特開2020-54658(P2020-54658A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社コーアツの特許一覧

<>
  • 特開2020054658-ガス系消火設備 図000003
  • 特開2020054658-ガス系消火設備 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-54658(P2020-54658A)
(43)【公開日】2020年4月9日
(54)【発明の名称】ガス系消火設備
(51)【国際特許分類】
   A62C 35/68 20060101AFI20200313BHJP
   A62C 35/02 20060101ALI20200313BHJP
【FI】
   A62C35/68
   A62C35/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-187821(P2018-187821)
(22)【出願日】2018年10月2日
(71)【出願人】
【識別番号】000168676
【氏名又は名称】株式会社コーアツ
(74)【代理人】
【識別番号】100119301
【弁理士】
【氏名又は名称】蟹田 昌之
(72)【発明者】
【氏名】米田 裕策
(72)【発明者】
【氏名】薮下 真大
(72)【発明者】
【氏名】藤尾 大志朗
(72)【発明者】
【氏名】高井 浩介
(72)【発明者】
【氏名】柳田 充
【テーマコード(参考)】
2E189
【Fターム(参考)】
2E189BA03
2E189BB08
(57)【要約】
【課題】配管の軽量化を図り、より簡単に施工できるガス系消火設備を提供する。
【解決手段】防護区画に消火剤ガスを供給するガス系消火設備であって、前記消火剤ガスを貯蔵するガス貯蔵容器と、前記ガス貯蔵容器の容器弁に接続される配管と、前記防護区画内に設置され前記配管に接続されるノズルと、を備え、前記配管は1つまたは複数のステンレス鋼管を有するガス系消火設備。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防護区画に消火剤ガスを供給するガス系消火設備であって、
前記消火剤ガスを貯蔵するガス貯蔵容器と、
前記ガス貯蔵容器の容器弁に接続される配管と、
前記防護区画内に設置され前記配管に接続されるノズルと、を備え、
前記配管は1つまたは複数のステンレス鋼管を有するガス系消火設備。
【請求項2】
前記配管の内径は、4mm以上200mm以下である請求項1に記載のガス系消火設備。
【請求項3】
前記配管の全長は、10m以上400m以下である請求項1または2に記載のガス系消火設備。
【請求項4】
複数の防護区画の少なくとも1つに消火剤ガスを供給するガス系消火設備であって、
前記消火剤ガスを貯蔵するガス貯蔵容器と、
前記ガス貯蔵容器の容器弁に接続される第1配管と、
前記第1配管に接続される選択弁と、
前記選択弁に接続される複数の第2配管と、
前記複数の防護区画内それぞれに設置され、前記複数の第2配管それぞれに接続される複数のノズルと、を備え、
前記複数の第2配管の少なくとも1つは1つまたは複数のステンレス鋼管を有するガス系消火設備。
【請求項5】
前記第2配管の内径は、4mm以上200mm以下である請求項4に記載のガス系消火設備。
【請求項6】
前記第2配管の全長は、10m以上400m以下である請求項4または5に記載のガス系消火設備。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス系消火設備に関する。
【背景技術】
【0002】
圧力配管用炭素鋼鋼管を配管として使用するガス系消火設備が提案されている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−206397号公報
【特許文献2】特開2011−160953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガス系消火設備を施工する技術者の人材不足及び高齢化の下では、ガス系消火設備をより簡単に施工できるようにして、ガス系消火設備の施工性を従来よりも高めることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態は次のとおりである。
【0006】
防護区画に消火剤ガスを供給するガス系消火設備であって、前記消火剤ガスを貯蔵するガス貯蔵容器と、前記ガス貯蔵容器の容器弁に接続される配管と、前記防護区画内に設置され前記配管に接続されるノズルと、を備え、前記配管は1つまたは複数のステンレス鋼管を有するガス系消火設備。
【0007】
複数の防護区画の少なくとも1つに消火剤ガスを供給するガス系消火設備であって、前記消火剤ガスを貯蔵するガス貯蔵容器と、前記ガス貯蔵容器の容器弁に接続される第1配管と、前記第1配管に接続される選択弁と、前記選択弁に接続される複数の第2配管と、前記複数の防護区画内それぞれに設置され、前記複数の第2配管それぞれに接続される複数のノズルと、を備え、前記複数の第2配管の少なくとも1つは1つまたは複数のステンレス鋼管を有するガス系消火設備。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、配管の軽量化を図り、より簡単に施工できるガス系消火設備を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1に係るガス系消火設備の概略構成を示す模式図である。
図2】実施形態2に係るガス系消火設備の概略構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態1に係るガス系消火設備1]
図1は、実施形態1に係るガス系消火設備の概略構成を示す模式図である。図1に示すように、実施形態1に係るガス系消火設備1は、防護区画10に消火剤ガスを供給するガス系消火設備であって、消火剤ガスを貯蔵するガス貯蔵容器20と、ガス貯蔵容器20の容器弁22に接続される配管50と、防護区画10内に設置され配管50に接続されるノズル60と、を備えている。配管50は1つまたは複数のステンレス鋼管を有する。以下、詳細に説明する。
【0011】
(防護区画10)
防護区画10は消火剤ガスが供給される区画である。例えば、ビル、発電所、または工場などの建物内における1つの部屋を1つの防護区画10とすることができる。また、複数の部屋をまとめて1つの防護区画10とすることもできる。電子機器が設置されたコンピュータルームや配電盤などが設置された電気室などは、水や泡で消火を行うと電子機器や配電盤などが故障するため、ガスによる消火に適しており、防護区画10に適している。1つの建物内における防護区画10の数は特に限定されない。本実施形態では、1つの防護区画10ごとに1つのガス系消火設備1が施工されるものとする。
【0012】
(ガス貯蔵容器20)
ガス貯蔵容器20は、消火剤ガスを貯蔵する容器である。ガス貯蔵容器20には、ボンベなどが含まれる。本実施形態では、ガス貯蔵容器20が防護区画10外に設置されているものとするが、ガス貯蔵容器20は防護区画10内に設置することもできる。
【0013】
ガス貯蔵容器20の容量は、例えば消火剤ガスが気体としてガス貯蔵容器20に充填される場合には0.3m以上50m以下の消火剤ガスを格納できる容量であることが好ましく、消火剤ガスが液体としてガス貯蔵容器20に充填される場合には0.65kg以上100kg以下の消火剤ガスを格納できる容量であることが好ましい。消火剤ガスは、液体としてガス貯蔵容器20に格納される場合、例えば、配管50内では液体、又は気体・液体混合の状態であり、ノズル50から防護区画10内に放出されるときに完全に気体になる。ガス貯蔵容器20内の圧力は、防護区画10内の圧力よりも高く、例えば0.2MPa以上30MPa以下である。これら容量や圧力は、消火剤ガスの放出開始から10秒間以上3分間以下、好ましくは1分間あるいは2分間で、防護区画10の消火において要求される消火剤ガスの全放出量(全放出量は法令などによって規定される。)の100%または90%以上の消火剤ガスが放出されるよう、設定されていることが好ましい。
【0014】
ガス貯蔵容器20は容器弁22を備えている。容器弁22は、防護区画10内で火災が発生した際に手動または自動で開放される。自動で開放される場合は、防護区画10内に熱を感知するセンサなどを設けて、このセンサからの信号などに基づき、容器弁22を開放することができる。
【0015】
ガス貯蔵容器20の数は1つでもよいし、2つ以上でもよい。複数のガス貯蔵容器20が配置される場合は、複数のガス貯蔵容器20すべての容器弁22が開放されてもよいが、火災の規模などに応じて、それらのうち少なくとも1つ以上の容器弁22が開放されてもよい。
【0016】
(消火剤ガス)
消火剤ガスには、消火に用いることが可能な各種のガスを用いることができる。例えば、ハロゲン化物ガスや不活性ガス(イナートガス)などが消火剤ガスの一例となる。不活性ガス(イナートガス)としては、窒素ガスあるいはアルゴンガスなどを用いることができる。特に窒素ガスは、人体への悪影響が少ないため、消火剤ガスとして好ましく用いることができる。
【0017】
(配管50)
配管50はガス貯蔵容器20の容器弁22に接続される。配管50は容器弁22に直接接続されてもよいし、連結管などの他の部材を介して間接接続されてもよい。配管50が容器弁22に接続される形態には、このような直接接続と間接接続の双方が含まれる。複数のガス貯蔵容器20が配置される場合、配管50は、複数のガス貯蔵容器20すべての容器弁22に接続することができる。配管50は、平時においては空配管である。つまり、配管50は防護区画10の内部空間と連通しており、配管50の内部には、平時においては消火剤ガスではなく空気が存在している。
【0018】
配管50は1つまたは複数のステンレス鋼管を有している。配管50が複数のステンレス鋼管を有する場合、これら複数のステンレス鋼管は、1つまたは複数の継ぎ手を用いて連結することができる。この場合、継ぎ手は、銅や黄銅などのステンレス以外の金属からなるものであってもよいし、ステンレス製であってもよい。継ぎ手がステンレス製である場合は、そうでない場合と比較して、より施工性と腐食耐性に優れたガス系消火設備を提供することができる。継ぎ手とステンレス鋼管とを接続する方法には、ネジ、溶接、フランジ接続、またはハウジング接続などが含まれる。
【0019】
配管50の肉厚には、例えば、配管50の肉厚=(配管50の外径−配管50の内径)÷2の関係がある。ステンレス配管は材料の許容応力が従前使用している圧力配管用炭素鋼鋼管(例えば、スケジュール40、80)よりも大きく、従前使用している圧力配管用炭素鋼鋼管よりも薄い肉厚(大きな内径)で必要とされる配管強度を有することが出来る。したがって、ステンレス鋼管を有する配管50を備えた本実施形態によれば、従来よりも内径の大きな配管50を用いることが可能となり、つまり従来よりも肉厚が薄い配管50を用いることが可能となり、必要とされる配管強度を保ちつつ、配管50の軽量化を図り、配管50の運搬や設置などの作業を簡単にして、ガス系消火設備1の施工性を高めることができる。また、本実施形態によれば、圧力配管用炭素鋼鋼管を用いる従来のガス系消火設備(ただし、圧力配管用炭素鋼鋼管の配管径(外径)は、本実施形態に係る配管50の配管径(外径)と同一であるとする。)と比較して、配管50の肉厚を薄くして(つまり配管50の内径を大きくして)、配管50の管内面積を大きくすることができる。したがって、従来よりも多くの消火剤量を配管に流すことができるガス系消火設備を提供することができる。
【0020】
配管50の内径は、例えば4mm以上200mm以下である。本実施形態では、例えば4mm以上の内径を有する配管50を用いることができるが、配管50がステンレス鋼管であるため、必要とされる配管強度を確保しつつ、200mm程度にまで内径が拡大された配管50を用いることも可能である。また、配管50の全長は、例えば10m以上400m以下である。本実施形態では、例えば、全長が10m以上の配管50を用いることができるが、ステンレス鋼管を用いることにより配管50の軽量化が図られるため、配管50の全長が400m程度である場合でも、配管50の運搬や設置などの作業を簡単にして、ガス系消火設備1の施工性を高めることができる。
【0021】
ステンレス鋼管は、クロムを含む合金鋼、またはクロムとニッケルを含む合金鋼からなる。ステンレス鋼管の全重量に占めるクロムの含有量は10%以上であり、好ましくは16%以上である。
【0022】
(ノズル60)
ノズル60は、消火剤ガスを噴射などの形で放出する装置である。ノズル60は防護区画10内に設置され、配管50に接続されている。ノズル60は配管50に直接接続されてもよいし、他の部材を介して間接接続されてもよい。ノズル60が配管50に接続される形態には、このような直接接続と間接接続の双方が含まれる。ノズル60は開放型であり、常に開いている。ノズル60は、天井や壁などの、防護区画10内における様々な箇所に設置することができる。ノズル60には、天井面に設置するノズル、壁に設置される横吹き出し用のノズル、または静音ノズルなどを用いることができる。ノズル60の形状や大きさは特に限定されない。防護区画10内に設置されるノズル60は、少なくとも1つであり、防護区画10の全域に均一にかつ速やかに拡散することができるように配置することが好ましい。防護区画10内に複数のノズル60が配置される場合は、複数のノズル60すべてを配管50に接続することができる。
【0023】
(動作例)
防護区画10内で火災が発生すると、ガス貯蔵容器20の容器弁22が手動または自動で開放され、ガス貯蔵容器20内の圧力と配管50内の圧力との差(ガス貯蔵容器20内の圧力>配管50内の圧力。ノズル60は常に開いているため、配管50内の圧力は防護区画10内の圧力に等しい、あるいは実質的に等しい。)により、ガス貯蔵容器20に貯蔵されている消火剤ガスが、ガス貯蔵容器20から配管50を通ってノズル60から防護区画10内に放出される。これにより、防護区画10内の酸素濃度が低下するなどして、防護区画10内の火災が鎮火される。
【0024】
以上説明したように、本実施形態によれば、ステンレス鋼管を配管50として用いることにより、必要とされる配管強度を保ちつつ、配管50の軽量化を図ることができる。したがって、より簡単に施工できるガス系消火設備1の提供が可能となる。また、ステンレス鋼管を使用することにより、腐食耐性が確保された、あるいは従来よりも腐食耐性に優れたガス系消火設備1を提供することが可能となる。また、従来よりも多くの消火剤量を配管に流すことができるガス系消火設備1を提供することが可能となる。
【0025】
[実施形態2に係るガス系消火設備2]
図2は、実施形態2に係るガス系消火設備の概略構成を示す模式図である。図2に示すように、実施形態2に係るガス系消火設備2は、複数の防護区画10の少なくとも1つに消火剤ガスを供給するガス系消火設備であって、消火剤ガスを貯蔵するガス貯蔵容器20と、ガス貯蔵容器20の容器弁22に接続される第1配管30と、第1配管30に接続される選択弁40と、選択弁40に接続される複数の第2配管50と、複数の防護区画10内それぞれに設置され、複数の第2配管50それぞれに接続される複数のノズル60と、を備える。複数の第2配管50の少なくとも1つは、1つまたは複数のステンレス鋼管を有する。以下、詳細に説明する。
【0026】
(複数の防護区画10)
本実施形態では、複数の防護区画10に対して1つのガス系消火設備2が施工される。1つのガス系消火設備2は、複数の防護区画10のうち火災が発生している防護区画10に対して選択的に消火剤ガスを供給する。各防護区画10については、前述した実施形態1の場合と同様であるので説明を省略する。
【0027】
(ガス貯蔵容器20)
ガス貯蔵容器20については、前述した実施形態1の場合と同様であるので説明を省略する。なお、複数のガス貯蔵容器20が配置される場合は、複数のガス貯蔵容器20すべての容器弁22が開放されてもよいが、火災の規模や火災が発生している防護区画10の数などに応じて、開放する容器弁22の数を決定あるいは調整などすることができる。
【0028】
(消火剤ガス)
消火剤ガスについては、前述した実施形態1の場合と同様であるので説明を省略する。
【0029】
(第1配管30)
第1配管30はガス貯蔵容器20の容器弁22に接続される。第1配管30は容器弁22に直接接続されてもよいし、連結管などの他の部材を介して間接接続されてもよい。第1配管30が容器弁22に接続される形態には、このような直接接続と間接接続の双方が含まれる。複数のガス貯蔵容器20が配置される場合、第1配管30は、複数のガス貯蔵容器20すべての容器弁22に接続することができる。第1配管30は、前述した実施形態1における配管50の場合と同様に、平時においては空配管である。第1配管30には、1つまたは複数の圧力配管用炭素鋼鋼管を用いてもよいし、1つまたは複数のステンレス鋼管を用いてもよい。ステンレス鋼管を用いる場合には、より施工性と腐食耐性に優れたガス系消火設備を提供することができる。複数の圧力配管用炭素鋼鋼管や複数のステンレス鋼管には、1つまたは複数の継ぎ手により、これらを連結させることができる。この場合、継ぎ手は、銅や黄銅などのステンレス以外の金属からなるものであってもよいし、ステンレス製であってもよい。継ぎ手がステンレス製である場合は、そうでない場合と比較して、より施工性と腐食耐性に優れたガス系消火設備を提供することができる。なお、継ぎ手とステンレス鋼管とを接続する方法には、溶接、フランジ接続、またはハウジング接続などが含まれる。
【0030】
(選択弁40)
選択弁40は、第1配管30と複数の第2配管50に接続され、複数の第2配管50の少なくとも1つと第1配管30を連通させる弁である。選択弁40は第1配管30や複数の第2配管50に直接接続されてもよいし、他の部材を介して間接接続されてもよい。第1配管30や第2配管50が選択弁40に接続される形態には、このような直接接続と間接接続の双方が含まれる。選択弁40によって第1配管30と連通される第2配管50は、火災が発生した防護区画10内のノズル60に接続される第2配管50とすることができる。つまり、選択弁40は、火災が発生していない防護区画10内のノズル60に接続される第2配管50と第1配管30を連通させないようにすることができる。このようにすれば、火災が発生していない防護区画10内に消火剤ガスが放出されることを防止することができる。選択弁40の形状や大きさなどは特に限定されない。
【0031】
(複数の第2配管50)
複数の第2配管50は選択弁40に接続される。複数の第2配管50の少なくとも1つは、1つまたは複数のステンレス鋼管を有している。第2配管50は、第1配管30より全長が長く、第1配管30よりも広範囲にわたって配置されていてもよい。この場合には、第2配管50に圧力配管用炭素鋼鋼管を用いる場合と比較して、施工性と腐食耐性に優れる本実施形態の効果がより顕著となる。その他、各第2配管50の構成は、前述した実施形態1における配管50と同様であるので、説明を省略する。
【0032】
(複数のノズル60)
複数のノズル60は、複数の防護区画10内それぞれに設置され、複数の第2配管50それぞれに接続される。ノズル60は第2配管50に直接接続されてもよいし、他の部材を介して間接接続されてもよい。ノズル60が第2配管50に接続される形態には、このような直接接続と間接接続の双方が含まれる。1つの防護区画10内に設置されるノズル60は、少なくとも1つであり、防護区画10の全域に均一にかつ速やかに拡散することができるように配置することが好ましい。1つの防護区画10内に複数のノズル60が配置される場合は、複数のノズル60すべてを第2配管50に接続することができる。その他、各ノズル60の構成については、前述した実施形態1におけるノズル60の構成と同様であるので説明を省略する。
【0033】
(動作例)
複数の防護区画10内のいずれかにおいて火災が発生すると、ガス貯蔵容器20の容器弁22が手動または自動で開放され、ガス貯蔵容器20内の圧力と第1、2配管50内の圧力との差(ガス貯蔵容器20内の圧力>第1、2配管30、50内の圧力。ノズル60は常に開いているため、第1、2配管30、50内の圧力は防護区画10内の圧力に等しい、あるいは実質的に等しい。)により、ガス貯蔵容器20に貯蔵されている消火剤ガスが、ガス貯蔵容器20から第1、2配管30、50を通ってノズル60から防護区画10内に放出される。火災が発生している防護区画10内にのみ消火剤ガスが放出され、火災が発生していない防護区画10内には消火剤ガスは放出されない。これにより、火災が発生している防護区画10内のみ、酸素濃度が低下するなどして、火災が鎮火される。
【0034】
以上説明したように、実施形態2によっても、実施形態1の場合と同様に、より簡単に施工でき、且つより腐食耐性に優れたガス系消火設備2を提供することが可能となる。また、従来よりも多くの消火剤量を配管に流すことができるガス系消火設備2を提供することが可能となる。
【実施例1】
【0035】
例えば、消火剤ガスの圧力が6.5MPAであり、65A(外形76.3mm)の配管50(第2配管50)を10m敷設するものと仮定する。この場合、本実施形態1,2の一実施例によれば、例えば、肉厚が「3.0mm」で、重さが「5.48kg/1mあたり」であるステンレス鋼管(sch10)を、配管50(第2配管50)として用いることができる。これに対し、比較例によれば、例えば、肉厚が「5.2mm」で、重さが「9.12kg/1mあたり」である圧力配管用炭素鋼鋼管(sch40)を配管(第2配管)として用いることができる。したがって、本実施形態1,2の一実施例によれば、比較例と比較して、36.4kg(91.2kg−54.8kg=36.4kg)の軽量化が図られた配管50(第2配管50)を用いて、配管50(第2配管50)を運搬や設置などするガス系消火設備の技術者の負担を軽減することが可能である。
【0036】
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの説明は、本発明の一例に関するものであり、本発明は、これらの説明によって何ら限定されるものではない。
【符号の説明】
【0037】
1、2 消火設備
10 防護区画
20 ガス貯蔵容器
22 容器弁
30 第1配管
40 選択弁
50 配管、第2配管
60 ノズル
図1
図2