(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-47890(P2020-47890A)
(43)【公開日】2020年3月26日
(54)【発明の名称】コイル部品および回路部品
(51)【国際特許分類】
H01F 27/29 20060101AFI20200303BHJP
H01F 27/30 20060101ALI20200303BHJP
【FI】
H01F27/29 N
H01F27/30 101B
H01F27/29 T
H01F27/29 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2018-177402(P2018-177402)
(22)【出願日】2018年9月21日
(71)【出願人】
【識別番号】519315280
【氏名又は名称】NJコンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】増田 俊行
(72)【発明者】
【氏名】木村 浩之
【テーマコード(参考)】
5E043
5E070
【Fターム(参考)】
5E043EB02
5E070AA01
5E070AB01
5E070BA08
5E070CA12
5E070DB02
5E070EB02
(57)【要約】
【課題】低背のコイル部品等を提供する。
【解決手段】線材が巻回される巻胴部、及び、端子部材が設けられた端子台を有するボビンと、前記巻胴部に線材が巻回されてなるコイルとを有し、前記端子部材は、前記端子台から突出し回路基板の実装面に重ねられて接続される実装端子部と、前記実装端子部よりも前記回路基板側に設けられ前記線材の末端部が接続される絡げ端子部とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
線材が巻回される巻胴部、及び、端子部材が設けられた端子台を有するボビンと、
前記巻胴部に線材が巻回されてなるコイルとを有し、
前記端子部材は、
前記端子台から突出し回路基板の実装面に重ねられて接続される実装端子部と、
前記実装端子部よりも前記回路基板側に設けられ前記線材の末端部が接続される絡げ端子部と、
を有することを特徴とするコイル部品。
【請求項2】
請求項1に記載のコイル部品において、
前記絡げ端子部は、
前記回路基板に設けられ、前記実装端子部より前記回路基板側に配置される部位が収容可能な収容部に配置されることを特徴とするコイル部品。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のコイル部品が、前記回路基板に実装されていることを特徴とする回路部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気回路等に使用するトランスなどに用いるコイル部品および回路部品に関する。
【背景技術】
【0002】
電気回路等に使用するトランスなどに用いるコイル部品としては、例えば、中空部でなる巻芯部を有するボビンと、巻芯部に線材が巻き回されたコイルと、ボビンの中空部に挿入される中脚部を有しコイルを囲むコアとを有する表面実装用トランスが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この表面実装用トランスのボビンは、巻芯部において実装面側に配置される部位が柱脚部の中空部への挿入方向に延長されて取付ベースが設けられている。取付ベースには、実装端子や絡げ端子をなす端子用導体が埋め込まれており、実装端子及び絡げ端子をなす部位が取り付けベースの側面から露出している。実装端子をなす部位は、取付ベースの底面に向けて折り返されており、絡げ端子をなす部位は、実装端子をなす部位が露出している位置に対して実装面と反対側にて当該実装面と略平行をなすように延出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−207811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のコイル部品としてのトランスは、実装端子が取付ベースの底面にて折り返されているため、回路基板に実装された際には、トランス全体が実装面から突出する。このため、トランスの実装面からの突出量が大きく低背化を図ることができないという課題がある。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、低背のコイル部品及びこのコイル部品が実装された回路部品を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために本発明の一つは、
線材が巻回される巻胴部、及び、端子部材が設けられた端子台を有するボビンと、
前記巻胴部に線材が巻回されてなるコイルとを有し、
前記端子部材は、
前記端子台から突出し回路基板の実装面に重ねられて接続される実装端子部と、
前記実装端子部よりも前記回路基板側に設けられ前記線材の末端部が接続される絡げ端子部と、
を有することを特徴とするコイル部品である。
【0008】
かかるコイル部品において、
前記絡げ端子部は、
前記回路基板に設けられ、前記実装端子部より前記回路基板側に配置される部位が収容可能な収容部に配置されることを特徴とする。
【0009】
本発明の他の一つは、上記コイル部品が、前記回路基板に実装されていることを特徴とする回路部品である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、低背のコイル部品及びこのコイル部品が実装された回路部品を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態にかかるコイル部品が実装されている状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態について、以下に添付図面を参照しつつ説明する。
本発明の一実施形態に係るコイル部品は、例えば、回路基板に実装されるインダクターに用いられる。
【0013】
以下の説明においては、コイル部品1が
図1に示すように、水平面をなすように配置された回路基板2に実装されている状態において、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向、奥行き方向を前後方向として示す。コイル部品1が実装されている回路基板2の各部位であっても、また、コイル部品1が実装されている回路基板2を構成する各部材については単体の状態であっても、コイル部品1が回路基板2に実装されている状態にて上下方向、左右方向、前後方向にて方向を特定して説明する。
【0014】
図2、3に示すように、コイル部品1は、前後方向に巻軸100を有するコイル3と、合成樹脂製の端子台5に端子部材4が一体形成されたボビン6と、コイル3を囲繞して閉磁路を形成するコア7とを基本的な構成としている。
【0015】
また、
図2に示したコイル部品1では、コア7は、互いに前後方向に対面する2つのコア部材70によって構成されている。2つのコア部材70は同一形状をなし、左右方向に互いに間隔を隔てた一対の側脚部70aと、一対の側脚部70aの間に配置された中脚部70bとが一端側にて連結され、平面視E字状をなしている。
【0016】
2つのコア部材70は、連結されていない側が互いに突き合わされ、分離しないようにコア7の周囲にテープ(不図示)が巻回されている。2つのコア部材70が突き合わされたコア7は、上端側が台形状に切り欠かれており、切り欠かれた部位に、ボビン6の上端に設けられ、コア7の上方への移動を規制する突起6aが配置されて、コイル部品1の低背化が図られている。
【0017】
端子台5は、
図3に示すように、コイル3の巻線が巻回され、前後方向(巻軸方向)に貫通する中空部51aを形成する巻胴部51の下部から前後方向に各々延出された端子台延出部52a、52bが一体に形成されている。
【0018】
端子台延出部52a、52bには、L字状に屈曲された複数の端子部材4が設けられている。複数の端子部材4は、巻胴部51よりも前側に延出されている前側の端子台延出部52a、及び、巻胴部51よりも後側に延出されている後側の端子台延出部52bに各々、左右方向に互いに間隔を隔てて設けられている。各端子部材4は、
図4に示すように、前側の端子台延出部52aの前面から前方に、また、後側の端子台延出部52bの後面から後方に、各々水平方向に突出する部位が、複数本の実装端子部41をなし、L字状に屈曲されて端子台延出部52a、52bの底面、すなわち端子台5の底面5aから下方に突出している部位が、絡げ端子部42をなしている。
【0019】
巻胴部51には、その外周に巻線が巻回されてコイル3が形成され、巻胴部51が形成する中空部51aには2つのコア部材70の中脚部70bが前方及び後方から各々挿通されている。
【0020】
本実施形態に係るコイル部品1の組立手順は、まず、ボビン6の巻胴部51に線材3aを巻回してコイル3を形成したうえで、線材3aの端部を絡げ端子部42に巻き付ける。次いで、コア部材70の中脚部70bをボビン6の巻胴部51の中空部51aに挿通し、コア7を形成し、コア7の周囲にテープを巻回する。これによって、7つのコア部材70が固定される。このようにして、絡げ端子部42が、実装端子部41より下方側に配置されたコイル部品1が完成する。
【0021】
コイル部品1は、
図1、
図5に示すように、回路基板2の実装面2aに設けられた配線パターンの電極2b、2c上に、各実装端子部41が載置され、半田付けされて電気的に接続される。このとき、コイル3をなす線材3aの端部が絡げられる絡げ端子部42は、実装端子部41よりも下側に設けられているので、回路基板2において前側の実装端子部41が接合される電極(以下、前側電極という)2bと、後側の実装端子部41が接合される電極(以下、後側電極という)2cとの間には、下方に窪む収容部としての凹部2dが設けられている。すなわち、回路基板2に設けられている凹部2dに、コイル部品1の実装端子部41より下側(回路基板2側)に配置される部位が収容された状態で、コイル部品1が回路基板2に実装される。
【0022】
本実施形態のコイル部品1によれば、従来のコイル部品において実装端子部よりも上方側に配置されていた絡げ端子部が、実装端子部41よりも下方側に設けられているので、実装端子部41より上側に配置される部位を小さくすることが可能である。また、従来のコイル部品において実装面2aより上方に配置されていた絡げ端子部等を、回路基板2に設けられている凹部2dに収容して、実装面2aよりも下側に配置することができる。このため、コイル部品1を実装したときに実装面2aからコイル部品1が突出する突出高さを低くすることが可能である。すなわち、低背のコイル部品1を提供すること、及び、低背のコイル部品1が実装された回路部品を提供することが可能である。
【0023】
上記実施形態においては、回路基板2において前側電極2bと、後側電極2cとの間に、コイル部品1の実装端子部41より回路基板2側に配置される部位が収容される収容部として凹部2dが設けられている例について説明したが、前側電極2bと、後側電極2cとの間に設けられる収容部は、コイル部品1の実装端子部41より回路基板2側に配置されている部位を収容可能な開口であっても構わない。
【0024】
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0025】
1 コイル部品、2 回路基板、2a 実装面、2b 前側電極(電極)、
2c 後側電極(電極)、2d 凹部、3 コイル、3a 線材、
4 端子部材、5 端子台、5a 端子台の底面、6 ボビン、6a 突起、
7 コア、41 実装端子部、42 絡げ端子部、51 巻胴部、51a 中空部、
52 端子台延出部、52a 端子台延出部、52b 端子台延出部、
70 コア部材、70a 側脚部、70b 中脚部、100 巻軸