特開2020-47645(P2020-47645A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-47645(P2020-47645A)
(43)【公開日】2020年3月26日
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 30/10 20060101AFI20200303BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20200303BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20200303BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20200303BHJP
【FI】
   H01F30/10 D
   H01F17/04 F
   H01F17/00 B
   H01F27/28 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-172798(P2018-172798)
(22)【出願日】2018年9月14日
(71)【出願人】
【識別番号】519315280
【氏名又は名称】NJコンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】小野 清人
(72)【発明者】
【氏名】篠田 勝
(72)【発明者】
【氏名】大田 智嗣
(72)【発明者】
【氏名】土屋 賢太郎
(72)【発明者】
【氏名】北岡 幹雄
【テーマコード(参考)】
5E043
5E070
【Fターム(参考)】
5E043AA08
5E043BA01
5E070AA01
5E070AA11
5E070AB04
5E070BA08
5E070CB06
5E070CB12
5E070CB17
(57)【要約】
【課題】大電流に対応可能な低背のコイル部品を提供する。
【解決手段】コア2とコイル3とを備えたコイル部品1であって、互いに直交する三方向を上下、左右、前後方向として、コイルは、上下方向を巻軸とするとともに、上下方向を法線とした面を有する基板30に形成された導体パターン(31、32)によって形成されてなり、コアは、二つのコア部材(2a、2b)が上下方向に対向配置されてなる、UU型あるいはUI型で、前後方向から見て、矩形状の閉磁路を形成し、閉磁路の内方に対応して二つのコア部材間に形成される空隙の上下方向の幅Lを磁気ギャップの幅とし、上下方向から見て、コアの平面領域と、コイルを構成する導体パターンの内周側の平面領域との重複領域(23a、23b)の面積によってコイルのインダクタンスが調整されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアとコイルとを備えたコイル部品であって、
互いに直交する三方向を上下、左右、前後方向として、
前記コイルは、上下方向を巻軸とするとともに、上下方向を法線とした面を有する基板に形成された導体パターンによって形成されてなり、
前記コアは、二つのコア部材が上下方向に対向配置されてなる、UU型あるいはUI型で、前後方向から見て、矩形状の閉磁路を形成し、
前記閉磁路の内方に対応して二つの前記コア部材間に形成される空隙の上下方向の幅を磁気ギャップの幅とし、
上下方向から見て、前記コアの平面領域と、前記コイルを構成する前記導体パターンの内周側の平面領域との重複領域の面積によって前記コイルのインダクタンスが調整されてなる、
ことを特徴とするコイル部品。
【請求項2】
請求項1に記載のコイル部品であって、前記重複領域の面積が、上方から見たときの前記コアの外脚の合計面積よりも小さいことを特徴とするコイル部品。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のコイル部品であって、前記コイルは、前記基板の表裏一方の面に一次コイルが形成され、表裏他方の面に二次コイルが形成されて、トランスとして動作することを特徴とするコイル部品。
【請求項4】
請求項3に記載のコイル部品であって、
前記基板の前記表裏他方の面に渦巻き状に形成された導体パターンによって前記一次コイルが形成され、
前記基板の前記表裏一方の面にU字型に形成された導体パターンによって前記二次コイルが形成され、
前記基板の前記表裏一方の面には、前記一次コイルを形成する渦巻き状の導体パターンの内周側の端部とビアを介して接続される導体パターンが形成されている、
ことを特徴とするコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
トランスやインダクターなどのコイル部品は、コアによって形成された閉磁路内にコイルが配置されてなる。そして、大電流を扱うコイル部品におけるコアは、一般的に、EE型あるいはEI型など中脚を備えたものが用いられ、コイルの巻線は、その中脚の周囲に巻回される。なお、コイルの巻軸を上下方向とすると、EE型のコアおよびEI型のコアは、二つのコア部材が上下方向で互いに対向配置されることで構成される。そして、二つのコア部材は、閉磁路を形成しつつ、磁芯の磁気飽和を抑制したり、直流重畳特性を調整したりするために、中脚に磁気ギャップが設けられた状態で配置される。
【0003】
EE型コアあるいはEI型コアの中脚に磁気ギャップを設けるためには、普通、E型コア部材の中脚を外脚よりも短くする。例えば、上下方向で二つのE型コア部材を互いに対向させてなるEE型コアでは、上下二つのE型コア部材のそれぞれの中脚、あるいは上下一方のE型コアの中脚を外脚よりも短くしておく。それによって、二つのE型コア部材の中脚の端面間に磁気ギャップが形成される。また、EI型コアで、例えば、I型コアの上方にE型コア部材が配置される場合では、E型コア部材の中脚を外脚よりも短くし、I型コア部材の上面にE型コア部材を載置することで、I型コアの上面とE型コアの中脚の端面との間に磁気ギャップが形成される。もちろん、中脚を外脚よりも短くせず、外脚の端面にシート状の部材を配置させることでも磁気ギャップを形成することはできるが、漏れ磁束の影響を考えれば、上下のE型コア部材の外脚同士、あるいは上下一方のE型コア部材の外脚と上下他方のI型コアとは接触している方がよい。なお、以下の非特許文献1や2には、コアの磁気ギャップとコイル部品の特性との関係について記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】サガミエレク株式会社、”コイルを使う人のための話 第一部”、[online]、[平成30年8月27日検索]、インターネット<URL:https://www.sagami-elec.co.jp/file/tech/coil_doc_100j.pdf>
【非特許文献2】TDK株式会社、” 第9回 スイッチング電源のエネルギー伝達を支える電子部品”、[online]、[平成30年8月27日検索]、インターネット<URL:https://www.tdk.co.jp/techmag/power/200902/index.htm>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コイル部品を含めた電子部品には、小型薄型化が求められている。特に、液晶ディスプレイなどの薄形表示装置に組み込まれる電子部品には、薄形、すなわち低背化が強く求められている。そして、上述したコイル部品が、電源回路などに組み込まれる場合、コイル部品は、大電流への対応と低背化とを両立させる必要がある。
【0006】
しかし、コイル部品の低背化を進めて行くと、磁芯となるコアの脚部が短くなる。そのため、磁気ギャップの幅(以下、ギャップ長とも言う)を調整することで大電流用途に適した特性を得ることが難しくなる。すなわち、ギャップ長の設定範囲が限られてしまい、大電流に対応させるために必要なギャップ長を設けることが困難となる。なお、インダクタンスを小さくすることでコイル部品を大電流に対応させることもできるが、そのためには、コアの中脚を細くする必要がある。しかし、中脚を細くして中脚の断面積が小さくなると、中脚に磁束が集中し、磁芯となる中脚が磁気飽和する。したがって、中脚を細くする場合でも電流に対応させることが難しくなる。確かに、コイルの巻き数を調整することでもインダクタンスを調整することができるが、DC−DCコンバーターなどに組み込まれるコイル部品では、銅板などからなる一巻きコイルを用いることがあり、コイルの巻き数が少ないコイル部品では、コイルの巻き数を調整することでインダクタンスを小さくすることが難しい。
【0007】
そこで、本発明は、大電流に対応可能な低背のコイル部品を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、コアとコイルとを備えたコイル部品であって、
互いに直交する三方向を上下、左右、前後方向として、
前記コイルは、上下方向を巻軸とするとともに、上下方向を法線とした面を有する基板に形成された導体パターンによって形成されてなり、
前記コアは、二つのコア部材が上下方向に対向配置されてなる、UU型あるいはUI型で、前後方向から見て、矩形状の閉磁路を形成し、
前記閉磁路の内方に対応して二つの前記コア部材間に形成される空隙の上下方向の幅を磁気ギャップの幅とし、
上下方向から見て、前記コアの平面領域と、前記コイルを構成する前記導体パターンの内周側の平面領域との重複領域の面積によって前記コイルのインダクタンスが調整されてなる、
ことを特徴とするコイル部品である。
【0009】
前記重複領域の面積が、上方から見たときの前記コアの外脚の合計面積よりも小さいコイル部品としてもよい。
【0010】
前記基板の表裏一方の面に一次コイルが形成され、表裏他方の面に二次コイルが形成されて、トランスとして動作するコイル部品とすることもできる。
【0011】
トランスとして動作するコイル部品は、
前記基板の前記表裏他方の面に渦巻き状に形成された導体パターンによって前記一次コイルが形成され、
前記基板の前記表裏一方の面にU字型に形成された導体パターンによって前記二次コイルが形成され、
前記基板の前記表裏一方の面には、前記一次コイルを形成する渦巻き状の導体パターンの内周側の端部とビアを介して接続される導体パターンが形成されているコイル部品であってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、大電流にも対応可能な低背のコイル部品が提供される。なお、その他の効果については以下の記載で明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例に係るコイル部品の外観を示す斜視図である。
図2】上記実施例に係るコイル部品の分解斜視図である。
図3】上記実施例に係るコイル部品の各部位のサイズを示す図である。
図4】上記実施例に係るコイル部品におけるインダクタンスの設定方法を説明するための図である。
図5】本発明のその他の実施例に係るコイル部品を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施例について、以下に添付図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明に用いた図面において、同一または類似の部分に同一の符号を付して重複する説明を省略することがある。図面によっては説明に際して不要な符号を省略することもある。
【0015】
===実施例===
本発明の実施例として一次コイルと二次コイルとを有するトランスとして機能するコイル部品をあげる。図1に、本発明の実施例に係るコイル部品1の外観を示した。また、図2に、コイル部品1の分解斜視図を示した。図1に示したように、実施例に係るコイル部品1は、コア2によって囲繞された扁平矩形状の閉磁路内に平板状のコイル3が配置されてなる。
【0016】
コイル3の巻軸100方向を上下方向とすると、コア2は、図2に示したように、U型コア部材2aとI型コア部材2bを上下方向で対向させてなるUI型である。ここで、U型コア部材2aがI型コア部材2bの上方に配置されていることとして、上下の各方向を規定するとともに、U型コア部材2aの外脚22が、上下に扁平な平板状の底板部21の左右両端側の下面から下方に突出して形成されていることとして左右方向を規定する。また、上下方向と左右方向とに直交する方向を前後方向とすると、コア2は前後方向から見たときに上下に扁平な矩形状の閉磁路を形成している。
【0017】
コイル3は、基板30の表面に印刷された導体パターン(31、32)によって形成されてなるシート状のコイルであり、図2では、便宜的に、導体パターン(31、32)の形状が理解し易いように、基板30と、基板30上に形成されている導体パターン(31、32)とを個別に示した。また、図1図2では、コイル3の上下方向の厚さが誇張されている。そして、図2に示したように、一枚の基板30の表裏一方の面には、幅広のU字状の導体パターン32からなる一巻き分のコイルが形成され、表裏他方の面には、渦巻き状の導体パターン31からなる四巻き分のコイルが形成されている。本実施例では、基板30の上面に、U字型の導体パターン32からなるトランスの二次コイル(以下、二次コイル32とも言う)が形成され、基板30の下面に渦巻き状の導体パターン31からなるトランスの一次コイル(以下、一次コイル31とも言う)が形成されている。また、基板30の上面には、二次コイル32を構成するU字状の導体パターンとは別に、基板30の左右中央位置に、前後一方の縁辺には、前後方向に延長する直線状の導体パターン33が形成されている。上下方向から見ると、直線状の導体パターン33は、基板30の前後一方の縁辺から、渦巻き状の一次コイル31の内周側の端部31aの形成位置まで延長し、この一次コイル31の端部31aと直線状の導体パターン33とは、基板30の上面と下面とを連絡するビア34を介して接続されている。したがって、基板30の上面におけるU字状の二次コイル32の二つの端部(32a、32b)、上記直線状の導体パターン33、および基板30の下面における渦巻き状の一次コイル31の外周側の端部31bが、外部の電子回路に接続される端子となる。
【0018】
図3に、コイル部品1の各部位のサイズを示した。図3(A)は、コイル部品1を上下方向から見たときのコア2の各部位のサイズを示している。図3(B)は、コイル部品1を前後方向から見たときのコア2の各部位のサイズを示しており、図3(A)におけるa−a矢視断面に対応している。図3(A)に示したように、コア2は、上下方向から見ると、左右方向の幅W1、前後方向の奥行きDの矩形の平面形状を有し、コイル3は、コア2に対し、前後と左右とに対称となるように配置されている。また、図3(B)に示したように、コア2を構成するU型コア部材2aは、高さH1で、高さH2の平板状の底板部21の下面に、二つの外脚22が、距離W1を隔てて左右対称に形成されてなる。したがって、一つの外脚22のサイズは、幅(W1―W2)/2、奥行きD、高さH1−H2となる。I型コア部材2bは、全高H3で、幅W1、奥行きD、高さH3の外形サイズを有する平板状である。また、コア2の全体の外形サイズは、幅W1、奥行きD、高さH1+H3である。
【0019】
以下の表1に、コア2の各部位の実寸を示した。
【0020】
【表1】
【0021】
表1に示したように、コア2は、高さH1=7mmで、極めて薄い。また、U型コア部材2aの底板部21の高さH2とI型コアの高さH3とは、ともに4mmであり、コア2は上下対称に形成されている。コイル3は、幅(W1―W2)=8mm、奥行きD=20mm、高さH1−H2=3mmの上下方向に狭小な空間に上下対称となるように配置されている。そして、実施例に係るコイル部品1では、コア2に中脚がないため、二つのコア部材(2a、2b)が上下方向で対面する狭小な空間の高さがギャップ長L(H1−H2=3mm)となる。すなわち、実施例に係るコイル部品1では、シート状のコイル3と中脚のないコア2とによって、低背化を達成しながらギャップ長Lが極めて短い磁気ギャップを設けることが可能となっている。また、本実施例のコイル部品1では、中脚がないコア2により、コイル(31、32)の巻き数が少なくてもインダクタンスを柔軟に設定できるようになっている。
【0022】
図4に、本実施例のコイル部品1におけるインダクタンスの設定方法を示した。図4は、コイル部品1を上下方向から見たときの、コイル(31、32)の導体パターンとコア2との位置やサイズの関係を示す図である。図4(A)は、一次コイル31の導体パターンとコア2との位置やサイズの関係を示しており、図4(B)は、二次コイル32の導体パターンとコア2との位置やサイズの関係を示している。
【0023】
図4(A)に、網点のハッチングで示したように、上下方向から見たときに、渦巻き状の一次コイル31の内周側の領域とコア2とが重複する領域23aが、一次コイル31に対する仮想的な中脚の形成領域(以下、仮想的な中脚23aとも言う)となる。また、図4(B)に、網点のハッチングで示したように、上下方向から見たときに、U字状の二次コイル32の内周側の領域とコア2とが重複する領域が、二次コイル32に対する仮想的な中脚23bとなる。なお、実施例に係るコイル部品1では、一次コイル31の仮想的な中脚23aと二次コイル32の仮想的な中脚23bとは、同じ位置に同じ平面形状となるように形成されている。そして、EE型コアやEI型コアなど、中脚を備えたコイル部品では、上下方向から見たときの二つの外脚22の面積の合計D×(W1−W2)よりも、中脚(23a、23b)の面積x×Dを小さくすると、磁芯となる中脚(23a、23b)が磁気飽和し、コイル3に大電流を流すことが難しくなる。しかし、実施例に係るコイル部品1では、仮想的な中脚(23a、23b)にコイル(31、32)を巻回する構造であるため、コイル3に大電流を流しても磁芯が磁気飽和し難い。また、コイル3の巻き数が少なくても、インダクタンスを自由に設定することができる。
【0024】
===磁気特性===
本発明の実施例に係るコイル部品1の磁気特性を評価するために、図3に示したコイル部品1において、仮想的な中脚(23a、23b)の左右幅xが異なる各種コイル部品1をサンプルとして作製した。なお、各サンプルのコア2の各部位は、表1に示したサイズを有している。そして、各サンプルの一次コイル31と二次コイル32のインダクタンスを測定した。
【0025】
表2に各サンプルの磁気特性を示した。
【0026】
【表2】
【0027】
表2において、一次コイル31および二次コイル32における内周側の左右幅xを変えることは、仮想的な中脚(23a、23b)の断面積を変えることであり、表2に示したように、仮想的な中脚(23a、23b)の断面積を変えることで、一次コイル31のインダクタンスLpと二次コイル32のインダクタンスLsとを調整することができる。そして、x=2mm、4mm、または6mmとした場合では、仮想的な中脚(23a、23b)の断面積が、コア2の二つの外脚22の断面積の合計よりも小さくなるものの、磁芯が磁気飽和することなく、一次コイル31および二次コイル32のインダクタンスが調整されていることが確認できた。
【0028】
このように、従来のコイル部品では、インダクタンスを小さくするには、中脚にギャップ長が大きな磁気ギャップを設ける必要があり、低背化が難しかったが、実施例に係るコイル部品1では、シート状のコイルを備えて、低背化が達成され、かつコイル(31、32)の導体パターンによって形成される仮想的な中脚(23a、23b)の面積を変更するだけで、インダクタンスを柔軟に調整することができる。また、基板30の表面に導体パターンが形成されてなるシート状のコイル3を備えた実施例に係るコイル部品1では、巻線を巻回するためのボビンが不要であり、導体パターンを変更するだけで、一次コイル31と二次コイル32の巻き数比やインダクタンスなどの仕様変更などにも容易、かつ安価に対応することができる。
【0029】
==その他の実施例===
実施例に係るコイル部品1では、上下方向から見たときに、コア2とコイル3の内周側の領域との重複領域を仮想的な中脚(23a、23b)の断面として、その仮想的な中脚(23a、23b)の断面積に応じてインダクタンスを調整することができる。したがって、仮想的な中脚(23a、23b)の断面形状は、上記実施例における幅x、奥行きDの矩形状でなくてもよい。
【0030】
図5に、仮想的な中脚23の形状が異なるコイル部品(101,201)を示した。例えば、図5(A)に示したコイル部品101のように、網点のハッチングで示した仮想的な中脚23が、幅x、奥行きD1<Dの矩形状であってもよいし、図5(B)に示したコイル部品201のように、網点のハッチングで示した仮想的な中脚23が、EER型のコアと同様の直径φ≦Dの円形であってもよい。そして、実施例に係るコイル部品では、図5(A)、図5(B)において、網点のハッチングで示した仮想的な中脚23の断面積を、網掛けのハッチングで示した外脚22の断面積よりも小さくしても、磁性体で構成される物理的な中脚がないため、磁芯が磁気飽和することがない。
【0031】
実施例に係るコイル部品1のコア2はUI型であったが、UU型であってもよい。いずれにしても、コイル部品1を前後方向から見たときに、コア2によって矩形の閉磁路が形成されていればよい。
【0032】
実施例に係るコイル部品1は、一次コイル31と二次コイル32とを備えるトランスであったが、基板30の表面に一つのコイルのみが形成されているインダクターなどであってもよい。もちろん、多層配線基板を用いるなどして、複数の二次コイル32を備えたトランスであってもよい。また、実施例に係るコイル部品1は、一つの回路基板に複数の電子部品が実装されてなる電子機器(DC−DCコンバーターなど)に一体的に組み込まれる一つの電子部品であってもよい。例えば、回路基板の一部の領域に導体パターンによるコイルが形成されているとともに、そのコイルの形成領域に二つのコア部材が回路基板を表裏方向から狭持するように取り付けられていてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1,101,201 コイル部品、2 コア、21 コアの底板部、
22 コアの外脚、23,23a,23b 仮想的な中脚、3 コイル、
31 導体パターン(一次コイル)、32 導体パターン(二次コイル)、
100 コイルの巻軸
図1
図2
図3
図4
図5