特開2020-51964(P2020-51964A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-51964(P2020-51964A)
(43)【公開日】2020年4月2日
(54)【発明の名称】漏水検知システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/24 20060101AFI20200306BHJP
   F17D 5/06 20060101ALI20200306BHJP
【FI】
   G01M3/24 A
   F17D5/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2018-183281(P2018-183281)
(22)【出願日】2018年9月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】峰 利之
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 雄大
(72)【発明者】
【氏名】石丸 哲也
(72)【発明者】
【氏名】小埜 和夫
【テーマコード(参考)】
2G067
3J071
【Fターム(参考)】
2G067AA13
2G067BB22
2G067CC02
2G067DD13
2G067EE05
2G067EE08
2G067EE09
2G067EE12
3J071AA12
3J071CC07
3J071EE06
3J071EE19
3J071EE30
3J071EE37
3J071EE38
3J071FF12
(57)【要約】
【課題】漏水検知に関して、センサ配置コストの低減等を実現できる技術を提供する。
【解決手段】漏水検知システム10は、水道網40の管路に設置されるセンサ3を含む複数のセンサ端末2と、複数のセンサ端末2の複数のセンサ3の検出信号データに基づいて、管路からの漏水を検知して結果を出力する計算機1とを備える。管路は、管被覆部材(PEスリーブ6)で被覆されていない第1管路である場合と、管被覆部材で被覆されている第2管路である場合とがある。センサ3は、第1管路での漏水の場合には、漏水点から第1距離で信号を検出可能であり、第2管路での漏水の場合には、漏洩点から第1距離よりも長い第2距離で信号を検出可能である。水道網40における複数のセンサ3は、管被覆部材有無情報を含む管路情報に基づいて、第1管路には、第1距離を基準とした間隔で配置され、第2管路には、第2距離を基準とした間隔で配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管路網における地中に埋設され水または他の物質の流体を流す管路に設置され、前記管路の振動を信号として検出するセンサを含む複数のセンサ端末と、
前記複数のセンサ端末と通信し、前記複数のセンサ端末の複数のセンサの検出信号データに基づいて、前記管路からの前記流体の漏洩を検知して結果を出力する計算機と、
を備え、
前記管路網の前記管路は、管被覆部材で被覆されていない第1管路である場合と、前記管被覆部材で被覆されている第2管路である場合とがあり、
前記センサは、前記第1管路での前記漏洩の場合には、漏洩点から第1距離で前記信号を検出可能であり、前記第2管路での前記漏洩の場合には、前記漏洩点から前記第1距離よりも長い第2距離で前記信号を検出可能であり、
前記管路網における前記複数のセンサは、
前記管路網における前記管被覆部材の有無の情報を含む管路情報に基づいて、
前記管路網における前記第1管路を含む第1領域には、前記第1距離を基準とした間隔で配置され、
前記管路網における前記第2管路を含む第2領域には、前記第2距離を基準とした間隔で配置されている、
漏水検知システム。
【請求項2】
請求項1記載の漏水検知システムにおいて、
前記計算機は、操作者の操作に基づいて、前記管路情報を参照して、前記管路網における前記複数のセンサの配置位置を計算し、計算結果のセンサ配置情報を出力する、
漏水検知システム。
【請求項3】
請求項1記載の漏水検知システムにおいて、
前記計算機は、前記センサ配置情報を画面に表示し、
前記画面は、前記管路網における、前記第1管路、前記第2管路、および前記複数のセンサの配置位置の表示を含む、
漏水検知システム。
【請求項4】
管路網における地中に埋設され水または他の物質の流体を流す管路に設置され、前記管路の振動を信号として検出するセンサを含む複数のセンサ端末と、
前記複数のセンサ端末と通信し、前記複数のセンサ端末の複数のセンサの検出信号データに基づいて、前記管路からの前記流体の漏洩を検知して結果を出力する計算機と、
を備え、
前記管路網の前記管路は、管被覆部材で被覆されていない第1管路である場合と、前記管被覆部材で被覆されている第2管路である場合とがあり、
前記計算機は、
前記複数のセンサの前記検出信号データに基づいて、前記管路からの前記流体の漏洩の有無または漏洩量の少なくとも一方を判定し、
前記判定の際、前記管路情報に基づいて、前記第1管路と前記第2管路に応じて異なる条件を適用して判定する、
漏水検知システム。
【請求項5】
請求項1記載の漏水検知システムにおいて、
前記計算機は、前記判定の際、前記管路情報に基づいて、前記センサが前記第1管路に対して設置されている場合には、前記信号の値に対し、第1閾値を含む条件を適用して判定し、前記センサが前記第2管路に対して設置されている場合には、前記信号の値に対し、第2閾値を含む条件を適用して判定する、
漏水検知システム。
【請求項6】
請求項1記載の漏水検知システムにおいて、
前記計算機は、前記判定の際、前記管路情報に基づいて、前記センサが前記第1管路に対して設置されている場合には、前記信号の値に対し、所定の閾値を含む条件を適用して判定し、前記センサが前記第2管路に対して設置されている場合には、前記信号の値に対し、所定の補正演算を行い、補正後の信号の値に対し、前記閾値を含む条件を適用して判定する、
漏水検知システム。
【請求項7】
請求項1記載の漏水検知システムにおいて、
前記計算機は、前記判定の際、前記管路情報に基づいて、前記センサが前記第2管路に対して設置されている場合には、前記信号の値に対し、所定の閾値を含む条件を適用して判定し、前記センサが前記第1管路に対して設置されている場合には、前記信号の値に対し、所定の補正演算を行い、補正後の信号の値に対し、前記閾値を含む条件を適用して判定する、
漏水検知システム。
【請求項8】
請求項1または4に記載の漏水検知システムにおいて、
前記計算機は、前記管路網において前記管路を介して配置されているそれぞれの2つの前記センサの組における前記信号について、相互相関方式に基づいて、前記管路上の前記漏洩の位置を判定する、
漏水検知システム。
【請求項9】
請求項1または4に記載の漏水検知システムにおいて、
前記管路網は、水道網であり、
前記センサ端末は、前記水道網の制水弁に設置されている、
漏水検知システム。
【請求項10】
管路網における地中に埋設され水または他の物質の流体を流す管路に設置され、前記管路の振動を信号として検出するセンサを含む複数のセンサ端末と、前記複数のセンサ端末と通信し、前記複数のセンサ端末の複数のセンサの検出信号データに基づいて、前記管路からの前記流体の漏洩を検知して結果を出力する計算機と、を備える漏水検知システムにおける漏水検知方法であって、
前記管路網の前記管路は、管被覆部材で被覆されていない第1管路である場合と、前記管被覆部材で被覆されている第2管路である場合とがあり、
前記センサは、前記第1管路での前記漏洩の場合には、漏洩点から第1距離で前記信号を検出可能であり、前記第2管路での前記漏洩の場合には、前記漏洩点から前記第1距離よりも長い第2距離で前記信号を検出可能であり、
前記管路網における前記複数のセンサを、前記管路網における前記管被覆部材の有無の情報を含む管路情報に基づいて、前記管路網における前記第1管路を含む第1領域には、前記第1距離を基準とした間隔で配置し、前記管路網における前記第2管路を含む第2領域には、前記第2距離を基準とした間隔で配置するステップを有する、
漏水検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上水道等の管路網における地中の埋設管の流体の漏洩を検知や推定するためのシステム等の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば上水道の水道管の漏水を検知や推定するためのシステム(漏水検知システムと記載する場合がある)が開発されている。従来技術例の漏水検知システムは、埋設管にセンサが設置され、センサによって埋設管の振動を検出する。このシステムは、センサから取得した検出信号の解析処理に基づいて、埋設管の漏水の有無や位置を判定する。
【0003】
漏水検知システムに係わる先行技術例として、特開2017−167063号公報(特許文献1)、特開平9−23483号公報(特許文献2)、特開2005−331374号公報(特許文献3)が挙げられる。
【0004】
特許文献1には、漏洩位置検出方法等として、閉回路レーダー装置を用いて、地中埋設管における流体の漏洩位置を特定する旨や、管を被覆して土壌との接触を防止する「遮液性被覆部材」等が記載されている。特許文献2には、管路破断検知システムとして、管路網の管路上に無線通信機能および漏水推定機能を備えたセンサを多数設置し、隣接するセンサが協調して分散的に漏水検知を行う旨が記載されている。特許文献3には、漏水監視装置等として、水道配管を伝わった漏水音振動を振動センサにて電気信号に変換し、漏水音振動が複数のどの漏水検出レベルに対応するかを判定する旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017−167063号公報
【特許文献2】特開平9−23483号公報
【特許文献3】特開2005−331374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、水道網における水道管の管路に対し、ポリエチレンスリーブ(PEスリーブ)等の管被覆部材が設置されている場合と設置されていない場合とがある。地域や年代、詳細な管路に応じて、管被覆部材の有無は混在している。例えば、自治体が水道管を新設する場合や、古い管を新しい管に交換する場合に、PEスリーブとのセットで管路が設置されている。この管被覆部材は、水道管の外周面が、水分等を含む土壌と接触することで腐食することを防止するための部材である。この管被覆部材は、水道管の外周を被覆するように配置されるスリーブ形状を有し、腐食防止機能や防水機能を持つ、ポリエチレン(PE)等の樹脂で構成される。
【0007】
従来技術例の漏水検知システムは、検知対象の管路におけるPEスリーブ等の管被覆部材の有無を考慮しておらず、管被覆部材の有無による漏水の特性や漏水検知への影響については考慮していない。従来技術例の漏水検知システムは、管路上に、漏水検知のためのセンサとして例えば振動センサが多数設置される。このセンサは、漏水点の付近の環境における管被覆部材の有無による影響は考慮されていない。このセンサは、例えば管被覆部材が無いことを前提とした検出特性のセンサとして設置されている。このセンサは、漏水点に対し、漏水を検知可能とする所定の距離、言い換えると、対応する漏水信号を検出可能とする所定の距離(漏水検知可能距離と記載する場合がある)を持つ。この距離は、管被覆部材の有無によらずに同じとされている。
【0008】
従来技術例の漏水検知システムは、管路網に、漏水検知可能距離に合わせた間隔や密度で複数のセンサが配置されている。漏水検知可能距離が短いほど、高密度に多数のセンサが配置される必要がある。そのため、従来技術例の漏水検知システムは、管路網に設置するセンサの数が多く、機器コストや管理コスト等を含め、高コストとなる場合がある。
【0009】
また、従来技術例の漏水検知システムは、計算機がセンサの検出信号を解析して漏水有無等を判定するが、その際、管路の管被覆部材の有無の影響については考慮されていない。そのため、従来技術例の漏水検知システムは、管路の漏水点の付近の管被覆部材の有無等の環境に応じて、漏水検知精度が低下する場合がある。
【0010】
上記のように、従来技術例の漏水検知システムは、センサ配置コストや漏水検知精度等の観点で改善余地があった。
【0011】
本発明の目的は、漏水検知システムの技術に関して、センサ配置コストの低減、または漏水検知精度の向上等を実現できる技術を提供することである。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の発明を実施するための形態の説明により明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のうち代表的な実施の形態は、以下に示す構成を有する。一実施の形態の漏水検知システムは、管路網における地中に埋設され水または他の物質の流体を流す管路に設置され、前記管路の振動を信号として検出するセンサを含む複数のセンサ端末と、前記複数のセンサ端末と通信し、前記複数のセンサ端末の複数のセンサの検出信号データに基づいて、前記管路からの前記流体の漏洩を検知して結果を出力する計算機と、を備え、前記管路網の前記管路は、管被覆部材で被覆されていない第1管路である場合と、前記管被覆部材で被覆されている第2管路である場合とがあり、前記センサは、前記第1管路での前記漏洩の場合には、漏洩点から第1距離で前記信号を検出可能であり、前記第2管路での前記漏洩の場合には、前記漏洩点から前記第1距離よりも長い第2距離で前記信号を検出可能であり、前記管路網における前記複数のセンサは、前記管路網における前記管被覆部材の有無の情報を含む管路情報に基づいて、前記管路網における前記第1管路を含む第1領域には、前記第1距離を基準とした間隔で配置され、前記管路網における前記第2管路を含む第2領域には、前記第2距離を基準とした間隔で配置されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明のうち代表的な実施の形態によれば、漏水検知システムの技術に関して、センサ配置コストの低減、または漏水検知精度の向上等を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態1の漏水検知システムの全体の構成を示す図である。
図2】実施の形態1の漏水検知システムで、計算機およびセンサ端末の構成を示す図である。
図3】実施の形態1の漏水検知システムで、主な動作や処理のフローを示す図である。
図4】実施の形態1の漏水検知システムで、水道網の構成例および設定画面例を示す図である。
図5A】実施の形態1の漏水検知システムで、PEスリーブ有無情報を含む管路情報の第1構成例を示す図である。
図5B】実施の形態1の漏水検知システムで、PEスリーブ有無情報を含む管路情報の第2構成例を示す図である。
図6】実施の形態1の漏水検知システムに関する、実験設備の概要構成を示す図である。
図7】実施の形態1の漏水検知システムに関する、PEスリーブの設置構成例を示す図である。
図8A】実施の形態1の漏水検知システムに関する、水道管の付近の環境および状態の第1例を示す図である。
図8B】実施の形態1の漏水検知システムに関する、水道管の付近の環境および状態の第2例を示す図である。
図8C】実施の形態1の漏水検知システムに関する、水道管の付近の環境および状態の第3例を示す図である。
図9】実施の形態1の漏水検知システムに関する、実験例におけるPEスリーブ有無による漏水振動強度の比較について示す図である。
図10】実施の形態1の漏水検知システムに関する、実験例におけるPEスリーブ有りの場合の漏水振動強度の時間変化について示す図である。
図11】実施の形態1の漏水検知システムに関する、漏水量と漏水検知可能距離との関係について示す図である。
図12】実施の形態1の漏水検知システムに関する、漏水有無判定方式の例について示す図である。
図13】実施の形態1の漏水検知システムに関する、漏水量判定方式の例について示す図である。
図14】実施の形態1の漏水検知システムで、PEスリーブ有無に応じた、漏水量とセンサの漏水検知可能距離との関係について示す図である。
図15A】実施の形態1の漏水検知システムで、PEスリーブ無しの場合のセンサ配置例について示す図である。
図15B】実施の形態1の漏水検知システムで、PEスリーブ有りの場合のセンサ配置例について示す図である。
図16】実施の形態1の漏水検知システムで、実装例における、管路条件およびPEスリーブ有無に応じたセンサの特性について示す図である。
図17A】従来技術例の漏水検知システムで、PEスリーブ有無情報を活用しない場合のセンサ配置例を示す図である。
図17B】実施の形態1の漏水検知システムで、PEスリーブ有無情報を活用した場合のセンサ配置例を示す図である。
図18】実施の形態1の漏水検知システムで、画面例として、PEスリーブ無しの場合のセンサ配置例を示す図である。
図19】実施の形態1の漏水検知システムで、画面例として、PEスリーブ有りの場合のセンサ配置例を示す図である。
図20A】本発明の実施の形態2の漏水検知システムで、漏水有無判定に係わる第1判定方式における、PEスリーブ無しの場合の条件について示す図である。
図20B】実施の形態2の漏水検知システムで、漏水有無判定に係わる第1判定方式における、PEスリーブ有りの場合の条件について示す図である。
図21】実施の形態2の漏水検知システムで、漏水有無判定に係わる第2判定方式の第1例について示す図である。
図22】実施の形態2の漏水検知システムで、漏水有無判定に係わる第2判定方式の第2例について示す図である。
図23A】実施の形態1および実施の形態2の漏水検知システムで、漏水位置判定に係わる相互相関方式について示す図である。
図23B】実施の形態1および実施の形態2の漏水検知システムで、漏水位置判定に係わる管路等の例を示す図である。
図23C】実施の形態1および実施の形態2の漏水検知システムで、相互相関方式に係わるペアリストの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。以下の記載および図面は、本発明を説明するための例示であって、明確にするために、適宜省略や簡略にされる場合がある。本発明は、他の種々の形態でも実施が可能である。各構成要素は、特に限定しない限り、単数、複数のいずれも可能である。図面では、原則として同一部には同一符号を付し、繰り返しの説明は省略する。同一あるいは同様の機能を持つ構成要素が複数ある場合には、同一の符号に添字を付した符号とする場合がある。図面に示す各要素の位置、大きさ、形状、範囲等は、発明の理解を容易にするために、実際の位置等を表していない場合がある。このため、本発明は、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲等には必ずしも限定されない。図面ではわかりやすく示すために断面ハッチングを省略する場合がある。
【0016】
以下の説明では、プログラム処理または情報処理について説明する場合がある。プログラムは、コンピュータ(計算機)のプロセッサ(処理装置または演算装置。例えばCPU、MPU、GPU等。)によって、適宜に記憶資源、入出力インタフェースまたは周辺デバイス(例えば通信ポート)等を利用しながら実行される。プログラム処理は、汎用的なソフトウェアプログラム処理による実装としてもよいし、FPGAやASIC等の専用のハードウェア回路等による実装としてもよい。プログラムは、データとして、記憶媒体(コンピュータ読み取り可能な記憶媒体)等に記憶されてもよい。プロセッサは、記憶媒体等からプログラムのデータを処理用のメモリ上(RAM等)に読み出し、プログラムに従った処理を実行する。これにより、所定の機能等が実現される。プログラム処理の主体は、基本的にはプロセッサであるが、プロセッサを持つコントローラ、計算機等の装置、ノード、またはそれらを含むシステム等としてもよい。プログラムのデータのソースは、通信網(例えばインターネット)上のサーバ(例えばプログラム配布サーバ)やデータベース等に格納されていてもよく、コンピュータへのインストールやダウンロード等によって利用する形態でもよい。1つのプログラムがさらに複数のプログラムから構成されてもよいし、複数のプログラムが1つのプログラムとして実装されてもよい。
【0017】
以下の説明では、各種の情報やデータを、テーブルやリスト等のデータ構造の表現で説明する場合があるが、各種の情報やデータは、このようなデータ構造以外で実現されてもよい。各種の情報やデータがデータ構造に依存しないことを示すために、「……情報」や「……データ」と記載する場合がある。識別情報について説明する場合に、「識別情報」「識別子」「ID」「番号」「名」等の表現を用いる場合があるが、これらは類似の表現であって置換可能である。
【0018】
(実施の形態1)
図1図19を用いて、本発明の実施の形態1の漏水検知システムについて説明する。実施の形態1の漏水検知システムは、埋設管インフラのモニタリングシステムの例であり、上水道の水道網の漏水検知システムとして適用する場合を示す。実施の形態1の漏水検知システムは、水道網の管路に設置される複数の振動センサを用いて、計算機のプログラム処理によって、水道管の漏水を検知や推定するシステムである。実施の形態1の漏水検知方法は、実施の形態1の漏水検知システムにおいて実行されるステップを有する方法である。自治体または事業者等は、実施の形態1の漏水検知システムを利用する。なお、この漏水検知システムは、例えば既存の水道管理システム等と並列的に接続される形態でもよいし、既存の水道管理システム等にこの漏水検知システムの機能が統合されて実装される形態でもよい。
【0019】
水道管理または漏水検知に係わる所定のユーザ(操作者とも記載する)は、実施の形態1の漏水検知システムに対し、このシステムが提供するグラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)となる画面等を通じて、指示や設定の入力操作を行う。ユーザは、この画面等を通じて、漏水検知の結果情報や、水道管理に係わる情報等の出力を受ける。ユーザは、この画面で、水道網の漏水の有無や位置等の状況を確認でき、作業者による漏水確認作業や修理工事等に速やかに連携することができる。
【0020】
実施の形態1の漏水検知システムは、自治体が地域の水道網に漏水検知用のセンサを設置する際や、既存のセンサ配置を見直す際に、好適なセンサ配置を提案することができる。実施の形態1の漏水検知システムは、例えば既存の水道管理システムから、PEスリーブ有無情報を含む管路情報を、入力、取得または参照し、メモリに記憶する。そして、漏水検知システムは、その管路情報を用いて、特有の処理を行う。漏水検知システムは、領域や管路のPEスリーブ有無に応じて、異なるセンサ配置を決定する。
【0021】
[漏水検知システム(1)]
図1は、実施の形態1の漏水検知システム10の構成、および地中の水道管4やセンサ3等の構成例を示す。実施の形態1の漏水検知システム10は、計算機1と、複数のセンサ端末2とを有する。センサ端末2には、漏水検知センサであるセンサ3が内蔵されている。漏水検知システム10は、センサ3として振動センサを用いる。漏水検知システム10は、管路の流体の漏洩を検知するシステムであり、特に、対象の水道網40に関する水道管4の水の漏洩、すなわち漏水を検知するシステムである。所定のユーザである操作者は、漏水検知システム10の計算機1に対する操作を行う。計算機1は、漏水検知システム10の主制御を行う部分であり、通信網30に接続されている。計算機1は、1台以上のPC、サーバ、ストレージ、通信機器等の要素から構成される計算機システム等でもよいし、クラウドコンピューティングシステム等で構成されてもよい。
【0022】
図1の下側に、水道網40を構成する一部分の水道管4等について、鉛直断面(X−Z面)で概要を示す。X方向は水平方向の一方向であり、Y方向は水平方向の他方向であり、Z方向は鉛直方向である。図1の下側では、ある土地に対応する地面50以下の地中において、水道管4等が埋設されている様子を示す。地中の土壌において、地面50からZ方向の所定の位置に、水道管4が埋設されている。本例では、水道管4は、X方向に延在する一本の管路であり、水道管4の一部分として、水道管WP1、水道管WP2、水道管WP3を有する。水道管4の途中には、制水弁5が設けられている。本例では、制水弁5は、水道管WP1と水道管WP2との間の制水弁WB1と、水道管WP2と水道管WP3との間の制水弁WB2とを有する。
【0023】
地面50には、作業者が保守等のために制水弁5等にアクセスするためのホール51が設けられている。ホール51は、ユーティリティエリア、ボックスとも呼ばれる。ホール51は、蓋を開けた空間内において、制水弁5が設置されている。ホール51内では、少なくとも制水弁5のうちの操作可能な弁の部分が露出しており、作業者による弁の操作が可能となっている。制水弁5は、例えば開閉の操作が可能である。制水弁5の開状態では、隣接する水道管4内を水が流れ、閉状態では、隣接する水道管4間で水が流れないようにせき止められる。
【0024】
水道網40の複数の制水弁5のうち、予め選択された位置の制水弁5には、センサ端末2が設置されている。本例では、制水弁WB1にセンサ端末ST1が、制水弁WB2にセンサ端末ST2が設置されている。センサ3として、センサ端末ST1にはセンサSS1が、センサ端末ST2にはセンサSS2が内蔵されている。センサ端末2は、制水弁5に対して取り付けおよび取り外しが可能になっている。センサ端末2のうちのセンサ3は、振動を検出するために、例えば制水弁5の表面に接するように固定されている。例えばホール51内の制水弁5のうちの上側に露出する一部の一箇所に、センサ端末2のセンサ3が接して固定されている。
【0025】
センサ端末2は、センサ3を備える無線通信端末装置である。各々のセンサ端末2は、通信網30を通じて、計算機10と通信可能なように接続されている。通信網30は、公知の無線通信網や有線通信網を含む。通信網30は、無線通信網を構成する基地局31を有する。センサ端末2は、無線通信機能を備え、基地局31との無線通信を行う。これにより、計算機1と各センサ端末2とが通信網30を介して通信可能である。なお、センサ端末2に、GPS受信器等による測位機能を備えてもよい。その場合、計算機1は、各センサ端末2の位置を、そのGPS等による位置情報を用いて把握し、管理することもできる。
【0026】
センサ3は、制水弁5を通じて水道管4の振動または音を検出する振動センサである。振動センサは、加速度センサ、変位センサ、マイク等であってもよい。なお、センサ3は、アクセスしにくい土壌中の水道管4に直接的に設置されるのではなく、アクセスしやすい制水弁5に設置される。センサ3が制水弁5に設置されていても、水道管4の漏水振動を十分に高精度に検出可能である。また、作業者は、制水弁5の作業の際に、併せて、センサ端末2に関する設置や点検等の作業を行うことが可能である。
【0027】
制水弁5は、水道管4の水流を制御するための弁であり、仕切り弁や制御弁等と呼ばれる場合もある。制水弁5内には、水道管5内の水をせき止めるための弁体がある。水道管4の漏水が発生した場合、その漏水がある管路に係わる制水弁5は、閉状態にされる。なお、水道管4の端部と制水弁5とが物理的に接続されているので、漏水振動は、水道管4から制水弁5を通じてセンサ3に伝達される。
【0028】
また、水道管4には、管被覆部材として、PEスリーブ6が設置されている場合と、PEスリーブ6が設置されていない場合とがある。本例では、水道管WP1,WP3にはPEスリーブ6が設置されておらず、水道管WP2にはPEスリーブ6(PEスリーブSL1)が設置されている場合を示す。水道管WP2の外周がPEスリーブSL1によって覆われており、PEスリーブSL1の外周に土壌がある。なお、通常、PEスリーブ6の設置の有無は、水道網40の地域や領域毎にある程度まとめての設置となることが多いが、図1では、説明のために、近接した水道管4の部分的な管路毎にPEスリーブ6の有無が混在している場合を示す。領域81,83は、PEスリーブ6が設置されていない領域を示し、領域82は、PEスリーブ6が設置されている領域を示す。
【0029】
また、図1では、漏水点の例として、水道管WP2の途中の一点の漏水点PXを示す。水道管4のX方向において、制水弁WB1の位置を位置p1とし、制水弁WB2の位置を位置p2とする。制水弁WB1の位置p1と制水弁WB2の位置p2との距離を距離L1とする。漏水点PXの位置を位置pxとする。制水弁WB1の位置p1と漏水点PXの位置pxとの距離を距離X1とし、制水弁WB2の位置p2と漏水点PXの位置pxとの距離を距離X2とする。X1+X2=L1である。なお、制水弁5の位置p1,p2や距離L1等の情報は、漏水検知システムまたは水道管理システムにおいて管路情報等として保持されている。
【0030】
漏水点PXからの漏水が発生した場合、水道管4の管路上、図示のX方向の左右において、それぞれ、漏水振動71,72が伝達される。センサSS1は、漏水振動71を検出する。センサSS2は、漏水振動72を検出する。各制水弁5のセンサ3には、複数の管路が接続されている場合がある。例えば、制水弁WB1のセンサSS1は、図示のX方向の右側の水道管WP2からの振動だけでなく、左側の水道管WP1からの振動も検出する。
【0031】
計算機1とセンサ端末2との間では、所定の通信方式で通信を行う。特に基地局31とセンサ端末2との間では、所定の無線通信方式で通信を行う。例えば、計算機1は、センサ端末2へ要求を送信し、要求を受信したセンサ端末2は、検出信号データを計算機1へ送信する。なお、計算機1とセンサ端末2との間には、構成要素として、別の通信装置が介在してもよい。例えば、複数のセンサ端末2のうち、ある程度の数のセンサ端末2を1つのグループとして、グループ単位に、中継装置が配置されてもよい。その中継装置は、計算機1と、グループの複数のセンサ端末2との間で、データの中継等を行う。あるいは、複数のセンサ端末2のうちの一部のセンサ端末2に、代表として中継機能等を備えてもよい。そのセンサ端末2は、グループ内の他のセンサ端末2からデータを取得し、計算機1へ送信する。
【0032】
計算機1は、複数のセンサ端末2から、モニタリングとして、定期的に、検出信号データを取得する。計算機1は、複数のセンサ端末2から収集した検出信号データを用いて、解析処理を行い、漏水の有無や量や位置等を判定する。計算機1は、検知結果情報を、メモリに記憶し、画面に表示してユーザに伝える。計算機1は、例えば、画面において水道網のマップ上に、漏水が発生した管路や位置等の情報を表示する。また、予め、計算機10は、画面で、水道網40の複数の制水弁5に対する複数のセンサ3の配置を表示し、ユーザによるセンサ配置の確認や設定を可能とする。また、ユーザが計算機1とは別のPC等のクライアント端末装置から計算機1にアクセスして機能を利用する形態としてもよい。
【0033】
なお、センサ端末2にセンサ3を内蔵する構成としたが、これに限らず可能である。センサ3と無線通信装置とが別体で構成され、それらが離れた位置に設置されて電気的に接続される構成としてもよい。その無線通信装置は、制水弁5ではなく他の物の位置に設置されてもよい。
【0034】
[漏水検知システム(2)]
図2は、計算機1およびセンサ端末2の構成を示す。計算機1は、プロセッサ101、メモリ102、表示装置103、入力装置104、通信装置105等を有し、それらがバスを通じて接続されている。センサ端末2は、プロセッサ201、メモリ202、バッテリ203、通信装置205、センサ3等を有し、それらがバスを通じて接続されている。
【0035】
計算機1のプロセッサ101は、CPU、ROM、RAM等で構成され、プログラムに従った処理を実行することで、漏水検知機能110を実現する。漏水検知機能110は、複数のセンサ端末2からの定期的な検出信号データの取得と、検出信号データの解析に基づいた漏水検知と、漏水検知結果出力との各機能を含む。漏水検知は、漏水有無、漏水量、漏水位置等の判定を含む。プロセッサ101は、各部を制御し、メモリ102に各種の情報やデータを記憶する。メモリ102には、情報やデータ120として、設定情報d1、管路情報d2、センサ管理情報d3、検出信号データd4、漏水検知結果情報d5、センサ配置情報d6等を含む。メモリ102には、その他、画面データ、地図データ等が記憶される。なお、各種のデータは、計算機1の外部のデータベースサーバ等に記憶されていてもよい。
【0036】
設定情報d1は、漏水判定方式に関する設定や、条件の閾値等の設定値を含み、システム管理情報に相当する。設定情報d1または管路情報d2には、判定計算用に、水道管4の種類や形状や寸法や材質等の情報、振動音の伝播速度等の設定値を含んでもよい。
【0037】
管路情報d2は、水道網40の管路や制水弁5の構成を表す情報であり、PEスリーブ有無情報(管被覆部材有無情報)を含む。PEスリーブ有無情報は、管路または管路を含む領域におけるPEスリーブ(管被覆部材)の設置の有無を含む情報であり、詳しくは、管被覆部材の種類や形状や寸法や材質、設置時期等の情報を含んでもよい。なお、自治体等が保持している既存の管路情報には、少なくとも水道網40の管路や制水弁5を含む図形的な情報が含まれている。よって、漏水検知システム10は、その管路情報を利用して、管路情報d2を構成し、センサ配置および漏水判定に利用することができる。管路情報d2のデータ構造等については特に限定されない。
【0038】
センサ管理情報d3は、複数のセンサ3に関する管理情報であり、センサ3毎のIDや位置、測定条件の設定情報等を含む。なお、センサ端末2のIDとセンサ3のIDとは同じIDとしてまとめてもよい。センサ3の位置は制水弁5の位置と同じとしてまとめてもよい。測定条件は、例えばサンプリング周波数、周波数帯域等が挙げられる。
【0039】
検出信号データd4は、センサ端末2から取得したセンサ3の検出信号データD(t)であり、振動強度値を含む。なお、計算機1は、検出信号データd4の履歴を保存してもよいし、画面にグラフを表示してもよい。
【0040】
漏水検知結果情報d5は、漏水有無、漏水量、漏水位置等の検知結果情報であり、画面に表示するための情報を含む。なお、計算機1は、詳細な解析データを保存してもよい。
【0041】
センサ配置情報d6は、水道網40に対する複数のセンサ3の配置に関する設定情報であり、管路情報d4やセンサ管理情報d3と関連付けられる。センサ端末2が制水弁5に設置されるので、センサ配置情報d6におけるセンサ配置位置は、制水弁5のIDや位置で表すことができる。センサ配置情報d6またはセンサ管理情報d3は、センサ3の漏水検知可能距離、センサ3の組のセンサ間距離、センサ3を配置する際の基準となる間隔距離、等の情報を含んでもよい。管路情報d2、センサ管理情報d3、またはセンサ配置情報d6には、相互相関方式で漏水位置を判定する際に用いるセンサ3の組に関する情報(後述のペアリスト)を含む。
【0042】
表示装置103は、表示画面を有し、漏水検知システム10のGUI画面が表示される。このGUI画面には、後述の設定画面等がある。入力装置104は、ユーザが入力操作を行うための各種の装置である。通信装置105は、通信網30との通信処理を行う所定の通信インタフェース装置であり、無線通信インタフェース装置でもよい。
【0043】
センサ端末2のプロセッサ201は、CPU、ROM、RAM等で構成され、プログラムに従った処理を実行することで、漏水信号検出に係わる機能210を実現する。この機能210は、水道管4の漏水信号の検出および記憶と、定期的な検出信号データの送信との各機能を含む。プロセッサ201は、各部を制御し、メモリ202に各種の情報やデータ220を記憶する。メモリ202には、各種の情報やデータ220として、検出信号データ、センサ管理情報等を含む。検出信号データは、時系列で測定される検出信号データD(t)を含むデータである。センサ管理情報は、計算機1側のセンサ管理情報d3と対応した、個別のセンサ3に関する設定情報や管理情報である。
【0044】
バッテリ103は、センサ端末2の動作のための電力を供給する。通信装置205は、アンテナを含む無線通信インタフェース装置であり、通信網30の基地局31との無線通信処理を行う。
【0045】
センサ3は、センサ管理情報に基づいて設定されている測定条件に基づいて測定動作する。センサ3は、時系列上の振動または音を検出して検出信号データD(t)として出力する。センサ端末2は、センサ3の検出信号データD(t)をメモリ202に格納する。測定条件は、1回の測定の際の測定時間、信号をサンプリング等で測定する際の時間間隔や周波数、等が挙げられる。センサ端末2は、計算機1からの検出信号の要求を受信した場合には、メモリ202から検出信号データを読み出して、所定のパケット等の形式で、計算機1へ宛てて送信する。また、センサ端末2は、計算機1から、設定指示および設定情報(対応するセンサ管理情報等)を受信した場合には、その設定情報をメモリ202に記憶する。
【0046】
上記のように、実施の形態1の漏水検知システム10の計算機1は、無線通信を用いてセンサ3の検出信号データを収集する。漏水検知システム10は、無線通信を用いるので、複数のセンサ端末2からの検出信号データの収集を、自動的に行うことができる。これにより、作業者によるセンサ検出信号データ収集の手間は最低限にできる。
【0047】
なお、センサ端末2のバッテリ203の消費電力を抑制するために、センサ端末2を常時稼動状態とするのではなく、通常時にはスリープ状態として制御する形態が好ましい。例えば、センサ端末2は、通常時には、測定を行わずに、電源に関してスリープ状態となり、所定の時間になったら通常稼動状態に復帰して計算機1からの指示や要求を待ち受ける。センサ端末2は、その状態で、バッテリ203の電力を用いながら、センサ3による測定を行い、検出信号データを計算機1へ送信し、その後にスリープ状態に遷移する。あるいは、以下のような形態も可能である。センサ端末2は、設定されている所定のタイミングで、スリープ状態から復帰して、センサ3を用いて測定を行い、検出信号データをメモリ202に格納しておき、その後にスリープ状態に遷移する。センサ端末2は、所定の時間になったら、スリープ状態から復帰し、メモリ202に保持されている検出信号データを読み出して、計算機1へ送信する処理を行い、その後に再びスリープ状態に遷移する。計算機1とセンサ端末2との間の通信のタイミングは、消費電力等を考慮して任意に設定可能である。
【0048】
また、以下のような形態も可能である。センサ端末2は、設定された時間に起動および測定を行い、検出信号データに対する所定の処理(センサ端末2側での簡易的な漏水判定処理)を行う。センサ端末2は、その処理の結果、異常があると判定した場合、直ちに、計算機1へ検出信号データ(簡易的な漏水判定結果情報を添付してもよい)を送信する。センサ端末2は、その処理の結果、何も異常が無いと判定した場合、スリープ状態に戻る。計算機1は、センサ端末2からの検出信号データを受信した場合、最終的な漏水判定処理を行う。
【0049】
なお、センサ端末2と計算機1または基地局31との間の無線通信に関しては、低コスト、低消費電力、および広範囲の無線通信方式として、例えば公知のLPWA(Low Power Wide Area)やLPWAN(Low Power Wide Area Network)等が適用可能である。
【0050】
なお、計算機1はセンサ3の検出信号データから振動強度値を算出する。これに限らず、センサ端末2がセンサ3の検出信号データから振動強度値を算出してもよい。センサ端末2のプロセッサ201は、センサ3で測定した検出信号データについて、所定の演算処理を施してもよい。その処理の例は、フーリエ変換処理、周波数フィルタ処理、データ圧縮処理、等が挙げられる。
【0051】
[動作および処理]
図3は、漏水検知システム10の主な動作や処理の例のフローを示す。まず、システム設定の際のフローは以下の通りである。システム設定の際、ユーザは、水道網40における複数のセンサ3(対応するセンサ端末2)の配置等を設定する。
【0052】
ステップS1で、計算機1は、ユーザの操作に基づいて、設定画面におけるセンサ配置設定欄を表示する。計算機1は、ユーザの操作(例えばセンサ配置計算指示入力)に基づいて、対象の水道網40における複数のセンサ3(対応するセンサ端末2)の配置位置を計算し、計算結果のセンサ配置情報を、ユーザに対し提案、推奨するセンサ配置情報として、センサ配置設定欄に表示する。その際、計算機1は、PEスリーブ有無情報を含む管路情報d2に基づいて、好適なセンサ配置を決定する。センサ配置設定欄では、例えば、水道網40の管路のマップ上に、制水弁5やセンサ3の位置、PEスリーブ有無等の情報が表示される。また、ユーザは、センサ配置設定欄のセンサ配置情報を確認し、適宜に一部を修正し、そのセンサ配置に決定する場合には、保存の操作を行う。修正としては、例えば、ユーザは、計算機1によるセンサ配置情報のうち、所望の制水弁を選択して、センサ3の配置の有無を切り替えることができる。また、ユーザは、センサ配置設定欄で、センサ3の漏水検知可能距離等の設定やその確認ができる。計算機1は、それらの設定をセンサ配置情報d6に保存する。なお、計算機1の計算によって自動的にセンサ配置を決定することのみならず、設定画面でユーザが手動で1つずつセンサ3の配置を設定することも可能である。
【0053】
ステップS2では、ユーザは、設定画面の他の設定項目欄で、適用する漏水判定方式やその閾値等の条件を設定することができる。閾値にはデフォルト閾値が用意されている。また、ユーザは、設定画面の他の設定項目欄で、定期的なモニタリングの時間周期や日時等を設定することができる。計算機1は、それらの設定を設定情報d1に保存する。また、ユーザは、設定画面の他の設定項目欄で、各センサ3に適用する測定条件等を設定可能である。計算機1は、それらの設定をセンサ管理情報d3に保存する。
【0054】
ステップS3では、その後の作業者による作業として、上記設定されたセンサ配置情報に従って、水道網40の指定位置の制水弁5に、複数のセンサ端末2が設置される。その際、予め、各センサ3の測定条件や、各センサ端末2の動作設定(スリープ制御に関する設定を含む)等も設定される。例えば、計算機1からセンサ端末2へ、設定のため指示や情報を送信する通信によって、センサ端末2にセンサ管理情報等を設定してもよい。
【0055】
上記システム設定後で運用開始後における漏水検知のフローは以下の通りである。このフローは、例えば定期的なモニタリングとして繰り返しループで実行される。
【0056】
ステップS11で、計算機1は、設定情報d1に従って、定期的なタイミング(例えば1日1回)で、複数のセンサ端末2から、検出信号データを取得、収集する。次の通信のタイミングで、計算機1は、検出信号データに関する要求をセンサ端末2へ送信する。この要求には、対象のセンサ端末2のID等の情報が含まれる。センサ端末2は、計算機1からの要求を受信した場合、測定した検出信号データまたは測定済みの検出信号データを、応答として計算機1へ送信する。センサ端末2は、例えばセンサ端末2のID等の情報と、検出信号データとを含むパケットを作成し、無線通信で送信し、その後にスリープ状態に戻る。なお、センサ端末2から計算機1へ複数回分の測定の検出信号データをまとめて送信することも可能である。計算機1は、センサ端末2から受信した検出信号データを検出信号データd4としてメモリ102に格納する。
【0057】
なお、定期的なモニタリングに限らず、ユーザが計算機1に所定の指示を入力した任意のタイミングで、計算機1から要求を送信して検出信号データを取得することも可能である。すなわち、ユーザによる任意のタイミングで漏水検知を行わせることも可能である。
【0058】
ステップS12で、計算機1は、各センサ3の検出信号データに関する解析処理を行うことで、漏水判定用の振動強度値等の情報を得る。解析処理は、例えば、公知のフーリエ変換処理、周波数フィルタ処理、等が挙げられる。
【0059】
ステップS13で、計算機1は、各センサ3の検出信号データに関して、管路情報d2に基づいて、そのセンサ3に関連付けられる管路(すなわちセンサ3間および制水弁5間の部分的な管路)、制水弁5、PEスリーブ6の有無、センサ3の組(対応するペアリスト)等の情報を確認する。これらの情報は以下の処理で用いられる。
【0060】
計算機1は、判定方式および閾値等の設定情報d1を確認し、その設定情報d1に従って、以下のように漏水有無等の判定処理を行う。まず、ステップS14で、計算機1は、設定情報d1から、判定方式に係わる閾値等の条件を参照する。
【0061】
ステップS15で、計算機1は、各センサ3の検出信号データの振動強度値と、判定方式に応じた各閾値とを比較することで、対象の管路(すなわちセンサ3間および制水弁5間の部分的な管路)における漏水有無を判定する。その際、計算機1は、対象の管路を介して隣り合う組の2つのセンサ3の検出信号を用いて、漏水有無を判定する。
【0062】
上記漏水判定の際には、対象管路のセンサ3の検出信号の振動強度値と、閾値とが比較される。その結果、例えばその振動強度値がその閾値以上である場合、「漏水有り」と判定され、その振動強度値がその閾値未満である場合、「漏水無し」と判定される。「漏水有り」状態は、対象管路で漏水が発生している可能性が高いと判定された状態を指す。逆に、「漏水無し」状態は、対象管路で漏水が発生している可能性が低いと判定された状態を指す。計算機1は、漏水有無判定結果情報を、漏水検知結果情報d5に保存する。
【0063】
ステップS16は、漏水有無判定の結果に応じた分岐である。「漏水有り」と判定された場合(S16−Y)にはステップS17へ進み、「漏水無し」と判定された場合(S16−N)にはステップS19へ進む。
【0064】
ステップS17では、さらに、計算機1は、相互相関方式に基づいた漏水位置判定を行う。計算機1は、相互相関方式で、隣り合うペアとなる2つのセンサ3の情報を用いて漏水位置判定を行う。なお、この相互相関方式自体は、公知技術を用いることができ、詳細については後述する。
【0065】
この際、計算機1は、ステップS15の判定結果で「漏水有り」と判定された、対象の部分的な管路における漏水位置を計算する。この漏水位置は、例えば図1のような漏水点PXの位置pxであり、各センサ3(SS1,SS2)の位置からの漏水点PXの位置pxまでの距離X1,X2と対応している。計算機1は、漏水位置判定結果情報を、漏水検知結果情報d5に保存する。
【0066】
ステップS18で、計算機1は、さらに、漏水量判定を行う設定である場合には、漏水量判定を行う。漏水量判定を行わない設定である場合には、ステップS18の処理を省略できる。計算機1は、漏水量判定を行う場合、ステップS15の漏水有無判定およびステップS17の漏水位置判定の結果情報を用いて、漏水量を判定する処理を行う。その際、計算機1は、漏水有りの場合に、所定の判定方式に基づいて、対象の管路における漏水量の大きさを、例えば概略的に大中小の3つのレベルで判定する。計算機1は、漏水量判定を行った場合には、漏水量判定結果情報を、漏水検知結果情報d5に保存する。
【0067】
センサ3の信号強度は、漏水量と漏水位置(漏水点からセンサ3までの距離)との2つのパラメータに依存する。よって、本フローのように、判定処理順序は、漏水有無(ステップS15)、漏水位置(ステップS17)、漏水量(ステップS18)という順序となる。ステップS17で漏水位置が特定された場合、その漏水位置からセンサ3までの距離がわかるので、ステップS18で、計算機1は、漏水信号の減衰度合いを考慮した閾値を用いて、漏水量のレベルの判定を行うことができる。
【0068】
ステップS19で、計算機1は、漏水有無や漏水位置等の判定結果情報を含む漏水検知結果情報d5に基づいて、漏水検知結果情報をユーザに対して出力する。具体的には、計算機1は、漏水検知結果情報を含む画面(漏水検知結果画面)を表示する。この画面には、例えば水道網40の管路のマップ上において、部分的な管路毎あるいはその管路を含む領域毎の漏水有無状態、対応する制水弁5およびセンサ3の位置、漏水有りの場合には漏水量や漏水位置、等の情報が表示される。また、この画面では、ユーザによる部分的な管路または領域の選択操作に応じて拡大表示し、漏水位置等の詳細情報を表示するようにしてもよい。また、計算機1は、漏水検知結果情報を、アラートとして、音声やメール等でユーザに対して即時に通知してもよい。計算機1は、漏水量のレベルに応じて異なるアラート等の対処処理を行ってもよい。なお、漏水無しと判定された場合には、正常状態としてユーザへの出力を行わず、漏水有りと判定された場合のみにユーザに対する出力を行うようにしてもよい。
【0069】
変形例の漏水検知システムとしては、漏水有無判定のみを行い、漏水位置判定等を行わない形態も可能である。その場合、計算機1は、漏水有りと判定した場合に、そのセンサ3に関連付けられる管路または領域を特定し、その管路または領域の情報を、漏水が発生している可能性がある管路または領域であるとして、ユーザに対し出力する。また、計算機1は、例えば漏水有りと判定された管路に係わるセンサ3の検出信号データまたは振動強度値のグラフを作成して画面に表示してもよい。
【0070】
[水道網、設定画面]
図4は、水道網40の一部の管路等の具体的な構成例を示し、特に、計算機1が提供するセンサ配置に関する設定画面内に、その管路等を表示する例を示す。図4の画面は、水道網40の管路等の構成やセンサ配置を確認および設定することができる設定画面例である。図4の画面は、地域選択項目401と、マップ欄400と、センサ距離項目402と、センサ配置計算ボタン403とを含む。地域選択項目401では、ユーザが対象地域を選択、指定可能である。マップ欄400には、管路情報d2やセンサ配置情報d6に基づいて、対象地域の管路網やセンサ配置が表示される。本例のマップ欄400では、管路網のみを表示する場合であり、管路網を構成する水道管4が黒色実線で表現され、制水弁5が白丸点で表現されている。また、本例では、この地域の管路網はすべてPEスリーブ有りの水道管4である場合を示す。マップ欄400では、管路毎または領域毎のPEスリーブの有無についても、所定の表現(例えば実線と破線、異なる色等)で区別して表示される。なお、一般の地図上に管路網を重ねて表示することも可能である。
【0071】
センサ距離項目402は、使用するセンサ3の漏水検知可能距離として、PEスリーブ有無に応じた距離が表示され、ユーザによるその距離の設定も可能である。センサ配置計算ボタン403は、ユーザが計算機1にセンサ配置の計算を指示するボタンである。
【0072】
ユーザは、この画面で、対象地域の管路網の構成や、使用するセンサ3の漏水検知可能距離等を確認し、センサ配置を決定したい場合には、センサ配置計算ボタン403を押す。計算機1は、その指示に従い、対象の管路網に対する複数のセンサ3の好適なセンサ配置を計算し、センサ配置情報をマップ欄400に表示する。
【0073】
[管路情報、PEスリーブ有無情報]
図5Aおよび図5Bは、管路情報d2に関する補足説明図を示す。図5Aは、管路情報d2の第1構成例として、地域における領域毎にPEスリーブ有無情報を持つ場合の例を示す。本例では、管路網を、簡略的にマトリクス形状のような構成で示す。ここでは、実線は水道管4の管路を示し、破線はPEスリーブ6を示す。白丸点は制水弁5を示す。本例では、ある地域の管路網において、PEスリーブ有りの管路を含む領域501(エリアA01)と、PEスリーブ無しの管路を含む領域502(エリアA02)とが並列で存在する場合を示す。管路情報d2の構成として、領域毎に、それに含まれる管路や制水弁5の情報が関連付けられている。管路情報d2において、領域毎に、PEスリーブ有無が設定されている。
【0074】
例えば、ある方向に延在している水道管W1は、部分的な管路として、水道管wp1,wp2,wp3,wp4,wp5等を有する。水道管W1上には、制水弁5として、制水弁b1,b2,b3,b4,b5,b6等を有する。エリアA01には、水道管wp1,wp2,wp3、制水弁b1,b2,b3,b4等が含まれている。そして、エリアA01は、PEスリーブ有りの領域501として設定されている。エリアA02には、水道管wp4,wp5、制水弁b4,b5,b6等が含まれている。そして、エリアA02は、PEスリーブ無しの領域502として設定されている。
【0075】
図5Bは、管路情報d2の第2構成例として、部分的な管路毎にPEスリーブ有無情報を持つ場合の例を示す。例えば、水道管W1において、制水弁b1と制水弁b2との間を接続している水道管wp1には、PEスリーブ6としてPEスリーブps1が設置されている。同様に、水道管wp2にはPEスリーブps2、水道管wp3にはPEスリーブps3といったように設置されている。管路情報d2において、水道管wp1等の部分的な管路単位毎に、PEスリーブ有無またはPEスリーブのID等の情報が設定されている。
【0076】
なお、センサ配置情報d6では、管路情報d2に基づいて、制水弁5毎にセンサ3の配置有無が設定可能である。例えば、制水弁b1にセンサSS1(対応するセンサ端末2)を設置する場合(白丸点内の黒丸点として示す)、センサSS1のIDおよび位置と制水弁b1のIDおよび位置とを関連付けるようにして情報が保持される。同様に、制水弁b2にセンサSS2を設置する場合、センサSS2のIDおよび位置と制水弁b2のIDおよび位置とを関連付けるようにして情報が保持される。また、相互相関方式に関しては、2つのセンサ3を1つの組として複数の組が設定される。例えば、制水弁b1のセンサSS1と制水弁b2のセンサSS2との組が、ペアリストに設定される。
【0077】
[課題等]
次に、以下では、実施の形態1等の漏水検知システム10の設計に係わる、本発明者による実験および検討結果等について説明し、それに併せて、従来技術例の漏水検知システムの構成や課題、実施の形態1等の漏水検知システム10での工夫等について説明する。
【0078】
[実験設備]
図6は、実施の形態1の漏水検知システム10の設計に係わる、漏水検知のための実験設備の概要を示す。本発明者は、管路の付近の環境における管被覆部材の有無の影響について、図示のような実験設備に基づいて実験を行った。図6の実験設備は、地中の土壌に埋設されている水道管601を有する。水道管601は、埋設管、配管、管路等と呼ばれる場合もある。本例では、水道管601は、地面から鉛直方向(Z方向)で所定の位置において、水平方向(X方向)に延在している1本の管路である。実験例では、この水道管601は、呼び径が100mmで長さが100mを超えるダクタイル鋳鉄管から構成されている。
【0079】
この水道管601の水平方向において、所定の位置に、実験用の注水点P1を有する。注水点P1から水道管601内に注水される。注水点P1に対し、所定の距離DX1の位置には、実験用の漏水点P2を有する。漏水点P2は、擬似的な漏水を発生させる箇所である。漏水点P2は、例えば水道管601の外周の一箇所に、所定の形状やサイズで、開閉可能な穴が設けられる。実験では、予め漏水点P2の穴を閉じた状態で、注水点P1から一定の圧力で注水され、水道601管内の空気抜きが行われる。十分に空気が抜けた状態で、漏水点P2の穴を開いた状態として、疑似的な漏水が発生される。なお、本例では、水道管601内で図示のX方向の右から左への方向で水が流れている。漏水点P2からは、漏水振動602が、X方向の左右に伝達される。この実験設備で、漏水点P2の外周の付近の環境605は、土壌である。
【0080】
水道管601において、漏水検知用にセンサ603が設置される。センサ603は、振動センサであり、水道管601を伝達する振動または音を検出する。図6の実験設備では、注水点P1と漏水点P2との間において、漏水点P2から注水点P1への方向(X方向で左から右への方向)で、所定の距離DX2での一定間隔の位置毎に、センサ603が設置されている。本例では、複数のセンサ603として、センサs1〜s5を有する。各センサ603は、漏水点P2での漏水に応じて発生し水道管601を伝達する漏水振動602を検出する。漏水検知システムの計算機は、センサ603から検出信号データを取得する。計算機は、その信号の解析によって、水道管601における漏水の有無の判定、漏水量の予測、漏水位置の判定等を行う。
【0081】
なお、実運用では、地中に埋設されている水道管の表面にセンサが設置されるのではなく、設置やアクセスの容易さから、前述のように制水弁5にセンサ3が設置される。センサの設置箇所が水道管であるか制水弁であるかの違いによる振動検出への影響は、漏水による影響に比べて微小であるため、無視することができる。また、図6の水道管601の両端は開口であり、X方向で右から左への方向に水流があるが、水流の方向の違いに応じた振動検出への影響も微小であるため、無視することができる。
【0082】
[PEスリーブ(管被覆部材)]
図7は、公知技術である、水道管に対するPEスリーブの設置例について示す。PEスリーブは、管と土壌との直接的な接触を断つことで、管の腐食防止等を実現する管被覆部材である。図7では、鉛直断面で、地中の土壌に埋設されている水道管701およびPEスリーブ706の一部として、特に、水道管701の部分的な管路を構成する管路部材同士の接合部708の付近におけるPEスリーブ706の設置概要を示す。水道管701の外周表面がPEスリーブ706で覆われている。水道管701の外周表面とPEスリーブ706の内面との間には、土壌や地下水が入らないようにして、概ね密着されている。X方向でPEスリーブ706の部材同士は、ゴムバンドおよび締め具709を用いて、外部から土壌および水分が浸入しないように、水道管701の周りに固定されている。水道管701の継ぎ手を含む接合部708の付近では、破れ防止のため、PEスリーブ706にたるみが設けられている。
【0083】
日本において地中に埋設されている水道管であるダクタイル鋳鉄管については、1975年に「JCPA Z 2005」(ダクタイル鋳鉄管防食用ポリエチレンスリーブ規格)が制定され、腐食防止対策としてPEスリーブの適用が始まった。ただし、PEスリーブの実際の適用時期や適用方針は、上下水道を管理している各自治体で異なる。すなわち、各自治体の各地域の水道管において、PEスリーブの設置の有無は混在している。PEスリーブが適用されている地域の場合、図7のように、水道管701の設置時にPEスリーブ706によって覆われて地中に埋設されている。これにより、水道管701が周辺の土壌や水分と直接触れないようにされて、腐食防止効果が得られる。この結果、PEスリーブが設置されている管路網では、腐食を原因とする漏水の発生が減少した。ただし、PEスリーブ付きの水道管の埋設後においても、例えばガス工事や分岐・増設工事等の他工事によるPEスリーブの破壊や、地震によるPEスリーブの緩みや亀裂等の可能性がある。これに伴う漏水は防止できないので、漏水検知の必要性がある。
【0084】
[実験による知見(1)−漏水点の付近の環境、特性]
本発明者は、上記実験設備を用いた漏水検知の実験の結果、以下のような知見を得た。まず、水道管601の漏水点P2の付近の環境の違いに応じて、センサ603が検出する振動強度に違いがみられた。例えば、水道管601の漏水点P2の付近の環境が、土壌から空気中に変化する場合と、土壌から水中に変化する場合とでは、振動強度が著しく異なった。図8A図8B、および図8Cは、漏水点P2の付近の環境の違い、および漏水の特性の違いについて示す。
【0085】
図8Aは、漏水点P2の付近の環境605において、漏水が無く、水道管601の外周の表面に土壌のみが被せられるように接している状態を示す。図8Aの状態は、管路にPEスリーブが設けられていない場合に対応する。
【0086】
図8Bは、図8Aの状態から、さらに、漏水によって付近の土壌が削られて、空気610の空間ができた状態を示す。この状態では、水道管601の漏水点P2からの漏水の多くが空気610中に放出されており、説明上、「空気中放出」の環境と記載する。
【0087】
図8Cは、図8Bとは異なる環境605として、水道管601の漏水点P2の付近で外周に、管被覆部材であるPEスリーブ606が有る場合を示す。この水道管601は、埋設の際に、外周がPEスリーブ606で覆われた後に土壌が被せられている。図8Cの状態は、水道管601からの漏水が、水道管601の外周とPEスリーブ606との間の空間に溜まることで、水620が充満した状態である。この状態では、水道管601の漏水点P2からの漏水の多くが水620中に放出されており、説明上、「水中放出」の環境と記載する。
【0088】
本発明者は、上記実験設備に基づいて、図8A図8BのようにPEスリーブ無しの環境605の場合と、図8CのようにPEスリーブ有りの環境605の場合とで、センサ603による振動強度の測定を行った。具体的な実験結果において、漏水量が同じで、漏水点P2から同じ距離の位置のセンサ602によって検出された信号の振動強度を比較した。この場合に、振動強度は、図8CのPEスリーブ有りの水中放出の環境の方が、図8BのPEスリーブ無しの空気中放出の環境に比べて、1桁以上大きくなった。
【0089】
センサ603の信号の振動強度が大きいことは、その分、漏水を検知しやすいことを意味する。また、言い換えると、このことは、同程度の振動強度を検出する場合に、漏水点からセンサ603までの配置の距離(漏水検知可能距離)を、より長く、遠くにできることを意味する。すなわち、PEスリーブ有りの管路の場合には、センサ603の配置の密度をより小さくし、設置する必要があるセンサ603の数を低減できることを意味する。
【0090】
[実験による知見(2)−漏水検知可能距離]
図9は、上記実験の結果におけるPEスリーブ有無による漏水振動強度の比較について示す。図9は、図6の漏水点P2から各センサ603までの距離[m]と、漏水の振動強度[任意単位]との関係を表すグラフを示し、漏水点P2の付近のPEスリーブ606の有無の場合で比較して示す。比較は、同じ漏水量等の条件でされている。グラフの横軸の距離は、センサ603の漏水検知可能距離と対応している。直線901は、PEスリーブ無しの管路の場合の特性を示す。直線902は、PEスリーブ有りの管路の場合の特性を示す。図9から明らかなように、PEスリーブ有りの場合には、PEスリーブ無しの場合に対し、1桁以上大きい振動強度となることがわかった。同じ漏水量の場合で、漏水点から同じ距離の位置のセンサ603同士で、PEスリーブ有無に応じて、振動強度に1桁以上の大きさの違いがみられた。例えば、図9の距離40mの位置のセンサで比較した場合、振動強度は、PEスリーブ無しの直線901では1程度であり、PEスリーブ有りの直線902では100程度であり、約2桁の違いがみられる。
【0091】
言い換えると、同じ漏水量の条件で、PEスリーブ無しの管路に比べて、PEスリーブ有りの管路の場合には、漏水点からの漏水振動が同じ一定の振動強度になるまでの到達距離が、大幅に延びることになる。すなわち、PEスリーブ無しの管路にセンサを配置する場合に比べて、PEスリーブ有りの管路にセンサを配置する場合には、漏水点からセンサまでの距離を、より長く、遠くすることができる。この距離は、検知に十分な振動強度を検出可能とする距離(漏水検知可能距離)である。
【0092】
[実験による知見(3)−漏水時間経過特性]
また、漏水の発生の時間経過に伴う特性の変化については、以下のような知見が得られた。図8Aのように、PEスリーブ無しの環境605の場合、漏水の発生の初期では、水道管601の周りの土壌があまり削られていないため、漏水振動が土壌を介して伝達される特性であり、水中放出に近い特性になると考えられる。漏水発生からある程度時間が経過して漏水が進行した段階では、図8Bのように、空気中放出の特性になると考えられる。センサの検出信号の振動強度は、初期では相対的に大きく、その後の空気中放出の期間では相対的に小さく、次第に小さくなる。漏水初期から中期へかけて、振動強度が大から小へ変化する。このため、計算機は、センサの信号の解析結果を、漏水ではなくノイズであると誤って判定してしまう可能性もある。すなわち、従来、PEスリーブ無しの環境の場合には、PEスリーブ有りの環境の場合に比べて、漏水検知精度が低い場合がある。
【0093】
図8Cのように、PEスリーブ有りの環境605の場合、漏水の発生の初期では、水道管601の周りのPEスリーブ606との間の空気中に漏水が放出されるので、空気中放出に近い特性になると考えられる。漏水発生からある程度時間が経過して漏水が進行した段階では、図8Cのように、水中放出の特性になると考えられる。センサの検出信号の振動強度は、初期では相対的に小さく、その後の水中放出の期間では相対的に大きくなる。
【0094】
図10は、図8CのようにPEスリーブ有りの管路の場合の漏水実験結果における、漏水振動強度の時間変化を示す。図10では、漏水点から距離72mの位置にあるセンサ603を用いた例を示す。図10のグラフの横軸は放水時間[分]、縦軸は漏水振動強度[任意単位]を示す。図10では、分単位のような比較的短い時間単位での漏水の変化の様子を示す。図10のグラフは、漏水点を開放して擬似漏水を開始した時点から、放水時間の一定の時点毎に、センサ603で検出した信号の振動強度がプロットされている。
【0095】
図示のように、漏水発生初期の期間1001(例えば0〜3分程度)は、空気中放出の特性に対応し、その後の期間1002は、図8Cのような水中放出の特性に対応する。漏水開始初期の期間1001での振動強度は極めて小さい。開始時点からある一定時間(例えば3分から4分程度)を越えると、振動強度が急激に増大しており、期間1002では振動強度がある程度の大きさになっている。
【0096】
本発明者は、このようなPEスリーブ有無の環境に応じた現象を詳細に調べた結果、このような振動強度の急激な変化等の現象は、漏水の特性が前述の空気中放出の特性から水中放出の特性に変化することで発現していることを見出した。すなわち、漏水初期の期間1001では、水道管601とPEスリーブ606との間に空気610があるため、空気中放出の特性となり、振動強度が小さい。一定時間後の期間1002では、図8Cのように、水道管601とPEスリーブ606との間に漏水の水620が充満するため、水中放出の特性となり、振動強度が大きくなる。
【0097】
図8B図8Cの漏水点P2では、キャビテーションが起きている。キャビテーションは、液体の流れにおける圧力差によって短時間で泡の発生と消滅が起きる現象であり、空洞現象とも呼ばれる。この漏水点P2でのキャビテーションが、漏水振動の発生源となっている。図8Bのような空気中放出の環境の場合では、漏水点P2の穴の周辺に取り込まれた空気の泡がキャビテーションの振動を大幅に減衰させると考えられる。これに対し、図8Cのような水中放出の環境の場合では、漏水点P2の穴の付近で空気の取り込みが無いため、キャビテーションの振動の減衰が大幅に抑制されると考えられる。このため、両環境では、上記のように漏水振動強度の大小の違いが生じる。
【0098】
図8BのようにPEスリーブが無い環境の場合では、漏水によって土壌が削れて比較的直ぐに空洞が発生し、空気中放出の特性になる。土壌の種類によっても空洞が生じる時間は異なるが、一定時間以上になると空洞になる。なお、漏水が長時間放置された場合には、大きな空洞となり、地盤沈下のような重篤な事故に至る恐れがある。
【0099】
[コスト、工事判定漏水量]
自治体の水道網の管理において漏水検知システムが適用される場合、漏水を早期に検知し、被害を抑制することができる。従来、各自治体の水道局は、水道網の保守運用として、漏水検知作業や、漏水を検知した場合の漏水修理工事を行っている。人手での作業や工事には労力やコスト等がかかる。そのため、漏水検知システムによって支援し、労力やコスト等を低減することが有効である。
【0100】
自治体およびその水道管理システムは、水道網の構成を管路情報として管理、保持している。また、自治体およびその水道管理システムは、制水弁を用いて管路の流量を制御し、点検や検知によって漏水量等を把握する。自治体は、漏水初期で漏水量がとても小さい段階で保守や工事を行う方針とする場合、費用が多大となってしまう。よって、通常、自治体は、保守や工事等を含む費用が最小となる最適値の漏水量を、保守や工事を行うべき漏水量(工事判定漏水量と記載する場合がある)として設定している。自治体に応じて、工事判定漏水量は異なる。
【0101】
自治体は、漏水を自動的に検知できる漏水検知システムを導入、運用する場合にも、なるべく初期投資費用等を含むコストを抑制したい。例えば、水道網において前述の漏水検知のためのセンサ等の機器を設置する場合に、従来技術例の漏水検知システムでは多数のセンサが必要である。従来技術例の漏水検知システムは、管路網の管被覆部材の有無情報については活用していない。従来技術例の漏水検知システムにおける複数のセンサは、暗黙にはPEスリーブ無しの管路を前提とした検出特性のセンサとして配置されている。そのセンサは、PEスリーブ無しの管路を前提とした、比較的短い漏水検知可能距離が想定されている。管路網において、比較的短いセンサ間距離で複数のセンサが配置される。そのため、管路網において多数のセンサが配置される。よって、コストの観点で課題がある。
【0102】
[漏水量と漏水検知可能距離]
図11は、漏水量[L/min]と漏水検知可能距離との関係を示す。図11のグラフは、漏水量に応じて、および管路の環境に応じて、漏水点P2からのセンサ603による漏水検知可能距離が異なることを示す。漏水量1100は、例えばある自治体の工事判定漏水量に対応する。本例では、水道管601に関する異なる設置環境として、環境A,B,Cがある場合で比較して示す。直線1101は、環境Aの場合の特性を示し、直線1102は、環境Bの場合の特性を示し、直線1103は、環境Cの場合の特性を示す。環境A,B,Cの順に、特性の直線の傾きが大から小になる。本例では、ある漏水量1100の場合において、センサ603の漏水検知可能距離は、距離Ka,Kb,Kcのようになる(Ka>Kb>Kc)。環境Cの場合の漏水検知距離Kcが最も短く、環境Aの漏水検知距離Kaが最も長い。各設置環境は、様々に存在するが、例えば環境Aは、前述のPEスリーブ有りの管路と対応している。
【0103】
実施の形態1の漏水検知システム10は、このような設置環境に応じたセンサ603の漏水検知可能距離を鑑みて、水道網40における複数のセンサ3の配置位置を計算して決定する。ある制水弁5の位置に設置される1つのセンサ3についてみた場合に、漏水検知可能距離に対応する半径を持つ範囲が、基本的な漏水検知可能範囲となる。すべての管路の漏水検知をカバーしたい場合には、対象のすべての管路が漏水検知可能範囲内に含まれるように、複数のセンサ3の位置が選択される。なお、一部の管路がセンサ3の漏水検知可能距離および範囲内に入らない場合であっても、複数のセンサ3を用いた判定結果から、相応の精度で漏水検知または漏水推定が可能である。
【0104】
実施の形態1の漏水検知システム10の計算機1は、センサ配置を計算する際、PEスリーブ有無情報を含む管路情報d2を使用する。実施の形態1の漏水検知システム10は、自治体の水道管理システム等が保持し公開している管路情報を取得して参照してもよいし、新たに対応する管路情報が入力されてもよい。管路情報d2には、より詳細には、管の種類、材質、管径、継手型式等の情報も含み、それらの情報も判定の際には条件として参照される。実施の形態1の漏水検知システム10は、特に、PEスリーブ有無情報を参照して、センサ6の漏水検知可能距離等を設定するので、好適なセンサ配置位置を決定できる。
【0105】
前述のように具体的な実験例では、PEスリーブ無しの管路に対し、PEスリーブ有りの管路の場合、同じ漏水量で、漏水点から同じ距離の位置のセンサの場合に、振動強度が例えば1桁大きくなる。言い換えると、同じ漏水量で、PEスリーブ無しの管路に対し、PEスリーブ有りの管路の場合、センサ配置として、漏水点からの漏水検知可能距離を、1桁に対応する大幅に長い距離とすることができる。すなわち、対象の水道網40において、複数のセンサ3を、対応する長いセンサ間距離、および小さい密度で配置することができる。よって、設置するセンサ数を少なくでき、漏水検知を低コストで実現できる。
【0106】
[漏水有無判定方式]
漏水検知システムの漏水有無判定方式としては、例えば、センサ603で検出した漏水振動強度が、所定の閾値を越えているか否か、およびその越えている時間が所定の時間以上続いたか否かによって、続いた場合に漏水が発生した(漏水有り)と判定する方式が挙げられる。
【0107】
図12は、漏水有無判定方式の一例として、センサ603(対応するセンサ3)の信号と閾値とを比較する方式について示す。実施の形態1の漏水検知システム10は、このような漏水有無判定方式を適用可能である。図12のグラフは、横軸が時間[日]、縦軸がセンサの検出信号の振動強度[任意単位]である。図12では、日単位のような比較的長い時間単位での漏水の変化の様子を示す。
【0108】
実施の形態1の漏水検知システム10は、水道管4の選択された位置の制水弁5に、漏水検知のセンサ3(対応するセンサ端末2)が常設される。漏水検知システム10は、自動的に漏水検知を行うために、センサ3の検出信号データを定期的にモニタリングして漏水判定を行う。そのため、センサ3は、無線通信機能を持つセンサ端末2に内蔵される形態で設置される。漏水検知システム10の計算機1は、定期的にセンサ端末2から検出信号データを取得する。本例の漏水有無判定方式では、漏水検知システム10の計算機1は、センサ3の検出信号データにおける振動強度値を、所定の閾値と比較して、漏水有無を判定する。
【0109】
図12の漏水有無判定方式の例では、予め閾値として、閾値H1および閾値H2が設定されている。計算機1は、信号強度が、閾値H1未満の領域1201内である場合には、正常、すなわち漏水無し、と判定する。計算機1は、信号強度が、閾値H2以上の領域1203にある場合には、異常、すなわち漏水有り、と判定する。計算機1は、信号強度が、閾値H1以上、閾値H2未満の領域1202内である場合には、保留、すなわち漏水有無のいずれとも断定しにくい状態として判定する。
【0110】
閾値H2は、工事判定漏水量と対応させて設定されている。例えば、漏水発生時点が時点txであるとする。時点txから時間経過と共に信号強度が増大し、閾値H1および閾値H2を越えている。例えば時点t1,t2,t3等の各時点で、モニタリングした信号強度が判定されている。例えば時点t3では、閾値H2を越えているので、漏水有りと判定される。
【0111】
従来技術例の漏水検知システムでは、このような漏水検知判定方式に関して、各閾値の設定には、PEスリーブ有無情報は活用されていない。すなわち、従来技術例の漏水検知システムでは、各閾値は、PEスリーブの有無に関係なく、所定の値が設定されている。従来技術例では、PEスリーブ無しの管路で生じた漏水と、PEスリーブ有りの管路で生じた漏水とがある場合に、それらが同じ閾値を用いた同じ方式で判定されるので、漏水検知精度の観点で改善余地があった。従来技術例における閾値は、PEスリーブ無しの環境を想定した閾値、あるいはPEスリーブ有りの環境を想定した閾値の一方のみが設定されているので、想定していない方の環境の漏水は、判定の精度が低くなる。一方、後述の実施の形態2の漏水検知システム10では、PEスリーブ有無情報を活用して、PEスリーブ有無に応じて異なるそれぞれの閾値を用いて漏水有無等を判定するので、判定および検知の精度を高くすることができる。
【0112】
[漏水量判定方式]
図13は、さらに、漏水量の判定方式について示す。この漏水量判定は、漏水有りの場合の概略的な漏水量の予測である。この漏水量判定方式では、漏水の有無を1つの閾値または2つの閾値(図12)で判定するのみでなく、漏水量の大きさを、例えば概略的に大中小の3つのレベルに分けて、それぞれの大きさに対応する3つの閾値および範囲を用いて、漏水量を判定する方式である。実施の形態1の漏水検知システム10は、このような漏水量判定方式を基本として採用する。
【0113】
実施の形態1等の漏水検知システム10では、前述(図3)のように、漏水量判定を行う場合、先に漏水位置判定を行って、距離による信号強度の減衰の影響を計算することが必要である。センサ3の信号強度は、漏水量と距離の関数である。例えば、後述の第2判定方式を採用する場合、以下のような処理順序で、漏水量判定が行われる。(1)計算機1は、ペアの2つのセンサ3の信号を解析して、漏水位置に係わる距離(漏水点から各センサ3までの距離)を計算する。(2)計算機1は、計算した距離による減衰率を考慮して、PEスリーブ有無に応じた漏水量(例えばPEスリーブ無しの管路に対応した漏水量)を計算する。(3)計算機1は、検出信号に対し、PEスリーブ有無に応じた係数を掛け算して漏水量を補正する。
【0114】
前の図12に示した閾値H2よりも大きい領域1203のセンサ信号強度は、漏水点が同じである場合には、漏水量と正の相関がある。漏水有りの場合の漏水量の大小を判定する場合には、図13のように、複数の閾値を用いた方式を用いることで可能である。図13のグラフは、横軸が漏水量[L/min]、縦軸がセンサ信号強度[任意単位]である。本例では、計算機1において、漏水量を概略的に大中小の3つのレベルで判定するための3つの閾値として、小から大への順に、閾値Ha、閾値Hb、閾値Hcが予め設定されている(Ha<Hb<Hc)。範囲1301は、閾値Ha以上で閾値Hb未満の範囲であり、漏水量が相対的に小さいレベルを表す。範囲1302は、閾値Hb以上で閾値Hc未満の範囲であり、漏水量が相対的に中レベルを表す。範囲1303は、閾値Hc以上の範囲であり、漏水量が相対的に大きいレベルを表す。
【0115】
実施の形態1の漏水検知システム10の計算機1は、例えば漏水有無の判定後または判定中に、漏水有りの場合には、検出信号データの振動強度値を、これらの閾値と比較し、いずれの範囲に該当するかをみて、漏水量(言い換えると漏水量レベル)を判定する。例えば、振動強度が値v1である場合、範囲1301に入るので、漏水有りの漏水量が小レベルであると判定される。
【0116】
なお、従来技術例の漏水検知システムでは、このような漏水量判定方式およびその閾値の設定についても、PEスリーブ有無情報は活用されておらず、各閾値は、管路のPEスリーブの有無によらずに所定の値が設定されている。この場合、以下のように、漏水検知精度の低下の可能性がある。従来技術例の計算機は、管路のセンサとして、PEスリーブ有無を想定していないセンサ、例えばPEスリーブが無いことが前提のセンサによる検出信号データを用いる。このセンサの配置に係わる漏水検知可能距離は、PEスリーブ有無を想定していない距離、例えばPEスリーブが無いことが前提の比較的短い距離である。この計算機は、センサの検出信号データにおける振動強度値を、所定の閾値と比較して、漏水有無や漏水量レベルを判定する。この閾値は、センサの漏水検知可能距離と対応させた所定の閾値であり、PEスリーブ有無によらずに同じである。しかし、管路の漏水点の付近にPEスリーブが有る場合と無い場合とでは、前述のように漏水振動に関する特性が異なっている可能性がある。この計算機は、PEスリーブ有無のいずれの漏水の環境、特性に対しても、同じ閾値を含む同じ条件で漏水有無等を判定する。そのため、漏水検知精度が低下する場合がある。例えば実際には漏水点の付近にPEスリーブが有る場合の検出信号に対し、PEスリーブが無いことを前提とした閾値を適用して判定する場合、漏水有無の誤判定や検知遅れ、漏水量の大小の見積りを誤る等の可能性がある。
【0117】
一方、後述の実施の形態2の漏水検知システム10における例えば第1判定方式では、漏水有無および漏水量判定の際の各閾値について、管路のPEスリーブ有無に応じて異なる閾値が適用される。そのため、実施の形態2の漏水検知システム10は、漏水検知精度の確保または向上ができる。
【0118】
[第1機能−センサ配置]
実施の形態1の漏水検知システム10は、水道網40における好適なセンサ配置を決定する機能(第1機能と記載する)を有する。計算機1は、PEスリーブ有無情報を含む管路情報d2を用いて、計算によって、対象の水道網40における複数のセンサ3の好適なセンサ配置を決定し、ユーザに対して提案する。この好適なセンサ配置は、センサ3の漏水検知可能距離および範囲を基準とした、好適な間隔や密度による、水道網40の制水弁5の位置に対する複数のセンサ3の配置である。漏水検知可能距離は、想定される漏水点とセンサ3との距離であり、十分な検知精度を確保できる距離であり、配置の基準となる距離である。好適な間隔は、部分的な管路を介して隣り合う2つのセンサ3間の距離である。第1機能では、センサ3の距離および範囲によって、十分な検知精度を確保しつつ、対象領域の漏水検知をカバーできるように、好適なセンサ配置が決定される。
【0119】
使用するセンサ3の漏水検知可能距離を含む検出特性は、管路または領域のPEスリーブ有無の環境に応じて、すなわち前述の空気中放出や水中放出等の特性を考慮して設定される。PEスリーブ無しの管路に対し、PEスリーブ有りの管路の場合には、センサ3の漏水検知可能距離を、2倍〜10倍(例えば数倍)の長い距離とすることができる。センサ数低減を優先する方針の場合、センサ3の漏水検知可能距離は、なるべく長い距離として設定される。これにより、対象の水道網40に設置するセンサ3の数を少なくできるので、低コストで漏水検知を実現できる。なお、センサ数低減よりも検知精度等を優先する方針の場合、センサ3の漏水検知可能距離を、より短い距離として設定することも可能である。
【0120】
従来技術例の漏水検知システムは、水道網の複数のセンサの配置(すなわちセンサ設置位置やセンサ間距離等)の設計に関して、PEスリーブ有無情報については活用していない。従来技術例の漏水検知システムでは、水道管のPEスリーブの有無によらずに、すべてPEスリーブ無しの前提またはPEスリーブ有りの前提で、センサの漏水検知可能距離、またはセンサ間距離等を一定値として設定している。一方、実施の形態1の漏水検知システム10の第1機能によれば、PEスリーブ有無情報を用いて、管路のPEスリーブ有無に応じて異なるセンサ3の漏水検知可能距離を想定し、好適なセンサ配置(すなわちセンサ設置位置やセンサ間距離等)を決定する。よって、従来技術例に対し、実施の形態1の漏水検知システム10では、元になる管路情報が同じであっても、PEスリーブ有無を考慮してより好適なセンサ配置を提案できる。これにより、少ないセンサ数で低コストの漏水検知を実現できる。
【0121】
図14は、第1機能におけるセンサ配置に関する説明図を示す。図14のグラフは、PEスリーブ有無に応じた、漏水量とセンサ3の漏水検知可能距離との関係を表す。横軸は漏水量[L/min]を示し、縦軸は漏水量に応じた漏水検知可能距離を示す。漏水量1400は、ある工事判定漏水量と対応している。
【0122】
直線1401は、PEスリーブ無しの環境に対応したセンサ(第1種のセンサSAとする)の、漏水量に応じた漏水検知可能距離の特性を示す。直線1401は、従来技術例の漏水検知システムにおけるPEスリーブ有無に依らないセンサ、または実施の形態1の漏水検知システム10でのPEスリーブ無しの管路に設置されるセンサ3と対応している。直線1402は、PEスリーブ有りの環境に対応したセンサ(第2種のセンサSBとする)の、漏水量に応じた漏水検知可能距離の特性を示す。直線1402は、実施の形態1の漏水検知システム10でのPEスリーブ有りの管路に設置されるセンサ3と対応している。第1種のセンサSAと第2種のセンサSBは、物、性能として同じセンサ3であっても、異なる漏水検知可能距離が設定される。
【0123】
実施の形態1の漏水検知システム10では、センサ3の漏水検知可能距離は、PEスリーブ有無に応じた少なくとも2種類の漏水検知可能距離がある。例えば同じ漏水量1400の場合に、第1種のセンサSAの直線1401の場合の漏水検知可能距離が距離KAであり、第2種のセンサSBの直線1402の場合の漏水検知可能距離が距離KBである。距離KBの方が距離KAよりも長い(KB>KA)。
【0124】
計算機1は、第1機能により、管路情報d2に基づいて、PEスリーブ有無の環境に応じたセンサ3(SA,SB)の漏水検知可能距離を設定し、その漏水検知可能距離に応じたセンサ間距離等を基準として、センサ配置を計算する。
【0125】
図15Aおよび図15Bは、図14に対応した、水道管4におけるPEスリーブ有無に応じたセンサ配置の概要を示す。図15Aは、PEスリーブ無しの管路の制水弁5に、第1種のセンサSAを、距離KAに基づいて配置した例を示す。本例では、水道管4における部分的な管路として水道管WP1,WP2を有し、制水弁5として制水弁B1,B2,B3を有する。漏水点PAは、所定の漏水量(例えば漏水量1400)を想定した場合の漏水点の例である。漏水点PAの付近の環境は、PEスリーブが無く、土壌である。水道管WP1,WP2の漏水検知をカバーする場合、漏水点PAに対してX方向の左右のそれぞれで距離KAの位置に、センサ3(SA)が配置される。言い換えると、距離KAの2倍の距離をセンサ間距離LAとして、2つのセンサ3(SA)の組が配置される(LA=KA×2)。センサ3(SA)の距離KAを半径とする範囲内に、対象となる管路が含まれるように、センサ3(SA)の位置が決定される。また、そのような条件を満たす制水弁5の位置が選択され、その制水弁5の位置にセンサ3(SA)が配置される。図15Aの例では、制水弁B1,B2,B3に、センサSA1,SA2,SA3が配置されている。例えば水道間WP1上のいずれかの位置で漏水が発生した場合、センサSA1,SA2の少なくともいずれかによって検出可能である。実際の管路網では、制水弁5間の距離は様々であるため、上記センサ間距離LAを基準として、センサ3(SA)が配置される制水弁5が選択される。
【0126】
図15Bは、同様に、PEスリーブ有りの管路の制水弁5に、第2種のセンサSBを、距離KBに基づいて配置した例を示す。本例では、水道管4における部分的な管路として水道管WP3を有し、制水弁5として制水弁B4,B5を有する。漏水点PBは、所定の漏水量(例えば漏水量1400)を想定した場合の漏水点の例である。漏水点PBの付近の環境は、PEスリーブ6が有る。水道管WP3の漏水検知をカバーする場合、漏水点PBに対してX方向の左右のそれぞれで距離KBの位置に、センサ3(SB)が配置される。言い換えると、距離KBの2倍の距離をセンサ間距離LBとして、2つのセンサ3(SB)の組が配置される(LB=KB×2)。本例では、距離KBは距離KAの2倍程度であり、センサ間距離LBはセンサ間距離LAの2倍程度である。センサ3(SB)の距離KBを半径とする範囲内に、対象となる管路が含まれるように、センサ3(SB)の位置が決定される。また、そのような条件を満たす制水弁5の位置が選択され、その制水弁5の位置にセンサ3(SB)が配置される。図15Bの例では、制水弁B4,B5に、センサSB1,SB2が配置されている。例えば水道間WP3上のいずれかの位置で漏水が発生した場合、センサSB1,SB2の少なくともいずれかによって検出可能である。上記のように、実施の形態1における第1機能では、PEスリーブ有無に応じて異なる距離間隔や密度でセンサ配置が可能である。
【0127】
[第1機能−センサ特性]
図16の表は、本発明者による実験に基づいた、PEスリーブ有無の管路に応じたセンサ3の特性の実装例を示す。この表では、対象となる水道管4の管路の条件や特性を、比較のために一定値として揃えた場合における、PEスリーブ有無に応じた、センサ3に関する振動強度、漏水検知可能距離の具体的な数値例を示している。管路の条件として、管種・径、漏水量、水圧等を一定としている。管種は、「DK75」のダクタイル鋳鉄管であり、継手がK継手であり、呼び径が75mmである。漏水量が7L/min、水圧が0.4MPaである。漏水検知可能距離は、条件によっても異なるが、基本的な定義としては、同じ環境の管路で比較した場合に、漏水無しの振動強度の2倍の振動強度に減衰するまでの距離である。
【0128】
PEスリーブ無しの管路の場合において、センサ3(SA)により検出された、漏水点の近傍の振動強度が200μG/√Hzである。これに対応して、センサ3(SA)の漏水検知可能距離(距離KA)が約70mである。PEスリーブ有りの管路の場合において、センサ3(SB)により検出された、漏水点の近傍の振動強度が8μG/√Hzである。これに対応して、センサ3(SB)の漏水検知可能距離(距離KB)が約140mである。
【0129】
なお、詳細には、水道管4の周囲の土壌の種類(例えば粘土、砂)等によっても漏水の特性が異なってくる。そのため、PEスリーブ有無情報を含む管路情報d2は、より詳細な土壌等の情報を含んでもよい。計算機1は、そのような土壌等の情報を用いて、センサ配置を計算してもよいし、漏水判定を行ってもよい。これにより、より好適なセンサ配置とし、より検知精度を高めることができる。
【0130】
[第1機能−センサ配置計算機能]
漏水検知システムは、漏水を十分に高精度に検知できること、かつ、そのような漏水検知をなるべく低コストで実現することが求められている。そのために、管路網におけるセンサの設置の位置や数、間隔距離や密度の設計が重要である。例えば、自治体が漏水検知システムを導入する場合、水道網の管路上における複数のセンサの配置を設計する必要がある。すなわち、複数のセンサを、管路上のどの位置、どのような距離間隔や密度で配置すべきかを決定する必要がある。そのセンサ配置に応じて、漏水検知に係わる精度やコストが異なってくる。従来技術例の漏水検知システムでは、好適なセンサ配置については検討不十分であり、好適なセンサ配置を計算する機能も持っていない。基本的には、水道網のすべての制水弁にセンサを設置することも可能であるが、その場合には比較的に高コストとなってしまう。また、好適なセンサ配置を人手によって設計しようとする場合、手間がかかる。
【0131】
そこで、実施の形態1の漏水検知システム10は、第1機能の一部として、好適なセンサ配置を自動的に計算するセンサ配置計算機能を有する。このセンサ配置計算機能では、ユーザの方針(例えば低コストを優先する方針)に応じて、管路情報d2に基づいて、好適なセンサ配置を計算する。これにより、対象領域をカバーする十分な精度を確保しつつ、なるべく少ないセンサ数としたセンサ配置を提案できる。ユーザは、容易に好適なセンサ配置を決定することができる。ユーザの人手による設計の手間も低減できる。
【0132】
なお、前述のように、実施の形態1の漏水検知システム10では、複数のセンサ3を設置する対象となる位置は、基本的に制水弁5の位置とされる。すなわち、実施の形態1の漏水検知システム10のセンサ配置計算機能は、水道網40における複数の制水弁5に対する好適な複数のセンサ3(対応するセンサ端末2)の配置を計算する。
【0133】
計算機1は、センサ配置の計算の際には、前述のPEスリーブ有無の特性、環境を考慮してセンサ3の漏水検知可能距離を設定し、その漏水検知可能距離に対応してセンサ間距離(例えば図15Bのセンサ間距離LB)を設定する。そして、計算機1は、センサ間距離等を基準として、複数の制水弁5に対し、複数のセンサ3を配置する。センサ3の漏水検知可能距離は、詳細には、センサ3自体の特性、管路の条件、付近の環境(土壌やPEスリーブ)、漏水量、等に応じて設定される。
【0134】
[第1機能−センサ配置例]
図17Aおよび図17Bは、PEスリーブ有無情報に応じた、センサ配置の例の概要を比較で示す。図17Aは、従来技術例の漏水検知システムにおける、PEスリーブ有無情報を活用せずに決定したセンサ配置の例を示す。なお、ここでは比較のため、センサとして、実施の形態1と同じセンサ3を用いるとする。図17Aは、一部の管路の例として、PEスリーブ無しの管路である場合を示す。例えば、水道管W1において、部分的な管路として、水道管wp1,wp2,wp3,wp4等を有し、制水弁5として制水弁b1,b2,b3,b4,b5等を有する。丸点に×印を付与した記号の箇所は、センサ3(第1種のセンサSA)が配置された制水弁5を示す。例えば、制水弁b1にセンサSA1が、制水弁b2にセンサSA2が設置されている。このセンサ3(SA)は、漏水検知可能距離が距離KAである。範囲1701は、距離KAを半径とする漏水検知可能範囲を示す。センサ間距離LAについても示す。図17Aの管路網の領域では、すべての制水弁5にセンサ3(SA)が配置されており、センサ数としては15個である。
【0135】
図17Bは、実施の形態1の漏水検知システム10における、PEスリーブ有無情報を活用して決定したセンサ配置の例を示す。図17Bの管路等は、図17Aの管路等と同じ構成である。PEスリーブ6を破線で示す。白丸点の箇所は、センサ3(第2種のセンサSB)が配置されていない制水弁5を示す。白丸点に黒丸点を付与した箇所は、センサ3(第2種のセンサSB)が配置されている制水弁5を示す。例えば、制水弁b1にセンサSB1が、制水弁b3にセンサSB2が設置されている。このセンサ3(SB)は、前述のように、漏水検知可能距離が距離KBである。範囲1702は、距離KBを半径とする漏水検知可能範囲を示す。センサ間距離LBについても示す。図17Bの管路網の領域では、一部の制水弁5にセンサ3(SB)が配置されており、センサ数としては18個である。図17Aの場合に比べ、図17Bの場合では、センサ数が約半数に低減され、密度が約2分の1に低減されている。
【0136】
上記のように、実施の形態1の漏水検知システム10では、第1機能により、PEスリーブ有無を考慮した好適なセンサ配置が決定できる。対象領域をカバーするように、なるべく長いセンサ間距離で、なるべく少ないセンサ数としたセンサ配置が実現でき、制水弁5へのセンサ3の無用な設置を削減できる。
【0137】
[第1機能−センサ配置画面]
図18および図19は、センサ配置に関する画面例を示す。これらの画面例は、図4の画面を基本として、センサ配置情報の表示を追加した例である。図18は、図17AのようなPEスリーブ無しの管路の場合のより詳細な管路例およびセンサ配置例を示す。図19は、図17BのようなPEスリーブ有りの管路の場合のより詳細な管路例およびセンサ配置例を示す。
【0138】
図18の画面で、マップ欄400には、管路網上にセンサ配置情報が重ねられて表示されている。対象の管路網は、PEスリーブ無しの管路網である。白丸点は、センサ3(SA)が配置されていない制水弁5を示し、黒丸点は、センサ3(SA)が配置されている制水弁5を示す。また、破線の円形は、センサ3(SA)の漏水検知可能距離(距離KA)に対応する漏水検知可能範囲を示す。なお、画面に漏水検知可能範囲を表示してもよいし、表示しなくてもよい。また、本例では、画面内に対象領域のセンサ数の情報についても表示している。例えば、図示の管路網では、センサ数が22個となっている。
【0139】
図19の画面で、同様に、マップ欄400には、センサ配置情報が表示されている。対象の管路網は、PEスリーブ有りの管路網である。破線の円形は、センサ3(SB)の漏水検知可能距離(距離KB)に対応する漏水検知可能範囲を示す。本例では、図示の管路網では、センサ数が10個となっている。
【0140】
ユーザは、このような画面で、第1機能のセンサ配置計算機能によって計算されたセンサ配置を確認することができる。また、ユーザは、センサ配置を一部修正する場合、マップ欄400で、所望の制水弁5を選択操作し、センサ3の配置の有無を切り替えることができる。また、ユーザは、部分的な管路や制水弁5やセンサ3等の詳細情報を確認したい場合、対応する箇所を選択操作することで、表示された詳細情報を見て確認することができる。ユーザは、マップ欄400のセンサ配置の状態を保存する場合、OK(設定)ボタンを押すことで保存できる。ユーザは、このような画面で、第1機能のセンサ配置計算機能によって計算されたセンサ配置を確認および編集でき、最終決定して設定することができる。
【0141】
[効果等(1)]
以上のように、実施の形態1の漏水検知システム10によれば、センサ配置コストの低減等を実現できる。
【0142】
(実施の形態2)
図20図23Cを用いて、本発明の実施の形態2の漏水検知システムについて説明する。実施の形態2の漏水検知システムの基本的な構成は実施の形態1と同様であり、以下では、実施の形態2における実施の形態1とは異なる構成部分について説明する。実施の形態2の漏水検知システム10は、計算機1による漏水判定の際に、PEスリーブ有無に応じて異なる判定を行う。実施の形態2の漏水検知システム10は、水道網40における複数のセンサ3の配置については、実施の形態1のようにPEスリーブ有無に応じて変える必要は無く、例えば所定の距離を基準とした間隔で配置される。
【0143】
実施の形態2では、漏水量判定を行う場合、前述と同様に、例えば以下のような処理順序で判定を行う。(1)計算機1は、漏水位置判定に基づいて、漏水点からセンサ3までの距離を特定する。(2)計算機1は、その距離による減衰率を計算する。(3)計算機1は、その減衰率に応じた、およびPEスリーブ有無に応じた判定を行う。第1判定方式の場合、計算機1は、減衰率およびPEスリーブ有無に応じた閾値を用いた判定を行う。第2判定方式の場合、計算機1は、減衰率およびPEスリーブ有無に応じた検出信号値の補正を行う。なお、漏水位置の判定は、後述のように、漏水信号が各センサ3に到達するまでの時間差で計算されるので、管路のパラメータ(管種、径、水中の音速等)が分かっていれば、管路のPEスリーブ有無については考えなくても計算可能である。
【0144】
[第2機能−漏水検知判定方式]
実施の形態2の漏水検知システム10は、漏水判定に関する以下のような機能(第2機能とする)を有する。計算機1の第2機能は、漏水判定方式に関して、以下の第1判定方式または第2判定方式を用いる。実施の形態2の漏水検知システム10は、第1判定方式を適用する。実施の形態2の変形例の漏水検知システムは、第2判定方式を適用する。なお、設定に応じて第1判定方式または第2判定方式から選択して適用可能である形態としてもよい。第2機能によれば、PEスリーブ有無の環境に応じて、漏水検知精度を確保または向上できる。
【0145】
[第2機能−第1判定方式]
第1判定方式は、管路のPEスリーブ有無の環境に応じて、異なる閾値を含む条件を用いて、漏水有無や漏水量、漏水位置等を判定する方式である。例えば、漏水有無判定や漏水量判定の際のそれぞれの閾値として、PEスリーブ無しの環境に対応する閾値(第1閾値)と、PEスリーブ有りの環境に対応する閾値(第2閾値)との両方が予め設定される。第1閾値や第2閾値は、それぞれさらに複数の閾値から構成されてもよい。計算機1は、センサ3の検出信号データに対し、判定を行う際に、そのセンサ3に対応付けられる管路のPEスリーブ有無を確認する。計算機1は、そのセンサ3がPEスリーブ無しの管路に対応している場合、PEスリーブ無しの第1閾値を含む条件を用いて、漏水有無等を判定する。計算機1は、そのセンサ3がPEスリーブ有りの管路に対応している場合、PEスリーブ有りの第2閾値を含む条件を用いて、漏水有無等を判定する。
【0146】
[第2機能−第1判定方式の例]
図20Aおよび図20Bは、第1判定方式の例について示し、漏水有無および漏水量の判定のための閾値設定を含む条件のグラフを示す。図20Aは、PEスリーブ無しの管路の場合に適用する条件のグラフを示す。図20Bは、PEスリーブ有りの管路の場合に適用する条件のグラフを示す。グラフの横軸は漏水量[L/min](値をWとする)、縦軸は漏水量に応じたセンサ3の検出信号の振動強度[任意単位](値をVとする)である。
【0147】
図20Aの例では、条件における第1閾値として、3つの閾値HA1,HA2,HA3が設定されている(HA1<HA2<HA3)。これらの閾値は、漏水有りの場合の漏水量の大きさを概略的に大中小の3つのレベルで判定する場合の閾値である。これらの閾値は、PEスリーブ無しの管路の場合のセンサ3(SA)の漏水検知可能距離(距離KA)に対応させた値が設定されている。例えば、信号値Vが、閾値HA1以上で閾値HA2未満の範囲2001内である場合、漏水有りで漏水量レベルが小であると判定される。信号値Vが、閾値HA2以上で閾値HA3未満の範囲2003内である場合、漏水有りで漏水量レベルが中であると判定される。信号値Vが、閾値HA3以上の範囲2003内である場合、漏水有りで漏水量レベルが大であると判定される。
【0148】
図20Bの例では、条件における第2閾値として、3つの閾値HB1,HB2,HB3が設定されている(HB1<HB2<HB3)。これらの閾値は、同様に3つのレベルで判定する場合の閾値である。これらの閾値は、PEスリーブ有りの管路の場合のセンサ3(SB)の漏水検知可能距離(距離KB)に対応させた値が設定されている。例えば、信号値Vが、閾値HB1以上で閾値HB2未満の範囲2004内である場合、漏水有りで漏水量レベルが小であると判定される。信号値Vが、閾値HB2以上で閾値HB3未満の範囲2005内である場合、漏水有りで漏水量レベルが中であると判定される。信号値Vが、閾値HB3以上の範囲2006内である場合、漏水有りで漏水量レベルが大であると判定される。
【0149】
図20Aの条件に対し、図20Bの条件では、特性を表す直線の傾きがより大きくなっている。例えば閾値HA1と閾値HB1とではHA1<HB1である。PEスリーブ有無に応じて、センサSA(距離KA)とセンサSB(距離KB)とでは、振動検出に係わる特性が異なるので、このように異なる閾値が設定されている。これにより、漏水有無や漏水量の検知精度を高めることができる。PEスリーブ有りの管路の場合には、PEスリーブ無しの管路の場合に比べて、前述のように漏水点の付近の環境における水中放出の特性や空気中放出の特性の違いから、漏水信号の減衰が小さく、より遠くに伝播する。このため、センサ3(SB)での検出信号の振動強度がより大きくなる。
【0150】
このように、第1判定方式によれば、所定のセンサ配置に基づいて、漏水検知の精度を高めることができる。なお、本例では、図13に対応する漏水量判定方式に関する閾値設定例を示したが、図12に対応する漏水有無判定方式等についても、同様に、PEスリーブ有無に応じて異なる閾値を設定する第1判定方式が適用可能である。
【0151】
[第2機能−第2判定方式]
第2判定方式は、管路のPEスリーブ有無に応じて、センサ3の検出信号の値を補正する方式であり、閾値については所定の閾値を用いる。第2判定方式は、PEスリーブ有無が混在する環境を想定し、所定の漏水検知可能距離およびセンサ間距離を基準として、水道網40に複数のセンサ3が配置される。第2判定方式では、計算機1は、PEスリーブ有無のいずれか一方(例えばPEスリーブ無し)に対応する閾値を含む条件を用いて漏水有無や漏水量、漏水位置等の判定を行う。その上で、第2判定方式では、計算機1は、基本とした一方の環境(例えばPEスリーブ無し)とは異なる他方の環境(例えばPEスリーブ有り)からのセンサ3の検出信号に対しては、環境の違いを一方(例えばPEスリーブ無し)に合わせるように所定の補正演算を施す。そして、計算機1は、上記一方の環境(例えばPEスリーブ無し)に対応する閾値を含む条件を用いて、漏水有無や漏水量、漏水位置等を判定する。
【0152】
具体例では、基本とする一方の環境は、PEスリーブ無しの環境とされる。センサ3の漏水検知可能距離は、例えばPEスリーブ無しの環境に対応した距離(前述の距離KA)として設定される。また、判定の際の所定の閾値は、PEスリーブ無しの環境に対応した閾値が設定される。計算機1は、センサ3の検出信号データに対し、判定を行う際に、そのセンサ3に対応付けられる管路のPEスリーブ有無を確認する。計算機1は、そのセンサ3がPEスリーブ無しの管路に対応している場合、そのまま、その信号の値に対しては補正演算を行わずに、所定の閾値を含む条件を用いて、漏水有無等を判定する。計算機1は、そのセンサ3がPEスリーブ有りの管路に対応している場合、その信号の値に対して所定の係数を掛け算する等の補正演算を行い、補正後の信号の値に対し、同じ所定の閾値を含む条件を用いて、漏水有無等を判定する。
【0153】
[第2機能−第2判定方式の例]
図21は、第2判定方式の例について示し、漏水有無および漏水量の判定のための閾値設定を含む条件のグラフを示す。グラフの横軸は漏水量[L/min](値W)、縦軸は漏水量に応じたセンサ3の検出信号の振動強度[任意単位](値V)である。直線2101は、PEスリーブ有りの管路に関連付けられたセンサ3(SB)に関する、漏水量に応じた検出信号値を示す。直線2102は、PEスリーブ無しの管路に関連付けられたセンサ3(SA)に関する、漏水量に応じた検出信号値、または、PEスリーブ有りの信号値からの補正演算後の信号値を示す。
【0154】
この第2判定方式の例では、水道網40のセンサ配置としては、PEスリーブ有無の混在を想定しつつ、所定のセンサ間距離等を基準としてセンサ3が配置される。計算機1の設定としては、PEスリーブ無しの管路、環境を基本とした所定の閾値を含む条件が設定される。その上で、この第2判定方式の例では、対象のセンサ3の信号が、PEスリーブ有りの管路に対応するセンサ3の信号(直線2101)である場合には、計算機1は、PEスリーブ有りからPEスリーブ無しへの感度補正のための補正演算を行う。そして、計算機1は、補正後の信号値に対し、所定の閾値を含む条件で、漏水有無等を判定する。
【0155】
計算機1は、管路情報d2に基づいて、対象の信号を検出したセンサ3が、PEスリーブ無しの管路に対して設置されているセンサ3であるか、PEスリーブ有りの管路に対して設置されているセンサ3であるかを確認する。計算機1は、対象の信号を検出したセンサ3が、PEスリーブ無しの管路に対応することを確認した場合、その信号値に対し、PEスリーブ無しの管路のセンサ3の検出感度と同等になるようにするための補正演算を行う。具体的には、この補正演算は、所定の補正係数の掛け算等である。例えば、直線2101における値V1aは、補正演算によって、直線2102における値V1bとなる。補正係数(例えば1よりも小さい値)をCxとすると、V1b=Cx×V1aである。
【0156】
そして、計算機1は、その補正後の検出信号の振動強度値に対し、所定の閾値を含む条件を用いて、漏水有無や漏水量を判定する。本例では、この所定の閾値は、漏水量レベルを判定する場合の3つの閾値として閾値HC1,HC2,HC3を有する(HC1<HC2<HC3)。補正後の値(例えば値V1b)が、閾値HC1以上で閾値HC2未満の範囲2104内の場合、漏水量レベルが小と判定される。補正後の値(例えば値V2b)が、閾値HC2以上で閾値HC3未満の範囲2105内の場合、漏水量レベルが中と判定される。補正後の値(例えば値V3b)が、閾値HC3以上の範囲2106内の場合、漏水量レベルが大と判定される。このように、第2判定方式によれば、PEスリーブ有無の環境に対応して、漏水検知の精度を高めることができる。
【0157】
図22は、第2判定方式の他の例について同様のグラフを示す。この第2判定方式の例は、図21とは逆に、PEスリーブ有りの環境を基本として、PEスリーブ無しに対応するセンサ3の信号値に対して、PEスリーブ無しからPEスリーブ有りへの感度補正のための補正演算を適用する。直線2101は、PEスリーブ有りの管路に関連付けられたセンサ3に関する、漏水量に応じた検出信号値、または、PEスリーブ無しからPEスリーブ有りへの補正後の信号値を示す。この第2判定方式の例では、計算機1には、PEスリーブ有りの管路、環境を基本とした所定の閾値(例えば閾値HD1,HD2,HD3)を含む条件が設定される。計算機1は、管理情報d2に基づいて、対象のセンサ3の信号が、PEスリーブ無しの管路に対応する場合(直線2101)には、補正演算を行い、補正後の信号値に対し、所定の閾値を含む条件で、漏水有無等を判定する。補正後の値(例えば値V1a)が、閾値HD1以上で閾値HC2未満の範囲2106内の場合、漏水量レベルが小と判定される。補正後の値(例えば値V2a)が、閾値HD2以上で閾値HD3未満の範囲2107内の場合、漏水量レベルが中と判定される。補正後の値(例えば値V3a)が、閾値HD3以上の範囲2108内の場合、漏水量レベルが大と判定される。
【0158】
[漏水位置判定、相互相関方式]
実施の形態1および実施の形態2における、相互相関方式を用いた漏水位置判定方式については以下の通りである。図23A図23B、および図23Cは、相互相関方式の漏水位置判定方式に関する説明図を示す。この相互相関方式を用いた漏水位置判定は、前述(図3、ステップS17)のように、漏水有無判定の後で漏水量判定の前に行われる。
【0159】
図23Aは、相互相関方式に係わる管路およびセンサ3のモデルを示す。ある水道管4の部分的な管路において、相互相関方式に係わるセンサ3の組として、例えばセンサSaとセンサSbとの組を有する。このセンサ3間の管路上の漏水点PXの位置pxが判定対象である。計算機1は、このようなセンサ3(Sa,Sb)の組における検出信号データを用いて、相互相関方式に基づいて、センサ3間の水道管4における漏水位置を判定する。センサSaの検出信号データをDa(ta)、センサSbの検出信号データをDb(tb)とする。ta,tbは検出時点を表す。それぞれの検出信号データの振動強度値をVa,Vbとする。なお、振動強度値は、例えば周波数スペクトルのパワー値に対応する。
【0160】
漏水点PXで発生した漏水の振動は、管路において伝達される。本例では、漏水点PXからのX方向の左右のそれぞれの漏水振動71,72は、それぞれの距離Xa,Xbにある位置Pa,Pbのセンサ3(Sa,Sb)へ、それぞれの到達時間T1,T2で到達する。例えば、漏水点PXから左側への漏水振動71は、センサSaへ到達時間T1で到達する。センサSaとセンサSbとでは、距離Xa,Xbに応じた到達時間差でずれたタイミングで漏水信号が検出される。到達時間差をTDとし、TD=(T1−T2)である。センサ3(Sa,Sb)間の距離を距離Labで示す。
【0161】
相互相関方式に関する相互相関関数をΦ(π)とする。相互相関関数Φ(π)のピーク値は、センサSaの検出信号データDa(ta)とセンサSbの検出信号データDb(tb)とから計算できる。到達時間差TDは、相互相関関数Φ(π)のピーク値から計算できる。また、到達時間差TDは、距離Xa,Xbと漏水振動音の伝播速度との関係式から計算できる。漏水振動音の伝播速度は、前述の設定情報の1つである。上記到達時間差TDおよび関係式に基づいて、それぞれのセンサ3(Sa,Sb)に関する距離Xa,Xbを計算できる。すなわち、距離Xa,Xbから、漏水点PXの位置pxを、推定値として特定することができる。なお、位置px等の位置は、水道網40の管路情報d2等において、所定の形式の位置情報として表現できる。
【0162】
2つ以上のセンサが同じ漏水点からの信号(振動強度を表す漏水信号)を検出した場合、それらの信号の類似性を示すものを相互相関という。図示のように、漏水点PXから距離Xaの位置PaにあるセンサSaと、漏水点PXから距離Xbの位置PbにあるセンサSbとを有する。例えば、センサSaが漏水信号を検出し、センサSbが漏水信号を検出していない場合、これらの2つのセンサSa,Sbの信号は、類似性が無い、言い換えると相互相関が無い。一方、センサSaだけでなくセンサSbも漏水信号を検出している場合、両者の信号は、類似性がある、言い換えると相互相関がある。両者の信号は、漏水点PXからの距離の違いの分だけ時間をずらした場合には、同じ信号が得られる。すなわち、2つのセンサの2つの信号に相互相関がある場合、2つの信号の時間差(到達時間差TD)に基づいて、各センサSa,Sbからの漏水点PXまでの距離Xa,Xbがわかり、すなわち漏水点PXの位置pxを特定することができる。
【0163】
なお、各センサ3によって検出する漏水信号(その振動強度)の違いは、主に、振動または音が管および水を伝播する速度(すなわち音速)の違いによるものである。そのため、センサ3の信号は、厳密には、管の種類、径、形状、継手、材質等の詳細にも依存する。管の環境によっても変化するが、水中の音速は、1.2〜1.4km/秒程度である。例えば、2つのセンサSa,Sbの2つの信号において、検出時点(ta,tb)の時間差として10ミリ秒の違いがある場合、漏水点PXと各センサSa,Sbとの距離(Xa,Xb)の差は、12〜14mになる。漏水点PXから等距離の位置に各センサSa,Sbがある場合、信号の時間差はゼロ(中間点)になる。
【0164】
センサSaのみが漏水信号を検出している場合、漏水点PXの位置がセンサSaの位置Paに対して右側の距離(+Xa)の位置であるか左側の距離(−Xa)の位置であるかは特定できない。しかしながら、センサSbも漏水信号を検出している場合、上記のように両センサ3の相互相関によって漏水点PXの位置を特定することができる。したがって、実施の形態1,2の漏水検知システム10のように、漏水検知に関して上記相互相関方式を用いる場合、漏水有無のみならず、漏水位置の特定または推定が可能である。例えば、漏水有りが検知された場合に作業者によって音聴による確定検査を行う場合、漏水位置の情報を用いることで、その検査での測定範囲を大幅に絞り込める。これにより、作業に係わるコスト削減効果がある。また、上記相互相関方式では、2つ以上のセンサ3の検出信号が、同じ地点(漏水点PX)からの漏水であることを示すので、相互相関方式を用いない場合に比べて、漏水判定の正解率を飛躍的に向上することができる。
【0165】
図23Bは、補足として、管路網の漏水位置判定の例を示す。例えば水道管W1において、部分的な管路として、水道管wp1,wp2,wp3,wp4,wp5等を有し、制水弁5として、制水弁b1,b2,b3,b4,b5,b6等を有する。水道管W1は、PEスリーブが設置されているとする。実施の形態1のセンサ配置の例に従って、例えば制水弁b1,b3,b5に、センサ3(SB)としてセンサSS1,SS2,SS3が配置されている。漏水点PXの例として、漏水点Px1,Px2を示す。相互相関方式に係わるセンサ3の組として、センサSS1とセンサSS2との組と、センサSS2とセンサSS3との組とを有する。
【0166】
まず、前述の漏水有無判定方式では、管路網のうちの漏水有りと判定される部分的な管路が特定できる。管路網の構成に応じて、1つの管路には特定できない場合がある。例えば、センサSS2の信号のみを参照して、計算機1の漏水有無判定で漏水有りと判定された場合に、センサSS2の左側の管路と右側の管路とのいずれに漏水点があるかは特定できない。次に、センサSS1,SS2,SS3の各信号を参照する場合には、計算機1の漏水有無判定で例えばセンサSS1およびセンサSS2の両方の信号に関して漏水有りと判定された場合、センサSS1とセンサSS2との間の管路(水道管wp1,wp2)に漏水点、漏水位置が含まれていると判定できる。
【0167】
次に、計算機1で相互相関方式の漏水位置判定を適用することで、漏水有りと判定された管路上における漏水位置を特定できる。例えば、計算機1は、センサSS1とセンサSS2との組、および対応する管路(水道管wp1,wp2)に関して、図23Aと同様に相互相関方式での漏水位置判定を行う。これにより、漏水位置を例えば水道管wp1上の漏水点Px1として特定することができる。
【0168】
図23Cは、補足として、相互相関方式に係わる管理情報の1つであるペアリストの構成例を示す。図23Cの表は、図23Bの例に対応したペアリストの例を示す。このペアリストは、水道網40の管路形状において管路を介して隣り合うように配置される2つのセンサ3の組(ペア)を管理するための情報である。計算機1は、このようなペアリストの情報を、例えば管路情報d2の一部としてメモリ102に保持している。計算機1は、漏水位置判定(図3のステップS17)の際には、このようなペアリストの情報を参照して判定を行う。図23Cのペアリストの表は、列として、ペアID、第1センサID、第2センサID、管路ID、距離等を有する。ペアIDは、2つのセンサ3の組の識別情報である。第1センサIDは、組を構成する一方の第1センサのIDであり、第2センサIDは、組を構成する他方の第2センサのIDである。管路IDは、その組のセンサ3間に配置されている管路のIDである。距離は、その組のセンサ3間の距離である。例えば、第1行におけるペアID=1のペアの場合、第1センサがセンサSS1、第2センサがセンサSS2であり、それらのセンサ3間の管路が水道管wp1,wp2であり、それらのセンサ3間の距離が距離L01である。
【0169】
[効果等(2)]
以上のように、実施の形態2の漏水検知システム10によれば、漏水検知精度の向上等を実現できる。他の実施の形態の漏水検知システムとしては、実施の形態1の第1機能と、実施の形態2の第2機能との両方を備える形態も可能である。以上、本発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は前述の実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0170】
1…計算機、2…センサ端末、3…センサ、4…水道管、5…制水弁、6…PEスリーブ、30…通信網、31…基地局、40…水道網、50…地面、51…ホール、71,72…漏水振動、81,82,83…領域、PX…漏水点。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17A
図17B
図18
図19
図20A
図20B
図21
図22
図23A
図23B
図23C