特開2020-45531(P2020-45531A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-45531(P2020-45531A)
(43)【公開日】2020年3月26日
(54)【発明の名称】メッキ用筒型並列電極
(51)【国際特許分類】
   C25D 17/12 20060101AFI20200303BHJP
   C25D 17/00 20060101ALI20200303BHJP
【FI】
   C25D17/12 B
   C25D17/12 Z
   C25D17/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-175462(P2018-175462)
(22)【出願日】2018年9月19日
(71)【出願人】
【識別番号】518335388
【氏名又は名称】有限会社サンコーテクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】100080654
【弁理士】
【氏名又は名称】土橋 博司
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 平和
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、過剰メッキ液や老化廃浴に起因するメッキ不良やピンホール発生等の諸問題を解決するためにイオン交換膜を使用するにもかかわらず、メッキ液を均一かつ高品質に保持することができるメッキ用筒型並列電極を提供することにある。
【解決手段】導電性材料により中空状に形成されており、その内側と外側の間を液体が通過できるように構成されるとともに、少なくとも外面に金属メッキ層が形成された筒型電極本体と、その外側に所望の間隔をあけて配設したイオン交換膜とを備えるとともに、該メッキ用筒型電極を所定間隔で複数列並べた上、各メッキ用筒型電極の端部を連通タンクを介して連通させることにより、極液をメッキ用筒型電極内をより緩やかに循環させるようにしたことを特徴とするメッキ用筒型並列電極。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性材料により中空状に形成されており、その内側と外側の間を液体が通過できるように構成されるとともに、少なくとも外面に金属メッキ層が形成された筒型電極本体と、その外側に所望の間隔をあけて配設したイオン交換膜とを備えるとともに、該メッキ用筒型電極を所定間隔で複数列並べた上、各メッキ用筒型電極の端部を連通タンクを介して連通させることにより、極液をメッキ用筒型電極内をより緩やかに循環させるようにしたことを特徴とするメッキ用筒型並列電極。
【請求項2】
前記複数の電極の端部を連通させる連通タンクは、前記メッキ用筒型電極の上端および下端の間を連通させるように配設してなることを特徴とする請求項1記載のメッキ用筒型並列電極。
【請求項3】
前記筒状電極本体の外側に配設したイオン交換膜は、前記筒状電極本体の外側に配設した筒状網状体を支持体として、その外面に保持されてなることを特徴とする請求項1または2記載のメッキ用筒型並列電極。
【請求項4】
前記筒状電極本体の外側に配設したイオン交換膜は、前記筒状電極本体の外側に配設した筒状網状体を支持体としてその外面に取付けられ、かつ耐薬品性テープを巻き付けて保持されてなることを特徴とする請求項3記載のメッキ用筒型並列電極。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解メッキに使用される中空電極に関し、更に詳しくは、メッキ処理の進行に伴う極液の減少、その結果としての極液の濃度増大に起因するメッキ層の不均一やピンホール発生等の諸問題を解決するために、イオン交換膜等の隔膜を組み合わされたメッキ用筒型並列電極に関する。
【背景技術】
【0002】
電解メッキでは、極液を満たしたメッキ槽内に電極を配置し、通常はメッキ槽内の両側に電極を並べて配置する。そして、このメッキ槽内の電極間を移動する被メッキ物をもう一方の電極として、溶解金属を被メッキ物の表面に付着させる。
【0003】
ちなみに、イオン交換膜のメッキへの利用としては、水洗水などの希釈されたメッキ液の濃縮回収として、ニッケルメッキ液、シアン系銅メッキ液、などへの応用例があり約10倍程度濃縮し回収されている。
また、イオン交換膜を用いたメッキ浴の長寿命化としては、無電解ニッケルメッキ浴、スズー亜鉛合金メッキ浴、およびニッケルータングステン合金メッキ浴の研究事例が報告されており、生成する不要性物質の除去に利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特になし
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、メッキ層へのイオン交換膜の利用は、いわゆる隔壁の面に配置するものであって、メッキ液による圧力でバルーン状に変形してしまい、その負荷で変形や破損等のトラブルが生じて長期間にわたる使用ができないという問題があった。
またメッキ液槽内のメッキ液濃度の不均一や金属イオンのバランスが崩れてしまうという問題が生じていた。
【0006】
すなわち、メッキ処理の進行に伴う有効成分の酸化分解、陽極溶解と析出反応の差による金属イオン濃度の増加などの問題の結果としての過剰メッキ液や老化廃浴を生み出す要因となっていた。
本発明の目的は、過剰メッキ液や老化廃浴に起因するメッキ不良やピンホール発生等の諸問題を解決するためにイオン交換膜を使用するにもかかわらず、メッキ液を均一かつ高品質に保持することができるメッキ用筒型並列電極を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために本発明のメッキ用筒型並列電極は、導電性材料により中空状に形成されており、その内側と外側の間を液体が通過できるように構成されるとともに、少なくとも外面に金属メッキ層が形成された筒型電極本体と、その外側に所望の間隔をあけて配設したイオン交換膜とを備えるとともに、該メッキ用筒型電極を所定間隔で複数列並べた上、各メッキ用筒型電極の端部を連通タンクを介して連通させることにより、極液(メッキ液)をメッキ用筒型電極内をより緩やかに循環させるようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
本発明のメッキ用筒型並列電極において、前記複数の電極の端部を連通させる連通タンクは、前記メッキ用筒型電極の上端および下端の間を連通させるように配設してなることをも特徴とするものである。
【0009】
本発明のメッキ用筒型並列電極において、前記筒状電極本体の外側に配設したイオン交換膜は、前記筒状電極本体の外側に配設した筒状網状体を支持体として、その外面に保持されてなることをも特徴とするものである。
【0010】
本発明のメッキ用筒型並列電極において、前記筒状電極本体の外側に配設したイオン交換膜は、前記筒状電極本体の外側に配設した筒状網状体を支持体としてその外面に取付けられ、かつ耐薬品性テープを巻き付けて保持されてなることをも特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1のメッキ用筒型並列電極は、導電性材料により中空状に形成されており、その内側と外側の間を液体が通過できるように構成されるとともに、少なくとも外面に金属メッキ層が形成された筒型電極本体と、その外側に所望の間隔をあけて配設したイオン交換膜とを備えたメッキ用筒型電極を備えるとともに、該メッキ用筒型電極を所定間隔で複数列並べた上、各メッキ用筒型電極の端部を連通タンクを介して連通させたものであり、極液を複数列のメッキ用筒型電極内をより緩やかに循環させることができるため、イオン交換膜が極液(メッキ液)による圧力でバルーン状に変形することがなく、変形や破損等のトラブルが削減でき、しかも極液(メッキ液)を均一かつ高品質に保持することができるメッキ用筒型並列電極を提供することが可能となった。
【0012】
また、請求項2のメッキ用筒型並列電極は、前記複数の電極の端部を連通させる連通タンクが、前記メッキ用筒型電極の上端および下端の間を連通させるように配設してなるものであり、極液をメッキ用筒型電極内をより緩やかに循環させることが可能となって、メッキ液を均一かつ高品質に保持することができるメッキ用筒型並列電極を提供することが可能となった。
【0013】
請求項3のメッキ用筒型並列電極は、前記筒状電極本体の外側に配設したイオン交換膜が、前記筒状電極本体の外側に配設した筒状網状体を支持体として、その外面に保持されてなるものである。
また、請求項4のメッキ用筒型並列電極は、前記筒状電極本体の外側に配設したイオン交換膜が、前記筒状電極本体の外側に配設した筒状網状体を支持体としてその外面に取付けられ、かつ耐薬品性テープを巻き付けて保持されてなるものである。
そのため、前記イオン交換膜を前記筒状電極本体の外側に変形なく配設することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のメッキ用筒型並列電極の実施の形態を示すものであり、その概略要部拡大断面図である。
図2】イオン交換膜部分の概略要部拡大断面図である。
図3】本発明のメッキ用筒型並列電極の組立方を説明するための概略分解図である。
図4】本発明のメッキ用筒型並列電極を4列並設した状態を示すものであり、(a)はその概略正面図、(b)は概略側面図である。
図5】本発明のメッキ用筒型並列電極を6列並設した状態を示すものであり、(a)はその概略正面図、(b)は概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明のメッキ用筒型並列電極の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明のメッキ用筒型並列電極の実施の形態を示すものであり、その概略要部拡大断面図、図2はイオン交換膜部分の概略要部拡大断面図、図3は本発明のメッキ用筒型並列電極の組立方を説明するための概略分解図、図4は本発明のメッキ用筒型並列電極を4列並設した状態を示すものであり、(a)はその概略正面図、(b)は概略側面図、図5は本発明のメッキ用筒型並列電極を6列並設した状態を示すものであり、(a)はその概略正面図、(b)は概略側面図である。
【0016】
図1に示すように本発明のメッキ用筒型並列電極を構成するメッキ用筒型電極11は、導電性材料により中空状に形成されており、その内側と外側の間を液体が通過できるように構成されるとともに、少なくとも外面、望ましくは内外両面に金属メッキ層13が形成された筒型電極本体12と、その外側に所望の間隔をあけて配設したイオン交換膜14とを備えたものである。
その上で、前記メッキ用筒型電極11を所定間隔で複数列並べた上、各メッキ用筒型電極11の下端を下部連通タンク15を介して連通させることにより、極液(メッキ液)をメッキ用筒型電極11内をより緩やかに循環させるようにしたものである。図1において10はメッキ槽である。
したがって、イオン交換膜14が極液(メッキ液)による圧力でバルーン状に変形することがなく、変形や破損等のトラブルが削減でき、しかも極液(メッキ液)を均一かつ高品質に保持することができるようになった。
なお、前記導電性材料としては、鉄や銅電極のみならず、チタン・鉄・銅・鉛合金等を複合クラッドした電極、白金箔クラッド電極・酸化イリジウム電極・二酸化鉛電極等の不溶性電極、銅ブスバーにチタン等の耐食性金属を被覆・クラッドした電極等を挙げることができる。
【0017】
図1において、前記メッキ用筒型電極11は、前記下部連通タンク15の上部に設けた筒状受け口15aに取り付けた筒状の下部コネクタ16内に保持され、前記イオン交換膜14は前記下部コネクタ16の外側に配設されている。
【0018】
図2において、前記筒状電極本体12の外側に配設したイオン交換膜14は、前記筒状電極本体12の外側に配設した筒状網状体21を支持体として、その外面に保持されており、かつその外側に耐薬品性テープ22を巻き付けて保持されている。
そのため、前記イオン交換膜14は前記筒状電極本体12の外側に変形なく配設することができるようになった。
【0019】
なお、前記イオン交換膜14としては、隔膜の内側と外側において必要な成分の差異を発生させうる性質を有するイオン交換膜が好ましく、特に陰イオン交換膜が好ましい。陰イオン交換膜としては公知のものを使用することが可能である。なお、このような条件を満足するものとしては、例えば旭硝子エンジニアリング株式会社製の陰イオン交換膜AME(商品名)がある。
また、前記筒状網状体21としてはフッ素樹脂(PTFE:四フッ化エチレン)、超高分子量ポリエチレン、PP(ポリプロピレン)等の成型品を、前記耐薬品性テープ22としては、フッ素樹脂テープ(PTFE:四フッ化エチレン)、超高分子量ポリエチレンテープ、PP(ポリプロピレン)テープ等を利用することができる。
【0020】
また図3に示すように、前記メッキ用筒型電極11において、前記複数の電極の上端を連通させる上部連通タンク17は、前記メッキ用筒型電極11の上端の間を連通させるように配設してなるものである。
すなわち、上部連通タンク17の下部に設けた筒状受け口17aに取り付けた筒状の上部コネクタ18内に保持され、前記イオン交換膜14は前記上部コネクタ18の外側に配設されている。
なお、前記上部コネクタ18は前記メッキ用筒型電極11上端の給液口31に連結され、また、その中間に開設した連通孔18aを介して前記メッキ用筒型電極11と上部連通タンク17との間を連通するように構成されている。
図3において32は前記上部連通タンク17の排出口、33は前記下部連通タンク15の排出口である。
このように構成することによって、極液をメッキ用筒型電極11内をより緩やかに循環させることが可能となって、メッキ液を均一かつ高品質に保持することができるようになった。
【0021】
図4は本発明のメッキ用筒型電極11を4列並設した状態を示すものであり、(a)はその概略正面図、(b)は概略側面図である。
また、図5は本発明のメッキ用筒型電極11を6列並設した状態を示すものであり、(a)はその概略正面図、(b)は概略側面図である。
いずれも、メッキの対象とする物品の種類やサイズ、極液の性質その他に応じて適宜本数とすることができる。
【0022】
次に、本実施形態のメッキ用筒型並列電極の使用方法および機能について説明する。
操業においては、メッキ用筒型電極11が陽極とされ、陰極である被メッキ物がメッキ槽内の極液中を、両側の電極列の間を通過するようにして移動する。この間に、正に帯電した金属イオンが被メッキ物の表面に付着する。
操業の進行に伴い、極液中の金属イオンが消費され、酸性電解質の濃度が上昇する。これを放置すると、金属イオンの再溶解やピンホールの発生が生じる。そこで、メッキ槽の両側の側壁内面に沿って配置されたメッキ用筒型電極11内に低濃度の酸性電解質を循環させる。
これにより、メッキ槽内の極液中の余剰の金属イオンがイオン交換膜14を通して筒型電極本体12内の酸性電解質中に排出される。これにより、極液中の酸性電解質の濃度上昇が抑制される。一方、筒型電極本体12内で濃度が上昇した酸性電解質は排出口32,33から外部へ排出され、再利用される。
【0023】
なお、前記極液(メッキ液)としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸といったアルキルスルホン酸等の酸と、メッキ金属イオンの他、平滑化等のための酸化防止剤や界面活性剤等の添加剤、錯化剤等が配合される。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明のメッキ用筒型並列電極は以上のように構成したので、通常のメッキ用電極としてのみならず、適宜種々のメッキ用電極の用途にも応用できることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0025】
10 メッキ槽
11 メッキ用筒型電極
12 筒型電極本体
13 金属メッキ層
14 イオン交換膜
15 下部連通タンク
15a 筒状受け口
16 下部コネクタ
17 上部連通タンク
17a 筒状受け口
18 上部コネクタ
18a 連通孔
21 筒状網状体
22 耐薬品性テープ
31 給液口
32 排出口
33 排出口
図1
図2
図3
図4
図5