【課題】コヒーレント性の高いレーザビーム光を出射するレーザ光源を用いて、集光点での電界強度が強度限界に達することなく、干渉性を緩和させたレーザビーム光を出射することのできる光源装置を提供することである。
【解決手段】レーザビーム光を出射するレーザ光源10を有する光源装置100であって、レーザ光源10からのレーザビーム光を所定の拡散角をもった拡散レーザビーム光にする拡散光学系12と、拡散光学系12からの拡散レーザビーム光を光源装置100からの出射レーザビーム光にして出射する出射光学系13と、を有する構成となる。
前記拡散レーザビーム光の前記拡散角は、前記レーザ光源から出射する前記レーザビーム光の拡散角より大きく、かつ、前記拡散光学系からの拡散レーザビーム光の全てが前記出射光学系に入射可能な最大拡散角以下である、請求項1記載の光源装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したようなラインビームホモジェナイザに用いられる光源装置では、レーザ光源から出射されるレーザビーム光のコヒーレント性が高い。このようなコヒーレント性の高いレーザビーム光の高いエネルギーを利用して、アニーリング処理を効果的に行うことができる。
【0006】
一方、このようにコヒーレント性の高いレーザビーム光は集光性が高い。このため、例えば、レーザ光源の後段に配置された光学系、例えば、ビームエクスパンダに含まれるテレスコープの球面凸レンズ等によってレーザビーム光が一点に集光されると、その集光点における電界強度が強度限界に達し(ブレークダウン)、レーザビーム光がそれ以上進まなくなってしまうという現象がおこり得る。
【0007】
また、ホモジェナイズ光学系では、例えば、レーザビーム光がレンズアレイの各レンズによって分散されて、その分散レーザビーム光を重ね合わせることにより、形成されるライン状レーザビーム光のエネルギー分布が均一化される(分散型ホモジェナイザ)。このようなホモジェナイズ光学系にコヒーレント性が極めて高いレーザビーム光が入射すると、干渉縞が発生する可能性があり、形成されるライン状レーザビーム光のエネルギー分布の均一性が、かえって阻害されてしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、コヒーレント性の高いレーザビーム光を出射するレーザ光源を用いて、集光点での電界強度が強度限界に達することなく、干渉性を緩和させたレーザビーム光を出射することのできる光源装置を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、上記光源装置を用いたラインビームホモジェナイザを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る光源装置は、レーザビーム光を出射するレーザ光源を有する光源装置であって、前記レーザ光源からのレーザビーム光を所定の拡散角をもった拡散レーザビーム光にする拡散光学系と、該拡散光学系からの拡散レーザビーム光を当該光源装置からの出射レーザビーム光にして出射する出射光学系と、を有する構成となる。
【0011】
このような構成によれば、レーザ光源からのレーザビーム光は、拡散光学系によって、そのコヒーレント性が緩和されて、所定の拡散角をもった拡散レーザビーム光にされる。そして、前記拡散光学系からのコヒーレント性が緩和された拡散レーザビーム光が出射光学系を経て出射レーザビーム光として出射される。
【0012】
本発明に係る光源装置において、前記拡散レーザビーム光の前記拡散角は、前記レーザ光源から出射する前記レーザビーム光の拡散角より大きく、かつ、前記拡散光学系からの拡散レーザビーム光の全てが前記出射光学系に入射可能な最大拡散角以下とすることができ、更に具体的には、10±5ミリラジアンの範囲内の値にすることができる。
【0013】
本発明に係る光源装置において、前記出射光学系は、前記拡散光学系からの前記拡散レーザビーム光の光径を拡大し、その拡大された光径のレーザビーム光を出射するビーム拡大光学系を含む、構成とすることができる。
【0014】
このような構成によれば、出射光学系おいて、拡散光学系からの拡散レーザビーム光がビーム拡大光学系に入射すると、そのビーム拡大光学系によって、前記拡散レーザビームの光径が拡大され、その拡大された光径のレーザビーム光が前記ビーム拡大光学系から出射される。その出射ビーム光の光径が入射ビーム光(拡散レーザビーム光)の光径から拡大されることにより、結果として、その出射ビーム光の拡散角を入射ビーム光(拡散レーザビーム光)の拡散角から変える(小さくする)ことができる。
【0015】
本発明に係る光源装置において、前記レーザ光源からの前記レーザビーム光のエネルギーの時間的変動を抑えてエネルギーを安定化させる光エネルギー安定化装置を有し、前記光エネルギー安定化装置を経たレーザビーム光が前記拡散光学系に入射する、構成とすることができる。
【0016】
このような構成によれば、レーザ光源からのレーザビーム光のエネルギーが安定化されることで、拡散光学系及び出射光学系を経たレーザビーム光のエネルギーを安定化させることができ、結果的に、この光源装置からの出射レーザビームのエネルギーを安定化させることができる。
【0017】
本発明に係る光源装置において、前記光エネルギー安定化装置は、前記レーザ光源からの前記レーザビーム光を第1ビーム光と第2ビーム光とに分割するビーム分割器と、前記ビーム分割器により得られる前記第1ビーム光を遅延させる遅延光学系と、前記ビーム分割器により得られる前記第2ビーム光のエネルギー値を検出するエネルギー検出器と、前記エネルギー検出器により検出される前記第2ビーム光のエネルギー値に基づいて、前記遅延光学系からの前記第1ビーム光のエネルギーを安定化させる安定化器と、を有し、前記安定化器によってエネルギーが安定化された前記第1ビーム光が前記拡散光学系に入射する、構成とすることができる。
【0018】
このような構成によれば、レーザ光源からのレーザビーム光は、ビーム分割器により第1ビーム光と第2ビーム光とに分割される。前記第1ビーム光が遅延光学系に入射する一方、第2ビーム光のエネルギー値がエネルギー検出器により検出される。そして、遅延光学系を経た前記第1ビーム光のエネルギーが、エネルギー検出器によって検出される前記第2ビーム光のエネルギー値に基づいて、安定化される。そして、そのエネルギーが安定化された前記第1ビーム光が拡散光学系に入射する。
【0019】
前記遅延光学系での光の遅延特性(例えば、遅延時間)は、少なくとも安定化器の時間的な動作特性に基づいて決めることができる。
【0020】
本発明に係る光源装置において、前記安定化器は、減衰率が可変であって、前記遅延光学系からの前記第1ビーム光が通過する可変光減衰光学系と、前記エネルギー検出器にて検出されるエネルギー値が大きいほど、前記可変光減衰光学系での減衰率を大きくする制御器と、構成とすることができる。
【0021】
このような構成によれば、遅延光学系からの第1ビーム光は、エネルギー検出器にて検出される第2ビーム光のエネルギー値が大きいほど、可変光減衰光学系によって大きく減衰させられる。これにより、第2ビーム光とともにレーザ光源からのレーザビーム光を構成する第1ビーム光のエネルギーが安定化される。
【0022】
本発明に係る光源装置は、レーザビーム光を出射するレーザ光源を備えた光源装置であって、前記レーザ光源からのレーザビーム光を第1ビーム光と第2ビーム光とに分割するビーム分割器と、前記ビーム分割器により得られる前記第1ビーム光を遅延させる遅延光学系と、前記ビーム分割器により得られる前記第2ビーム光のエネルギー値を検出するエネルギー検出器と、前記エネルギー検出器により検出される前記第2ビーム光のエネルギー値に基づいて、前記遅延光学系からの前記第1ビーム光のエネルギーを安定化させる安定化器と、を有し、前記安定化器によってエネルギーが安定化された前記第1ビーム光を出射する構成となる。
【0023】
このような構成によれば、レーザ光源からのレーザビーム光は、ビーム分割器により第1ビーム光と第2ビーム光とに分割され、第1ビーム光が遅延光学系に入射し、第2ビーム光のエネルギー値がエネルギー検出器により検出される。そして、遅延光学系を経た前記第1ビーム光については、エネルギー検出器によって検出される前記第2ビーム光のエネルギー値に基づいて、そのエネルギーの時間的変化が抑えられてエネルギーが安定化される。そのエネルギーが安定化された前記第1ビーム光が出射レーザビーム光として出射される。
【0024】
本発明に係る光源装置において、前記安定化器は、減衰率が可変であって、前記遅延光学系からの前記第1ビーム光が通過する可変光減衰光学系と、前記エネルギー検出器にて検出されるエネルギー値が大きいほど、前記可変光減衰光学系での減衰率を大きくする制御器と、を有する構成とすることができる。
【0025】
また、本発明に係るラインビームホモジェナイザは、前述したいずれかの光源装置と、前記光源装置から出射されるレーザビーム光から長軸方向と該長軸方向に直交する短軸方向との双方におけるエネルギー分布が均一化された前記長軸方向に延びるライン状レーザビーム光を生成するホモジェナイズ光学系と、を有する構成となる。
【0026】
このような構成によれば、拡散光学系によってコヒーレント性が緩和された光源装置からのレーザビーム光(出射レーザビーム光)から、長軸方向と短軸方向との双方におけるエネルギー分布がホモジェナイズ光学系により均一化されて、前記長軸方向に延びるライン状レーザビーム光が生成される。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る光源装置によれば、レーザ光源から出射されるレーザビーム光のコヒーレント性が緩和されるので、集光点での電界強度が強度限界に達することなく、干渉性が緩和されたレーザビーム光(出射レーザビーム光)を出射することができるようになる。
【0028】
また、本発明に係るラインビームホモジェナイザによれば、集光点での電界強度が強度限界に達することなく、干渉性が緩和されたレーザビーム光から、長軸方向及び短軸方向の双方におけるエネルギー分布が均一化されたライン状レーザビーム光が形成される。これにより、より安定したライン状レーザビーム光を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0031】
本発明の実施の一形態に係るラインビームホモジェナイザは、
図1に示すように構成される。
図1において、このラインビームホモジェナイザは、レーザ光源としての固体UVパルスレーザ10を備えた光源装置100と、長軸用ホモジェナイザ14と、短軸用ホモジェナイザ15と、短軸縮小投影レンズ系16とを有している。長軸用ホモジェナイザ14は、光源装置100からの出射レーザビーム光LB4の長軸方向におけるエネルギー分布を均一化させる。短軸用ホモジェナイザ15は、長軸用ホモジェナイザ14を経たレーザビーム光LB5の前記長軸方向に直交する短軸方向におけるエネルギー分布を均一化させる。短軸縮小投影レンズ系16は、短軸用ホモジェナイザ15を経たレーザビーム光LB6のスポットサイズを短軸方向に縮小させる。このように、光源装置100からの出射レーザビーム光LB4が、長軸用ホモジェナイザ14及び短軸用ホモジェナイザ15(ホモジェナイズ光学系)と、短軸縮小投影レンズ系16とを経ることにより、長軸方向と短軸方向との双方におけるエネルギー分布が均一化された前記長軸方向に延びるライン状レーザビーム光LB7が生成される。
【0032】
光源装置100は、レーザ光源としての固体UVパルスレーザ10の他、光エネルギー安定化装置11と、拡散光学系12と、ビーム拡大光学系13(ビームエクスパンダ:出射光学系)とを有している。光エネルギー安定化装置11は、固体UVパルスレーザ10(レーザ光源)からパルス状に出射されるUV帯域(紫外線帯域)の周波数を有するレーザビーム光LB1のエネルギーの時間的変動を抑えて、エネルギーが安定化されたレーザビーム光LB2を出射する。拡散光学系12は、光エネルギー安定化装置11を経たレーザビーム光LB2を拡散させて所定の拡散角をもった拡散レーザビームLB3にする。ビーム拡大光学系13(出射光学系)は、拡散光学系11から入射される拡散レーザビーム光LB3の光径より拡大された光径のレーザビーム光を、光源装置100の出射レーザビーム光LB4として、長軸用ホモジェナイザ14(ホモジェナイズ光学系)に入射させる。
【0033】
光源装置100の各部の具体的な構成について説明する。
【0034】
固体UVパルスレーザ10からのレーザビーム光LB1のエネルギーを安定化させる光エネルギー安定化装置11の具体的な構成については後述する。まず、拡散光学系11は、
図2に示すように、拡散板121によって構成される。拡散板121は、例えば、エポキシ樹脂等の樹脂で形成された透明基板の表面に微細な凹凸パターン(ホログラフィックパターン)が形成された構造となっている。ビーム光径Φ1で入射する光エネルギー安定化装置11からのレーザビーム光LB2が、拡散板121によって拡散され、ビーム拡大光学系13の入射面S1に、ビーム光径Φ2(≧Φ1)の拡散レーザビーム光LB3となって入射する。
【0035】
前記拡散レーザビーム光LB3の拡散角は、光エネルギー安定化装置11から出射されるレーザビーム光LB2の拡散角より大きく、即ち、固体UVパルスレーザ10からのレーザビーム光LB1の拡散角(例えば、0.26度(4.5ミリラジアン))より大きく、かつ、拡散板121からの拡散レーザビーム光LB3の全てがビーム拡大光学系13の入射面S1に入射可能な最大拡散角以下となる。具体的には、前記拡散角は、レーザビーム光のエネルギー集中性を大きく損なうことなく、干渉性を抑える観点から、10±5ミリラジアンの範囲内の値にすることが好ましい。例えば、拡散角θ=0.5度(約9ミリラジアン)の場合、拡散板121にビーム光径Φ1=6ミリメートルで入射するレーザビーム光LB2は、拡散板121から45センチメートル(L=45cm)離れたビーム拡大光学系13の入射面S1にビーム光径Φ2≒10ミリメートルの拡散レーザビーム光LB3になって入射する。
【0036】
次に、ビーム拡大光学系13(ビームエクスパンダ:出射光学系)は、
図3に示すように、それぞれが平行となって、光軸方向に直列に配置される2つの凸レンズ、第1凸レンズ131と第2凸レンズ132とからなるテレスコープによって構成される。前述した拡散板121からの拡散レーザビーム光LB3が、第1凸レンズ131(ビーム拡大光学系13の入射面S1)に入射して集光点P(焦点)に集光される。そして、この集光点Pから発散するレーザビーム光が、第2凸レンズ132に入射して、その第2凸レンズ132からレーザビームLB4(出射レーザビーム光)になって出射される。
【0037】
前述したテレスコープを構成する第1凸レンズ131及び第2凸レンズ132の光学的特性(焦点距離等)に基づいた拡大機能よって、入射する拡散レーザビーム光LB3の入射面S1での光径が拡大され、その拡大された光径のレーザビーム光がビーム拡大光学系13から、当該光源装置100からの出射レーザビーム光LB4として出射される。このように出射ビーム光(レーザビーム光LB4)の光径が入射ビーム光(拡散レーザビーム光LB3)の光径から拡大されることにより、結果として、出射ビーム光(レーザビーム光LB4)の拡散角を入射ビーム光(拡散レーザビーム光LB3)の拡散角から変える(小さくする)ことができる。例えば、ビーム拡大光学系13(テレスコープ)による倍率と拡散角との関係は、
図4に示すようになっている。即ち、倍率がn倍になれば、拡散角はn分の1になる。従って、ビーム拡大光学系13(テレスコープ)を構成する第1凸レンズ131及び第2凸レンズ132の光学的特性を選択することにより、出射レーザビーム光LB4の拡散角を、拡散板121(拡散光学系12)によって調整された拡散レーザビーム光LB3の拡散角から更に調整することができる。
【0038】
固体UVパルスレーザ10からのレーザビーム光LB1のエネルギーを安定化させて、レーザビーム光LB2として前述した拡散光学系12に入射させる光エネルギー安定化装置11は、
図5に示すように構成される。
【0039】
図5において、光エネルギー安定化装置11は、固体UVパルスレーザ10からのパルス状のレーザビーム光LB1を第1ビーム光L1と第2ビーム光L2とに分割するビームスプリッタ111(ビーム分割器)を有するとともに、遅延光学系112、可変光減衰光学系113、エネルギー検出器114、比較回路115、及びAOE駆動回路116を有している。遅延光学系112は、ビームスプリッタ111からの第1ビーム光L1を所定時間だけ遅延させる。エネルギー検出器114は、ビームスプリッタ111からの第2ビーム光L2のエネルギー値を高速(例えば、応答速度:1ナノ秒)に検出し、そのエネルギー値に対応した検出電圧値を出力する。
【0040】
遅延光学系112を経た第1ビーム光L1が入射する可変光減衰光学系113は、
図6に示すように構成される。
【0041】
図6において、可変光減衰光学系113は、第1高速光スイッチ素子1131(AOE1)、第2高速光スイッチ素子1132(AOE2)及び第3高速光スイッチ素子1133(AOE3)を有している。各高速光スイッチ素子1131、1132、1133は、例えば、音響光学素子(AOE)で構成され、Lレベルの駆動信号(音響信号)が印加されたときにオフ状態となって、入射するビーム光をそのまま0次回折ビーム光として出射する一方、Hレベルの駆動信号が印加されたときにオン状態となって、入射ビーム光の、例えば、15%をそのまま0次回折ビーム光として出射しつつ、入射ビーム光の、例えば、85%を1次回折ビーム光として出射する。
【0042】
第1高速光スイッチ素子1131(AOE1)の後方にプリズム1134aが配置されるとともに、このプリズム1134aを挟むように2つのプリズム1134b、1134cが配置されている。プリズム1134aは、第1高速光スイッチ素子1131(AOE1)からの1次回折ビーム光をプリズム1134bに導く一方、第1高速光スイッチ素子1131(AOE1)からの0次回折ビーム光をプリズム1134cに導く。プリズム1134bは、プリズム1134aから導かれたビーム光を、更に、第2高速光スイッチ素子1132(AOE2)に導く。また、プリズム1134cは、プリズム1134aから導かれたビーム光を、更に、第3高速光スイッチ素子1133(AOE3)に導く。
【0043】
第2高速光スイッチ素子1132(AOE2)の後方にプリズム1135aが配置されるとともに、このプリズム1135aを挟むように2つのプリズム1135b、1135cが配置されている。プリズム1135aは、第2高速光スイッチ素子1132(AOE2)からの1次回折ビーム光をプリズム1135bに導く一方、第2高速光スイッチ素子1132素子(AOE2)からの0次回折ビーム光をプリズム1135cに導く。また、第3高速光スイッチ素子1133(AOE3)の後方にプリズム1136aが配置されるとともに、このプリズム1136aを挟むように2つのプリズム1136b、1136cが配置されている。プリズム1136aは、第3高速光スイッチ素子1133(AOE3)からの1次回折ビーム光をプリズム1136bに導く一方、第3光高速スイッチ素子1133(AOE3)からの0次回折ビーム光をプリズム1136cに導く。
【0044】
可変光減衰光学系113は、更に、第1プリズムアッテネータ1137a、第2プリズムアッテネータ1137b、第3プリズムアッテネータ1137c、及び第4プリズムアッテネータ1137dを有している。第1プリズムアッテネータ1137aは透過率T1を、第2プリズムアッテネータ1137bは透過率T2(>T1)を、第3プリズムアッテネータ1137cは透過率T3(>T2)を、第4プリズムアッテネータ1137dは透過率T4(>T3)を、それぞれ有している。即ち、最も小さい透過率T1の第1プリズムアッテネータ1137aの減衰率が最も大きく、順次、透過率T2の第2プリズムアッテネータ1137bの減衰率、透過率T3の第3プリズムアッテネータ1137bの減衰率が小さくなり、最も大きい透過率T4の第4プリズムアッテネータ1137dの減衰率が最も小さい。
【0045】
プリズム1135aによってプリズム1135bに導かれた第2高速光スイッチ素子1132(AOE2)からの1次回折ビーム光は、プリズム1135bによって第1プリズムアッテネータ1137aに導かれる。第1プリズムアッテネータ1137aを通して減衰されたビーム光(エネルギーE01)は、混合器1138に入射する。また、プリズム1135aによってプリズム1135cに導かれた第2高速光スイッチ素子1132(AOE2)からの0次回折ビーム光は、プリズム1135cによって第2プリズムアッテネータ1137bに導かれる。第2プリズムアッテネータ1137bを通して減衰されたビーム光(エネルギーE02)は、混合器1138に入射する。
【0046】
また、プリズム1136aによってプリズム1136bに導かれた第3高速光スイッチ素子1133(AOE3)からの1次回折ビーム光は、プリズム1136bによって第3プリズムアッテネータ1137aに導かれる。第3プリズムアッテネータ1137cを通して減衰されたビーム光(エネルギーE03)は、混合器1138に入射する。また、プリズム1136aによってプリズム1136cに導かれた第3高速光スイッチ素子1133(AOE3)からの0次回折ビーム光は、プリズム1136cによって第4プリズムアッテネータ1137dに導かれる。第4プリズムアッテネータ1137aを通して減衰されたビーム光(エネルギーE04)は、混合器1138に入射する。そして、混合器1138は、入射する1または複数のビーム光を混合して、入射するビーム光のエネルギー値の総和のエネルギー値Eoを有するレーザビーム光を、この光エネルギー安定化装置11の出射レーザビーム光LB2として出射する。
【0047】
上述したような構成の可変光減衰光学系113では、3つの高速光スイッチ素子1131、1132、1133それぞれをオン状態及びオフ状態のいずれかに切り換え制御することにより、入射する第1ビーム光L1に対する実質的な減衰率(透過率)を変えることができる。そして、可変光減衰光学系113は、その減衰率に応じたエネルギー値の出射ビームLB2を出射することができる。
【0048】
図5に戻って、遅延光学系112は、第1ビーム光L1を、可変光減衰光学系113の動作特性、例えば、各高速光スイッチ素子1131、1132、1133(AOE)の動作特性(応答時間)に応じた時間だけ遅延させる。例えば、
図7に示すように、可変光減衰光学系113における各高速光スイッチ1131、1132、1133(AOE)の応答時間(toからt1までの時間)が、例えば、100ナノ秒である場合、第1光ビームL1のパルスを遅延させる時間(遅延時間)は、前記応答時間より大きい時間(toからt2までの時間)、例えば、160ナノ秒程度に設定される。これにより、実際にエネルギー検出された第1ビーム光L1のパルスそのものが、そのエネルギー値に基づいて駆動される各高速光スイッチ1131、1132、1133(AOE)を通過することができる。そして、遅延光学系112は、前記遅延時間に応じた長さの光路を含む。例えば、50メートルの光路によって167ナノ秒の遅延時間を得ることができる。
【0049】
また、
図5に戻って、比較回路115、AOE駆動回路116、及び前述した可変光減衰光学系113は、エネルギー検出器114により検出される第2ビーム光L2のエネルギー値に基づいて、遅延光学系112からの第1ビーム光L1のエネルギーを安定化させる安定化器を構成する。そして、この安定化器において、比較回路115及びAOE駆動回路116は、制御器であって、エネルギー検出器114にて検出される第2ビーム光L2のエネルギー値が大きいほど、可変光減衰光学系113での実質的な減衰率を大きくするように制御する。
【0050】
比較回路115は、3つの比較器(フラッシュコンパレータ)115a、115b、115cを有する。比較器115a、115b、115cは、エネルギー検出器114からの第2ビーム光L2のエネルギー値に対応した検出電圧値がそれぞれ対応する基準電圧値Ref1、Ref2、Ref3(Ref1>Ref2>Ref3)より大きいか否かを表す比較判定信号を出力する。3つの比較器115a、115b、115c(比較回路115)からの3つの比較判定信号により、エネルギー検出器114からの検出電圧値Vに対応した第2ビーム光L2のエネルギー値Ei(V)が、4つの段階、Ei(V)>E(Ref1)、E(Ref1)≧Ei(V)>E(Ref2)、E(Ref2)≧Ei(V)>E(Ref3)、Ei(V)≦E(Ref3)のいずれかであることを表すことができる。
【0051】
AOE駆動回路116は、比較回路115からの3つの比較判定信号によって表される前記第2ビーム光L2の4つの段階のエネルギー値に応じた状態(HレベルまたはLレベル)の3つの駆動信号1、2、3を出力する。具体的には、3つの比較判定信号が、第2ビーム光L2のエネルギー値E(V)が最も高い段階(Ei(V)>E(Ref1))を表す場合、2つの駆動信号1、2をHレベルにし、残りの1つの駆動信号3をLレベルにする。3つの比較判定信号が、第2ビーム光L2のエネルギー値E(V)が2番目に高い段階(E(Ref1)≧Ei(V)>E(Ref2))を表す場合、駆動信号1をHレベルにし、残りの2つの駆動信号2、3をLレベルにする。3つの比較判定信号が、第2ビーム光L2のエネルギー値E(V)が3番目に高い段階(E(Ref2)≧Ei(V)>E(Ref3))を表す場合、駆動信号3をHレベルにし、残りの2つの駆動信号1、2をLレベルにする。また、3つの比較判定信号が、第2ビーム光L2のエネルギー値E(V)が最も低い段階(Ei(V)≦E(Ref1))を表す場合、全ての駆動信号1、2、3をLレベルにする。
【0052】
AOE駆動回路116から出力される3つの駆動信号1、2、3は、可変光減衰光学系113における第1高速光スイッチ1131(AOE1)、第2高速光スイッチ1132(AOE2)、及び第3高速光スイッチ1133(AOE3)を切換駆動させるための信号として可変光減衰光学系113に供給される(
図6参照)。具体的には、駆動信号1が第1高速光スイッチ素子1131(AOE1)に、駆動信号2が第2高速光スイッチ素子1132(AOE2)に、駆動信号3が第3高速光スイッチ素子1133(AOE3)に、それぞれ供給される。
【0053】
上述した光エネルギー安定化装置11では、エネルギー検出器114による第2ビーム光L1(入射光)の検出エネルギー値Ei1、Ei2、Ei3、Ei4(Ei1>Ei2>Ei3>Ei4)に対する高速光スイッチ素子1131(AOE1)、1132(AOE2)、1133(AOE3)の駆動状態(オン状態、オフ状態)と、出射レーザビーム光LB2(出射光)のエネルギーとの関係は、
図8に示すようになる。
図8において、エネルギー値Ei1は、最も大きいエネルギー値であって、Ei1>E(Ref1)であり、エネルギー値Ei2は、2番目に大きいエネルギー値であって、E(Ref1)≧Ei2>E(Ref2)である。また、エネルギー値Ei3は、3番目に大きいエネルギー値であって、E(Ref2)≧Ei3>E(Ref3)であり、エネルギー値Ei4は、最も小さいエネルギー値であって、Ei4≦E(Ref3)である。
【0054】
検出エネルギー値Ei1の場合、AOE駆動回路116からの駆動信号1、2がHレベルとなって、残りの駆動信号3がLレベルとなる。これにより、第1高速光スイッチ素子1131(AOE1)及び第2高速光スイッチ素子1132(AOE2)がオン状態(ON)となって、第3高速光スイッチ素子1133(AOE3)がオフ状(OFF)態になる。この場合、第1高速光スイッチ素子1131(AOE1)及び第2高速光スイッチ素子1132(AOE2)のそれぞれからは、85%の1次回折ビーム光と15%の0次回折ビーム光とが出射され、第3高速光スイッチ素子1133(AOE3)からは、100%の0次回折ビーム光が出射される。その結果、エネルギー値Ei1の入射ビーム光(第1ビーム光L1)は、第1プリズムアッテネータ1137a(透過率T1)を通るビーム光(Eo1)と、第2プリズムアッテネータ1137b(透過率T2)を通るビーム光(Eo2)と、第4プリズムアッテネータ1137d(透過率T4)を通るビーム光(Eo4)とに分かれて、混合器1138に入射する。それら3つのビーム光が混合器1138によって混合され、混合器1138からエネルギー値Eoの出射レーザビーム光LB2が出射される。この出射レーザビーム光LB2のエネルギー値Eoは、前記3つのビーム光のエネルギーEo1、Eo2、Eo4の総和であって、
Eo=Ei1×(0.85
2×T1+0.85×0.15×T2+0.15×T3)・・・(1)
となる。
【0055】
検出エネルギー値Ei2の場合、AOE駆動回路116からの駆動信号1がHレベルとなって、残りの2つの駆動信号2、3がLレベルとなる。これにより、第1高速光スイッチ素子1131(AOE1)がオン状態(ON)となって、2つの第2高速光スイッチ素子1132(AOE2)及び第3高速光スイッチ素子1133(AOE3)がオフ状態(OFF)になる。この場合、第1高速光スイッチ素子1131(AOE1)からは、85%の1次回折ビーム光と15%の0次回折ビーム光が出射され、第2高速光スイッチ素子1132(AOE2)及び第3高速光スイッチ素子1133(AOE3)のそれぞれからは、100%の0次回折ビーム光が出射される。その結果、エネルギー値Ei2の入射ビーム光(第1ビーム光L1)は、第2プリズムアッテネータ1137b(透過率T2)を通るビーム光(Eo2)と、第4プリズムアッテネータ1137d(透過率T4)を通るビーム光(Eo4)とに分かれて、混合器1138に入射する。それら2つのビーム光が混合器1138によって混合され、混合器1138からエネルギー値Eoの出射レーザビーム光LB2が出射される。この出射レーザビーム光LB2のエネルギー値Eoは、前記2つのビーム光のエネルギー値Eo2、Eo4の総和であって、
Eo=Ei2×(0.85×T2+0.15×T4) ・・・(2)
となる。
【0056】
検出エネルギー値Ei3の場合、AOE駆動回路116からの駆動信号1、2がLレベルとなって、残りの駆動信号3がHレベルとなる。これにより、第1高速光スイッチ素子1131(AOE1)及び第2高速光スイッチ素子(AOE2)がオフ状態(OFF)となって、第3高速光スイッチ素子1133(AOE3)がオン状態(ON)になる。この場合、第1高速光スイッチ素子1131(AOE1)からは、100%の0次回折ビーム光が出射され、入射光の無い第2高速光スイッチ素子1132(AOE2)からはビーム光が出射されることはなく、また、第3高速光スイッチ素子1133(AOE3)からは、85%の1次回折ビーム光と15%の0次回折光ビーム光とが出射される。その結果、エネルギー値Ei3の入射ビーム光(第1ビーム光L1)は、第3プリズムアッテネータ1137c(透過率T3)を通るビーム光と、第4プリズムアッテネータ1137d(透過率T4)を通るビーム光とに分かれて、混合器1138に入射する。それら2つのビーム光が混合器1138によって混合され、混合器1138からエネルギー値Eoの出射レーザビーム光LB2が出射される。この出射レーザビーム光LB2のエネルギー値Eoは、前記2つのビーム光のエネルギー値Eo3、Eo4の総和であって、
Eo=Ei3×(0.85×T3+0.15×T4) ・・・(3)
となる。
【0057】
検出エネルギー値Ei4の場合、AOE駆動回路116からの3つの駆動信号1、2、3の全てがLレベルとなる。これにより、第1高速光スイッチ素子1131(AOE1)、第2高速光スイッチ1132(AOE2)及び第3高速光スイッチ1133(AOE3)のそれぞれがオフ状態(OFF)になる。この場合、第1高速光スイッチ1131(AOE1)からは、100%の0次回折ビーム光が出射され、入射光の無い第2高速光スイッチ素子1132(AOE2)からはビーム光が出射されることはなく、また、第3高速光スイッチ素子1133(AOE3)からも、100%の0次回折光ビーム光が出射される。その結果、エネルギー値Ei4の入射ビーム光(第1ビーム光L1)は、第4プリズムアッテネータ1137d(透過率T4)を通って混合器1138に入射する。混合器1138からは、第4プリズムアッテネータ1137dを通ってビーム光がそのままエネルギー値Eoの出射レーザビームLB2として出射される。この出射レーザビーム光LB2のエネルギー値Eoは、第4プリズムアッテネータ1137dを通ったビーム光のエネルギー値Eo4であって、
Eo=Ei4×T4 ・・・(4)
となる。
【0058】
上述したような光エネルギー安定化装置11では、入射するビーム光(第2ビーム光L2)の検出エネルギー値が大きいほど、より多くの量のビーム光(第1ビーム光L1)がより低い透過率(より高い減衰率)のプリズムアッテネータを通って出射されるようになる。このため、エネルギー値の変動が抑制されて、そのエネルギー値が安定化されたレーザビーム光LB2を出射することができる。
【0059】
例えば、上述した例(
図8参照)において、入射レーザビーム(第1ビーム光L1)の変動するエネルギー値が
Ei1=104
Ei2=102
Ei3=100
Ei4=98
であって(E(Ref1)=103、E(Ref2)=101、E(Ref3)=99)、
各プリズムアッテネータ1137a、1137b、1137c、1137dの減衰率が
T1=92%
T2=94%
T3=96%
T4=98%
である場合の出射レーザビーム光のエネルギー値Eoについて考察する。
【0060】
(1)Ei1=104(Ei1>E(Ref1))の場合
式(1)に従って演算される出射レーザビーム光LB2のエネルギー値Eoは、
Eo=104×(0.85
2×0.92+0.85×0.15×0.94+0.15×0.98)=99.63
となる。
(2)Ei2=102(E(Ref1)>Ei2≧E(Ref2))の場合
式(2)に従って演算される出射レーザビーム光LB2のエネルギー値Eoは、
Eo=102×(0.85×0.94+0.15×0.98)=96.49
となる。
(3)Ei3=100(E(Ref2>Ei3≧E(Ref3))の場合
式(3)に従って演算される出射レーザビームLB2のエネルギー値Eoは、
Eo=100×(0.85×0.96+0.15×0.98)=96.3
となる。
(4)Ei4=98(Ei4≦E(Ref3))の場合
式(4)に従って演算される出射レーザビーム光LB2のエネルギー値Eoは、
Eo=98×0.98=96.04
となる。
【0061】
上記考察によれば、入射レーザビーム光(第1ビーム光L1)のエネルギー値Eiが101±3(104〜98)であって、その変動率が約3%であるのに対し、出射レーザビーム光L2のエネルギー値Eoは、97.8±1.8(99.6〜96.0)であって、その変動率が約1.8%である。このように、エネルギー値の変動が抑制されて、そのエネルギー値が安定化されたレーザビーム光LB2が出射される。
【0062】
上述したようにエネルギーが安定化されて光エネルギー安定化装置11から出射されるレーザビーム光LB2は、前述したように、拡散光学系12(拡散板121)を経て拡散レーザビーム光LB3になり、更に、その拡散レーザビーム光LB3がビーム拡大光学系13を経ることにより出射レーザビーム光LB4となって光源装置100から出される(
図1〜
図3参照)。
【0063】
このような光源装置100によれば、レーザ光源としての固体UVパルスレーザ10からのレーザビーム光LB1に対して、光エネルギー安定化装置11がエネルギーの時間的変動を抑制してエネルギーの安定化を図り、かつ、拡散光学系12(拡散板121)がそのコヒーレント性を緩和させるようにしているので、エネルギー安定性に優れ、集光点で電界強度が強度限界に達することなく、干渉性が緩和されたレーザビーム光(出射レーザビーム光)を出射することができるようになる。
【0064】
前述したようにレーザビーム光LB4を出射する光源装置100とともに、ラインビームホモジェナイザ(
図1参照)を構成する長軸用ホモジェナイザ14、短軸用ホモジェナイザ15及び短軸縮小投影レンズ系16は、次のように構成される。
【0065】
まず、長軸用ホモジェナイザ14は、
図9に示すように構成される。
【0066】
図9において、長軸用ホモジェナイザ14は、それぞれが長軸方向DL(紙面に平行な方向)に配列された複数のシリンドリカルレンズ(各シリンドリカルレンズは長軸方向DLに直交する短軸方向DMに延びる)で構成される第1長軸レンズアレイ141a及び第2長軸レンズアレイ141bと、第2長軸レンズアレイ141bに隣接して配置される長軸コンデンサレンズ142とを備えている。第1長軸レンズアレイ141aに入射する光源装置100からのレーザビーム光LB4は、第1長軸レンズアレイ141a及び第2長軸レンズアレイ141bの各対応するシリンドリカルレンズ対によって分割及び拡散されて、その分割拡散レーザビーム光が長軸コンデンサレンズ142を通して長軸方向DLに拡大されるように長軸投影面S2に拡大投影される。そして、長軸投影面S2において、各シリンドリカルレンズ対からの複数の分割拡散レーザビーム光が多重化されて、長軸方向DLに延びる所定長(例えば、50ミリメートル程度)のビームスポットが形成される。このように、複数の分割拡散レーザビーム光が長軸投影面S2において多重化されることにより、その長軸投影面S2上に形成されるビームスポットの長軸方向DLにおけるエネルギー分布(強度分布)が、例えば、
図10に示すように、均一化される。
【0067】
次に、短軸用ホモジェナイザ15は、
図11に示すように構成される。
【0068】
図11において、短軸用ホモジェナイザ15は、それぞれが前記長軸方向DLと直交する短軸方向DM(紙面に平行な方向)に配列された複数のシリンドリカルレンズ(各シリンドリカルレンズは短軸方向DMに直交する長軸方向DLに延びる)で構成される第1短軸レンズアレイ151a及び第2短軸レンズアレイ152bと、第2短軸レンズアレイ151bに隣接して配置される短軸コンデンサレンズ152とを備えている。この短軸用ホモジェナイザ15は、第1短軸レンズアレイ151aのレーザビーム光の入射面が前述した長軸投影面S2(
図5参照)に合致するように、長軸用ホモジェナイザ14に対して配置されている。これにより、長軸用ホモジェナイザ14からのレーザビーム光LB5は、前述した長軸方向DLに延びるビームスポットが長軸投影面S2としての第1短軸レンズアレイ151aの表面に投影されるように、当該第1短軸レンズアレイ151aに入射する。このように第1短軸レンズアレイ151aに入射するレーザビーム光LB5は、第1短軸レンズアレイ151a及び第2短軸レンズアレイ151bの各対応するシリンドリカルレンズ対によって分割されて(わずかに拡散されてもよい)、その分割レーザビーム光LB6が短軸コンデンサレンズ152によって短軸投影面S3に投影される。そして、短軸投影面S3上において各シリンドリカルレンズ対からの複数の分割レーザビーム光が多重化されて、ビームスポットが形成される。このように、複数の分割レーザビーム光LB6が短軸投影面S3に多重化されることにより、その短軸投影面S3上に形成されるビームスポットの短軸方向DMにおけるエネルギー分布(強度分布)が均一化される。
【0069】
また、短軸用ホモジェナイザ15の後段に配置される短軸縮小投影レンズ系16は、
図12に示すように構成される。
【0070】
図12において、短軸縮小投影レンズ系15は、2つのシリンドリカル平凸レンズ161、162を含む。前述したように短軸ホモジェナイザ15からの複数の分割レーザビーム光が短軸投影面S3で多重化され、更に、短軸投影面S3から発散するレーザビーム光LB6は、2つのシリンドリカル平凸レンズ161、162によって、焦点投影面S4において集光されて短軸方向DMに縮小される(例えば、幅0.5ミリメートル)。焦点投影面S4において短軸方向DMに縮小されて形成されるビームスポットでは、短軸ホモジェナイザ15からの複数の分割レーザビーム光の短軸投影面S3での多重化により形成されるレーザビーム光LB6の短軸方向DMにおけるエネルギーの均一性が維持される。
【0071】
上述したように長軸ホモジェナイザ14、短軸ホモジェナイザ15及び短軸縮小投影レンズ系16によって、前記焦点投影面S4において長軸方向DM方向に延びるライン状スポット(例えば、50ミリメートル×0.5ミリメートル)として形成されるライン状レーザビーム光LB7がラインビームホモジェナイザからの出射レーザビーム光として得られる。
【0072】
上述したようなラインビームホモジェナイザは、例えば、半導体基板のアニーリング処理において使用することができる。その場合、前記焦点投影面S4(
図12参照)に処理面が合致するように半導体基板を配置させ、ラインビームホモジェナイザから出射されるライン状レーザビーム光LB7を前記処理面に照射する。この状態で、半導体基板とラインビームホモジェナイザとを短軸方向DMに相対的に移動させることにより、半導体基板の処理面がライン状レーザビーム光によって走査される。このように半導体基板の処理面を短軸方向DMに走査するライン状レーザビーム光LB7の熱エネルギーにより、前記処理面がアニール処理される。
【0073】
上述したようなラインビームホモジェナイザによれば、エネルギー安定性に優れ、集光点での電界強度が強度限界に達することなく、干渉性が緩和されたレーザビーム光から、長軸方向及び短軸方向の双方におけるエネルギー分布が均一化されたライン状レーザビーム光が形成される。これにより、より安定したライン状レーザビーム光を得ることができる。そのため、このようなラインビームホモジェナイザを半導体基板の表面のアニール処理に適用すれば、その半導体基板の表面をより精度よく均一的にアニール処理することができる。
【0074】
なお、前述した光源装置100は、ラインビームホモジェナイザ以外の光学装置に適用することができる。この場合、当該他の光学装置においても、エネルギー安定性に優れ、集光点での電界強度が強度限界に達することなく、干渉性が緩和されたレーザビーム光を利用することができる。
【0075】
また、前述した光源装置100では、利用する光学装置におけるエネルギーの安定性の要求性能により、光エネルギー安定化装置11を省くことができる。また、エネルギーの安定性が重要な要求性能となる光学装置において利用する場合、拡散光学系12及びビーム拡大光学系13(出射光学系)のうち少なくとも拡散光学系12を省くこともできる。
【0076】
更に、前述した光源装置100では、その光源装置100が適用される光学装置に応じて、レーザ光源は、固体UVパルスレーザ10に限られることなく、例えば、気体レーザ、半導体レーザ等の他の種のレーザ光源を用いることもできる。
【0077】
出射光学系としてのビーム拡大光学系13に代えて他の種の出射光学系、例えば、コリメータや他のビーム整形に係る光学系を用いることもできる。
【0078】
なお、本発明は、前述した実施の形態及びその変形例に限定されるものではない。本発明の趣旨に基づいて種々変形することが可能であり、これらを本発明の範囲から除外するものではない。