(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-52045(P2020-52045A)
(43)【公開日】2020年4月2日
(54)【発明の名称】車両の軌跡を計画する方法
(51)【国際特許分類】
G01C 21/36 20060101AFI20200306BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20200306BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20200306BHJP
【FI】
G01C21/36
G09B29/00 C
G09B29/10 A
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-171995(P2019-171995)
(22)【出願日】2019年9月20日
(31)【優先権主張番号】18196059.2
(32)【優先日】2018年9月21日
(33)【優先権主張国】EP
(71)【出願人】
【識別番号】505450755
【氏名又は名称】ビステオン グローバル テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【弁理士】
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】マルティン プファイフレ
(72)【発明者】
【氏名】アクセル トーシュミード
(72)【発明者】
【氏名】クリスティーネ シュレック
(72)【発明者】
【氏名】マティアス オットー
【テーマコード(参考)】
2C032
2F129
【Fターム(参考)】
2C032HB22
2C032HC08
2C032HC17
2C032HD07
2F129AA03
2F129AA05
2F129BB03
2F129BB18
2F129CC16
2F129DD21
2F129DD30
2F129DD62
2F129EE02
2F129EE35
2F129EE43
2F129EE52
2F129EE75
2F129FF02
2F129FF13
2F129FF20
2F129GG17
2F129GG18
2F129HH12
2F129HH14
(57)【要約】
【課題】自車両のドライバを選択されたルートパスに沿った所望の目的地へ案内する。
【解決手段】自車両のドライバを選択されたルートパスに沿った所望の目的地へ案内するためのナビゲーションシステムを作動する方法は、自車両周辺の領域の車両に関する情報を取得するステップ、取得された情報に基づいて車両の軌跡を判定するステップ及び車両の軌跡を選択されたルートパスと比較するステップを含む。車両の1つが選択されたルートパスに沿って運転していたか、現在運転しているか、または、これから運転していくと判定される場合、自車両のドライバへのその1つの車両に追従させる指示が生成されて出力される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両のドライバを選択されたルートパスに沿って所望の目的地へ案内するためのナビゲーションシステムを作動させる方法であって、
前記自車両周辺の領域の車両に関する情報を取得するステップと、
前記取得された情報に基づいて前記自車両周辺の前記車両の軌跡を判定するステップと、
前記自車両周辺の前記車両の前記軌跡を前記自車両の前記選択されたルートパスと比較するステップと、
前記自車両周辺の前記車両の1つが、前記選択されたルートパスに沿って、
− 運転していたか、
− 現在運転しているか、または、
− 運転していく
場合に、
前記自車両の前記ドライバへの前記1つの車両に追従する指示を生成して出力するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
他の車両に関する情報を取得する前記ステップが、少なくとも1つのセンサよって生成されるセンサデータを使用して前記自車両周辺の前記車両の少なくとも1つの、位置、速度、進行方向、方向指示及び/またはレーン割り当ての少なくとも1つを検出するステップを含み、
前記自車両周辺の前記車両の前記軌跡が、前記自車両周辺の前記車両の少なくとも1つの前記位置、前記速度、前記進行方向、前記方向指示及び/または前記レーン割り当ての少なくとも1つに基づいて判定される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記自車両周辺の車両に関する情報を取得する前記ステップが、前記自車両周辺の前記車両の少なくとも1つの、色及び/またはブランド及び/または銘柄及び/または方向指示及び/またはタイプの少なくとも1つを検出するステップを含み、
前記指示が、前記自車両が追従するべき前記車両の前記検出された色、前記ブランド、前記銘柄、前記方向指示及び前記タイプの少なくとも1つを含んで生成される、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記自車両周辺の車両に関する情報を取得する前記ステップが、車両間(V2V)インタフェースを用いて前記車両から前記自車両へのデータを受信するステップを含む、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記指示が音響信号及び/または光学信号を用いて前記ドライバに出力される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記自車両周辺の車両に関する前記取得された情報をサーバに送信するステップをさらに含み、
前記自車両周辺の前記車両の軌跡を判定する前記ステップが前記サーバによって実行される、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記選択されたルートパスを前記サーバに送信するステップをさらに含み、
前記自車両周辺の前記車両の前記軌跡を前記選択されたルートパスと比較する前記ステップが、前記サーバによって実行される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法を実施するプログラムであって、コンピュータ上で実行されるプログラム。
【請求項9】
前記プログラムが前記サーバによってアクセス可能な非一時的コンピュータ可読媒体に格納されている、請求項8に記載のプログラム。
【請求項10】
自車両用のナビゲーションシステム(1)であって、
前記自車両用の目的地へのルートパスを選択するためのルーティングユニット(11)と、
複数のセンサから前記自車両周辺の領域の車両についてのセンサデータを取得するためのセンサユニット(12)と、
前記自車両周辺の前記車両の軌跡を判定するための、そして、前記判定された軌跡を前記選択されたルートパスと比較するための、処理ユニット(13)と、
前記ルートパスに従うための指示を生成するための指示ユニット(14)であって、前記自車両周辺の1つの車両の前記軌跡が前記選択されたルートパスとマッチする場合、前記1つの車両に追従させる指示を生成するように構成される、前記指示ユニットと、
前記1つの車両に追従させる前記指示を前記自車両のドライバに出力するための出力ユニット(15)と
を含む、システム。
【請求項11】
前記複数のセンサが、カメラ、レーダー、LiDAR、慣性測定ユニット(International Measurement unit:IMU)及びグローバルナビゲーション衛星システム(Global Navigation Satellite System:GNSS)から前記自車両の位置座標を受信するためのGNSS受信機の少なくとも1つを含む、請求項10に記載のシステム(1)。
【請求項12】
前記出力ユニット(15)がヘッドアップディスプレイを含む、請求項10または請求項11に記載のシステム(1)。
【請求項13】
前記自車両周辺の領域の車両に関する情報を前記他の車両から受信するための受信ユニット(16)をさらに含み、
前記処理ユニットが前記受信情報に基づいて前記軌跡を判定するために構成され、及び/または、
前記指示ユニットが前記受信情報に基づいて前記指示を生成するために構成される、請求項10乃至12のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項14】
前記ルーティングユニット(11)、前記センサユニット(12)、前記処理ユニット(13)、前記指示ユニット(14)及び前記出力ユニット(15)の少なくとも1つとデータを通信して交換するように構成されるサーバをさらに含む、請求項10乃至13のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項15】
前記処理ユニット(13)が前記サーバに設置される、請求項10乃至14のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において記載されている1つ以上の実施形態は、自車両のドライバを選択されたルートパスに沿った所望の目的地へ案内するためのナビゲーションシステムを作動する方法に関する。特に、本方法は、コンピュータによって実行されるプログラムで実施することができる。さらに、本明細書において記載されている1つ以上の実施形態は、自車両のドライバを選択されたルートパスに沿った所望の目的地へ案内するためのナビゲーションシステムに関する。特に、ナビゲーションシステムは、高度ドライバ支援システム(advanced driver−assistance system、ADAS)の一部でもよいか、またはそれと組み合わせて機能してもよい。
【背景技術】
【0002】
選択されたルートに沿って車両のドライバを指定された目標へ案内するために、大部分のナビゲーションシステムは、ターンバイターンナビゲーションを使用する。選択されたルートに従って進むための方向は、聞き取り可能、及び/またはグラフィック指示の形で、ドライバに絶えず示される。ターンバイターン方式ナビゲーションシステムは、通常電子音声を使用して、ユーザに、左折するか右折するか、直進するか、通りの名前、及び曲がり角までの残りの距離を知らせる。ターンバイターンナビゲーションシステムの典型的指示は、「あと300メートルでElm通りに右折する」などのコマンドを含むことができる。しかしながら、一部のドライバにとっては、このような指示は、訓練されていない人間が距離を正しく判断することは簡単な仕事ではないことがあるので、従うのが困難な場合がある。さらに、通りの名前は、その地域に精通していないドライバにとっては役立つ情報ではないかもしれない。
【0003】
ドライバがより直観的に反応することができる指示を出すために、道路に沿った目に見える手掛かり、例えば交通信号、興味のある地点、著名な建物、端、トンネルまたは他の目標物を指示に含むよう提案されている。このような指示は、「教会の後に左折する」などのコマンドを含むことができる。
【0004】
しかしながら、ドライバを案内するための参照物として静的オブジェクトを用いるには、これらのオブジェクトが常に見えて容易に認識可能なことが必要である。さらに、運転するときに、道側の静的参照位置を観測して認識するための使用可能な時間は制限されている。自車両周辺の他の道路関係者は、状況による認識を維持して、交通量の中で安全にナビゲートするために、自車両のドライバによって観察されなければならない。
【発明の概要】
【0005】
1つ以上の実施形態は、自車両のドライバを選択されたルートパスに沿った所望の目的地へ案内するためのナビゲーションシステムを作動する方法を記載する。例えば、方法は、指示を出して別の車両に追従することによって自車両のドライバを案内することを意図する。以下において、車両という用語は、例えば、自動車、オートバイ、トラック、バス及び自転車を含むいかなる種類の適切な道路関係者も指すものと理解される。例えば、「左折しているあなたの前の車両に追従する」などの指示を、自車両のドライバに提供することができる。したがって、ドライバを案内する、より自然でより直観的な方法を得ることができる。
【0006】
一態様によれば、自車両のドライバを選択されたルートパスに沿った所望の目的地へ案内するためのナビゲーションシステムを作動する方法は、自車両周辺の領域の車両に関する情報を取得するステップを含む。例えば、自車両の前方の車両に関する情報を得ることができる。このようにして、ルートパスに従うために、自車両の前の追従できる車両を識別することができてもよい。
【0007】
さらに、別の態様によれば、自車両周辺の車両の挙動を予測してもよい。例えば、自車両の前の先行する車両は、右折指示を点灯していてもよく、交差点に接近していてもよい。ナビゲーションシステムを作動する方法の一部として、予測は、右方向指示及び、先行する車両が交差点で右折しそうである、来るべき交差点を検出することに基づいて生じてもよい。所望の目的地へのルートパスも交差点での右折を必要とする場合、ナビゲーションシステムは、「右折をして、あなたの前方の車両に追従します」と指示することができる。ルートパスが右折を必要としない場合、ナビゲーションシステムは、i)前方の車両に追従しないように指示するか、ii)ナビゲーションシステムが右折をしている前方の車両に誤って追従していることを検出しない限り沈黙したままであるか、または、iii)直進を続けるというような別の指示を出す。別の例として、現在自車両の後ろか、またはその隣の車両の挙動を予測することができる。予測から、ナビゲーションシステムは、後置車両が通過できるようにし、及び/または後置車両よりも遅れるように指示することができる。後置車両が自車両を追い越した後、ナビゲーションシステムは、自車両の前の車両に今度は追従するように指示することができる。
【0008】
一態様によれば、方法は、取得された情報に基づいて自車両周辺の車両の軌跡を判定するステップを含むことができる。追従できる車両を識別するために、その車両の軌跡を判定することが必要であり得る。これは、複数の異なる方法で行うことができる。別の車両に追従させる指示を生成する目的のためには、その車両の比較的短い軌跡だけを判定すれば十分であり得る。例えば、交差点、ジャンクション、曲がり角、ロータリー、インターチェンジ、高速道路の入口または出口などの領域の中で、別の車両の軌跡を判定すれば十分であり得る。
【0009】
さらなる態様によれば、方法は、自車両周辺の車両の軌跡を選択されたルートパスと比較するステップを含むことができる。言い換えれば、周辺の車両(すなわち、自車両周辺の車両)の判定された軌跡は、自車両の計画的な軌跡を考慮して分析される。周辺の車両の判定された軌跡と自車両の計画的な軌跡の間にマッチがあって、かつ自車両が周辺の車両の後にある場合、自車両は周辺の車両に追従することができる。
【0010】
ルートパスの比較的短いセクションに沿った軌跡の間のマッチを判定すれば十分であり得、それによって自車両が周辺の車両に従って選択されたルートパスに沿って進むことができる。例えば、追従するべき適切な周辺の車両を識別するためには、例えば交差点、ジャンクション、曲がり角、ロータリー、インターチェンジ、ハイウェイの入口または出口などの領域の中の軌跡の間のマッチを判定するので十分であり得る。場合によっては、数十メートルだけのマッチを識別すれば十分であり得る。周辺の車両の軌跡が分析されるレートは、例えば、自車両の速度に、または、ルートパスのノードの密度に依存し得る。この目的のために、選択されたルートパスはルートパスのノードを検出するために分析することができ、そのノードで、ターンなどの方向転換が必要とされる。したがって、検出ノードの前の閾値距離またはそれの周辺の閾値半径範囲は定めることができる。一旦自車両がこのような閾値を越える(または、半径範囲に入る)と、追従するべき好適な車両は周辺の車両の軌跡を分析することによって識別されることが必要となる。一旦追従するべき好適な車両が識別されると、その車両に追従させる指示を生成することができる。
【0011】
一態様によれば、他の道路関係者の挙動は、環境モデルに基づいて予測することができる。環境モデルは、センサを用いて、車線のセンターライン及び/または境界線に関連したデータならびに検出した周辺の車両に関連したデータを含むことができる。
【0012】
一態様によれば、周辺の車両と自車両の軌跡の間のマッチングは、幾何学的な情報だけに基づくことができる。例えば、自車両のまわりのすべての(または少なくともいくつかの)周辺車両の、すべての(または少なくともいくつかの)以前の軌跡ならびにそれらの現在位置及び進行方向が分かっていてもよい。自車両については、計画的なルートパスも分かっている。それから、周辺の車両及び自車両のルートに対してサンプルポイントを算出することができる。そして、これらのサンプルポイント間の平均距離は、周辺の車両の軌跡上の各サンプルポイントに最も近い、計画的なルートパス上のサンプルポイントを発見することによって計算することができる。距離は、これらのサンプルポイントの間のユークリッド距離として計算することができる。平均ユークリッド距離は、計画的なルートと周辺の車両の軌跡の間のマッチの質を表している基本的な手段として使うことができる。一旦十分なマッチを有する周辺の車両の軌跡が識別されると、マッチした周辺の車両は自車両のドライバを案内するための指示を生成するために用いることができる。
【0013】
一態様によれば、周辺の車両の1つが、選択されたルートパスに沿って運転していたか、現在運転しているか、または、運転していく(これから運転する)、と判定される場合、自車両のドライバへのその1つの他の車両に追従させる指示を生成して出力するステップを実行することができる。このようにして、ドライバは自然及び直観的な方法に対応する指示を与えられることができ、人間の乗客はルートパスに従うための指示をドライバに提供することができる。例えば、指示は、「あなたの前方の車に追従して左折します」、または、「右の出口を出ようとしている車に追従します」として生成することができる。
【0014】
一態様によれば、自車両周辺の車両に関する情報を取得するステップは、周辺の車両の少なくとも1つの、位置、速度、進行方向、方向指示及び/またはレーン割り当てのうちの少なくとも1つを検出することを含むことができる。これは、少なくとも1つのセンサによって生成されるセンサデータを用いることによることができる。少なくとも1つのセンサは、自車両に設置されてもよい。少なくとも1つのセンサは、ナビゲーションシステムと通信してもよい。周辺の車両の軌跡は、少なくとも1つの周辺の車両の、位置、速度、進行方向、方向指示及び/またはレーン割り当てのうち少なくとも1つに基づいて判定することができる。センサデータを作るためのセンサとして、レーダセンサ、赤外センサ、カメラ、ステレオカメラ、LiDAR及びレーザセンサの少なくとも1つを使うことができる。特定の実施形態では、センサの組合せを使うことができる。
【0015】
一態様によれば、周辺の車両に関する情報を取得するステップは、周辺の車両の、色及び/またはブランド及び/または銘柄(すなわちモデル)及び/または方向指示及び/またはタイプ(例えば、車、トラック、オートバイなど)の少なくとも1つを検出することを含むことができる。特に、1つ以上のセンサが、周辺の車両に関する情報を取得するために用いられてもよい。ドライバに出力される生成された指示は、追従するべき他の車両の、検出された色、ブランド、銘柄、方向指示及びタイプの少なくとも1つを含むことができる。例えば、「左折中の青いメルセデスセダンに追従します」、または、「右折を示している赤いフェラーリに追従して右折します」、または、「交差を直進しているオートバイに追従します」、などの指示を生成することができる。指示がドライバに視覚的に提示される場合に備えて、追従するべき車両の現実的なモデルを描くことができる。この目的のために、描かれたモデル、例えば車両の3次元グラフィック表現のデータベースがアクセス可能でもよい。他の車両の一般的な画像ではなく追従するべき車両の現実的なグラフィック表現がドライバに提示されると、ドライバはより少ない努力で追従するべき車両を認識することができる。
【0016】
自車両の近くの車両の色及び/またはブランド及び/または銘柄(すなわちモデル)及び/またはタイプの少なくとも1つを検出するプロセスは、周辺の車両の画像及び/またはLiDARポイントクラウドを取得して、画像データまたはポイントクラウドデータを処理することを含むことができる。画像処理は、例えば、どんなタイプの道路関係者が存在しているか、例えば、道路関係者が自動車、自転車、トラック、歩行者またはオートバイであるのかどうか、について検出するために訓練されたニューラルネットワークによって実行することができる。さらに、ニューラルネットワークは、ブランド、モデル、色及び/またはタイプを検出するために訓練することができる。
【0017】
一態様によれば、周辺の車両に関する情報を取得するステップは、車両間(V2V)インタフェースを用いて周辺の車両からデータを受信するステップを含むことができる。V2Vによって、自動車は、互いにデータを交換することができる。車両の間の通信は、無線接続を用いて実行することができる。車両間で共有される情報は、例えば、車両間のルートの間のマッチが検出されることができるように、位置情報及び計画的なルート情報に関するものであり得る。自車両がV2Vを介して自車両の近くの車両のルート情報及び位置情報を受信すると、車両に追従する指示は、センサによってさらに車両を検出する必要なく生成することができる。
【0018】
一態様によれば、指示は、音響信号及び/または光学信号を用いてドライバに出力されてもよい。特に、音声指示がドライバに出力されてもよい。代わりに、または、加えて、視覚的指示が出力されてもよい。視覚的指示は、追従するべき車両について取得される情報を組み込むこともできる。例えば、追従するべき車両に似ている車両のアニメーション化画像または静止画像は、ダッシュボード内、または、ヘッドアップディスプレイ内に含まれるディスプレイに表示することができる。
【0019】
一態様によれば、方法は、サーバに周辺の車両に関する取得された情報を送信するステップをさらに含むことができる。これによって、サーバが周辺の車両の軌跡を判定するのを可能にすることができる。周辺の車両の軌跡を判定するプロセスは、高度な計算の労力を必要とし得る。サーバに周辺の車両に関する情報を含むデータを送信することによって、この計算機的に高コストの処理は、自車両のローカルプロセッサより非常に多くの処理パワーを有することができるサーバによって行うことができる。交換されることを必要とするデータ量は、データ転送と関連した時間遅延が、特にサーバのより高い処理パワーを使用して軌跡を処理することによって節約されることができる時間と比較して小さいものであり得るように、比較的少なくすることができる。
【0020】
一態様によれば、方法は、選択されたルートパスをサーバに送信するステップをさらに含むことができる。サーバは、周辺の車両の軌跡を選択されたルートパスと比較することができる。自車両の軌跡を周辺の車両の軌跡と比較するプロセスは、多い計算量を必要とし得る。周辺の車両についての、そして、サーバに対する自車両の位置及び選択されたルートパスについての情報を含むデータを送信することによって、この計算機的に高コストの処理はサーバによって行われることができ、それは車両の局所プロセッサより非常に多くの処理パワーを有することができる。データ転送と関連した時間遅延が小さくてもよいように、交換されることを必要とするデータ量は、特にサーバのより高い処理パワーを使用する処理によって保存されることができる時間と比較して、比較的少なくてもよい。
【0021】
一態様によれば、本明細書において記載されている少なくとも1つの態様に従って自車両のドライバを選択されたルートパスに沿った所望の目的地へ案内するためのナビゲーションシステムを作動する方法を実施するプログラムが、提供される。特に、プログラムは、コンピュータによって実行される。方法を実施するプログラムは、複数のプロセッサによって実行されることができる複数のタスクを含むことができる。プロセッサの全部または一部は、自車両でローカルに設けることができ、及び/または、プロセッサの全部または一部は、中央にサーバで設けられても、または、自車両が通信することができるクラウドネットワークの中に設けられてもよい。プログラムはサーバがアクセス可能な非一時的コンピュータ可読媒体に格納されてもよく、及び/または、自車両に設置されたプロセッサに格納されてもよい。
【0022】
一態様によれば、自車両用のナビゲーションシステムが提供され、システムは所望の目的地への自車両用のルートパスを選択するためのルーティングユニットを含む。例えば、ルートパスは、ドライバによる事前設定が可能な1つ以上の要件または優先度に従って、所望の目的地までの1つ以上の可能性があるルートからドライバによって選択されてもよい。所望の目的地は、入力ユニットを用いてドライバによって入力されてもよい。特に、ナビゲーションシステムは、高度ドライバ支援システム(ADAS)の一部として実装することができる。
【0023】
一態様によれば、システムは、複数のセンサから自車両周辺の領域の車両についてのセンサデータを取得するためのセンサユニットを含むことができる。特に、複数のセンサは、カメラ、ステレオカメラ、レーダー、LiDAR、慣性測定ユニット(inertial measurement unit、IMU)及びグローバルナビゲーション衛星システム(global navigation satellite system、GNSS)から座標を受信するための受信機の少なくとも1つを含むことができる。
【0024】
一態様によれば、システムは、自車両周辺の車両の軌跡を判定するための、そして、判定された軌跡を自車両の選択されたルートパスと比較するための、処理ユニットを含むことができる。特に、処理ユニットは、受信ユニットから受信される情報に基づいて周辺の車両の軌跡を判定するために構成される。軌跡は、例えば受信情報を分析することによって判定することができる。この目的のために、処理ユニットは、周辺の車両の軌跡を検出するための1つ以上のアルゴリズムを実行することができる。例えば、経時的に検出される周辺の車両の位置は、経時的に追跡することができて、高解像度(HD)地図において含まれるレーン間のレーンマーキング及びノードなどの情報と比較することができる。検出軌跡を選択されたルートパスと比較する関数は、ルートパスの所定のセクションに対してのみ実行されることができる。例えば、所定のセクションは、その後自車両によって進行されることになる約10〜100メートルのルートパスを含むことができる。第1の処理ステップで、処理ユニットは選択されたルートパスを分析してルートパスのノードを検出することができ、そのノードで、ターンなどの方向転換が必要とされる。その後、処理ユニットは、検出ノードの前の閾値距離またはその周辺の閾値半径範囲を定めることができる。一旦閾値を超える(または、半径範囲に入る)と、追従するべき好適な車両は指示を生成するために識別されることを必要とする。
【0025】
一態様によれば、システムはルートパスに従うための指示を生成する指示ユニットを含むことができ、1つの周辺の車両の軌跡が選択されたルートパスとマッチする場合、指示ユニットは、その1つの周辺の車両に追従する指示を生成するように構成することができる。指示ユニットは、視覚指示テンプレート及び/または音声指示テンプレートを格納しているデータベースを含むことができる。適切なテンプレートを選択して関係情報を追加することによって、指示は、非常に効率的に生成することができる。
【0026】
一態様によれば、指示ユニットは、受信ユニットから受信される情報に基づいて指示を生成するために構成される。指示ユニットは、ハードウェアの別々の部分として、または、1つ以上のプロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実装されることができる。機能的に、指示ユニットは、処理ユニットから軌跡の間にマッチングプロセスの結果に関連した情報を受信して、出力ユニットによる自車両のドライバに対する出力であることができる指示を生成する。したがって、指示ユニットは、出力ユニットに適したデータフォーマットに示される指示に処理ユニットから受信される情報を変えるように構成される。
【0027】
一態様によれば、システムは、自車両のドライバに指示を出力するための出力ユニットを含むことができる。出力ユニットは、ドライバに視覚的に及び/または音響的に指示を出力するように構成することができる。この目的のために、出力ユニットは、グラフィック指示を表示するためのディスプレイ、音を出力するためのスピーカ及び/またはヘッドアップディスプレイ(HUD)の少なくとも1つを含むことができる。特に、出力ユニットは、ADASまたは集合計器の一部であってもよい。
【0028】
一態様によれば、システムは、他の車両から自車両周辺の領域の他の車両についての情報を受信するための、受信ユニットをさらに含むことができる。特に、受信ユニットは、車両間(V2V)インタフェースを用いて他の車両からデータを受信することができる。例えば、軌跡情報が周辺の車両から直接受信されるときには、計算機的に扱いにくいものであり得る周辺の車両の軌跡を算出するステップは、省略することができる。加えて、または、代わりに、周辺の車両のブランド、色、タイプ及び/またはモデルに関連した情報は、V2Vインタフェースを介して受信することができる。
【0029】
一態様によれば、システムは、データをルーティングユニット、センサユニット、処理ユニット、指示ユニット及び出力ユニットの少なくとも1つと通信して交換するように構成されるサーバを、さらに含むことができる。データ通信は、例えば、モバイルデータネットワークなどのワイヤレスネットワークによって達成することができる。サーバは、ハードウェアの単一の中央で管理された部分である必要はなく、冗長コンポーネント及び簡略保守の利点を有するクラウドコンピューティングネットワークとして実装することができる。
【0030】
一態様によれば、処理ユニットは、サーバに設置することができる。サーバにある処理ユニットを使用することによって、ローカルに自車両で設けられているより多くの処理パワーをより容易に提供する利点を達成することができる。他方で、データ処理のために必要とされる時間を減少させて利用できる処理パワーをより効率的に使用するために、タスクは、サーバのプロセッサと自車両のプロセッサの間で分割することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】一実施形態によるナビゲーションシステムを概略的に図示する。
【
図2】実施形態による方法を概略的に図示しているプロセスフローを示す。
【
図3】実施形態による方法を概略的に図示しているプロセスフローを示す。
【
図4】環境モデルの予測を用いたルートマッチングの例を図示する。
【
図5】V2Vを用いたルートマッチングの例を図示する。
【
図6】軌跡の間の幾何学的な関係に基づくルートマッチングの例を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、一実施形態による自車両用のナビゲーションシステム1の概略図を示す。ナビゲーションシステム1は、ルーティングユニット11、センサユニット12、処理ユニット13、指示ユニット14、出力ユニット15及び受信ユニット16を含むことができる。ナビゲーションシステム1は、集合計器を含む高度ドライバ支援システム(ADAS)の一部として実装することができる。特に、ナビゲーションシステム1は、自動車、オートバイまたはトラックなどの自動車両で用いることができる。いくつかの実施形態では、ナビゲーションシステム1の異なるユニットは、1つ以上の電子制御装置(electronic control unit、ECU)で動作するソフトウェアモジュールとして実装することができる。特に、センサユニット12及びルーティングユニット11は、異なるECU上で動作することができる。
【0033】
ルーティングユニット11は、自車両のドライバが所望の目的地に自車両用のルートパスを選択することを可能にできる。この目的のために、ルーティングユニット11は、ドライバによる入力操作を受信するための入力ユニットを含むことができる。入力ユニットによって、ドライバは、所望の目的地を入力することができる。それから、ルーティングユニット11は目的地への1つ以上の可能性があるルートパスを提供することができ、そこから、ドライバは入力ユニットを用いて従うべき1つのルートパスを選択することができる。
【0034】
センサユニット12は、自車両周辺の領域の車両についてセンサデータを取得するための複数のセンサを含むことができる。センサユニット12は、通常少なくともカメラ及びレーダーを含む。さらに、センサユニット12は、LiDARを含むこともできる。特に、センサユニット12のカメラ、レーダー及びLiDARは、自車両の前方の領域の車両を検出するように構成することができる。例えば、レーダーは、自車両の前方の車両の距離を検出するために用いることができる。さらに、センサユニット12は、グローバルナビゲーション衛星システム(GNSS)から自車両の位置座標を受信する受信機を含むことができる。さらに、センサユニット12は、GNSSからの信号が(例えばトンネルの中で)利用できないときに、自車両の位置を検出するための慣性測定ユニット(IMU)を含むこともできる。
【0035】
処理ユニット13は、受信情報に基づいて自車両周辺の車両の軌跡を判定することができる。さらに、処理ユニット13は、判定された軌跡を選択されたルートパスと比較することができる。
【0036】
指示ユニット14は、ルートに従うための指示を生成するように構成することができる。1つの周辺の車両の軌跡が自車両の選択されたルートパスとマッチする場合、指示ユニット14はその1つの周辺車両に追従する指示を生成するように構成することができる。さらに、指示ユニット14は、追従するべき車両のブランド、銘柄、タイプまたは色に関連した情報に基づいて、指示を生成することができる。
【0037】
出力ユニット15は、自車両のフロントガラスに視覚情報を示すためのヘッドアップディスプレイ、及び、さらなる視覚情報をドライバに提供するための1つ以上の薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ(TFT−LCD)を有する集合計器を含むことができる。出力ユニット15は、オーディオをドライバに出力するための少なくとも1つのスピーカを有するオーディオシステムを含むことができる。出力ユニット15は、自車両のドライバに視覚指示及び音響指示を出力するために用いることができる。
【0038】
受信ユニット16は、他の車両から自車両周辺の領域の他の車両に関する情報を受信するために構成することができる。特に、受信ユニット16は、車両間(V2V)インタフェースを用いて、周辺の車両からデータを受信することができる。この情報は、周辺の車両の軌跡を判定するため、及び/または指示を生成するために使用することができる。
【0039】
システム1の実施形態は、ルーティングユニット11、センサユニット12、処理ユニット13、指示ユニット14及び出力ユニット15の少なくとも1つとデータを通信して交換するように構成される、サーバをさらに含むことができる。特に、処理ユニット13はサーバに実装することができる。自車両とサーバ間のデータ転送のために、システム1は、モバイルデータネットワークを介して通信するように構成することができる。
【0040】
図2は、1つ以上の実施形態による、自車両のドライバを選択されたルートパスに沿って所望の目的地へ案内するためにナビゲーションシステム1を作動する方法に関して概略的に図示するプロセスフローを示す。方法は、
図1を参照して上述の通りにナビゲーションシステム1によって実行することができる。
【0041】
第1のプロセスステップS101において、自車両のドライバは所望の目的地を入力することができる。これは、例えば入力デバイスを用いて目的地をタイプ入力することによって、または、音声入力を用いることによって行うことができる。ナビゲーションシステム1は、ローカルに格納されることができるか、または、データ通信接続を介してサーバから取得することができるデータベースの、または、地図上の、入力された目的地を捜すことができる。
【0042】
次のステップS102において、ルートパスを選択することができる。例えば、ドライバは、現在位置から所望の目的地への1つ以上の可能性があるルートパスを提示されることができて、ルートパスを選択することができる。例えば、ドライバは、必要とされる時間が最少である最短距離または最速のルートパスに従ってルートパスを選択することができる。さらに可能性があるルートパスは、有料道路を回避するかまたは国境通過を回避するなどの、ユーザ定義の要件に従って選択することができる。
【0043】
ルートパスがステップS102で選択された後、ドライバはナビゲーションシステム1によって出力された指示に従って自分の移動を始めることができる。例えば、指示はターンバイターンに基づいて出力されてもよく、左折をするか、右折をするか、または交差点に向かって直進を続けるようドライバに命じる。グラフィック表示及び/または音声コマンドは、ドライバを案内するために、ナビゲーションシステムによって出力されてもよい。指示を出力するためのタイミングは、自車両の現在位置をルートパスと比較することによって起動することができる。例えば、ルートパスを選択した後に、ルートパスは、ルートパスに従うためのセクションの間の必要な操作に従ってセクションに分けることができる。各操作は、曲がるかまたは指定されたレーンに沿って運転することに対応することができる。操作の前に好適な距離、閾値は定めることができるか、または、閾値半径範囲は操作が実行されることを必要とする位置周辺で定めることができる。閾値は、指示を生成するプロセスを始めるためのトリガーとして存在してもよい。
【0044】
以下において、方法は、ルートパスに沿って別の車両に追従するためのコマンドを含むことができる。これらのステップは、ルートパスに従うためにドライバに指示が提供されることを必要とするノードに自車両が接近するたびに、実行されてもよい。
【0045】
ステップS103において、ナビゲーションシステム1のセンサユニット12によって生成されたセンサデータは、自車両周辺の領域の車両に関する情報を取得するために処理されてもよい。例えば、自車両周辺の少なくとも1つの車両の位置、速度、進行方向、方向指示及び/またはレーン割り当ての少なくとも1つを検出することができる。加えて、周辺の車両の色及び/またはブランド及び/または銘柄及び/または方向指示及び/またはタイプの少なくとも1つを取得することができる。特に、周辺の車両に関する情報は、少なくとも1つのセンサから受信される処理センサデータによって取得することができる。あるいは、または、さらに、周辺の車両に関する情報は、車両間(V2V)インタフェースを用いて他の車両からのデータを直接受信することによって取得することができる。V2Vを介して受信される情報は、周辺の車両の軌跡、周辺の車両のブランド、銘柄、色及びタイプに関連した情報を含むことができる。
【0046】
ステップS104において、取得された情報は、周辺の車両の軌跡を判定するために用いることができる。周辺の車両の軌跡は、例えば、周辺の車両の少なくとも1つの位置、速度、進行方向、方向指示及び/またはレーン割り当ての少なくとも1つに基づいて判定することができる。
【0047】
次いで、ステップS105で、他の車両の軌跡は、選択されたルートパスと比較されてもよい。軌跡をルートパスと比較するステップは、地図上の自車両のルートパスと判定された軌跡のマッチを算出することを含むことができる。
【0048】
次に、ステップS106で、少なくとも1つの周辺の車両の軌跡と自車両の選択されたルートパスの少なくとも一部の間にマッチがあるか否かを、判定することができる。言い換えれば、他の車両の1つが、選択されたルートパスに沿って運転していたか、現在運転しているか、または、運転していくか否か、判定することができる。マッチは、自車両の現在位置の所定の半径範囲の中であること、例えば、自車両から定義済み距離の範囲内、または、交差点などのルートパスのノードの定義済み半径範囲内にあることを必要とするだけである。さらに、マッチは、必ずしも正確であることが必要というわけではない。例えば、追従するべき車両が自車両と平行のレーンに沿って運転している場合、現在のレーン上にとどまることによってその車両に追従すれば十分であり得る。したがって、軌跡とマッチングする基準は、正確に周辺の車両の移動に追従するのではなく選択されたルートパスに沿った運転の所望の結果に至る関数をもとにして評価することができる。
【0049】
マッチングプロセスの結果が否定である場合、プロセスはステップS103に戻る。ここで、否定の結果は、周辺の車両に追従することが選択されたルートパスに沿って自車両を導くことにはならないことを意味する。
【0050】
ステップS106のマッチングプロセスの結果が肯定である場合、軌跡が選択されたルートマッチと一致する他の車両に追従させる指示がステップS107で生成される。例えば、指示は、追従するべき他の車両の検出された色、ブランド、銘柄、タイプ及び方向指示の少なくとも1つを含んで生成することができる。最後に、ステップS108で、生成された指示は、ドライバに出力される。例えば、視覚的指示は車両に追従させる音声コマンドと共にドライバに提供されてもよい。
【0051】
図3は、1つ以上の実施形態による、自車両のドライバを選択されたルートパスに沿って所望の目的地へ案内するためにナビゲーションシステムを作動する方法を例示する。方法は、
図1を参照して上述の通りにナビゲーションシステム1によって実行することができる。
【0052】
方法は、ステップS101で所望の目的地を入力し、ステップS102でルートパスを選択し、ステップS103で1つ以上のセンサを介して、自車両周辺の領域の車両に関する情報を取得することを含むことができる。周辺の車両についての取得された情報は、ステップS111でサーバに送信することができる。加えて、自車両の選択されたルートパスは、サーバに送信することができる。サーバは、自車両から遠隔に設置することができる。自車両は、サーバと無線通信してもよい。
【0053】
方法は、ステップS104で周辺の車両の軌跡を判定することを含むことができる。その判定ステップS104は、サーバによって実行することができる。加えて、方法は、ステップS105で、周辺の車両の判定された軌跡を自車両の選択パスと比較することを含むことができる。ステップS105は、サーバによって実行することもできる。比較に基づいて、方法はステップS106で、周辺の車両の軌跡と自車両の選択されたルートパスの間にマッチがあるか否かについて判定することを含むことができる。ステップS106は、サーバによって実行することもできる。マッチを示している肯定の判定の場合、方法はステップS112を含むことができる。ステップS112において、サーバは、マッチがあることを自車両に送信することができる。自車両に対する正の判定の伝送に基づいて、方法は、ステップS107で指示を生成し、ステップS108で自車両のドライバへの指示を出力することを含むことができる。
【0054】
図4〜
図6は、
図2及び3を参照して上述したプロセスのステップS104からS106で実施することができるルートマッチング方法のための例を示す。
【0055】
図4は、環境モデルの予測を使用するルートマッチングのための例を示す。環境モデルは、車線の中央及びジャンクションならびに自車両のセンサを用いて検出される周辺の車両などのデータを提供することができる。
図4において、レーンセンターラインは、破線矢印によって示される。例示の四方向のジャンクションでは、ジャンクションに接近している自車両(黒い長方形)または前方の車両(ストライプ付きの長方形)などの車両にとって、左折、右折または直進の3つの方向が可能である。これらの3つの可能性は、センターラインをマーキングしている破線矢印によって示される。自車両の計画的なルートは、実線矢印によって示されて、ジャンクションでの左折を含む。環境モデルの予測は、白い長方形で示される車両が左折もして、したがって自車両と同じジャンクションの境界の中の軌跡に沿って移動する高い確率を与える。さらに、センサは、曲がっている車両が赤いことを示しているデータを提供することができる。軌跡のマッチングの肯定の結果、「次のジャンクションで左折している赤い車両に追従します」などの音声コマンドを生成することができる。
【0056】
図5は、V2Vを用いたルートマッチングのための例を示す。
図4において表される状況と同様で、自車両は、計画的なルート(実線矢印)に従うために左折が必要であるジャンクションに接近する。2つの周辺の車両が自車両の前方に存在する。自車両の直前の車両(破線の長方形)は、ジャンクションを超えて直進してもよい(一点鎖線矢印)。別の車両(白い長方形)は、左折してもよい(破線矢印)。自車両は、V2V通信によって周辺の車両のルートを受信することができる。さらに、V2Vによって送信されるデータは、周辺の車両についての、それらの色などのデータを含むこともできる。軌跡マッチングプロセスは、左折している車両によって送信されるルートと自車両の間のオーバーラップを検出する。軌跡のマッチングが肯定である結果、「次のジャンクションで左折している赤い車両に追従します」などの音声コマンドを生成することができる。さらに、V2V通信のための業界標準は、周辺の車両の軌跡を計画的なルートとマッチングすることを助けることができる。例えば、異なる車両によって使用される地図データベースは異なることがあり得、そのため軌跡の直接マッチングが可能でない場合がある。したがって、マッチングプロセスは、V2Vを介して受信されるデータが、道路ジオメトリ、道路の機能的道路クラス、方向情報及び速度情報に関して分析されることが必要であり得る。
【0057】
図6は、軌跡の間の幾何学的な関係に基づいたルートマッチングのための例を示す。単純であるが、強力なマッチングプロセスは、幾何学的な情報だけに基づいてもよい。例えば、自車両(黒い長方形)まわりの周辺の車両(点線の長方形及び破線の長方形)の以前の軌跡ならびに現在位置及び進行方向は、例えばセンサデータから知ることができる。
図6において表されるジャンクションでは、自車両の計画的なルートパスは左折する。周辺の車両及び自車両の両方の軌跡に対して、サンプルポイント(小円)を算出することができる。次いで、それぞれのサンプルポイントの間の実線及び点線によって示される平均距離は、周辺の車両の軌跡上の各サンプルポイントに最も近いサンプルポイントを計画的なルートパス上で発見することによって計算することができる。距離は、これらのサンプルポイントの間のユークリッド距離として計算することができる。平均ユークリッド距離は、計画的なルートと周辺の車両の軌跡の間のマッチの質を表している基本的な測度として使うことができる。より小さい距離ほど、より良好なマッチを示すことができる。一旦十分なマッチを有する周辺の車両の軌跡が識別されると、マッチされた周辺の車両は自車両のドライバを案内するための指示を生成するために用いることができる。
図6において、周辺の車両の2つの軌跡の第1のサンプルポイントは、自車両のルートパスの対応するサンプルポイントへの同じ距離を有する。しかしながら、左折のためのターンポイントの後、破線の軌跡のサンプルポイントまでの距離は、点線の軌跡のサンプルポイントまでの距離より非常に大きい。従って、プロセスは、点線の軌跡が破線の軌跡よりも計画的なルートパスとよく一致するという結果を戻すことができる。指示を作り出す目的のために、自車両の計画的なルートパスへの小さい平均距離を有する軌跡を有する車両だけを選択することができる。
図6の例において、点線の軌跡の車両に追従する指示を選択することができる。
【0058】
本明細書において記載されている特徴は、いかなる組合せの1つ以上の実施形態にも関連することができる。請求項の参照数字は、請求項を読むのを容易にするためにだけ導入されている。それらは、決して制限的な意味ではない。
【0059】
本明細書の全体にわたって、種々の実施形態を説明してきた。しかしながら、本発明がこれらのいずれの1つにも限られていないことを理解すべきである。従って、前述の詳細な説明は、制限的ではなく、むしろ説明的なものと考えられることを意図している。
【符号の説明】
【0060】
1 ナビゲーションシステム
11 ルーティングユニット
12 センサユニット
13 処理ユニット
14 指示ユニット
15 出力ユニット
16 受信ユニット