特開2020-50093(P2020-50093A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-50093(P2020-50093A)
(43)【公開日】2020年4月2日
(54)【発明の名称】前部車体構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/08 20060101AFI20200306BHJP
【FI】
   B62D25/08 E
   B62D25/08 F
   B62D25/08 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-180468(P2018-180468)
(22)【出願日】2018年9月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】山内 一樹
(72)【発明者】
【氏名】田代 邦芳
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 重昭
(72)【発明者】
【氏名】松岡 秀典
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BB32
3D203BB35
3D203BB45
3D203BC14
3D203CA52
(57)【要約】
【課題】車体剛性の向上を図ると共に、サスペンションハウジングの内倒れ防止効果を高めて、その支持剛性の向上を図ることができる前部車体構造の提供を目的とする。
【解決手段】エンジンルーム1と車室2とを車両前後方向に仕切るダッシュパネル3と、フロントサスペンションのサスペンションリンクを支持するサスペンションハウジング21aと、が設けられ、サスペンションハウジング21aとダッシュパネル3とを車両前後方向に連結する補強部材30を備え、補強部材30は、サスペンションハウジング21aが支持するサスペンションリンクの支持部21Aより上方においてサスペンションハウジング21aに固定されるアッパ部40と、サスペンションリンクの支持部21Aより下方においてサスペンションハウジング21aに固定されるロア部50と、に分割形成されたことを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンルームと車室とを車両前後方向に仕切るダッシュパネルと、
フロントサスペンションのサスペンションリンクを支持するサスペンションハウジングと、が設けられた前部車体構造であって、
上記サスペンションハウジングと上記ダッシュパネルとを車両前後方向に連結する補強部材を備え、
該補強部材は、
上記サスペンションハウジングが支持する上記サスペンションリンクの支持部より上方において当該サスペンションハウジングに固定されるアッパ部と、
上記サスペンションリンクの支持部より下方において当該サスペンションハウジングに固定されるロア部と、に分割形成されたことを特徴とする
前部車体構造。
【請求項2】
上部アッパ部および上記ロア部の少なくとも何れか一方の、アッパ部とロア部との合わせ面に沿って車両前後方向に延びるフランジ部が形成された
請求項1に記載の前部車体構造。
【請求項3】
上記ダッシュパネルには、車室側からエンジンルーム側に向けてステアリングシャフトを貫通させる貫通孔が形成され、
上記貫通孔の周囲を上記補強部材のアッパ部とロア部との後部で囲んだ
請求項1または2に記載の前部車体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エンジンルームと車室とを車両前後方向に仕切るダッシュパネルと、フロントサスペンションのサスペンションリンクを支持するサスペンションハウジングと、が設けられた前部車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、前部車体構造としては、エンジンルームと車室とを車両前後方向に仕切るダッシュパネルと、フロントサスペンションのサスペンションリンクを支持するサスペンションハウジングと、を設けたものが知られている。
上記前部車体構造において、車体剛性、特に、上記サスペンションハウジングに入力される荷重に対する剛性向上を図り、サスペンションハウジングの内倒れ等を防止するため、上記サスペンションハウジングとダッシュパネルとを車両前後方向に連結する補強部材を設けることが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
上記補強部材は、サスペンションハウジングと、ダッシュパネルの車幅方向中央付近を直線状に接続するのが、車体剛性確保やサスペンションハウジングの内倒れ防止の観点で好ましいが、仮に、サスペンションハウジングと、ダッシュパネルの車幅方向中央付近を直線状に接続すると、エンジンルーム内に車両前後方向に長いパワートレイン等の駆動機関を配置する場合、上記補強部材によりエンジンルームが狭められ、スペース的に不利となる。
【0004】
このため、上記特許文献1に開示された従来構造においては、補強部材のダッシュパネルへの連結は、当該補強部材の後部を湾曲させてダッシュパネル(詳しくは、ダッシュクロスメンバ)に沿って車幅方向内方に延びる部分を形成し、該車幅方向内方に延びる比較的広い領域にて補強部材とダッシュパネルとが接合されている。
【0005】
このように、上記補強部材の後部がダッシュパネル付近で湾曲する場合、直線状のものと比較して、剛性が低くなるため、改善の余地があった。また、荷重入力点となるサスペンションリンクの取付け位置にも考慮した工夫が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017−171102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、この発明は、車体剛性の向上を図ると共に、サスペンションハウジングの内倒れ防止効果を高めて、その支持剛性の向上を図ることができる前部車体構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明による前部車体構造は、エンジンルームと車室とを車両前後方向に仕切るダッシュパネルと、フロントサスペンションのサスペンションリンクを支持するサスペンションハウジングと、が設けられた前部車体構造であって、上記サスペンションハウジングと上記ダッシュパネルとを車両前後方向に連結する補強部材を備え、該補強部材は、上記サスペンションハウジングが支持する上記サスペンションリンクの支持部より上方において当該サスペンションハウジングに固定されるアッパ部と、上記サスペンションリンクの支持部より下方において当該サスペンションハウジングに固定されるロア部と、に分割形成されたものである。
【0009】
上述のフロントサスペンションとしては、ダブルウイッシュボーン型のフロントサスペンションを採用してもよく、この場合には、サスペンションリンクはダブルウイッシュボーンのアッパアーム(アッパウイッシュボーン)に設定してもよい。
また、上述のアッパ部とロア部とは、鋼板をそれぞれ別々にプレス加工したものを用いてもよい。
【0010】
上記構成によれば、上記アッパ部と上記ロア部とから成る上記補強部材前側の広い範囲が、サスペンションハウジングに接続固定されるので、車体剛性を向上することができ、また、サスペンションリンクの支持部からサスペンションハウジングに荷重が入力されるが、アッパ部とロア部とが当該支持部の上下にそれぞれ固定されているので、サスペンションハウジングの内倒れ防止効果を高め、その支持剛性向上を図ることができる。
【0011】
この発明の一実施態様においては、上部アッパ部および上記ロア部の少なくとも何れか一方の、アッパ部とロア部との合わせ面に沿って車両前後方向に延びるフランジ部が形成されたものである。
上記構成によれば、上述の車両前後方向に延びるフランジ部により、合わせ面の剛性が向上し、この結果、補強部材の曲げ剛性を高め、車体剛性のさらなる向上を図ることができる。
【0012】
この発明の一実施態様においては、上記ダッシュパネルには、車室側からエンジンルーム側に向けてステアリングシャフトを貫通させる貫通孔が形成され、上記貫通孔の周囲を上記補強部材のアッパ部とロア部との後部で囲んだものである。
上記構成によれば、貫通孔の形成によりダッシュパネルの剛性が低下するのを、上記補強部材による囲繞構造にて補強することができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、車体剛性の向上を図る共に、サスペンションハウジングの内倒れ防止効果を高めて、その支持剛性の向上を図ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の前部車体構造を示す斜視図。
図2】前部車体構造を示す正面図。
図3】エンジンルーム内側から車幅方向外方を見た状態で示す前部車体構造の側面図。
図4図3で示したサスペンションハウジングの側面図。
図5】補強部材によるステアリングシャフト貫通孔の囲繞構造を示す正面図。
図6】アッパ部とロア部とから成る補強部材を車幅方向内側から見た状態で示す分解斜視図。
図7】アッパ部とロア部とから成る補強部材を車幅方向外側から見た状態で示す分解斜視図。
図8】ロア部の斜視図。
図9】ロア部の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
車体剛性の向上を図ると共に、サスペンションハウジングの内倒れ防止効果を高めて、その支持剛性の向上を図るという目的を、エンジンルームと車室とを車両前後方向に仕切るダッシュパネルと、フロントサスペンションのサスペンションリンクを支持するサスペンションハウジングと、が設けられた前部車体構造において、上記サスペンションハウジングと上記ダッシュパネルとを車両前後方向に連結する補強部材を備え、該補強部材は、上記サスペンションハウジングが支持する上記サスペンションリンクの支持部より上方において当該サスペンションハウジングに固定されるアッパ部と、上記サスペンションリンクの支持部より下方において当該サスペンションハウジングに固定されるロア部と、に分割形成されるという構成にて実現した。
【実施例】
【0016】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は前部車体構造を示し、図1は当該前部車体構造を示す斜視図、図2はその正面図、図3はエンジンルーム内側から車幅方向外方を見た状態で示す前部車体構造の側面図、図4図3で示したサスペンションハウジングの側面図、図5は補強部材によるステアリングシャフト貫通孔の囲繞構造を示す正面図であって、ダッシュパネル直前部にて上下方向に断面した状態で示す図である。
【0017】
図1図5に示すように、エンジンルーム1と車室2とを車両の前後方向に仕切るダッシュパネル3を設けている。
図3に示すように、上記ダッシュパネル3の下部後端には、車室2の床面を形成するフロアパネル4を連設すると共に、該フロアパネル4の車幅方向中央には、車室2内に突出して、車両の前後方向に延びるトンネル部5を、一体または一体的に形成している。
【0018】
図1に示すように、上述のフロアパネル4の車幅方向左右両サイドには、サイドシル6を接合固定している(但し、図面では、車両右側のサイドシル6のみを示す)。
このサイドシル6は、サイドシルインナ7とサイドシルアウタ(図示せず)とを接合固定して、車両の前後方向に延びるサイドシル閉断面を有する車体強度部材である。
【0019】
また、上記サイドシル6とトンネル部5との車幅方向中間におけるフロアパネル4の上面には断面略ハット形状のフロアフレーム(図示せず)を接合固定し、このフロアフレームとフロアパネル4との間には、車両の前後方向に延びる閉断面を形成している。
【0020】
図3に示すように、上述のダッシュパネル3の上端折曲げ部3aの上面には、車幅方向に延びるカウルボックス9を接合固定している。このカウルボックス9は、カウルパネルアッパ10とカウルパネルロア11とを接合固定して、車幅方向に延びるカウル閉断面12を形成したものである。
【0021】
図1に示すように、上述のダッシュパネル3の左右両サイドには上下方向に延びるヒンジピラー13を接合固定している(但し、図1においては、車両左側のヒンジピラー13の図示を省略している)。このヒンジピラー13は、ヒンジピラーインナ14とヒンジピラーアウタ(図示せず)とを接合固定して、上下方向に延びるヒンジピラー閉断面を有する車体強度部材である。なお、上記ヒンジピラー13の下部には、サイドシル6が連結固定され、ヒンジピラー13の上部にはフロントピラー(図示せず)が連結固定される。
【0022】
図1図2に示すように、エンジンルーム1の左右両サイドにおいて、ダッシュパネル3から車両前方に延びるフロントサイドフレーム15を設けている。該フロントサイドフレーム15は、図2に示すように、フロントサイドフレームインナ15Aとフロントサイドフレームアウタ15Bとを接合固定して、車両の前後方向に延びるフロントサイド閉断面16を有する車体強度部材であり、フロントサイドフレーム15の前端には、図1に示すように、クラッシュカンを取付けるためのセットプレート17が設けられており、左右一対のクラッシュカンの前部相互間には車幅方向に延びる閉断面構造のバンパレインフォースメント(図示せず)が横架されている。
【0023】
図1図2に示すように、上述のフロントサイドフレーム15に対して、車幅方向の外方で、かつ車両上下方向の上方には、ヒンジピラー13のヒンジピラーアウタ(図示せず)から車両前方に延びるエプロンレインフォースメント18が設けられている。
図2に示すように、該エプロンレインフォースメント18は、断面略門形状の門形部18aと、当該門形部18aの下部から車幅方向の内外に突出するフランジ部18b,18cとを有する車体強度部材である。
【0024】
図1に示すように、上記エプロンレインフォースメント18の前端部と、フロントサイドフレーム15の前端部とは、前側連結部材19と後側連結部材20とを用いて、上下に連結されている。ここで、前側連結部材19と後側連結部材20とは前後方向に離間すると共に、これら両連結部材は上下方向に延びるパネル部材である。
【0025】
図1図4に示すように、エプロンレインフォースメント18と、その車幅方向内側かつ下方に位置するフロントサイドフレーム15との間には、フロントサスペンションタワー21が設けられている。
この実施例では、該フロントサスペンションタワー21は、アルミ合金の鋳造部材にて形成されており、当該フロントサスペンションタワー21は、図4に示すように、サスペンションハウジング21aと、タワー部21bと、サストップ部21cとを一体形成したものである。
【0026】
上記サスペンションハウジング21aは、フロントサスペンションのサスペンションリンクを支持するものである。
この実施例では、フロントサスペンションとして、ダブルウイッシュボーン型のフロントサスペンションを採用しているので、上記サスペンションリンクとしては、ダブルウイッシュボーンのアッパアーム(アッパウイッシュボーン)を用いている。
【0027】
図4に示す仮想線Lと対応する位置に、サスペンションハウジング21aが支持するサスペンションリンク(アッパアーム)の前後一対の支持部(つまりAアームの車体側軸支部)が設けられるが、以下説明の便宜上、上記仮想線Lの所定部位をサスペンションリンクの支持部21A,21Aとする。
【0028】
上記サスペンションリンクの支持部21A,21Aの前後におけるサスペンションハウジング21aには車幅方向に離間して上下方向に延びる内外一対のリブ21d,21dが鋳造時に一体形成されており、当該リブ21dの形成により、支持部21Aの剛性の向上を図っている。
ここで、上述のフロントサスペンションタワー21は、アルミ合金による鋳造部材であるため、その形状の自由度が高く、上記リブ21dおよびその他のリブの形成位置により、剛性が高くなり、重量効率が高いものとなる。
【0029】
図2に示すように、上述のエプロンレインフォースメント18の内外一対のフランジ部18b,18cは、フロントサスペンションタワー21の対向部に固定されている。
図1図2図3に示すように、ヒンジピラー13のヒンジピラーインナ14前端部と、エプロンレインフォースメント18およびフロントサスペンションタワー21の後部との間には、遮熱部材側壁22が設けられている。
【0030】
また、同図に示すように、上記遮熱部材側壁22の前端と、フロントサスペンションタワー21の後端と、フロントサイドフレーム15の後部における車幅方向外端と、ダッシュパネル3の車幅方向左右の前端との間に形成される空間部は、遮熱部材底壁23にて閉塞されている。
【0031】
一方、図1図2に示すように、フロントサイドフレーム15の後部にはキックアップ部15aが形成されており、図1図2に示すように、該キックアップ部15aの車幅方向外側面と、サイドシル6のサイドシルインナ7における車幅方向内側面との間には、ダッシュパネル3の下部前面に沿ってハット断面形状のトルクボックス24が設けられており、当該トルクボックス24とダッシュパネル3との間には、車幅方向に延びるトルクボックス閉断面が形成されている。
【0032】
図1図2に示すように、ダッシュパネル3の車幅方向中央下部には、図3で示したトンネル部5と連続すべくトンネル対応部3cが一体形成されている。
図1図2図3に示すように、ダッシュパネル3の下部には、その前面に接合固定されて車幅方向の全幅にわたって延びるダッシュクロスメンバ25が設けられている。このダッシュクロスメンバ25は上記トンネル対応部3cの直上部に位置する門形部25aと、該門形部25aの下端から車幅方向左右に延び、ダッシュパネル3の下部と略平行な左右の水平部25b,25cと、を一体形成したものである。
【0033】
また、上記ダッシュクロスメンバ25は、その長手方向と直交する断面形状がハット形に形成されており、図3に示すように、ダッシュクロスメンバ25とダッシュパネル3との間にはダッシュクロス閉断面26が、その長手方向全幅にわたって形成されている。
【0034】
図1図2図3に示すように、上述のダッシュクロスメンバ25の門形部25a上部におけるダッシュパネル3の前面には、車両正面視で略馬蹄形状のダッシュパネル補強部材27が設けられている。
このダッシュパネル補強部材27は、その上部に位置して車幅方向略水平に延びると共に、カウルボックス9とダッシュパネル3とに跨がって接合固定される橋架部27aと、この橋架部27aの左右両端部から下方に延びる左右の脚部27b,27cと、を一体的に形成したものである。
【0035】
図2図3に示すように、左右の脚部27b,27cの下端27dは、ダッシュクロスメンバ25の門形部25aに接合固定されている。また、上記ダッシュパネル補強部材27は、橋架部27aおよび脚部27b,27cの何れもがハット断面形状に形成されており、このダッシュパネル補強部材27とダッシュパネル3との間には、閉断面27e(図3参照)が形成されている。
【0036】
図5に示すように、ダッシュパネル3における運転席側には、ステアリングシャフト29を車室2側からエンジンルーム1側に向けて貫通させる貫通孔3dが開口形成されている。
ところで、図1から図3に示すように、サスペンションハウジング21aとダッシュパネル3とを車両前後方向に連結する補強部材30を備えている。
【0037】
この補強部材30は、上述のサスペンションハウジング21aが支持するサスペンションリンクの支持部21A(仮想線L参照)よりも上方において当該サスペンションハウジング21aに固定されるアッパ部としてのアッパ部材40と、上記サスペンションリンクの支持部21Aよりも下方において上記サスペンションハウジング21aに固定されるロア部としてのロア部材50と、に分割形成されている。すなわち、上記補強部材30を、アッパ部材40とロア部材50との2部材から構成したものである。
【0038】
このように、サスペンションハウジング21aとダッシュパネル3とを車両前後方向に連結する補強部材30を、サスペンションリンクの支持部21Aよりも上方においてサスペンションハウジング21aに固定されるアッパ部材40と、サスペンションリンクの支持部21Aよりも下方においてサスペンションハウジング21aに固定されるロア部材50とに2分割することで、アッパ部材40とロア部材50とから成る補強部材30の前側の上下に広い範囲がサスペンションハウジング21aに接続固定され、これにより、車体剛性の向上を図るよう構成したものである。
【0039】
また、サスペンションリンクの支持部21Aには当該サスペンションリンクから荷重が入力され、この荷重がサスペンションハウジング21aに伝達されることになるが、アッパ部材40とロア部材50とが上記支持部21Aの上下にそれぞれ固定されており、これにより、サスペンションハウジング21aの内倒れ防止効果を高め、その支持剛性向上を図って、サスペンションハウジング21aの振動をも抑制するよう構成したものである。
【0040】
図6はアッパ部材40とロア部材50とから成る補強部材30を車幅方向内側から見た状態で示す分解斜視図、図7はアッパ部材40とロア部材50とから成る補強部材30を車幅方向外側から見た状態で示す分解斜視図、図8はロア部材50の斜視図、図9はロア部材50を車幅方向内側から見た状態で示す側面図である。
【0041】
図6図7に示すように、この実施例では、上述のアッパ部材40とロア部材50とは、それぞれ鋼板を用いて別々にプレス加工したものを用い、加工性の向上を図っている。
まず、図6図7を参照してアッパ部材40の構成について説明する。
【0042】
このアッパ部材40は、サスペンションハウジング21aの車幅方向内側面に沿うように車両前後方向に延びる側面部40aと、ダッシュパネル補強部材27に取付けられるよう略車幅方向に指向する後面部40bと、上記側面部40aの後端から後面部40bの前端に向けて(換言すれば、サスペンションハウジング21aの車幅方向内面側からダッシュパネル補強部材27側に向けて)湾曲状に回り込んで上記側面部40aと上記後面部40bとを連結する湾曲部40cと、を一体形成した主面部40dを備えている。
【0043】
上記主面部40dの上端には、上部フランジ部40eを一体に折曲げ形成する一方、主面部40dの下端には、底面部40f(図7参照)を介して下方に延びる脚部40gを一体形成している。
また、上記脚部40gの下端には、アッパ部材40とロア部材50との合わせ面31(図3参照)に沿って車両前後方向に延びる下部フランジ部40hが、車幅方向外方に向けて一体に折曲げ形成されている。
【0044】
上述の上部フランジ部40eの前端部には、取付け座40iが一体形成されており、図3図4に示すように、当該取付け座40iは、ボルト等の取付け部材32を用いて、図4に示すサスペンションハウジング21aの支持部21A上方位置における取付け部21eに取付けられる。
【0045】
上述の上部フランジ部40eの後端側には、取付け座40jが一体形成されており、図5に示すように、当該取付け座40jは、ボルト等の取付け部材33を用いて、ダッシュパネル補強部材27の側面部に取付けられる。
上述の後面部40bの上端部には、取付け座40kが一体形成されており、図5に示すように、当該取付け座40kは、ボルト等の取付け部材34を用いて、ダッシュパネル補強部材27の前面部に取付けられる。
【0046】
さらに、図6図7に示すように、主面部40dと上部フランジ部40eとの間には、上部稜線X1が形成されており、主面部40dと底面部40fとの間には、中間部稜線X2が形成されており、脚部40gと下部フランジ部40hとの間には、車両前後方向に延びる下部稜線X3が形成されており、これらの各稜線X1,X2,X3によりアッパ部材40それ自体の剛性向上を図るよう構成している。
【0047】
次に、図6から図9を参照してロア部材50の構成について説明する。
ロア部材50は、側壁50aと、この側壁50aの上端から車幅方向外方に一体に折曲げ形成された上部フランジ部50bと、を備えている。
【0048】
この上部フランジ部50bは、アッパ部材40とロア部材50との合わせ面31(図3参照)に沿って車両前後方向に延びるものであり、当該上部フランジ部50bは、アッパ部材40側の下部フランジ部40hと連結固定される。
【0049】
また、上述のロア部材50は、上記側壁50aの上側前部に形成された前上ビード50cと、側壁50aの上側後部に形成された後上ビード50dと、側壁50aの上下方向中間部前側に形成された前下ビード50eと、側壁50aの上下方向中間部後側に形成された後下ビード50fと、を備えている。
【0050】
上述の各ビード50c,50d,50e,50fのうち前上ビード50c、前下ビード50eは車両前後方向に延びており、他の後上ビード50d、後下ビード50fはロア部材50の前後方向中途部から後方かつ車幅方向内方に延びている。
【0051】
また、上記上部フランジ部50bはロア部材50の前後方向中途部から後方かつ車幅方向外方に延びている(フランジ後部50g参照)。
さらに、当該フランジ後部50gと、後上ビード50dとの間は、略三角形状の連結部50hで一体に連結されている。
上述のフランジ後部50g、連結部50h、後上ビード50dの後端には、ダッシュパネル3の前面に沿う当接フランジ部50iが一体形成されている。
【0052】
図8に示すように、この当接フランジ部50iの両端には上方に延びる取付け片50jと、車幅方向内方に延びる取付け片50kとが一体形成されており、図5に示すように、上記当接フランジ部50iの上下の取付け片50j,50kが、ボルト、ナット等の取付け部材51,52を用いて、ダッシュパネル3の前面に連結固定されている。
【0053】
図8に示すように、上記ロア部材50のダッシュパネル3側の接合部としての上記当接フランジ部50iは、ダッシュパネル3に開口形成されたステアリングシャフト29の貫通孔3dに沿って湾曲した湾曲形状に形成されている。
【0054】
詳しくは、上記当接フランジ部50iは、貫通孔3dの車両左側下部に沿って湾曲する湾曲部50mに形成されている。この湾曲部50mによるステアリングシャフト29の貫通孔3dに沿った湾曲形状により、当該貫通孔3d周縁部の剛性を高めるよう構成したものである。すなわち、貫通孔3dの形成によりダッシュパネル3の剛性が低下するのを、上記ロア部材50にて補うよう構成したものである。
【0055】
図8に示すように、ロア部材50において、上部フランジ部50bの前部と前上ビード50cとの間には、前部稜線X4が形成されており、上部フランジ部50bにおけるフランジ後部50gと連結部50hとの間には後部稜線X5が形成されており、連結部50hと後上ビード50dとの間には傾斜稜線X6が形成されている。
【0056】
図8に示すように、上述の前部稜線X4は車両の前後方向に延びるものであり、後部稜線X5はロア部材50の前後方向中途部から後方かつ車幅方向外方に延びるものであり、傾斜稜線X6はロア部材50の前後方向中途部から後方かつ車幅方向内方に延びるものである。
【0057】
つまり、ロア部材50の前後方向中途部から上記後部稜線X5と傾斜稜線X6とに二股状に枝分かれ形成されたものであって、これにより、エンジンルーム1の空間を狭くすることなく、上記各稜線X5,X6にてダッシュパネル3側の補強、詳しくは、貫通孔3d周縁部の補強を行なうよう構成したものである。
図8に示すように、ロア部材50の前上ビード50cと後上ビード50dとが交差する交差部50nと、前下ビード50eと後下ビード50fとが交差する交差部50pとが設けられている。
【0058】
そして、上記ロア部材50には、後部稜線X5と傾斜稜線X6との基部としての上記交差部50nから下方に向けて下側の交差部50pまで延びる上下方向ビード50qが一体形成されており、この上下方向ビード50qにより垂直稜線X7が一体形成されており、当該垂直稜線X7にてロア部材50それ自体の剛性向上を図るよう構成したものである。
【0059】
図8に示すように、上記ロア部材50の側壁50aにおける前側上部には取付け座50rが形成されると共に、当該側壁50aの下片部50sの前後複数箇所にも取付け座50t,50u,50vが前後方向に離間して形成されている。
【0060】
図3図4に示すように、上述の取付け座50rは、ボルト、ナット等の取付け部材53を用いて、フロントサスペンションタワー21の支持部21Aよりも下方のサスペンションハウジング21aにおける取付け部21f(図4参照)に連結固定されており、下片部50sの各取付け座50t,50u,50vは、ボルト、ナット等の取付け部材54を用いて、フロントサイドフレーム15を構成するフロントサイドフレームインナ15Aの上端フランジ部およびフロントサイドフレームアウタ15Bの上端フランジ部に共締めにて連結固定されている。
【0061】
要するに、この実施例では、図3に示すように、アッパ部材40およびロア部材50の双方に、上記合わせ面31に沿って車両前後方向に延びるフランジ部40h,50b(詳しくは、下部フランジ部40hと上部フランジ部50b)が形成されたものである。
【0062】
これにより、上記車両前後方向に延びるフランジ部40h,50b、並びに対応部位の各稜線X3,X4,X5により、合わせ面31の剛性が向上し、この結果、補強部材30の曲げ剛性を高め、車体剛性のさらなる向上を図るよう構成したものである。
【0063】
図5図7に示すように、上記アッパ部材40の後端は、その底面部40fおよび脚部40gを湾曲形状と成して、湾曲部40mを形成している。この湾曲部40mは、ダッシュパネル3に開口形成されたステアリングシャフト29の貫通孔3dに沿って湾曲するものである。
詳しくは、上記湾曲部40mは貫通孔3dの車両左側上部に沿って湾曲するものである。
【0064】
そして、図5に示すように、上記貫通孔3dの周囲を上述の補強部材30のアッパ部材40とロア部材50との後部で囲んでいる。つまり、貫通孔3dの周囲をアッパ部材40後部における湾曲部40mと、ロア部材50後部における湾曲部50mとで囲繞したものである。
【0065】
これにより、ステアリングシャフト29貫通用の貫通孔3dの形成により、ダッシュパネル3の剛性が低下するのを、上記補強部材30の囲繞構造にて補強すべく構成したものである。
なお、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印INは車幅方向の内方を示し、矢印OUTは車幅方向の外方を示し、矢印UPは車両上方を示す。
【0066】
このように、上記実施例の車両前部構造は、エンジンルーム1と車室2とを車両前後方向に仕切るダッシュパネル3と、フロントサスペンションのサスペンションリンクを支持するサスペンションハウジング21aと、が設けられた前部車体構造であって、上記サスペンションハウジング21aと上記ダッシュパネル3とを車両前後方向に連結する補強部材30を備え、該補強部材30は、上記サスペンションハウジング21aが支持する上記サスペンションリンクの支持部21Aより上方において当該サスペンションハウジング21aに固定されるアッパ部(アッパ部材40参照)と、上記サスペンションリンクの支持部21Aより下方において当該サスペンションハウジング21aに固定されるロア部(ロア部材50参照)と、に分割形成されたものである(図1図3図6図7参照)。
【0067】
この構成によれば、上記アッパ部(アッパ部材40)と上記ロア部(ロア部材50)とから成る上記補強部材30前側の上下に広い範囲が、サスペンションハウジング21aに接続固定されるので、車体剛性を向上することができ、また、サスペンションリンクの支持部21Aからサスペンションハウジング21aに荷重が入力されるが、アッパ部(アッパ部材40)とロア部(ロア部材50)とが当該支持部21Aの上下にそれぞれ固定されているので、サスペンションハウジング21aの内倒れ防止効果を高め、その支持剛性向上を図ることができる。
【0068】
また、この発明の一実施形態においては、上部アッパ部(アッパ部材40)および上記ロア部(ロア部材50)の少なくとも何れか一方の、アッパ部(アッパ部材40)とロア部(ロア部材50)との合わせ面31に沿って車両前後方向に延びるフランジ部(下部フランジ部40h、上部フランジ部50b参照)が形成されたものである(図3図5図6図7参照)。
【0069】
この構成によれば、上述の車両前後方向に延びるフランジ部(下部フランジ部40h、上部フランジ部50b参照)により、合わせ面31の剛性が向上し、この結果、補強部材30の曲げ剛性を高め、車体剛性のさらなる向上を図ることができる。
【0070】
さらに、この発明の一実施形態においては、上記ダッシュパネル3には、車室2側からエンジンルーム1側に向けてステアリングシャフト29を貫通させる貫通孔3dが形成され、上記貫通孔3dの周囲を上記補強部材30のアッパ部(アッパ部材40)とロア部(ロア部材50)との後部で囲んだものである(図5参照)。
この構成によれば、貫通孔3dの形成によりダッシュパネル3の剛性が低下するのを、上記補強部材30による囲繞構造にて補強することができる。
【0071】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明のアッパ部は、実施例のアッパ部材40に対応し、
以下同様に、
ロア部は、ロア部材50に対応し、
合わせ面に沿って車両前後方向に延びるフランジ部は、アッパ部材40の下部フランジ部40hとロア部材50の上部フランジ部50bに対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0072】
なお、上記実施例においては、補強部材30の構造として主に車両左側の構造について説明したが、車両右側にはステアリングシャフトおよびその貫通孔が存在しないものの、車両右側の補強部材30の構造は左側のそれと概ね左右対称に構成されている。
【産業上の利用可能性】
【0073】
以上説明したように、本発明は、エンジンルームと車室とを車両前後方向に仕切るダッシュパネルと、フロントサスペンションのサスペンションリンクを支持するサスペンションハウジングと、が設けられた前部車体構造について有用である。
【符号の説明】
【0074】
1…エンジンルーム
2…車室
3…ダッシュパネル
3d…貫通孔
21a…サスペンションハウジング
21A…支持部
29…ステアリングシャフト
30…補強部材
31…合わせ面
40…アッパ部材(アッパ部)
40h…下部フランジ部(フランジ部)
50…ロア部材(ロア部)
50b…上部フランジ部(フランジ部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9