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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-47910(P2020-47910A)
(43)【公開日】2020年3月26日
(54)【発明の名称】電子部品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01C 7/00 20060101AFI20200303BHJP
   H01C 17/065 20060101ALI20200303BHJP
   H01G 4/30 20060101ALI20200303BHJP
   H01G 4/33 20060101ALN20200303BHJP
   H01F 27/29 20060101ALN20200303BHJP
【FI】
   H01C7/00 110
   H01C17/065 110
   H01G4/30 541
   H01G4/33 101
   H01F27/29 123
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-43929(P2019-43929)
(22)【出願日】2019年3月11日
(31)【優先権主張番号】10-2018-0110896
(32)【優先日】2018年9月17日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジョン ピル
(72)【発明者】
【氏名】田中 一郎
(72)【発明者】
【氏名】ヨー、ドゥ ホ
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ヒョン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヒョン ゴン
(72)【発明者】
【氏名】ロー、ヒョン ソク
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジョン イル
【テーマコード(参考)】
5E001
5E032
5E033
5E070
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB06
5E001AC07
5E032BB01
5E032CA02
5E032CC06
5E032CC14
5E032CC16
5E032DA02
5E033BB02
5E033BC01
5E033BE01
5E033BH01
5E070AA01
5E070EA01
5E082EE04
5E082EE17
5E082FG04
(57)【要約】
【課題】電子部品の小型化及び薄型化を実現するとともに、製造コストを削減することができる電子部品の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態による電子部品は、基板と、上記基板上に配置され、第1方向に延びる導電体パターン部と、上記導電体パターン部の上記第1方向の両端にそれぞれ配置され、且つ上記導電体パターン部上に配置される第1電極パターン及び第2電極パターンと、上記第1電極パターン及び上記第2電極パターンと離隔して配置され、且つ上記基板上に配置される少なくとも一つのダミー電極パターンと、を含み、上記第1電極パターンの幅は、上記導電体パターン部における上記第1電極パターンと接触する部分の幅と実質的に同一であり、上記第2電極パターンの幅は、上記導電体パターン部における上記第2電極パターンと接触する部分の幅と実質的に同一である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に配置され、第1方向に延びる導電体パターン部と、
前記導電体パターン部の前記第1方向の両端にそれぞれ配置され、且つ前記導電体パターン部上に配置される第1電極パターン及び第2電極パターンと、
前記第1電極パターン及び前記第2電極パターンと離隔して配置され、且つ前記基板上に配置される少なくとも一つのダミー電極パターンと、を含み、
前記第1電極パターンの幅は、前記導電体パターン部における前記第1電極パターンと接触する部分の幅と実質的に同一であり、前記第2電極パターンの幅は、前記導電体パターン部における前記第2電極パターンと接触する部分の幅と実質的に同一である、電子部品。
【請求項2】
前記少なくとも一つのダミー電極パターンは、
前記第1電極パターンの前記第1方向と異なる第2方向の両側にそれぞれ配置され、且つ前記基板上に形成された第1ダミー電極パターン及び第2ダミー電極パターンと、
前記第2電極パターンの前記第2方向の両側にそれぞれ配置され、且つ前記基板上に形成された第3ダミー電極パターン及び第4ダミー電極パターンと、を含む、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記電子部品は、
前記基板と前記導電体パターン部との間に配置されるコーティング膜をさらに含む、請求項1または2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記電子部品は、
前記導電体パターン部上に配置され、前記導電体パターン部の幅と実質的に同一の幅を有する第1保護膜を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の電子部品。
【請求項5】
前記導電体パターン部は少なくとも一つのパターン溝を含む抵抗部であり、
前記第1保護膜は、前記導電体パターン部に形成された前記少なくとも一つのパターン溝と同一のパターン溝を含む、請求項4に記載の電子部品。
【請求項6】
前記電子部品は、
前記第1保護膜上及び前記少なくとも一つのパターン溝に形成される第2保護膜をさらに含む、請求項4または5に記載の電子部品。
【請求項7】
基板に第1方向に延びる少なくとも一つの第1ペーストを形成する段階と、 前記少なくとも一つの第1ペーストが形成された前記基板に導電体膜を形成する段階と、
前記少なくとも一つの第1ペーストを除去し、前記基板に前記第1方向に延びる少なくとも一つの1次導電体パターンを形成する段階と、
少なくとも一部が前記少なくとも一つの1次導電体パターンと重なる複数の1次電極パターンを形成する段階と、を含む、電子部品の製造方法。
【請求項8】
前記複数の1次電極パターンを形成する段階は、
前記基板に前記第1方向と異なる第2方向に延びる少なくとも一つの第2ペーストを形成する段階と、
前記少なくとも一つの1次導電体パターン及び前記少なくとも一つの第2ペーストが形成された基板に電極膜を形成する段階と、
前記少なくとも一つの第2ペーストを除去し、前記複数の1次電極パターンを形成する段階と、を含む、請求項7に記載の電子部品の製造方法。
【請求項9】
前記少なくとも一つの第1ペーストはプリント印刷方式で形成し、
前記導電体膜は膜蒸着方式で形成する、請求項7または8に記載の電子部品の製造方法。
【請求項10】
前記電子部品の製造方法は、
前記少なくとも一つの第1ペーストを形成した後、前記導電体膜を形成する前に、前記少なくとも一つの第1ペーストが形成された前記基板上にコーティング膜を形成する段階をさらに含む、請求項7から9のいずれか一項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項11】
前記電子部品の製造方法は、
前記1次導電体パターンの一部を除去して2次導電体パターンを形成するとともに、前記複数の1次電極パターンの一部を除去して前記2次導電体パターンの前記第1方向の両端にそれぞれ配置される第1電極パターン及び第2電極パターンならびに少なくとも一つのダミー電極パターンを形成する段階をさらに含む、請求項7から10のいずれか一項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項12】
前記電子部品の製造方法は、
前記少なくとも一つの第1導電体パターン上のうち前記複数の1次電極パターン間の部分に第1保護膜を形成する段階と、
前記第1保護膜が形成された前記1次導電体パターンの一部を除去して2次導電体パターンを形成するとともに、前記複数の1次電極パターンの一部を除去して前記2次導電体パターンの前記第1方向の両端にそれぞれ配置される第1電極パターン及び第2電極パターンならびに前記少なくとも一つのダミー電極パターンを形成する段階と、をさらに含む、請求項7〜11のいずれか一項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項13】
前記電子部品の製造方法は、
前記2次導電体パターンに少なくとも一つのパターン溝を形成することで、導電体パターン部を形成する段階をさらに含む、請求項12に記載の電子部品の製造方法。
【請求項14】
前記電子部品の製造方法は、
前記第1保護膜上及び前記パターン溝の表面に2次保護膜を形成する段階をさらに含む、請求項13に記載の電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜電子部品、及び薄膜電子部品を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器に対する小型化及び製作コストの削減は継続的に求められている。これにより、電子機器に適用される様々な電子部品に対しても、小型化、薄型化、及び製造コストの削減などが継続的に求められている。
【0003】
電子部品の小型化及び薄型化のために、電子部品に含まれる電極や様々なパターンなどを薄く形成する薄膜電子部品が多く開発されている。しかし、従来の薄型電子部品の場合には、高価な装置が必要となるなど製造コストが多くかかるという問題があるのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−64002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的の一つは、電子部品の小型化及び薄型化を実現するとともに、製作コストを削減することができる電子部品の製造方法を提供することである。
【0006】
本発明の目的の他の一つは、上記電子部品の製造方法に基づいて製作された電子部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態による電子部品は、基板と、上記基板上に配置され、第1方向に延びる導電体パターン部と、上記導電体パターン部の上記第1方向の両端にそれぞれ配置され、且つ上記導電体パターン部上に配置される第1電極パターン及び第2電極パターンと、上記第1電極パターン及び上記第2電極パターンと離隔して配置され、且つ上記基板上に配置される少なくとも一つのダミー電極パターンと、を含み、上記第1電極パターンの幅は、上記導電体パターン部における上記第1電極パターンと接触する部分の幅と実質的に同一であり、上記第2電極パターンの幅は、上記導電体パターン部における上記第2電極パターンと接触する部分の幅と実質的に同一である。
【0008】
本発明の他の実施形態による電子部品の製造方法は、基板に第1方向に延びる少なくとも一つの第1ペーストを形成する段階と、上記第1ペーストが形成された上記基板に導電体膜を形成する段階と、上記第1ペーストを除去し、上記基板に上記第1方向に延びる少なくとも一つの1次導電体パターンを形成する段階と、少なくとも一部が上記1次導電体パターンと重なる複数の1次電極パターンを形成する段階と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態による電子部品及びその製造方法によると、電子部品の小型化及び薄型化を実現するとともに、製造コストを削減することができるという効果を奏するようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1a】本発明の一実施形態による電子部品の製造方法を説明するための図である。
図1b】本発明の一実施形態による電子部品の製造方法を説明するための図である。
図1c】本発明の一実施形態による電子部品の製造方法を説明するための図である。
図1d】本発明の一実施形態による電子部品の製造方法を説明するための図である。
図1e】本発明の一実施形態による電子部品の製造方法を説明するための図である。
図1f】本発明の一実施形態による電子部品の製造方法を説明するための図である。
図1g】本発明の一実施形態による電子部品の製造方法を説明するための図である。
図1h】本発明の一実施形態による電子部品の製造方法を説明するための図である。
図1i】本発明の一実施形態による電子部品の製造方法を説明するための図である。
図2】(a)から(c)は、図1aから図1iに示された本発明の一実施形態による電子部品の製造方法に基づいて製造された電子部品を概略的に示す図である。
図3a】本発明の一実施形態による電子部品の製造方法を説明するための図である。
図3b】本発明の一実施形態による電子部品の製造方法を説明するための図である。
図3c】本発明の一実施形態による電子部品の製造方法を説明するための図である。
図3d】本発明の一実施形態による電子部品の製造方法を説明するための図である。
図4】(a)から(c)は、図1aから図1iならびに図3aから図3dに示された本発明の一実施形態による電子部品の製造方法に基づいて製造された電子部品を概略的に示す図である。
図5a】本発明の一実施形態による電子部品の製造方法を説明するための図である。
図5b】本発明の一実施形態による電子部品の製造方法を説明するための図である。
図6】(a)から(c)は、図1aから図1iならびに図5a及び図5bに示された本発明の一実施形態による電子部品の製造方法に基づいて製造された電子部品を概略的に示す図である。
図7a】本発明の一実施形態による電子部品の製造方法を説明するための図である。
図7b】本発明の一実施形態による電子部品の製造方法を説明するための図である。
図7c】本発明の一実施形態による電子部品の製造方法を説明するための図である。
図8】(a)から(c)は、図1aから図1i、図5a及び図5b、ならびに図7aから図7cに示された本発明の一実施形態による電子部品の製造方法に基づいて製造された電子部品を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0012】
なお、以下では、本発明の電子部品の一実施形態として、薄膜チップ抵抗器を例に挙げて説明する。但し、本発明の電子部品は、かかる抵抗器に限定されず、チップインダクタやチップキャパシタなどその他の様々な形態の電子部品であってもよい。
【0013】
図1aから図1iは、本発明の一実施形態による電子部品の製造方法を説明するための図である。
【0014】
まず、基板100を設ける(図1a)。図面において、tとは厚さ方向、lとは長さ方向、wとは幅方向を意味する(以下、すべての図面において同様に適用される)。
【0015】
次に、基板100に1次抵抗パターンを形成するための第1ペースト111を形成する(図1b)。この際、第1ペースト111は、スクリーン印刷(screen print)方式を用いて形成することができる。第1ペースト111は、第1方向に延びる少なくとも一つのライン形状であることができる。第1方向は、基板100の長さ方向であることができる。また、第1ペースト111は、有機物と無機物が混合されたものであってもよく、有機物除去剤を用いて除去することができる。
【0016】
次に、第1ペースト111が形成された基板100に抵抗膜112を成膜する(図1c)。例えば、薄膜蒸着(sputtering)方式を用いて抵抗膜112を成膜することができる。この際、抵抗膜112は、第1ペースト111が形成された基板100の全面に形成されることができる。また、抵抗膜112は、ニッケルクロム(NiCr)系合金又はニッケル(Ni)若しくはクロム(Cr)が含まれる様々な合金材料であることができる。抵抗膜112は、基板全体において実質的に同一の厚さを有することができる。
【0017】
次に、第1ペースト111を除去する(図1d)。第1ペースト111が除去されると、第1ペースト111が存在していた部分を除いた残りの部分に1次抵抗パターン110が形成される。そのため、1次抵抗パターン110は、第1方向に延びる少なくとも一つのライン形状であることができる。第1方向は、基板の長さ方向であることができる。上述のように、第1ペースト111は、有機物除去剤(例えば、有機物除去溶液)を用いて除去することができる。
【0018】
次に、1次抵抗パターン110が形成された基板100に、1次電極パターンを形成するための第2ペースト121を形成する(図1e)。この際、第2ペースト121は、スクリーン印刷(screen print)方式を用いて形成することができる。また、第2ペースト121は、第1方向とは異なる第2方向に延びる少なくとも一つのライン形状であることができる。第2方向は、基板100の幅方向であることができる。また、第2ペースト121は、有機物と無機物が混合されたものであってもよく、有機物除去剤を用いて除去することができる。
【0019】
次に、1次抵抗パターン110及び第2ペースト121が形成された基板100に電極膜122を成膜する(図1f)。例えば、薄膜蒸着(sputtering)方式を用いることで、電極膜122を成膜することができる。この際、電極膜122は、1次抵抗パターン110及び第2ペースト121が形成された基板100の全面に形成されることができる。また、電極膜122は、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、及び/又はニッケルクロム(NiCr)などを含む下地膜層と、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、及び/又は白金(Pt)などの電気伝導度に優れた金属を含む電極層と、を含むことができる。下地膜層は密着力を確保することができ、電極層は実質的に電極の役割を果たすことができる。電極膜122は、基板全体において実質的に同一の厚さを有することができる。また、電極膜122は、抵抗膜112よりも厚く形成されることができる。これにより、電子部品において電極パターンの厚さが抵抗パターンの厚さよりも厚くなる。
【0020】
次に、第2ペースト121を除去する(図1g)。第2ペースト121が除去されると、第2ペースト121が存在していた部分を除いた残りの部分に1次電極パターン120が形成されるようになる。1次電極パターン120は、少なくとも一部が1次抵抗パターンと重なり、第2方向に延びる少なくとも一つのライン形状であることができる。第2方向は、基板100の幅方向であることができる。上述のように、第2ペースト121は、有機物除去剤(例えば、有機物除去溶液)を用いて除去することができる。すなわち、有機物と無機物が混合された第2ペーストを、有機物除去剤を用いて除去することにより、下部に形成された1次抵抗パターン110が損傷することなく第2ペースト121を選択的に除去することができる。
【0021】
次に、1次抵抗パターン110の幅を調整する(図1h、以下、図1h及び図1iは、図1gにおけるA領域、すなわち、1つのチップ抵抗器を示したものである。本発明の一実施例によると、図1gに示された1次抵抗パターン110と1次電極パターン120が形成された基板100を点線に沿って切断することにより、複数のチップ抵抗器を製造することができる)。例えば、レーザーを用いて1次抵抗パターン110の幅を調整することで、2次抵抗パターン21を形成することができる。より具体的には、レーザーを用いて第1方向(例えば、基板10の長さ方向)に延びる1次抵抗パターンの面の少なくとも一部を除去することにより、2次抵抗パターン21を形成することができる。この際、レーザーを用いて1次抵抗パターンの幅を調整しながら、1次電極パターン120の一部を除去する。これにより、本発明の一実施形態によるチップ抵抗器は、チップ抵抗器の第1方向の両端(例えば、基板10の長さ方向の両端)に配置された第1電極パターン31及び第2電極パターン32に加えて、第1電極パターン31の第2方向(例えば、基板10の幅方向)の両側において第1電極パターン31と分離された第1ダミー電極パターン41及び第2ダミー電極パターン42と、第2電極パターン32の第2方向(例えば、基板10の幅方向)の両側において第2電極パターン32と分離された第3ダミー電極パターン43及び第4ダミー電極パターン44と、を含む。
【0022】
次に、2次抵抗パターン21に少なくとも一つのパターン溝を形成して、チップ抵抗器の抵抗部20を形成する(図1i)。すなわち、2次抵抗パターン21に少なくとも一つのパターン溝を形成して、チップ抵抗器の抵抗値を調整する。上記パターン溝は、Iカット(I cut)、Lカット(L cut)、ダブルカット(double cut)、又はIカットをジグザグ形状にしたものなど、様々な形で実現されることができる。
【0023】
1次抵抗パターンの幅を調整する際に用いられるレーザーは、スポットサイズが比較的大きいものを用いるか、又はハイパワー(high power)系を適用することができる。また、2次抵抗パターン21にパターン溝を形成する際に用いられるレーザーは、スポットサイズが比較的小さいものを用いることができる。
【0024】
図2は、図1aから図1iに示された本発明の一実施形態による電子部品の製造方法に基づいて製造された電子部品を概略的に示す図である。ここで、図2(a)は幅方向から見た正面図、図2(b)は長さ方向から見た側面図、及び図2(c)は厚さ方向から見た平面図をそれぞれ示す。
【0025】
図2に示すように、本発明の一実施形態による電子部品は、基板10と、基板10上に配置され、第1方向(例えば、基板の長さ方向)に延びる抵抗部20と、抵抗部20の第1方向の両端にそれぞれ配置され、且つ抵抗部20上に配置される第1電極パターン31及び第2電極パターン32と、第1電極パターン31の第1方向とは異なる第2方向(例えば、基板の幅方向)の両側に上記第1電極パターン31と離隔して配置され、且つ基板10上に配置される第1ダミー電極パターン41及び第2ダミー電極パターン42と、第2電極パターン32の第2方向(例えば、基板の幅方向)の両側に上記第2電極パターン32と離隔して配置され、且つ基板10上に配置される第3ダミー電極パターン43及び第4ダミー電極パターン44と、を含むことができる。
【0026】
上述のように、第1電極パターン31及び第2電極パターン32は、1次電極パターンが1次抵抗パターン上に形成された後、1次抵抗パターンの一部を除去して2次抵抗パターンを形成する過程で作られる。したがって、第1電極パターン31の幅は、抵抗部20における第1電極パターン31が形成された部分の幅と実質的に同一であることができる。同様に、第2電極パターン32の幅は、抵抗部20における第2電極パターン32が形成された部分の幅と実質的に同一であることができる。
【0027】
図3aから図3dは、本発明の一実施形態による電子部品の製造方法を説明するための図である。本発明の一実施形態による電子部品の製造方法によると、抵抗膜を成膜する前にコーティング層が形成されることができる。
【0028】
まず、基板200に第1ペースト211が形成される。第1ペーストが形成される過程は、図1a及び図1bで説明したものと同一であることができる。
【0029】
図3aに示すように、第1ペースト211を形成する過程で、複数のパーティクルP1が基板200に付着する可能性があり、ペーストの流動が原因で基板200の望ましくない位置に複数の残存ペーストP2が付着するおそれもある。かかる複数のパーティクルP1又は残存ペーストP2は、後に行われる抵抗膜を形成し、第1ペーストを除去する過程などで、抵抗膜にピンホールなどを生じさせるなど、完成したチップ抵抗器の性能を劣化させる原因をもたらすことがある。
【0030】
本発明の一実施例によると、第1ペースト211が形成された後、コーティング膜251を形成する(図3b)。コーティング膜251は、化学蒸着(chemical vapor deposition、CVD)工法を用いて形成することができる。コーティング膜251は、二酸化ケイ素(SiO)及び/又は酸化アルミニウム(Al)を含む酸化膜であることができる。コーティング膜251の形成により、複数のパーティクルP1又は残存ペーストP2、及びその他の異物によって抵抗パターンの密着力が弱くなったり、他のストレスが発生したりすることを低減させ、電子部品(例えば、チップ抵抗器)の信頼性を向上させることができる。
【0031】
次に、第1ペースト211及びコーティング膜251が形成された基板200に抵抗膜212を成膜する(図3c)。抵抗膜を成膜する過程は、図1cで説明したものと同一であることができる。
【0032】
次に、第1ペースト211を除去する(図3d)。第1ペースト211を除去する工程は、図1dで説明したものと同一であることができる。この際、コーティング膜251の存在により、複数のパーティクルP1や残存ペーストP2などが抵抗膜212によって完全に囲まれるようになる。これにより、第1ペースト211を除去する過程で複数のパーティクルP1や残存ペーストP2などが除去されない。すなわち、コーティング膜251を形成することにより、第1ペースト211の長さ方向の端部は除去剤に露出しているものの、複数のパーティクルP1や残存ペーストP2などは除去剤に露出しないため、第1ペースト211のみを選択的に除去することができる。
【0033】
その結果、本発明の一実施形態によると、第1抵抗パターン210と基板200との間にコーティング膜250が存在するようになる。
【0034】
その後、図1eから図1iで説明した過程がさらに行われることができる。
【0035】
また、図面に示されてはいないが、第2ペーストが形成された後(図1eについての説明を参照)、電極膜が形成される前(図1fについての説明を参照)に、コーティング膜がさらに形成されることもできる。
【0036】
図4は、図1aから図1iならびに図3aから図3dに示された本発明の一実施形態による電子部品の製作方法に基づいて製造された電子部品を概略的に示す図である。ここで、図4(a)は幅方向から見た正面図、図4(b)は長さ方向から見た側面図、及び図4(c)は厚さ方向から見た平面図をそれぞれ示す。
【0037】
図4に示すように、本発明の一実施形態による電子部品は、基板10と、基板10上に配置され、第1方向(例えば、基板の長さ方向)に延びる抵抗部20と、基板10と抵抗部20との間に配置されるコーティング膜50と、抵抗部20の第1方向の両端にそれぞれ配置され、且つ抵抗部20上に配置される第1電極パターン31及び第2電極パターン32と、第1電極パターン31の第1方向とは異なる第2方向(例えば、基板の幅方向)の両側に上記第1電極パターン31と離隔して配置され、且つ基板10上に配置される第1ダミー電極パターン41及び第2ダミー電極パターン42と、第2電極パターン32の第1方向とは異なる第2方向(例えば、基板の幅方向)の両側に上記第2電極パターン32と離隔して配置され、且つ基板10上に配置される第3ダミー電極パターン43及び第4ダミー電極パターン44と、を含むことができる。
【0038】
図5a及び図5bは、本発明の一実施形態による電子部品の製造方法を説明するための図である。
【0039】
本発明の一実施形態による電子部品の製造方法によると、1次抵抗パターン及び1次電極パターンを形成した後、すなわち、図1aから図1gで説明した過程が終了した後、1次抵抗パターン(図1gの110)が露出した部分に無機保護膜(例えば、絶縁層61)を形成することができる。無機保護膜は、二酸化ケイ素(SiO)及び/又は酸化アルミニウム(Al)を含む酸化物や窒化物などを含むことができる。無機保護膜は、抵抗パターン又は電極と比較すると、機械的強度がより高くてもよい。また、絶縁体であってもよい。
【0040】
無機保護膜61が形成された後、1次抵抗パターンの幅を調整することで、2次抵抗パターン21を形成する(図5a)。1次抵抗パターンの幅を調整する過程は、図1hで説明したものと同一であることができる。
【0041】
次に、上部に無機保護膜61が形成された2次抵抗パターン21の少なくとも一つにパターン溝を形成することで、チップ抵抗器の抵抗部20を形成する(図5b)。かかる過程は、図1iで説明したものと同一であることができる。
【0042】
図6は、図1aから図1iならびに図5a及び図5bに示された本発明の一実施形態による電子部品の製造方法に基づいて製造された電子部品を概略的に示す図である。ここで、図6(a)は長さ方向から見た正面図、図6(b)は長さ方向から見た側面図、及び図6(c)は厚さ方向から見た平面図をそれぞれ示す。
【0043】
図6に示すように、本発明の一実施形態による電子部品は、基板10と、基板10上に配置され、第1方向(例えば、基板の長さ方向)に延びる抵抗部20と、抵抗部20上のうち第1電極パターン31と第2電極パターン32との間の空間に配置される無機保護膜60と、抵抗部20の第1方向の両端にそれぞれ配置され、且つ抵抗部20上に配置される第1電極パターン31及び第2電極パターン32と、第1電極パターン31の第1方向とは異なる第2方向(例えば、基板の幅方向)の両側に上記第1電極パターン31と離隔して配置され、且つ基板10上に配置される第1ダミー電極パターン41及び第2ダミー電極パターン42と、第2電極パターン32の第1方向とは異なる第2方向(例えば、基板の幅方向)の両側に上記第2電極パターン32と離隔して配置され、且つ基板10上に配置される第3ダミー電極パターン43及び第4ダミー電極パターン44と、を含むことができる。
【0044】
上述のように、1次抵抗パターンが形成され、1次抵抗パターン上に無機保護膜が形成された状態で、1次抵抗パターンの幅を調整することで2次抵抗パターンを形成する。これにより、無機保護膜61の幅は、抵抗部20の幅と実質的に同一であることができる。また、無機保護膜が形成された状態で、2次抵抗パターンにパターン溝を形成することで抵抗部を形成する。これにより、無機保護膜61には、抵抗部に形成されたパターン溝と実質的に同一のパターン溝が形成される。
【0045】
図6には示されていないが、本発明の一実施形態による電子部品は、基板10と抵抗部20との間に配置されるコーティング膜(図4の50)をさらに含むこともできる。
【0046】
図5aから図6に示された本発明の一実施例によると、抵抗膜上に無機保護膜を形成した後、レーザー工程を適用する。これにより、レーザーで抵抗膜(又は抵抗パターン)を加工する際に、抵抗膜及び/又は電極の導電性飛散物が発生することを防止することができる。また、上記抵抗膜の導電性飛散物、電極の導電性飛散物、又は基板に残りうる薄膜残留物によって発生することがある最終製品のチップ抵抗器における電気的特性の不安定問題、すなわち、製品の信頼性問題を向上させることもできる。
【0047】
また、図5aから図6には、抵抗部20、21の幅方向の両端に無機保護膜が形成されたことが示されているが、無機保護膜は抵抗部20、21の上面のみに形成されることもできる。
【0048】
図7aから図7cは、本発明の一実施形態による電子部品の製造方法を説明するための図であって、本発明の一実施形態による電子部品の幅方向の中間部分を長さ方向に切断した断面を示したものである。
【0049】
本発明の一実施形態による電子部品の製造方法によると、電極パターンを除いた残りの部分に2次保護膜がさらに形成されることができる。
【0050】
具体的には、図1aから図1iならびに図5a及び図5bの過程により、基板10、抵抗部20、第1電極パターン31、第2電極パターン32、及び無機保護膜60が形成された後、第1電極パターン31及び第2電極パターン32のそれぞれに第3ペースト71、72を形成する(図7a)。第3ペースト71、72は、スクリーン印刷(screen print)方式を用いて形成することができる。第3ペースト71、72は、有機物と無機物が混合されたものであってもよい。
【0051】
次に、2次保護膜80を形成する(図7b)。2次保護膜は、CVD工法を用いて形成されることができる。図7bに示すように、2次保護膜80は、無機保護膜60上だけでなく、抵抗部20及び基板10のうち露出した部分(すなわち、パターン溝が形成された部分)に形成されることができる。
【0052】
次に、第3ペースト71、72を除去する(図7c)。第3ペースト71、72は、有機物除去剤などにより除去することができる。
【0053】
図8は、図1aから図1i、図5a及び図5b、ならびに図7aから図7cに示された本発明の一実施形態による電子部品の製造方法に基づいて製造された電子部品を概略的に示す図である。ここで、図8(a)は長さ方向から見た正面図、図8(b)は長さ方向から見た側面図、及び図8(c)は厚さ方向から見た平面断面図をそれぞれ示す。
【0054】
図8に示すように、本発明の一実施形態による電子部品は、基板10と、基板10上に配置され、第1方向(例えば、基板の長さ方向)に延びる抵抗部20と、抵抗部20上のうち第1電極パターン31と第2電極パターン32との間の空間に配置される無機保護膜60と、無機保護膜60上、抵抗部20、及び基板10が露出した部分(すなわち、パターン溝が形成された部分)に形成された2次保護膜80と、抵抗部20の第1方向の両端にそれぞれ配置され、且つ抵抗部20上に配置される第1電極パターン31及び第2電極パターン32と、第1電極パターン31の第1方向とは異なる第2方向(例えば、基板の幅方向)の両側に上記第1電極パターン31と離隔して配置され、且つ基板10上に配置される第1ダミー電極パターン41及び第2ダミー電極パターン42と、第2電極パターン32の第1方向とは異なる第2方向(例えば、基板の幅方向)の両側に上記第2電極パターン32と離隔して配置され、且つ基板10上に配置される第3ダミー電極パターン43及び第4ダミー電極パターン44と、を含むことができる。
【0055】
図8に示されてはいないが、本発明の一実施形態による電子部品は、基板10と抵抗部20との間に配置されるコーティング膜(図4の50)をさらに含むこともできる。
【0056】
図7aから図8には、本発明の一実施形態による電子部品が2つの保護膜(すなわち、無機保護膜60及び2次保護膜80)をともに含むように例示されているが、本発明の一実施例による電子部品は、2次保護膜80のみを含むこともできる。
【0057】
図2図4図6、及び図8などに示されてはいないが、本発明の一実施形態による電子部品は、抵抗部20に少なくとも一つのパターン溝が形成されていることができる。
【0058】
また、図2図4図6、及び図8などに示されてはいないが、本発明の一実施形態による電子部品は、抵抗部20上に配置される保護膜をさらに含むこともできる。また、上記第1電極パターン31及び上記第2電極パターン32の少なくとも一側、例えば、第1電極パターン31及び第2電極パターン32上に形成されるメッキ層をさらに含むこともできる。
【0059】
また、上記では、本発明の電子部品の一実施形態として薄膜チップ抵抗器を例に挙げて説明したが、本発明の電子部品は抵抗器に限定されない。つまり、上記の抵抗膜、抵抗パターン、及び抵抗部はそれぞれ、導電体膜、導電体パターン、及び導電体パターン部に置換されることができる。
【0060】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0061】
10、100、200 基板
111、121、211 ペースト
112、212 抵抗膜
20 抵抗部
31 第1電極パターン
32 第2電極パターン
41 第1ダミー電極パターン
42 第2ダミー電極パターン
43 第3ダミー電極パターン
44 第4ダミー電極パターン
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図1f
図1g
図1h
図1i
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図4
図5a
図5b
図6
図7a
図7b
図7c
図8