【実施例1】
〔実施例1〕は、一次電気エネルギーとして起動時:100、000KW、定常時:50、000KWの太陽光発電を用いた発電システムに関る。より正確には、上記特性の太陽光発電をリチウム電池などで平準化した発電システムに関る。
【0023】
〔実施例1〕について、
図1,2,3,4を用いて説明する。
図1は、本発明の全体システム構成図である。
図2は、本発明の二次(水力)エネルギーブロックと電気分解ブロックに関る摸式的鳥瞰図である。
図3は、本発明の電気分解ブロックの構成図である。
図4は、本発明の二次(火力発電)エネルギーブロックの構成図である。
図5は、ランキンサイクルブロックを付加した場合の本発明の全体システム構成図
【0024】
図1において、01は電気分解ブロック(電解槽)、02は二次(水力)エネルギーブロック、07は二次(火力発電)エネルギーブロック、06は一次(電気)エネルギーブロック、である。
図1において、03は深水(深海)、04は水面(海面)、05は水深の大きさである。08は、海(海水)を示す。
図1は、物質(水、圧縮水素ガス、圧縮酸素ガス)の流れの表示と電気の流れの表示とを識別して示す。また、
図1の上下方向は、寸法は異なるが発明の実際構成と同様な物理的ポテンシャル関係を示す。
図1において、005,006はそれぞれ圧縮水素ガス(パイプを含む)と圧縮酸素ガス(パイプを含む)である。
図1において、0051、0052、0053はそれぞれ、圧縮水素ガス、圧縮酸素ガス、排水(淡水)の逆止弁である。これらは、電気系統が異なる遠隔制御用電気エネルギーが用いられる(図示せず)。
電気分解ブロック(電解槽)01での電気分解用内部供給電気エネルギー0294や外部供給電気エネルギー0299などで使用する電気エネルギー(電力)に対しては、ケーブル028(
図3、
図4)が使用される。0296、0295はそれぞれ、二次(火力発電)エネルギー、一次(電気)エネルギーの各ブロックからの内部供給用の(電気分解)エネルギーである。二次(水力)エネルギーブロック02は、排水(淡水流)0027、0028の帰路となる。
排水(淡水流)0027、0028は、本発明の定常時は流れがあるので、電気分解ブロック(電解槽)01におけるアルカリ電解水014を攪拌する動力となる。
0291、0292、はそれぞれ、一次(電気)エネルギー、二次(火力発電)エネルギーの各ブロックからの外部供給用(電気)エネルギーである。〔実施形態1)では、
図1における二次(水力)エネルギーブロック02からの外部供給用電気エネルギー0297はゼロである。0298、0299はそれぞれ、内部供給用の加算スイッチ、外部供給用の加算スイッチである。
【0025】
図1において、01と02とは、少なくともそれらの一部分は深水03の領域にあって、海08に浮かんでいる構造体である。これらの構造体の周囲は海08で囲まれており、海08との分離構造(収容体)は金属、プラスチック、などである。それらの体積は、収容物である水0028、圧縮水素ガス005、圧縮酸素ガス006の重さよりも充分に小さく、水面から同じ深さに位置している。それぞれの分離構造(収容体)を含めた比重は海水08よりも僅かに小さくほぼ同じ水圧である。
それらの位置の固定・調節には周知技術である碇・錘・浮きが用いられる(図示せず)。
以上の記述を要約すれば、本発明では海08の一部に淡水領域02、0027、0028があり、その淡水領域の底部に隣接してアルカリ電解液014(
図3)と電気分解装置を収容する電気分解ブロック(電解槽)01が配備され、水面04と深水03との間に二次(水力)エネルギーブロック02を配置した構成である。
図1において、一次(電気)エネルギーブロック06と二次(火力発電)エネルギーブロック07とは大気圧環境に設置される。
【0026】
太陽光発電で本発明の起動時電力100、000KWを一次(電気)エネルギーブロック06から、電気分解ブロック(電解槽)01にまず(循環サイクルの第1サイクル)供給する。
100、000KWの電力で水深400mの深水03を電気分解することで水圧(約40気圧)に対応する圧縮水素ガス005と圧縮酸素ガス006が生成される。それぞれの圧縮ガスは、水面(大気圧=1気圧)04まで浮上する。この過程で圧力差によるポテンシャルエネルギー(重力に基づく)を獲得する。
(大気圧=1気圧)04環境に置かれた火力発電エネルギーブロック07で、005を燃料、006を燃焼剤として燃焼させる。燃焼エネルギーに変換効率を乗じた、二次電気エネルギーが生成される。爆発燃焼の防止には不活性ガス(ヘリウムガス043、045など)が希釈ガスとして利用される。
燃焼した結果、排水0027が生成される。その量は原単位に基づく圧縮水素ガス005の燃焼エネルギー量で算定される。0027は電気分解で生成された圧縮水素ガス量と圧縮酸素ガス量から算出される水量である。この水量に相当する量の水(淡水)流が水面04から深水03までを02のブロックを下降する。流れる時間当たりの水量は、電気分解に使われるエネルギー量(電力)に比例する。その過程で運動エネルギーを獲得する。
図1における一次(電気)エネルギーブロック06としては、従来の落差型水力発電・化石燃料型火力発電・風力発電なども使われる。更には本発明に基づく前記二次電気エネルギー自体も前記従来発電技術と同じ前記一次電気エネルギーとしても利用可能である。
前記一次電気エネルギーと併せて前記二次電気エネルギーを用いて電気分解ブロック01にのみに使用して電気エネルギーの量を複利計算式に蓄積する。そして、前記一次電気エネルギーを凌駕した以降に於いては、本発明の二次電気エネルギー自体も前記一次電気エネルギーとして本発明に基づく別のシステムに利用することも可能である。
【0027】
即ち、本発明は、上記の一次電気エネルギーを利用しつつ、当初は微量であるが時間推移と共に、増大する二次電気エネルギーの発電システムに関る(以下、発電システムと略記する)。
本発明の手段は、(1)敷設(立地)環境が、海の一部に限定して前記アルカリ元素による副次的汚染などの新たな環境問題を生じさせないこと、(2)−1:深水→電気分解→圧縮水素ガス005と圧縮酸素ガス006とに分解されて圧力差で水面まで浮上→燃焼→二次電気エネルギーの生成過程で前記二次電気エネルギーと前記一次電気エネルギーを合わせて再び前記過程を繰り返す(サイクル=循環)こと、である。更に、その過程で複利計算式に電気エネルギーが増大すること、である。
この増大する電気エネルギーは根源的には重力に基づくものであって永久機関的に発生するものではない。
本発明の〔実施例1〕では、前記電気エネルギーの循環とは異なる物体(水)の循環もある。
即ち、(2)−2:深水→電気分解→圧縮水素ガス005と圧縮酸素ガス006とに分解されてその圧力差で水面まで浮上→燃焼→排水→水面から深水まで下降の循環もある。
この物体(水)の循環(サイクル)も根源的には重力に基づく。しかし、〔実施例1〕では、このエネルギーは単に水流としてのみ利用する。
以下に具体的な記述をする。
深水の深さ400mに設置した電気分解装置によるアルカリ電解水を定常時:100、000KW(この内50、000KWは上記太陽光発電を用いた一次電気エネルギーを使う)の電気分解用電気エネルギーで電気分解して圧縮水素ガス005と圧縮酸素ガス006とを生成してそれらを利用した本発明を発電システムとして利用する。〔実施例1〕では、
図1、2、4における、逆止弁0051、0052、0053、0054、0055は、定常時には原則として全て開いて(オープン)の状態で実施する。
また、〔実施例1〕では、
図1において二次(水力)エネルギーブロック02は、二次電気エネルギーの発生はさせない。それは、
図3において014で示すアルカリ電解水を攪拌して流すための動力としてのみ実施する。
【0028】
次に、
図2の内容を説明する。なお、これらの図において
図1の説明で符号の説明済みの同じ符号の説明は省略する。
図2において、021、022、023は、それぞれ水車、水車の羽根板、(水力)発電機である。
024は、前記羽根板022を回転させる水流である。
〔実施例1〕では、〔0024〕に記載した通りに、(水)発電機023は利用せずに、水車021で発生する動力は、直接電解槽01中のアルカリ電解水014を攪拌・流れの動力に利用する。
図2において、電解槽01でアルカリ電解水014を電気分解して圧縮水素ガス005と圧縮酸素ガス006を生成する。それらの圧縮ガスは比重が1よりも小さいので圧力差によって水面04まで浮上する。
【0029】
次に、
図3の内容を説明する。
図3において、同図の左半分には電解槽の鳥瞰図、右半分に電解槽の水平方向をX1断面、垂直方向をY1,Y2断面で切断した断面図である。
同図において、051、052はそれぞれ電解槽の電極、電解槽自体の高さ(厚み)寸法である。
電解槽電極高さ(厚み)051、電解槽高さ(厚み)052は、それぞれ0.6m、1.0mである。電極材料は、陽極012・陰極011とも同じで、厚さ1mmの厚さのチタン板を1μmの厚さの白金メッキした材料である。電気端子017,018も銅板をベースに1μmの厚さの白金メッキした材料である。
同図において、011、012、013は、それぞれ電解槽の陰極電極(圧縮水素ガス005発生用)、陽極電極(圧縮酸素ガス006発生用)、電極間隙である。
同図において、0111、0121は、それぞれ電解槽の電極端子と電気分解に必要な電気を供給するケーブルである。0111と0121とは、028として一対の電力供給用ケーブルを示す。
同図において、081、082、083、084はそれぞれ電解槽から発生した圧縮水素ガス005並びに圧縮酸素ガス006とを水面まで浮上させる同心円状ガスパイプの最外径と最内径である。
圧縮水素ガスパイプ最外径080は10m、圧縮水素ガスパイプ最内径081は8m、圧縮酸素ガスパイプ最外径は3.5m、圧縮酸素ガスパイプ最内径は2.7m、である。
029、016はそれぞれ帰路の淡水用パイプ、淡水用パイプが同心円状に回転する状態を示す。
淡水用パイプの最外径は2.5mである。
【0030】
図4において、030,031、032は、それぞれガスタービン、汽力タービン、火力発電機である。これらは、回転軸(同心円軸)047で結合されてコンバインド・サイクルを構成する。
040,041、042は、それぞれガスタービン羽根板、汽力ガスタービン羽根板、コンバインド火力発電機のローターである。
0054、0055の逆止弁は流れる方向には開いている(オープン)状態であるので圧縮ガス005,006は火力発電ブロック07に送りこまれる。
低温ヘリウムガス043は、圧縮酸素ガス006と一緒にガスタービン030に送りこまれて希釈ガスとして作用する。ガスタービンの排出物は、高温ヘリウムガス040と高温水蒸気044である。これらのガス(気体)が汽力タービン031に送りこまれる。汽力タービン031の温度(約1200℃)から温度(約400℃)の熱落差と高圧(約40気圧)から常圧(1気圧)の過程で汽力エネルギーが発生する。
ガスタービン030と汽力タービン031との熱エネルギーの一部は動力となり、火力発電機のローター042を回転させて、効率が高い二次火力発電エネルギーを得る。
それらの圧縮ガス005,006はそれぞれ、005は燃料、006は燃焼剤となって火力発電ブロック07の中で燃焼する。燃焼においては不活性ガス(ヘリウムガス043、045)で酸素ガスは希釈されて使用される。この結果、爆発的燃焼は防止される。
燃焼後の排出物0027は、水蒸気もしくは高温の淡水である。それらは、例えば海水で冷却されて時間とともに温度が低下した淡水の流れの状態でパイプ0028を通じて下降する。その水量は電気分解装置01で電気分解された淡水量に等
水素と酸素を燃焼する代わりに、二次電気エネルギーブロック07として、燃料電池に使用しても良い。それによっても同程度の発電エネルギーおよび燃焼と同程度の水流を得ることができる。
【0031】
次に、本発明で発電機能を得る実施する手段を説明する。これは、前記した圧力差によるポテンシャルエネルギーと重力による運動エネルギーを獲得する手段である。即ち、前者(1)は、電気分解で水(液体)を圧縮水素ガス005と圧縮酸素ガス006とに分解して水面まで浮上させる手段であり、後者(2)は水面から前記電気分解装置01が敷設された深水までを水流の運動エネルギーとして利用する手段である。
ここで、特に重要なのは(1)電気エネルギーの循環サイクルである。この循環サイクルの時間は、電解槽01に電気分解に必要な一次電気エネルギーを与える時から、二次(火力電気)エネルギーを得てその電気エネルギーを前記一次電気エネルギーに加えて再び電解槽01で電気分解に使用する迄、の時間(サイクル時間(循環)時間)である。
この循環サイクルの時間毎に、前記ポテンシャルエネルギーを獲得できる。
そして、上記ポテンシャルエネルギーの獲得は、その量は小さいが循環サイクル毎に得られる。故に、燃焼エネルギー量に比べた上記ポテンシャル電気エネルギー量の割合が複利的に増加すること、が特徴である。
【0032】
一例として、一次電気エネルギー量:E
prim=10
5kWh、一次電力P
prim=10
5kWを考える。また、深水の深さD=400mに電気分解装置01を敷設してアルカリ電解水014を電気分解する、とする。
(I)起動条件(t<0)
圧縮水素ガスパイプ005と圧縮酸素ガスパイプ006とは、それぞれ外部から供給(図示せず)の圧縮水素ガス005と圧縮酸素ガス006(不活性ガスで希釈)で充填する。帰路の水(淡水)パイプ0028も水(淡水)を充填する。
また、電気分解ブロック01内で電解水014を外部から供給(図示せず)される電気エネルギーで攪拌する(水流を作る。更に、二次(火力発電)エネルギーブロック06では圧縮水素ガス005と圧縮酸素ガス006の燃焼に備えて点火装置(図示せず)を起動する。
(II)起動(t=0):電気分解=第一サイクル開始
電気分解によって生成される圧縮水素ガスの量V
H2=1/β
elec x E
prim
β
elec=実際に電気分解における必要電気エネルギー(電力)係数
=3.6〜4.4
β
elec0=3.51:原(理想)単位=定数
電気分解の変換効率ηは、η
elec=β
elec/β
elec0〜70〜90%である。
β
elec=4.0のとき、η
elec=0.88=88%であるから、
得られる燃焼エネルギーE
comb(は、
E
comb=0.88 x E
prim=8.8 x 10
4kWh
二次電気エネルギー量E
secは、E
sec=5.0 x 10
4kWhである。
E
secは、(二次(火力発電)エネルギーブロック07で得られる燃焼エネルギーを変換効率η
conb=56%で換算した二次電気エネルギー量である。
得られる水素ガス量V
H2と重量M
H2 は、
V
H2=E
prim/β
elec=25,000Nm
−3
M
H2=90 x 2.5 x 10
4gr.
得られる水(淡水)の重量M
H2Oは、
M
H2O=810 x 2.5 x 10
4gr.
〜 20 ton
深水から水面までの実効的な水(圧縮水素ガス005と圧縮酸素ガス006)が移動することで得られるポテンシャル電気エネルギー量P
secは、
P
sec=M
H2O x G x D=(20x 10x 400)/3600=22kWh
ここに、Gは重力の加速度、Dは深水の深さ、である。
即ち、サイクル当たり全体電気エネルギー量(〜一次電気エネルギー量)に対するポテンシャル電気エネルギー量の寄与率αは、
α=ポテンシャルエネルギー量/全体電気エネルギー量
〜ポテンシャルエネルギー量/一次電気エネルギー量…………………(1)
22/100、000 = 0.022%
【0033】
二次(火力発電)電気エネルギー量は、上記のように、一次電気エネルギー量E
primを電気分解ブロック01に投入した場合、
E
sec=0.56 x E
comb=0.56 x 0.88 x E
prim=0.45E
prim
となり、一次電気エネルギー量E
primより小さい。しかし、再度、一次電気エネルギー量に二次(火力発電)電気エネルギー量を加えて、電気分解ブロック01に供給することによって、二次(火力発電)電気エネルギー量を増すことができる。この際、電気エネルギーはに二次(エネルギーブロック07に設けられた蓄電装置、あるいはガスの形で圧縮水素ガス005、圧縮酸素ガス006として一時貯蔵される。
本発明においては、ポテンシャル電気エネルギー量が得られるので、これを、外部供給電気エネルギー量として使用するか電気分解ブロック01に加えると、地上に設置された場合よりも電気エネルギー量を増すことができる。
電気分解供給用二次(火力発電)エネルギー0296を一次電気エネルギー0295と加算して電気分解装置01用に帰還(循環)させることによって、二次(火力発電)エネルギーブロック07から生成される二次電気エネルギー量E
sec0296の値を指数関数的に増加できる。
外部供給電気エネルギー量をE
intとすると、電気分解ブロック01の効率と二次(火力発電)エネルギーブロック07での効率からなる総合効率η、前記寄与率α,前記(電気エネルギーの)循環(サイクル)回数nとすれば、E
sec=E
intx ηの場合、
E
sec/E
prim=η x(1+α)
n……………………………………(2)
ここにηは、電気分解の効率η
elecと火力発電の電気変換効率η
conb、二次(火力発電)エネルギーブロック07で得られる交流電気エネルギーを電気分解ブロック01で必要な直流電気エネルギーに変換する時の変換効率η
convを乗じた値である。η
convは、通例0.9である。
総合効率ηは、本実施例では、0.88x 0.56 x 0.9=0.45である。
また、αは、前記火力発電の電気変換効率η
conbで除した値の可能性もある。
(2)式においてE
secが増大すると、E
intにおけるE
primの量を減らすことが出来る。
一方、二次(火力発電)エネルギーブロック07で得られる排水(淡水)0027は、
図1に示す帰路の淡水用パイプ029を通じて、電解槽01に向かって流れる。淡水用パイプ029の断面積Sは、S=約5m
2である。
故に、時間あたりの第一サイクルでの流速v
1は、v
1 = M
H2O/S=約4m/hである。こ流速v
1は、上記の寄与率α=0.022%/サイクルで増加して循環する。
ここで、前記電気エネルギーの循環サイクルnに比べて、前記排水0027の循環サイクルは帰路のパイプ027を流れる時間もあるために前記電気エネルギーの循環サイクルよりも小さいこと、に留意する。
【0034】
次に、複利計算を10日サイクル数Nと木10日寄与分Xを使った表示をする。
1日にn=50サイクル:10日数サイクル数N(サイクル時間T=約30分)とすれば、10日あたりの寄与率X〜1.0%/日、N=n/500である。
(2)式を、XとNを使って書き直すと、
E
sec/E
int=η x(1+X)
N………………………………………(3)
10日サイクル数をNとすれば、
下記(3)式に従って、10日あたりのポテンシャルエネルギーの寄与率Xとサイクル数Nとの関係で、二次(火力発電)電気エネルギー量は、
E
sec(N)=η x E
int=(1+X)
N……………………………(4)
内部供給(電気分解)電気エネルギーE
int(N+1)は(5)式である。
E
int(N+1)=E
prim/2+E
sec(N)/2…………………(5)
(III)N(10日サイクル数))時点の二次電気エネルギー量E
sec(N)をサイクル(循環)数N>10では複利計算で算定する。 ここで、η=0.4、X=0.1とする。
E
sec(N)=η x E
int(1+X)
N>2を満たすNが、前記二次電気エネルギー量E
sec(N)が前記一次電気エネルギー量E
prim分を当初は外部供給しないで前記電気分解ブロック01のみに利用した分をある程度賄えるのに必要な日数(10日サイクルN)である。
その日数は、約190日(N=19)である。
以上は、排水(淡水流)0027、0028の流速vは一定で算出した場合である。
実際には、サイクル(循環)毎に、流速も増加するので上記よりも短い日数で一次電気エネルギー量E
prim以上に到達する可能性もある。
【0035】
上記のように、10日あたりのポテンシャルエネルギーの寄与率Xと10日サイクル数Nを使えば、(電気)エネルギー量0294を(3)、(4)式に従って算出できる。
【0036】
(2)、(3)式に示すように、二次(電気)エネルギー量E
sec(N)は、指数関数的に単調に増加する。二次(火力発電)電気エネルギー量E
sec(N)の変化量が適当な量に達した時点(日数)で、
二次(電気)エネルギー量E
sec(N)の一部を外部供給用(電気)エネルギー量E
out0293として利用できる。即ち、
図1において、外部供給電気エネルギー0293のエネルギー量は、
E
out=E
prim2=E
sec−E
prim>0…………………………(6)
前記(6)式が成立する条件にN(10日あたりの日数)が到達すれば、そのE
outを外部に供給できる。そのN(10日あたりの日数)は、10.8であり、108日である。
【実施例3】
【0039】
〔実施例3〕は、一次電気エネルギー量:Eiを本発明による圧縮水素ガスからなるエネルギー貯蔵体に当該電気エネルギーを貯蔵したり取り出して利用する、電気エネルギー貯蔵システムに関る。
【0040】
本発明では、深水から水面までの細長いパイプの中に圧縮水素ガスをエネルギー貯蔵する。
即ち、前記深水から水面まで細長いパイプが貯蔵容器となる。本発明では、深水を電気分解する手段で上記一次電気エネルギーを前記、貯蔵体に貯蔵するシステムである。以下、
図5、
図2、
図3、
図4、を用いて説明する。
図2は、本発明の二次(水力)エネルギーブロックと電気分解ブロックに関る摸式的鳥瞰図である。
図3は、本発明の電気分解ブロックの構成図である。
図4は、本発明の二次(火力発電)ブロックの構成図である。
図5は、本発明の電気エネルギー貯蔵システムの全体システム構成図である。
【0041】
図5において、12は、水(淡水)の供給通路である。
図5において、13、14、15は、それぞれ、深水、水面、深水の深さである。
16、17は、それぞれ、一次(電気)エネルギーブロック、二次(火力発電)エネルギーブロックである。18は、海もしくは淡水湖、貯水池である。
105、106は、それぞれ、圧縮水素ガス、圧縮酸素ガスである。
127は、排水である。
1027は水を補給する補給体である。
1028、1029は、それぞれ、補給水である。
1051、1054は、それぞれ、開閉弁である。
1052、1053、1055は、それぞれ、逆止弁である。
1291、1292は、それぞれ、外部供給一次電気エネルギー、外部供給二次電気エネルギーである。
1293,1294、1299は、それぞれ、外部供給ネット電気エネルギー、内部供給一次電気エネルギー、電力加算スイッチである。
〔実施例3〕では16には太陽電池による電気エネルギーを用いており、その電気エネルギーの一部(余剰)を前記エネルギー貯蔵体105に貯蔵する。
図4、5において電解水014は、電気分解を起動させる前に外部から供給される電気エネルギー(図示せず)から得られる動力で、
図3に示すように電気分解ブロック11の内部の電解水014を攪拌する(又は流れ(水流)を作る)。本システムでは、電解水014が電気分解ブロック11から流出しない特徴がある。
【0042】
〔実施例3〕においては、圧縮水素ガス105のみを、電気エネルギーとして貯蔵する手段である。圧縮酸素ガス106は、18へ排出する。圧縮水素ガス105の燃焼には、大気圧雰囲気にある空気中の酸素を利用する(図示せず)。12は補給体1027から供給され水(淡水)の通路である。
1051、1052、1055は、それぞれ、11の電解水014を11から外部に流出させない目的の逆止弁である。
1051、1054は、開閉弁である。
【0043】
次に、
図2の内容を説明する。なお、これらの図において
図1の説明で符号の説明済みの同じ符号の説明は省略する。
図2において、021、022、023は、それぞれ水車、水車の羽根板、(水)発電機である。
024は、前記羽根板022を回転させる水流である。
(実施形態1)では、〔0025〕に記載した通りに、(水)発電機023は利用せずに、水車021で発生する動力は、直接電解槽01中のアルカリ電解水014を攪拌・流れの動力に利用する。
図2において、電解槽01でアルカリ電解水014を電気分解して圧縮水素ガス005と圧縮酸素ガス006を生成する。それらの圧縮ガスは比重が1よりも小さいので浮力によって水面04まで浮上する。
【0044】
次に、
図3の内容を説明する。
図3において、同図の左半分には電解槽の鳥瞰図、右半分には電解槽の水平方向をX1断面、垂直方向をY1,Y2断面で切断した断面図である。
同図において、051、052はそれぞれ電解槽の電極、電解槽自体の高さ(厚み)寸法である。
電解槽電極高さ(厚み)051、電解槽高さ(厚み)052は、それぞれ0.6m、1.0mである。電極材料は、陽極012・陰極011とも同じで、厚さ1mmの厚さのチタン板を1μmの厚さの白金メッキした材料である。電気端子07,08も銅板をベースに1μmの厚さの白金メッキした材料である。
同図において、011、012、013は、それぞれ電解槽の陰極電極(圧縮水素ガス発生用)、陽極電極(圧縮酸素ガス発生用)、電極間隙である。
同図において、0111、0121は、それぞれ電解槽の電極端子と電気分解に必要な電気を供給するケーブルである。0111と0121とは、028として一対の電力供給用ケーブルを示す。
同図において、081、082、083、084はそれぞれ電解槽から発生した圧縮水素ガス並びに圧縮酸素ガスを水面まで浮上させる同心円状ガスパイプの最外径と最内径である。
圧縮水素ガスパイプ最外径080は10m、圧縮水素ガスパイプ最内径081は8m、圧縮酸素ガスパイプ最外径は3.5m、圧縮酸素ガスパイプ最内径は2.7m、である。
029、016はそれぞれ帰路の淡水用パイプ、淡水用パイプが同心円状に回転する状態を示す。
淡水用パイプの最外径は2.5mである。
【0045】
図4において、030,031、032は、それぞれガスタービン、汽力タービン、火力発電機である。これらは、回転軸(同心円軸)047で結合されてコンバインド・サイクルを構成する。
040,041、042は、それぞれガスタービン羽根板、汽力ガスタービン羽根板、コンバインド火力発電機のローターである。
0051、0052の開閉弁は開いている(オープン)状態であるので圧縮ガス005,006は火力発電ブロック07に送りこまれる。
低温ヘリウムガス043は、圧縮酸素ガス006と一緒にガスタービン030に送りこまれて希釈ガスとして作用する。ガスタービンの排出物は、高温ヘリウムガス040と高温水蒸気044である。これらのガス(気体)が汽力タービン031に送りこまれる。汽力タービン031の温度(約1200℃)から温度(約400℃)の熱落差と高圧(約10気圧)から常圧(1気圧)の過程で汽力エネルギーが発生する。
ガスタービン030と汽力タービン031との熱エネルギーの一部は動力となり、火力発電機のローター042を回転させて、効率が高い火力発電エネルギーを得る。
それらの圧縮ガス005,006はそれぞれ、005は燃料、006は燃焼剤となって火力発電ブロック07の中で燃焼する。燃焼においては不活性ガス(ヘリウムガス043、045)で酸素ガスは希釈されて使用される。この結果、爆発的燃焼は防止される。
燃焼後の排出物は、水蒸気もしくは高温の淡水である。それらは、例えば海水で冷却されて時間とともに温度が低下した淡水の流れの状態でパイプ0027を通じて下降する。その水量は電気分解装置01で電気分解された淡水量に等しい。
【0046】
貯蔵する一次電気エネルギー量:E
prim=10
6kWhであり、一日あたり10時間(Hour)電力:P
prim=10
5KWを水深D=100mまでのパイプに貯蔵する。貯蔵された一次電気エネルギー量:E
primの約50%に相当する二次電気エネルギー量:E
secが、
図5に示す二次(火力発電)ブロックか17から外部供給用電気エネルギー1292として取り出すことが出来る。
水深DはD=100mであり、(実施形態1)の水深D(D=400m)と異なる。
圧縮水素ガス105のパイプ仕様は(実施形態1)と同じである。即ち、ガスパイプの外径、内径の大きさは(実施形態1)に等しい。圧縮酸素ガス106のパイプには、圧縮酸素ガスと淡水が混在しても良い。
電気分解電極高さ(厚さ)051、電解槽高さ(厚さ)052も(実施形態1)に等しい。
帰路の水(淡水)パイプ12の仕様も(実施形態1)の0027に等しい。
【0047】
11と12とは、少なくともそれらの一部分は深水13の領域にあって、18に浮かんでいる構造体である。これらの構造体の周囲は18で囲まれており、18との分離構造(収容体)は金属、プラスチック、などである。それらの体積は、収容物である水、圧縮水素ガス、圧縮酸素ガスの重さよりも充分に小さく、水面から同じ深さに位置しており、夫々の分離構造(収容体)を含めた比重は8よりも僅かに小さくほぼ同じポテンシャル(水圧)である。
それらの位置の固定・調節には周知技術である、碇・錘・浮きが用いられる(図示せず)。
図5に示すように11において使用される電解水014は、逆止弁1052、1053、1055で11の外部には流出しない。これによって、(1)アルカリ元素による汚染を防止する、(2)アルカリ元素の使用量を大幅に削減する。
【0048】
図5で、圧縮水素ガス105のパイプの内部は、淡水で充填した状態で逆止弁105と開閉弁1051を閉じる。淡水0028の逆止弁1055も閉じる。電気分解ブロック11で貯蔵する一次電気エネルギー量:E
prim=10
6KWHに相当する一次電気エネルギー(太陽光発電)を圧縮水素ガス105のパイプ内部に貯蔵する。
【0049】
後述すように、太陽電池のような一次(電気)エネルギーブロック16からの一次(電気)エネルギー1294の供給がとまっても、二次(火力発電)エネルギーブロック17からの二次(電気)エネルギー1294によって、最低限電気分解ブロック11の電気分解装置が稼働できる状態は維持する。そのように、開閉弁1051を調節する。
【0050】
即ち、開閉弁1051を開いて(オープン)にして、圧縮水素ガス105を二次(火力発電)エネルギーブロック17へ供給すると同時に淡水1025を補給して電気分解ブロック11へ供給する。
17(=07:
図4))で圧縮水素ガス105(=005:
図4)を燃料、空気中の酸素(図示せず)を燃焼剤として燃焼させてタービン(07:
図4)を回転させる。その動力の一部を二次電気エネルギーとして取り出す。二次電気エネルギー量:E
secは所定の時間貯蔵された一次電気エネルギーの約50%程度である。
【0051】
なお、本発明において、本システムを起動させる前に外部から圧縮水素ガス(図示せず)を
図5に示す圧縮水素ガス105用パイプに予め充填・貯蔵しておいても良い。
その圧縮水素ガスの一部もしくは全部を取り出して二次(火力発電)エネルギーブロック17で燃焼させて使用時の二次電気エネルギーを得ても良い。その場合には、使用した量の圧縮水素ガス105を一次(火力発電)エネルギーブロック16からの一次(電気)エネルギーを補給する。
【0052】
〔実施例3〕の応用例の変形を説明する。
前記したように(周知のように)、一次電気エネルギーに〔実施例3〕での一次電気エネルギー16に用いた太陽光発電に限らず風力発電においても、それらが、天候条件や朝夜によって電気エネルギー16が変動する。その一方で、需要電力も天候条件や朝夜によって変動する。
それ故、一次電気エネルギー貯蔵システムとしては、これら電気エネルギーの生産変動と需要変動を極力整合できることが非常に重要である。本実施例では、昼間の需要変動(午後2時頃がピーク)に合わせて、前記貯蔵体105の開閉弁1051を調節する手段で生産量(貯蔵体105からの水素ガス放出量)を需要変動に合わせることが出来る。
【0053】
特に、〔特許文献3〕に示したように、深水を電気分解して、生成される圧縮水素ガスを貯蔵体とするシステムでは電気分解ブロック11自体に電気エネルギーを供給する必要がある。ところが、一次電気エネルギー16が太陽光発電の場合には、夜間には一次電気エネルギー16がゼロとなって発電しない懸念がある。
【0054】
本発明では、この課題を解決するために、エネルギー貯蔵体105に貯蔵された後二次(火力発電)エネルギーブロック17で発電される二次電気エネルギー1292を、その量が平坦量の部分と前記需要電気エネルギーの増加に極力対応する変動部分とからなるように、開閉弁1051を調節する。前記平坦量の二次電気エネルギー(図示せず)は、
図1に示す電気分解用一次電気エネルギーとして電気分解装置にも利用される(図示せず)。その電気エネルギーは、
図2の電気分解ブロック01(
図5の電気分解ブロック11)における電解水014に流れを形成したり、円形電極011、012のいずれかを回転させたりする動力としても利用される。