【解決手段】火災報知システムSは、火災を感知する感知器11と、警報を発する警報器12と、第1配線L1及び第2配線L2を介して感知器及び警報器と接続された制御装置2と、を備える。感知器は、第1配線と第2配線との間に接続され、火災を感知した場合に、第1配線側から第2配線側に感知電流を流す。警報器は、第1配線と第2配線との間に接続され、第2配線側から第1配線側に、制御装置から警報電流が供給されたことを条件として警報を発する。制御装置は、第1配線側から第2配線側に向けて感知器が感知電流を流したことを検出した場合に、第2配線側から第1配線側に向けて警報器に警報電流を供給する。
火災を感知する感知器と、警報を発する警報器と、第1配線及び第2配線を介して前記感知器及び前記警報器と接続された制御装置と、を備える火災報知システムにおける火災報知方法であって、
第1配線と第2配線との間に接続された前記感知器が、火災を感知した場合に、前記第1配線側から前記第2配線側に感知電流を流すステップと、
前記制御装置が、前記第1配線側から前記第2配線側に向けて前記感知器が前記感知電流を流したことを検出するステップと、
前記制御装置が、前記検出するステップの後に、前記第2配線側から前記第1配線側に向けて前記警報器に警報電流を供給するステップと、
前記第1配線と前記第2配線との間に接続された前記警報器が、前記第2配線側から前記第1配線側に前記制御装置から警報電流が供給されたことを条件として警報を発するステップと、
有する火災報知方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の火災報知システムでは、感知器を受信機に接続する配線の敷設作業と、警報装置を受信機に接続する配線の敷設作業とを別途行う必要があるため、配線の敷設作業が煩雑になるとともに、配線の量が多くなるという問題が生じていた。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、感知器及び警報装置を他の機器に接続する配線の敷設作業を簡略化することができる火災報知システム又は火災報知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の火災報知システムは、火災を感知する感知器と、警報を発する警報器と、第1配線及び第2配線を介して前記感知器及び前記警報器と接続された制御装置と、を備え、前記感知器は、第1配線と第2配線との間に接続され、火災を感知した場合に、前記第1配線側から前記第2配線側に感知電流を流し、前記警報器は、前記第1配線と前記第2配線との間に接続され、前記第2配線側から前記第1配線側に、前記制御装置から警報電流が供給されたことを条件として警報を発し、前記制御装置は、前記第1配線側から前記第2配線側に向けて前記感知器が前記感知電流を流したことを検出した場合に、前記第2配線側から前記第1配線側に向けて前記警報器に前記警報電流を供給する。
【0007】
前記制御装置は、前記第1配線側から前記第2配線側に向けて前記感知器が前記感知電流を流したことを検出する検出部と、前記第2配線側から前記第1配線側に向けて前記警報電流を流す電流発生部と、前記第1配線及び前記第2配線に前記検出部が接続された監視状態と、前記第1配線及び前記第2配線に前記電流発生部が接続された警報状態とを切り替える切替スイッチと、を有してもよい。
【0008】
前記火災報知システムは、前記感知電流が流れたことを前記検出部が検出した場合に、前記切替スイッチを前記監視状態から前記警報状態に切り替えるように制御する制御部をさらに有してもよい。前記火災報知システムは、前記第1配線と前記第2配線との間に、前記感知器に前記警報電流が流れることを制限する第1電流制限回路をさらに有してもよい。前記火災報知システムは、前記第1電流制限回路と並列に、前記警報電流の一部の電流を前記感知器に流すバイパス回路をさらに有してもよい。
【0009】
前記感知器は、火災を感知した場合に点灯する作動灯をさらに有し、前記バイパス回路は、前記感知器が前記感知電流を流した後に、前記作動灯が点灯した状態を維持するための電流を前記感知器に流してもよい。前記火災報知システムは、前記第1配線と前記第2配線との間に、前記第1配線側から前記第2配線側へ向けて電流が前記警報器に流れることを制限する第2電流制限回路をさらに有してもよい。
【0010】
本発明の第2の態様の火災報知方法は、火災を感知する感知器と、警報を発する警報器と、第1配線及び第2配線を介して前記感知器及び前記警報器と接続された制御装置と、を備える火災報知システムにおける火災報知方法であって、第1配線と第2配線との間に接続された前記感知器が、火災を感知した場合に、前記第1配線側から前記第2配線側に感知電流を流すステップと、前記制御装置が、前記第1配線側から前記第2配線側に向けて前記感知器が前記感知電流を流したことを検出するステップと、前記制御装置が、前記検出するステップの後に、前記第2配線側から前記第1配線側に向けて前記警報器に警報電流を供給するステップと、前記第1配線と前記第2配線との間に接続された前記警報器が、前記第2配線側から前記第1配線側に前記制御装置から警報電流が供給されたことを条件として警報を発するステップと、有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、感知器及び警報装置を接続する配線の敷設作業を簡略化し、又はこれらの配線に要する導線の量を軽減することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[火災報知システムの概要]
図1は、本実施形態の火災報知システムSの概要を示す図である。火災報知システムSは、火災の発生を報知する。火災報知システムSは、地区設備1−1〜地区設備1−Nと、制御装置2とを備える。制御装置2は、例えば地区設備1−1〜地区設備1−Nと通信可能なP型受信機であるが、地区設備1−1〜地区設備1−Nと受信機との間に設けられたR型の火災報知システムにおける中継器であってもよい。
【0014】
地区設備1−1〜地区設備1−N(地区設備1と表記することがある)は、建物内に割り当てられた複数の地区のいずれかに設置されている。地区設備1−1〜地区設備1−Nは、設置された地区における火災の発生を感知し、警報を出力する。地区は、例えば、建物内の仕切られた部屋を一単位とするが、一つの地区に複数の部屋が含まれていてもよい。
【0015】
地区設備1−1〜地区設備1−Nは、第1配線L1及び第2配線L2により制御装置2に接続された各種の装置を備える。地区設備1−1〜地区設備1−Nは、感知器11(
図1中、Sと表記する)と、警報器12(
図1中、Bと表記する)と、終端回路13(
図1中、Tと表記する)と、電流制限回路14と、電流制限回路15とを備える。
【0016】
感知器11は、第1配線L1と第2配線L2との間に接続されている。感知器11は、火災の発生を感知するセンサを有しており、例えば、火災の煙を感知する。感知器11は、火災を感知した場合にオン状態となって、第1配線L1側から第2配線L2側へ向かうように感知電流を流す。また、感知器11は、火災の発生を感知した場合に、内蔵の作動灯(不図示)を点灯させる。
【0017】
警報器12は、第1配線L1と第2配線L2との間に接続されている。警報器12は、火災の発生を報知するための警報を発する。警報器12は、例えば、内蔵スピーカ(不図示)により、火災の発生を報知するための警報音を発する。警報器12は、警報としてフラッシュライトを発光させる光警報器であってもよい。
【0018】
警報器12には、警報器12と第2配線L2との間に配置された電流制限回路15の作用により、第1配線L1側から第2配線L2側へ向かう電流が流れない。一方、警報器12は、制御装置2が生成した警報電流が第2配線L2側から第1配線L1側へ供給されたことを条件として警報を発する。
【0019】
終端回路13は、第1配線L1の末端と第2配線L2の末端との間に接続されている。終端回路13は、制御装置2が、第1配線L1と第2配線L2との間の電圧を監視することにより第1配線L1及び第2配線L2の断線等の線路異状を検出するために設けられている。
【0020】
電流制限回路14は、第1配線L1と第2配線L2との間に配置されており、感知器11に警報電流が流れることを制限する。一方、電流制限回路14は、第1配線L1側から第2配線L2側へ流れる感知電流を制限しない。電流制限回路14は、例えばダイオードであるが、一方向に電流を流す機能を有するデバイスであれば他のデバイスであってもよい。
【0021】
電流制限回路15は、第1配線L1と第2配線L2との間において、警報器12と直列に配置されている。電流制限回路15は、第1配線L1側から第2配線L2側へ向かう電流が警報器12に流れることを制限する。一方、電流制限回路15は、第2配線L2側から第1配線L1側へ流れる警報電流を制限しない。電流制限回路15が警報器12と直列に配置されていることにより、警報器12は、第1配線L1側から第2配線L2側へ向かう感知電流が流れることによって警報を発することなく、第2配線L2側から第1配線L1側へ警報電流が流れることにより警報を発することができる。電流制限回路15は、電流制限回路14と同様に例えばダイオードであるが、一方向に電流を流す機能を有するデバイスであれば他のデバイスであってもよい。
【0022】
制御装置2は、第1配線L1及び第2配線L2を介して感知器11及び警報器12に接続されている。制御装置2は、操作部21、表示部22、電源部23、地区回路24−1〜地区回路24−N(Nは地区回路の数を示す)、記憶部25及び主制御部26を備える。操作部21は、施設内にいる人(以下、ユーザとする)が各種の入力を行うためのデバイスであり、例えば、操作キー又はタッチパネルにより構成される。表示部22は、各種の情報を表示するためのディスプレイ及び光源を有するパネルである。表示部22は、例えば、火災が発生した場合に、火災が発生した地区を表示する。電源部23は、制御装置2の操作部21等の各構成要素及び地区設備1−1〜地区設備1−Nへ電力をそれぞれ供給する。
【0023】
地区回路24−1〜地区回路24―N(地区回路24と表記することがある)は、対応する地区設備1−1〜地区設備1−Nが火災の発生を感知したか否かを検出する。地区回路24−1〜地区回路24―Nは、第1配線L1側から第2配線L2側に向けて感知器11が感知電流を流したことを検出した場合に、火災を感知した地区において第2配線L2側から第1配線L1側に向けて警報器12に警報電流を供給する。地区回路24−1〜地区回路24―Nのうち、火災を感知した地区回路24は、当該地区回路24内の全ての警報器12に警報電流を供給する。
【0024】
地区回路24−1〜地区回路24―Nは、第1配線L1側から第2配線L2側に向けて感知器11が感知電流を流したことを検出した場合に、感知電流を感知したことを示す情報と、火災を感知した地区を特定するための情報を主制御部26に通知してもよい。地区を特定するための情報は、例えば、地区の識別番号である。この場合、地区回路24−1〜地区回路24―Nのうち、感知器11が感知電流を流したことを検出した地区回路24は、主制御部26からの指示に基づいて、警報器12に警報電流を供給する。なお、地区回路24−1〜地区回路24―Nは、いずれかの地区回路24−1〜地区回路24―Nにおいて感知器11が感知電流を流したことを検出した場合に、主制御部26からの指示に基づいて、全てまたは、予め定めた任意の地区回路24−1〜地区回路24―Nが警報器12に警報電流を供給してもよい。
【0025】
記憶部25は、例えば、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等により構成される。記憶部25は、主制御部26を機能させるための各種プログラムや各種データを記憶する。主制御部26は、例えば、CPU(Central Processing Unit)により構成される。
【0026】
主制御部26は、記憶部25に記憶されている各種プログラムを実行することにより、各種の機能を実行する。主制御部26は、火災を感知した地区を特定する情報を地区回路24−1〜地区回路24―Nにより通知された場合に、火災を感知した地区を表示部22に表示させる。主制御部26は、地区回路24から感知電流を感知したという通知を受けた場合に、火災を感知した地区回路24に対して、警報電流を流すように指示する。
【0027】
以上説明した構成により、火災報知システムSでは、感知器11を制御装置2に接続するための配線と、警報器12を制御装置2に接続するための配線とを共用化することができる。したがって、火災報知システムSでは、地区設備1−1〜地区設備1−Nの配線の敷設作業を簡略化することができる。また、火災報知システムSでは、配線の量を削減することができる。
【0028】
[地区回路の構成]
図2は、地区回路24の構成を示す図である。地区回路24は、検出部241、電流発生部242、切替スイッチ243及び副制御部244を備える。
【0029】
検出部241は、第1配線L1及び第2配線L2に検出部241が接続された監視状態において切替スイッチ243を介して第1配線L1及び第2配線L2に接続されている。検出部241は、監視状態において第1配線L1側から第2配線L2側へ電流を流すための電圧を印加し、第1配線L1側から第2配線L2側に向けて感知器11が感知電流を流したか否かを検出する。より詳しくは、検出部241は、第1配線L1と第2配線L2との電位差を検出し、検出した電位差が閾値より大きいか否かを判定する。感知器11が感知電流を導通させた場合、第1配線L1と第2配線L2とは、ほぼ短絡された状態になる。このため、検出部241は、第1配線L1と第2配線L2との間の電位差が閾値以下である場合に、感知器11が感知電流を流したと判定する。
【0030】
一方、検出部241は、第1配線L1と第2配線L2との間の電位差が閾値より大きい場合に、感知器11が感知電流を流していないと判定する。閾値は、例えば、感知器11が火災を感知したときの第1配線L1及び第2配線L2の間の電位差と、感知器11が火災を感知していないときの第1配線L1及び第2配線L2の間の電位差との中間値である。検出部241は、感知電流の検出結果を副制御部244へ出力する。
【0031】
電流発生部242は、警報状態において切替スイッチ243を介して第1配線L1及び第2配線L2に接続されている。電流発生部242は、例えば、直流電源である。電流発生部242は、副制御部244の制御に基づいて、第1配線L1及び第2配線L2に電流発生部242が接続された警報状態において第2配線L2側から第1配線L1側に向けて警報電流を流す。
【0032】
切替スイッチ243は、副制御部244の制御により、監視状態と、警報状態とを切り替える。切替スイッチ243の監視状態における接続の様子を
図2の実線で示し、警報状態における接続の様子を
図2の破線で示す。切替スイッチ243は、例えば、電解効果トランジスタ(Field Effect Transistor, FET)を含む。
【0033】
図2の例では、切替スイッチ243は、副制御部244が生成した制御信号に基づいて、監視状態と警報状態とを切り替える。しかしながら、本発明はこれに限定されない。例えば、切替スイッチ243は、主制御部26が生成した制御信号に基づいて、監視状態と警報状態とを切り替えてもよく、ユーザの操作部21への操作入力により監視状態と警報状態とを切り替えてもよい。
【0034】
副制御部244は、例えば、CPUにより構成される。副制御部244は、記憶部(不図示)に記憶されているプログラムを実行することにより、各種の機能を実行する。副制御部244は、第1配線L1側から第2配線L2側に向けて感知器11が感知電流を流したことを検出部241が検出した場合に、第2配線L2側から第1配線L1側に向けて警報器12に警報電流を供給する。
【0035】
より詳しくは、副制御部244は、監視状態において感知電流が流れたことを検出部241が検出した場合に、監視状態から警報状態に切り替えるように切替スイッチ243を制御する。副制御部244は、この切替スイッチ243の切り替えにより、電流発生部242から警報器12へ警報電流を供給する。副制御部244は、監視状態において感知器11が感知電流を流した場合に、感知電流を感知したことを示す情報と、この副制御部244に対応する地区を特定するための情報を主制御部26へ通知する。地区を特定するための情報は、例えば、地区の識別番号である。
【0036】
[感知器の構成]
図3は、感知器11の構成を示す図である。感知器11は、火災検出部111、レベル変換回路112、火災判定回路113、スイッチング回路114、電源回路115、及び整流回路116を備える。
【0037】
火災検出部111は、火災の煙又は熱を検出するためのセンサである。例えば、火災検出部111は、光源から発せられた光が煙粒子によって乱反射された反射光を受光素子により検出する。火災検出部111は、検出した結果を示す検出信号をレベル変換回路112へ出力する。
【0038】
レベル変換回路112は、火災検出部111が出力した検出信号を増幅する。具体的には、レベル変換回路112は、検出信号を、火災判定回路113による火災の判定に適した電位の出力信号に変換する。
【0039】
火災判定回路113は、火災が発生したか否かを判定する。火災判定回路113は、レベル変換回路112から入力された出力信号の電位が閾値より高いか否かを判定することにより、火災が発生したか否かを判定する。閾値は、例えば、消防法で定めた火災と判定する煙濃度に相当する値である。火災判定回路113は、出力信号の電位が閾値より高い場合に、火災が発生したと判定する。一方、火災判定回路113は、出力信号の電位が閾値以下である場合に、火災が発生していないと判定する。火災判定回路113は、判定結果をスイッチング回路114へ通知する。
【0040】
スイッチング回路114は、火災判定回路113の判定結果に基づいて、感知電流を流す。スイッチング回路114は、例えば、内部にサイリスタ又はトランジスタ等の半導体素子を含み、この半導体素子により、感知電流を流すオン状態と感知電流を流さないオフ状態を切り替える。スイッチング回路114は、火災が発生したと火災判定回路113が判定した場合に、オフ状態からオン状態に移行する。スイッチング回路114は、オン状態において作動灯(不図示)を点灯させる。一方、スイッチング回路114は、火災が発生していないと火災判定回路113が判定した場合に、オフ状態のままオン状態に移行せず、作動灯を点灯させない。
【0041】
スイッチング回路114は、例えば、火災の熱を検出するためのバイメタルにより、感知電流を流すオン状態と感知電流を流さないオフ状態を切り替える構成であってもよい。この場合、スイッチング回路114は、火災検出部111と一体に構成され、感知器11は、レベル変換回路112及び火災判定回路113を備えていないものとする。
【0042】
電源回路115は、整流回路116から出力される電圧を火災検出部111、レベル変換回路112及び火災判定回路113の定格電圧に変換し、変換後の電圧をこれらの回路に供給する。電源回路115は、例えばDC/DCコンバータ又はレギュレータである。
【0043】
整流回路116は、第1配線L1から第2配線L2へ向けて電流が流れた場合、及び第2配線L2から第1配線L1へ向けて電流が流れた場合の両方の場合において、同一の電圧を発生するように整流するためのダイオードブリッジ回路である。
【0044】
[バイパス回路]
地区回路24−1〜地区回路24−Nは、第1配線L1側から第2配線L2側に向けて感知器11が感知電流を流したことを検出した場合に切替スイッチ243の接続状態を切り替えることにより感知電流を停止させ、感知電流を検出した地区において警報電流を流す。このとき、電流制限回路14が、感知器11への警報電流の流入を制限する。感知器11に電流が供給されなくなってしまうと、感知器11のオン状態が維持されず、火災の発生を感知した後に点灯されている作動灯が消灯してしまう。そこで、地区設備1は、電流制限回路14と並列に配置されたバイパス回路31を備えてもよい。
【0045】
図4は、バイパス回路31の接続例を示す図である。バイパス回路31は、地区回路24から供給される警報電流の一部の電流を感知器11に流すための抵抗素子を有する。バイパス回路31は、一端が第2配線L2及び電流制限回路14が有するダイオードのカソードに接続されており、他端が、電流制限回路14が有するダイオードのアノード及び感知器11の整流回路116における第2配線L2の側に接続されている。バイパス回路31は、地区設備1の複数の感知器11のうち、一部の感知器11に警報電流の一部を流すように配置されてもよい。感知器11が感知電流を流した後、バイパス回路31を介して警報電流の一部が感知器11に流れるので、感知器11のオン状態が保持され、感知器11は、感知電流を流した後に警報電流が流れる警報状態に切り替わった後にも作動灯を点灯した状態を維持することができる。
【0046】
図4は、電流制限回路14及びバイパス回路31が感知器11の外部に接続される例を示している。しかしながら、本発明はこれに限定されず、電流制限回路14及びバイパス回路31が感知器11に内蔵されていてもよい。
【0047】
[火災報知処理]
図5は、火災報知システムSによる火災報知の処理手順の例を示すフローチャートである。この処理手順は、地区回路24が監視状態である場合に開始する。まず、副制御部244は、検出部241が検出した検出信号に基づいて、火災が発生したか否かを判定する(S101)。副制御部244は、火災が発生したと判定した場合に(S101のYES)、切替スイッチ243の切り替えにより、第1配線L1及び第2配線L2に電流発生部242を接続させる警報状態に移行する(S102)。このとき、検出部241が第1配線L1及び第2配線L2に接続しなくなるため、感知電流の供給が停止される(S103)。
【0048】
電流発生部242は、この警報状態において第2配線L2側から第1配線L1側に向けて警報器12に警報電流を流す(S104)。警報器12は、火災の発生を報知するための警報を発し(S105)、処理を終了する。副制御部244は、S101の判定において火災が発生していないと判定した場合に(S101のNO)、S101の判定を繰り返す。
【0049】
[火災報知システムSによる効果]
以上説明したように、本実施形態の火災報知システムSでは、感知器11及び警報器12の両方が第1配線L1と第2配線L2との間に接続されるので、感知器11及び警報器12を取り付ける際の配線の敷設作業を簡略化することができる。また、これらの配線に要する配線の量を軽減することができる。警報器12は、警報電流が供給されたことを条件として警報を発するので、感知器11が火災を感知する前に誤って警報を発することを抑制することができる。
【0050】
本実施形態では、感知器11が火災を感知したことを副制御部244が主制御部26へ通知するP型火災報知システムの例について説明した。しかしながら、本発明は、これに限定されない。例えば、本発明は、R型火災報知システムに適用可能である。R型火災報知システムの場合、地区回路24が中継器に設けられていてもよい。
【0051】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施形態は、以上の実施形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施形態も、本発明の実施形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。