(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-49443(P2020-49443A)
(43)【公開日】2020年4月2日
(54)【発明の名称】ハンドブラシ
(51)【国際特許分類】
B08B 1/04 20060101AFI20200306BHJP
B24B 29/00 20060101ALI20200306BHJP
A47L 13/10 20060101ALI20200306BHJP
A47L 17/00 20060101ALI20200306BHJP
【FI】
B08B1/04
B24B29/00 D
A47L13/10 E
A47L17/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-182508(P2018-182508)
(22)【出願日】2018年9月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000249621
【氏名又は名称】日本ユニット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110560
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 恵三
(72)【発明者】
【氏名】新崎 優仁人
【テーマコード(参考)】
3B074
3B116
3C158
【Fターム(参考)】
3B074AA03
3B074AB02
3B074AB03
3B074AB04
3B074AC00
3B116AA23
3B116AB52
3B116BA02
3B116BA08
3B116BA14
3B116BA17
3C158AA06
3C158AA12
3C158AA16
3C158CA06
3C158CB04
(57)【要約】
【課題】 ブラシをコップに押し当て難い等、ハンドリングが悪いこと。
【解決手段】 本体1を一方の手で握って、他方の手に握ったコップの中にブラシ5を差し込み、回転軸4の先端をコップの底に当てる。その状態で本体1を軸方向に押して移動体2を本体1内の後方に移動させ、回転軸4に設けたブラシ5を回転させる。本体1を押す力を緩めて後方に移動させるとコイルバネ3の弾性力により移動体2が本体1の内部で前方に押し出され、移動体2及び回転軸4が逆回転し、ブラシ5がコップ内で逆転する。この往復運動において、ブラシ5が正転及び逆転を繰り返し、ブラシ5のブラシ毛先端がコップの内面に移動しつつ一定の力で接触するので、コップの内面の汚れを落とすことができる。係る構成によれば、本体1を片手で持って所望の方向に力を入れながらブラシ5を回転させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空筒状で且つ外周面が把持部となる本体と、
当該本体内を軸方向に移動する移動体と、
前記本体の軸方向に形成した螺旋部と当該螺旋部に係合して当該螺旋部をトレースする係合部とからなる運動変換手段と、
前記本体と前記移動体との間に配置され且つ前記移動体の移動方向に対して付勢するコイルバネと、
前記移動体に設けられ且つ前記本体から突出した回転軸と、
当該回転軸に設けたブラシと、
を備えたことを特徴とするハンドブラシ。
【請求項2】
前記回転軸の先端は、略半球形状であることを特徴とする請求項1に記載のハンドブラシ。
【請求項3】
前記ブラシは、弾性体からなる筒状本体と、隙間をあけて設けられ且つ弾性体からなる多数の紐状ブラシと、からなることを特徴とする請求項1または2に記載のハンドブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コップ等の食器や機械製品や工具の洗浄や研磨・研削に使用するハンドブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から特許文献1に記載されているような回転工具が知られている。この回転工具は、支持体の前後で回転軸を支持し、この回転軸に螺旋溝を設けると共に螺旋溝により前後進退する滑動筒を有する。滑動筒にはレバーが設けられると共にその後部にはバネが設けられる。前記支持体には、グリップが設けられる。また、前記回転軸の先端部にはブラシ等が設けられる。
【0003】
この回転工具は、グリップを握ってレバーを引くことで滑動筒が後方に移動し、この滑動筒の移動に伴い回転軸が回転する。これにより先端のブラシ等が回転するので、コップ洗い等に使用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開S56−38784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の回転工具では、グリップを握りつつレバーを引くことで回転軸を回転させるため、先端のブラシをコップに押し当て難い等、ハンドリングが悪いという問題点があった。本発明は、かかる問題点を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るハンドブラシは、中空筒状で且つ外周面が把持部となる本体と、当該本体内を軸方向に移動する移動体と、前記本体の軸方向に形成した螺旋部と当該螺旋部に係合して当該螺旋部をトレースする係合部とからなる運動変換手段と、前記本体と前記移動体との間に配置され且つ前記移動体の移動方向に対して付勢するコイルバネと、前記移動体に設けられ且つ前記本体から突出した回転軸と、当該回転軸に設けたブラシと、を備えたことを特徴とするハンドブラシ。
【0007】
前記回転軸の先端は、略半球形状とするのが好ましい。また、前記ブラシは、弾性体からなる筒状本体と、隙間をあけて設けられ且つ弾性体からなる多数の紐状ブラシと、からなる構成とするのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態1にかかるハンドブラシを示す説明図である。
【
図4】コップを洗浄する場合の例を示す説明図である。
【
図5】回転軸の先端部分の変形例を示す説明図である。
【
図6】コップを洗浄する場合の別の例を示す説明図である。
【
図7】本発明の実施の形態2に係るハンドブラシを示す説明図である。
【
図9】このハンドブラシの使用状態を示す説明図である。
【
図10】このハンドブラシの別の使用状態を示す説明図である。
【
図11】実施の形態1及び2に係るハンドブラシの変形例を示す一部構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかるハンドブラシを示す説明図である。
図2は、
図1に示したハンドブラシの正面図である。このハンドブラシ100は、有底で中空筒状の本体1と、本体1の軸方向内部に配置された円柱形状の移動体2と、移動体2と本体1との間に配置したコイルバネ3と、前記移動体2と同軸に設けた回転軸4と、回転軸4に設けたブラシ5とから構成される。
【0010】
本体1は、樹脂製の中空筒状体であり外周面が把持部1aとなる。移動体2には、螺旋状の溝7(螺旋部)が設けられる。本体1の側面にはピン8(係合部)が設けられ、前記ピン8の先端は摺動容易な球形状になっており、前記溝7に入って係合する。溝7とピン8とにより直線運動を回転運動に変換する運動変換手段を構成する。前記コイルバネ3は、先端が前記移動体2の後端に固定され且つその後端が本体1の底部に固定され、移動体2を移動方向前方に付勢する。前記回転軸4は、本体1から突出し、当該本体1の先端に設けた軸受部1bで軸支される。
【0011】
また、回転軸4の先端は、洗浄対象に押し付けた状態で回転軸4が回転しやすいように半球形状とする。また、
図5に示すように、回転軸4の先端に洗浄対象に対して摩擦力で押し当て可能で且つ前記回転軸4を回転自在に軸支可能な足部20を設けても良い。この場合、洗浄対象に対して足部20を押し付けることで回転軸4がブラシ5と共に容易に回転する。ブラシ5は、略円錐台形状のスポンジやブラシ毛を回転軸4に植毛した構造である。
【0012】
図3は、移動体が移動した状態を示す説明図である。本体1を把持し、前記回転軸4の先端を洗浄対象に押し付ける。この状態で本体1を軸方向に押すと、移動体2が本体1の後方に移動すると共に、この移動に伴い前記ピン8が溝7をトレースするようになり移動体2が回転する。これにより回転軸4及びその先端のブラシ5が回転する。移動体2は、コイルバネ3により一定の力で前方に付勢されているので、押すのをやめるとコイルバネ3の弾性力により移動体2が前方に戻り、その際に、前記同様、移動体2と共に前記回転軸4及びブラシ5が逆方向に回転する。
【0013】
このように洗浄対象に回転軸4の先端を押し付けて本体1を前後に往復運動させることでブラシ5が正逆転する。この回転動作は片手で行うことができる。また、本体1が筒状体の把持しやすい構造であることから、洗浄の際に力を入れて作業できる。
【0014】
図4は、コップを洗浄する場合の例を示す説明図である。本体1を一方の手で握って、他方の手に握ったコップCの中にブラシ5を差し込み、回転軸4の先端をコップCの底に当てる。その状態で本体1を軸方向に押して移動体2を本体1内の後方に移動させ、回転軸4に設けたブラシ5を回転させる。
【0015】
本体1を押す力を緩めて後方に移動させるとコイルバネ3の弾性力により移動体2が本体1の内部で前方に押し出され、移動体2及び回転軸4が逆回転し、ブラシ5がコップC内で逆転する。この往復運動において、ブラシ5が正転及び逆転を繰り返し、ブラシ5のブラシ毛先端がコップCの内面に移動しつつ一定の力で接触するので、コップCの内面の汚れを落とすことができる。また、前記回転軸4は先端が半球体になっているため、コップCの底に対して点接触する。このため、ブラシ5をコップCに押し付けながらでも簡単に回転する。なお、
図6に示すように、ブラシ5の径がコップCの径より大きい場合を記載しているが、ブラシ5の径がコップCの径より小さい場合でも、コップCの内面の一部に対してブラシ5を押し付けられる状態で位置決めし、その状態で本体1を前後に移動することでブラシ5を回転させ、洗浄を行うことができる。
【0016】
以上、本発明に係るハンドブラシ100によれば、本体1を片手で持って所望の方向に力を入れながらブラシ5を回転させることができる。また、回転軸4の先端が洗浄対象に対して点接触するように構成されているので、ブラシ5の回転がスムーズである。なお、上記例では、洗浄対象としてコップCを例示したが、これに限定されない。例えば、工作機械、内燃機関、機械構造物等でもよい。また、洗浄以外の使用にも適している。前記ブラシ5のブラシ毛に研削または研磨用のものを用いることで、機械加工のワークのバリ取りに適したものとなる。
【0017】
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2に係るハンドブラシを示す説明図である。
図8は、
図7に示したハンドブラシの正面図である。このハンドブラシ200は、実施の形態1に係るハンドブラシ100と略同一の構成であるが、回転軸4のブラシ205の形状が異なる。以下、略同一の構成については説明を省略すると共に同一構成要素には同一符号を付する。
【0018】
このハンドブラシ200のブラシ205は、スポンジの中実体である円筒本体201の外周面に多数の紐状ブラシ202を設けた構成である。紐状ブラシ202はスポンジ製であり通常の姿態では円筒本体201の径方向に向かって延出する。また、紐状ブラシ202と紐状ブラシ202との間に適度な隙間が生じるように配置するのが好ましい。円筒本体201をスポンジの中実体とし、その周囲に隙間をあけて紐状ブラシ202を植設することで、紐状ブラシ202が容易に変形して洗浄対象に対して弱めに接すると共に、円筒本体201まで変形する場合には中実体であるスポンジを変形させることからその反発力をもって洗浄対象に強く接するようになる。即ち、ブラシ205は、洗浄対象に対する押し付け力により強く接する場合と弱く接する場合が変化する。
【0019】
図9は、このハンドブラシの使用状態を示す説明図である。このハンドブラシ200により、断面が台形(そこが広い形状)となるコップCを洗浄するものとする。本体1を一方の手で握って、他方の手に握ったコップCの中にブラシ205を差し込み、回転軸4の先端をコップCの底に当てる。その状態で本体1を軸方向に押して移動体2を本体1内の後方に移動させ、回転軸4に設けたブラシ205を回転させる。紐状ブラシ202は、隣接する紐状ブラシ202との間に隙間をもって配置されているので、コップCの形状に合わせて無理なく変形する。具体的には、コップCの径が狭いところで紐状ブラシ202が大きく変形し、その形状に無理なくフィットする。このため、回転時に無理な力をかけなくてもブラシ205をスムーズに回転させることができる。そして、この回転動作により紐状ブラシ202がコップCの内面に接触し、内部の汚れを落とす。
【0020】
本体1を押す力を緩めて後方に移動させるとコイルバネ3の弾性力により移動体2が本体1の内部で前方に押され、移動体2及び回転軸4が逆回転し、ブラシ205がコップC内で逆転する。この場合も、紐状ブラシ202が無理なく変形することから、コイルバネ3の弾性力で十分にブラシ205が回転する。この逆転動作においても紐状ブラシ202がコップCの内面に接触し、内部の汚れを落とす。このような往復運動によりブラシ205が正転及び逆転を繰り返し、洗浄を行う。
【0021】
図10は、このハンドブラシの別の使用状態を示す説明図である。同図に示すように、有底の円筒状であって中央にくびれを有する瓶を洗浄する場合、当該くびれ部分において紐状ブラシ202が無理なく変形し、内部の形状にフィットする。更に、円筒本体1もスポンジで成形されているので、くびれ部分が狭くても円筒本体1の変形により対応できる。また、円筒本体1の変形により反発力が高まり、当該部分での汚れを落としやすくなる。
【0022】
図11は、上記実施の形態1及び2に係るハンドブラシの変形例を示す一部構成図である。同図に示すように、移動体2の本体1内での移動をロックするロック機構を設けても良い。例えば、当該ロック機構は、本体1の外周面に設けた弾性変形可能な片持ちの押しボタン20と、押しボタン20の下部に設けたピン21と、移動体2に設けたロック穴22とから構成される。ユーザが本体1を把持して指で押しボタン20を押すと、ピン21がロック穴22に入って移動体2の回転及び移動が固定される。この状態でブラシ5を用いて洗浄を行う。係る構成によれば、ブラシ5を回転させて洗浄することもできるうえ、必要に応じてブラシ5を固定して洗浄を行うこともできるので、大変使い勝手が良いものとなる。
【0023】
なお、上記実施の形態1及び2では、洗浄対象に断面が円形の筒状体を想定して説明したが、断面が楕円形や多角形状であっても良い。
【符号の説明】
【0024】
100 ハンドブラシ
1 本体
2 移動体
3 コイルバネ
4 回転軸
5 ブラシ
7 溝
8 ピン