【解決手段】他装置測定結果を用いて自らの測定結果を得る測定装置であって、他の測定装置によって得られた出力データを取得する出力データ取得部と、出力データ中のユーザの指定位置を取得する指定位置取得部と、出力データ取得部が取得した出力データに含まれる、指定位置の他装置測定結果を取得する他装置測定結果取得部と、取得される他装置測定結果を用いて自らの測定結果を取得する測定結果取得部と、指定位置を示す位置データを記憶する位置データ記憶部と、を含み、他装置測定結果取得部は、出力データ取得部が他の測定装置によって得られた他の出力データを取得する場合に、既に位置データ記憶部に位置データが記憶されていれば該位置データが示す指定位置に含まれる他装置測定結果を取得する。
前記測定装置はさらに、前記位置データが記憶される際に取得された前記出力データと、前記他の出力データと、の様式が異なる場合に、ユーザに警告を発する警告部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の測定装置。
前記測定装置は、試料の表面に1次X線を照射することによって発生した蛍光X線により試料の分析を行う蛍光X線分析装置であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の測定装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための好適な実施の形態(以下、実施形態という)を説明する。
図1は本発明に係る測定装置100を概略的に示す図である。以下、測定装置100が試料102の表面に1次X線104を照射することによって発生した蛍光X線106により試料102の分析を行う蛍光X線分析装置である例を用いて説明する。なお、測定装置100は、蛍光X線分析装置以外の装置であってもよい。
【0019】
測定装置100は、他の測定装置によって得られる測定結果(以下、他装置測定結果とする)を用いて自らの測定結果を得る。具体的には、例えば、測定装置100が蛍光X線分析装置である場合、蛍光X線分析装置は、試料102の測定位置に1次X線104を照射し、発生した蛍光X線106により試料102の分析を行う。試料102は、例えば、表面に薄膜が形成されたウェハや磁気ディスク等の基板である。この際、蛍光X線分析装置は、薄膜に含まれる元素の内、分析対象となる元素の単位面積当たりの付着量(薄膜中の含有量)を得る。
【0020】
しかし、例えば、基板がSiウェハで薄膜がSi酸化膜等のSiを含む膜の場合、基板(Siウェハ)のSiと薄膜に含まれるSiを分離して測定できないため、薄膜に含まれるB(ボロン)やP(リン)等の濃度を正確に測定することができない。そのため、蛍光X線分析装置は、他の測定装置であるエリプソメータ等によって測定された薄膜の膜厚を用いて、薄膜に含まれる元素の濃度を算出する。
【0021】
また、他の測定装置によって測定された薄膜の膜厚で付着量を除算することで、測定装置100は、自らの測定結果として薄膜の密度を得る。また、様々な材質の基板上に形成されためっきやコーティングを分析する場合、測定装置100は、他の測定装置から、膜厚や、蛍光X線分析では測定できない元素や、精度良く測定できない元素の付着量を取得する。そして、測定装置100は、取得した膜厚や元素や付着量を用いて自らの測定結果を得る。
【0022】
図1に示すように、測定装置100は、X線源108と、試料台110と、分光素子112と、検出器114と、試料移動手段116と、計数部118と、表示部120と、警告部122と、情報処理部124と、を有する。
【0023】
X線源108は、試料102の表面に1次X線104を照射する。また、1次X線104が照射された試料102からは、蛍光X線106が発生する。
【0024】
試料台110は、試料102が配置される。具体的には、例えば、試料台110は、試料移動手段116により、試料102上の測定位置を移動させる。具体的には、例えば、試料移動手段116は、XYステージやrθステージ等の移動ステージであり、情報処理部124の指示に応じて、試料102の所定の測定点に1次X線104が照射される位置に試料台110を移動させる。
【0025】
分光素子112は、試料102から発生した蛍光X線106が入射されて測定対象波長の蛍光X線を回折し、分光する。
【0026】
検出器114は、分光素子112で分光された蛍光X線を検出する。また、検出器114は、プリアンプ等(図示なし)を通じ、計数部118に検出した信号を出力する。
【0027】
計数部118は、検出器114によって検出された蛍光X線に基づいて、計数結果を出力する。具体的には、例えば、計数部118は、検出器114の出力信号を、設定された波高値に応じて計数する。情報処理部124は、計数部118の計数結果に基づいて、検量線法やFP(ファンダメンタルパラメータ)法により、試料102に含まれる元素の定量分析等を行う。
【0028】
複数の元素を分析する場合には、各元素による蛍光X線毎に対応する分光素子112と検出器114を用いる。ゴニオメータ(図示なし)と一組の分光素子112及び検出器114を一定の角度関係を保って回動させ、複数の元素による蛍光X線を順次測定してもよい。また、例えば、検出器114にエネルギー分解能が高いSDD、及び計数部118にマルチチャンネルアナライザを用い、各元素による蛍光X線に基づく信号を電気的に分別し、分光素子112を用いずに、複数の元素を分析してもよい。
【0029】
表示部120は、例えば、液晶表示装置や、有機EL(Electro Luminescence)表示装置や、CRT(Cathode Ray Tube)等の表示装置である。表示部120は、出力データに含まれる他装置測定結果を表示する。具体的には、例えば、表示部120は、測定装置100の測定条件や測定結果の他、出力データに含まれる他装置測定結果を測定装置100が行う測定の条件に入力するために表示される画面(以下、インポート画面とする)や、ユーザに対する警告メッセージ等を表示する。
【0030】
警告部122は、位置データが記憶される際に取得された出力データと、他の出力データと、の様式が異なる場合に、ユーザに警告を発する。具体的には、例えば、警告部122は、位置データが記憶される際に取得された出力データと、他の出力データと、の様式が異なる場合に、様式が異なる旨のメッセージを表示部120に表示する。また、警告部122は、音を発することで、ユーザに注意を促してもよい。出力データの様式については後述する。
【0031】
情報処理部124は、測定装置100の動作を制御する。具体的には、例えば、情報処理部124は、他の測定装置によって得られる他装置測定結果を用いて自らの測定結果を得る測定装置100に用いられるコンピュータ(Personal Computer)である。情報処理部124は、試料移動手段116やX線源108の出力等を制御する。また、情報処理部124は、数値として取得する他装置測定結果の桁数を、四捨五入等により調整する機能を有してもよい。
【0032】
図2は、情報処理部124の機能的構成を説明する為のブロック図である。情報処理部124は、出力データ取得部202と、指定位置取得部204と、他装置測定結果取得部206と、測定結果取得部208と、位置データ記憶部210と、を有する。
【0033】
出力データ取得部202は、他装置測定結果を含む他の測定装置によって得られた出力データを取得する。具体的には、例えば、他装置測定結果は、エリプソメータで測定された薄膜の膜厚である。出力データは、当該エリプソメータが測定した膜厚を表す数値を含む電子データである。出力データは、エリプソメータによる測定が行われると、その測定結果として出力される。出力データは、当該膜厚を表す複数の数値がカンマ区切りで羅列されたCSV(Comma-Separated Values)ファイルである。出力データは、測定条件等を表す文字列を含んでいてもよい。出力データ取得部202は、上記のようなエリプソメータが出力した膜厚を表す数値を含んだCSVファイルを取得する。
【0034】
出力データの様式は、他の様式であってもよい。例えば、出力データは、タブで区切られたTSV(Tab-Separated Values)ファイルや、スペースで区切られたSSV(Space-Separated Values) ファイルであってもよい。また、他装置測定結果は、薄膜の膜厚、または密度、または薄膜に含まれる元素の濃度等であってもよい。
【0035】
出力データ取得部202が出力データを取得すると、表示部120は、当該出力データに含まれる他装置測定結果を表示する。具体的には、
図3及び
図4を用いて説明する。
【0036】
図3及び
図4は、インポート画面の一例である。インポート画面は、ユーザがジョブを作成または編集する際に、他装置測定結果を測定に反映させる場合に表示される。ジョブは、測定対象となる1または複数の試料102と、当該試料102に対して行われる測定条件と、が関連付けられた一連の測定条件である。下記では、1枚のウェハである試料102に対して5ヶ所で測定を行う際の測定条件を含むジョブの例について説明する。
【0037】
インポート画面は、例えば、出力データ表示フィールド302と、管理テーブル304と、全ての測定条件に参照と記載されたチェックボックス306と、各種ボタンと、が表示される。各種ボタンは、クリップボードから貼り付けボタン308、CSVファイルからインポートボタン310、全ての参照をクリアボタン312、OKボタン314、Cancelボタン316等を含む。
【0038】
図3及び
図4に示す実施例では、出力データ取得部202は、ユーザがクリップボードから貼り付けボタン308、又は、CSVファイルからインポートボタン310を押下した場合に、出力データを取得する。
【0039】
具体的には、例えば、ユーザがテキストエディタ等のソフトウェアで他の測定装置によって得られた出力データにアクセスしたとする。そして、ユーザが当該出力データの一部または全部を選択し、選択された領域の他装置測定結果をクリップボードにコピーしたとする。当該状態で、ユーザがクリップボードから貼り付けボタン308を押下した場合、出力データ取得部202は、クリップボードにコピーされた出力データを取得する。
図4に示すように、出力データ表示フィールド302には、取得された出力データが表示される。
【0040】
なお、出力データ表示フィールド302に表示される文字列及び数値は、マトリクス状に表示されることが望ましい。具体的には、例えば
図4に示すように、出力データがCSVファイルである場合、文字列や数値は、出力データに含まれる改行ごとに異なる行に表示される。また、文字列や数値は、カンマごとに異なる列に表示される。出力データがTSVファイルやSSVファイルである場合、文字列や数値は、タブやスペースごとに異なる列に表示される。
【0041】
また、マトリクスの各行及び各列は、マトリクスにおいて各枠の位置を特定する座標が付される。具体的には、例えば、マトリクスの各行は、上から順に1乃至n(nは自然数)の値が付される。また、マトリクスの各列は、左から右に向かって、Aから始まってアルファベット順の値が付される。
【0042】
図4に示す出力データ表示フィールド302の1行目乃至8行目は、他の測定装置における測定条件等が表示されている。10行目以降は、測定回数、Thickness(膜厚)、XY座標系における測定位置等の測定条件及び他装置測定結果が表示されている。すなわち上記実施例では、出力データは、薄膜の膜厚と関連付けて、膜厚が測定されたウェハにおける測定位置を含んでいる。
【0043】
管理テーブル304は、No.フィールドと、測定条件フィールドと、他装置測定結果フィールドと、位置データフィールドと、を含む。No.フィールドは、複数回の測定を行う場合に、当該測定の順序を表すフィールドである。具体的には、例えばNo.フィールドが1である場合、当該測定が1番目に行われることを示す。
【0044】
測定条件フィールドは、測定装置100が行う測定の条件を表すフィールドである。具体的には、例えば、試料102がウェハであって、ユーザがウェハの複数の位置で元素分析を行う場合について説明する。この場合、測定条件フィールドに入力される値は、ウェハの位置を表す情報である。例えばrθ座標系の場合、測定条件フィールドが(0,0)である場合、ウェハの中心にX線が照射される。また、測定条件フィールドが(45,90)である場合、ウェハの中心から45mm離れた位置であって、試料台110の中心、即ちウェハの中心を軸とし、ウェハの所定の配置に対して90度回転した位置にX線が照射される。
【0045】
また、測定条件フィールドの値は、ユーザによる手入力または予め保存されたファイルを読込む等の方法によって設定される。
図4に示した実施例では、測定条件フィールドには、上から順にrθ座標系で(0,0)、(45,0)、(45,90)、(45,180)、(45,270)という値が設定されている。測定結果を用いたい他の測定装置が、例えばXY座標系で測定位置を現している場合、上記の設定位置は
図5に示すように、A(0,0)、B(0,-45)、C(45,0)、D(0,45)、E(-45,0)となる。試料102毎、測定毎に該当するパラメータを毎回確認して手入力する従来の作業は煩雑であった。
【0046】
他装置測定結果フィールドは、測定装置100が行う測定に用いられるパラメータを表すフィールドである。測定装置100が行う測定に用いられるパラメータは、例えば、測定結果取得部208が測定結果を取得する際に行う処理に用いるパラメータや、測定条件フィールドが表す測定条件以外の測定条件を表すパラメータ、である。
【0047】
測定結果を取得する際に行う処理に用いるパラメータが、他装置測定結果フィールドに設定される場合、当該パラメータは、例えば膜厚である。具体的には、上記のように測定装置100が蛍光X線分析装置である場合、測定結果取得部208は、まず分析対象となるBやP等の元素の付着量を得る。当該付着量は、検出器114が検出した蛍光X線106の強度に基づいて取得した値である。測定結果取得部208は、他の測定装置で測定されたSi酸化膜の膜厚から膜の主成分であるSiO
2の付着量を算出し、薄膜中のBやP等の元素の濃度を得る。また、付着量から密度を算出する場合、密度は、付着量を膜厚で除算することで得られる。測定結果取得部208が取得した付着量から薄膜の密度、含有する元素の濃度を算出するために必要なパラメータとして、他装置測定結果フィールドには、他の測定装置で測定された薄膜の膜厚が設定される。
【0048】
他装置測定結果フィールドには、他の測定装置で測定された薄膜の密度を設定してもよい。この場合、膜厚は、付着量を密度で除算することで得られる。一般的には、密度は文献値を用いて計算されるが、実際の試料102の測定点で測定された密度を用いることで、より精度良く膜厚を算出することができる。また、他の測定装置で測定された密度により、測定条件として設定される検量線を、予め登録された複数の検量線から選択して元素の濃度を分析することもできる。検証等のために、他の測定装置で測定された元素の付着量や濃度を設定してもよい。
【0049】
また、例えば、測定条件が他装置測定結果フィールドに設定される場合、当該パラメータは、例えば表面ラフネスの値である。具体的には、X線源108が照射するX線の照射径が小さい場合、表面ラフネスの大きさは元素分析の精度に影響を与える。そのため、表面ラフネスが測定精度に与える影響を軽減するため、X線の照射径を大きくする必要がある。表面ラフネスに依存しない照射径のX線を照射するために必要なパラメータとして、他装置測定結果フィールドには、表面ラフネスの値が設定される。
【0050】
他装置測定結果フィールドは、ユーザが入力することによって値が設定されてもよいし、他装置測定結果取得部206が取得した他装置測定結果が設定されてもよい。
図3に示す例では、インポート画面を立ち上げた後、他装置測定結果フィールドは、ユーザにより全て100という値が設定されている。また、他装置測定結果フィールドは、複数あってもよい。
【0051】
位置データフィールドは、指定位置を表すフィールドである。指定位置は、出力データ表示フィールド302に表示された出力データ中のユーザが指定した位置である。具体的には、例えば、ユーザは、管理テーブル304上で所望の行(測定条件を設定する対象)を選択した状態で、出力データ表示フィールド302上で所望の枠を選択する。この場合、管理テーブル304上で選択された行の位置データフィールドに、出力データ表示フィールド302上で選択された枠を示す座標が設定される。
【0052】
なお、全ての測定に参照と記載されたチェックボックス306にチェックが入っている場合は、管理テーブル304の全ての他装置測定結果フィールドに、出力データ表示フィールド302上で選択されたパラメータ値が設定され、位置データフィールドに、出力データ表示フィールド302上で選択された枠を示す座標が設定される。また、全ての参照をクリアボタン312が押下されると、位置データフィールドに設定された全ての値は削除される。
【0053】
出力データ中のユーザの指定位置を取得する動作は、指定位置取得部204が行う。具体的には、例えば、指定位置取得部204は、表示された出力データのうち、ユーザに指定された他装置測定結果が表された位置を、指定位置として取得する。例えば
図6に示すように、ユーザが、管理テーブル304上で1行目から5行目をそれぞれ順に選択した状態で、出力データ表示フィールド302上でB10,B12,B13,B16,B17の枠を順に選択したとする。この場合、指定位置取得部204は、それぞれ選択された管理テーブル304の行と関連付けて、出力データ表示フィールド302上で選択された座標を指定位置として取得する。管理テーブル304の位置データフィールドには、1行目から順に、取得されたB10,B12,B13,B16,B17の値が設定される。
【0054】
他装置測定結果取得部206は、出力データ取得部202が取得した出力データに含まれる、指定位置の他装置測定結果を取得する。具体的には上記の場合、他装置測定結果取得部206は、B10,B12,B13,B16,B17の枠に表された他装置測定結果を取得する。すなわち、他装置測定結果取得部206は、管理テーブル304の1行目乃至5行目の他装置測定結果フィールドの値として、順に100,102,103,100,101という値を取得する。また、他装置測定結果フィールドには、1行目から5行目まで順に100,102,103,100,101という値が設定される。
【0055】
また、他装置測定結果取得部206は、出力データ取得部202が他の測定装置によって得られた他の出力データを取得する場合に、既に位置データ記憶部210に位置データが記憶されていれば、該位置データが示す指定位置に含まれる他装置測定結果を取得する。当該動作については、後述する。
【0056】
測定結果取得部208は、取得される他装置測定結果を用いて自らの測定結果を取得する。具体的には、例えば、測定結果取得部208は、分析対象となる元素の付着量や濃度、薄膜の膜厚や密度を取得する。
【0057】
位置データ記憶部210は、指定位置を示す位置データを記憶する。具体的には上記の場合、位置データ記憶部210は、B10,B12,B13,B16,B17という値を記憶する。
【0058】
ここで、上記実施例では、出力データは、薄膜の膜厚と関連付けて、膜厚が測定されたウェハにおける測定位置を含んでいる。また、管理テーブル304に含まれる測定条件フィールドは、ウェハ上の測定位置が設定されている。そこで、ユーザは、管理テーブル304に含まれる測定位置と、出力データに含まれる測定位置と、を対応させることで、他の測定装置によって得られた測定結果を簡便に入力でき、かつ、入力ミスを防止することができる。
【0059】
また、本発明に係る測定装置100と、他の測定装置は出力データの様式が異なることが通常である。具体的には、
図4及び
図6に示すように、測定条件フィールドに設定される測定位置と、出力データに含まれる測定位置と、は座標系(XY座標系とrθ座標系等)が異なっている。ユーザは当該座標系の相違を考慮して、出力データ表示フィールド302上の枠を選択することにより、様式が異なっても測定結果を簡便に入力できる。また、本座標系の相違に限らず、単位が異なる場合であっても本発明は有用である。
【0060】
以上の各設定値や指定位置は、OKボタン314を押下されることで反映される。OKボタン314が押下されたときに、位置データ記憶部210は、指定位置を示す位置データを記憶してもよい。また、キャンセルボタンが押下されると、各設定値や指定位置が反映されずにインポート画面は閉じられる。
【0061】
続いて、他の測定装置によって得られる他装置測定結果を用いて自らの測定結果を得る測定装置100の制御方法について、
図7及び
図8のフローチャート説明する。
【0062】
図7は、ジョブが位置データを含まない場合における、測定装置100の制御方法を表すフローチャートである。ジョブが位置データを含まない場合、インポート画面が呼び出された時に位置データフィールドの値が全て空白(null値)である。
【0063】
まず、ユーザはジョブを編集する際に、インポート画面を呼び出す(S702:呼び出しステップ)。具体的には、表示部120は、ユーザの操作によって、
図3に示すようなインポート画面を表示する。
【0064】
次に、出力データ取得部202は、他装置測定結果を含む他の測定装置によって得られた出力データを取得する(S704:出力データ取得ステップ)。具体的には、例えば、ユーザがクリップボードから貼り付けボタン308、または、CSVファイルからインポートボタン310を押下することで、出力データ取得部202は、エリプソメータが出力した出力データを取得する。取得された出力データに含まれる文字列及び数値は、
図4に示すように、出力データ表示フィールド302に表示される。
【0065】
次に、指定位置取得部204は、出力データ中のユーザの指定位置を取得する(S706:指定位置取得ステップ)。具体的には、例えば、
図6に示すように、指定位置取得部204は、管理テーブル304の1行目乃至5行目と関連付けて、出力データ表示フィールド302上で選択されたB10,B12,B13,B16,B17を指定位置として取得する。
【0066】
次に、他装置測定結果取得部206は、出力データ取得部202が取得した出力データに含まれる、指定位置の他装置測定結果を取得する(S708:第1の他装置測定結果取得ステップ)。具体的には、他装置測定結果取得部206は、出力データ表示フィールド302上のB10,B12,B13,B16,B17にそれぞれ対応する100,102,103,100,101という値を取得する。
【0067】
他装置測定結果フィールドには、出力データ表示フィールド302のB10,B12,B13,B16,B17に表示された他装置測定結果が設定される。すなわち、他装置測定結果フィールドの1行目から5行目まで順に、100,102,103,100,101という値が設定される。
【0068】
次に、位置データ記憶部210は、指定位置を示す位置データを位置データ記憶部210に記憶する(S710:位置データ記憶ステップ)。具体的には、位置データ記憶部210は、S706で取得された指定位置であるB10,B12,B13,B16,B17という座標を、管理テーブル304の1行目乃至5行目と関連付けて、記憶する。当該ステップは、ユーザがOKボタン314を押した場合や、編集中のジョブを保存した場合に行われる。
【0069】
次に、測定結果取得部208は、取得される他装置測定結果を用いて自らの測定結果を取得する(S712:測定結果取得ステップ)。具体的には、
図1に示された各部が動作することにより、測定結果取得部208は、ウェハの表面に形成された薄膜の付着量を取得する。この際、試料移動手段116(rθステージ)は、ジョブに含まれる測定位置に基づいてウェハが配置された試料台110を移動し、ウェハの各座標に1次X線104を照射する。これにより、測定結果取得部208は、1次X線104が照射された各位置における付着量を取得する。測定結果取得部208は、各測定位置における付着量と、他装置測定結果フィールドの対応する位置に設定されたパラメータを用い、自らの測定結果として膜の密度や膜に含まれる元素の濃度を取得する。
【0070】
より具体的には、ジョブに含まれる1行目乃至5行目の測定において、測定結果取得部208は、各測定位置における付着量と、100,102,103,100,101という設定されたパラメータを用い、各測定位置における元素の濃度等を取得する。これにより、測定結果取得部208は、他の測定装置であるエリプソメータ等によって測定された薄膜の膜厚を用いて、自らの測定結果として薄膜に含まれる元素の濃度等を得ることができる。
【0071】
上記測定装置100及び測定方法によれば、ユーザは、出力データフィールドに表示された他装置測定結果を選択するだけで、自らの測定結果を得ることができる。従って、ユーザの入力ミスにより、誤った測定結果が得られてしまうことを防止できる。
【0072】
続いて、ジョブが位置データを含む場合について説明する。
図8は、ジョブが位置データを含む場合において、測定装置100の制御方法を表すフローチャートである。ジョブが位置データを含む場合、インポート画面が呼び出された時に位置データフィールドに値が設定されている。当該値は、位置データ記憶部210に記憶された値である。
【0073】
まず、ユーザはジョブを編集する際に、インポート画面を呼び出す(S802:呼び出しステップ)。具体的には、表示部120は、ユーザの操作によって、
図9に示すようなインポート画面を表示する。
図9に示すように、
図3と異なり、位置データフィールドには、一度指定された指定位置が設定されている。
図7で示したフローチャートを実行する際に、編集中のジョブと関連付けた位置データが記憶されている。ジョブを再度編集する際に、S802でインポート画面が呼び出されると、位置データフィールドに保存された位置データが設定される。
【0074】
次に、出力データ取得部202は、出力データ取得部202が他の測定装置によって得られた他の出力データを取得する(S804:他の出力データ取得ステップ)。具体的には、例えば、ユーザがクリップボードから貼り付けボタン308、または、CSVファイルからインポートボタン310を押下することで、出力データ取得部202は、エリプソメータが出力した他の出力データを取得する。
【0075】
ここで、出力データ取得部202は、S704で取得された出力データと異なる出力データを取得する。異なる出力データは、例えば、新たにジョブに設定する試料102であり、位置データを設定した試料102とは異なる試料102を測定した結果、出力されたデータである。また、同じ試料102を異なる測定装置で測定した結果、出力されるデータであってもよい。出力データが異なる為、出力データ表示フィールド302に表示される文字列及び数値は、
図6と
図10とで異なる。
【0076】
次に、他装置測定結果取得部206は、既に位置データ記憶部210に位置データが記憶されていれば、該位置データが示す指定位置に含まれる他装置測定結果を取得する(S806:第2の他装置測定結果取得ステップ)。具体的には、位置データフィールドには、1行目から5行目まで順に、B10,B12,B13,B16,B17の値が設定されている。すなわち、位置データ記憶部210に、当該各値が位置データとして記憶されている。従って、他装置測定結果取得部206は、B10,B12,B13,B16,B17という位置データが示す指定位置に含まれる90,92,93,90,91という他装置測定結果を取得する。また、他装置測定結果フィールドには、1行目から5行目まで順に、90,92,93,90,91という値が設定される。
【0077】
次に、測定結果取得部208は、取得される他装置測定結果を用いて自らの測定結果を取得する(S808:自らの測定結果取得ステップ)。具体的には、S712と同様に、
図1に示された各部が動作することにより、測定結果取得部208は、ウェハの表面の各測定位置に形成された薄膜の付着量を取得する。また、測定結果取得部208は、各測定位置における付着量と、他装置測定結果フィールドの対応する位置に設定されたパラメータを用いて自らの測定結果を取得する。すなわち、測定結果取得部208は、各測定位置での元素の付着量と90,92,93,90,91という膜厚を用い、各測定位置における薄膜中の元素の濃度等を取得する。
【0078】
S804で取得した他の出力データが、他装置測定結果を含まない場合もある。具体的には、例えば、S704とS804で読み込んだ出力データの様式が異なり、出力データ表示フィールド302のB10,B12,B13,B16,B17という枠に他装置測定結果が含まれていない(例えばnull値)場合がある。また、数値であるべき他装置測定結果がテキストデータで合ったり、数値の桁数等が全く異なる場合がある。この場合、警告部122は、ユーザに警告を発する。これにより、ユーザは、読込んだ出力データが誤りであると認識することができる。
【0079】
以上により、ユーザが指定位置を含むジョブを作成し、次に当該ジョブを用いて測定を行う場合、再度位置を指定しなくとも、他装置測定結果を反映した測定を行うことができる。従って、上記測定装置100及び測定方法によれば、より簡便に、入力ミスなく、他装置測定結果を反映した測定を行うことができる。
【0080】
本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。上記構成やジョブは一例であって、これに限定されるものではない。上記の実施例で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成する構成で置き換えてもよい。
【0081】
例えば、測定装置100が蛍光X線分析装置である場合について説明を行ったが、測定装置100は他の装置であってもよい。例えば、測定装置100は、長さ、質量、時間、電流、温度、物質量、光度などを測定する装置であってもよい。
【0082】
また、他の測定装置がエリプソメータである場合について説明したが、他の測定装置はエリプソメータ以外の測定機器であってもよい。具体的には、例えば、他の測定装置は、X線反射率法によって薄膜の膜厚を測定するX線反射率測定装置や、ウェハ上の塵埃位置データを取得するレーザ塵埃分析装置であってもよい。
【0083】
さらに、他の測定装置と測定装置100の組み合わせは、エリプソメータと蛍光X線分析装置に限られず、他の組み合わせであってもよい。具体的には、他の測定装置であるレーザ塵埃分析装置と、測定装置100である全反射蛍光X線分析装置とを組み合わせてもよい。この場合、レーザ塵埃分析装置によって得られるウェハ上の塵埃位置データを用いて、全反射蛍光X線分析装置は、塵埃位置データが示すウェハ上の位置における薄膜の分析結果を得る。
【0084】
また、例えば、他の測定装置である蛍光X線分析装置と、測定装置100であるエリプソメータとを組み合わせてもよい。この場合、蛍光X線分析装置によって得られる元素の濃度や薄膜の密度等のデータを用いて、エリプソメータは薄膜の膜厚を得る。
【0085】
さらに、例えば、他の測定装置である蛍光X線分析装置と、測定装置100である反射率計とを組み合わせてもよい。この場合、蛍光X線分析装置によって得られる元素の濃度や薄膜の密度等のデータを用いて、反射率計は、薄膜の反射率を得る。以上のように、測定装置100が他装置測定結果を用いて自らの測定結果を得るのであれば、測定装置100と他の装置測定は、様々の組合せで利用できる。
【0086】
また、上記において、他装置測定結果及び自らの測定結果が数値データであり、自らの測定結果が他装置測定結果を用いて算出される実施例について説明したが、これに限られない。測定装置100は、他装置測定結果である数値データを自らの測定結果と対比できるように表示または出力してもよい。例えば、測定装置100は、自らの測定結果のみから算出された元素付着量を示す数値データ及び測定位置を示す数値データと、他の測定装置から取得した対応する測定位置における膜厚を示す数値データと、を一連の自らの測定結果の数値表やマッピング図として表示または出力してもよい。また、他装置測定結果及び自らの測定結果は数値データに限られず、テキストデータ、画像データ、音声データ等の情報処理部124が扱うことのできるデータであれば他のデータであってもよい。例えば、他の測定装置及び測定装置100が他装置測定結果及び自らの測定結果をマッピング表示する場合、他装置測定結果及び自らの測定結果は画像データであってもよい。より、具体的には、他の測定装置であるレーザ塵埃分析装置はウェハ上の塵埃位置を示す画像データを取得し、測定装置100である蛍光X線分析装置はウェハ上の各測定位置における元素の濃度等の測定結果をマッピング表示してもよい。この場合、測定装置100は、各測定位置における元素の濃度等の測定結果に他装置測定結果を重ね合わせた画像データを自らの測定結果として取得し、表示してもよい。
【0087】
また、読み込まれる出力データは、測定装置100の内部の記憶装置に記憶されていてもよいし、測定装置100とネットワークを介して接続された記憶装置に記憶されていてもよい。
【0088】
また、位置データフィールド設定される値は、出力データ表示フィールド302上で選択された位置を表す値であれば、出力データ表示フィールド302上で選択された枠に付された座標でなくてもよい。また、上記は、測定装置100の測定データと他の測定装置の測定データを関連付けるデータとして試料上の位置データを用いた例で説明したが、試料自体のIDやロット番号等を用いてもよい。
【0089】
また、上記は、測定装置100及び測定方法について説明したが、本発明は、他の測定装置によって得られる他装置測定結果を用いて自らの測定結果を得る測定装置100に用いられるコンピュータで実行されるプログラムであってもよい。当該コンピュータは、例えば情報処理部124である。当該プログラムは、情報処理部124の内部に配置された記憶部またはネットワークを介して測定装置100と接続された記憶部に記憶される。
前記測定装置はさらに、前記位置データが記憶される際に取得された前記出力データと、前記他の出力データと、の様式が異なる場合に、ユーザに警告を発する警告部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の測定装置。
前記測定装置は、試料の表面に1次X線を照射することによって発生した蛍光X線により試料の分析を行う蛍光X線分析装置であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の測定装置。
S804で取得した他の出力データが、他装置測定結果を含まない場合もある。具体的には、例えば、S704とS804で読み込んだ出力データの様式が異なり、出力データ表示フィールド302のB10,B12,B13,B16,B17という枠に他装置測定結果が含まれていない(例えばnull値)場合がある。また、数値であるべき他装置測定結果がテキストデータで
、数値の桁数等が全く異なる場合がある。この場合、警告部122は、ユーザに警告を発する。これにより、ユーザは、読込んだ出力データが誤りであると認識することができる。