【解決手段】取付構造は、取付対象物91と、被取付軸10と、回り止めプレート92とを備える。取付対象物は、中央部に真円状の円孔91aを有する。被取付軸は、外周面に、軸方向に見たときに非真円状の回り止め部10aを有する。回り止めプレートは、中央部に非真円状の回り止め孔92aを有する。回り止め孔は、少なくとも1つの直線状の第1辺部92dを有する。回り止め部は、少なくとも1つの直線状の第2辺部10dを有する。回り止めプレートが取付対象物に対して同軸上に固定された状態で、かつ、第1辺部の位相位置と第2辺部の位相位置とが一致する状態で、取付対象物が被取付軸の径方向外方に嵌め込まれる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の例示的な実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。なお、本願では、減速機の中心軸と平行な方向を「軸方向」、中心軸に直交する方向を「径方向」、中心軸を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」と、それぞれ称する。ただし、上記の「平行な方向」は、略平行な方向も含む。また、上記の「直交する方向」は、略直交する方向も含む。
【0012】
<1.減速機の全体構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る取付構造90を備えた減速機1の縦断面図である。
図2は、
図1中のII―II位置からみた減速機1の横断面図である。
【0013】
この減速機1は、第1回転数(入力回転数)の回転運動を、歯車式の減速機構により、第1回転数よりも低い第2回転数の回転運動に変換し、さらにこの第2回転数の回転運動を、内接遊星式の減速機構により、第2回転数よりも低い第3回転数(出力回転数)の回転運動に変換する。減速機1は、例えば、人と協調して作業を行うサービスロボット等の小型ロボットの関節に使用される。ただし、同等の構造を有する減速機を、大型の産業用ロボット、工作機、X−Yテーブル、材料の切断装置、コンベアライン、ターンテーブル、圧延ローラ等の他の用途に用いてもよい。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の減速機1は、第1回転部5、第2回転部10、2つの偏心部20、2枚の外歯歯車30、2つの第1軸受41、フレーム50、複数の内歯ピン60、複数のキャリアピン70、第3回転部80、およびケーシング6を主として備える。
【0015】
第1回転部5は、第2回転部10の中心軸Cから径方向に離れた位置で軸方向に延びる、略円柱状の部材である。第1回転部5の軸方向の一方側の端部には、第1歯車8が設けられている。第1歯車8は、複数の外歯を有する。第1回転部5は、直接または他の動力伝達機構を介して、駆動源であるモータに接続される。モータを駆動させると、モータから供給される動力によって、第1回転部5は、軸線を中心として第1回転数で回転する。すなわち、本実施形態では、第1回転部5が入力部となる。第1回転部5は、ケーシング6の径方向内方に配置される。
【0016】
第2回転部(被取付軸)10は、中心軸Cに沿って延びる円筒状の部材である。第2回転部10の軸方向の他方側の端部は、ケーシング6の径方向内方に配置される。ケーシング6の径方向内方において、第2回転部10には、第2歯車(取付対象物)91が同軸上に取り付けられて、固定される。第2歯車91の外歯の歯数は、第1歯車8の外歯の歯数よりも多い。上述の第1歯車8と第2歯車91とが噛み合うことにより、第2回転部10は、中心軸Cを中心として、第1回転数よりも低い第2回転数で回転する。なお、第2回転部10に第2歯車91を取り付ける取付構造については、後に詳述する。
【0017】
偏心部20は、第2回転部10と同一回転数で、第2回転部10とともに回転する部位である。2つの偏心部20は、軸方向に互いに間隔をあけて、第2回転部10の外周部に配置されている。本実施形態では、第2回転部10と2つの偏心部20とが、単一の部材からなる。ただし、第2回転部10と2つの偏心部20とは、単一の部材ではなくてもよい。2つの偏心部20はそれぞれ、中心軸Cから外れた位置で中心軸Cと平行に延びる偏心軸Dを中心とする、円筒状の外周面を有する。したがって、中心軸Cから偏心部20の外周面までの距離は、周方向の位置によって異なる。第2回転部10が中心軸Cを中心として回転すると、2つの偏心部20の位置が、中心軸Cを中心として回転する。このとき、各偏心部20の偏心軸Dも、中心軸Cを中心として回転する。
【0018】
本実施形態では、一方の偏心部20の偏心軸Dの位置と、他方の偏心部20の偏心軸Dの位置とが、中心軸Cに対して互いに180°離れている。このようにすれば、2つの偏心部20の全体としての重心位置が、常に中心軸C上に位置する。したがって、偏心部20の回転による重心の揺らぎを抑制できる。
【0019】
2枚の外歯歯車30は、それぞれ、偏心部20の径方向外方に配置される。偏心部20と外歯歯車30との間には、第1軸受41が介在する。第1軸受41には、例えばローラーベアリング等の公知のベアリングを用いることができる。外歯歯車30は、第1軸受41によって、偏心軸Dを中心として回転可能に支持される。
図2に示すように、外歯歯車30の外周部には、複数の外歯31が設けられている。各外歯31は、径方向外方に向けて突出している。また、隣り合う外歯31の間には、径方向内方に向けて凹む外歯間溝32が設けられている。本実施形態では、外歯間溝32は、軸方向にみたときに、外歯歯車30の外周面を等間隔に半円状に切り欠いた形状を有する。外歯31は、軸方向にみたときに切り欠かれていない位相位置の部位である。外歯31と外歯間溝32とは、偏心軸Dを中心として、周方向に交互に並んでいる。
【0020】
また、
図1および
図2に示すように、2枚の外歯歯車30は、それぞれ、複数(
図2の例では8個)の貫通孔33を有する。各貫通孔33は、外歯歯車30を軸方向に貫通する。複数の貫通孔33は、偏心軸Dを中心として、周方向に等間隔に並んでいる。
【0021】
フレーム50は、2枚の外歯歯車30の径方向外方を取り囲む円筒状の部材である。フレーム50は、中心軸Cと同軸上に配置される。
図2に示すように、フレーム50の内周部には、溝部51が設けられている。本実施形態では、軸方向にみたときの溝部51は、中心軸Cを中心とする仮想円上に中心点を有する円弧状である。各溝部51は、フレーム50の内周面において、軸方向に延びている。この溝部51に、後述の内歯ピン60が内歯として保持される。溝部51は、軸方向にみたときに、フレーム50の内周部に等間隔に設けられる。フレーム50の内周部のうち、隣り合う溝部51の間の部位は、内歯溝間59となる。溝部51と内歯溝間59とは、中心軸Cを中心として、周方向に交互に並んでいる。
【0022】
内歯ピン60は、円柱状の部材である。内歯ピン60は、軸方向に対して平行な姿勢でフレーム50の内周部に保持される。具体的には、内歯ピン60は、フレーム50の溝部51に回転自在に保持される。なお、内歯ピン60の端部は、フレーム50に固定された脱落防止部材69で保持される。これにより、内歯ピン60が溝部51から脱落不能となっている。
図2に示すように、溝部51に保持された状態の内歯ピン60は、フレーム50の内周面から径方向内方に突出する。
【0023】
外歯歯車30の複数の外歯の一部と、フレーム50に保持された複数の内歯ピン60の一部とは、互いに噛み合う。具体的には、フレーム50に保持された一部の内歯ピン60が、外歯歯車30の一部の外歯間溝32に嵌まる。
【0024】
第2回転部10が中心軸Cを中心として回転すると、外歯歯車30は、偏心軸Dとともに、中心軸Cの周りを公転する。この際、外歯歯車30は、外歯歯車30の外歯31と、フレーム50の内歯(内歯ピン60)との噛み合い位置を、周方向に変位させながら公転する。ここで、フレーム50が保持する内歯ピン60の数は、外歯歯車30が有する外歯31の数よりも僅かに多い。このため、外歯歯車30の1公転ごとに、フレーム50の同じ位置の内歯ピン60に噛み合う外歯31の位置が、歯数差の分だけずれる。これにより、外歯歯車30が、第2回転部10の回転方向とは逆の方向へ、第2回転数よりも低い第3回転数で、偏心軸Dを中心にして自転する。これに伴い、外歯歯車30の貫通孔33の位置も、第3回転数で回転する。減速機1の動作時には、2枚の外歯歯車30がそれぞれ、このような公転と自転とを組み合わせた回転運動を行う。
【0025】
複数のキャリアピン70は、2枚の外歯歯車30を貫通して、軸方向に延びる略円柱状の部材である。複数のキャリアピン70は、中心軸Cを中心として円環状に配列される。各キャリアピン70は、2枚の外歯歯車30の貫通孔33に挿入される。キャリアピン70の外周面と、貫通孔33の内周面との間には、ブッシュリング71が介在する。
図2に示すように、ブッシュリング71の外周面と、貫通孔33の円環状の内周孔との間には、間隙(遊び)が存在する。これにより、2枚の外歯歯車30が、減速後の第3回転数で自転すると、外歯歯車30の貫通孔33の内周面に押されることによって、複数のキャリアピン70も、中心軸Cを中心として、第3回転数で回転する。
【0026】
図1に戻る。第3回転部80は、円環状の前方キャリア部材81と、円環状の後方キャリア部材82とを有する。前方キャリア部材81は、2枚の外歯歯車30よりも軸方向の一方側に配置される。第2回転部10と前方キャリア部材81との間には、第2軸受42が介在する。また、前方キャリア部材81とフレーム50との間には、第3軸受43が介在する。後方キャリア部材82は、2枚の外歯歯車30よりも軸方向の他方側に配置される。第2回転部10と後方キャリア部材82との間には、第4軸受44が介在する。また、後方キャリア部材82とフレーム50との間には、第5軸受45が介在する。第2軸受42および第4軸受44には、例えばボールベアリングが用いられる。また、第3軸受43および第5軸受45には、例えばアンギュラボールベアリングが用いられる。
【0027】
各キャリアピン70の軸方向の一方側の端部は、前方キャリア部材81に固定される。各キャリアピン70の軸方向の他方側の端部は、後方キャリア部材82に固定される。このため、複数のキャリアピン70が、中心軸Cを中心として第3回転数で回転すると、前方キャリア部材81および後方キャリア部材82も、中心軸Cを中心として第3回転数で回転する。なお、前方キャリア部材81および後方キャリア部材82に対するキャリアピン70の固定方法には、例えば圧入が用いられる。
【0028】
第3回転部80は、直接または他の動力伝達機構を介して、駆動対象となる部材に接続される。すなわち、本実施形態では、第3回転部80が出力部となる。このような構成により、本実施形態の減速機1においては、第1回転部5に入力された回転を、歯車式の減速機構と内接遊星式の減速機構とで2段階に減速し、減速後の回転を、第3回転部80から取り出すことができる。
【0029】
上述のような構成の減速機において、近年、当該減速機の動力入力軸の中空部に、この減速機からの配線や他の機器からの配線等の、多くの配線を通したいという要望があった。そのために、動力入力軸を薄肉化して中空部の内径を拡大することが求められていた。しかしながら、動力入力軸を薄肉化した場合、当該動力入力軸の外周部に、スプライン溝やキー溝等を形成することが困難となり、動力入力軸上に歯車等の取付対象物を相対回転不能に固定することが難しくなるという新たな問題が生じ、解決策が望まれていた。
【0030】
この点、本実施形態に係る減速機1は、薄肉化した第2回転部(被取付軸)10に対しても、第2歯車(取付対象物)91を相対回転不能に取り付けられるようにするための、特有の取付構造90を有している。
【0031】
<2.取付対象物の被取付軸への取付構造の詳細>
以下では、上記の取付構造90について、
図3および
図4を参照して詳細に説明する。
図3は、取付構造90の構成を示す分解斜視図である。
図4は、取付構造を軸方向にみた断面図である。取付構造90は、第2歯車91と、第2回転部10と、回り止めプレート92と、複数の締結部材93とを有する。
【0032】
上述の第2歯車91は、本実施形態に係る「取付対象物」である。第2歯車91は、中央部(軸心部)に真円状の円孔91aを有する環状である。第2歯車91は、金属からなる。第2歯車91の軸方向の他方側の端面は、軸方向の一方側に凹む凹部91bを有する。凹部91bは、円孔91aと同軸上に設けられる。凹部91bの径方向の中途部には、周方向に沿って等間隔に複数(
図3の例では8個)のネジ孔91cが設けられる。ネジ孔91cの内周面には、後述する締結部材93の軸部に形成される雄ネジに対応する雌ネジが、形成される。
【0033】
上述の第2回転部10は、本実施形態に係る「被取付軸」である。第2回転部10は、軸方向の中途部の外周面に、回り止め部10aを有する。回り止め部10aは、軸方向にみたときに非真円状である。より具体的には、本実施形態の回り止め部10aは、外周面のうちの、中心軸Cを中心にして90°回転対称な4箇所の位相位置に、外周面を平坦化した状態の第2辺部10dを有する。各第2辺部10dは、軸方向にみたときに直線状である。各第2辺部10dは、中心軸Cに対して平行な平面状である。また、隣り合う第2辺部10dは、互いに垂直に配置される。すなわち、回り止め部10aは、全体として見たときに、中心軸Cを中心にして回転対称な形状である。第2回転部10の、回り止め部10aよりも軸方向の他方側に位置する領域は、回り止め部10aよりも径方向の寸法が小さい。より厳密には、第2回転部10の、回り止め部10aよりも軸方向の他方側の外径は、後述する対向する第1辺部92dの間の長さよりも短い。
【0034】
回り止めプレート92は、板状の部材である。回り止めプレート92は、板面の中央部に回り止め孔92aを有する。回り止め孔92aは、軸方向にみたときに非真円状である。より具体的には、本実施形態の回り止め孔92aは、上述の4つの第2辺部10dを互いに繋いだときに形成される仮想正方形よりも、僅かにだけ大きい、正方形状である。詳細には、回り止め孔92aは、中心軸Cを中心にして90°回転対称な4つの直線状の第1辺部92dを有する。ただし、隣り合う第1辺部92dの端部同士は、円弧状に接続されている。
【0035】
回り止めプレート92の外周面は、円形の輪郭を有する。回り止めプレート92の輪郭の円と、回り止め孔92aとは、同軸上に配置される。回り止めプレート92の外周面の径方向の寸法は、第2歯車91の凹部91bの径方向の寸法よりも僅かに小さい。回り止めプレート92の径方向の中途部には、周方向に沿って等間隔に複数(
図3の例では8個)の貫通孔92cが設けられる。貫通孔92cは、第2歯車91のネジ孔91cに対応して設けられる。回り止めプレート92は、全体としてみたときに、中心軸Cを中心にして回転対称な形状である。回り止めプレート92の軸方向の厚みは、第2歯車91の凹部91bの軸方向の深さと略同じである。
【0036】
締結部材93は、頭部と軸部とを有する公知のボルトである。すなわち、頭部は円柱状であり、軸方向の他方側の端面に、ドライバー等のねじ回しツールの先端部を挿入するための溝が形成されている。頭部の軸方向の一方側の端面からは、頭部よりも径が小さい軸部が、軸方向に延びている。頭部と軸部は同軸上に配置され、軸部の外周面には雄ネジが形成されている。
【0037】
<3.取付対象物の被取付軸への取付方法の詳細>
以上のような構成要素からなる取付構造90は、以下の取付方法によって、相互に組み付けられる。
図5は、取付方法の工程を示したフローチャートである。
【0038】
具体的には、まず初めに、第2回転部10の外周面に、上述の回り止め部10aが形成される。具体的には、第2回転部10の外周面の一部を切削することにより、第2辺部10dが形成される(工程S1)。
【0039】
工程S1の前または後に、第2歯車91に対して、回り止めプレート92が同軸上に固定される(工程S2)。本実施形態では、第2歯車91の凹部91bに、回り止めプレート92が嵌め込まれる。このとき、第2歯車91のネジ孔91cと、回り止めプレート92の貫通孔92cとが、重なり合う状態とする。この状態で、締結部材93の軸部が貫通孔92cに挿入されるとともに、ネジ孔91cに締め付けられる。このように組み付けたとき、回り止めプレート92の第1辺部92dの少なくとも中点付近の領域は、円孔91aの内周面よりも径方向内方に位置している。
【0040】
工程S1および工程S2の後に、回り止めプレート92を固定した状態の第2歯車91が、第2回転部10の軸方向における第2辺部10dが形成されている側の端部に、軸方向の他方側から嵌め込まれる(工程S3)。このとき、第1辺部92dの位相位置と、第2辺部10dの位相位置と、を一致させた状態で、かつ、第2歯車91の円孔91aの内周を加熱して円孔91aを膨張させた状態で、第2歯車91および回り止めプレート92が第2回転部10に嵌め込まれる。このようにして、第2回転部10ならびに第2歯車91および回り止めプレート92は、焼き嵌めと、第1辺部92dおよび第2辺部10dの物理的な相互作用(干渉)と、の両方によって、相対回転不能に固定される。
【0041】
以上に示したように、本実施形態の取付構造90では、回り止めプレート92が第2歯車91に対して同軸上に固定された状態で、かつ、第1辺部92dの位相位置と第2辺部10dの位相位置とが一致する状態で、第2歯車91が第2回転部10に嵌め込まれる。これにより、第1辺部92dと第2辺部10dとの物理的な相互作用(干渉)より、第2回転部10に対して第2歯車91が周方向に回転してしまうのを抑制できる。よって、第2回転部10に従来のようなキー溝やスプライン溝を設けることなく、第2回転部10に対して、第2歯車91を相対回転不能に取り付けることができる。その結果、第2回転部10を薄肉化することができ、その分、第2回転部10の中空部分の内径を大きく取ることができ、ひいては、中空部分に多くの配線を通すことが可能となる。
【0042】
また、本実施形態の取付構造90では、回り止め孔92aは、複数の第1辺部92dを周方向に等間隔に有する。また、回り止め部10aは、複数の第2辺部10dを周方向に等間隔に有する。これにより、回り止めプレート92および第2回転部10の重心バランスが良好となる。よって、第2歯車91および回り止めプレート92を取り付けた第2回転部10を回転させたときのガタつきが抑制される。
【0043】
また、本実施形態の回り止め孔92aおよび回り止め部10aは、それぞれ回転対称な形状である。これにより、回り止めプレート92および第2回転部10の製造が容易となる。
【0044】
また、本実施形態の取付構造90では、軸方向にみたときに、第1辺部92dの少なくとも一部は、第2歯車91の円孔91aの径方向内方に配置される。これにより、第1辺部92dと第2辺部10dとを物理的に相互作用させることができる。
【0045】
また、本実施形態の取付構造90では、第2歯車91は凹部91bを有し、回り止めプレート92は凹部91bに嵌め込まれる。これにより、取付構造90の軸方向の寸法をコンパクト化することができる。
【0046】
また、本実施形態の被取付軸である第2回転部10は、減速機1の内接遊星式の減速機構の動力入力軸である。これにより、減速機1の動力入力軸を薄肉化することが可能となり、内部に多くの配線を通すことが可能となる。その結果、減速機1の周辺の配線の配策の自由度が増大する。
【0047】
また、本実施形態の取付構造90では、取付対象物としての第2歯車91は歯車(ギア)である。これにより、過負荷が掛かること等によって歯車が被取付軸(第2回転部10)に対して滑り回転してしまうことを抑制でき、歯車を精度よく動作させることができる。
【0048】
さらに、本実施形態の取付構造90では、第2歯車91は、焼き嵌めにより、第2回転部10の径方向外方に嵌め込まれる。これにより、焼き嵌めと、回り止めプレート92および回り止め部10aの相互作用と、によって、多重的に、第2回転部10に対して第2歯車91が周方向に滑り回転してしまうのを防止できる。よって、過負荷が掛かった場合においても、第2歯車91および第2回転部10を精度よく同一回転数で回転させることができる。
【0049】
<4.その他の変形例>
上記の実施形態では、回り止め孔92aは複数の第1辺部92dを有し、回り止め部10aは複数の第2辺部10dを有していた。しかしながら、必ずしもこれに限るものではなく、上記に代えて、例えば回り止め孔が1つのみの第1辺部を有し、また、回り止め部が1つのみの第2辺部を有していてもよい。あるいは、回り止め孔が5つ以上の第1辺部を有し、または、回り止め部が5つ以上の第2辺部を有していてもよい。
【0050】
上記の実施形態では、回り止め孔92aおよび回り止め部10aは回転対称な形状を有していた。しかしながら、これに限るものではなく、上記に代えて、回り止め孔または回り止め部が回転対称でない形状を有していてもよい。
【0051】
上記の実施形態では、回り止めプレート92は、締結部材93を用いることにより第2歯車91に固定されているとしたが、これに限定されない。例えば、回り止めプレートが、溶接等の他の方法により、取付対象物に固定されてもよい。
【0052】
上記の実施形態では、被取付軸としての第2回転部10は、減速機構の動力入力軸であったが、本発明は、それ以外の被取付軸にも広く適用可能である。例えば、電動機の動力出力軸を「被取付軸」として、当該動力出力軸に歯車を取り付けるために、本発明を適用してもよい。
【0053】
また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。