【解決手段】 インクジェットプリンタによってラジカル重合性化合物および光重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物を被印刷物の表面に着弾させて印刷層を形成し、次いで、該印刷層に活性エネルギー線を照射して硬化させる印刷方法であって、
インクジェットプリンタによって、少なくとも顔料、ラジカル重合性化合物および光重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物を被印刷物の表面に着弾させて印刷層を形成し、次いで、該印刷層に活性エネルギー線を照射して硬化させる印刷方法であって、
該ラジカル重合性化合物の平均官能基数が1.3〜1.8であり、
該被印刷物の温度をT[℃]とし、該インク組成物の着弾から活性エネルギー線の照射までの時間をt[s]としたとき、該温度Tと該時間tの関係が、下記式(1):
T≧2/t ・・・(1)
を満たすことを特徴とする印刷方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、付着性に優れる特定の重合性化合物を使用する方法では、プリントヘッドを構成する部材を膨潤させやすいという課題があった。また、重合性化合物の平均官能基数を特定範囲に調整する方法では、平均官能基数を小さくすることで付着性を改善しようとしたためインク膜の硬度が落ち、印刷物の耐久性に劣るという課題があった。
【0005】
本発明の目的は、活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物を、平均官能基数を特定するインク組成物とすることで、硬度を維持しながら優れた付着性を有する印刷層を印刷することが可能な印刷方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、上記目的は下記のよって達成された
【0007】
1. インクジェットプリンタによって、少なくとも顔料、ラジカル重合性化合物および光重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物を被印刷物の表面に着弾させて印刷層を形成し、次いで、該印刷層に活性エネルギー線を照射して硬化させる印刷方法であって、
該ラジカル重合性化合物の平均官能基数が1.3〜1.8であり、
該被印刷物の温度をT[℃]とし、該インク組成物の着弾から活性エネルギー線の照射までの時間をt[s]としたとき、該温度Tと該時間tの関係が、下記式(1):
T≧2/t ・・・(1)
を満たすことを特徴とする印刷方法。
2. 前記温度Tと前記時間tの関係が、更に下記式(2):
T≦200/t ・・・(2)
を満たすことを特徴とする前記1に記載の印刷方法。
3. 前記時間tが、0<t≦10であることを特徴とする前記1又は2に記載の印刷方法。
4. 前記温度Tが、20≦T≦60であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1に記載の印刷方法。
5. 前記被印刷物がプラスチック基材であって、前記式(1)および(2)が下記であることを特徴とする前記1または2記載の印刷方法。
T≧2/t ・・・(1)
T≦200/t ・・・(2)
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物を、平均官能基数を特定するインク組成物とすることで、硬度を維持しながら優れた付着性を有する印刷層を印刷することが可能な印刷方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の印刷方法を詳細に説明する。
【0011】
<印刷方法>
本発明の印刷方法は、インクジェットプリンタによって、少なくとも顔料、ラジカル重合性化合物および光重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物を被印刷物の表面に着弾させて印刷層を形成し、次いで、該印刷層に活性エネルギー線を照射して硬化させる印刷方法であって、
該ラジカル重合性化合物の平均官能基数が1.3〜1.8であり、
該被印刷物の温度をT[℃]とし、該インク組成物の着弾から活性エネルギー線の照射までの時間をt[s]としたとき、該温度Tと該時間tの関係が、下記式(1):
T≧2/t ・・・(1)
を満たすことを特徴とする。
【0012】
インクジェットプリンタによる印刷(以下、インクジェット印刷ともいう)においては、インクの液滴を被印刷物に着弾させることで印刷が行われるが(印刷工程)、インクが活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の場合には、着弾したインクに活性エネルギー線を照射して硬化させる工程(硬化工程)が行われる。
【0013】
<印刷方法>
≪印刷工程≫
本発明の印刷方法においては、まず、インクジェットプリンタによって、すくなくとも、ラジカル重合性化合物および光重合開始剤含む活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物を被印刷物の表面に着弾させて印刷層を形成させる。
【0014】
本発明の印刷工程において、印刷手段であるインクジェットプリンタには、上述のように、種々のインクジェットプリンタを使用することができる。インクジェットプリンタとしては、例えば、荷電制御方式又はピエゾ方式によりインク組成物を吐出させるインクジェットプリンタを挙げることができる。また、大型インクジェットプリンタ、具体例としては工業ラインで生産される物品への印刷を目的としたインクジェットプリンタも好適に使用できる。
【0015】
本発明の印刷工程において、被印刷物は、特に限定されるものではないが、工業ラインで用いられる基材が好適に挙げられる。また、被印刷物の形状としては、例えば、板状及びフィルム状等がある。
【0016】
本発明においては、被印刷物の材質としては、通常使用される被印刷物基材であれば、使用することができるが、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンの場合に効果が顕著である。
【0017】
本発明の被印刷物の温度Tを設定するためには、インクジェットプリンタのバックロールや被印刷物の待機場所の温度を調整することによって設定することができる。
【0018】
≪被印刷物温度Tおよびインク着弾からUV照射までの時間t≫
(印刷条件式(1)(2))
本発明では、前記インク組成物を使用し、式(1)T≧2/tに規定されるように、被印刷物の温度Tと活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の着弾から活性エネルギー線の照射までの時間tとの関係がT≧2/tを満たすと、硬度を維持しながら優れた付着性を有する印刷層を形成することができる。
【0019】
本発明の印刷方法においては、上記式(1)に加えて、被印刷物の温度Tと活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の着弾から活性エネルギー線の照射までの時間tとの関係が下記の式(2)を満たすことが好ましい。
T≦200/t ・・・(2)
【0020】
上記式(1)及び(2)において、Tは、被印刷物の温度[℃]であり、被印刷物の表面温度を測定することによって決定される。また、被印刷物の温度は、20≦T≦60の範囲に設定される。
【0021】
上記式(1)及び(2)において、tは、活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の着弾から活性エネルギー線の照射までの時間[s]であり、通常、0<t≦10である。tは、プリントヘッドの走査速度、基材の搬送速度及び硬化光源までの距離等に基づき、計算又は実測により求めることができる。
【0022】
被印刷物が、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンの場合は、20≦T≦60、0<t≦10であることが好ましい。
【0023】
≪硬化工程≫
本発明の印刷方法においては、次に、上記印刷工程で得られた印刷層に活性エネルギー線(可視光線、紫外線、電子線等)を照射して、該印刷層を硬化させる(硬化工程)。ここで、活性エネルギー線源としては、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマレーザー、色素レーザー、LEDランプ等の紫外線源、並びに電子線加速装置等が使用できる。活性エネルギー線の照射エネルギー量(積算光量)は、200〜2,000mJ/cm
2であることが好ましい。
【0024】
本発明の印刷方法に従って印刷工程及び硬化工程を行うことで、1パスの印刷あるいはマルチパスの印刷を行うことができる。
<インク組成物に含有される化合物>
【0025】
≪ラジカル重合性化合物≫
本発明のインク組成物に用いるラジカル重合性化合物は、紫外線や可視光線等の活性エネルギー線の照射により重合を起こす化合物である。
本発明のラジカル重合性化合物の平均官能基数は、1.3〜1.8であることを特徴とする。平均官能基数が1.3に満たないものは、もともと付着性に劣ることは無いが、硬度が不足する。
【0026】
ここで平均官能基数とは、インク組成物中に含まれるラジカル重合性化合物1分子あたりの平均官能基数を表し、インク組成物中に含まれるラジカル重合性化合物の総官能基数を、インク組成物中に含まれるラジカル重合性化合物の総物質量で割った値である。
【0027】
単官能モノマーとしては、ステアリルアクリレート、トリデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソボニルアクリレート、N−ビニルカプロラクタム、エチレンオキシド(EO)変性2−エチルヘキシルアクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルイミダゾール、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、3−エチル−3−オキセタニルメチルアクリレート、(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレート、(2−メチル−イソブチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレート、(5−エチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メチルアクリレート、及び2−(2−ビニルオキシエトキシ)エチルアクリレート等が挙げられる。
【0028】
2官能モノマーとしては、トリエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート等が挙げられる。
【0029】
3官能モノマーとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキシド(PO)変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等が挙げられる。
4官能モノマーとしては、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、EO変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等が挙げられる。
【0030】
5官能モノマーとしては、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、6官能モノマーとしては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
【0031】
印刷層の強度を上げるためには、活性エネルギー線硬化性化合物として、アクリレートオリゴマーやアクリレートポリマー等を使用してもよい。なお、アクリレートオリゴマー及びポリマーとは、アクリロイルオキシ基(CH
2=CHCOO−)を一つ以上有するオリゴマー及びポリマーである。そして、アクリレートオリゴマー及びポリマーの具体例としては、アミノアクリレートオリゴマー及びポリマー[アミノ基(−NH
2)を複数持つアクリレートオリゴマー及びポリマー]、ウレタンアクリレートオリゴマー及びポリマー[ウレタン結合(−NHCOO−)を複数持つアクリレートオリゴマー及びポリマー]、エポキシアクリレートオリゴマー及びポリマー[エポキシ基を複数持つアクリレートオリゴマー及びポリマー]、シリコーンアクリレートオリゴマー及びポリマー[シロキサン結合(−SiO−)を複数持つアクリレートオリゴマー及びポリマー]、エステルアクリレートオリゴマー及びポリマー[エステル結合(−COO−)を複数持つアクリレートオリゴマー及びポリマー]並びにブタジエンアクリレートオリゴマー及びポリマー[ブタジエン単位を複数持つアクリレートオリゴマー及びポリマー]等が挙げられる。
【0032】
また、市販品としては、例えば、ビームセット502H、ビームセット505A−6、ビームセット505B、ビームセット575、ビームセットAQ17(荒川化学工業社製)、UA−306H、UA−306I、UA510H、UF−8001G(共栄社化学社製)、CN929、CN940、CN944B85、CN959、CN963E75、CN963E80、CN963J75、CN964、CN964A85、CN964E75、CN965、CN965A80、CN966A80、CN966B85、CN966H90、CN966J75、CN966R60、CN968、CN980、CN981、CN981A75、C981A75、CN981B88、CN982A75、CN982B88、CN982E75、CN982P90、CN983、CN985B88、CN989、CN991、CN996、CN9001、CN9002、CN9004、CN9005、CN9006、CN9007、CN9008、CN9009、CN9010、CN9011、CN9014、CN9178、CN9788、CN9893(サートマー社製)、U−4HA、U−6HA、U−6LPA、UA−1100H、UA−53H、UA−33H、U−200PA、UA−4200、UA−122P(新中村化学工業社製)、ニューフロンティアR−1214、ニューフロンティアR−1301、ニューフロンティアR1304、ニューフロンティアR−1306X、ニューフロンティアR−1150D(第一工業製薬社製)、EBECRYL230、EBECRYL244、EBECRYL245、EBECRYL264、EBECRYL265、EBECRYL270、EBECRYL284、EBECRYL285、EBECRYL294、EBECRYL1290、EBECRYL4820、EBECRYL5129、EBECRYL8201、EBECRYL8402(ダイセル・サイテック社製)、UV−1700B、UV−7600B、UV−7605B、UV−6630B、UV−7000B、UV−7461TE、UV−3000B、UV−3310B、UV−3520TL、UV−3700B(日本合成化学社製)、アートレジンUN−333、UN−1255、UN−2600、UN−2700、UN−5500、UN−5507、UN−6060P、UN−6200、UN−6300、UN−6301、UN−7600、UN−7700、UN−900PEP、UN−9200A、UN−3320HA,UN−3320HC、UN−904(根上工業社製)等が挙げられる。
【0033】
これらラジカル重合性化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記インク組成物中において、ラジカル重合性化合物の含有量は、70〜90質量%であることが好ましい。
【0034】
≪光重合開始剤≫
本発明のインク組成物に用いる光重合開始剤は、活性エネルギー線を照射することによって、上述したラジカル重合性化合物の重合を開始させる。本発明のインク組成物中において、光重合開始剤の含有量は、1〜25質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることが更に好ましく、3〜15質量%であることが一層好ましい。
【0035】
上記光重合開始剤としては、市販の光重合開始剤を適宜選択して使用することができ、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、フォスフィンオキサイド系化合物等が挙げられるが、硬化性の観点から、照射する活性エネルギー線の波長と光重合開始剤の吸収波長ができるだけ重複するものが好ましい。
【0036】
インクの硬化性の観点から、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド及び2,4−ジエチルチオキサントンが好ましく、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイドが特に好ましい。これら光重合開始剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0037】
≪その他の添加剤≫
本発明のインク組成物は、光安定剤を更に含有してもよい。光安定剤としては、市販の光安定剤を使用することができ、シアノアクリレート系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾエート系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物、ベンジリデンカンファー系化合物、無機微粒子等が挙げられ、中でも、紫外線吸収がより短波長にあるヒドロキシフェニルトリアジン系化合物がインクの硬化性の観点から好ましい。
【0038】
硬化性の観点から、照射する活性エネルギー線の波長と光安定剤の吸収波長が出来るだけ重複しないものが好ましい。なお、光安定剤の含有量は、インク組成物の全質量中0.1〜15質量%であることが好ましく、0.2〜5質量%であることが更に好ましい。これら光安定剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
上記インク組成物は、重合禁止剤を更に含有してもよい。含有量は、インク組成物の全質量中0.0001〜5質量%であることが好ましく、0.05〜1質量%であることが更に好ましい。
【0040】
上記重合禁止剤としては、ハイドロキノン系化合物、フェノール系化合物、フェノチアジン系化合物、ニトロソ系化合物、N−オキシル系化合物等、市販の重合禁止剤を使用することができる。これら重合禁止剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0041】
本発明のインク組成物は、顔料に起因するインク中でのゲル化を抑制するために、樹脂を含んでいてもよい。
【0042】
上記インク組成物は、印刷層を着色するため、着色剤を更に含んでもよい。着色剤は、特に限定されるものではなく、インク業界において通常使用される染料や顔料が挙げられ、市販品を好適に使用できる。なお、上記インク組成物中において、着色剤の含有量は、0.1〜5.0質量%であることが好ましい。
【0043】
上記インク組成物には、インク業界で通常使用される添加剤、例えば、酸化防止剤、シランカップリング剤、可塑剤、防錆剤、非反応性ポリマー、pH調整剤、消泡剤、荷電制御剤、応力緩和剤、浸透剤、表面調整剤等を本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合してもよい。
【0044】
<インク組成物の物性>
本発明のインク組成物は、顔料、ラジカル重合性化合物、光重合開始剤および非反応性溶剤と必要に応じて適宜選択される各種成分とを混合し、必要に応じて、使用するインクジェットプリントヘッドのノズル径の約1/10以下のポアサイズを持つフィルターを用い、得られた混合物を濾過することによって、調製できる。
【0045】
本発明のインク組成物は、40℃における粘度が5.0〜30.0mPa・sであることが好ましい。40℃におけるインクの粘度が上記特定した範囲内にあれば、良好な吐出安定性が得られる。なお、インクの粘度は、レオメーター(AntonPaar社製PhysicaMCR301)を用いて40℃、ずり速度100s
−1にて測定することができる。
【実施例】
【0046】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
<インク組成物>
表1に記載のように、ラジカル重合性化合物を配合したインクA〜Cを作製した。
【0047】
<印刷方法>
インクジェットプリンタ(ヘッドノズル径30μm,ヘッド内フィルター#2300メッシュ)とメタルハライドランプ(500mW/cm
2、1000mJ/cm
2)を使用し、基材温度T[℃]と、インク組成物の着弾から活性エネルギー線の照射までの時間t[s]を、下記の表2〜6に示す実施例及び比較例のとおり設定し、印刷を行った。
【0048】
なお、被印刷物は下記の市販の樹脂板を使用し、被印刷物温度は印刷前に乾燥炉内で被印刷物を加温することで、所望の温度とし印刷を行った。
被印刷物A・・・・・アクリル板
被印刷物B・・・・・ポリカーボネート板
被印刷物C・・・・・ポリアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン板
被印刷物D・・・・・ポリ塩化ビニル板
被印刷物E・・・・・ポリスチレン板
【0049】
<付着性評価>
印刷物の印刷層に1mm幅100マスのクロスカットを施し、セロハンテープを十分に接着させた後に引き剥がした。評価基準は以下の通りである。なお、評価は23℃、55%RHの雰囲気下で行った。結果を表2〜6に示す。
◎・・カット部に剥離が確認されない。
○・・カット部に10%未満の剥離が確認できる。
△・・カット部に10%以上で且つ25%未満の剥離が確認できる。
×・・カット部に25%以上の剥離が確認できる。
【0050】
<硬度評価>
JISK−5600−5−4に従い、引っ掻き硬度(鉛筆法)により評価を行った。結果を表7に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
a)ウレタンオリゴマー(ダイセル・オルネクス社製)
b)2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(Lambson社製)
c)顔料分散剤(ビックケミー・ジャパン社製)
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
【表5】
【0057】
【表6】
【0058】
【表7】
【0059】
上記の通り、本発明の印刷方法であれば、硬度を維持しながら優れた付着性を有する印刷物を得ることができる。