記第2の部分よりも少なくとも5cm低い、請求項1または2に記載の先頭車両。
【請求項4】
前記第1の部分は前記第2の部分よりも15cm以内の低さである、請求項1から3のいずれか1項に記載の先頭車両。
【請求項5】
前記第1の部分で前記客室に入る1以上の乗客ドアと、前記第2の部分で前記客室に入る1以上の乗客ドアとをさらに有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の先頭車両。
【請求項6】
使用されていないときに前記パンタグラフを納めるルーフウェルをさらに有し、当該ルーフウェルは、前記先頭車両の前記端部に相対的に近い前端部と、前記先頭車両の前記端部から相対的に離れた後端部とを有し、前記第1の部分が、少なくとも前記後端部まで前記パンタグラフの下方で延在する、請求項1から5のいずれか1項に記載の先頭車両。
【請求項7】
前記先頭車両の両端に台車をさらに有し、前記パンタグラフは、前記台車の1つの上方に配置され、前記パンタグラフが前記先頭車両の屋根から上昇したときに、架空送電線と電気的に接触するための前記パンタグラフの接触頭部が前記台車上方の中心に配置される、請求項1から6のいずれか1項に記載の先頭車両。
【請求項8】
前記パンタグラフは二重アームの半パンタグラフであり、前記二重アームによって形成されたV字形が前記車両編成の端部を形成する前記先頭車両の端部から離れる方向を向くように配置された、請求項1から7のいずれか1項に記載の先頭車両。
【請求項9】
電化区間および非電化区間を有する路線上で運行可能な車両編成の中間位置に配置可能な変圧器搭載中間車両であって、
前記車両編成は、中間位置に対してどちらか一方となる車両編成の最初および最後の位置にそれぞれパンタグラフを有し、前記車両編成の他の車両はそれぞれ、発電ユニットと、これらの車両を駆動するための牽引モータとを有し、それぞれの前記発電ユニットは、エンジンと、前記エンジンによって駆動される発電機とを備え、
前記変圧器搭載中間車両は、
前記パンタグラフによって収集され、前記車両編成に沿って当該中間車両に伝送される交流電力を当該中間車両の両端で受け取るために車両の長さに方向に延在する電力線と、
当該中間車両の客室の床面の下に配置された変圧器であって、前記電力線から電力を受け取る一次側と、降圧交流電力を生成する複数の二次側とを有する変圧器と、
前記二次側から当該中間車両の一方または他方の端部に延びて、前記車両編成の他の車両に降圧交流電力をそれぞれ供給する複数の電力線と、を有し、
他の各車両の前記牽引モータは、前記パンタグラフのうちの1つによって収集され前記変圧器によって降圧された電力、または、前記発電ユニットによって発電された電力、によって選択的に駆動可能である、変圧器搭載中間車両。
【請求項10】
前記車両編成の他の各車両がAC/DCコンバータおよびDC/ACインバータを備える牽引コンバータをさらに有し、
前記AC/DCコンバータは、前記パンタグラフのうちの1つによって収集され変圧器によって降圧された電力を直流電力へ、または、前記発電ユニットによって生成された電力を直流電力へ、選択的に変換し、
前記DC/ACインバータは前記牽引モータに供給するために直流電力を交流電力に変換し、
前記変圧器搭載中間車両は、当該客室の床の下に位置する1以上の補助電源ユニットをさらに有し、1つまたはそれぞれの前記補助電源ユニットは、1以上の前記牽引コンバータから直流電力を受け取り、当該直流電力を車両編成補助機器に電力供給するために交流電力に変換する、請求項9に記載の変圧器搭載中間車両。
【請求項11】
2つの前記補助電源ユニットを有し、1つの前記補助電源ユニットは車両編成補助機器に電力を供給するために前記中間車両の一方の側の前記車両に交流電力を提供し、もう1つの前記補助電源ユニットは車両編成補助機器に電力を供給するために前記中間車両の他方の側の前記車両に交流電力を提供する、請求項10に記載の変圧器搭載中間車両。
【請求項12】
電化部および非電化部を有する路線上で運行可能な車両編成であって、前記車両編成は、請求項1から8のいずれか1項に記載の先頭車両を最初の位置に配置すると共に、請求項1から8のいずれか1項に記載の先頭車両を最後の位置に配置した、車両編成。
【請求項13】
前記先頭車両の間に1以上の中間車両をさらに有し、前記中間車両が、前記先頭車両の床面の前記第2の部分の高さと同じ高さの床面をそれぞれの客室に有することが可能な、請求項12に記載の車両編成。
【請求項14】
前記中間車両の1つが、請求項9から11のいずれか1項に記載の変圧器搭載中間車両である、請求項13に記載の車両編成。
【請求項15】
前記変圧器搭載中間車両の両側に1以上のさらなる中間車両を有し、前記さらなる中間車両はそれらの車両を駆動するためのそれぞれの発電ユニットおよび牽引モータを有し、
前記さらなる中間車両の前記牽引モータは、前記パンタグラフのうちの1つによって収集され前記変圧器によって降圧された電力、または、前記発電ユニットによって生成される電力によって選択的に駆動可能である、請求項14に記載の車両編成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電化区間および非電化区間を有する路線上を運行可能な車両編成および車両編成用の車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道走行区間は、電化区間と非電化区間の2種類の区間を有する。電化区間は架線や第三軌条等の列車の電力供給設備を有する区間であり、非電化区間はこのような設備がなく、車両に搭載された発電ユニット(ディーゼルエンジンや他の内燃機関のようなエンジン、エンジンで駆動される発電機を含む)を介して列車のための電力を得て駆動するか、または列車をエンジンで直接的に駆動する区間である。
【0003】
旅客列車が電化区間および非電化区間の両方を通過する必要性はますます高まっている。この種の旅客列車のための車両編成は、各々が、例えば発電ユニットや牽引モータを装備した、1以上のエンジン搭載用の客車を備えてもよい。電化区間では、例えば架線から送られた電力を用いて、各エンジンを搭載する車両の牽引モータを駆動することにより駆動力が得られる。一方、非電化区間では、発電ユニットで発電された電力を用いて、各エンジンを搭載する車両の牽引モータを駆動することにより駆動力が得られる。車両編成は、屋根の上に取付けられ架線から電力を収集するパンタグラフを備える先頭車両を有していてもよい。ここで、先頭車両は、車両編成の最初と最後の位置に編成することができる。
【0004】
このような車両編成は、一般的には電力モードでは高出力および高速で、ディーゼルモードでは低出力および低速で動作するように構成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方で、電化区間および非電化区間の電力要件が逆になる場合がある。例えば、列車はほとんどの行程の間は、高速路線上をディーゼルモードで走行する必要があり、また、軌道のほんの一部分だけが電化され、この区間の速度は制限されるという場合がある。ここで、電力による動力よりも高いディーゼル動力を得ることができる車両編成を作り出すためには、パンタグラフ、発電ユニット、および牽引モータを同じ車両に設置することが望ましい場合がある。
【0006】
しかしながら、パンタグラフは屋根に設置される必要があり、さらに、一般的にはパンタグラフは屋根に形成されたウェル(くぼみ)内に格納可能である必要もある。一方で、比較的かさばる発電ユニットは床面の下に設けられるため、床面と屋根との間の客室の空間を十分に確保することが難しくなる問題が生じ得る。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みて、パンタグラフを車両編成の好ましい位置に配置しながら床下空間を確保可能な車両編成および車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様において、本発明は、電化区間および非電化区間を有する路線上で運行可能な車両編成の最初または最後の位置に配置可能な先頭車両であって、前記先頭車両の屋根に位置するパンタグラフと、前記先頭車両の客室の床面の下に配置された発電ユニットと、前記先頭車両を駆動するための牽引モータとを有し、前記発電ユニットは、エンジンと、前記エンジンによって駆動される発電機とを備え、前記牽引モータは、前記パンタグラフによって収集された電力によって、または、前記発電ユニットによって生成された電力によって選択的に駆動可能であり、前記パンタグラフは、前記車両編成の端部を形成する前記先頭車両の端部に相対的に近い位置に設けられ、前記発電ユニットは、前記先頭車両の端部から相対的に離れた位置に設けられ、前記床面は、前記パンタグラフの下方に延在する前記床面の第1の部分が、前記発電ユニットの上方に延在する前記床面の第2の部分よりも低くなるように、前記パンタグラフと前記発電ユニットとの間で高さを変えて構成される、先頭車両を提供する。
【0009】
前記先頭車両の床面がこのようにして高さを変えることによって、発電ユニットおよび牽引モータ、ならびにパンタグラフを備えることが可能となり、非電化区間上で車両編成を駆動するために利用可能な電力を増やすことができる利点がある。これは、車両の乗客運搬能力を犠牲にすることなしに行われる。
【0010】
さらに、以下の任意の特徴は、単独または第1の態様の先頭車両との任意の組合せで適用可能である。
【0011】
典型的には、前記発電ユニットの前記エンジンがディーゼルエンジンのような内燃機関である。
【0012】
典型的には、前記先頭車両がAC/DCコンバータおよびDC/ACインバータを備える牽引コンバータをさらに有し、前記AC/DCコンバータは前記パンタグラフによって収集された電力を直流電力へ、または、前記発電ユニットによって生成された電力を直流電力へ選択的に変換し、前記DC/ACインバータは直流電力を交流電力に変換して牽引モータに給電する。
【0013】
前記第1の部分と前記第2の部分との間における前記床面の傾斜部分は、前記第1の部分と前記第2の部分との間の前記床面の高さを次第に変化させることができる。例えば、傾斜部分は27パーミル以下(すなわち、2.7%以下)の勾配を有することができる。このようにすることで、床面の高さの変化が乗客の利便性を損なうことがないものとなる。
【0014】
前記第1の部分は、前記第2の部分よりも少なくとも5cm低くてもよい。これは、パンタグラフを収容するのに十分な上部空間と、発電ユニットを収容するのに十分な床下空間とを確保することを可能とする。
【0015】
前記第1の部分は、前記第2の部分よりも15cm以内の低さとすることができる。これにより、車両編成が駅で停止したときに、第1および第2の部分の両方をプラットホーム面に対して許容可能な高さにすることができる。
【0016】
前記先頭車両はさらに、前記第1の部分で前記客室に入る1以上の乗客ドアと、前記第2の部分で前記客室に入る1以上の乗客ドアとを有することができる。
【0017】
前記先頭車両はさらに、使用されていないときに前記パンタグラフを納めるルーフウェルを有してもよく、このルーフウェルは前記先頭車両の前記端部に相対的に近い前端部と、前記先頭車両の前記端部から相対的に離れた後端部とを有し、前記第1の部分は少なくとも前記後端部まで前記パンタグラフの下方で延在する。
【0018】
前記先頭車両は、客室の天井を備えることができ、この天井は、前記床面の前記第1の部分の上方に延在する天井の第1の部分が、前記床面の前記第2の部分の上方に延在する天井の第2の部分よりも低くなるように、車両に沿って高さを変化させるものである。
【0019】
前記先頭車両はさらに、その両端に台車を有してもよく、前記パンタグラフは、前記台車の1つの上方に配置され、前記パンタグラフが前記先頭車両の屋根から上昇したときに、架空送電線と電気的に接触するための前記パンタグラフの接触頭部が前記台車上方の中心に配置される。
【0020】
好都合には、前記パンタグラフは、ダイヤモンド形状のパンタグラフではなく、半パンタグラフであってもよい。典型的には、前記パンタグラフは二重アームである。この二重アームのパンタグラフの両アームは、前記先頭車両の端部から離れる方向を向くように配置されたV字型で形成してもよい。
【0021】
第2の態様では、本発明は、電化区間および非電化区間を有する路線上で運行可能な車両編成の中間位置に配置可能な変圧器搭載中間車両であって、前記車両編成は、中間位置に対してどちらか一方となる車両編成の最初および最後の位置にそれぞれパンタグラフを有し、前記車両編成の他の車両はそれぞれ、発電ユニットと、これらの車両を駆動するための牽引モータとを有し、それぞれの前記発電ユニットは、エンジンと、前記エンジンによって駆動される発電機とを備え、前記変圧器搭載中間車両は、前記パンタグラフによって収集され、前記車両編成に沿って当該中間車両に伝送される交流電力を当該中間車両の両端で受け取るために車両の長さ方向に延在する電力線と、当該中間車両の客室の床面の下に配置された変圧器であって、前記電力線から電力を受け取る一次側と、降圧交流電力を生成する複数の二次側とを有する変圧器と、前記二次側から当該中間車両の一方または他方の端部に延びて、前記車両編成の他の車両に降圧交流電力をそれぞれ供給する複数の電力線と、を有し、他の各車両の前記牽引モータは、前記パンタグラフのうちの1つによって収集され前記変圧器によって降圧された電力、または、前記発電ユニットによって発電された電力、によって選択的に駆動可能である、変圧器搭載中間車両を提供する。
【0022】
有利には、前記変圧器搭載中間車両は、前記車両編成の他のすべての車両に降圧交流電力を供給することができる。したがって、車両編成にさらなる変圧器を設置する必要がなくなり、それぞれの発電ユニットの代わりに他の車両の空間が空き、その結果、非電化区間で車両編成を駆動するために利用可能な電力を増大させることができる。
【0023】
以下の任意の特徴は、単独または第2の態様の前記変圧器搭載中間車両との任意の組合せで適用可能である。
【0024】
前記車両編成のそれぞれの他の車両は、AC/DCコンバータおよびDC/ACインバータを備えるそれぞれの牽引コンバータをさらに有してもよい。前記AC/DCコンバータは前記パンタグラフの1つによって収集され、前記変圧器によって直流電力に降圧された電力、または、前記発電ユニットによって生成された電力、を直流電力に選択的に変換する。前記DC/ACインバータは直流電力を交流電力に変換してその牽引モータに給電する。この場合、前記変圧器搭載中間車両は、さらに、その客室の前記床面の下に配置された1以上の補助電源ユニットを有してもよい。当該またはそれぞれの補助電源ユニットは、1以上の牽引コンバータから直流電力を受け取り、車両編成補助機器(例えば、照明機器、空調機器、車上信号機器、制御機器など)に電力を供給するために直流電力を交流電力に変換する。例えば、前記変圧器搭載中間車両は2つのこのような補助電源ユニットを有してもよく、その1つは車両編成補助機器に電力を供給するために中間車両の一方の側の車両に交流電力を提供し、もう1つは車両編成補助機器に電力を供給するための中間車両の他方の側の車両に交流電力を提供する。
【0025】
第3の態様において、本発明は、電化区間および非電化区間を有する路線上で運行可能な車両編成であって、本発明は第1の態様による前記先頭車両を最初の位置に配置すると共に、第1の態様による先頭車両を最後の位置に配置した車両編成を提供する。
【0026】
以下の任意の特徴は、単独または第3の態様の前記車両編成との任意の組合せで適用可能である。
【0027】
前記車両編成は、複数の前記先頭車両の間に1つ以上の中間車両をさらに有してもよい。特に、前記中間車両は、前記先頭車両の床面の第2の部分の高さと同じ高さの床面をそれぞれの客室に有することができる。前記中間車両の1つは、第2の態様の前記変圧器搭載中間車両であってもよい。特に、前記車両編成は前記変圧器搭載中間車両の両側に1以上のさらなる中間車両を有することができ、前記さらなる中間車両はそれらの車両を駆動するためのそれぞれの発電ユニットおよび牽引モータを有し、他の各車両の前記牽引モータは前記パンタグラフのうちの1つによって収集され前記変圧器によって降圧された電力、または、前記発電ユニットによって生成される電力、により選択的に駆動可能である。前記車両編成の他の各車両はAC/DCコンバータおよびDC/ACインバータを備える牽引コンバータをさらに有してもよい。前記AC/DCコンバータは、パンタグラフのうちの1つによって収集され変圧器によって降圧された電力を直流電力へ、または、前記発電ユニットによって生成された電力を直流電力へ、選択的に変換する。前記DC/ACインバータは直流電力を交流電力に変換してその車両の牽引モータに給電する。
【0028】
前記車両編成は前記変圧器搭載中間車両の両側に1つのさらなる中間車両を有することができ、それによって、車両編成は全体で5つの車両(すなわち、2つの先頭車両、1つの変圧器搭載中間車両、および2つのさらなる中間車両)を有する。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、パンタグラフを車両編成の好ましい位置に配置しながら床下空間を確保可能な車両編成および車両を提供することができる。
上記以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、5つの車両による旅客列車の車両編成の例を概略的に示す図である。
図2図2は、図1の車両編成の主要な電気部品間の接続を概略的に示す図である。
図3図3は、高速軌道動作のために図1の車両編成の2つが互いに接続された状態を示す図である。
図4図4は、図1の車両編成の先頭車両を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明を実施するための形態を、図面を参照して実施例として説明する。
【0032】
図1は、車両編成の最初と最後の位置に2つの先頭車両1、5、及び3つの中間車両2〜4からなる5つの車両の旅客列車の車両編成の概略図である。各先頭車両1、5は天井から電力を収集するために屋根に形成されたウェル11内にパンタグラフ10を有し、2つの(ボギー)台車(先頭台車31および他の台車32)と、その客室の床面の下に牽引コンバータ20および発電ユニット40を備える駆動システムとを有する。中央の中間車両3は、2つの台車32と、当該客室の床面の下に変圧器50と2つの補助電源装置(APS)60とを有する。他の中間車両2、4の各々は、2つの台車32と、当該客室の床面の下に牽引コンバータ20と発電ユニット40とを備える駆動装置を有する。
【0033】
図2は、車両編成の主要な電気部品間の接続を概略的に示す図である。車両1及び5のパンタグラフ10は、車両編成の長さ方向に延びる電力線70により互いに接続されている。車両3の変圧器50は一次巻線と複数の二次巻線とを有し、一次巻線は電力線70を介して2つのパンタグラフ10に接続されている。変圧器50は、パンタグラフ10で収集した高電圧交流電力を、二次巻線を介してより低い電圧の交流電力に降圧する。電力線は二次巻線から車両3の端部まで延在し、降圧された交流電力を他の車両1、2、4、5に伝送する。車両1、2、4、5の牽引コンバータ20の各々は、AC/DCコンバータ21とDC/ACインバータ22とを備えている。各々のAC/DCコンバータ21は、変圧器50の2つのそれぞれの二次巻線に電力線によって接続される4つの電圧端子を有する。AC/DCコンバータ21の直流端子は、対応するDC/ACインバータ22の直流端子に接続されている。そして、各DC/ACインバータ22の3相交流端子は、各車両の牽引モータ30に接続されている。
【0034】
各々のAC/DCコンバータ21は、AC/DCコンバータ21が変圧器50のそれぞれの二次巻線または発電機42に選択的に接続されることを可能にする切換装置を有する。
【0035】
各発電ユニット40は、エンジン41と、エンジンによって駆動される発電機42とを有する。エンジン41は発電機42と機械的に接続されており、発電機42は、エンジン41からの回転エネルギにより得られた三相交流電力をAC/DCコンバータ21に供給する。発電機42の3相交流端子は、AC/DCコンバータ21の3つの交流端子に接続されている。
【0036】
車両3の一方のAPS60は、車両1および2の牽引コンバータ20におけるAC/DCコンバータ21およびDC/ACインバータ22を連結する直流電力レールと接続される直流端子を有し、他方のAPS60は、車両4および5の牽引コンバータ20のAC/DCコンバータ21およびDC/ACインバータ22を連結する直流電力レールに接続される直流端子を有する。このようにして、APSはAC/DCコンバータ21から直流電力を受け取ると共に、固定電圧および固定周波数を有する交流電力を、照明機器、空調機器、車上信号機器、制御機器等のような補助機器に提供する。各APS60はどの牽引コンバータ20に接続して電力を引き出すかを選択するためのスイッチを有する。
【0037】
図1の説明に戻ると、先頭車両1および5における発電ユニット40の設置により、行程の時間分に必要とされる追加の電力を車両編成に提供する。一方、パンタグラフ10は、最小限のパンタグラフ間隔を維持するために先頭の車両1及び5に配置される。特に、図3は、高速軌道運転のために2つの図1の車両編成を互いに連結された構成を示す。一方の車両編成の前端のパンタグラフは架線まで延長され、他方の車両編成の後端のパンタグラフも同様に延長される。これら以外のパンタグラフは引っ込められる。高速運転の条件においては、前端の延長されたパンタグラフの通過によって引き起こされる物理的な波動妨害が後端の延長された(接点を維持するために架空線に一定の上向きの力を加えなければならない)パンタグラフに対して短期間の断線問題を引き起こす可能性がある。しかしながら、これらの問題はパンタグラフをできるだけ離して(例えば、200メートル以上)間隔をあけることによって低減することができる。したがって、パンタグラフは、車両編成の端部を構成する先頭車両の端部にできるだけ近接する形で、先頭車両のそれぞれに配置することが望ましい。
【0038】
先頭車両1及び5の各々における発電ユニット40及びパンタグラフの両方が配置されることにより、これらが車両の客室の利用可能な空間に割り込むことになる。しかしながら、この課題に対しては、それぞれの先頭車両の床面に2つの床面レベルを設けることによって対処される。したがって、パンタグラフ10の下方の床面の第1の部分は、典型的には、少なくとも、車両編成の端部を構成する車両の端部から、ウェル11の最も遠い端部まで延在する。第1の部分は、車両の端部からより遠い床面の第2の部分よりも低く形成され、第2の部分の下側には発電ユニット40が配置される。床面部分の傾斜部によりこれらのより高い方の床面部分と低い方の床面部分を好適に接続することができる。第1および第2の床面部分の高さレベルの差異は、少なくとも5cm、および/または、15cm以下とすることができる。低い方の制限によりパンタグラフを収容するのに十分な上部{じょうぶ}空間を確保することができ、高い方の制限により発電ユニットを収容するのに十分な床下スペースを確保することができる。高い方の制限は車両編成が駅に停止したときに、両方の部分がプラットホーム面に対して許容可能な高さを確保することを可能にできる。例えば、高さレベルの差は、約10.5cmとすることができる。
【0039】
分割した床面レベルにより、先頭車両1および5の各々の客室の天井は2つのレベルを有することができる。すなわち、低い方の第1の床面部分の上方の低い方の第1天井部分のレベルと、高い方の第2の床面部分の上方の高い方の第2天井部分とを有するレベルである。これらの天井部分は、段部または傾斜部によって接続することができる。
【0040】
先頭車両1および5の2つの床面高さを補うために、台車31、32は、軸ばね装置の下に配置された調節シムを備えることができる。これにより、ボギー車軸は床面の高さとは無関係に全て同じ高さに確保される。
【0041】
車両2〜4では、ちょうどよい具合に、客室の床面レベルを先頭車両1および5の発電ユニット40の上の高い方の第2の床面部分のレベルと同じ高さにすることができる。これにより、床面の高さをそれ以上変化させることなく車両編成を形成することができ、これらの車両と共に運ばれる床下装置のための十分な空間が確保される。車両2〜4は、パンタグラフ10を有していないので、低い方の床面および天井部分を必要としない。
【0042】
このように、中間車両2、4はそれぞれ、2つの台車32と、牽引コンバータ20と、床面の下に収容された発電ユニット40とを有し、中央の中間車両3は、2つの台車32と、変圧器50と、当該床面の下に収納されたAPS60とを有する。
【0043】
図4は、先頭車両1を拡大した図を示す。車両の前面形状は、空気抵抗と騒音を低減するために、その前端部に対して流線形の形状を有している。特により速い走行鉄道車両では、空気抵抗と騒音は、考慮すべき重要な事項となり得る。この流線形化により、パンタグラフ10及びウェル11が前端部から後方に位置を変える必要の可能性が生じる。それでもなお、架空線に接触するパンタグラフの頭部の接点110は、先頭台車31の中心線100上にあることが好ましい。車体は台車によって支持されており、曲線軌道区間では車体が台車の中心で連結ピンの周りに回転する。このため、先頭台車31の中心の上方にパンタグラフの頭部の接点110を有することは、この頭部上の中心位置に架空線が維持されることに貢献する。この目的のために、パンタグラフは、ダイヤモンド型ではなく典型的には半パンタグラフであり、接点110を中心線100上またはその近傍に配置するように適用することができる。特に、パンタグラフが2つのアームを有する場合、これらのアームによって形成されたV字形は先頭車両の前端から離れる方向を向くことが好ましく、この構造により、接点110を中心線100上またはその近傍に配置することがより容易となる。
【0044】
図4はまた、客室への乗客用ドア12を示す。これらは、先に述べたように、2つの床面部分の間の高さの差異が両方の床面部分でプラットホームから客室にアクセス可能とするように、低い方の第1の床面部分および高い方の第2の床面部分を配置することができる。
【0045】
図1の実施形態は両方向に移動するための5つの車両を有し、したがって、2つの先行する車両1および5が車両編成の最初と最後の位置に配置されている旅客列車の車両編成を示す。しかしながら、分割された高さの床面を有する1つの先頭車両のみを有する列車編成、または異なった数の車両を有する列車編成のような変形も可能である。
【0046】
結論として、上記の車両および列車はパンタグラフを車両編成の端部に近い好ましい位置に配置することを可能にしながら、かつ乗客の運搬能力を犠牲にすることなく、発電ユニットおよび他の駆動装置や電気システム部品を取り付けるための床下空間を増やすことができる。
【0047】
本発明は上述の例示的な実施形態に関する説明がされてきたが、これらの開示により当業者が多くの同等の修正および変形が可能である。したがって、上述した本発明の実施形態は例示的なものであり、限定的なものではないとみなすことができる。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、説明した実施形態に様々な変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0048】
1…先頭車両、2…中間車両、3…中間車両、4…中間車両、5…先頭車両、10…パンタグラフ、11…ウェル、12…乗客用ドア、20…牽引コンバータ、21…AC/DCコンバータ、22…DC/ACインバータ、30…牽引モータ、31…先頭台車、32…台車、40…発電ユニット、41…エンジン、42…発電機、50…変圧器、70…電力線、100…中心線、110…接点
図1
図2
図3
図4