【実施例1】
【0031】
〔1〕用語の定義
最初に、本明細書で使用する主な用語について以下のように定義する。「罹災」とは、災害(異常な気象などにおこる災い)を受けることをいい、一般的に地震・洪水などの広範囲に及ぶ災害に用いる。「被災」とは、災難(思いがけず起こる不幸な出来事)を受けることをいい、一般的に個々に関わることに用いる。「被災者」とは、災害により被災した者をいう。「代理人」とは、本人に代わって意思表示をし、または第三者からの意思表示を受ける権限を持つ者をいい、本明細書では、罹災証明書の交付申請を本人に代行して行う者をいう。「罹災証明書」とは、火災・風水害・地震などの災害により罹災した家屋・事業所などの建物についてその被害の程度を証明する公的機関により交付される証書をいう。「罹災証明書の交付申請」又は「交付申請」とは、罹災証明書の交付の申請をいう。「申請人」とは、罹災証明書の交付申請を行う者をいう。「被害の程度」とは、認定基準によって定められた受けた損害の度合をいい、全壊・大規模半壊・半壊・一部損壊・全焼・半焼・床上浸水・床下浸水・流出などの所定の区分で表されるものをいう。「写真予備審査」とは、罹災証明書の交付申請に添付された罹災した建物の現況写真が、被害の程度の判定が可能な程度の条件を満たしているか否かの予備的な適否判定をいう。「本審査」とは、罹災した建物の被害の程度の認定のための審査をいい、専門の調査員による現況調査(地震被害の場合、第1次調査及び第2次調査)も含む。「補助審査」とは、罹災証明書の交付申請の本審査の前に専門家により行われる、罹災した建物の写真に基づき被害の程度を判定し見解を表明する作業いう。「予備審査員」とは、事前に予備審査員登録がされた、写真予備審査又は補助審査を行う者をいう。「写真予備審査員」とは、予備審査員のうち、写真予備審査を行う者をいう。「補助審査員」とは、予備審査員のうち、補助審査を行う者をいう。「審査難度」とは、審査を行うために必要な資格・能力などの審査の難易度に応じて割り当てられる難しさの程度をいう。「審査資格ランク」とは、予備審査員が、どの審査難度までの予備審査を行う能力を有するかを表す資格分類をいう。本実施例では、審査資格ランクは、L3(各自治体の職員、非常勤職員などの行政職員)>L2(建築士、応急危険度判定士などの民間専門家)>L1(一般ボランティア)のようにランク付けする。「予備審査依頼通知」とは、予備審査員に対して写真予備審査を依頼する通知をいう。「補助審査依頼通知」とは、予備審査員に対して補助審査を依頼する通知をいう。「本審査担当者」とは、本審査を行う行政職員をいう。「罹災地点」とは、罹災した建物のある位置をいう。
【0032】
〔2〕システム構成
図1は、本発明の実施例1に係る災害時申請等支援システムの全体構成を表す図である。本実施例の災害時申請等支援システムは、申請管理サーバ1、交付窓口端末2、本審査担当者端末2a、申請人端末3、予備審査員端末4、及び地図提供サーバ5を備えており、これらはインターネット等の通信回線6により接続されている。申請管理サーバ1は、災害時申請等支援システム全体の情報処理動作を管理するサーバである。申請管理サーバ1は、申請情報管理データベース1a、予備審査員管理データベース1b、及び罹災マップ情報管理データベース1cの各種データベースを内蔵又は外付けで備えている。交付窓口端末2は、罹災証明書を交付する窓口に設置されたコンピュータ端末である。本審査担当者端末2aは、本審査担当者が本審査において使用するコンピュータ端末である。申請人端末3は、各申請人が所持する携帯型のコンピュータ端末であり、スマートフォン、タブレットなどが用いられる。申請人端末3は、無線でインターネットに接続する機能と、写真を撮像するカメラの機能と、GNSS(Global Navigation Satellite System,全球測位衛星システム)により現在位置情報を取得するGNSS受信機能とを備えている。予備審査員端末4は、各予備審査員が所持するコンピュータ端末であり、スマートフォン、タブレット、ノートパソコン、デスクトップパソコンなどが用いられる。地図提供サーバ5は、地図データをネットワーク上で提供するサーバである。
【0033】
図2は、
図1の災害時申請等支援システムの申請管理サーバ1(災害時申請等支援サーバ)の機能構成を表すブロック図である。本実施例の申請管理サーバ1は、申請データ受付部11、予備審査員決定部12、予備審査依頼通知部13、予備審査結果受信部14、予備審査結果処理部15、補助審査員決定部16、補助審査依頼通知部17、補助審査結果受信部18、ポイント更新部19、審査結果フィードバック部20、本審査結果処理部21、罹災証明完了通知部22、罹災証明発行部23、罹災マップ更新部24、罹災マップ送信部25、及び通信インタフェース26を備えている。これらの各構成は、申請管理サーバ1に専用のプログラムを読み込ませて実行することによって、機能的なモジュールとして構成されるものである。また、申請情報管理データベース1a、予備審査員管理データベース1b、及び罹災マップ情報管理データベース1cを備えている。
【0034】
申請情報管理データベース1aは、写真データを含む罹災証明書の交付申請書データ、及び各交付申請書データに関する審査に関する情報を保存及び管理するデータベースである。予備審査員管理データベース1bは、予備審査員(写真予備審査員及び補助審査員)に関する情報を保存及び管理するデータベースである。罹災マップ情報管理データベース1cは、罹災建物の分布を表す罹災マップの情報を保存及び管理するデータベースである。これらの各データベースの構成については、後の〔3〕において詳述する。
【0035】
申請データ受付部11は、各申請人が所持する申請人端末3から送信される、交付申請書データを受信し、申請情報管理データベース1aに保管する処理を行うモジュールである。予備審査員決定部12は、交付申請書データが受信された場合、該交付申請書データに係る写真予備審査を行う写真予備審査員を決定する処理を行うモジュールである。予備審査依頼通知部13は、予備審査員決定部12により決定された写真予備審査員が所持する予備審査員端末3に対し、予備審査依頼通知を送信する処理を行うモジュールである。「予備審査依頼通知」とは、写真予備審査員に対して写真予備審査を依頼する通知であり、写真予備審査を依頼する件数や写真予備審査ホームページのアドレス情報などが含まれている。予備審査結果受信部14は、予備審査依頼通知を受信した予備審査員端末3から送信される、写真予備審査結果の情報を受信し、申請情報管理データベース1aに登録する処理を行うモジュールである。予備審査結果処理部15は、写真予備審査結果の情報が、交付申請書データ付属された写真データが該交付申請書データの審査を行うに十分適合したものではない(“不適合”である)ことを示すものであった場合、該交付申請書データを送信した申請人端末3に対して、写真データの再提出を求める写真再提出要請を送信する処理を行うモジュールである。「写真再提出要請」とは、写真データの再提出を求める要請をいう。補助審査員決定部16は、申請情報管理データベース1aに登録された交付申請書データのうち、写真予備審査結果の情報が「交付申請書データ付属された写真データが該交付申請書データの審査を行うに十分適合したものである」(“適合”である)ことを示すものに対して、該交付申請書データに係る審査補助を行う補助審査員を決定する処理を行うモジュールである。補助審査依頼通知部17は、補助審査員決定部16により決定された補助審査員が所持する予備審査員端末3に対し、補助審査依頼通知を送信する処理を行うモジュールである。「補助審査依頼通知」とは、補助審査員に対して補助審査を依頼する通知であり、審査補助を依頼する件数や審査補助ホームページのアドレス情報などが含まれている。補助審査結果受信部18は、補助審査依頼通知を受信した予備審査員端末3から送信される、補助審査結果の情報を受信し、申請情報管理データベース1aに登録する処理を行うモジュールである。ポイント更新部19は、予備審査結果受信部14又は補助審査結果受信部18により写真予備審査結果の情報又は補助審査結果の情報が受信された場合、該情報を送信した予備審査員端末3を所有する予備審査員に対して、写真予備審査ポイント又は補助審査ポイントを付与して予備審査員管理データベースの該予備審査員の写真予備審査ポイント又は補助審査ポイントを更新する処理を行うモジュールである。審査結果フィードバック部20は、補助審査結果受信部18により補助審査結果の情報が受信された場合において、該補助審査結果の情報が、「写真再提出要請」であった場合、該補助審査結果に係る交付申請書データに対して写真予備審査を行った写真予備審査員が所持する予備審査員端末3に対し「誤判定通知」を送信する処理を行うモジュールである。ここで、「写真再提出要請」とは、写真データの再提出を求める要請をいう。「誤判定通知」とは、該補助審査結果に係る写真再提出要請がされた旨の通知をいう。本審査結果処理部21は、本審査担当者端末2aから申請情報管理データベース1aに登録された交付申請書データに係る本審査結果の情報が入力されると、該審査結果の情報を申請情報管理データベース1aに登録する処理を行うモジュールである。罹災証明完了通知部22は、本審査結果の情報に含まれる「被害の程度」が、罹災証明書の発行を許可するものである場合、該本審査結果に係る交付申請書データを申請した申請人の申請人端末3に対し、該交付申請書データに関する認定通知コードを含む罹災証明完了通知を送信する処理を行うモジュールである。罹災証明発行部23は、交付窓口端末2から送信される認定通知コードを受信した場合、該認定通知コードに係る交付申請書データに関する本審査結果の情報を申請情報管理データベース1aから取得し、該本審査結果の情報に含まれる「被害の程度」の情報に基づき、該交付申請書データに係る罹災証明書を発行し、交付窓口端末2へ返信する処理を行うモジュールである。罹災マップ更新部24は、補助審査結果の情報又は本審査結果の情報に含まれる被害の程度の情報を取得し、該補助審査結果又は該本審査結果に係る交付申請書データに関する罹災建物の位置情報を申請情報管理データベース1aから取得し、罹災マップの位置情報が示す位置に前記被害の程度を示すマークを追加する情報を、罹災マップ情報管理データベース1cに保存する処理を行うモジュールである。罹災マップ送信部25は、外部のコンピュータから通信回線6を介して罹災マップ配信要求が受信された場合、罹災マップ情報管理データベース1cに保存された罹災マップの情報及び地図提供サーバ5から提供される地図情報に基づき罹災マップのデータを生成し、該罹災マップ配信要求を送信したコンピュータに対して、該罹災マップのデータを配信する処理を行うモジュールである。通信インタフェース26は、申請管理サーバ1における通信回線6との間の通信処理を行うモジュールである。
【0036】
〔3〕データベースの構成
図3は、
図1及び
図2の申請情報管理データベース1a、予備審査員管理データベース1b、及び罹災マップ情報管理データベース1cの構成例を表すER図である。各データベース内の各テーブルのフィールド及びその内容は
図3(b)の表に示した通りである。
【0037】
申請情報管理データベース1aは、申請情報管理テーブル、申請受理管理テーブル、及び補助審査情報テーブルを備えている。申請情報管理テーブルは、申請人から申請される罹災申請に関する情報を管理するテーブルである。申請情報管理テーブルの1つのレコードに対し、1件の罹災申請書の交付申請に係るタスク(申請から交付までの作業の一単位)が対応している。申請情報管理テーブルには、罹災申請に割り当てられる固有の罹災申請受付管理ID、罹災証明交付申請書毎に割り当てられる固有の罹災証明申請番号、罹災証明申請の申請日、申請人端末のアドレスの情報等の申請人端末情報、罹災地点情報(経緯座標)、方式要件に適合しているか否かを表すフラグである方式要件適合フラグ、申請書類の包嚢に割り当てられる固有の受理管理ID、罹災証明書の写真予備審査を行う予備審査員の固有の予備審査員ID、写真予備審査の予備審査依頼日、写真予備審査の予備審査完了日、写真予備審査の予備審査結果情報、本審査待ちであることを示す本審査待フラグ、罹災証明書の本審査を行う本審査担当者情報、本審査結果情報、認定された被害の程度、認定日、認定通知コード、罹災証明書の交付日、罹災証明書の証明書番号、の各情報が格納されている。
【0038】
申請受理管理テーブルは、受理された罹災申請に係る書類の包嚢情報を管理するテーブルである。申請受理管理テーブルの1つのレコードは、申請情報管理テーブルの1つのレコードに対し一対一に対応している。申請受理管理テーブルには、申請・審査書類の一式に割り当てられる固有の受理管理ID、罹災申請の受理通知を送信した日である受理通知送信日、罹災申請に関する通知ファイルを集納する通知書類フォルダ名、罹災申請に関する申請書類を集納する申請書類フォルダ名、罹災申請に関する審査書類を集納する審査書類フォルダ名、罹災申請に関する認定書類を集納する認定書類フォルダ名、の各情報が格納されている。尚、通知書類フォルダ,申請書類フォルダ,審査書類フォルダ,認定書類フォルダは、其々、各種通知書類,各種申請書類,各種審査書類,各種認定書類の電子データを格納するフォルダ(ファイル・ディレクトリ)である。
【0039】
補助審査情報テーブルは、補助審査に関する情報を管理するテーブルである。補助審査情報テーブルの1つのレコードに対し、1件の補助審査に係るタスク(補助審査の依頼から完了までの作業の一単位)が対応している。補助審査情報テーブルには、補助審査情報の固有の補助審査ID、当該補助審査に係る罹災証明申請の罹災申請受付管理ID、当該補助審査を担当する予備審査員の予備審査員ID、当該補助審査の依頼日、当該補助審査の完了日、当該補助審査の補助審査結果情報、の各情報が格納されている。
【0040】
予備審査員管理データベース1bは、予備審査員管理テーブルを備えている。予備審査員管理テーブルは、予備審査を行う登録会員に関する情報を管理するテーブルである。予備審査員管理テーブルの1つのレコードに対し、1人の予備審査員が対応している。予備審査員管理テーブルには、予備審査員の固有の予備審査員ID、当該予備審査員の氏名、当該予備審査員の予備審査員の住所情報、当該予備審査員の審査資格ランク、当該予備審査員の保有能力情報(例えば、「建築士」、「応急危険度判定士」等)、当該予備審査員の連絡先情報、当該予備審査員の予備審査員端末4のアドレス情報、当該予備審査員のログインID及びパスワード情報、当該予備審査員の参加期間情報(写真予備審査や補助審査に参加可能な期間の情報)、当該予備審査員の写真予備審査ポイント、当該予備審査員の補助審査ポイント、の各情報が格納されている。
【0041】
罹災マップ情報管理データベース1cは、罹災マップ情報テーブルを備えている。罹災マップ情報テーブルは、罹災マップに関する情報を管理するテーブルである。罹災マップ情報テーブルの1つのレコードに対し、罹災マップ上に付される1つの「被害の程度を示すマーク」が対応している。罹災マップ情報テーブルには、各罹災地点(建物)に割り当てられる固有の罹災地点ID、当該罹災地点の罹災地点経緯座標、当該罹災地点の罹災地点住所、当該罹災地点の建物の被害の程度、の各情報が格納されている。
【0042】
〔4〕システムの動作
〔4.1〕罹災証明申請から写真予備審査の外部委託まで
各予備審査員Tは、写真予備審査や補助審査に参加可能な期間を申請管理サーバ1に事前に通知しており、各予備審査員Tの参加可能な期間の情報(参加期間情報)は、予備審査員管理データベース1bの予備審査員管理テーブルに登録されているものとする。
図5(a)参加可能期間の事前登録処理の動作を表すフローチャートである。尚、各予備審査員Tは、事前の登録手続によって予め予備審査員管理テーブルに登録されているものとする。
【0043】
地震や水害などの災害が発生すると、申請管理サーバ1は、予備審査員管理データベース1bの予備審査員管理テーブルに登録されている総ての{予備審査員T}(記号「{…}」は集合を表す。以下同じ。)の予備審査員端末4に対して、写真予備審査又は補助審査への参加を要請する「予備審査参加要請」を送信する(S210)。ここで、「予備審査参加要請」には、参加要請をする全要請期間の情報(「○月○日〜○月○日」)が含まれているものとする。予備審査員端末4では、「予備審査参加要請」を受信すると(S310)、予備審査員端末4の予備審査員Tは、自分が写真予備審査又は補助審査に参加することができる場合には、全要請期間のうち、自分が写真予備審査又は補助審査に参加することができる期間又は期日の情報(以下「参加期間情報」)を入力した後、写真予備審査又は補助審査に参加する意思表示である「予備審査参加受諾通知」を、申請管理サーバ1へ送信する(S311)。尚、「予備審査参加受諾通知」には、先に入力した参加期間情報が含まれるものとする。申請管理サーバ1は、「予備審査参加受諾通知」を受信した場合(S211)、該「予備審査参加受諾通知」を送信した予備審査員端末4の予備審査員Tのレコードを、予備審査員管理データベース1bの予備審査員管理テーブルから検索して、そのレコードの“参加期間情報”フィールドに、該「予備審査参加受諾通知」に含まれる参加期間情報を登録する(S212)。このようにして、災害発生の直後に、各予備審査員Tの参加可能な期間の情報(参加期間情報)が、予備審査員管理データベース1bの予備審査員管理テーブルに登録される。
【0044】
図4は、実施例1に係る災害時申請等支援システムにおける罹災証明申請から写真予備審査の外部委託までの動作を表すフローチャートである。まず、前提として、罹災証明書の申請を行う申請人Sは、自分が所持している申請人端末3に、本災害時申請等支援システムにおける申請専用のアプリケーションプログラム(以下「申請用アプリ」という。)をインストールしているものとする。
【0045】
まず、申請人S(被災者又は代理人)は、申請人端末3(カメラ付きのスマートフォンやタブレット端末等の携帯端末)において申請用アプリを起動し、申請用アプリの申請書データの入力画面から、罹災証明書の申請に係る建物の種類や位置、罹災証明書を申請する被災者の氏名,住所,電話番号・E-mailアドレス等の連絡先、罹災証明申請の申請人Sの氏名・電話番号・E-mailアドレス等の連絡先、などの罹災証明交付申請書の基本的な必要記入事項の情報(基本記入項目情報)を入力する(S101)。尚、建物の位置に関しては、申請人端末3に付属するGNSS受信機能から現在位置情報を取得して自動的に入力できるようにしてもよい。次に、申請人Sは、申請用アプリの写真撮影入力画面から、罹災した家屋等の建物(罹災建物)の写真を撮影・入力する(S102)。このとき、申請用アプリは、インターネットに接続して時刻提供サーバ(例えば、NICT(情報通信研究機構)の時刻サーバ等)から現在時刻情報を取得し、申請人端末3に付属するGNSS受信機能から現在位置情報を取得し、撮影した写真の画像ファイルのヘッダ部(具体的には、例えば、JPEGファイルのExif情報等)に撮影時の現在時刻情報及び現在位置情報を追加する。尚、罹災建物の写真は、異なる角度及び視野から複数撮影・入力する。このとき、写真データの改竄防止のため、写真データは申請用アプリの写真撮影入力画面から撮影・入力されるとその直後に撮影時の現在時刻情報及び現在位置情報を追加して暗号化して保存するようにしてもよい。申請人端末3において、申請用アプリは、撮影・入力された写真データと、入力された基本記入項目情報から交付申請書データを生成する。ここで、「交付申請書データ」とは、罹災証明交付申請書の必要記入事項及び罹災建物の写真データを含むデータである。そして、申請人Sが申請用アプリの送信画面から送信指示を入力すると、申請人端末3は、該交付申請書データを申請管理サーバ1へ送信する(S103)。
【0046】
申請管理サーバ1において、申請データ受付部11は、申請人Sが所持する申請人端末3から送信される、交付申請書データを受信し、申請情報管理データベース1aに保管する(S201)。ここで、新たな交付申請に対して申請情報管理テーブル及び申請書類管理テーブルに新規レコードを生成し、該申請情報管理テーブルに生成した新規レコードに、該交付申請書データを送信した申請人端末3の申請人端末情報を保存する。次いで、申請データ受付部11は、交付申請書データの各必要記載項目が所定の方式通りに記載されているかを検査し(S202)、交付申請書データが受理可能なものか否かを判定する(S203)。ここで、必要項目の記載漏れや写真の添付がされていない等の不備があって受理可能でない場合、申請人端末3に対して、不備があることを知らせる「不受理通知」を送信して(S204)、終了する。一方、ステップS203において受理可能と判定された場合には、該交付申請に対して罹災証明書申請番号を付与し、該罹災証明書申請番号及び申請日(現在の日付)を申請情報管理データベース1aの申請情報管理テーブルに保存し、申請人端末3に対して罹災証明交付申請書が受理されたことを通知する「受理通知」を送信する(S205)。ここで、「受理通知」には、該交付申請に対する罹災証明書申請番号及び申請日の情報が含まれる。次いで、予備審査員決定部12は、該罹災証明交付申請書に対する写真予備審査のためのチェック用データを作成し(S206)、登録会員振分処理により写真予備審査に参加可能な{予備審査員T}の中から該罹災証明交付申請書の写真予備審査を依頼する予備審査員Tを選定し(S207)、次いで、予備審査依頼通知部13は、選定した予備審査員Tに対して写真予備審査を依頼する「予備審査依頼通知」を送信し(S208)、選定した予備審査員Tの予備審査員IDを申請情報管理データベース1aの申請情報管理テーブルの“予備審査員ID”フィールドに登録し、現時点の日時を申請情報管理テーブルの“予備審査依頼日”フィールドに登録する(S209)。
【0047】
申請人Sの申請人端末3では、申請管理サーバ1から「受理通知」又は「不受理通知」を受信すると(S104)、該「受理通知」又は「不受理通知」の内容を申請人端末3のディスプレイに表示して(S105)、申請人Sに通知する。
【0048】
また、選定された予備審査員Tの予備審査員端末4では、「予備審査依頼通知」を受信すると(S301)、該予備審査員端末4のディスプレイに「予備審査依頼通知」を受信したことを通知する依頼着信表示を行う(S302)。これにより、該予備審査員Tは、写真予備審査の依頼がされたことを知ることが出来る。
【0049】
図5(b)は、上記ステップS207における登録会員振分処理の動作を表すフローチャートである。まず、予備審査員決定部12は、予備審査員管理データベース1bの予備審査員管理テーブルに登録された{予備審査員T}の中から、審査資格ランクがランクL1(一般ボランティア)の予備審査員のうち参加期間情報に登録された参加可能期間に現日時が含まれるものを抽出する。ここで、抽出された{予備審査員T}の数が規定数に満たない場合には、さらに、審査資格ランクがランクL3(各自治体の職員、非常勤職員などの行政職員)の予備審査員をも抽出する(S215)。そして、抽出された{予備審査員T}の中から、写真予備審査を依頼する予備審査員Tを決定する(S216)。この決定方法については特に限定しないが、なるべく抽出された{予備審査員T}のすべてに均等に写真予備審査の依頼が為されるように決定することが好ましい。
【0050】
〔4.2〕写真予備審査から本審査待ち登録まで
図6は、写真予備審査から本審査待ち登録までの処理の流れを表すフローチャートである。「予備審査依頼通知」を受信した予備審査員端末4の予備審査員Tは、「予備審査依頼通知」に含まれるアドレス情報から、申請管理サーバ1が通信回線6を介して予備審査員端末4に公開する写真予備審査ホームページにアクセスする。そして、この写真予備審査ホームページ上に表示される写真を見ながら、チェック項目のチェックを逐次行うことによって、写真予備審査を行う(S320,S220)。尚、申請人Sの個人情報に関係する情報が拡散されることを防止するため、写真予備審査ホームページは、予備審査員端末4のストレージには保存することができないように設定されているものとする。また、予備審査員Tは、写真予備審査ホームページ設けられたコメント欄に、後送するコメントを入力することができる。コメントとしては、写真を不適当と判断した理由や、写真撮影の際のアドバイスなどが考えられる。
【0051】
写真予備審査が終わると、予備審査員Tが写真予備審査ホームページ上の送信ボタンをクリックすることによって、写真予備審査結果情報が予備審査員端末4から申請管理サーバ1に送信される(S321)。申請管理サーバ1の予備審査結果受信部14は、予備審査員端末4から送信される写真予備審査結果情報を受信すると(S221)、該写真予備審査結果情報及び予備審査完了日(写真予備審査結果情報の受信日)を申請情報管理データベース1aの申請情報管理テーブルに登録し(S222)、ポイント更新部19は、該写真予備審査結果情報を送信した予備審査員端末4の予備審査員Tのレコードを予備審査員管理データベース1bの予備審査員管理テーブルから検索して、該予備審査員Tの写真予備審査ポイントを1ポイント加算する(S223)。次いで、予備審査結果処理部15は、該写真予備審査結果情報が申請要件に適合していると判定されたものか否かを判定し(S224)、申請要件に不適合と判定されたものであった場合には、該写真予備審査結果情報に係る罹災証明書交付申請の申請人Sの申請人端末3に対して、交付申請書データに付属の写真データが該交付申請書データの審査を行うに十分適合したものではないことを通知する「不適合通知(写真再提出要請)」を送信する(S225)。ここで、「不適合通知(写真再提出要請)」には、罹災証明書申請番号、交付申請書の添付写真の再提出を要請する旨、写真予備審査のチェック結果、予備審査員Tからのコメント等の情報が含まれている。一方、ステップS224で、交付申請書データに付属の写真データが申請要件に適合と判定された場合には、前記罹災証明書交付申請の申請人Sの申請人端末3に対して、交付申請書データに付属の写真データが該交付申請書データの審査を行うに適合したものであることを通知する「要件適合通知」を送信し(S226)、該罹災証明書交付申請を本審査待ち(申請情報管理テーブルの本審査待フラグをTrue)とする(S227)。尚、ステップS226の「要件適合通知」の送信については、手続に不案内な申請人Sが「要件適合通知」の意味が分からずに戸惑うことがないようにするため、省略してもよい。
【0052】
前記罹災証明書交付申請の申請人Sの申請人端末3では、「不適合通知(写真再提出要請)」又は「要件適合通知」を受信すると、それを申請人端末3のディスプレイに表示する(S120)。このとき、「不適合通知(写真再提出要請)」を受けた申請人Sは、写真予備審査のチェック結果や予備審査員Tからのコメントを参考に、申請人端末3の申請用アプリを用いて罹災建物を再度撮影し、交付申請書の添付写真の再提出をする手続を行うことになるが、ここでは、添付写真の再提出手続については説明を省略する。
【0053】
以上のように、本実施例では、本審査に入る前に、事前登録された予備審査員Tに、写真予備審査を外部委託することで、被害の程度の判定に不十分な写真添付がされた罹災証明書の交付申請に対して、その申請人に速やかに写真の再提出を求めることができる。一般に、大規模な災害が発生した直後は、罹災証明書の交付を担当する担当自治体には、罹災証明書の交付申請が殺到する。また、申請人Sは、通常、罹災証明書の交付申請の手続には不慣れであり、罹災した建物の写真としてどのような写真を提出するのが適当であるのかが分からず、実際にこれまでの災害では、被害の程度の判定に不十分な写真添付がされるケースが多い。そのため、担当自治体の職員だけで罹災証明書の交付申請の審査を行うと、処理に時間を要し、被害の程度の判定に不十分な写真添付がされた罹災証明書の交付申請に対して、その申請人に写真の再提出を求めるまでに時間を要することになる。本実施例では、この罹災証明書の交付申請の添付写真のチェックを、写真予備審査として、一般ボランティアや他の自治体職員に外部委託することで、外部のマンパワーを可能な範囲で導入し、申請人に速やかに写真の再提出を求めることができる。これにより、災害発生直後の交付申請が殺到する場合においても、スムーズな罹災証明の審査を進めることが可能となり、迅速な罹災証明の審査を進めることが可能となる。また、一般のボランティアとして罹災地の支援を行いたいと考えている人は、罹災した地域に赴かなくても、通信回線6を通じて予備審査員Tとして写真予備審査に参加することにより、遠隔地でのボランティア活動を行うことが可能となる。従って、罹災した地域に赴く時間的な余裕のない人も、比較的容易に予備審査員Tとしてボランティアに参加することが可能となる。また、予備審査員Tとして写真予備審査の活動を行った実績は、写真予備審査ポイントとして予備審査員管理データベース1bの予備審査員管理テーブルに記録される。従って、罹災自治体は、各予備審査員の写真予備審査ポイントに応じて、各予備審査員に対して何らかの報償を付与するようにすれば、各予備審査員の参加意欲や業務推進に対する意欲を惹起し、延いては写真予備審査をより迅速・円滑に行うことが可能となる。また、写真予備審査ポイントによってその予備審査員のボランティアとしての実績値や社会的貢献度を客観的に示すこともできる。
【0054】
〔4.3〕本審査待ち期間における補助審査外部委託処理
図7は、本審査待ち期間における補助審査外部委託処理を表すフローチャートである。まず、申請管理サーバ1において、補助審査依頼通知部17は、1日のうちの所定の時刻になると、その時点において本審査待ち(申請情報管理テーブルの本審査待フラグがTrue)である罹災証明書の交付申請を、{補助審査依頼案件}として抽出する(S230)。ここで、補助審査依頼案件がない場合には(S231)、何もせず終了する。一方、補助審査依頼案件がある場合には(S231)、補助審査員決定部16は、各補助審査依頼案件に対して、該補助審査依頼案件の補助審査を依頼する1人以上の{予備審査員T(補助審査員)}を決定する(S232)。この補助審査員決定部16による補助審査員の決定は、予備審査員決定部12による写真予備審査員の決定と同様にして行われるが、この場合、補助審査員としては、審査資格ランクがランクL2(民間専門家)又はランクL3(各自治体の職員、非常勤職員などの行政職員)の予備審査員が選択されるようにする。補助審査には、専門知識が必要だからである。ランクL2の予備審査員については、事前に、民間専門家の団体等と協定を結んでおき、事前登録によって補助審査のできる人員を確保しておくこともできる。各補助審査依頼案件に対して補助審査員が決定されると、補助審査依頼通知部17は、決定された各補助審査員が所持する予備審査員端末4に対して、審査補助の依頼を通知する「補助審査依頼通知」を送信する(S233)。
【0055】
「補助審査依頼通知」を受信した予備審査員端末4の予備審査員Tは、「補助審査依頼通知」に含まれるアドレス情報から、申請管理サーバ1が通信回線6を介して補助審査員端末4に公開する補助審査ホームページにアクセスする。そして、この補助審査ホームページ上に表示される写真を見ながら、罹災建物の被害の程度の審査を行い、補助審査員の見解を補助審査結果として纏める(S330,S234)。尚、申請人Sの個人情報に関係する情報が拡散されることを防止するため、補助審査ホームページは、予備審査員端末4のストレージには保存することができないように設定されているものとする。また、予備審査員Tは、補助審査ホームページ設けられたコメント欄に、後送するコメントを入力することができる。
【0056】
補助審査が終わると、予備審査員Tが補助審査ホームページ上の送信ボタンをクリックすることによって、補助審査結果情報が予備審査員端末4から申請管理サーバ1に送信される(S331)。申請管理サーバ1の補助審査結果受信部18は、予備審査員端末4から送信される補助審査結果情報を受信すると(S235)、該補助審査結果情報及び補助審査完了日(補助審査結果情報の受信日)を申請情報管理データベース1aの補助審査情報テーブルに登録し(S236)、ポイント更新部19は、該補助審査結果情報を送信した予備審査員端末4の予備審査員Tのレコードを予備審査員管理データベース1bの予備審査員管理テーブルから検索して、該予備審査員Tの補助審査ポイントを1ポイント加算する(S237)。そして、罹災マップ更新部24は、補助審査結果情報に含まれる被害の程度の情報を取得し、該補助審査結果情報に係る交付申請書データに関する罹災建物の位置情報(罹災地点情報)及び住所情報を申請情報管理データベース1aの申請情報管理テーブルから取得し、罹災マップ情報管理データベース1cの罹災マップ情報テーブルに、{罹災地点情報,住所情報,被害の程度の情報}(これらを纏めて「罹災マップ情報」という。)を保存する(S238)。
【0057】
このように、本審査待ち期間を利用して、外部の専門家に補助審査を依頼し、罹災建物の被害の程度についての外部見解を補助審査結果情報として得ることにより、その後の本審査における担当自治体職員の負担を大幅に軽減させることができるとともに、本審査の迅速化を図ることが出来る。また、複数の外部専門家の見解を得ることで、罹災建物の被害の程度の判断について、より高い客観性が担保されると共に、被害の程度の判断についての被災者からの不服申立件数も減少することが期待できる。不服申立件数が減少することにより、担当自治体職員の負担をさらに大きく軽減させることができる。また、予備審査員Tとして補助審査の活動を行った実績は、補助審査ポイントとして予備審査員管理データベース1bの予備審査員管理テーブルに記録される。従って、罹災自治体は、各予備審査員の補助審査ポイントに応じて、各予備審査員に対して何らかの報償を付与するようにすれば、各予備審査員の参加意欲や業務推進に対する意欲を惹起し、延いては補助審査をより迅速・円滑に行うことが可能となる。また、補助審査ポイントによってその予備審査員の専門家としての経験値や社会的貢献度を客観的に示すこともできる。
【0058】
尚、ステップS236において、補助審査結果情報が、写真データの再提出を求める「写真再提出要請」であった場合には、審査結果フィードバック部20は、該補助審査結果情報に係る交付申請書データに対して写真予備審査を行った予備審査員T(写真予備審査員)が所持する予備審査員端末4に対し、該補助審査結果に係る写真再提出要請がされた旨を通知する「誤判定通知」を送信する。これにより、各写真予備審査員は、写真予備審査において誤判定をした場合に、「誤判定通知」によって以前に行った自分のチェックに誤りがあったことを認知することが出来るため、その後の写真予備審査で同様の誤判定を繰り返すことが防止されると共に、各写真予備審査の判定能力の向上を図ることが出来る。
【0059】
また、罹災マップ情報管理データベース1c内の罹災マップ情報は、補助審査が終わり次第、逐次、更新がされる。そして、罹災マップ送信部25は、外部のコンピュータから通信回線6を介して罹災マップ配信要求が受信された場合、罹災マップ情報管理データベース1cに保存された罹災マップ情報及び地図提供サーバ5から提供される地図情報に基づき罹災マップのデータを生成し、該罹災マップ配信要求を送信したコンピュータに対して、該罹災マップのデータを配信する。
図10に罹災マップの一例を示す。これにより、罹災証明書の交付申請の補助審査によって建物の被害の程度の判定が終わった罹災建物の位置と被害の程度が、リアルタイムで罹災マップに追加されるため、罹災した自治体は罹災マップにより被害状況の分布や程度を迅速かつ適確に把握することが可能となる。
【0060】
〔4.4〕本審査完了から本審査結果の通知まで
図8は、本審査完了から本審査結果の通知までの処理の流れを表すフローチャートである。罹災証明書の交付申請についての本審査(罹災建物の被害の程度の審査)が終了すると、本審査担当者により、申請管理サーバ1に本審査結果情報が入力される(S240)。本審査結果処理部21は、本審査結果情報が入力されると、該本審査結果情報を、申請情報管理データベース1aの申請情報管理テーブルに登録する(S241)。ここで、本審査結果情報が必要記載事項の不備等によって「被害認定ができない」と判断されたものである場合には(S242)、該本審査結果情報に係る罹災証明書交付申請の申請人Sの申請人端末3に対して、罹災証明書の交付ができないことを通知する「非認定通知メール」を送信する(S243)。一方、本審査結果情報が、被害の程度の認定を行ったものである場合には(S242)、罹災証明完了通知部22は、該交付申請書データに関する「認定通知コード」を乱数により生成し申請情報管理データベース1aの申請情報管理テーブルに登録した後(S244)、前記罹災証明書交付申請の申請人Sの申請人端末3に対して、罹災証明書の交付準備ができたことを通知する「罹災証明完了通知メール」を送信する(S245)。この「罹災証明完了通知メール」には、本審査結果情報に含まれる「被害の程度」の判定結果(結果の通知)が含まれ、また、認定通知コードが、バーコード又は二次元コードの画像データとして含まれている。そして、罹災マップ更新部24は、本審査結果情報に含まれる被害の程度の情報を取得し、該本審査結果情報に係る交付申請書データに関する罹災建物の位置情報(罹災地点情報)及び住所情報を申請情報管理データベース1aの申請情報管理テーブルから取得し、罹災マップ情報管理データベース1cの罹災マップ情報テーブルに、{罹災地点情報,住所情報,被害の程度の情報}(罹災マップ情報)を保存する(S248)。尚、補助審査による罹災マップ情報が申請情報管理テーブルに既に保存されている場合には、罹災マップ更新部24は、その罹災マップ情報の既存レコードを、本審査結果情報よる罹災マップ情報によって更新する。これにより、罹災マップ情報管理データベース1c内の罹災マップ情報は、本審査が終わり次第、逐次、更新がされる。これにより、罹災証明書の交付申請の本審査によって建物の被害の程度の判定が終わった罹災建物の位置と被害の程度が、リアルタイムで罹災マップに追加されるため、罹災した自治体は罹災マップにより被害状況の分布や程度を迅速かつ適確に把握することが可能となる。
【0061】
尚、ステップS241において、審査結果フィードバック部20は、該本審査結果情報に係る交付申請書データに対して補助審査を行った各予備審査員T(補助審査員)が所持する予備審査員端末4に対し、該本審査結果情報で判定された「被害の程度」を送信する。これにより、各補助審査員は、補助審査において本審査とは異なる判定をした場合に、本審査結果情報で判定された「被害の程度」と比較して、今後の補助審査を行う際の参考とすることが出来るため、その後の補助審査における審査の均質化が図られると共に、各補助審査の判定能力の向上を図ることが出来る。
【0062】
また、ステップS245において、申請管理サーバ1の罹災証明完了通知部22は、申請情報管理データベース1aの補助審査情報テーブル内に該交付申請書データに係る補助審査結果情報が1つ以上ある場合には、「罹災証明完了通知メール」に、本審査結果情報に含まれる「被害の程度」の判定結果(結果の通知)とともに、其等の補助審査結果情報も参考資料として含めるようにすることができる。申請人Sは、結果の通知に記載された「被害の程度」に対して不服申立てを行うか否かを判断する際に、この補助審査結果情報も参考にすることが出来る。複数の補助審査員の見解が同じ「被害の程度」と判定していれば、申請人Sは、不服申立てを行っても判定は変化しない可能性が高いと予測することができるので、結果として申請人Sの不服申立ての件数が減少することが期待され、延いては、第二次調査や再調査の件数が減って審査手続全体をより迅速に進めることが出来るようになると考えられる。
【0063】
〔4.5〕罹災証明書の交付処理
図9は、罹災証明書の交付処理を表すフローチャートである。罹災証明書の交付は、担当自治体の役所や出先機関の交付窓口において行われる。「罹災証明完了通知メール」を受けた申請人Sは、申請人端末3を持って交付窓口に出向き、交付窓口において窓口担当者に身分証明書と「罹災証明完了通知メール」を提示する。窓口担当者は、「罹災証明完了通知メール」に含まれる、認定通知コード(バーコード又は二次元コードの画像データ)を交付窓口端末2に読み込ませる(S150,S450)。交付窓口端末2は、認定通知コードを読み込むと、申請管理サーバ1に対して、該認定通知コードを含む「認定通知コード検索要求」を送信する(S451)。
【0064】
申請管理サーバ1において、交付窓口端末2から「認定通知コード検索要求」を受信すると(S250)、罹災証明発行部23は、該「認定通知コード検索要求」に含まれる認定通知コードに係る交付申請書データに関する申請書類データ及び本審査結果の情報を、申請情報管理データベース1aの申請情報管理テーブルから取得し(S251)、取得された申請書類データを交付窓口端末2へ送信する(S252)。交付窓口端末2は、申請管理サーバ1から申請書類データを受信すると、それを交付窓口端末2のディスプレイに表示する(S453)。窓口担当者は、申請人Sが提示した身分証明書の情報と申請書類データの情報とを照合して本人確認を行った後、「本人確認完了」を交付窓口端末2に入力する。交付窓口端末2は、「本人確認完了」が入力されると、本人確認が完了したことを表す「本人確認完了通知」を申請管理サーバ1に送信する(S454)。申請管理サーバ1は、交付窓口端末2から「本人確認完了通知」を受信すると(S253)、罹災証明発行部23が前記本審査結果の情報に含まれる「被害の程度」の情報に基づき、該交付申請書データに係る罹災証明書を発行し、交付日及び証明書番号を申請情報管理テーブルに登録した後、罹災証明書データを交付窓口端末2へ返信する(S254)。交付窓口端末2は、該罹災証明書データを受信すると、プリンタ等の印字出力機器により罹災証明書を印刷し、罹災証明書の交付を行う(S455)。
【0065】
以上のようにして、申請人Sは、罹災証明書の交付を受ける際にのみ、担当自治体の役所や出先機関の交付窓口に出向けばよいので、申請人Sの負担は軽減される。また、担当自治体の役所や出先機関の窓口における混雑も緩和される。
【0066】
尚、ステップS254において、申請管理サーバ1の罹災証明発行部23は、申請情報管理データベース1aの補助審査情報テーブル内に該交付申請書データに係る補助審査結果情報が1つ以上ある場合には、罹災証明書データとともに其等の補助審査結果情報も交付窓口端末2へ返信するようにすることもできる。この場合、交付窓口端末2は、ステップS455において、罹災証明書とともに補助審査結果情報も印刷し、罹災証明書の交付とともに、補助審査結果情報も参考資料として申請人Sに渡すことが出来る。申請人Sは、罹災証明書に記載された「被害の程度」について不服申立てを行うか否かを判断する際に、この補助審査結果情報も参考にすることが出来る。複数の補助審査員の見解が同じ「被害の程度」と判定していれば、申請人Sは、不服申立てを行っても判定は変化しない可能性が高いと予測することができるので、結果として申請人Sの不服申立ての件数が減少することが期待され、延いては、審査手続全体をより迅速に進めることが出来るようになると考えられる。