【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明は、ムレスズメ(Caragana Sinica)根抽出物、その分画物、又はそれらから分離されたα−ビニフェリン(α−viniferin)を有効成分として含有する美白用化粧料組成物を提供する。
【0011】
また、本発明は、前記化粧料組成物を皮膚に塗布するステップを含む、皮膚の美白方法を提供する。
【0012】
また、本発明は、ムレスズメ根抽出物、その分画物、又はそれらから分離されたα−ビニフェリンを有効成分として含有する、メラニン色素の過剰沈着疾患の予防又は治療のための薬学的組成物を提供する。
【0013】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0014】
本発明は、ムレスズメ(Caragana Sinica)根抽出物、その分画物、又はそれらから分離されたα−ビニフェリン(α−viniferin)を有効成分として含有する美白用化粧料組成物を提供する。
【0015】
前記ムレスズメ(Caragana Sinica)は、多年生の落葉広葉低木であり、他の近縁植物に比べて白いのが特徴であり、漢名もしくは生薬名として、チャイニーズ・ピー・ツリー(Chinese pea tree)、スコッチ・ブルーム(Scotch broom)、エニシダ(金雀枝、Cytisus scoparius)、金雀児、江南金鳳、覇齒花、醤瓣子などの別名がある。ムレスズメは、韓国の標高400m以下の地域である全羅北道、慶尚南道、忠清南道、京畿道などの各地から自生しており、村落付近に植栽することもある。小枝がたくさん分岐し、成木の高さは2mに達することもある。葉は小葉2対の偶数羽状複葉で互生する。葉の先端は大概とげとなり、小葉は4つで、倒卵形又は楕円形で厚みがある。葉は長さが1〜3cmであり、表面は濃い緑色で光沢があり、裏面は灰緑色で毛はない。葉軸は長さが4〜8mmであり、とげと変わる。株元から株立ち状に分枝し、枝には5稜があり、灰褐色で毛はない。全体的にとげがあり、ひげ根は長く伸びる。5月に黄赤色の蝶形花が1つずつ総状花序に咲く。花梗は長さ1cmほどで、中央部に一本の環節がある。がくは鐘型であり、茶色の毛が少しある。莢果は長さ3〜3.5cmの円柱状で毛はなく、9月に成ると知られているが、結実は希である。
【0016】
前記抽出物は、ムレスズメの根を水、C
1〜C
4の低級アルコール、又はこれらの混合溶媒で抽出して得ることができ、前記低級アルコールは、エタノール又はメタノールであってもよく、より詳しくはエタノールであってもよい。
【0017】
本発明の一具体例において、ムレスズメ根のエタノール抽出物がチロシナーゼの活性とメラニンの生成を阻害し、優れた皮膚美白効果を示すことを確認した。
【0018】
前記抽出物、分画物、又はα−ビニフェリンは、組成物の総重量に対して0.001重量%〜30重量%で含有されていてもよく、より詳しくは、0.01重量%〜10重量%で含有されていてもよい。前記抽出物、分画物、又はα−ビニフェリンの含有量が0.001重量%未満であれば皮膚の美白改善効果が表れず、30重量%を超えると、含有量増加に対する皮膚の美白改善効果の増大程度が微小し、剤形上の安定性に問題があって、経済的ではない。
【0019】
前記ムレスズメ根抽出物の分画物は、ヘキサン、クロロホルム、酢酸エチル、及びブタノールからなる群から選択されるいずれかの有機溶媒を加えて得たものであってもよく、より詳しくは、酢酸エチルを加えて得たものであってもよいが、これに限定されない。
【0020】
本発明の一具体例において、ムレスズメ根のエキスから得られたヘキサン分画物、クロロホルム分画物、酢酸エチル分画物、ブタノール分画物は、チロシナーゼの活性とメラニンの生成を阻害し、優れた皮膚美白効果を示すことを確認し、そのうちエチル酢酸分画物の美白効果が最も優れていることが確認できた。
【0021】
前記ムレスズメ根抽出物の分画物は、分画物の総重量に対して0.001重量%〜30重量%でα−ビニフェリンを含有していてもよく、より詳しくは、0.01重量%〜10重量%で含有していてもよく、さらに詳しくは、0.1重量%〜1重量%で含有していてもよい。
【0022】
前記α−ビニフェリンは、下記[化学式1]で表される構造を有する。
【0023】
【化1】
【0024】
本発明において、前記ムレスズメ根抽出物又はその分画物は、下記ステップを含む製造方法によって製造されることができるが、これらに限定されない:
1)ムレスズメの根に抽出溶媒を加えて抽出するステップ;
2)ステップ1)の抽出物をろ過するステップ;
3)ステップ2)でろ過した抽出物を減圧濃縮した後、乾燥するステップ;及び
4)ステップ3)で乾燥した抽出物に有機溶媒を加えてムレスズメ根の分画物を製造するステップ。
【0025】
前記方法において、ステップ1)のムレスズメの根は、栽培したもの又は市販されているものなどを、特に制限なく用いることができる。
【0026】
前記方法において、ムレスズメ根抽出物の抽出方法としては、ろ過法、熱水抽出、浸漬抽出、還流冷却抽出、超音波抽出、超臨界抽出など、当業界で通常使用される方法を使用すればよく、当業界に公知された通常の温度と圧力の条件下で製造することができる。また、抽出溶媒として、水、C
1〜C
4の低級アルコール、又はこれらの混合溶媒を用いて抽出して得ることができ、前記低級アルコールは、エタノール又はメタノールであってもよい。前記抽出溶媒は、乾燥したムレスズメ根の分量の1〜20倍加えて抽出してもよく、詳しくは5〜15倍加えて抽出してもよいが、これに限定されない。また、抽出温度は、20〜70℃であってもよく、詳しくは25〜65℃であってもよく、さらに詳しくは、30〜60℃であってもよいが、これらに限定されない。また、抽出時間は、1〜20時間であってもよく、詳しくは2〜15時間であってもよいが、これらに限定されない。
【0027】
前記方法において、ステップ2)のムレスズメ根抽出物を1〜5回ろ過してもよいが、これに限定されない。
【0028】
前記方法において、ステップ3)の減圧濃縮は、真空減圧濃縮器又は真空回転蒸発器を用いてもよいが、これらに限定されない。また乾燥は、減圧乾燥、真空乾燥、沸騰乾燥、噴霧乾燥、又は凍結乾燥してもよいが、これらに限定されない。
【0029】
前記方法において、ステップ4)の有機溶媒は、ヘキサン、クロロホルム、酢酸エチル、ブタノール、又は水であってもよいが、これらに限定されない。前記分画物は、ムレスズメ根抽出物を前記ヘキサン、クロロホルム、酢酸エチル、ブタノール、又は水で分画して得たヘキサン分画物、クロロホルム分画物、酢酸エチル分画物、ブタノール分画物、又は水分画物のいずれかであってもよく、より詳しくは、酢酸エチル分画物であってもよい。前記分画物は、分画した後、減圧濃縮してもよい。
【0030】
本発明の一具体例において、本発明は、以下のステップを含む、α−ビニフェリンを含有するムレスズメ根抽出物の分画物の製造方法によって製造することができる:
(a)ムレスズメ根の粉砕物を水、C
1〜C
4の低級アルコール、又はこれらの混合溶媒で抽出するステップ;
(b)前記抽出物をヘキサン、クロロホルム、酢酸エチル、及びブタノールからなる群から選択されるいずれかの有機溶媒で分画するステップ;及び
(c)前記分画物からα−ビニフェリンを分離するステップ。
【0031】
本発明の化粧料組成物は、化粧料組成物に通常用いられる成分を含有していてもよく、例えば、抗酸化剤、安定化剤、溶解和剤、ビタミン、顔料、及び香料のような一般的な補助剤、そして担体を含有する。
【0032】
本発明の化粧料組成物は、当業界で一般的に製造されるいかなる剤形でも製造することができ、例えば、溶液、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、クリーム、ローション、パウダー、石鹸、界面活性剤含有クレンジング、オイル、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、ワックスファンデーション、パック、マッサージクリーム、及びスプレーなどで剤形化することができるが、これらに限定されるものではない。より詳しくは、柔軟化粧水、栄養化粧水、栄養クリーム、マッサージクリーム、エッセンス、アイクリーム、クレンジングクリーム、クレンジングフォーム、クレンジングウォーター、パック、スプレー、又はパウダーの剤形に製造することができる。
【0033】
本発明の化粧料組成物において、剤形がペースト、クリーム、又はゲルである場合、担体成分として、動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、タルク、又は酸化亜鉛などを用いてもよい。
【0034】
本発明の化粧料組成物において、剤形が溶液又は乳濁液である場合、担体成分として、溶媒、溶解和剤、又は乳濁化剤を用いてもよく、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコール、又はソルビタンの脂肪酸エステルを用いてもよい。
【0035】
本発明の化粧料組成物において、剤形が懸濁液である場合は、担体成分として、水、エタノール、又はプロピレングリコールのような液状の希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル、及びポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁剤、微小結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガ又はトラガカントなどを用いてもよい。
【0036】
本発明の化粧料組成物において、剤形がパウダー又はスプレーである場合は、担体成分として、ラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、カルシウムシリケート、又はポリアミドパウダーを用いてもよく、特にスプレーである場合は、さらに、クロロフルオロヒドロカーボン、プロパン/ブタン又はジメチルエーテルのような推進体を含有してもよい。
【0037】
本発明の化粧料組成物において、剤形が界面活性剤含有クレンジングである場合は、担体成分として、脂肪族アルコールスルフェート、脂肪族アルコールエーテルスルフェート、スルホサクシネートモノエステル、イセチオン酸、イミダゾリウム誘導体、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルスルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物性油、ラノリン誘導体、又はエトキシル化グリセロール脂肪酸エステルなどを用いてもよい。
【0038】
本発明の化粧料組成物において、界面活性剤含有クレンジング剤形、又は界面活性剤非含有クレンジング剤形、又は石鹸である場合、皮膚に塗布した後、拭き取ったり、はずしたり、水で洗い流したりすることができる。例えば、前記石鹸には、液状石鹸、粉石鹸、固形石鹸、及びオイル石鹸があり、前記界面活性剤含有クレンジング剤形には、クレンジングフォーム、クレンジングウォーター、クレンジングタオル、及びクレンジングパックがあり、前記界面活性剤非含有クレンジング剤形には、クレンジングクリーム、クレンジングローション、クレンジングウォーター、及びクレンジングゲルがあるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
本発明の化粧料組成物は、本発明以外の他の化粧料組成物と重複して用いることができる。また、本発明による化粧料組成物は、通常の使用方法によって用いてもよく、使用者の皮膚の状態や好みに応じて、その使用回数を変えることができる。
【0040】
本発明による化粧料組成物は、活性成分としてα−ビニフェリンを含有するムレスズメ根抽出物、その分画物、又はそれらから分離されたα−ビニフェリンを含有し、チロシナーゼの活性とメラニンの生成を阻害することにより、優れた皮膚美白効果を有する。
【0041】
また、本発明は、ムレスズメ根抽出物、その分画物、又はそれらから分離されたα−ビニフェリンを有効成分として含有する化粧料組成物を皮膚に塗布するステップを含む、皮膚の美白方法を提供する。
【0042】
本明細書で使われる用語「塗布」は、適切な方法により本発明による組成物を固体の皮膚に接触させるすべての方法を意味し、これにより、該組成物を皮膚内部に吸収させることを目的とする。
【0043】
前記抽出物は、ムレスズメの根を水、C
1〜C
4の低級アルコール、又はこれらの混合溶媒で抽出して得ることができ、前記低級アルコールは、エタノール又はメタノールであってもよく、より詳しくは、エタノールであってもよい。
【0044】
前記抽出物、分画物、又はα−ビニフェリンは、組成物の総重量に対して0.001重量%〜30重量%で含有されていてもよく、より詳しくは、0.01重量%〜10重量%で含有されていてもよい。
【0045】
前記ムレスズメ根抽出物の分画物は、ヘキサン、クロロホルム、酢酸エチル、及びブタノールからなる群から選択されるいずれかの有機溶媒を加えて得たものであってもよく、より詳しくは、酢酸エチルを加えて得たものであってもよいが、これらに限定されない。
【0046】
前記ムレスズメ根抽出物の分画物は、分画物の総重量に対して0.001重量%〜30重量%でα−ビニフェリンを含有していてもよく、より詳しくは、0.01重量%〜10重量%で含有していてもよく、さらに詳しくは、0.1重量%〜1重量%で含有していてもよい。
【0047】
また、本発明は、ムレスズメ根抽出物、その分画物、又はそれらから分離されたα−ビニフェリンを有効成分として含有する、メラニン色素の過剰沈着疾患の予防又は治療のための薬学的組成物を提供する。
【0048】
本明細書で使われる用語「メラニン色素の過剰沈着(hyperpigmentation)」は、皮膚又は手足の爪の特定部位においてメラニンが過剰に増加し、他の部位に比べて黒く又は暗くなることを意味する。
【0049】
前記メラニン色素の過剰沈着疾患は、シミ、そばかす、老人性色素斑又は日光黒子(solar lentigines)などを含むが、これらに限定されない。
【0050】
前記抽出物は、ムレスズメの根を水、C
1〜C
4の低級アルコール、又はこれらの混合溶媒で抽出して得ることができ、前記低級アルコールは、エタノール又はメタノールであってもよく、より詳しくは、エタノールであってもよい。
【0051】
前記抽出物、分画物、又はα−ビニフェリンは、組成物の総重量に対して0.001重量%〜30重量%で含有されていてもよく、より詳しくは、0.01重量%〜10重量%で含有されていてもよい。
【0052】
前記ムレスズメ根抽出物の分画物は、ヘキサン、クロロホルム、酢酸エチル、及びブタノールからなる群から選択されるいずれかの有機溶媒を加えて得たものであってもよく、より詳しくは、酢酸エチルを加えて得たものであってもよいが、これらに限定されない。
【0053】
前記ムレスズメ根抽出物の分画物は、分画物の総重量に対して0.001重量%〜30重量%でα−ビニフェリンを含有していてもよく、より詳しくは、0.01重量%〜10重量%で含有していてもよく、さらに詳しくは、0.1重量%〜1重量%で含有していてもよい。
【0054】
本発明の薬学的組成物は、有効成分に加えて、薬学的に許容される担体を含有していてもよく、これらの担体は、製剤する際に通常用いられるものであって、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウム、及びミネラルオイルなどを含むが、これらに制限されるものではない。本発明の薬学的組成物は、前記成分に加えて、潤滑剤、湿潤剤、甘味料、香味剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤などをさらに含有していてもよい。薬学的に許容される適合な担体及び製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(19th ed.,1995)に詳細に記載されている。
【0055】
本発明の薬学的組成物の適切な投与量については、製剤化の方法、投与方式、患者の年齢、体重、性別、病状、飲食、投与時間、投与経路、排泄速度、及び反応感応性などのような要因によって様々な処方があり得る。一方、本発明の薬学的組成物の投与量は、好ましくは、1日あたり0.0001〜100mg/kg(体重)であってもよい。
【0056】
本発明の薬学的組成物は、経口又は非経口投与してもよく、非経口投与の場合には、皮膚に局所的に塗布、静脈内注入、皮下注入、筋肉注入、腹腔注入、経皮投与などで投与することができる。本発明の薬学的組成物がメラニン色素の過剰沈着疾患を予防又は治療するために適用されることを考慮すると、皮膚に局所的に塗布されることが望ましい。
【0057】
本発明の薬学的組成物に含有される有効成分の濃度は、治療の目的、患者の状態、必要期間などを考慮して決めることができ、特定範囲の濃度に限定されない。
【0058】
本発明の薬学的組成物は、当該発明の属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に行える方法で、薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤を用いて製剤化することにより、単位容量形態で製造するか、又は多容量容器内に入れて製造してもよい。このとき、剤形は、オイル又は水性媒質中の溶液、懸濁液、又は乳化液の形態であるか、エキス剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤、又はカプセル剤であってもよく、分散剤又は安定化剤をさらに含有してもよい。
【0059】
本発明の一具体例において、本発明の薬学的組成物は、皮膚外用剤を含む。前記皮膚外用剤は、パウダー、ゲル、軟膏、クリーム、ローション、液剤、又はエアロゾル製剤であってもよいが、これらに限定されない。