特開2020-47204(P2020-47204A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-47204(P2020-47204A)
(43)【公開日】2020年3月26日
(54)【発明の名称】携帯式画像表示器支持装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20200303BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20200303BHJP
   A61G 7/05 20060101ALN20200303BHJP
【FI】
   G06F1/16 313A
   G09F9/00 312
   G06F1/16 312G
   A61G7/05
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-177420(P2018-177420)
(22)【出願日】2018年9月21日
(71)【出願人】
【識別番号】518338736
【氏名又は名称】宇土 博
(71)【出願人】
【識別番号】714005188
【氏名又は名称】前川 孝信
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇土 博
(72)【発明者】
【氏名】前川 孝信
【テーマコード(参考)】
4C040
5G435
【Fターム(参考)】
4C040AA04
4C040GG20
5G435AA01
5G435EE14
5G435EE17
5G435LL07
(57)【要約】
【課題】携帯端末機を仰臥姿勢や横臥姿勢で長時間利用する時に、利用者の寝返り動作を促すことができるようにし、利用者の首・肩こりや腰痛の防止、及び発痛物質の停滞防止を図る。
【解決手段】携帯式画像表示器支持装置は、携帯式画像表示器が取り付けられる表示器支持部材と、表示器支持部材に連結され、該表示器支持部材を駆動する駆動手段と、携帯式画像表示器の利用者が行う動作とは無関係に駆動手段を制御して表示器支持部材を所定方向に往復動させる制御部とを備えている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面を有する携帯式画像表示器を支持する携帯式画像表示器支持装置であって、
前記携帯式画像表示器支持装置は、
前記携帯式画像表示器が取り付けられる表示器支持部材と、
前記表示器支持部材に連結され、該表示器支持部材を駆動する駆動手段と、
前記携帯式画像表示器の利用者が行う動作とは無関係に前記駆動手段を制御して前記表示器支持部材を所定方向に往復動させる制御部とを備えていることを特徴とする携帯式画像表示器支持装置。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯式画像表示器支持装置において、
前記表示器支持部材を前記所定方向に案内するガイド部材を備えていることを特徴とする携帯式画像表示器支持装置。
【請求項3】
請求項2に記載の携帯式画像表示器支持装置において、
前記ガイド部材は、前記表示器支持部材の移動方向に延び、当該移動方向の中間部が両側に比べて上に位置するように湾曲形成された部材で構成されており、
前記ガイド部材における前記中間部の高さは、仰臥姿勢や横臥姿勢にある前記利用者の顔から上方に離れるように設定されていることを特徴とする携帯式画像表示器支持装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の携帯式画像表示器支持装置において、
前記駆動手段が固定されるベース部材を備えていることを特徴とする携帯式画像表示器支持装置。
【請求項5】
請求項4に記載の携帯式画像表示器支持装置において、
前記ベース部材と前記駆動手段との間には、該駆動手段を傾動させる傾動機構が設けられていることを特徴とする携帯式画像表示器支持装置。
【請求項6】
請求項5に記載の携帯式画像表示器支持装置において、
前記傾動機構は、前記携帯式画像表示器の前記表示画面が前記利用者の顔に対向するまで前記駆動手段が傾動した使用位置と、前記携帯式画像表示器が前記利用者から退避するまで前記駆動手段が傾動した退避位置とに切替可能に構成されていることを特徴とする携帯式画像表示器支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯式画像表示器を仰臥姿勢や横臥姿勢で長時間利用する時に用いられる携帯式画像表示器支持装置に関し、特に、携帯式画像表示器を支持した状態で自動的に移動させる構造の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
最近、無線通信技術の高性能化に伴い、例えばスマートフォンやタブレット型端末等の携帯式画像表示器による電子書籍閲覧や映画鑑賞、音楽鑑賞の機会が増えており、携帯式画像表示器の利用時間が長くなっている。携帯式画像表示器の利用時間がより長くなった事で携帯式画像表示器を寝転がった姿勢、例えば仰臥姿勢や横臥姿勢で利用する人が増えている。長時間の同一姿勢による身体に与える影響は、手や腕の疲れや痺れだけでなく、首・肩こりや腰痛にまで及ぶことがある。
【0003】
国民生活基礎調査(平成10年度)によれば、国内の6歳以上の寝たきり者数は35万6千人と言われている。そんな寝たきりの人にとって携帯式画像表示器は単なる通信手段としてだけでなく、情報通信機能を備えた小型コンピューターとして趣味や知識の習得に活用するには最適である。しかし、周りの家族や介護者にとっては、携帯式画像表示器を本人に見えるように保持しておかなければならず、首・肩・腕部の負担が大きい。
【0004】
携帯式画像表示器を支持する装置は、従来から知られており、例えば特許文献1、2に開示されている装置がある。特許文献1、2の装置は、携帯式画像表示器を、回転軸を有する保持機構の一端に装着し、保持機構の他端にはバランサーを装着しておき、表示装置側の保持機構の重力による回転軸回りの回転モーメントと、バランサー側の保持機構の重力による回転軸回りの回転モーメントとをほぼ等しくし、回転軸にモータの回転力を伝えて携帯式画像表示器を回転軸の回りに回転可能にした装置が開示されている。モータは、人体に取り付けられた角度センサーもしくは加速度センサーからの情報に基づいて制御されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−084671号公報
【特許文献2】特開2005−195711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1、2の装置は、人体に取り付けられた角度センサーもしくは加速度センサーからの情報に基づいてモータを制御することが前提となっている。つまり、人体が動いたことを角度センサーもしくは加速度センサーによって検出し、その人体の動きに合わせて携帯式画像表示器を移動させることができるものである。言い換えると、人体が静止したままであると、携帯式画像表示器も静止したままである。また、仮にセンサーが人体から外れてしまった場合、携帯式画像表示器は動くことなく、静止したままになる。
【0007】
ここで問題となるのが、長時間の同一姿勢による身体に与える影響である。特許文献1、2では、上述したように人体が動かなければ携帯式画像表示器も動かないので、例えば動画の視聴に熱中している者のように長時間姿勢を変えない場合には、同一姿勢が長時間継続されることになる。同一姿勢が長時間継続されると、血液やリンパの循環が悪化して発痛物質が停滞し、手や腕の疲れや痺れだけでなく、首・肩こりや腰痛の原因になることがある。
【0008】
一方、健康な人は、一晩に約20回程度寝返りをうつと言われている。例えば6時間睡眠の人の場合、約16分から20分ごとに寝返りをうつ計算になる。最近では、この寝返りについて見直されており、寝返り動作をとることで血液、リンパ液の循環が良くなって腰痛予防や体内の発痛物質の停滞防止に役立つとされており、寝返りしやすい寝具マットや枕などの改良や開発でその認識も高まっている。
【0009】
特に、寝たきりの人や障害を持つ人は、自分から姿勢を変えようとすることが無く、同一姿勢が長時間継続される場合が多く、床ずれの原因になることがある。このため、寝たきりの人や障害を持つ人にとっても、寝返りしやすい環境を整えることは急務となっている。
【0010】
また、人間工学によると、図10の水平方向の中心視領域図で示すように、眼球運動によって見ることができる中心視領域は略40°程度が限界であり、それ以外の周辺視領域を見ようとすると、眼球運動では追いつかず、首や頭の回旋動作が必要になる。これにも限界があり、人が周辺視領域を更に広げようとすると、上部体幹から下部体幹へと回旋動作を行うとされている。ただし、人により回旋の回数やタイミングや速度やパターンは微妙に異なる。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、携帯端末機を仰臥姿勢や横臥姿勢で長時間利用する時に、利用者の寝返り動作を促すことができるようにし、その結果、利用者の首・肩こりや腰痛の防止、及び発痛物質の停滞防止を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、第1の発明は、表示画面を有する携帯式画像表示器を支持する携帯式画像表示器支持装置であって、前記携帯式画像表示器支持装置は、前記携帯式画像表示器が取り付けられる表示器支持部材と、前記表示器支持部材に連結され、該表示器支持部材を駆動する駆動手段と、前記携帯式画像表示器の利用者が行う動作とは無関係に前記駆動手段を制御して前記表示器支持部材を所定方向に往復動させる制御部とを備えていることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、携帯式画像表示器を表示器支持部材に取り付けることで、携帯式画像表示器が表示器支持部材を介して支持されるので、携帯式画像表示器の利用者が手で携帯式画像表示器を持つことなく、携帯式画像表示器に表示される画像を見ることができる。
【0014】
そして、利用者の動作とは無関係に表示器支持部材が駆動手段によって駆動され、これにより、携帯式画像表示器が所定方向に往復動することになる。携帯式画像表示器が一方向に移動して利用者の中心視領域から外れると、画像を見続けようとして利用者の首や頭の回旋動作が起こる。携帯式画像表示器が更に移動すると、利用者の上部体幹から下部体幹へと回旋動作が起こる。携帯式画像表示器が他方向に移動する場合も同様な回旋動作が起こる。このような動作は利用者が画像を見続けようとして自然と促される動作であり、例えば、携帯式画像表示器を仰臥姿勢や横臥姿勢で長時間利用する時には寝返り動作となって現れる。これにより、利用者の寝返り動作を促すことが可能になる。
【0015】
第2の発明は、前記表示器支持部材を前記所定方向に案内するガイド部材を備えていることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、表示器支持部材を所定方向に確実に案内することができる。
【0017】
第3の発明は、前記ガイド部材は、前記表示器支持部材の移動方向に延び、当該移動方向の中間部が両側に比べて上に位置するように湾曲形成された部材で構成されており、前記ガイド部材における前記中間部の高さは、仰臥姿勢や横臥姿勢にある前記利用者の顔から上方に離れるように設定されていることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、携帯式画像表示器が、仰臥姿勢や横臥姿勢にある利用者の顔の上方を湾曲した軌道を描きながら往復動することになるので、利用者の寝返り動作の促進効果がより一層高まる。
【0019】
第4の発明は、前記駆動手段が固定されるベース部材を備えていることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、駆動手段がベース部材によって支持されるので、携帯式画像表示器を安定した状態で往復動させることができる。
【0021】
第5の発明は、前記ベース部材と前記駆動手段との間には、該駆動手段を傾動させる傾動機構が設けられていることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、駆動手段をベース部材に対して傾動させることができるので、駆動手段に連結されている表示器支持部材を傾動させることができ、その結果、携帯式画像表示器の角度を調整することができる。
【0023】
第6の発明は、前記傾動機構は、前記携帯式画像表示器の前記表示画面が前記利用者の顔に対向するまで前記駆動手段が傾動した使用位置と、前記携帯式画像表示器が前記利用者から退避するまで前記駆動手段が傾動した退避位置とに切替可能に構成されていることを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、駆動手段を傾動させて使用位置にすると携帯式画像表示器の表示画面が利用者の顔に対向するので、高い視認性を確保することができる。一方、駆動手段を退避位置に切り替えると、携帯式画像表示器が利用者から退避するので、例えば仰臥姿勢や横臥姿勢にある利用者が起き上がるときに携帯式画像表示器が邪魔になりにくい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、携帯式画像表示器を仰臥姿勢や横臥姿勢で長時間利用する時に、利用者の寝返り動作を促すことができるので、利用者の首・肩こりや腰痛の防止、及び発痛物質の停滞防止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態1に係る携帯式画像表示器支持装置の斜視図である。
図2】携帯式画像表示器支持装置の左側面図である。
図3】携帯式画像表示器支持装置の使用状態(仰臥姿勢)を示す斜視図である。
図4】携帯式画像表示器支持装置の使用状態(横臥姿勢)を示す斜視図である。
図5】携帯式画像表示器支持装置の拡大斜視図である。
図6】駆動手段を傾動機構から分離した状態を示す斜視図である。
図7】駆動手段及び傾動機構の分解斜視図である。
図8】駆動手段のリンク機構を示す拡大図である。
図9】本発明の実施形態2に係る携帯式画像表示器支持装置の使用状態(仰臥姿勢)を示す斜視図である。
図10】水平視野領域を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0028】
(実施形態1)
図1及び図2は、本発明の実施形態1に係る携帯式画像表示器支持装置1を示すものであり、図3及び図4は、携帯式画像表示器支持装置1の使用状態を示すものである。携帯式画像表示器支持装置1は、表示画面を有する携帯式画像表示器100を利用者200(図3図4に示す)の代わりに支持することができるように構成されており、携帯式画像表示器支持装置1を使用することで、利用者200は携帯式画像表示器100を手で持つことなく利用することができる。利用者200は、健常者であってもよいし、寝たきりの者であってもよいし、障害を持った者であってもよい。寝たきりの者や障害を持った者の場合、携帯式画像表示器100を手で持つこと自体が困難な場合があるが、携帯式画像表示器支持装置1を使用することで、介護者や周囲の者に携帯式画像表示器100を持ってもらわなくても携帯式画像表示器100を利用することができる。
【0029】
尚、この実施形態の説明では、各図に示すように、携帯式画像表示器支持装置1の右側、左側、手前側及び奥側を定義するが、これは説明の便宜を図るためだけであって、本発明の使用時の方向等を限定するものではない。
【0030】
携帯式画像表示器100は、例えばバッテリを内蔵したスマートフォンやタブレット型端末、小型のノートパソコン等を挙げることができるが、これらに限られるものではなく、表示画面、外部との通信機能及び動画表示機能を有する各種携帯式端末であってもよい。通信機能は無線LAN等によるインターネット通信が可能に構成されたものである。このあたりの技術は従来から周知のものであるため、詳細な説明は省略する。
【0031】
携帯式画像表示器100は、表示器支持部材10と、駆動手段20と、制御部30(図2にのみ破線で示す)と、ガイド部材40と、ベース部材50と、傾動機構60とを備えている。制御部30は、駆動手段20の内部に設けてもよいし、外部に設けてもよく、利用者200が操作可能に構成することもできる。表示器支持部材10、駆動手段20、制御部30、ガイド部材40、ベース部材50及び傾動機構60は一体化されており、これにより、携帯式画像表示器100は自由に持ち運んで使用することが可能な可搬性を有するものになる。
【0032】
表示器支持部材10は、携帯式画像表示器100が着脱可能に取り付けられる部材である。表示器支持部材10は、例えば、携帯式画像表示器100を幅方向両側から挟持する挟持手段や携帯式画像表示器100を吸引する吸盤等を有しており、携帯式画像表示器100が落下することのないように取り付けられる構成を持っている。使用後は携帯式画像表示器100を表示器支持部材10から容易に取り外すことが可能になっている。
【0033】
駆動手段20は、表示器支持部材10に連結され、該表示器支持部材10を駆動するためのユニットであり、本体部21と、駆動アーム22とを備えている。駆動アーム22の先端部には、表示器支持部材10が連結されるブラケット22aが設けられている。駆動アーム22とブラケット22aとの角度は調整可能になっており、図2に示すように、駆動アーム22とブラケット22aの長手方向とのなす角度が90゜に近い角度となっている。ブラケット22aの長手方向は、携帯式画像表示器100の表示画面の上下方向と対応している。
【0034】
図6にのみ示すが、ブラケット22aには、ガイド部材40が挿通する挿通孔22bが形成されている。挿通孔22bの周囲には、ガイド部材40に接触するローラ部材22cが設けられており、ガイド部材40に対する摺動抵抗が低減されている。
【0035】
図1等に示すように、ガイド部材40は、表示器支持部材10が左右方向(所定方向)に往復動するように当該表示器支持部材10を案内するための部材である。ガイド部材40は、例えば金属や樹脂からなる硬質パイプ材や棒材等で構成することができ、表示器支持部材10の移動方向にレール状に延びるとともに、当該移動方向の中間部(左右方向の中間部)が両側(左側及び右側)に比べて上に位置するように湾曲形成された部材である。ガイド部材40における中間部が最も高く、中間部から左端部及び右端部に近づくほど低くなるように、当該ガイド部材40の形状が決められている。ガイド部材40は、利用者200の視界の邪魔になりにくくするため、無色透明であることが好ましい。
【0036】
図3図4に示すように、ガイド部材40における中間部の高さは、仰臥姿勢や横臥姿勢にある利用者200の顔201及び頭から上方に離れるように設定されている。具体的には、携帯式画像表示器100の表示画面が利用者200の目から10〜30cm程度離れるようにガイド部材40が形成されている。
【0037】
また、ガイド部材40の両端部の間隔は、当該両端部が仰臥姿勢や横臥姿勢にある利用者200の顔201及び頭から側方へ離れるように設定されている。この実施形態では、ガイド部材40が円弧状に形成されており、その半径は例えば300mm以上600mm以下の範囲で設定することができる。
【0038】
ブラケット22aの挿通孔22bにガイド部材40が挿通するようになっているので、ブラケット22aはガイド部材40に沿って当該ガイド部材40の左端部から右端部、または右端部から左端部に移動することになる。そして、表示器支持部材10がブラケット22aに連結されているので、表示器支持部材10に取り付けられた携帯式画像表示器100はガイド部材40によって円弧状の軌道を描くように左右方向に案内されることになる。
【0039】
図1等に示すように、ベース部材50は、駆動手段20が固定される部材である。ベース部材50と駆動手段20との間に、該駆動手段20を傾動させる傾動機構60が設けられている。ベース部材50は、ガイド部材40と同様なパイプ材や棒材等で構成することができ、図3に示すように、仰臥姿勢や横臥姿勢にある利用者200の顔201及び頭から離れた状態でマット300や床(図示せず)に載置される。ベース部材50は、左右方向の中間部が最も奥側に位置し、中間部から左端部及び右端部に近づくほど手前側に位置するように形成されている。ベース部材50の左右方向の中間部は、頭から離れて配置されるようになっている。また、ベース部材50の左端部及び右端部は、頭や顔から側方へ離れて配置されるようになっている。この実施形態では、ベース部材50が平面視で円弧状に形成されており、その半径は例えば300mm以上600mm以下の範囲で設定することができる。
【0040】
ガイド部材40の左端部はベース部材50の左側部分に対して左側連結部材41によって連結されている。左側連結部材41は、ガイド部材40の左端部をベース部材50に対して傾動自在に連結する部材である。ガイド部材40の右端部はベース部材50の右側部分に対して左側と同様に構成された右側連結部材42によって連結されている。
【0041】
傾動機構60は、奥側に位置する基端側リンク61、中間リンク62、先端側リンク63と、手前側に位置する支持棒材64と、支軸65とを備えている。基端側リンク61の基端部(下端部)は、ベース部材50の左右方向の中間部に固定されている。基端側リンク61は上方へ延びる姿勢で配置されており、この基端側リンク61の上端部には、中間リンク62の下端部が左右方向に延びる軸回りに回動可能に連結されている。中間リンク62も上方へ延びる姿勢で配置されており、この中間リンク62の上端部には、先端側リンク63の下端部が左右方向に延びる軸回りに回動可能に連結されている。先端側リンク63も上方へ延びる姿勢で配置されており、この先端側リンク63の上端部には、支軸65の一端部が固定されるようになっている。
【0042】
支持棒材64は2つ設けられている。一方の支持棒材64の下端部はベース部材50の左側に対して、上記左側連結部材41によって連結されている。他方の支持棒材64の下端部はベース部材50の右側に対して、上記右側連結部材42によって連結されている。支持棒材64の上端部は、支軸65の他端部に対して連結されている。図2に示すように、支軸65は手前側へ行くほど下に位置するように傾斜している。
【0043】
支軸65は駆動手段20を回動可能に支持するための部材である。すなわち、図7に示すように、駆動手段20の駆動アーム22には、支軸65に支持される被支持部材22eが固定されており、この被支持部材22eを支軸65が貫通するように配置され、これにより、支軸65回りに被支持部材22e、即ち駆動手段20が回動可能になる。
【0044】
駆動手段20の本体部21は、図7及び図8に示す基板部21aと、基板部21aに取り付けられたモーター及び減速歯車機構21c(図7にのみ示す)とを備えるとともに、基板部21aに回転可能に支持された出力歯車21bも備えている。モーターの出力は、減速歯車機構21cを介して出力歯車21bに伝達されるようになっている。駆動アーム22の基端部は、基板部21aに固定されており、駆動アーム22と基板部21aとが一体化されている。
【0045】
図7及び図8に示すように、駆動手段20はリンク機構23を備えている。リンク機構23は、第1の四節リンク機構24のクランク・テコ機構と、第2のリンク機構25の両テコ機構とで構成されている。それにより略180°の範囲の揺動運動を可能とする。揺動範囲は、例えば150°〜180°の範囲で設定することができる。
【0046】
リンク機構23の第1リンク24aは、出力歯車21bに対して固定されており、出力歯車21bの出力が直接伝達されるようになっている。第1リンク24aには、第2リンク24bの基端部が回転可能に取り付けられている。さらに、第2リンク24bの先端部には、第3リンク24cの基端部が回転可能に取り付けられている。第3リンク24cの中間部は、基端部21aに対して回転可能に支持されている。第3リンク24cの先端部には、第4リンク24dの基端部が回転可能に取り付けられている。第4リンク24dの先端部は、固定部材26を介して傾動機構60の先端側リンク63に取り付けられている。固定部材26の一端部に第4リンク24dの先端部が回転可能に連結されている。固定部材26の他端部は、支軸65の端部に対して当該支軸65回りに回転可能に連結されている。
【0047】
従って、出力歯車21bを回転させると、リンク機構23の作用により、駆動手段20が支軸65回りに略180°の範囲で揺動運動する。これにより、表示器支持部材10が左右に往復動することになる。
【0048】
傾動機構60は、いわゆるトグル機構を有しており、携帯式画像表示器100の表示画面が利用者200の顔201に対向するまで駆動手段20が傾動した使用位置(図2に示す)と、携帯式画像表示器100が利用者200から退避するまで駆動手段20が奥側へ傾動した退避位置とに切替可能に構成されている。駆動手段20が退避位置にあるときの傾動機構60の中間リンク62及び先端側リンク63を図2に仮想線で示す。駆動手段20が退避位置にあるときには、ガイド部材40や傾動機構60の支持棒材64も奥側へ傾動する。
【0049】
尚、上述した駆動手段20の構成は一例であり、リンク機構23を省略し、例えば高減速比の減速機構を備えたサーボモータ等で往復動可能に構成することや、送りネジ機構とモーター等によって往復動可能に構成することもできる。
【0050】
制御部30は、携帯式画像表示器100の利用者200が行う動作とは無関係に駆動手段20を制御して表示器支持部材10を所定方向に往復動させるためのユニットである。具体的には、制御部30は、駆動手段20のモーターに印加する電圧を調整することにより、当該モーターの回転及び停止の切替、回転速度の切替を行うことができるように構成されている。電源は電池であってもよいし、商用電源であってもよい。制御部30には、図示しないが、ON/OFF切替スイッチと、スピード調整ダイヤルとが設けられている。ON/OFF切替スイッチがONにされると、制御部30は、常にモーターに電圧を印加し続け、そのときの印加電圧はスピード調整ダイヤルによって調整できる。スピード調整ダイヤルによってスピードを上げる操作が行われると、モーターに印加される電圧を高めて駆動手段20による揺動動作が速くなる。一方、スピード調整ダイヤルによってスピードを下げる操作が行われると、モーターに印加される電圧を低めて駆動手段20による揺動動作が遅くなる。
【0051】
表示器支持部材10が左端から右端まで移動するのに要する時間は、20分から30分程度に設定することができるが、これは一例であり、60分程度に設定してもよい。利用者200がON/OFF切替スイッチを操作しなければ、表示器支持部材10は揺動し続ける。つまり、この実施形態では、利用者200の向きや姿勢を検出しないので、利用者200がどの方向に向いていても、どのような姿勢であっても、利用者200の向きや姿勢とは関係なく、表示器支持部材10が揺動し続けることになる。
【0052】
図3に示すように、例えば仰臥姿勢にある利用者200の顔201の正面に携帯式画像表示器100が位置した状態から表示器支持部材10が右へ揺動していくと、はじめのうちは、図10に示す中心視野領域に表示器支持部材10があるので利用者200は眼球運動のみで表示画面を見ることができる。表示器支持部材10が更に右に移動していき、図10に示す中心視野領域から外れると、眼球運動だけでは表示画面が見えにくくなるので、利用者200は中心視野領域で画像を見続けようとして首や頭の回旋動作が自然に起こる。携帯式画像表示器10が更に右に移動すると、利用者200は中心視野領域で見るために上部体幹から下部体幹へと回旋動作が自然に起こる。携帯式画像表示器10が左方向に移動する場合も同様な回旋動作が起こる。このような動作は利用者200が中心視野領域で画像を見続けようとして自然と促される動作であり、例えば、携帯式画像表示器10を仰臥姿勢や横臥姿勢で長時間利用する時には寝返り動作となって現れる。これにより、利用者200の寝返り動作を促すことが可能になる。携帯式画像表示器10が往復動するので、利用者200は右へ寝返った後、左に寝返り、これを繰り替えることになる。
【0053】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、この実施形態1に係る携帯式画像表示器支持装置1によれば、携帯式画像表示器10を仰臥姿勢や横臥姿勢で長時間利用する時に、利用者200の寝返り動作を促すことができるので、利用者の首・肩こりや腰痛の防止、及び発痛物質の停滞防止を図ることができる。
【0054】
また、駆動手段20を傾動機構60により傾動させて使用位置にすると携帯式画像表示器100の表示画面が利用者200の顔201に対向するように配置されるので、高い視認性を確保することができる。一方、駆動手段20を傾動機構60により退避位置に切り替えると、携帯式画像表示器100が利用者200から退避するので、例えば仰臥姿勢や横臥姿勢にある利用者200が起き上がるときに携帯式画像表示器10が邪魔になりにくい。
【0055】
(実施形態2)
図9は、本発明の実施形態2に係る携帯式画像表示器支持装置1の使用状態を示すものである。実施形態2では、ベッド400のフレーム401に携帯式画像表示器支持装置1を固定して使用することができるように構成されている点で実施形態1のものとは異なっており、他の部分は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
【0056】
実施形態2の携帯式画像表示器支持装置1は、ベッド400のフレーム401に固定される固定手段70を備えている。固定手段70は、ベース部材に相当するものであり、フレーム401に固定される第1部材71と、第1部材71に固定される第2部材72とを備えており、第2部材72に支軸65が固定されている。
【0057】
この実施形態2によれば、実施形態1と同様な作用効果を奏することができるとともに、ベッド400の両側や枕元に置かれる部材を無くすことができる。また、介護用ベッドのようにマット部分が可動するベッドであっても対応可能である。さらに、携帯式画像表示器支持装置1の使用により、いつも通りのベッドに寝転がった姿勢で気の向いた時に、気軽に寝返り動作を引き出す為のリハビリ治療用の道具としても期待できる。
【0058】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上説明したように、本発明に係る携帯式画像表示器支持装置は、例えば、携帯端末機を仰臥姿勢や横臥姿勢で長時間利用する時に使用することができ、例えば動画の視聴、電子書籍の閲覧、映画鑑賞、音楽鑑賞をする場合に好適である。
【符号の説明】
【0060】
1 携帯式画像表示器支持装置
10 表示器支持部材
20 駆動手段
30 制御部
40 ガイド部材
50 ベース部材
60 傾動機構
100 携帯式画像表示器
200 利用者
図1
図2
図3
図4
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図6
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図8
図9
図10