(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-55319(P2020-55319A)
(43)【公開日】2020年4月9日
(54)【発明の名称】射出延伸ブロー成形機の射出成形型とプリフォームの成形方法、及び容器の成形方法
(51)【国際特許分類】
B29C 45/26 20060101AFI20200313BHJP
B29C 49/06 20060101ALI20200313BHJP
B29C 49/42 20060101ALI20200313BHJP
B29C 45/37 20060101ALI20200313BHJP
B29C 45/17 20060101ALI20200313BHJP
【FI】
B29C45/26
B29C49/06
B29C49/42
B29C45/37
B29C45/17
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2020-3370(P2020-3370)
(22)【出願日】2020年1月14日
(62)【分割の表示】特願2016-105539(P2016-105539)の分割
【原出願日】2016年5月26日
(31)【優先権主張番号】特願2015-242217(P2015-242217)
(32)【優先日】2015年12月11日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390007179
【氏名又は名称】株式会社青木固研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100062225
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 輝雄
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100145458
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 正哉
(72)【発明者】
【氏名】青木 茂人
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
4F208
【Fターム(参考)】
4F202AG07
4F202AG23
4F202AG25
4F202AH55
4F202CA11
4F202CB01
4F202CK12
4F202CK81
4F206AG07
4F206AG23
4F206AG25
4F206AH55
4F206JA06
4F206JQ81
4F208AG07
4F208AG23
4F208AG25
4F208AH55
4F208AR06
4F208AR07
4F208LA01
4F208LA07
4F208LA08
4F208LB01
4F208LD03
4F208LD12
4F208LD16
4F208LG03
4F208LG16
4F208LG28
4F208LG30
4F208LH03
4F208LH09
4F208LN23
(57)【要約】
【課題】射出延伸ブロー成形機の射出成形部での型開き時のコア型の引き上げに際し、プリフォーム口部とプリフォーム胴部との肉厚が変わる箇所に応力が集中しないように分散させて、プリフォーム口部とプリフォーム胴部との肉厚が変わる箇所で形成されるスキン層にて、プリフォーム胴部の連れ上がりを抑止して、射出延伸ブロー成形機の生産性を向上させる。
【解決手段】表層のスキン層34が中層35より低温度とされてプリフォーム胴部32とプリフォーム底部33とがプリフォーム内方からプリフォーム外方に向けて膨出変形可能とされているプリフォーム30において、プリフォーム胴部32の内面からプリフォーム口部31の内面に亘るスキン層34を、プリフォーム胴部32の内面のスキン層34の上方への延長線38に対して外方に向けて傾斜して上開きのテーパー状として、コア型引き上げ時のプリフォーム胴部32からの応力をスキン層34からなる応力分散面部39で分散するようにした。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリフォーム口部の外周面成形用兼プリフォーム搬送用のリップ型を下面に有する回転板が一定回転角度の回転ごとに停止して昇降する回転板部の下方に、前記回転板の回転中心軸回りにして射出成形部と延伸ブロー成形部と取り出し部とが設けられ、回転板が降下するごとに前記リップ型が射出成形部と延伸ブロー成形部と取り出し部とに対応する射出延伸ブロー成形機であって、
前記射出成形部には、キャビティ型とこのキャビティ型内に入り込み可能に昇降するコア型とが配置されていて、この射出成形部に対応位置した前記リップ型と前記キャビティ型とリップ型を通してキャビティ型に入り込んだコア型とで射出成形型が形成可能に設けられている射出延伸ブロー成形機での前記射出成形型において、
射出成形型は、リップ型とキャビティ型とコア型とで囲まれるプリフォーム形成空間を有し、
前記プリフォーム形成空間は、プリフォーム口部形成部と、前記プリフォーム口部形成部に連続し、間隙幅が前記プリフォーム口部形成部の間隙幅より幅広とされて一様とされているプリフォーム胴部形成部と、前記プリフォーム胴部形成部に連続し、下端がゲート側となるプリフォーム底部形成部とからなり、
前記コア型は、前記プリフォーム口部形成部に対応するプリフォーム口部内面形成部と、前記プリフォーム胴部形成部に対応するプリフォーム胴部内面形成部と、前記プリフォーム底部形成部に対応するプリフォーム底部内面形成部とを備えているとともに、前記プリフォーム胴部内面形成部から前記プリフォーム口部内面形成部に亘ってコア型径を漸次拡径した拡径部を備えていて、
前記拡径部におけるコア型外周面は、前記プリフォーム胴部内面形成部におけるコア型外周面に沿う上方側への延長線の位置より外方に向けて傾斜したテーパー状とされて、
この拡径部におけるコア型外周面が、プリフォーム胴部内面形成部からプリフォーム口部内面形成部におけるリップ型に相対する部分に連続していることを特徴とする射出延伸ブロー成形機の射出成形型。
【請求項2】
上記拡径部におけるコア型外周面は、該拡径部におけるコア型外周面に沿う上方側への延長線が上記プリフォーム口部形成部の上端位置を交差するようにして傾斜しているものである請求項1に記載の射出延伸ブロー成形機の射出成形型。
【請求項3】
上記拡径部は、上記プリフォーム胴部内面形成部における上記キャビティ型に相対する部分から上記キャビティ型と上記リップ型とのパーティングラインの高さ位置を経て上記プリフォーム口部内面形成部における上記リップ型に相対する部分に亘って設けられている請求項1または2に記載の射出延伸ブロー成形機の射出成形型。
【請求項4】
上記プリフォーム胴部形成部と上記プリフォーム底部形成部との間には、下方に向けて縮径する筒状部が設けられていて、
前記筒状部は、該筒状部の上下方向下方側への接線が前記プリフォーム胴部形成部の下方側への延長線に対して上記プリフォーム形成空間の中心線に向けて傾斜するテーパー状とされている請求項1から3の何れか一項に記載の射出延伸ブロー成形機の射出成形型。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一項の射出延伸ブロー成形機の射出成形型に樹脂を射出し、射出成形型との接触による冷却によって上記プリフォーム形成空間に充填された樹脂の表層にこの充填された樹脂の中層より低温度となるスキン層を形成した状態のプリフォームを成形して型開きし、上記リップ型が、前記スキン層が中層より低温度とされた状態のプリフォームを保持して、上記射出成形部から上記延伸ブロー成形部に向けて搬送するプリフォームの成形方法であって、
充填された樹脂の上記コア型の拡径部との対応部分に、前記拡径部と接触して中層より低温度とされたスキン層が上方に向けてテーパー状に拡径してなる応力分散面部を形成することを特徴とするプリフォームの成形方法。
【請求項6】
上記応力分散面部を、上記プリフォーム形成空間のコア型側におけるプリフォーム胴部形成部からコア型側におけるプリフォーム口部形成部までに亘って連続して形成する請求項5に記載のプリフォームの成形方法。
【請求項7】
上記応力分散面部は、型開きで上昇するコア型に伴ってプリフォーム胴部形成部に充填された樹脂が上方移動するのを抑止する請求項5または6に記載のプリフォームの成形方法。
【請求項8】
プリフォーム口部とこのプリフォーム口部に連続してプリフォーム口部より厚肉とされたプリフォーム胴部とこのプリフォーム胴部に連続するプリフォーム底部とからなる有底のプリフォームであって、表層のスキン層が中層より低温度とされてプリフォーム胴部とプリフォーム底部とがプリフォーム内方からプリフォーム外方に向けて膨出変形可能とされているプリフォームにおいて、
前記プリフォーム胴部の内面からプリフォーム口部の内面に亘るスキン層は、プリフォーム胴部の内面のスキン層の上方への延長線に対して外方に向けて傾斜して上開きのテーパー状とされていることを特徴とするプリフォーム。
【請求項9】
プリフォーム口部の外周面成形用兼プリフォーム搬送用のリップ型を下面に有する回転板が一定回転角度ごとに停止して昇降する回転板部の下方に、前記回転板の回転中心軸回りにして射出成形部と延伸ブロー成形部と取り出し部とが設けられ、回転板の降下ごとに前記リップ型が射出成形部と延伸ブロー成形部と取り出し部とに対応する射出延伸ブロー成形機であって、
前記射出成形部には、キャビティ型とこのキャビティ型内に入り込み可能に昇降するコア型とが配置されていて、この射出成形部に対応位置した前記リップ型と前記キャビティ型とリップ型を通してキャビティ型に入り込んだコア型とで射出成形型が形成可能に設けられ、
前記延伸ブロー成形部には、ブロー型とこのブロー型内に入り込んで伸長する延伸ロッドと前記ブロー型内にブローエアの送り込みをするブローエア供給手段とが配置されていて、この延伸ブロー成形部に対応位置したリップ型と前記ブロー型と前記リップ型を通してブロー型に入る前記延伸ロッドと前記ブローエア供給手段とでブロー成形型が形成可能に設けられ、
前記取り出し部には、この取り出し部に対応位置した前記リップ型の下方にして成形品受け口が形成されている射出延伸ブロー成形機により容器を成形するにあたり、
前記射出成形型は、リップ型とキャビティ型とコア型とで囲まれるプリフォーム形成空間を有し、
前記プリフォーム形成空間は、プリフォーム口部形成部と、前記プリフォーム口部形成部に連続し、間隙幅が前記プリフォーム口部形成部の間隙幅より幅広とされて一様とされているプリフォーム胴部形成部と、前記プリフォーム胴部形成部に連続し、下端がゲート側となるプリフォーム底部形成部とからなり、
前記コア型は、前記プリフォーム口部形成部に対応するプリフォーム口部内面形成部と、前記プリフォーム胴部形成部に対応するプリフォーム胴部内面形成部と、前記プリフォーム底部形成部に対応するプリフォーム底部内面形成部とを備えているとともに、前記プリフォーム胴部内面形成部から前記プリフォーム口部内面形成部に亘ってコア型径を漸次拡径した拡径部を備えていて、
前記拡径部におけるコア型外周面は、前記プリフォーム胴部内面形成部におけるコア型外周面に沿う上方側への延長線の位置より外方に向けて傾斜したテーパー状とされ、
この拡径部におけるコア型外周面が、プリフォーム胴部内面形成部からプリフォーム口部内面形成部におけるリップ型に相対する部分に連続しており、
前記射出成形型に樹脂を射出し、射出成形型との接触による冷却によって前記プリフォーム形成空間に充填された樹脂の表層にこの充填された樹脂の中層より低温度となるスキン層を形成した状態のプリフォームを成形して型開きし、前記リップ型が、前記スキン層が中層より低温度とされた状態のプリフォームを保持して、前記射出成形部から前記延伸ブロー成形部に向けて搬送し、
前記リップ型で保持されて延伸ブロー成形部に搬送されたプリフォームを、前記ブロー成形型にて容器として成形し、
成形された前記容器を前記リップ型が保持して、延伸ブロー成形部から取り出し部に向けて搬送し、
前記リップ型で保持されて取り出し部に搬送された容器が前記成形品受け口に対応したときに、リップ型が容器に対する保持状態を解くことを特徴とする容器の成形方法。
【請求項10】
コア型の上記拡径部におけるコア型外周面は、該拡径部におけるコア型外周面に沿う上方側への延長線が上記プリフォーム口部形成部の上端位置を交差するようにして傾斜しているものである請求項9に記載の容器の形成方法。
【請求項11】
コア型の上記拡径部は、上記プリフォーム胴部内面形成部における上記キャビティ型に相対する部分から上記キャビティ型と上記リップ型とのパーティングラインの高さ位置を経て上記プリフォーム口部内面形成部における上記リップ型に相対する部分に亘って設けられている請求項9または10に記載の容器の成形方法。
【請求項12】
射出成形型の上記プリフォーム胴部形成部と上記プリフォーム底部形成部との間には、下方に向けて縮径する筒状部が設けられていて、
前記筒状部は、該筒状部の上下方向下方側への接線が前記プリフォーム胴部形成部の下方側への延長線に対して上記プリフォーム形成空間の中心線に向けて傾斜するテーパー状とされている請求項9から11の何れか一項に記載の容器の成形方法。
【請求項13】
請求項9から12の何れか一項に記載の容器の成形方法からなる容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出延伸ブロー成形機の射出成形型とプリフォームの成形方法とプリフォーム、及び容器の成形方法と容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から容器の成形においては、射出装置が接続されて溶融樹脂が送り込まれる射出成形部と、射出成形部で成形されたプリフォームを容器に成形する延伸ブロー成形部と、前記延伸ブロー成形部にて成形された容器を機器外に搬出する取り出し部との三つのステーションを備える射出延伸ブロー成形機が用いられている。
【0003】
さらに射出延伸ブロー成形機には三つのステーションを同一の円周上の位置であって等角度ごとにして配置し、三つのステーションの上に、成形されたプリフォームおよび容器を旋回移動させる形で搬送する回転板を備えてなる回転板部を配した構成の成形機がある。
【0004】
射出延伸ブロー成形機の上記回転板は、プリフォーム口部の外周面を形成し、また成形されたプリフォームの口部を咥える形でプリフォームの搬送と成形された容器の搬送をするプリフォーム口部の外周面形成用兼プリフォーム搬送用のリップ型を下面に有しているものである。
【0005】
そして、この回転板の回転中心軸回りに上述したように射出成形部、延伸ブロー成形部、取り出し部が回転中心軸回りで等角度(120度)ごとにして設けられ、回転板が一定回転角度(120度)の回転ごとに停止して回転板部が降下するようにしている。回転板部が降下するごとに、回転板の下面のリップ型は、射出成形部、延伸ブロー成形部、取り出し部に対応し、射出形成部ではリップ型が降下することで射出成形型が形成され、また、延伸ブロー成形部でリップ型が降下することで延伸ブロー成形型が形成されるようにしている。
【0006】
射出成形部での射出成形型は、例えば特許文献1に示されているように降下したリップ型と、射出成形部において固定のキャビティ型と、射出成形部において昇降可能とされたコア型とが組み合わされてなるものである。そして、射出成形部に固定のキャビティ型に上記回転板部の降下によってリップ型が重なり、また、射出成形部に昇降可能に設けられているコア型がリップ型を通してキャビティ型の内側に入り込むようになり、型締めして前記リップ型とキャビティ型とコア型とで囲まれたプリフォーム形成空間が形成される。
【0007】
上記プリフォーム形成空間に射出装置から射出された樹脂が送り込まれて充填されることでプリフォームが成形される。そして樹脂の射出から数秒程度後に、コア型が上昇するとともにリップ型が上昇(回転板部の上昇)して型開き(離型)され、成形されたプリフォームはリップ型とともに射出成形部の上方に移動する。
【0008】
リップ型は射出成形型の一部としてプリフォーム口部の外周面の形状を形成するとともに、成形されたプリフォームを保持して搬送し、またつぎの成形段階の延伸ブロー成形部で成形された容器を保持して取り出し部へと搬送する役割を兼ねているものである。リップ型が上記三つのステーションに対応位置するように回転板部の回転板が一定回転角で回転して停止し回転板部が昇降することで、リップ型にて射出成形部から搬送されたプリフォームは延伸ブロー成形部に送り込まれて延伸ブロー成形されて容器が形成され、また延伸ブロー成形部で延伸ブロー成形された容器はその容器の口部を保持するリップ型で取り出し部へと搬送され、取り出し部にてリップ型の容器口部に対する保持を解除することで、成形された容器が機器外へと送り出されるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−188779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記射出延伸ブロー成形機の射出成形部で構成されていた従来の射出成形型では、プリフォーム形成空間がプリフォーム口部形成部と、このプリフォーム口部成形部に連続し、間隙幅をプリフォーム口部形成部の間隙幅より幅広として一様の間隙幅とされたプリフォーム胴部形成部と、プリフォーム胴部形成部に連続し、下端が樹脂の送り込み口のゲート側とされたプリフォーム底部形成部とからなるものとしていた。
【0011】
プリフォームにおけるプリフォーム胴部やプリフォーム底部は延伸ブロー成形で広がるために樹脂量を多くする必要があって、プリフォーム形成空間での上記プリフォーム胴部形成部やプリフォーム底部形成部の間隙幅は、プリフォーム形成空間部での上記プリフォーム口部形成部の間隙幅より幅広とされている。一方、プリフォーム口部と容器口部とでは形状が変化しないため、プリフォーム形成空間でのプリフォーム口部形成部の間隙幅は、プリフォーム胴部形成部、プリフォーム底部形成部の間隙幅より幅狭となる。
【0012】
なお、プリフォーム口部形成部に、外方に向けて凸となるネジ形成部分やフランジ形成部分などが加わる場合があるが、その場合でもプリフォーム口部形成部自体には変わりはなくその間隙幅は幅狭である。
【0013】
上述のようにプリフォーム形成空間でのプリフォーム口部形成部の間隙幅に対して、プリフォーム口部形成部に続くプリフォーム胴部形成部の間隙幅が幅広であることから、従来ではプリフォーム胴部形成部において、そのプリフォーム口部形成部に近接する部分で間隙幅を狭くしている。具体的には、特許文献1に示されているようにコア型のプリフォーム胴部内面形成部におけるプリフォーム口部内面形成部の近傍位置をテーパー状に形成している。
【0014】
ところで、上記構造の射出成形型を備える射出延伸ブロー成形機で成形効率を高めようとする場合、射出成形部でのプリフォームの成形サイクルを縮める必要があり、型開きのタイミング、即ちコア型の引き上げタイミングを早めることが検討されている。
【0015】
射出成形型の上記プリフォーム形成空間に樹脂を充填して形成されたプリフォームにおいて、射出成形型(リップ型、キャビティ型、コア型)に接した表層は、射出成形型に接していない中層に比べて温度が下がって硬さが増したスキン層となっていて、コア型のプリフォーム口部内面形成部の上記テーパー状の部分に接する表層でもスキン層が形成されている。
【0016】
そして、従来のタイミングでコア型を引き上げる場合、コア型のプリフォーム胴部内面形成部に対応しているプリフォーム胴部が連れ上がりしかけて、コア型の上記テーパー状の部分に対応するプリフォームに応力が集中するが、その前記テーパー状の部分で形成されたスキン層で応力に抗して、プリフォーム胴部の連れ上がりを抑止するようにしている。
【0017】
しかしながら、タイミングを早めてコア型を引き上げるようにする場合、テーパー状の部分で形成されるスキン層が硬さ不足となり易く、この状態でコア型の引き上げを行なうとプリフォーム胴部の連れ上がりで伝わった応力によって、テーパー状の部分のスキン層が崩れてしまう。その結果、プリフォーム胴部が連れ上がりしてしまい、プリフォーム胴部がプリフォーム口部にぶつかってプリフォーム全体形状が崩れてしまい、そのプリフォームをつぎの延伸ブローの成形段階に用いることができなくなるという不具合が発生する。そのため、型開きのタイミングを早めることができず、成形効率を高めることができない状況であった。
【0018】
そこで本発明は上記事情に鑑み、射出延伸ブロー成形機の射出成形部で構成される射出成形型において、型開き時のコア型の引き上げに際し、プリフォーム口部とプリフォーム胴部との肉厚が変わる箇所に応力が集中しないように分散させて、その箇所で形成されるスキン層にて、プリフォーム胴部の連れ上がりを抑止できるようにすることを課題とし、射出延伸ブロー成形機の生産性を向上させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
(請求項1の発明)
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、プリフォーム口部の外周面成形用兼プリフォーム搬送用のリップ型を下面に有する回転板が一定回転角度の回転ごとに停止して昇降する回転板部の下方に、前記回転板の回転中心軸回りにして射出成形部と延伸ブロー成形部と取り出し部とが設けられ、回転板が降下するごとに前記リップ型が射出成形部と延伸ブロー成形部と取り出し部とに対応する射出延伸ブロー成形機であって、
前記射出成形部には、キャビティ型とこのキャビティ型内に入り込み可能に昇降するコア型とが配置されていて、この射出成形部に対応位置した前記リップ型と前記キャビティ型とリップ型を通してキャビティ型に入り込んだコア型とで射出成形型が形成可能に設けられている射出延伸ブロー成形機での前記射出成形型において、
射出成形型は、リップ型とキャビティ型とコア型とで囲まれるプリフォーム形成空間を有し、
前記プリフォーム形成空間は、プリフォーム口部形成部と、前記プリフォーム口部形成部に連続し、間隙幅が前記プリフォーム口部形成部の間隙幅より幅広とされて一様とされているプリフォーム胴部形成部と、前記プリフォーム胴部形成部に連続し、下端がゲート側となるプリフォーム底部形成部とからなり、
前記コア型は、前記プリフォーム口部形成部に対応するプリフォーム口部内面形成部と、前記プリフォーム胴部形成部に対応するプリフォーム胴部内面形成部と、前記プリフォーム底部形成部に対応するプリフォーム底部内面形成部とを備えているとともに、前記プリフォーム胴部内面形成部から前記プリフォーム口部内面形成部に亘ってコア型径を漸次拡径した拡径部を備えていて、
前記拡径部におけるコア型外周面は、前記プリフォーム胴部内面形成部におけるコア型外周面に沿う上方側への延長線の位置より外方に向けて傾斜したテーパー状とされて、
この拡径部におけるコア型外周面が、プリフォーム胴部内面形成部からプリフォーム口部内面形成部におけるリップ型に相対する部分に連続していることを特徴とする射出延伸ブロー成形機の射出成形型を提供して、上記課題を解消するものである。
【0020】
(請求項2の発明)
本発明において、上記拡径部におけるコア型外周面は、該拡径部におけるコア型外周面に沿う上方側への延長線が上記プリフォーム口部形成部の上端位置を交差するようにして傾斜しているものであることが良好である。
【0021】
(請求項3の発明)
また、本発明において、上記拡径部は、上記プリフォーム胴部内面形成部における上記キャビティ型に相対する部分から上記キャビティ型と上記リップ型とのパーティングラインの高さ位置を経て上記プリフォーム口部内面形成部における上記リップ型に相対する部分に亘って設けられていることが良好である。
【0022】
(請求項4の発明)
また、本発明において、上記プリフォーム胴部形成部と上記プリフォーム底部形成部との間には、下方に向けて縮径する筒状部が設けられていて、
前記筒状部は、該筒状部の上下方向下方側への接線が前記プリフォーム胴部形成部の下方側への延長線に対して上記プリフォーム形成空間の中心線に向けて傾斜するテーパー状とされていることが良好である。
【0023】
(請求項5の発明)
そして、一つの発明は、上記射出延伸ブロー成形機の射出成形型に樹脂を射出し、射出成形型との接触による冷却によって上記プリフォーム形成空間に充填された樹脂の表層にこの充填された樹脂の中層より低温度となるスキン層を形成した状態のプリフォームを成形して型開きし、上記リップ型が、前記スキン層が中層より低温度とされた状態のプリフォームを保持して、上記射出成形部から上記延伸ブロー成形部に向けて搬送するプリフォームの成形方法であって、
充填された樹脂の上記コア型の拡径部との対応部分に、前記拡径部と接触して中層より低温度とされたスキン層が上方に向けてテーパー状に拡径してなる応力分散面部を形成することを特徴とするプリフォームの成形方法であり、このプリフォームの成形方法を提供して上記課題を解消するものである。
【0024】
(請求項6の発明)
また、上記発明において、上記応力分散面部を、上記プリフォーム形成空間のコア型側におけるプリフォーム胴部形成部からコア型側におけるプリフォーム口部形成部までに亘って連続して形成することが良好である。
【0025】
(請求項7の発明)
また、上記発明において、上記応力分散面部は、型開きで上昇するコア型に伴ってプリフォーム胴部形成部に充填された樹脂が上方移動するのを抑止することが良好である。
【0026】
(請求項8の説明)
また、もう一つの発明は、プリフォーム口部とこのプリフォーム口部に連続してプリフォーム口部より厚肉とされたプリフォーム胴部とこのプリフォーム胴部に連続するプリフォーム底部とからなる有底のプリフォームであって、表層のスキン層が中層より低温度とされてプリフォーム胴部とプリフォーム底部とがプリフォーム内方からプリフォーム外方に向けて膨出変形可能とされているプリフォームにおいて、
前記プリフォーム胴部の内面からプリフォーム口部の内面に亘るスキン層は、プリフォーム胴部の内面のスキン層の上方への延長線に対して外方に向けて傾斜して上開きのテーパー状とされていることを特徴とするプリフォームであり、このプリフォームを提供して上記課題を解消するものである。
【0027】
(請求項9の発明)
また、もう一つ発明は、プリフォーム口部の外周面成形用兼プリフォーム搬送用のリップ型を下面に有する回転板が一定回転角度ごとに停止して昇降する回転板部の下方に、前記回転板の回転中心軸回りにして射出成形部と延伸ブロー成形部と取り出し部とが設けられ、回転板の降下ごとに前記リップ型が射出成形部と延伸ブロー成形部と取り出し部とに対応する射出延伸ブロー成形機であって、
前記射出成形部には、キャビティ型とこのキャビティ型内に入り込み可能に昇降するコア型とが配置されていて、この射出成形部に対応位置した前記リップ型と前記キャビティ型とリップ型を通してキャビティ型に入り込んだコア型とで射出成形型が形成可能に設けられ、
前記延伸ブロー成形部には、ブロー型とこのブロー型内に入り込んで伸長する延伸ロッドと前記ブロー型内にブローエアの送り込みをするブローエア供給手段とが配置されていて、この延伸ブロー成形部に対応位置したリップ型と前記ブロー型と前記リップ型を通してブロー型に入る前記延伸ロッドと前記ブローエア供給手段とでブロー成形型が形成可能に設けられ、
前記取り出し部には、この取り出し部に対応位置した前記リップ型の下方にして成形品受け口が形成されている射出延伸ブロー成形機により容器を成形するにあたり、
前記射出成形型は、リップ型とキャビティ型とコア型とで囲まれるプリフォーム形成空間を有し、
前記プリフォーム形成空間は、プリフォーム口部形成部と、前記プリフォーム口部形成部に連続し、間隙幅が前記プリフォーム口部形成部の間隙幅より幅広とされて一様とされているプリフォーム胴部形成部と、前記プリフォーム胴部形成部に連続し、下端がゲート側となるプリフォーム底部形成部とからなり、
前記コア型は、前記プリフォーム口部形成部に対応するプリフォーム口部内面形成部と、前記プリフォーム胴部形成部に対応するプリフォーム胴部内面形成部と、前記プリフォーム底部形成部に対応するプリフォーム底部内面形成部とを備えているとともに、前記プリフォーム胴部内面形成部から前記プリフォーム口部内面形成部に亘ってコア型径を漸次拡径した拡径部を備えていて、
前記拡径部におけるコア型外周面は、前記プリフォーム胴部内面形成部におけるコア型外周面に沿う上方側への延長線の位置より外方に向けて傾斜したテーパー状とされ、
この拡径部におけるコア型外周面が、プリフォーム胴部内面形成部からプリフォーム口部内面形成部におけるリップ型に相対する部分に連続しており、
前記射出成形型に樹脂を射出し、射出成形型との接触による冷却によって前記プリフォーム形成空間に充填された樹脂の表層にこの充填された樹脂の中層より低温度となるスキン層を形成した状態のプリフォームを成形して型開きし、前記リップ型が、前記スキン層が中層より低温度とされた状態のプリフォームを保持して、前記射出成形部から前記延伸ブロー成形部に向けて搬送し、
前記リップ型で保持されて延伸ブロー成形部に搬送されたプリフォームを、前記ブロー成形型にて容器として成形し、
成形された前記容器を前記リップ型が保持して、延伸ブロー成形部から取り出し部に向けて搬送し、
前記リップ型で保持されて取り出し部に搬送された容器が前記成形品受け口に対応したときに、リップ型が容器に対する保持状態を解くことを特徴とする容器の成形方法であり、この容器の成形方法を提供して上記課題を解消するものである。
【0028】
(請求項10の発明)
また、上記発明において、コア型の上記拡径部におけるコア型外周面は、該拡径部におけるコア型外周面に沿う上方側への延長線が上記プリフォーム口部形成部の上端位置を交差するようにして傾斜しているものであることが良好である。
【0029】
(請求項11の発明)
また、上記発明において、コア型の上記拡径部は、上記プリフォーム胴部内面形成部における上記キャビティ型に相対する部分から上記キャビティ型と上記リップ型とのパーティングラインの高さ位置を経て上記プリフォーム口部内面形成部における上記リップ型に相対する部分に亘って設けられていることが良好である。
【0030】
(請求項12の発明)
また、上記発明において、射出成形型の上記プリフォーム胴部形成部と上記プリフォーム底部形成部との間には、下方に向けて縮径する筒状部が設けられていて、
前記筒状部は、該筒状部の上下方向下方側への接線が前記プリフォーム胴部形成部の下方側への延長線に対して上記プリフォーム形成空間の中心線に向けて傾斜するテーパー状とされていることが良好である。
【0031】
(請求項13の発明)
そして、もう一つの発明は、上記容器の成形方法からなる容器であり、この容器を提供して上記課題を解消するものである。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、プリフォーム口部とこのプリフォーム口部に連続してプリフォーム口部より厚肉とされたプリフォーム胴部とこのプリフォーム胴部に連続するプリフォーム底部とからなる有底のプリフォームであって、表層のスキン層が中層より低温度とされているプリフォームにおいて、前記プリフォーム胴部の内面からプリフォーム口部の内面に亘るスキン層は、プリフォーム胴部の内面のスキン層の上方への延長線に対して外方に向けて傾斜して上開きのテーパー状とされている。
【0033】
これにより、射出延伸ブロー成形機における射出成形部でこのプリフォームを成形するに際し、プリフォーム口部とプリフォーム胴部との肉厚が変わる部分の内面側であって、プリフォーム口部領域内の内面の高さ位置からプリフォーム胴部領域内の内面の高さ位置に及ぶプリフォーム上下方向に広いスキン層が形成されており、コア型の引き上げでプリフォームの胴部が連れ上がりしかけても、そのプリフォーム胴部側からの応力がテーパー状の広い前記スキン層で分散されて局所に集中することが防止される。
【0034】
そのため、プリフォームの胴部が連れ上がりしかけても、プリフォーム口部領域内の内面の高さ位置からプリフォーム胴部領域内の内面の高さ位置に及ぶスキン層が、前記連れ上がりを防止する。よって、コア型の引き上げのタイミングを早めることができて、プリフォームの成形時間を短くしてつぎの延伸ブロー成形の段階にプリフォームを搬送できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明を実施する射出延伸ブロー成形機を示すもので、(ア)は射出成形部を正面に見た状態を示す説明図、(イ)は射出成形部を側方に見た状態を示す説明図、(ウ)は射出成形部と延伸ブロー成形部と取り出し部との配置を示す説明図である。
【
図2】本発明に係る射出成形部の動きを示すもので、(ア)はリップ型がキャビティ型に対応した状態を示す説明図、(イ)は型が閉じられた状態を示す説明図である。
【
図3】本発明に係る延伸ブロー成形部でのブロー型を示す説明図である。
【
図4】本発明に係る延伸ブロー型における延伸ブローを示す説明図である。
【
図5】本発明に係る射出成形型を概略的に示す説明図である。
【
図6】本発明に係る射出成形部において成形されるプリフォームの一例を示す説明図である。
【
図7】対比とする従来のプリフォーム形状を示す説明図である。
【
図8】本発明に係る射出成形型の変形の一例を示す説明図である。
【
図9】本発明の他の実施の例における射出成形型を概略的に示す説明図である。
【
図10】本発明の他の実施の例におけるプリフォーム形状を示す説明図である。
【
図11】試料の容器を示すもので、(a)は上方から見た状態を示す説明図、(b)は正面から見た状態を示す説明図、(c)は下方から見た状態を示す説明図、(d)は側方から見た状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(射出延伸ブロー成形機)
つぎの本発明を
図1から
図11に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。図中1は射出延伸ブロー成形機で、該射出延伸ブロー成形機1は、
図1に示すように下部基盤の上に射出成形部2と延伸ブロー成形部3と取り出し部4との三つのステーションを備えるとともに、これら三つのステーションの上方となる位置に上下方向に昇降可能にした回転板部5を備えている。
【0037】
上記射出成形部2と延伸ブロー成形部3と取り出し部4とは同一の円周上にしてその円周回りに等角度(120度)の間隔にして配置されている。また上記回転板部5は、プリフォーム口部の外周面形成用とプリフォーム搬送用として兼用されるリップ型6を下面に有する回転板7が、前記ステーションの配置の中心を通る位置を回転軸中心にして回転可能にして、かつ等回転角度(120度)の回転ごとに停止するように設けられており、その停止ごとに前記リップ型6が、射出成形部2と延伸ブロー成形部3と取り出し部4とに対応位置するようにしている。
【0038】
そして上述したように回転板7が一旦停止して回転板部5が降下すると、上記射出成形部2にあっては、
図2に示すようにこの射出成形部2の位置に固定されたキャビティ型8と、前記リップ型6と、この射出成形部2で昇降可能とされてリップ型6を通ってキャビティ型8に入り込むコア型9とで、射出成形型10が形成される。
【0039】
また上記延伸ブロー成形部3にあっては、この延伸ブロー成形部3に配置された
図3に示す如くの対の割型であるプロー型11と前記リップ型6とで、延伸ブロー型12が形成される。そして、
図4に示すように延伸ブロー成形部3では延伸ロッド13がブロー型11に入り込んだ延伸動作とブローエア供給手段からのブローエア吹き込み14にて延伸ブロー成形が行なわれるようにしている。
【0040】
また上記取り出し部4にあっては、この取り出し部4に対応位置したリップ型6の下方となるようにして成形品受け口15が形成されており、リップ型6の成形品に対する保持を解除することで、成形品が機器外へと送り出されるようにしている。
【0041】
このように射出成形部2と延伸ブロー成形部3と取り出し部4と回転板部5とを備える射出延伸ブロー成形機1では、射出成形部2にリップ型6を配置して形成される射出成形型10に射出装置で射出された樹脂が送り込まれてプリフォームの成形が行なわれる。成形されたプリフォームは、型開き後の回転板部5の上昇と回転板7の回転よるリップ型6の上昇移動、旋回移動で延伸ブロー成形部3へと搬送される。この延伸ブロー成形部3においてプリフォームを延伸ブローして容器を成形する。さらにリップ型6の搬送によって前記成形された容器が延伸ブロー成形部3から取り出し部4に移され、この取り出し部4でリップ型6の容器に対する保持を解除して、成形品である容器が機器外へと送り出されるようにしている。
【0042】
(プリフォーム形成空間)
図5は、上記射出成形部2の射出成形型10を表していて、上述したようにリップ型6とキャビティ型8とコア型9とからなる。この射出成形型10は、最終成形形状が容器口部の径に対して容器胴部の径が大きいペットボトルタイプの容器とするプリフォームを成形するための金型である。そのため、リップ型6はネジ形成用凹部16とフランジ形成用凹部17とを備えている。
【0043】
図5に示されているように射出成形型10のリップ型6とキャビティ型8とコア型9とでプリフォーム形成空間18を囲んで形成している。プリフォーム形成空間18は、プリフォーム口部形成部19と、このプリフォーム口部形成部19に連続し、間隙幅が前記プリフォーム口部形成部19の間隙幅より幅広とされて一様とされているプリフォーム胴部形成部20と、このプリフォーム胴部形成部20に連続し、下端がゲート側として射出装置から溶融状態の樹脂がプリフォーム形成空間18に送り込みできるようにしているプリフォーム底部形成部21とからなる。
【0044】
(コア型)
そして上記プリフォーム形成空間18で成形されるプリフォームに対して上述した型開き(離型)の際の崩れが生じないようにするために、上記コア型6に工夫が施されている。コア型6は、プリフォーム口部内面形成部22とプリフォーム胴部内面形成部23とプリフォーム底部内面形成部24とからなる。
【0045】
上記プリフォーム口部内面形成部22は上記プリフォーム口部形成部19に対応する部分であり、プリフォーム胴部内面形成部23は上記プリフォーム胴部形成部20に対応する部分であり、プリフォーム底部内面形成部24は上記プリフォーム底部形成部21に対応する部分である。
【0046】
さらにコア型6にあってはプリフォーム胴部内面形成部23における拡径度合(コア型上方に向けてコア型径が漸次大きくなる度合)よりやや拡径度合を大きくなるようにコア型径を漸次拡径した拡径部25を備えていて、図示されているように前記拡径部25はプリフォーム胴部内面形成部23からプリフォーム口部内面形成部22に亘って設けられている。
【0047】
(拡径部)
拡径部25は、コア型径の拡径の度合を、上述したようにプリフォーム胴部内面形成部23におけるコア型上方に向けての拡径度合よりやや大きくしていることから、拡径部25におけるコア型外周面26は、プリフォーム胴部内面形成部23におけるコア型外周面27に沿う上方側への延長線28の位置より外方に向けて傾斜したテーパー状とされている。
【0048】
さらに上記コア型外周面26は、プリフォーム胴部内面形成部23からプリフォーム口部内面形成部22に亘って設けられているが、特に前記プリフォーム口部内面形成部22におけるリップ型6に相対する範囲に連続している。そして、このコア型外周面26に沿う上方側への延長線28が、プリフォーム形成空間18の上記プリフォーム口部形成部19における上端位置19aを交差するように形成されている。
【0049】
上述のようにコア型6の上記拡径部25のコア型外周面26を、プリフォーム胴部内面形成部23からプリフォーム口部内面形成部22におけるリップ型6に相対する部分に連続させるようにするために、この実施の形態においては、拡径部25を以下に述べる配置となるようにしている。
【0050】
即ち、拡径部25は、プリフォーム胴部内面形成部23におけるキャビティ型8に相対する部分から、このキャビティ型8とリップ型6とのパーティングラインの高さ位置29を経てプリフォーム口部内面形成部22におけるリップ型6に相対する部分に亘って設けられている。このようにして拡径部25を配置することで、この拡径部25のテーパー状とされたコア型外周面26はコア型の上下方向に広く形成されている。
【0051】
(プリフォームの成形)
上記射出延伸ブロー成形機1にあっては、射出成形部2で構成される上記射出成形型10に射出装置から樹脂を射出し、射出成形型10の上記プリフォーム形成空間18に送り込みすることで、充填された樹脂の中層の部分が高温度でありながらも、表層が回りの射出成形型との接触で低温度となって硬さの増したスキン層となるプリフォームが成形される。このプリフォームの成形は数秒程度で行なうように設けられていて、型開きしてつぎの延伸ブロー成形部3へとリップ型6にて搬送し、延伸ブローが行なえるプリフォームを得るようにしているものである。
【0052】
(プリフォーム)
図6は上記射出成形型10で成形されるプリフォーム30を示している。このプリフォーム30は、プリフォーム口部31と、このプリフォーム口部31に連続するプリフォーム胴部32と、このプリフォーム胴部32に連続するプリフォーム底部33とからなる有底のものである。そして表層のスキン層34が中層35より低温度とされていて、延伸ブロー成形部3での延伸ブローにより最終形状であるペットボトルタイプの形状が得られるようにプリフォーム胴部32とプリフォーム底部33とがプリフォーム内方からプリフォーム外方に向けて膨出変形可能とされている。
【0053】
なお、プリフォーム口部31の外周面には、上記リップ型6のネジ形成用凹部16とフランジ形成用凹部17とに応じてネジ部36とフランジ部37が一体に形成されている。
【0054】
上記プリフォーム30の内側のスキン層34には、上記コア型9の拡径部25に対応する部分が存在するものとなる。即ち、プリフォーム胴部32の内面からプリフォーム口部31の内面に亘る部分のスキン層34は、プリフォーム成形に際し、上記プリフォーム形成空間18におけるコア型9側のプリフォーム胴部形成部20からコア型9側のプリフォーム口部形成部19までに亘って連続して形成された部分であり、よって、この部分はコア型6の拡径部25のコア型外周面26に接して成形された部分となる。
【0055】
(応力分散面部)
そして、拡径部25のコア型外周面26に接して成形されたスキン層34は、プリフォーム胴部32の内面のスキン層34の上方への延長線38に対して外方に向けて傾斜してテーパー状に上開きした形状となっており、拡径部25のコア型外周面26に接して成形されたスキン層34を応力分散面部39としている。
【0056】
スキン層34からなる上記応力分散面部39は、型開きに際してのプリフォームの形状崩れを防止する役割を果たすもので、型開きで上昇するコア型6に伴って上記プリフォーム胴部形成部に充填された樹脂が上方移動するのを抑止する部分である。
【0057】
このように射出成形型10のプリフォーム形成空間18において、スキン層34が中層35より低温度となって中層35の流動性のある状態の樹脂より硬性が増している状態でプリフォーム30が成形されており、このプリフォーム30の内面での上記応力分散面部39は硬性が増した状態となっている部分であり、同様に応力分散面部39が連続するプリフォーム口部31の内側のスキン層34やプリフォーム胴部32の内側のスキン層34も硬性が増している状態となっている。
【0058】
射出延伸ブロー成形機1では上述したプリフォーム30が得られたときに型開きによるコア型6の引き上げが行なわれるようにしていて、コア型6のプリフォーム胴部内面形成部23が上昇するときにプリフォーム30のプリフォーム胴部32が連れ上がりしかけて、プリフォーム胴部32側からの押し上げの圧力が上記応力分散面部39に伝わるようになる。
【0059】
上述したようにこの拡径部25のコア型外周面26が、コア型の上下方向に広く形成され、コア型外周面26の延長線28がプリフォーム口部形成部19の上端位置19aを交差することから、上記応力分散面部39も、プリフォーム30の上下方向に広く形成されたものとなっており、応力分散面部39の傾斜も、応力分散面部39に沿った上方側への延長線40がプリフォーム口部31の上端面41の位置を交差するようになる傾斜となる。
【0060】
プリフォーム胴部32側からの上記押し上げの圧力に応力分散面部39に伝わると、この応力分散面部39に抗力としての応力が生じるが、広い応力分散面部39に分散して局所に集中することがない。さらに、応力分散面部39のプリフォーム胴部の連れ上がり方向(コア型の引き上げ方向)に対して非常に浅い傾斜であることから、応力をプリフォーム口部31の内面のスキン層34に適正に伝える。プリフォーム口部31自体は薄肉であることからプリフォーム口部31の厚さに対してスキン層34が形成されている割合が高く(プリフォーム口部の厚さ方向に対してスキン層が占める厚さが厚く)、その結果としてプリフォーム口部31全体の剛性が高まっていて応力分散面部39側からの圧力を確実に支持する。なお、
図6においてスキン層34にて圧力の向きを矢印にて示した。
【0061】
よって、コア型9が引き上げられる際には応力分散面部39が崩れることなしにプリフォーム胴部32の連れ上がりを確実に抑止し、プリフォーム30に形状崩れを生じさせることなく適正に型開きが行なえるものとなり、コア型の引き上げのタイミングを早めることができるという効果がある。
【0062】
射出延伸ブロー成形機1では上述のようにしてプリフォーム30を成形した後、延伸ブロー成形部3にて延伸ブロー成形し、この延伸ブロー成形にて得られたペットボトルタイプの容器を取り出し部4にて機器外へと送り出すようにして容器の成形が行なわれる。
【0063】
(対比)
図7は対比として従来のプリフォーム30を示している。なお、同一の部分を示す符号を同じにして説明を容易にしている。射出延伸ブロー成形機の射出成形部にて成形していたこの従来のプリフォーム30にあっては、プリフォーム口部31の肉厚とプリフォーム胴部32の肉厚との差を吸収するためにプリフォーム胴部32のプリフォーム口部31側の内面に段差部分42を有していた。
【0064】
そして、段差部分42の全体はキャビティ型8に対応する範囲内に形成されており、段差部分42の内周面の傾斜はその内周面に沿う上方への延長線がプリフォーム口部31の基端を交差する傾斜としていた。
【0065】
この従来の形状のプリフォーム成形において本発明でのプリフォームを得ることができるタイミングでコア型の引き上げを行なった場合、プリフォーム胴部の連れ上がりの圧力で段差部分42でのスキン層が崩れてしまい、その崩れがプリフォーム胴部の崩れをも生じさせてしまうことが確認された。
【0066】
また、対比とした従来のプリフォーム成形における樹脂送り込み(射出時)からコア型の引き上げ(型開き)までの時間と、上記本発明のプリフォーム成形における樹脂送り込み(射出時)からコア型の引き上げ(型開き)までの時間とを比べた場合、20%程度の時間を短くすることができる点も確認された。
【0067】
(樹脂送り込みに対する工夫の例)
図8は、本発明のプリフォームの成形に際し、射出成形型のプリフォーム形成空間に樹脂をより充填し易くなるようにプリフォーム形成空間の形状に工夫を施した例を示している。
【0068】
この変形の例では、プリフォーム形成空間18において、上記プリフォーム胴部形成部20と上記プリフォーム底部形成部21との間に、下方に向けて縮径する筒状部43を設けている。そして、前記筒状部43は、該筒状部43の上下方向下方側への接線44がプリフォーム胴部形成部20の下方側への延長線45に対してプリフォーム形成空間の中心線18aに向けて傾斜するようにテーパー状としている。
【0069】
このようにすることでゲート側から樹脂が送り込まれるときに、プリフォーム底部形成部21からプリフォーム胴部形成部20に向けて移動するときの抵抗が少なくなり、樹脂の充填がよりスムーズに進むこととなる。この点もコア型の引き上げのタイミングを早める上で良好な効果が得られる。
【0070】
(広口瓶タイプの成形の例)
上記実施の例では最終成形品が口部径に対して胴部径が大きいペットボトルタイプの成形品を得るプリフォームの成形について説明しているが、本発明は上述の例に限定されるものではない。
図9は広口瓶が最終成形品となるプリフォームの成形の例を示している。最終成形品の広口瓶自体は、口部に蓋体を被せ付けるタイプの広口瓶であり、プリフォーム口部成形部の外周面側には嵌合突起成形用凹部46を有している。なお、先に説明した例と同種の部位については同符号を付してその説明を省略する。
【0071】
この例にあっても上記実施の例と同様に上記射出延伸ブロー成形機1によるプリフォームの成形と延伸ブロー成形との段階を経て、最終成形品の機器外への送り出しが行なわれて広口瓶が得られる。そしてプリフォーム形成空間18を構成するリップ型6とキャビティ型8とコア型9の内、前記コア型9に拡径部25が設けられている。
【0072】
(拡径部)
拡径部25は、コア型径の拡径の度合を、プリフォーム胴部内面形成部23におけるコア型上方に向けての拡径度合よりやや大きくしている。そして拡径部25のコア型外周面26は、プリフォーム胴部内面形成部23におけるコア型外周面27に沿う上方側への延長線28の位置より外方に向けて傾斜したテーパー状とされている。
【0073】
上記コア型外周面26は、プリフォーム胴部内面形成部23からプリフォーム口部内面形成部22におけるリップ型6に相対する範囲に連続している。そして、コア型外周面26に沿う上方側への延長線28は、プリフォーム口部形成部19における上端位置19aを交差するようにしている。
【0074】
上記拡径部25のコア型外周面26を、プリフォーム胴部内面形成部23からプリフォーム口部内面形成部22におけるリップ型6に相対する部分に連続させるようにするために、この実施の例においても、拡径部25は、プリフォーム胴部内面形成部23のキャビティ型8に相対する部分から、キャビティ型8とリップ型6とのパーティングラインの高さ位置29を経てプリフォーム口部内面形成部22におけるリップ型6に相対する部分に亘って設けられている。この配置することで、この拡径部25のテーパー状とされたコア型外周面26はコア型の上下方向に広く形成されている。
【0075】
(プリフォーム)
図10は上記他の例での射出成形型10で成形されるプリフォーム30を示している。このプリフォーム30も、表層のスキン層34が中層35より低温度とされていて、延伸ブロー成形部3での延伸ブローにより最終形状である広口瓶の形状が得られるようにプリフォーム胴部32とプリフォーム底部33とがプリフォーム内方からプリフォーム外方に向けて膨出変形可能とされている。
【0076】
プリフォーム胴部32の内面からプリフォーム口部31の内面に亘る部分のスキン層34は、プリフォーム成形に際し、プリフォーム形成空間18におけるコア型9側のプリフォーム胴部形成部20からコア型9側のプリフォーム口部形成部19までに亘って連続して形成された部分であり、この部分がコア型6の拡径部25のコア型外周面26に接して成形された部分である。
【0077】
(応力分散面部)
拡径部25のコア型外周面26に接して成形されたスキン層34は、プリフォーム胴部32の内面のスキン層34の上方への延長線38に対して外方に向けて傾斜してテーパー状に上開きした形状であり、上記実施の例と同じようにコア型外周面26で成形されたスキン層34を応力分散面部39としている。
【0078】
プリフォーム形成空間18で成形されたプリフォーム30において、その内面での上記応力分散面部39は硬性が増した状態となっており、プリフォーム口部31の内側のスキン層34やプリフォーム胴部32の内側のスキン層34も硬性が増している状態となっている。
【0079】
型開きによるコア型6のプリフォーム胴部内面形成部23が上昇するときにプリフォーム30のプリフォーム胴部32が連れ上がりしかけて、プリフォーム胴部32側からの押し上げの圧力が上記応力分散面部39に伝わるようになる。
【0080】
上記拡径部25のコア型外周面26が、コア型の上下方向に広く形成され、コア型外周面26の延長線28がプリフォーム口部形成部19の上端位置19aを交差するので、応力分散面部39も、プリフォーム30の上下方向に広くなっており、応力分散面部39の傾斜も、応力分散面部39に沿った上方側への延長線40がプリフォーム口部31の上端面41の位置を交差するようになる傾斜である。
【0081】
プリフォーム胴部32側からの押し上げの圧力に応力分散面部39に伝わると、応力分散面部39に抗力としての応力が生じるが、広い応力分散面部39に分散して局所に集中することがない。さらに、応力分散面部39のプリフォーム胴部の連れ上がり方向に対して非常に浅い傾斜であり、応力をプリフォーム口部31の内面のスキン層34に適正に伝える。プリフォーム口部31自体は薄肉であることからプリフォーム口部31の厚さに対してスキン層34が形成されている割合が高く(プリフォーム口部の厚さ方向に対してスキン層が占める厚さが厚く)、上記実施の例と同様に応力分散面部39側からの圧力を確実に支持する。
図10においてスキン層34にて圧力の向きを矢印にて示す。
【0082】
この例においても、コア型9が引き上げられる際には応力分散面部39が崩れることなしにプリフォーム胴部32の連れ上がりを確実に抑止して、プリフォーム30に形状崩れを生じさせず、コア型の引き上げのタイミングを早めることができる。
【0083】
(成形品)
上述した各実施の例によりコア型の引き上げのタイミングを早めることができることから、この実施の例における構成の射出延伸ブロー成形機で容器成形のハイサイクル化(成形サイクルの短縮化)を行なうことができると考えられた。そこでこの上記構成の射出延伸ブロー成形機において、コア型の引き上げのタイミングを早めることが可能であり、従来の方法より射出冷却時間を短くすること(高温離型)が可能であることから、この射出冷却時間を短くして成形品を成形してその成形品の透明度を測定する試験を行なった。この試験の結果、以下に説明するように上記構成の射出延伸ブロー成形機にて射出冷却時間を短くして成形することにより、透明性を高めた成形品(厚肉PET容器)を成形できることが判った。
【0084】
従来の射出延伸ブロー成形機において、射出成形部(実施の例における上記射出成形部に相当)での射出冷却時間が長い場合や、延伸ブロー成形部(実施の例における上記延伸ブロー成形部に相当)で延伸が開始されるまでの延伸開始時間が長い場合には、成形品の透明度が低下することが知られていて、射出冷却時間が長い程、また延伸開始時間が長い程、プリフォームに結晶化した部分が増加する。
【0085】
またプリフォームに対して延伸開始時間を遅らせたブロー成形(ブロー成形型にプリフォームがセットされてからブローされるまでの時間が長くなった場合)は、高温のプリフォームのまま待機させる時間を長くするので、延伸ブロー成形部でのプリフォームに結晶化を進行させ、その延伸ブロー成形部におけるプリフォームの段階で白く変色することとなり、このプリフォームをブロー成形すると白く濁った成形品となる。
【0086】
一方、射出冷却時間を離型可能な限り短くすることで、実施の例における上記構成の射出延伸ブロー成形機の射出成形部にて結晶化が極めて少ない溶融状態のプリフォームを成形し、これを実施の例における上記構成の射出延伸ブロー成形機の延伸ブロー成形部にて直ぐにブロー成形を行なうことで、プリフォームは、容器を成形する上で設定された賦形部分が薄く延ばされ、これによって急激に冷却されて結晶化した部分が極めて少ない成形品ができることとなる。
【0087】
(成形品の透明度の測定)
測定に用いる成形品としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂を材料としてプリフォーム肉厚7.5mmを賦形させ、
図11に示す形状の容器Aを成形した。この容器Aの形状において、容器胴部は平面形状が長円状であって最長の幅広部分の幅は50mmであり、容器高さは95mmである。この容器の胴部等の賦形された部分の肉厚は1.6〜2.1mmである。そして得られた容器の胴部を透明度の測定個所とした。
【0088】
測定に用いる成形品(容器A)は、実施の例における上記構成の射出延伸ブロー成形機を用いて、射出成形部での射出時間、冷却時間、ブロー成形部での延伸開始時間を変更した10通りの成形条件の下で成形条件ごとに5体ずつ成形し、これらを透明度の測定する試料とした。(n=5)
【0089】
実施の例における上記構成の射出延伸ブロー成形機を用いた成形に際し、成形条件の大きな区分として表2に示すように射出時間と冷却時間との合計時間を、11.5秒、21.0秒、31.0秒、41.0秒とした4タイプがある。そして、表2に示されているように成形条件(3)、(4)について成形品に形状不良のなる事例も事前に認められたことから、成形条件(2)の下で、延伸開始時間を6通りに遅らせた成形条件も表3に示すように設定した。これにより上述したように10通りの成形条件の下で成形品(試料容器)を5体ずつ成形した。なお、表2、表3それぞれで、各成形条件での成形品の形状状態、透明性についても示されている。
【0093】
(試験)
透明度をHazeとして求めるものとし、Hazeの値を測定する試験方法は、以下の通りである。
・試験規格:JIS K7136(HAZE);2000に準ずる
・試験装置:ヘーズ・トランス試験機HM−150(株式会社村上色彩技術研究所製)
・光源:D65
・試験数(試料数):n=5
・照射面:外側より
・試験環境:23℃ 50%RH(RH:相対湿度relative humidity)
【0095】
従来の構成による射出延伸ブロー成形機にて上記成形品を成形しようとすると射出冷却時間(合計時間)が42秒となり、上記成形条件(4)が従来の構成による射出延伸ブロー成形機で成形品を成形する場合に相当することが事前に判った。
【0096】
試料のHazeの値は、小さいほど透明度が高いことを表す。従来の製法に相当する成形条件(4)との比較から、実施の例による上記構成の射出延伸ブロー成形機の成形において射出冷却時間を短くすると、即ち、コア型の引き上げのタイミングを早めて高温離型すると、成形品の透明度が向上することが上記表4から明らかである。
【0097】
そして表1に示されているように上記構成の射出延伸ブロー成形機の成形において射出冷却時間を短くできることが、成形のサイクルを短くして成形の効率を向上させる上で極めて有効であることが判った。
【符号の説明】
【0098】
1…射出延伸ブロー成形機
2…射出成形部
3…延伸ブロー成形部
4…取り出し部
5…回転板部
6…リップ型
7…回転板
8…キャビティ型
9…コア型
10…射出成形型
12…延伸ブロー型
18…プリフォーム形成空間
18a…プリフォーム形成空間の中心線
19…プリフォーム口部形成部
19a…プリフォーム口部形成部の上端位置
20…プリフォーム胴部形成部
21…プリフォーム底部形成部
22…コア型のプリフォーム口部内面形成部
23…コア型のプリフォーム胴部内面形成部
24…コア型のプリフォーム底部内面形成部
25…拡径部
26…拡径部のコア型外周面
27…プリフォーム胴部内面形成部のコア型外周面
30…プリフォーム
31…プリフォーム口部
32…プリフォーム胴部
33…プリフォーム底部
34…スキン層
35…中層
39…応力分散面部
41…プリフォーム口部31の上端面
43…筒状部
【手続補正書】
【提出日】2020年1月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形部と、プリフォーム口部の外周面成形用兼プリフォーム搬送用のリップ型を下面に有する回転板を含む回転板部と、を備える射出延伸ブロー成形機であって、
前記リップ型が前記射出成形部の上方に至るまで前記回転板が回転すると、前記リップ型が前記射出成形部に向かうよう前記回転板部が降下し、
前記射出成形部には、キャビティ型とこのキャビティ型内に入り込み可能に昇降するコア型とが配置されていて、降下した前記リップ型と前記キャビティ型とリップ型を通してキャビティ型に入り込んだコア型とで射出成形型が形成可能に設けられている射出延伸ブロー成形機での前記射出成形型において、
射出成形型は、リップ型とキャビティ型とコア型とで囲まれるプリフォーム形成空間を有し、
前記プリフォーム形成空間は、プリフォーム口部形成部と、前記プリフォーム口部形成部に連続し、間隙幅が前記プリフォーム口部形成部の間隙幅より幅広とされて一様とされているプリフォーム胴部形成部と、前記プリフォーム胴部形成部に連続し、下端がゲート側となるプリフォーム底部形成部とからなり、
前記コア型は、前記プリフォーム口部形成部に対応するプリフォーム口部内面形成部と、前記プリフォーム胴部形成部に対応するプリフォーム胴部内面形成部と、前記プリフォーム底部形成部に対応するプリフォーム底部内面形成部とを備えているとともに、前記プリフォーム胴部内面形成部から前記プリフォーム口部内面形成部に亘ってコア型径を漸次拡径した拡径部を備えていて、
前記拡径部におけるコア型外周面は、前記プリフォーム胴部内面形成部におけるコア型外周面に沿う上方側への延長線の位置より外方に向けて傾斜したテーパー状とされて、
この拡径部におけるコア型外周面が、プリフォーム胴部内面形成部からプリフォーム口部内面形成部におけるリップ型に相対する部分に連続しており、
上記拡径部におけるコア型外周面は、該拡径部におけるコア型外周面に沿う上方側への延長線が上記プリフォーム口部形成部の上端位置を交差するようにして傾斜していることを特徴とする射出延伸ブロー成形機の射出成形型。
【請求項2】
上記拡径部は、上記プリフォーム胴部内面形成部における上記キャビティ型に相対する部分から上記キャビティ型と上記リップ型とのパーティングラインの高さ位置を経て上記プリフォーム口部内面形成部における上記リップ型に相対する部分に亘って設けられている請求項1に記載の射出延伸ブロー成形機の射出成形型。
【請求項3】
上記プリフォーム胴部形成部と上記プリフォーム底部形成部との間には、下方に向けて縮径する筒状部が設けられていて、
前記筒状部は、該筒状部の上下方向下方側への接線が前記プリフォーム胴部形成部の下方側への延長線に対して上記プリフォーム形成空間の中心線に向けて傾斜するテーパー状とされている請求項1又は2に記載の射出延伸ブロー成形機の射出成形型。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項の射出延伸ブロー成形機の射出成形型に樹脂を射出し、射出成形型との接触による冷却によって上記プリフォーム形成空間に充填された樹脂の表層にこの充填された樹脂の中層より低温度となるスキン層を形成した状態のプリフォームを成形するプリフォームの成形方法であって、
充填された樹脂の上記コア型の拡径部との対応部分に、前記拡径部と接触して中層より低温度とされたスキン層が上方に向けてテーパー状に拡径してなる応力分散面部を形成し、
上記応力分散面部は、応力分散面部に沿う上方側への延長線がプリフォーム口部の上端面の位置を交差するようにして傾斜することを特徴とするプリフォームの成形方法。
【請求項5】
上記応力分散面部を、上記プリフォーム形成空間のコア型側におけるプリフォーム胴部形成部からコア型側におけるプリフォーム口部形成部までに亘って連続して形成する請求項4に記載のプリフォームの成形方法。
【請求項6】
上記応力分散面部は、型開きで上昇するコア型に伴ってプリフォーム胴部形成部に充填された樹脂が上方移動するのを抑止する請求項4または5に記載のプリフォームの成形方法。
【請求項7】
射出延伸ブロー成形機を用い、請求項1から3のいずれか一項に記載の射出成形型で得られたプリフォームから容器を成形することを特徴とする容器の成形方法。
【請求項8】
コア型の上記拡径部は、上記プリフォーム胴部内面形成部における上記キャビティ型に相対する部分から上記キャビティ型と上記リップ型とのパーティングラインの高さ位置を経て上記プリフォーム口部内面形成部における上記リップ型に相対する部分に亘って設けられている請求項7に記載の容器の成形方法。
【請求項9】
射出成形型の上記プリフォーム胴部形成部と上記プリフォーム底部形成部との間には、下方に向けて縮径する筒状部が設けられていて、
前記筒状部は、該筒状部の上下方向下方側への接線が前記プリフォーム胴部形成部の下方側への延長線に対して上記プリフォーム形成空間の中心線に向けて傾斜するテーパー状とされている請求項7又は8に記載の容器の成形方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、射出延伸ブロー成形機の射出成形型とプリフォームの成形方
法、及び容器の成形方
法に関するものである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
(請求項1の発明)
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、
射出成形部と、プリフォーム口部の外周面成形用兼プリフォーム搬送用のリップ型を下面に有する回転板
を含む回転板部と、を備える射出延伸ブロー成形機であって、
前記リップ型が前記射出成形部の上方に至るまで前記回転板が回転すると、前記リップ型が前記射出成形部に向かうよう前記回転板部が降下し、
前記射出成形部には、キャビティ型とこのキャビティ型内に入り込み可能に昇降するコア型とが配置されていて
、降下した前記リップ型と前記キャビティ型とリップ型を通してキャビティ型に入り込んだコア型とで射出成形型が形成可能に設けられている射出延伸ブロー成形機での前記射出成形型において、
射出成形型は、リップ型とキャビティ型とコア型とで囲まれるプリフォーム形成空間を有し、
前記プリフォーム形成空間は、プリフォーム口部形成部と、前記プリフォーム口部形成部に連続し、間隙幅が前記プリフォーム口部形成部の間隙幅より幅広とされて一様とされているプリフォーム胴部形成部と、前記プリフォーム胴部形成部に連続し、下端がゲート側となるプリフォーム底部形成部とからなり、
前記コア型は、前記プリフォーム口部形成部に対応するプリフォーム口部内面形成部と、前記プリフォーム胴部形成部に対応するプリフォーム胴部内面形成部と、前記プリフォーム底部形成部に対応するプリフォーム底部内面形成部とを備えているとともに、前記プリフォーム胴部内面形成部から前記プリフォーム口部内面形成部に亘ってコア型径を漸次拡径した拡径部を備えていて、
前記拡径部におけるコア型外周面は、前記プリフォーム胴部内面形成部におけるコア型外周面に沿う上方側への延長線の位置より外方に向けて傾斜したテーパー状とされて、
この拡径部におけるコア型外周面が、プリフォーム胴部内面形成部からプリフォーム口部内面形成部におけるリップ型に相対する部分に連続して
おり、
上記拡径部におけるコア型外周面は、該拡径部におけるコア型外周面に沿う上方側への延長線が上記プリフォーム口部形成部の上端位置を交差するようにして傾斜していることを特徴とする射出延伸ブロー成形機の射出成形型を提供して、上記課題を解消するものである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
(請求項
2の発明)
また、本発明において、上記拡径部は、上記プリフォーム胴部内面形成部における上記キャビティ型に相対する部分から上記キャビティ型と上記リップ型とのパーティングラインの高さ位置を経て上記プリフォーム口部内面形成部における上記リップ型に相対する部分に亘って設けられていることが良好である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
(請求項
3の発明)
また、本発明において、上記プリフォーム胴部形成部と上記プリフォーム底部形成部との間には、下方に向けて縮径する筒状部が設けられていて、
前記筒状部は、該筒状部の上下方向下方側への接線が前記プリフォーム胴部形成部の下方側への延長線に対して上記プリフォーム形成空間の中心線に向けて傾斜するテーパー状とされていることが良好である。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
(請求項
4の発明)
そして、一つの発明は、上記射出延伸ブロー成形機の射出成形型に樹脂を射出し、射出成形型との接触による冷却によって上記プリフォーム形成空間に充填された樹脂の表層にこの充填された樹脂の中層より低温度となるスキン層を形成した状態のプリフォームを成
形するプリフォームの成形方法であって、
充填された樹脂の上記コア型の拡径部との対応部分に、前記拡径部と接触して中層より低温度とされたスキン層が上方に向けてテーパー状に拡径してなる応力分散面部を形成
し、
上記応力分散面部は、応力分散面部に沿う上方側への延長線がプリフォーム口部の上端面の位置を交差するようにして傾斜することを特徴とするプリフォームの成形方法であり、このプリフォームの成形方法を提供して上記課題を解消するものである。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
(請求項
5の発明)
また、上記発明において、上記応力分散面部を、上記プリフォーム形成空間のコア型側におけるプリフォーム胴部形成部からコア型側におけるプリフォーム口部形成部までに亘って連続して形成することが良好である。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
(請求項
6の発明)
また、上記発明において、上記応力分散面部は、型開きで上昇するコア型に伴ってプリフォーム胴部形成部に充填された樹脂が上方移動するのを抑止することが良好である。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
(請求項
7の発明)
また、もう一つ発明は、
射出延伸ブロー成形機を用い、上記射出成形型で得られたプリフォームから容器を成形することを特徴とする容器の成形方法であり、この容器の成形方法を提供して上記課題を解消するものである。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
(請求項
8の発明)
また、上記発明において、コア型の上記拡径部は、上記プリフォーム胴部内面形成部における上記キャビティ型に相対する部分から上記キャビティ型と上記リップ型とのパーティングラインの高さ位置を経て上記プリフォーム口部内面形成部における上記リップ型に相対する部分に亘って設けられていることが良好である。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
(請求項
9の発明)
また、上記発明において、射出成形型の上記プリフォーム胴部形成部と上記プリフォーム底部形成部との間には、下方に向けて縮径する筒状部が設けられていて、
前記筒状部は、該筒状部の上下方向下方側への接線が前記プリフォーム胴部形成部の下方側への延長線に対して上記プリフォーム形成空間の中心線に向けて傾斜するテーパー状とされていることが良好である。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】削除
【補正の内容】