【解決手段】レスベラトロールを含有する内部コーティング層を有する消耗品のための容器、そのような容器の製造方法、及び消耗品の保存のための当該容器の使用、及びそのような容器のコーティング層への添加剤としてのレスベラトロールの使用。
前記パーソナルケア又は医薬製品が、錠剤、カプセル、顆粒、粉末、液体、石鹸、ローション又はクリーム、エマルジョン、バーム、分散液又は溶液の形態である、請求項1から3のいずれか一項に記載の容器。
前記コーティング層が、レスベラトロールを、少なくとも0.0001重量%、好ましくは少なくとも0.001重量%、より好ましくは少なくとも0.01重量%、さらにより好ましくは少なくとも0.1重量%、さらにより好ましくは少なくとも1重量%の濃度で含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の容器。
前記コーティング層が、レスベラトロールを、多くとも30重量%、好ましくは多くとも10重量%、より好ましくは多くとも1重量%、さらにより好ましくは多くとも0.1重量%、さらにより好ましくは多くとも0.01重量%の濃度で含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の容器。
前記容器が、ガラス、金属、ポリマー材料、紙、厚紙、又はそれらの組み合わせ、特にアルミニウム及び/又はポリマー材料からなる、請求項1から7のいずれか一項に記載の容器。
少なくとも1つの追加のコーティング層が、任意によりレスベラトロール含有コーティング層と金属製の容器壁との間に存在する、請求項1から10のいずれか一項に記載の容器。
ステップb)が、レスベラトロールを含有する未硬化コーティング層を前記容器壁の表面に塗布すること、及び当該未硬化コーティング層を硬化させることを含む、請求項12に記載の方法。
【発明の概要】
【0010】
発明の概要
本発明の一態様によれば、容器の内表面がレスベラトロールを含有するコーティング層で少なくとも部分的に被覆されている、特に消耗品のための容器が提供される。
【0011】
本発明の広範な態様によれば、本発明は特に容器の内側に向かって、レスベラトロール含有層を含む容器に関する。当該容器は特に、消耗品、特に食品又は食料品、パーソナルケア又は医薬製品で充填されることになる。当該容器は特にレスベラトロールを含有する内部コーティング層を有する。
【0012】
本発明の一実施形態では、本容器は消耗品を(まだ)含んでいない。したがって、本発明の一態様は、消耗品で充填される前に製造された容器を指す。本発明の一態様によれば、消耗品(又は消耗品)とは、(ウェブスター辞典の1913年版による)消費されることができる物品である。消費される、とは、任意の方法で、例えば栄養のための食料品として、パーソナルケア又は健康又は美容目的のため、医薬又は獣医科用目的のため、あるいは他の任意の方法で、使用され又は用いられることを意味するものとする。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、消耗品は、とりわけ食料品、例えば食品、食品成分、栄養素、栄養補助食品、飲料、並びに化粧品、美容及びヘルスケア製品、医薬及び獣医科用製品、薬剤などを含むと理解される。一般に、物品は、固体、液体及び/又は気体成分を含み得る。食料品は、一実施形態によれば、ヒト又は動物にとって食用であるもの、すなわち食べるのに適したものとして理解される。好ましい食品又は食品成分の非限定的なリストは、固体食品、液体又は液状食品、例えば両方での食品、ベビーフード、(ベビー)調合粉(formula powders)など、固体での食品、例えば缶詰食品、調理済みの食事又は料理、例えば魚肉缶詰、半固体状態の食品、例えばジュース又はソース中の肉、果物又は野菜、その他の食品製品又は調味料、ソース、マリネ、スパイスなどを含む。好ましい医薬又は獣医科用製品の非限定的なリストは、錠剤、カプセル、顆粒、粉末、液体、その他の固体又は液体剤形などの形態での薬剤である。好ましい化粧品又は美容及びヘルスケア製品の非限定的なリストは、クリーム、ローション、石鹸、エマルジョン、分散液又は液体等を含む。
【0014】
本明細書で使用される場合、「容器」とは、硬質又は柔軟体の全ての種類の(消耗品のための)容器又は包装を含むと広く理解されるものとする。
【0015】
本発明の一実施形態では、前記消耗品は非飲料(non-beverage)消耗品である。
【0016】
本発明の一実施形態では、前記消耗品は、食品又は食料品、パーソナルケア又は医薬製品である。
【0017】
本発明の一実施形態では、前記パーソナルケア又は医薬製品は、錠剤、カプセル、顆粒、粉末、液体、石鹸、ローション又はクリーム、エマルジョン、分散液又は溶液などの形態である。
【0018】
別の好ましい実施形態では、前記容器の内表面の全体がレスベラトロールを含有するコーティング層で被覆されている。
【0019】
さらに別の好ましい実施形態では、前記コーティング層は、レスベラトロールを、少なくとも0.0001重量%、好ましくは少なくとも0.001重量%、より好ましくは少なくとも0.01重量%、さらにより好ましくは少なくとも0.1重量%、さらにより好ましくは少なくとも1.0重量%の濃度で含む。
【0020】
さらに別の好ましい実施形態では、前記コーティング層は、レスベラトロールを、多くとも30重量%、好ましくは多くとも10重量%、より好ましくは多くとも1重量%、さらにより好ましくは多くとも0.1重量%、さらにより好ましくは多くとも0.01重量%の濃度で含む。
【0021】
さらに別の好ましい実施形態では、前記容器は、ガラス、金属、ポリマー材料、紙、厚紙、又はそれらの組み合わせで、より好ましい実施形態では、アルミニウムからなる。
【0022】
さらに別の好ましい実施形態では、前記容器の内表面上のコーティング層の厚さは、約3.5〜約8.4g/m
2の範囲内、より好ましい実施形態では約4.0〜約8.0g/m
2の範囲内、最も好ましい実施形態では約5.0〜約8.0g/m
2の範囲内である。別の実施形態では、コーティング層及び/又は容器壁の厚さは、約0.1μmから10mm、特に約1μmから1mmで有り得る。
【0023】
別の好ましい実施形態では、前記コーティング層はエポキシ樹脂を含まず、より好ましい実施形態では、前記コーティング層はビスフェノールA又はビスフェノールA放出物質を含まない。
【0024】
さらに別の好ましい実施形態では、前記コーティング層は熱硬化性コーティング層である。
【0025】
さらに別の好ましい実施形態では、少なくとも1つの追加のコーティング層が容器内に、任意によりレスベラトロール含有コーティング層と金属製の容器壁との間に、存在する。
【0026】
本発明のさらなる態様によれば、上記で定義した消耗品のための容器を製造するための方法が提供され、当該方法は以下のステップ:
a)容器の内部空間に面する内面を有する容器壁を有する容器を提供し;
b)レスベラトロールを含有するコーティング層を当該容器壁の内面に提供すること、
を含む。
【0027】
一実施形態によれば、上記方法のステップb)は、レスベラトロールを含有する未硬化コーティング層を前記容器壁材料の表面に塗布すること;及び当該未硬化コーティング層を硬化させること、を含む。
【0028】
本方法の一実施形態では、容器が形成される前に、レスベラトロールを含有する未硬化コーティング層が容器壁材料の表面に塗布される。
【0029】
本方法の別の実施形態では、容器が形成された後に、レスベラトロールを含有する未硬化コーティング層が容器壁材料の表面に塗布される。
【0030】
さらに別の実施形態では、前記方法は、前記容器に本明細書で定義された消耗品を充填する、追加のステップを含む。
【0031】
さらなる実施形態では、前記消耗品は食品又は食料品、パーソナルケア又は医薬製品である。
【0032】
本発明のさらなる態様によれば、本発明の方法により得られる容器が提供される。
【0033】
本発明の別のさらなる態様は、消耗品、特に非飲料消耗品をさらに含む、上述の態様又は実施形態のいずれか1つに記載の容器に関する。特に、本発明のさらなる態様は、消耗品、例えば非飲料消耗品をさらに含むか、あるいは充填されている、上述の態様又は実施形態のいずれか1つに記載の容器に関する。
【0034】
本発明のさらなる態様によれば、消耗品、特に非飲料消耗品の保存のための本発明の上述の態様又は実施形態のいずれか1つに記載の容器の使用が提供される。本発明のさらなる態様によれば、消耗品、特に非飲料消耗品のための容器の内表面上のコーティング層への添加剤としてのレスベラトロールの使用が提供される。
【0035】
好ましい実施形態によれば、前記消耗品は、食品又は食料品、パーソナルケア又は医薬製品である。
【0036】
本明細書に記載され及び/又は述べられた全ての実施形態及び態様は、これが矛盾によって排除されない限り、本発明内で組み合わせ可能であるとみなされる。特に、容器又はその材料及び消耗品に関する特徴の実施形態は、組み合わせ可能であり、そして本発明の任意の製品、方法又は使用態様との任意の組み合わせで開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0037】
発明の詳細な説明
容器の内表面がレスベラトロールを含有するコーティング層で少なくとも部分的に被覆されている、消耗品のための容器が、消耗品と包装材料との間、あるいは消耗品と容器の内部に入る又は存在している化合物との間の反応の望ましくない結果を含む、有害かつ望ましくない品質の低下からの優れた保護を提供するということが、驚くべきことに見出された。
【0038】
上述したように、本発明の一実施形態によれば、消耗品は、とりわけ食品、食品成分、栄養素、栄養補助食品、飲料、化粧品、美容及びヘルスケア製品、医薬及び獣医科用製品、薬剤などを含むと理解される。一般に、物品は固体、液体及び/又は気体成分を含み得る。好ましい飲料の非限定的なリストは、ワイン又はワインベースの製品、ソフトドリンク、フルーツジュース、牛乳又はホエイベースの飲料などを含む。好ましい食品又は食品成分の非限定的なリストは、固体食品、液体又は液状食品、例えば両方での食品、ベビーフード、(ベビー)調合粉など、固体での食品、例えば缶詰食品、調理済みの食事又は料理、例えば魚肉缶詰、半固体状態の食品、例えばジュース又はソース中の肉、果物又は野菜、その他の食品製品又は調味料、ソース、マリネ、スパイスなどを含む。好ましい医薬又は獣医科用製品の非限定的なリストは、錠剤、カプセル、顆粒、粉末、液体、その他の固体又は液体剤形などの形態での薬剤である。好ましい化粧品、美容及びヘルスケア製品の非限定的なリストは、クリーム、ローション、石鹸、エマルジョン、分散液又は液体等を含む。パーソナルケア製品又はトイレタリー、すなわち個人衛生に及び美化のために使用される物品も含まれる。パーソナルケア製品は、限定されることなく、リップバーム、クレンジングパッド、コロン、デオドラント、アイライナー、リップグロス、口紅、ローション、メイクアップ、ポマード、香水、タルクパウダー、シェービングクリーム、スキンクリーム、ウェットワイプ等を含む。薬物及び薬物含有組成物(医薬及び獣医科用製品)も含まれる。薬物は、最も広い意味で、ヒト又はその他の動物に既知の生物学的効果を有する化学物質である。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、前記消耗品は飲料、特にワイン又はワインベースの飲料である。本明細書では、ワインは、当該技術分野で知られているブドウ栽培及びワイン生産技術から得られる任意の飲料を含むと理解される。好ましい一実施形態では、ワインは赤ワインである。別の好ましい実施形態では、ワインは白ワインである。さらに別の好ましい実施形態では、ワインはロゼワインである。ワインはスティルワイン又は炭酸を含むスパークリングワインであってもよい。ワインはまた強化ワインであってもよい。ワインベースの飲料は、上記で定義したワインを含む任意の飲料を含むと理解される。ワインベースの飲料の例として、ミネラルウォーター又はフルーツジュースとブレンドされたワインを挙げることができる。
【0040】
本明細書で使用される場合、「容器」とは、硬質又は柔軟体の全ての種類の(消耗品のための)容器又は包装を含むと広く理解されるものとする。
【0041】
さらに、レスベラトロールを含有するコーティングを有する容器は、驚くべきことに、特に酸化に起因する、包装された消耗品の品質劣化を効率的に抑制し又は最小化する。レスベラトロールはブドウの皮にも存在する。レスベラトロールはcis−並びにtrans−配置でワイン(ブドウ)中にみられる。本明細書において、レスベラトロールという用語はその最も広い形で理解されるべきである。一実施形態では、レスベラトロールは、cis−レスベラトロール並びにtrans−レスベラトロールを含む。好ましい実施形態では、レスベラトロールはtrans−レスベラトロールを意味するべきである。
【0043】
驚くべきことに、本発明に係る容器は、消耗品の品質及び/又は寿命を維持し、さらには改善することを補助する。驚くべきことに本発明者らは、本発明の容器中にレスベラトロールを使用することで、容器材料からの消耗品の保護が可能となるだけでなく、消耗品における有益な効果が強化されるということを発見した。この理論に縛られることなく、レスベラトロールは容器(内表面)と消耗品との間の有益な相互作用に関与し、また、容器壁の表面上に存在しうる有害物質、例えば酸素、他の酸化剤又は侵襲性の(aggressive)物質を中和又は置換し得ると想定される。
【0044】
本発明は、包装材料及び/又は包装された物品の劣化及び分解に、そして最終的に消耗品の損傷につながる、包装材料と、又は容器中に存在する化合物、例えば空気若しくは特に酸素と、相互作用するか反応し得る、任意の消耗品の包装に有用である。
【0045】
驚くべきことに本発明者らは、容器内のコーティングシステムの成分としてレスベラトロールを使用することが、容器材料からのワインのような飲料の保護を与えるだけでなく、ワインにおけるレスベラトロールの有益な効果を高めるということを発見した。
【0046】
保持が困難な侵襲性の飲料、例えばワインの包装の文脈において、飲料が包装材料と相互作用及び反応して、これが飲料の味、外観又は全体的完全性に影響をもたらし得るというリスクがある。この相互作用は、飲料中に最初から存在するか、経時的に生成された酸又はフリーラジカルによって主に引き起こされる。
【0047】
従って、本発明は、飲料としてのワイン又はワインベースの飲み物に限定されるものではなく、包装材料の劣化及び分解、そして最終的に飲料の損傷につながる、包装材料と相互作用し又は反応し得る任意の飲料の包装にも有用である。そのような飲料の例は、フルーツジュース、特にブドウジュース、ソフトドリンク、レモネード、コーラ、酸性飲料、炭酸飲料及びリン酸を含む飲料である。
【0048】
一般的に、消耗品が容器の内部コーティングと反応すると、包装材料による消耗品の損傷の問題が生じ、包装材料の劣化及び分解を防止することが重要となる。
【0049】
驚くべきことに本発明者らは、容器の内壁のコーティングの一部としてのレスベラトロールがこの劣化及び分解から保護し、かつ防止できることを発見した。理論に拘束されることを望むものではないが、本発明の一実施形態によれば、容器のコーティングに存在するレスベラトロールは、消耗品に面し、かつ接触しているコーティングの表面で、並びに、コーティング(長期間にわたって放出可能なレスベラトロールのリザーバーとしても作用することができる)中で、及びコーティングから消耗品への移行時に消耗品中で、活性成分として機能し得ることが想定される。
【0050】
レスベラトロールは、本発明の一部としての追加の望ましい機能、例えば容器中の消耗品の望ましくない反応又は劣化の抑制を有し得ることが観察された。したがって、例えば微生物の過剰な増殖は食料品の味、香り及び完全性の劣化をもたらし得る。さらに、微生物の代謝物は包装材料の破損の問題を悪化させることがある。
【0051】
レスベラトロールの好影響を有する一種のバリアを作り出すことによって、本発明者らは驚くべきことに、それが消耗品を保護し、かつ消耗品の安定性及び寿命を増強させることを見出した。
【0052】
本発明の一態様によれば、レスベラトロールが、消耗品の容器への追加の前に、容器のコーティング中に存在することが有利である。本実施形態によれば、本発明の容器は、消耗品を充填する前の空の容器を指す。一実施形態によれば、本発明の容器は未使用の容器であり、すなわち、消耗品を充填するために以前に使用されてはいない。こうして、上述された保護機能を有するバリアは容器の内壁に沿って設けられ、例えば消耗品の侵襲性、腐食性、酸性及び酸化性の成分を避け、並びに、全く最初から、すなわち容器を充填する時点で、コーティングの保護的かつ有益な表面を提供する。本発明の一実施形態によれば、この初期の保護は、消耗品との最初の接触からコーティング層を無傷に保つために特に重要であるが、消耗品の長期品質及び卓越性も保護するであろう。
【0053】
本発明の好ましい実施形態では、前記コーティング層は、レスベラトロールを、少なくとも0.0001重量%、好ましくは少なくとも0.001重量%、より好ましくは少なくとも0.01重量%、さらにより好ましくは少なくとも0.1重量%、さらにより好ましくは少なくとも1重量%、さらにより好ましくは少なくとも10重量%、さらにより好ましくは少なくとも30重量%の濃度で含む。
【0054】
別の本発明の好ましい実施形態では、前記コーティング層は、レスベラトロールを、多くとも70重量%、好ましくは多くとも30重量%、より好ましくは多くとも10重量%、さらにより好ましくは多くとも1重量%、さらにより好ましくは多くとも0.1重量%、さらにより好ましくは多くとも0.01重量%、さらにより好ましくは多くとも0.001重量%の濃度で含む。
【0055】
本発明の特に好ましい実施形態では、本発明に係るコーティング層は、レスベラトロールを、0.0001から10重量%、1つのより好ましい実施形態では0.1から5重量%、好ましくは0.5から1重量%、別のより好ましい実施形態では0.001から0.05重量%、好ましくは 0.005から0.01重量%の濃度で含む。
【0056】
本発明の一実施形態によれば、上記の重量%範囲は、レスベラトロールを含有するコーティング層の総重量に基づく。2つ以上のコーティング層が容器中に存在する場合、本発明の一実施形態によれば、上記の重量%範囲はすべてのコーティング層の総重量に基づく。本発明の別の実施形態によれば、上記の重量%範囲は、レスベラトロールを含有するコーティング層のみの総重量に基づく。
【0057】
本発明の一態様によれば、レスベラトロールの濃度はまた、コーティング層の断面にわたって異なってもよい。例えば、一実施形態によれば、消耗品に面するコーティング層の表面で又はその付近のレスベラトロールの濃度は、その表面からさらに離れたコーティングの部分中よりも高くてもよい。このように、コーティング層の表面の保護効果は、例えば消耗品で充填される前の未使用の容器中で、本発明の一実施形態に従って改良され、したがって消耗品が容器に充填される際に有利な保護層が存在する。別の実施形態によれば、反対の濃度プロファイルが予め設定されてもよく、コーティング層中にレスベラトロールのより長く持続するリザーバーを提供してもよい。
【0058】
本発明に係る容器は、消耗品の生産者及び包装業者に、その商品を包装する改善された方法を提供する。
【0059】
レスベラトロール含有内部バリア及びその適用方法は、通常の容器製造工程中に任意の容器に適用される可能性を有する全体的な包装システムの一部で有り得る。
【0060】
さらに、本発明に係る容器は、非冷蔵海上コンテナで敏感な消耗品を含む最終製品を輸送することを可能にし、それゆえカーボンフットプリントを最小限に抑えることができる。
【0061】
好ましい実施形態では、前記容器は、金属、ポリマー材料、例えばプラスチック材料、紙、厚紙、ガラス又はそれらの組み合わせ、より好ましい実施形態ではアルミニウム、を含むか、あるいはそれらからなる。本発明は、本明細書で記述された任意の消耗品の保存に有用であり、酸性、腐食性、酸化性であるか、包装材料と任意の方法で反応することができる消耗品、及び環境因子及び容器中に存在する化合物に感受性である消耗品を含む。上述のように、容器という用語は、本明細書で使用される場合、硬質又は柔軟体の消耗品のための任意の包装又は包装材料を含む。当該容器は、それぞれの商品を包装するための任意の好適な形態又は形状を有し得る。当該容器は例えば、限定されることなく、缶、袋、缶、キャニスター、タンク、ボウル、フラスコ、キャスクなどであってもよい。一実施形態によれば、当該容器は薬剤のための包装である。一実施形態によれば、当該容器はまた、ブリスター包装の形態であってもよく、任意にブリスター包装の金属箔及び/又はプラスチック箔上に存在してもよい。
【0062】
本発明の好ましい実施形態では、前記コーティング層は双方向のバリアとして作用する。双方向のバリアは、本発明の文脈において、消耗品の品質の劣化又は変化をもたらす包装材料との望ましくない相互作用から消耗品を保護するだけではないと理解されるべきである。さらに、本バリアはまた、容器又は容器の完全性の潜在的な損傷をもたらす消耗品との望ましくない相互作用から包装材料を保護するべきである。
【0063】
本発明のいくつかの態様によれば、本発明に係る容器、方法及び使用は、とりわけ(特に缶詰食品からの)食中毒の可能性を減少させ、あるいは製品の保存寿命(製品の寿命及び安定性)を延長することができる。それらは、いくつかの世界的な気候条件にわたって包装された消耗品に適した様々な輸送条件を達成することにも役立つ。それらはさらに、保存剤、例えば塩/ナトリウムベースの保存剤、又は例えば缶詰食品中の保存剤としてのソルビン酸の必要性を低減し得る。それらは、例えば容器又はそのライニング(lining)への有害な腐食の影響を防ぐこともできる。多くの場合、それらは天然風味プロファイルを維持し又は安定化するか、あるいは消耗品としての食料品の天然風味を向上させ得る。フリーラジカルの形成は、例えば食品中の望ましくない細菌の形成の減少/排除が達成されることによって、減少され得る。結果として、感染の可能性が減少し得る。医薬製品については、安定性及び品質を向上させることができる。
【0064】
一実施形態によれば、原則として、当業者に知られている全てのコーティング組成物又はラッカーを、コーティング層(複数)のために本発明内で使用することができる。例示的な層の調製及び適用のための一般的な方法の例は、欧州特許出願公開第2457840A1号明細書、「Packaging Materials 7. Metal Packaging for Foodstuffs」(ILSI Europe Packaging Materials Task Force発行、2007年9月、https://europa.eu/sinapse/sinapse/index.cfm?fuseaction=lib.attachment&lib id=C5C03DA0-EP72-0D54-309D55AA14F6C62F&attach=LIB DOC ENでアクセス可能)あるいは、「Preliminary Industry Characterization: Metal Can Manufacturing-Surface Coating」アメリカ合衆国環境保護庁(U.S. Environmental Protection Agency)発行、1998年9月、http://www.epa.gov/ttnatw01/coat/mcan/pic-can.pdfでアクセス可能)に開示されている。
【0065】
金属及び非金属表面のためのコーティング組成物及び層は当業者に知られている。当該組成物は、金属又は非金属表面の表面特性及び接着性、並びに包装されることになる消耗品との適合性との関連で、当業者により選択される。レスベラトロール含有層の適用のための好ましい非金属材料(表面)は、ポリマー又はプラスチック表面である。レスベラトロールは層の形成前、形成中又は形成後に容易に添加することができる。
【0066】
容器、例えばアルミニウム缶の内部コーティング(コーティング層)に以前から使用されてきたラッカーは、主にビスフェノールA(BPA)含有化合物、例えばエポキシ樹脂に基づいていた。本発明の一実施形態によれば、飲料容器のコーティング層中でのビスフェノールA又はビスフェノールA放出物質の使用が避けられる。特定の実施形態によれば、コーティング層は、以下の潜在的に危険な物質のいずれも含むべきではない:ホルマリン、過マンガン酸カリウム(KMnO4)、ジブチルフタレート(DBP)、ビス(2−エチルヘキシル)フタレート(DEHP)、ジイソブチルフタレート(DIBP)、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ビス(2−エチルヘキシル)アジペート(DEHA)、ジイソデシルフタレート(DIDP)、ジイソノニルフタレート(DINP)。
【0067】
別の実施形態では、ラッカーはエポキシ樹脂を含まず、さらなる実施形態では、コーティング層はビスフェノールA又はビスフェノールA放出物質を含まない。
【0068】
別の好ましい実施形態では、前記コーティング層は熱硬化性コーティング層である。
【0069】
好ましい一実施形態では、本発明に係るラッカーは全てのUSFDA規制又は他の国の食品安全規制を満たし、特に当該ラッカーは食品グレードである。そのようなラッカーは当業者に知られており、市場で入手可能である。全ての入手可能なラッカーを本発明内で使用することができる。
【0070】
本発明に係る容器のコーティング層の厚さは好ましくは、消耗品中の侵襲性の成分が容器材料と接触しないように、かつ当該層が包装されることになる物品の十分な保護を提供するように、選択されるべきである。本発明によれば、延長された保存寿命及び強化された製品の完全性が得られる。
【0071】
好ましい実施形態では、容器の内表面上のコーティング層の厚さは、約3.5〜約8.4g/m
2の範囲内、より好ましい実施形態では約4.0〜約8.0g/m
2の範囲内、最も好ましい実施形態では約5.0〜約8.0g/m
2の範囲内である。別の実施形態では、コーティング層及び/又は容器壁の厚さは、約0.1μmから10mm、特に約1μmから1mmで有り得る。
【0072】
好ましい一実施形態では、コーティング層は、内壁全体がレスベラトロールを含有する層で被覆されるように、容器の内壁全体にわたって一貫して分布される。
【0073】
別の好ましい実施形態では、レスベラトロールを含有するコーティング層は非透過性層であり、すなわちレスベラトロールを含有するコーティング層は消耗品にとって非透過性であり、包装材料と消耗品との相互作用を防止する。
【0074】
本発明の一実施形態によれば、消耗品のための容器の壁は1つ以上の層を含んでもよい。容器の壁が1つの層のみからなる場合、本発明の一実施形態によれば、この1つの層、すなわち容器の壁はレスベラトロールを含み得る。言い換えれば、その時コーティング層は容器の壁である。本発明のそのような実施形態の一例は、消耗品、例えばすぐに使用できる(ready-to-use)食事のための一種の袋を形成するように一緒にシールされた、1層のプラスチック箔からなる容器である。その時、当該容器の壁、すなわち1層のプラスチック箔はレスベラトロールを含み、同時に容器の壁である。
【0075】
本発明の好ましい実施形態によれば、レスベラトロールを含有する層(例えばコーティング層、又は容器の壁)は、ポリマーを含むか、又は実質的に若しくは完全にポリマーからなる層である。特に好ましいのは、レスベラトロールと相互作用を可能にする官能基、好ましくはそのOH基を有するポリマーである。そのようなポリマーの非限定的な例は、レスベラトロールと水素結合を形成することができる官能基を有するものである。本発明に係る好適なポリマーの好ましい例は、O、N、S、Cl又はFヘテロ原子を有する官能基を含むポリマーである。
【0076】
1つの好ましい実施形態によれば、層(例えばコーティング層、又は容器の壁)中に含まれるレスベラトロールの全て、実質的に全て又は少なくとも一部は、層の成分、特に層中に存在するポリマーに共有結合していない。共有結合していないレスベラトロールは移行し、容器の内表面に又は包装された消耗品中にレスベラトロールを補充し得る。他方で、層の成分にレスベラトロールの少なくとも一部を結合し及び固定することは、いくつかの例において、その好ましい位置で、特に包装された物品と直接接触して、レスベラトロールを維持するのに役立つことがある。
【0077】
さらに別の好ましい実施形態では、内壁はレスベラトロールを含有するコーティング層で部分的に被覆されている。例えば、当該容器は、コーティングが最も割れ又は破損しやすい容器の領域中でのみ、レスベラトロールを含有するコーティング層で被覆されてもよい。あるいは、内壁は、レスベラトロールを含有するコーティング層のスポットで被覆されてもよい。これらのスポットは本発明の有益な効果を与えるのに十分なレスベラトロールを提供し得る。本実施形態に係るレスベラトロールを含有するコーティング層で被覆されていない領域は、包装材料と消耗品との相互作用を防止するために、異なるコーティング層で被覆されてもよい。
【0078】
本発明のさらなる態様は、上記で定義した消耗品のための容器の製造方法であって、以下のステップ:
a)容器の内部空間に面する内面を有する容器壁を有する容器を提供し;
b)レスベラトロールを含有するコーティング層を当該容器壁の内面に提供すること、
を含む、方法に関する。
【0079】
本明細書で述べるように、消耗品を包装するための容器の内部空間を提供するのに適した任意の容器を使用することができる。当該容器は容器壁を有し、その容器壁は容器の内部空間に面する内面を有する。本明細書に記載された、又は当業者によって適切であると考えられる、レスベラトロールを含有する任意のコーティング層が使用されてもよい。一態様によれば、当該容器は、コーティング層が同時に容器壁であるように、容器壁として1つの層のみを有し得る。また、追加の層が容器壁に提供されてもよい。
【0080】
1つのさらなる態様によれば、本発明はさらに、消耗品のための容器の製造方法であって、レスベラトロールを含有する未硬化コーティング層を容器壁材料の表面に塗布し、そして当該未硬化コーティング層を硬化させるステップを含む、方法を提供する。
【0081】
未硬化コーティング層は、容器壁材料に、例えば当該技術分野で知られている標準的な噴霧塗布ガンによって、塗布することができる。
【0082】
本発明の一実施形態では、容器が形成される前に、レスベラトロールを含有する未硬化コーティング層が容器壁材料の表面に塗布される。この実施形態の利点は、材料が中空容器に形成される前に、レスベラトロールを含有する未硬化コーティング層が容器壁材料の表面により一貫して塗布及び分布され得ることである。別の好ましい実施形態では、レスベラトロールを含有するコーティング層は、容器を形成する前又は後に、好ましくは積層されるか他の方法で容器壁材料に結合されるフィルム又はホイルの形態で、容器壁材料の表面に付着又は塗布され得る。本発明の一実施形態によれば、レスベラトロールを含有するコーティング層(複数)は、例えばホイルを使用することによって、長時間広範な加熱をすることなく調製される。また、層(複数)の硬化が行われる場合、熱硬化以外の他の硬化方法を用いてもよく、あるいは加熱の時間及び温度を限定してもよい。
【0083】
本発明の別の実施形態では、容器が形成された後に、レスベラトロールを含有する未硬化コーティング層が容器壁材料の表面に塗布される。この実施形態の利点は、標準的な容器が量産業者から得られ、その後本発明のコーティング層を提供して、本発明による利点を有する容器を得られることである。また、別の実施形態によれば、レスベラトロールは少なくとも1つのコーティング層の組成物に添加されてもよく、その他の点では製造方法は変わらない。
【0084】
本発明の一態様では、レスベラトロール、例えばレスベラトロールを含有する溶液は、1つ以上の層を有する容器壁を含む容器の内表面に噴霧され得る。別の実施形態では、コーティング層が容器の内壁(又は表面)に塗布された後、しかし消耗品が容器に充填される前に、レスベラトロールがコーティング層の表面に追加、例えば噴霧される。さらなる実施形態によれば、コーティング層の硬化後、しかし消耗品が容器に充填される前に、レスベラトロールがコーティング層に追加、例えばその上に噴霧される。
【0085】
本発明の好ましい一実施形態では、前記方法は前記容器に前記消耗品を充填する追加のステップを含む。一実施形態によれば、これは、レスベラトロールを含有するコーティング層が容器の内表面に提供された後に行われる。
【0086】
本発明の文脈において、容器の内表面とは、容器の内部に面する容器壁の内面を意味するものと理解されるべきである。したがって、本発明に係る容器は、例えばアルミニウムのような金属からなる、容器壁を有し、この容器壁は、容器の外部に面する外側と、容器の内部に面する内面とを有する。したがって本発明の一実施形態に係る容器の内面(又は表面)は、1つ以上の層で被覆されてもよく、その層の少なくとも1つはレスベラトロールを含有する。本発明の一実施形態では、容器の内表面(壁)は、1つの層(コーティング層)のみで提供される。この層は本発明に係るレスベラトロールを含有する。本発明の別の実施形態では、容器の内表面(壁)は2つ以上の層を提供する。この場合、層の1つ以上がレスベラトロールを含んでもよい。
【0087】
本発明の広範な態様によれば、容器はしたがって1つ以上の層からなる容器壁を含み、ここで、少なくとも1つの層がレスベラトロールを含有する。
【0088】
一実施形態によれば、レスベラトロールを含まない1つ以上の層が、レスベラトロールを含有する層と容器壁との間に存在してもよい。また、一実施形態によれば、レスベラトロールを含まない1つ以上の層が、レスベラトロールを含有する(コーティング)層と容器の外部との間に存在してもよい。
【0089】
別の実施形態によれば、レスベラトロールを含まない1つ以上の層は、レスベラトロールを含有する層と容器の内部との間、すなわち消耗品が充填され得る容器の空洞に存在してもよい。さらなる実施形態によれば、レスベラトロールを含有する層は、容器の内部に直接面する層であり、すなわち、容器が消耗品で充填された後、容器の空洞又は消耗品とそれぞれと直接接触している。本発明の一実施形態では、レスベラトロールは、缶の外部アルミニウムシェル(容器壁)の内側に配置された層のいずれかに含まれてもよい。好ましい実施形態では、レスベラトロールは、消耗品と直接か、あるいはレスベラトロール及び/又は消耗品にとって透過性である追加の層を介してのいずれかで、相互作用することができる、缶の外部アルミニウムシェルの内側に配置された1つ以上の層のみに含まれる。別の好ましい実施形態では、レスベラトロールは、消耗品と相互作用することができる1つの層に含まれる。
【0090】
別の好ましい実施形態では、未硬化コーティング層は遊離金属ラジカルを含む。未硬化ラッカーへの遊離金属ラジカルの添加は、焼成及び硬化温度、並びに硬化時間を低減することになり、本発明に係る容器に消耗品を包装するのに必要とされるエネルギーのさらなる減少をもたらす。
【0091】
一実施形態では、未硬化コーティング層は、80から230秒間、180から250℃、より好ましくは180から220℃の温度で硬化される。
【0092】
本発明によれば、レスベラトロール含有層が消耗品と接触するように、容器の内側にレスベラトロールを含有するトップコーティング層を塗布することが可能である。
【0093】
さらに別の好ましい実施形態では、少なくとも1つの追加のコーティング層が存在する。例えば、底部層は、消耗品と接触しているトップコーティング層にレスベラトロールを誘導する、特に水ベースのモノマーエンハンサーを含む、レスベラトロール注入、BPAフリー、耐食コーティング層である。
【0094】
本発明の一実施形態によれば、容器の製造の最終段階で(すなわち充填前に)、レスベラトロールが、消耗品と接触する容器のコーティング層の内表面上に配置されることが確保される。
【0095】
本発明はまた、消耗品の保存のための本明細書に記載された容器の使用を提供する。好ましい実施形態では、当該容器は、非飲料消耗品の保存のために使用される。
【0096】
さらに、本発明は、コーティング層、特に、容器、特に消耗品のための容器の、内表面上のコーティング層への、添加剤としてのレスベラトロールの使用を提供する。
【0097】
本明細書に記載した本発明の全ての実施形態は、当業者がそのような組み合わせが技術的意味を成さないと考えない限りは、任意の組み合わせで組み合わせ可能であると考えられる。
【実施例】
【0098】
実施例1
レスベラトロールを含有するラッカー(コーティング層)の調製
ビスフェノールAを含まないポリエステルアクリレート含有層(国際公開第2008/036629A2号の実施例2に従って調製される)
2リットルのフラスコに、撹拌機、充填カラム、コンデンサー、熱電対、加熱マントル及び窒素ブランケットを備えた。以下をフラスコに添加した:498.6グラムのプロピレングリコール、80.1グラムのトリメチロールプロパン、880.1グラムのテレフタル酸、40.0グラムのイソフタル酸、及び2.0グラムのFASCAT 9100ブチルヒドロキシオキソスタンナン触媒(Total Petrochemicals USA,Inc.、ヒューストン、USAから入手可能)。
【0099】
フラスコの内容物を窒素ブランケット下で225℃〜235℃にゆっくりと加熱し、生じた重縮合反応からの水を留去した。反応混合物が透明になり、カラムのヘッドの温度が低下したら、反応混合物を160℃に冷却し、85.5グラムのイソフタル酸及び16.0グラムの無水マレイン酸をフラスコに添加した。反応混合物を窒素ブランケット下で220℃〜230℃にゆっくりと再加熱した。
【0100】
反応混合物が透明になり、充填カラムのヘッドの温度が低下したら、フラスコ中の反応混合物を200℃に冷却し、充填カラムを共沸蒸留のためのディーン&スタークカラムで置き換え、及び30.0グラムのキシレンをフラスコに加えた。フラスコの内容物を窒素ブランケット下で還流温度に再加熱し、反応混合物の酸価が5未満に下がるまで、より多くの水を留去した。フラスコの内容物を145℃〜150℃に冷却し、次に744.6グラムのブチルグリコール、104.7グラムのn−ブタノール、及び219.6グラムのキシレンを加えて、溶解ポリエステルの溶液を生成した。
【0101】
5リットルのフラスコに、撹拌機、還流コンデンサー、熱電対、加熱マントル、及び窒素ブランケットを備えた。上記のように調製した溶解ポリエステルの溶液の試料(1782.0グラム)及びブチルグリコール(123.0グラム)を5リットルのフラスコに入れ、窒素ブランケット下で120℃に予熱した。別のフラスコで、321.0グラムのエチルアクリレート、68.3グラムの氷アクリル酸、96.1グラムのスチレン及び11.9グラムのVAZO 67フリーラジカル開始剤(2,2’−アゾビス(2−メチル−ブチロニトリル、Du Pont de Nemours、ウィルミントン、DE、USAから入手可能)を予備混合した。次に、モノマーと開始剤の混合物を、窒素ブランケット下で120℃〜122℃の温度で135分にわたってポリエステル溶液に添加した。次に、5リットルのフラスコ中の温度を122℃で1時間維持した。
【0102】
これに続いて、2.6グラムのTRIGONOX Cフリーラジカル開始剤(tert−ブチルパーオキシベンゾエート、Akzo Nobelから入手可能)を5リットルのフラスコに加え、反応器の温度を122℃で2時間維持した。次に、反応混合物を105℃に冷却し、150.3グラムのジメチルエタノールアミンと150.3グラムの脱イオン水とを含むプレミックスを、10分間かけて5リットルのフラスコに添加し、次に10分間保持した。反応混合物は、添加の最後に温度が90℃に低下した。最後に、2554グラムの水を30分間かけて5リットルのフラスコに添加し、ポリエステルアクリレートの溶液をポリエステルアクリレートの水性分散液へと転化させた。
【0103】
VARCUM 2227フェノリック樹脂(211グラム)(Reichhold Corporation、ダラム、USA)の60%溶液を、ポリエステルアクリレート樹脂への最後の水の添加が完了した後に約60℃の温度であった、転化後のポリエステルアクリレート樹脂に取り込んだ。このVARCUM 2227樹脂の添加後に、20分保持した。
【0104】
ポリエステルアクリレートフェノリックの水性分散液は、1グラムのポリエステルアクリレートフェノリックの水性分散液の試料を150℃の温度で60分間加熱することによって測定された、ポリエステルアクリレートフェノリックの水性分散液の総重量に基づいて、29.8重量%の固形分(不揮発分)を含有していた。ポリエステルアクリレートフェノリックの水性分散液は、約20℃の温度で8.53の標準pH単位のpHを有していた。
【0105】
70.43部の上記で調製したポリエステルアクリルフェノリック樹脂に、撹拌下で、14.40部の脱イオン水と、0.022部のCYCAT 600芳香族スルホン酸、10.75部のw−ブタノール、及び2.57部のCYMEL 303ヘキサメトキシメチメラミン(hexamethoxymethymelamine)からなるプレミックスとを加えた。攪拌下で得られた組成物に、0.17部のカルナウバワックスエマルジョン及び0.65部のBACOTE 20 AZC(MEL Chemicals、マンチェスター、UK;水で10%に希釈した)を加えた。得られた生成物は飲料缶及び内部への噴霧塗布に適しており、高温で架橋する。
【0106】
しかしながら、以下の実施例では、Valspar 40Q60AA(The Valspar Corporation、ミネアポリス、USAから入手可能)を、ビスフェノールAを含まないポリエステルアクリレート含有層(ライニングA)として使用した。本発明の効果を例示するために、ビスフェノールAを含まないポリエステルアクリレート含有層を、レスベラトロールの添加をすることなく、又は噴霧塗布に適した溶液に直接0.001重量%、0.01重量%及び0.1重量%を添加して、調製した。
【0107】
エポキシアクリレート含有層(国際公開第2008/036629A2号の実施例18に従って調製される)
5リットルのフラスコに、撹拌機、還流コンデンサー、熱電対、加熱マントル、及び窒素ブランケットを備えた。低分子量の液状エポキシ及びビスフェノールAを、ブチルトリフェニルホスホニウムブロミド触媒及びキシレンを有する反応器に加えた。窒素パージを行い、最初に熱を加えると、その後、発熱により反応器内の温度が上昇した。
【0108】
6時間の典型的な反応時間で、約2900〜3100のエポキシ価当たりの目的重量が達成された。次に、ブチルグリコール、n−ブタノール、及びアミルアルコール溶媒を、90分間にわたってゆっくりと添加した。次にアクリル系モノマースチレン、及びメタクリル酸+過酸化ベンゾイル開始剤LUCIDOL 78(Akzo Nobel、アムステルダム、オランダ、から入手可能)を、モノマー添加タンクに加えた。撹拌後、このモノマー/触媒プレミックスの酸価を確認した。次にモノマー/触媒を高温のエポキシ溶液にゆっくりと加えると、アクリル重合が起きた。次にエポキシアクリル樹脂溶液を冷却し、反応器から水とジアミノエタノールアミンの溶液を含む希釈化(thinning)タンクに排出した。エポキシアクリル溶液は、転化によって水中で分散体を形成した。
【0109】
上記で調製した76.02部のエポキシアクリル樹脂分散液に、撹拌しながら、18.82部の脱イオン水、3.68部のw−ブタノール、及び0.25部のジメチルアミノエタノールと1.23部の脱イオン水からなるプレミックスを加えた。得られた生成物は飲料缶の内部への噴霧塗布に適しており、高温で架橋した。
【0110】
しかしながら、以下の実施例では、Aqualure 900(Akzo Nobel、アムステルダム、オランダ、から入手可能)を、エポキシアクリレート含有層(ライニングB)として使用した。本発明の効果を例示するために、エポキシアクリレート含有層を、レスベラトロールの添加をすることなく、又は噴霧塗布に適した溶液に直接0.001重量%、0.01重量%及び0.1重量%を添加して、調製した。
【0111】
実施例2
包装材料/容器壁へのレスベラトロール含有コーティング層の塗布(容器の形成前/後)
実施例1に記載したラッカーを、アルミニウム缶にコーティング層としてツインガン(twin gun)を用いて塗布し、缶の内壁及びドームを被覆した。塗布されることになるラッカーの量は、被覆されることになる缶の大きさに依存する。本実施例では、150〜440mlの容量を有する缶を、0.01重量%のレスベラトロールを含有する100〜240mgのライニングA又はライニングBを用いて被覆した。
【0112】
未硬化コーティング層は、180〜250℃の焼成温度で80〜230秒間硬化される。得られる層の分布の厚さは3.5〜8.4g/m
2(gsm)にある。フィルム層の厚さは、0.01重量%のレスベラトロールを含有するライニングAで被覆された缶の上部、中央、下部及びドーム部分について、表1に示される。
【0113】
【表1】
【0114】
実施例3
被覆された缶の物理的パラメータの評価
実施例2で被覆された缶をコーティング層の接着(AS 1580 Method 408.4)、18ジュールでの耐衝撃性(AS 1580 Method 406.1)、HCl中で5分間インキュベーション後のピンホール(SSL試験法)について調べた。当該缶をさらに顕微鏡で、膨れ(blistering)(AS 1580 Method 481.1.9)、層間剥離(AS 1580 Method 481.1.10)及び腐食(AS 1580 Method 481.3)について調べた。全ての試験において、缶の性能は優れており、コーティング層の完全性が維持された。これらの試験の結果を表2に示す。
【0115】
【表2】
【0116】
実施例4
包装された赤ワインの官能評価
赤ワインを、実施例2で得られた250mlのスリム缶に包装し、次に24ヶ月間保存した。官能評価を、初期、3ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後及び24ヶ月後に行った。本実施例の結果を表3に示す。
【0117】
【表3】
【0118】
実施例5
包装された白ワインの官能評価
白ワインを、実施例2で得られた250mlのスリム缶に包装し、次に24ヶ月間保存した。官能評価を、初期、3ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後及び24ヶ月後に行った。本実施例の結果を表4に示す。
【0119】
【表4】
【0120】
実施例6
包装された炭酸赤ワインの官能評価
炭酸赤ワインを、実施例2で得られた250mlのスリム缶に包装し、次に24ヶ月間保存した。官能評価を、初期、3ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後及び24ヶ月後に行った。本実施例の結果を表5に示す。
【0121】
【表5】
【0122】
実施例7
包装された炭酸白ワインの官能評価
炭酸白ワインを、実施例2で得られた250mlのスリム缶に包装し、次に24ヶ月間保存した。官能評価を、初期、3ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後及び24ヶ月後に行った。本実施例の結果を表6に示す。
【0123】
【表6】
【0124】
実施例8
本発明の缶に対する市販のラッカーで被覆された缶の比較試験
実施例2で得られた缶を、市販のラッカーで裏打ちされた缶に対して試験する。比較ラッカーを有する標準缶を市場から入手した(それぞれ比較缶1及び2)。全ての容器をワインで充填し、24ヶ月間保存した。官能評価を、16名の消費者のパネルにより、初期、6ヶ月後、12ヶ月後、18ヶ月後及び24ヶ月後に行った。本実施例の結果を表7(赤ワイン)、表8(白ワイン)及び表9(ロゼワイン)に示す。
【0125】
【表7】
【表8】
【表9】
【0126】
実施例9
レスベラトロールを含まないコーティング層で被覆された比較缶に対する、本発明に係るレスベラトロールを含有するコーティング層で被覆されたワイン缶の比較試験
赤ワインを、実施例2で得られた、レスベラトロール無し、あるいは、0.001重量%、0.01重量%又は0.1重量%のレスベラトロールを有するライニングA又はライニングBで被覆された250mlのスリム缶に包装し、次に保存した。ワインの主要な性質が、16名の消費者のパネルにより、初期、6ヶ月後及び24ヶ月後に評価され、ワイン中のレスベラトロールレベルを、「Method to determine resveratrol and pterostilbene in grape berries and wines using high- performance liquid chromatography and highly sensitive fluorimetric detection」、Pezetら、Journal of Chromatography A、Volume 663、Issue 2、1994年3月11日、ページ191〜197に従って、初期及び6ヶ月後に測定した。結果を表10に示す。
【0127】
【表10】
【0128】
実施例10
包装された野菜及びビーフシチューの品質評価
新鮮な野菜又はビーフシチューを、実施例2で得られた缶に包装し(コーティング重量6g/m
2;0.1重量%のレスベラトロールを有するライニング)、次に24ヶ月間保存した。官能評価を、初期、3ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後及び24ヶ月後に行った。缶詰製品の味、臭い及び外観に顕著な劣化の無い平均保存期間は、本発明の容器で、最大18%まで延長することができた。
【0129】
実施例11
ボディーローションの品質評価
実施例10と同様に、市販のボディーローション(o/w型;水中油型エマルジョン)を、実施例2で得られた缶に包装し(コーティング重量10g/m
2;0.1重量%のレスベラトロールを有するライニング)、次に36℃の高温で保存した。缶詰製品の臭い及び外観に顕著な劣化の無い平均保存期間は、本発明の容器で、最大26%まで延長することができた。
消耗品のための容器であって、当該容器の内表面がレスベラトロールを含むコーティング層で少なくとも部分的に被覆されており、そして、前記消耗品が、固体、液体又は気体成分から選択される、容器。
前記消耗品が、ワイン、ワインベースの製品、ソフトドリンク、フルーツジュース、牛乳又はホエイベースの製品、レモネード、酸性飲料、及び炭酸飲料から選択される飲料である、請求項1に記載の容器。