【解決手段】本発明のシール構造は、電気コネクタ(2)と筐体(4)の間に弾性シール部材(30)が設けられる第一シール要素と、電気コネクタ(2)、弾性シール部材(30)及び筐体(4)に跨って設けられる液状ガスケット(47)からなる第二シール要素と、を備える。本発明のシール構造は、シール部材(30)の液状ガスケット(47)に接する接触面であって、電気コネクタ(2)又は筐体(4)に連なる領域が蛇行することを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係るシール構造は、
図1に示すように、電気コネクタ2と回路基板3との組立体と、この組立体の回路基板3を収容する筐体4と、を備える電子機器1に適用される。電子機器1は、例えば自動車のエンジンルームの内部に配置されるものであり、シール構造を介して電気コネクタ2が筐体4に装着された防水機能を有している。
本実施形態が着目するシール構造は、電気コネクタ2と筐体4の上端の境界部分が液状ガスケット47で覆われるところであり、ここは防水性能が懸念される部位に該当する。ところが、本実施形態によるシール構造は、筐体4の外部から筐体4の内部への水の浸入を著しく低減できる構造を備えている。
以下、電子機器1の構成要素の概要を説明した後に、シール構造について詳しく説明する。
【0013】
〔電気コネクタ2〕
電気コネクタ2は、
図1〜
図3に示すように、ハウジング21と、ハウジング21に保持される複数のコンタクト29と、を備えている。
ハウジング21は、電気絶縁性の樹脂材料を射出成形することにより一体的に形成されている。ハウジング21は、基部22と、この基部22から前方に向けて突出する二つのフード23A,23Bとを一体的に備えている。フード23A,23Bは、電気コネクタ2に嵌合される相手コネクタを受容する。
本実施形態の電気コネクタ2は、基部22を基準にしてフード23A,23Bが突出する側を前方という。また、弾性シール部材30を含む電気コネクタ2において、幅方向W、前後方向L及び上下方向Hは、
図1に示すとおりに定義されるものとする。
【0014】
ハウジング21は、筐体4との間にシール構造を構成するために、シール収容溝24を備えている。シール収容溝24は、ハウジング21の上面を除いて形成されており、全体としてU字状の形状をなしている。U字状の形態は、弾性シール部材30がU字状であることに対応する。シール収容溝24は、幅方向Wの両端に設けられる側溝24A,24Bと、側溝24Aと側溝24Bの下端を繋ぐ下溝24Cの三つの部分からなる。このU字状のシール収容溝24の内部において、U字状の弾性シール部材30は基部22に装着される。
【0015】
電気コネクタ2は、
図1及び
図2に示すように、複数のコンタクト29を備えている。コンタクト29は、導電性及び弾性を有する金属材料、例えば銅合金からなる。このコンタクト29は、基部22を貫通して、その一方側がフード23A,23Bの内部に配置され、他方側は後方に引き出され、回路基板3に形成された図示しない導体パターンに電気的に接続されている。
〔回路基板3〕
回路基板3は、コンタクト29と電気的に接続される。回路基板3は、種々の電子部品が実装され、例えばエンジン、その他の制御を行う。
回路基板3は、
図1に示すように、電気コネクタ2の基部22とは略直交して配設されている。回路基板3は、電気コネクタ2に対して上方に偏位して設けられている。
【0016】
〔筐体4〕
筐体4は、
図1に示すように、箱状の本体41と偏平な蓋45とから構成される。
本体41は、
図1における上端が開口されているとともに、前壁42に電気コネクタ2が装着される装着溝43が形成されている。この装着溝43は、幅方向Wの間隔が上端から下端に向けて狭くなるように形成されている。本体41は、電気絶縁性の樹脂材料を射出成形することにより一体的に形成される。
蓋45は、本体41に例えば締結具により固定されることにより、本体41の開口を塞ぐとともに、本体41と組み合わされて筐体4を構成する。蓋45は、例えばアルミダイカスト部材にて構成されるが、防水性を確保するために、本体41との間に加えて電気コネクタ2との間にシール部材としての液状ガスケット47が介在する。本実施形態は、この部分のシール構造における防水性能を確保する。
【0017】
筐体4の所定位置に電気コネクタ2と回路基板3からなる組立体が装着されると、電気コネクタ2のフード23A,23Bは筐体4の外部に露出するが、シール収容溝24よりも後方は筐体4の内部に収容される。筐体4の内部には、電気コネクタ2の基部22を貫通するコンタクト29が収容され、このコンタクト29と電気的に接続される回路基板3もまた筐体4の内部に収容される。
シール収容溝24に保持される弾性シール部材30が装着溝43に臨む装着縁44に押し付けられることで、シール構造が確立される。これにより、筐体4の内部に収容されるコンタクト29、回路基板3は、外部からの水の浸入に対して防水される。
【0018】
〔シール構造〕
次に、シール構造について、
図2〜
図4を参照して説明する。
図2及び
図3に示すように、弾性シール部材30は、電気コネクタ2のシール収容溝24に収容された状態で、その自由端34A,34Bの側で電気コネクタ2に保持される。弾性シール部材30は、電気コネクタ2と筐体4の間に圧縮された状態で介在することにより、外部から筐体4の内部への水の浸入を防ぐ。
ここで、電気コネクタ2は、
図3(a),(b)に示すように、図中の上面に液状ガスケット47を介して蓋45が被せられる。したがって、弾性シール部材30は、ハウジング21及び筐体4と接するとともに液状ガスケット47とも接する。つまり、電気コネクタ2、弾性シール部材30及び筐体4に跨って液状ガスケット47が設けられることで本発明の第二シール要素が構成される。この部分についても外部から筐体4の内部への水の浸入を防ぐ必要がある。本実施形態はこの部分に適用するのが好適なシール構造を備えている。
【0019】
[弾性シール部材30]
弾性シール部材30は、
図5に示すように、全体としてU字状の形状を有している。弾性シール部材30は、電気コネクタ2と筐体4の間に圧縮された状態で介在することにより防水機能を発揮する限り、その材質は任意である。弾性シール部材30は、例えばシリコンゴムやブチルゴムからなり、例えば射出成形により一体に成形される。
【0020】
弾性シール部材30は、
図5に示すように、それぞれが所定間隔をあけて対向配置される一対の第一シール部31A,31Bと、一対の第一シール部31A,31Bの接続端33A,33Bが幅方向の両端で接続される第二シール部32と、を備える。第一シール部31A,31Bは第二シール部32に対して概ね直交するように設けられている。第一シール部31A,31Bは、第二シール部32と連なる接続端33A,33Bと、接続端33A,33Bとは逆側の自由端34A,34Bと、を備える。弾性シール部材30は、第一シール部31A,31Bのそれぞれの自由端34A,34Bの側に、電気コネクタ2との保持に供されるシール保持要素50が設けられている。
【0021】
弾性シール部材30は、電気コネクタ2と対向する内側Inと、筐体4と対向する外側Ouと、を有する。弾性シール部材30は、内側Inには突条からなる内封止部35が設けられ、また、外側Ouにも突条からなる外封止部36が設けられている。
弾性シール部材30は、内封止部35が内側Inにおいて、また、外封止部36が外側Ouにおいて、一方の自由端34Aから他方の自由端34Bまでの弾性シール部材30の延長方向の全域にわたって設けられている。電気コネクタ2が筐体4の所定位置に嵌合されると、内封止部35が電気コネクタ2に密着され、また、外封止部36が筐体4に密着されることで、電気コネクタ2と筐体4の間の防水性が確保される。
【0022】
[シール保持要素50]
弾性シール部材30は、
図5に示すように、自由端34A,34Bの側にシール保持要素50が設けられている。
シール保持要素50は、弾性シール部材30の幅方向Wの保持を担う第一保持部51と、弾性シール部材30の上下方向Hの保持を担う第二保持部55と、を備える。電気コネクタ2には、シール保持要素50に対応するコネクタ保持要素70が設けられているが、これについては後述する。
【0023】
第一保持部51は、電気コネクタ2に対して弾性シール部材30の第一シール部31A,31Bがその幅方向Wに相対的な変位、つまり位置ずれを起すことなく定位置に留まるのに寄与する。
第一保持部51は、第一シール部31A,31Bの前後方向Lの両側にそれぞれ設けられる、直方体状の空隙からなる第一保持溝53を有する。それぞれの第一保持溝53は、前後方向Lの外側に向けて開口し、かつ、上下方向Hの一端(上端)に開口するとともに他端(下端)が閉じられた空隙をなしている。このように、第一保持部51は、第一シール部31A,31Bの自由端34A,34Bから所定の位置までに形成された第一保持溝53からなる。
【0024】
次に、第二保持部55は、電気コネクタ2に対して弾性シール部材30の第一シール部31A,31Bがその上下方向Hに相対的な変位、つまり位置ずれを起すことなく定位置に留まるのに寄与する。
第二保持部55は、それぞれの自由端34A,34Bにおいて、外側Ouに向けて突き出す、平面視した形状が矩形の突起57を有する。突起57は、前後方向Lの両端に係止爪59,59が設けられている。係止爪59,59は、係止爪59と係止爪59の間を繋ぐ基部60と段差が付けられている。
【0025】
基部60は、電気コネクタ2のハウジング21と内面61で接し、筐体4の本体41と外面63で接する。これに加えて、基部60は、液状ガスケット47と上面65で接する。つまり、上面65が本発明における接触面である。
基部60は、
図5及び
図6に示すように、内面61と上面65に跨って、凹溝67A,67Bが形成されている。同様に、基部60は、外面63と上面65に跨って、凹溝68A,68Bが形成されている。凹溝67A,67Bと凹溝68A,68Bの間は、平坦な面が続いている。
【0026】
凹溝67A,67Bは、上面65の側から内面61に向けて深さが増すように傾斜して形成されている。また、凹溝67Aは凹溝67Bを挟んで両側に設けられているが、凹溝67Bは凹溝67Aよりも幅及び深さが大きく設定されている。凹溝68A,68Bも同様である。
【0027】
弾性シール部材30、筐体4及び液状ガスケット47の三つの要素が互いに接する三重点がある。基部60は、以上のような凹溝67A,67B及び凹溝68A,68Bを設けることにより、三重点における防水性能を向上するシールを備える。このシール構造について詳しくは後述する。
なお、水は
図5及び
図6に矢印で示す浸入方向Rに沿って、その外部から筐体4の内部に浸入しようとする。
【0028】
[コネクタ保持要素70]
コネクタ保持要素70は、弾性シール部材30のシール保持要素50と係合することで、弾性シール部材30の保持を担う。
コネクタ保持要素70は、
図4に示すように、弾性シール部材30の幅方向Wの保持を担う第一保持部71と、弾性シール部材30の上下方向Hの保持を担う第二保持部75と、を備える。第一保持部71は弾性シール部材30の第一保持部51と係合し、第二保持部75は弾性シール部材30の第二保持部55と係合する。
【0029】
第一保持部71は、電気コネクタ2に対して弾性シール部材30の第一シール部31A,31Bがその幅方向Wに相対的な変位、つまり位置ずれを起すことなく定位置に留まるのに寄与する。
第一保持部71は、
図3及び
図4に示すように、ハウジング21の前後方向Lの両側にそれぞれ設けられる、直方体状の第一保持突起73を有する。それぞれの第一保持突起73は、電気コネクタ2のフランジ25A,25Bの対向する面である内面に設けられている。第一保持突起73は、この内面に上下方向Hに延びるように形成されている。
第一保持突起73が弾性シール部材30の第一保持溝53の内部に隙間なく嵌入されることで、第一保持部51と第一保持部71が互いに係止される。
【0030】
次に、第二保持部75は、電気コネクタ2に対して30の第一シール部31A,31Bがその上下方向Hに相対的な変位、つまり位置ずれを起すことなく定位置に留まるのに寄与する。
第二保持部75は、
図4に示すように、上下方向Hに所定の間隔をあけて設けられる上突起76と下突起77を有する。
図2に示すように、上突起76と下突起77の間の第二保持溝78にシール保持要素50の係止爪59が隙間なく嵌入されることで、第二保持部55と第二保持部75が互いに係止される。
【0031】
上突起76は、係止爪59が
図4における上方に変位するのを規制する部材であることから、幅方向Wと平行な係止面76Aを有している。
これに対して下突起77は、弾性シール部材30を電気コネクタ2に装着する際に、係止爪59が乗り越えるとともに、乗り越えた後には係止爪59が下方に変位するのを規制するという二つの機能を有する。この二つの機能を実現するために、下突起77は、幅方向Wと平行な係止面77Aと、図中の下方から上方に向けて上るスライド面77Bと、を備えている。
【0032】
[全体的な防水構造]
シール保持要素50とコネクタ保持要素70が互いに嵌合し合うことで、弾性シール部材30は電気コネクタ2のハウジング21に装着される。
この電気コネクタ2を、
図1に示すように、筐体4の装着溝43の奥まで挿入してから、液状ガスケット47を塗布する。液状ガスケット47が固化してから、蓋45を被せ、さらに締結具により本体41に固定することにより、筐体4に電気コネクタ2と回路基板3の組立体が装着された電子機器1が構成される。
【0033】
この電子機器1において、弾性シール部材30が電気コネクタ2と筐体4の間の防水を担う。つまり、電気コネクタ2と筐体4の間の弾性シール部材30が圧縮され、電気コネクタ2と接する部分の面圧及び筐体4と接する部分の面圧がしきい値以上にする。これにより、弾性シール部材30とハウジング21との間、弾性シール部材30と本体41との間の防水を確保できる。このシール部分が本発明の第一シール要素に該当する。一方、本発明の第二シール要素に該当するのは、電気コネクタ2、弾性シール部材30及び筐体4に跨って液状ガスケット47が設けられる部分である。
電子機器1は、弾性シール部材30とハウジング21又は本体41のシール構造に加えて、前述した三重点におけるシール構造を備える。以下、本実施形態の特徴であるシール構造について説明する。
【0034】
[シール構造]
はじめに、本実施形態におけるシール構造の必要性について説明する。
弾性シール部材30が装着された電気コネクタ2を筐体4に装着する際に、弾性シール部材30は筐体4との接触により摩擦が生じるので、弾性シール部材30は変形し、この変形に伴って、三重点には空隙P1が生ずる(
図7(c)参照)。
図7(c)には、この空隙P1に液状ガスケット47が隙間なく充填されているが、液状ガスケット47は前述したようにそれほどの流動性がないために、液状ガスケット47はこの空隙の奥までは入りにくい。
【0035】
このように、弾性シール部材30が不可避的に変形すること、液状ガスケット47の流動性が小さいこと、が要因となって、三重点に不可避的に空隙が残る。この空隙が
図5及び
図6に示す浸入経路Rを貫通すると防水を担保できなくなる。本実施形態の弾性シール部材30は、これに対処するために、
図6に示すように、基部60に凹溝67A,67Bと凹溝68A,68Bを設けている。
【0036】
液状ガスケット47を施工すると、
図7(a)、(b)に示すように、液状ガスケット47は凹溝67A,67B(68A,68B)の内部にある程度は入り込むが、その先端にまで行き渡らないこともある。
図7(c)に示すように、凹溝67A,67B(68A,68B)が形成されていない領域においては、弾性シール部材30の変形による空隙P1に加えて、筐体4のコーナ落としによる空隙P2が存在する。これらの空隙P1,P2にも液状ガスケット47は入り込むが、その先端までは行き渡りにくい。
【0037】
ところが、本実施形態は、凹溝67A,67B(68A,68B)を設けているので、仮に空隙P1,P2が浸入経路R1を連なって貫通したとしても、以下説明するように、水は筐体4の内部まで到達するのは極めて困難である。
図6(b)及び
図8(a)に示すように、凹溝67A,67Bを設けると、内面61と上面65の境界であるコーナ部分に凹凸が形成される。凹凸が設けられるコーナ部分は、電気コネクタ2に連なる境界領域である。この凹凸が設けられることにより、水の浸入経路R1は、
図8(a)に示すように浸入方向Rに対して蛇行する。一方、凹溝67A,67Bを設けない平坦面だけからなる内面61、外面63及び上面65の場合には、
図8(b)に示すように、水の浸入経路R2は直線状であり、これは弾性シール部材30の幅方向Wの寸法と同じ長さである。したがって、凹溝67A,67Bを設けることにより蛇行する浸入経路R1は、直線状の浸入経路R2に比べて経路長が大幅に長くなる。また、この浸入経路R1は蛇行して長くなる分だけ、液状ガスケット47が空隙に入り込むことが期待できる。
なお、凹溝68A,68Bを設けると、外面63と上面65のコーナ部分に凹凸が設けられ、このコーナ部分は筐体4に連なる境界領域である。
【0038】
〔効 果〕
以上の構成を備えるシール構造が奏する効果を説明する。
シール構造は、水の浸入経路R1が蛇行するので直線状の浸入経路R2に比べて長くできる。これにより、直線状の浸入経路R2であれば浸入経路R2を貫通する量の水であっても、浸入経路R1であれば水が浸入経路R1の途中で止まり貫通しないことがある。また、そもそも蛇行する浸入経路R1は、直線状の浸入経路R2よりも水が進みにくい。さらに、浸入経路R1は距離が長い分だけ、液状ガスケット47が空隙P1の奥まで入り込むことが期待できる。
以上により、蛇行する浸入経路R1を備えるシール構造は、防水性能が高い。
【0039】
また、蛇行する浸入経路R1を設けることにより、液状ガスケット47と基部60の接着距離をより長く確保できる。これにより、弾性シール部材30と液状ガスケット47の接着強度を高くできる。
【0040】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることができる。
上述したシール構造は、一つの三重点について合わせて3つの凹溝67A,67B(68A,68B)を設けたが、本発明はこれに限らない。蛇行する部分が一つでもあれば、直線状の浸入経路R2に比べて長い浸入経路R1を形成できる。したがって、一つの三重点について設ける凹溝は一つで足りる。
【0041】
また、上述したシール構造は、幅及び深さの異なる凹溝67A,67B(68A,68B)を設けたが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図9(a)に示すように、同じ幅、深さ及び長さの凹溝67Cを設けることもできるし、
図9(b)に示すように、長さが異なるが幅及び深さが同じ凹溝67Dを設けることもできる。要は、浸入方向Rに対して蛇行する浸入経路R1を構成するための凹溝は任意である。
【0042】
ただし、凹溝の容積が小さいほど凹溝の内部に液状ガスケット47が入り込みにくく、逆に凹溝の容積が大きいほど凹溝の内部に液状ガスケット47は入り込みやすい。したがって、空隙P1が残るのを少なくすることを重視するならば、凹溝の容積(幅、深さ及び長さ)を大きくすることが好ましい。
一方で、凹溝の容積が大きくなると、基部60の弾性力が小さくなる。したがって、液状ガスケット47との面圧を確保することを重視すれば、凹溝の容積を小さくすることが好ましい。
したがって、凹溝の各部の寸法を決めるには、少なくとも以上の二つの観点を考慮することが必要である。
【0043】
また、上述した実施形態は、凹溝67A,67B(68A,68B)の開口形状が矩形をなしているが、
図9(c)に示すようにU字状の開口形状を有する凹溝67Eにすることができる。
【0044】
また、上述した実施形態は、浸入経路R1を蛇行させるのに、基部60に凹溝67A,67B(68A,68B)を設けたが本発明はこれに限定されない。例えば、
図9(d)に示すように、凹溝の代わりに凸部67Fを設けることによっても蛇行する浸入経路R1を形成できる。
【0045】
さらに、上述した実施形態は、基部60、つまり弾性シール部材30の側に蛇行する浸入経路R1を設けたが、筐体4の本体41に凹溝又は突起を設けることにより、浸入経路R1を蛇行させることもできる。もちろん、弾性シール部材30と本体41の両方に凹溝又は突起を設けてもよい。
【0046】
さらに、上述した実施形態は、弾性シール部材30、筐体4及び液状ガスケット47の間のシール構造について説明したが、弾性シール部材30、電気コネクタ2及び液状ガスケット47の間のシール構造に適用できる。