特開2020-56046(P2020-56046A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-56046(P2020-56046A)
(43)【公開日】2020年4月9日
(54)【発明の名称】伸縮性ホットメルト組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 153/02 20060101AFI20200313BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20200313BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20200313BHJP
   C09J 7/35 20180101ALI20200313BHJP
【FI】
   C09J153/02
   C09J11/06
   C09J11/08
   C09J7/35
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2020-4596(P2020-4596)
(22)【出願日】2020年1月15日
(62)【分割の表示】特願2019-537002(P2019-537002)の分割
【原出願日】2019年1月31日
(31)【優先権主張番号】特願2018-14377(P2018-14377)
(32)【優先日】2018年1月31日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】305044143
【氏名又は名称】積水フーラー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】染谷 悠
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AA06
4J004AB03
4J004CB01
4J040BA182
4J040DM011
4J040GA07
4J040JA06
4J040JB01
4J040KA31
4J040LA06
4J040MA09
4J040MB02
4J040NA10
(57)【要約】
【課題】本発明は、伸長性及び伸長後の伸縮回復性に優れ、伸長時に適度な応力を示し、且つ、加熱安定性に優れており、通常用いられるホットメルト接着剤塗布装置で塗布可能な伸縮性ホットメルト組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、熱可塑性エラストマー(A)と、可塑剤(B)とを含む伸縮性ホットメルト組成物であって、
前記熱可塑性エラストマー(A)はスチレン系ブロック共重合体の水素添加物を含み、
前記伸縮性ホットメルト組成物100質量%中、熱可塑性エラストマー(A)を45〜75質量%、可塑剤(B)を5〜40質量%含有し、
前記伸縮性ホットメルト組成物は、180℃における溶融粘度が40,000mPa・s以下である、
ことを特徴とする伸縮性ホットメルト組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性エラストマー(A)と、可塑剤(B)とを含む伸縮性ホットメルト組成物であって、
前記熱可塑性エラストマー(A)はスチレン系ブロック共重合体の水素添加物を含み、
前記伸縮性ホットメルト組成物100質量%中、熱可塑性エラストマー(A)を45〜75質量%、可塑剤(B)を5〜40質量%含有し、
前記伸縮性ホットメルト組成物は、180℃における溶融粘度が40,000mPa・s以下である、
ことを特徴とする伸縮性ホットメルト組成物。
【請求項2】
熱可塑性エラストマー(A)は、スチレン−エチレン/ブチレン/スチレン−スチレン共重合体を含む、請求項1に記載の伸縮性ホットメルト組成物。
【請求項3】
更に、カルボニル基、カルボキシル基、及びカルボン酸無水物基からなる群より選択される少なくとも1種の基を分子内に有するワックス(C)を5〜35質量%含有する、請求項1又は2に記載の伸縮性ホットメルト組成物。
【請求項4】
−60℃〜−20℃において、動的粘弾性測定によって周波数1Hzで昇温過程において測定された損失正接tanδ(損失弾性率G”/貯蔵弾性率G’)が極大となる温度での前記tanδが1.5以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の伸縮性ホットメルト組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の伸縮性ホットメルト組成物の少なくとも片面側が不織布と接合されている伸縮性積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮性ホットメルト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、紙おむつや生理用ナプキン等の衛生材料が広く使用されており、これらの衛生材料には、着用時のずれ落ち防止のために、伸縮性を有する部材で構成された伸縮性積層体が用いられている。
【0003】
伸縮性積層体に用いられる伸縮性を有する部材に、天然ゴムや合成高分子を糸状にした糸ゴムが知られている。糸ゴムは伸長時に良好な応力を示すため衛生材料の着用時のずれ落ち防止に効果的である。
【0004】
また、衛生材料に設けられる伸縮性積層体の伸縮部材として熱可塑性エラストマーを含む伸縮性フィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、熱可塑性エラストマーと親水性樹脂を含む伸縮性フィルムが開示されている。当該伸縮性フィルムによれば、透湿性、柔軟性に優れた、生理用品など衛生材料に好適な伸縮性フィルムが提供される。
【0005】
更に、ホットメルト接着剤塗布装置で使用できる伸縮性材料としてホットメルト伸縮性接着剤組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2には、ブタジエン重合体もしくはイソプレン重合体の水素添加重合体、又はエチレンプロピレン重合体より選択された1種以上の重合体である弾性重合体セグメントとポリスチレン重合体セグメントを含むブロック共重合体を含むホットメルト伸縮性接着剤組成物が開示されている。当該ホットメルト伸縮性接着剤組成物によれば、通常のホットメルトアプリケーターを使用して塗工可能であり、且つ、それ自体が接着性と伸縮性を合わせて有するので、不織布等の基材と積層することで、容易にギャザー部を形成することができるホットメルト接着剤が提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015−86367号公報
【特許文献2】特許第2919385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、伸縮性積層体に用いられる伸縮性を有する部材として上述の糸ゴムを用いた場合、人の身体に線圧がかかるため、着用時の圧迫感やかぶれの原因になるという問題がある。また、衛生材料には細い糸ゴムが複数本使用されるため、衛生材料の製造時に糸ゴムが切れやすく、しばしば衛生材料の製造が困難となるという問題がある。
【0008】
特許文献1の伸縮性フィルムによれば、糸ゴムを用いた際の上述の問題は解消されるが、製造する際に、伸縮性フィルムを製造するための組成物が高粘度であるので押し出し装置が必要となるため、通常用いられるホットメルト接着剤塗布装置が使用できず、衛生材料の生産性が劣るという問題がある。また、特許文献1の伸縮性フィルムは、加熱安定性が十分に検討されておらず、製造時に組成物を加熱した際に熱劣化するという問題がある。
【0009】
また、特許文献2のホットメルト伸縮性接着剤組成物は、伸長時の応力が低いため、当該伸縮性接着剤組成物を用いた伸縮性積層体を備える衛生材料が着用時にずれ落ちることがあるという問題がある。また、当該伸縮性接着剤組成物は、伸長後の伸縮回復性が、伸縮性部材として用いるのに十分ではないという問題がある。
【0010】
本発明は上記事情に鑑み、伸長性及び伸長後の伸縮回復性に優れ、伸長時に適度な応力を示し、且つ、加熱安定性に優れており、通常用いられるホットメルト接着剤塗布装置で塗布可能な伸縮性ホットメルト組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、熱可塑性エラストマー(A)と、可塑剤(B)とを含み、熱可塑性エラストマー(A)がスチレン系ブロック共重合体の水素添加物を含み、熱可塑性エラストマー(A)及び可塑剤(B)の含有量が特定の範囲であり、180℃における溶融粘度が40,000mPa・s以下である伸縮性ホットメルト組成物によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は、下記の伸縮性ホットメルト組成物に関する。
1.熱可塑性エラストマー(A)と、可塑剤(B)とを含む伸縮性ホットメルト組成物であって、
前記熱可塑性エラストマー(A)はスチレン系ブロック共重合体の水素添加物を含み、
前記伸縮性ホットメルト組成物100質量%中、熱可塑性エラストマー(A)を45〜75質量%、可塑剤(B)を5〜40質量%含有し、
前記伸縮性ホットメルト組成物は、180℃における溶融粘度が40,000mPa・s以下である、
ことを特徴とする伸縮性ホットメルト組成物。
2.熱可塑性エラストマー(A)は、スチレン−エチレン/ブチレン/スチレン−スチレン共重合体を含む、項1に記載の伸縮性ホットメルト組成物。
3.更に、カルボニル基、カルボキシル基、及びカルボン酸無水物基からなる群より選択される少なくとも1種の基を分子内に有するワックス(C)を5〜35質量%含有する、項1又は2に記載の伸縮性ホットメルト組成物。
4.−60℃〜−20℃において、動的粘弾性測定によって周波数1Hzで昇温過程において測定された損失正接tanδ(損失弾性率G”/貯蔵弾性率G’)が極大となる温度での前記tanδが1.5以下である、項1〜3のいずれかに記載の伸縮性ホットメルト組成物。
5.項1〜4のいずれかに記載の伸縮性ホットメルト組成物の少なくとも片面側が不織布と接合されている伸縮性積層体。
【発明の効果】
【0013】
本発明の伸縮性ホットメルト組成物は、伸長性及び伸長後の伸縮回復性に優れ、伸長時に適度な応力を示し、且つ、加熱安定性に優れており、通常用いられるホットメルト接着剤塗布装置で塗布可能である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.伸縮性ホットメルト組成物
本発明の伸縮性ホットメルト組成物は、熱可塑性エラストマー(A)と、可塑剤(B)とを含む伸縮性ホットメルト組成物であって、前記熱可塑性エラストマー(A)はスチレン系ブロック共重合体の水素添加物を含み、前記伸縮性ホットメルト組成物100質量%中、熱可塑性エラストマー(A)を45〜75質量%、可塑剤(B)を5〜40質量%含有し、前記伸縮性ホットメルト組成物は、180℃における溶融粘度が40,000mPa・s以下である。本発明伸縮性ホットメルト組成物は、上記構成を備えるので、伸長性及び伸長後の伸縮回復性に優れ、伸長時に適度な応力を示し、且つ、加熱安定性に優れており、通常用いられるホットメルト接着剤塗布装置で塗布可能である。
【0015】
上記本発明の伸縮性ホットメルト組成物は、衛生材料等に設けられる伸縮性積層体に用いられる部材として好適に用いることができる。一般に、伸縮性積層体に用いられる部材としては、天然ゴムや合成高分子を糸状にした糸ゴムが知られている。従来の衛生材のギャザー部位に用いられる伸縮性部材は、不織布などの基材と、複数本の糸ゴムを接合することで形成される。このように形成された伸縮性部材は良好な伸縮性を有するため、吸収性物品に用いることで、着用時のずれがおきにくく、着用者に安心感を与えることができる。しかし、上述のようにして形成された伸縮性積層体は、線状の糸ゴムによる線圧が着用者の胴回りにかかるため、強い締め付け感を感じる場合がある。
【0016】
面圧で胴回りを締め付ける、伸縮性フィルムを用いた伸縮性部材を用いることにより、着用者にかかる圧力が分散されるため、良好な締め付け感を達成することができる。しかしながら、伸縮性フィルムは高粘度であり、且つ、ホットメルト型ではないため、通常用いられるホットメルト塗布装置を用いて塗布することができず、衛生材料の製造工程が煩雑化する。
【0017】
ホットメルト伸縮性接着剤組成物を伸縮性部材として用いることにより、通常のホットメルト塗布装置を用いて面圧で締め付ける伸縮性積層体を作成することができる。しかし、従来のホットメルト伸縮性接着剤組成物では伸長時の応力が低いため、着用時に十分な締め付け感を得られず、衛生材料がずれ落ちる場合がある。
【0018】
これに対し、本発明の伸縮性ホットメルト組成物を衛生材料の伸縮性積層体の伸縮性部材に用いれば、通常用いられるホットメルト塗布装置で塗布可能であるため、衛生材料の製造工程は煩雑にならず、且つ、伸長時の応力も高いため、当該伸縮性ホットメルト組成物を伸縮部材として用いた伸縮性積層体を搭載した衛生材料は、着用時のずれ落ちが抑制されており、着用者に安心感を与えることができる。
【0019】
以下、本発明の伸縮性ホットメルト組成物について詳細を説明する。
【0020】
(熱可塑性エラストマー(A))
熱可塑性エラストマー(A)はスチレン系ブロック共重合体の水素添加物を含む。スチレン系ブロック共重合体の水素添加物とは、ビニル系芳香族炭化水素と共役ジエン化合物とをブロック共重合し、得られたブロック共重合体における共役ジエン化合物に基づくブロックの全部又は一部が水素添加されたブロック共重合体をいう。
【0021】
ビニル系芳香族炭化水素は、ビニル基を有する芳香族炭化水素化合物である。ビニル系芳香族炭化水素としては、具体的には、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンなどが挙げられ、これらの中でもスチレンが好ましい。ビニル系芳香族炭化水素は、単独で用いられてもよいし、二種以上が併用されて用いられてもよい。
【0022】
共役ジエン化合物は、少なくとも一対の共役二重結合を有するジオレフィン化合物である。共役ジエン化合物としては、具体的には、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(又はイソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられ、これらの中でも1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエンが好ましい。共役ジエン化合物は、単独で用いられてもよいし、二種以上が併用されて用いられてもよい。
【0023】
本明細書において、スチレン系ブロック共重合体の水素添加物等の、水素添加型熱可塑性ブロック共重合体における水素添加された割合は、「水素添加率」で示される。水素添加型熱可塑性ブロック共重合体の「水素添加率」とは、共役ジエン化合物に基づくブロックに含まれる全エチレン性不飽和二重結合を基準とし、その中で、水素添加されて飽和炭化水素結合に転換されたエチレン性不飽和二重結合の割合をいう。水素添加率は、赤外分光光度計及び核磁器共鳴装置等によって測定することができる。
【0024】
上記スチレン系ブロック共重合体の水素添加物は、完全水添であることが好ましい。スチレン系ブロック共重合体の水素添加物は、完全水添であることにより、伸縮性ホットメルト組成物の加熱安定性がより一層向上する。スチレン系ブロック共重合体の水素添加物の水素添加率は、100%程度であることが好ましい。
【0025】
スチレン系ブロック共重合体の水素添加物としては特に限定されず、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−ブチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBBS)、スチレン−エチレン/ブチレン/スチレン−スチレン共重合体(S−E/B/S−S)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)、スチレン−エチレン−ブチレン−オレフィン結晶共重合体(SEBC)から選択される少なくとも1種を含有する。熱可塑性エラストマー(A)が上記構成であることにより、本発明の伸縮性ホットメルト組成物がより良好な伸長性を示し、伸長後の伸縮回復性も優れ、伸長時に適度な応力を示し、且つ、加熱安定に優れたものとなる。これらの中でも、より一層伸長後の伸縮回復性に優れ、伸長時の応力と良好な伸長性の両立ができる観点から、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン/ブチレン/スチレン−スチレン共重合体のいずれかを含有することが好ましい。
【0026】
上記スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体は、末端のスチレン単位がエンドブロック相となり、エチレン−ブチレン単位がミッドブロック相となる共重合体である。ミッドブロック相が水素添加されたエチレン−ブチレン単位である共重合体を用いることで、エンドブロック相のスチレン単位との極性差がより顕著になり、水素添加されていないミッドブロック相の共重合体と比較して、よりエンドブロック相のスチレン単位が強固となる。結果として、伸縮性ホットメルト組成物の伸長時の応力をより一層向上させることができる。さらに、ミッドブロック相が水素添加されているため、より一層優れた加熱安定性に優れた伸縮性ホットメルト組成物を提供することができる。
【0027】
スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体のスチレン含有量は、当該スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体を100質量%として、15〜45質量%が好ましく20〜40質量%がより好ましい。スチレン含有量の下限が上記範囲であると、伸縮性ホットメルト組成物の伸長後の伸縮回復性がより一層向上する。スチレン含有量の上限が上記範囲であると、伸縮性ホットメルト組成物がより柔らかくなり、より一層良好な伸長性を発現することができる。
【0028】
なお、本明細書において、スチレン系ブロック共重合体の「スチレン含有量」とは、スチレン系ブロック共重合体中のスチレンブロックの含有割合(質量%)をいう。
【0029】
また、本明細書における、スチレン系ブロック共重合体中のスチレン含有量の算出方法は特に限定されず、例えば、JIS K6239に準じたプロトン核磁気共鳴法や赤外分光法を用いる方法が挙げられる。
【0030】
スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体としては市販されている製品を用いることができる。市販品としては、クレイトンポリマー社製G1650、クレイトンポリマー社製MD1648、旭化成社製タフテックH1041などが挙げられる。
【0031】
スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。例えば、スチレン含有量が高いスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体と、スチレン含有量が低いスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体とを、混合して用いてもよい。2種以上を混合して用いた場合のスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体全体のスチレン含有量は、重量に基づく平均値により算出すればよい。
【0032】
上記スチレン−エチレン/ブチレン/スチレン−スチレン共重合体は、末端のスチレン単位がエンドブロック相となり、エチレン−ブチレン単位がミッドブロック相となるスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体において、ミッドブロック相にもスチレンが分散されている共重合体である。ミッドブロック相にスチレンが分散されている共重合体を用いることで、スチレンブロック共重合体の全体のスチレン含有量が多くなっても、スチレンブロック共重合体が硬くなりすぎず、良好な伸長性を示すため、スチレン−エチレン/ブチレン/スチレン−スチレン共重合体を含む伸縮性ホットメルト組成物では、良好な伸長性と、伸長時における応力の向上を両立することができる。さらに、ミッドブロック相にスチレンが分散されているスチレン−エチレン/ブチレン/スチレン−スチレン共重合体を伸縮性ホットメルト組成物に用いることで、低温における溶融粘度の増加が抑制されるため、伸縮性ホットメルト組成物の塗工性をより向上させることができる。
【0033】
スチレン−エチレン/ブチレン/スチレン−スチレン共重合体を調製する方法としては特に限定されず、例えば、米国特許第7,169,848号に記載の方法が挙げられる。
【0034】
スチレン−エチレン/ブチレン/スチレン−スチレン共重合体のスチレン含有量は、当該スチレン−エチレン/ブチレン/スチレン−スチレン共重合体を100質量%として20〜60質量%が好ましく、25〜55質量%がより好ましい。スチレン含有量の下限が上記範囲であると、伸縮性ホットメルト組成物の伸長後の伸縮回復性がより一層向上する。スチレン含有量の上限が上記範囲であると、伸縮性ホットメルト組成物がより柔らかくなり、より一層良好な伸長性を発現することができる。
【0035】
スチレン−エチレン/ブチレン/スチレン−スチレン共重合体としては、市販されている製品を用いることができる。市販品としては、クレイトンポリマー社製MD6951、クレイトンポリマー社製A1536等が挙げられる。
【0036】
スチレン−エチレン/ブチレン/スチレン−スチレン共重合体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。例えば、スチレン含有量が高いスチレン−エチレン/ブチレン/スチレン−スチレン共重合体と、スチレン含有量が低いスチレン−エチレン/ブチレン/スチレン−スチレン共重合体とを、混合して用いてもよい。2種以上を混合して用いた場合のスチレン−エチレン/ブチレン/スチレン−スチレン共重合体全体のスチレン含有量は、重量に基づく平均値により算出すればよい。
【0037】
本発明の伸縮性ホットメルト組成物中の熱可塑性エラストマー(A)の含有量は、伸縮性ホットメルト組成物を100質量%として、45〜75質量%である。熱可塑性エラストマー(A)の含有量が上記範囲外であると、本発明の伸縮性ホットメルト組成物の伸長性、伸長後の伸縮回復性、及び伸長時の応力が十分でない。熱可塑性エラストマー(A)の含有量は、50〜70質量%が好ましく、55〜65質量%がより好ましい。
【0038】
本発明の伸縮性ホットメルト組成物中の熱可塑性エラストマー(A)のスチレン含有量は、当該熱可塑性エラストマー(A)を100質量%として10〜35質量%が好ましく、12〜25質量%がより好ましい。スチレン含有量がの下限が上記範囲であると、伸縮性ホットメルト組成物の伸長後の伸縮回復性がより一層向上する。スチレン含有量の上限が上記範囲であると、伸縮性ホットメルト組成物がより柔らかくなり、より一層良好な伸長性を発現することができる。
【0039】
本発明の伸縮性ホットメルト組成物中の熱可塑性エラストマー(A)の重量平均分子量(Mw)は、30,000〜200,000が好ましく、40,000〜150,000がより好ましく、45,000〜125,000が更に好ましい。重量平均分子量が30,000以上であると、伸縮性ホットメルト組成物の伸長後の伸縮回復性がより一層向上する。重量平均分子量が200,000以下であると、伸縮性ホットメルト組成物がより柔らかくなり、より一層良好な伸長性を発現することができる。
【0040】
熱可塑性エラストマーの重量平均分子量(Mw)とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定装置を用いて、標準ポリスチレンで換算することにより得られる測定値である。
【0041】
本発明における重量平均分子量(Mw)は、例えば、下記測定装置及び測定条件にて測定することができる。
測定装置:Waters社製 商品名「ACQUITY APC」
測定条件:カラム
・ACQUITY APCXT45 1.7μm×1本
・ACQUITY APCXT125 2.5μm×1本
・ACQUITY APCXT450 2.5μm×1本
移動相:テトラヒドロフラン 0.8mL/分
サンプル濃度:0.2質量%
検出器:示差屈折率(RI)検出器
標準物質:ポリスチレン(Waters社製 分子量:266〜1,800,000)
カラム温度:40℃
RI検出器温度:40℃
【0042】
(可塑剤(B))
本発明の伸縮性ホットメルト組成物は、可塑剤(B)を含む。可塑剤(B)は、23℃で液状であることが好ましい。なお、本明細書において「液状」とは、流動性を示す状態のことをいう。このような可塑剤(B)の流動点は、23℃以下が好ましく、10℃以下がより好ましい。
【0043】
本明細書において、流動点は、JIS K2269に準拠した測定方法により測定される値である。
【0044】
可塑剤(B)としては特に限定されず、例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、流動パラフィン、炭化水素系合成オイル等が挙げられる。なかでも、加熱安定性が優れる観点から、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、流動パラフィン、及び炭化水素系合成オイルが好ましく、伸長後の伸縮回復性がより一層優れる観点から、炭化水素系合成オイルがより好ましい。
【0045】
パラフィン系プロセスオイルとしては、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、出光興産社製PW−32、出光興産社製PS−32等が挙げられる。
【0046】
ナフテン系プロセスオイルとしては、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、出光興産社製ダイアナフレシアN28、出光興産社製ダイアナフレシアU46、Nynas社製Nyflex222B等が挙げられる。
【0047】
流動パラフィンとしては、市販品を用いることができる。市販品としては、MORESCO社製P−100、Sonneborn社製Kaydol等が挙げられる。
【0048】
炭化水素系合成オイルとしては、市販品を用いることができる。市販品としては、三井化学社製ルーカントHC−10、三井化学社製ルーカントHC−40等が挙げられる。
【0049】
上記可塑剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0050】
本発明の伸縮性ホットメルト組成物中の可塑剤(B)の含有量は、伸縮性ホットメルト組成物を100質量%として、5〜40質量%である。可塑剤(B)の含有量が5質量%未満であると伸縮性ホットメルト組成物の溶融粘度が高くなり、伸縮性ホットメルト組成物の塗工適性が十分でない。可塑剤(B)の含有量が40質量%を超えると、伸縮性ホットメルト組成物が柔らかくなり過ぎ、2倍伸長時の応力が低下する。可塑剤(B)の含有量は、10〜35質量%が好ましく、12〜30質量%がより好ましい。
【0051】
(ワックス(C))
本発明の伸縮性ホットメルト組成物は、カルボニル基、カルボキシル基、及びカルボン酸無水物基からなる群より選択される少なくとも1種の基を分子内に有するワックス(C)を含有していてもよい。ワックス(C)は、23℃で固体であることが好ましい。なお、本明細書において「固体」とは、流動性を示さない状態のことをいう。このようなワックス(C)の軟化点は、23℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましく、40℃以上が更に好ましい。
【0052】
本明細書において、軟化点は、ASTM D−3954に準拠した測定方法により測定される値である。
【0053】
カルボニル基、カルボキシル基、及びカルボン酸無水物基からなる群より選択される少なくとも1種の基を分子内に有するワックスは、極性が高いため、スチレン系ブロック共重合体との相溶性が良く、組成物内への分散が良好となる。そのため、カルボニル基、カルボキシル基、及びカルボン酸無水物基を分子内に有さないワックスと比較して、伸縮性ホットメルト組成物の加熱安定性をより一層向上させることができる。カルボニル基、カルボキシル基、及びカルボン酸無水物基からなる群より選択される少なくとも1種の基を分子内に有するワックス(C)としては特に限定されず、例えば、酢酸ビニルワックス、アクリル酸ワックス、無水マレイン酸変性ワックスなどが挙げられる。なかでも、加熱安定性により一層優れる観点から、酢酸ビニルワックスが好ましい。
【0054】
酢酸ビニルワックスとしては、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、Honeywell社製AC−400、Honeywell社製AC−430等が挙げられる。
【0055】
アクリル酸ワックスとしては、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、Honeywell社製AC−540、Honeywell社製AC−580等が挙げられる。
【0056】
無水マレイン酸変性ワックスとしては、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、Honeywell社製AC−573P、Honeywell社製AC−577P、日本精蝋社製MAW−0300等が挙げられる。
【0057】
上記カルボニル基、カルボキシル基、及びカルボン酸無水物基からなる群より選択される少なくとも1種の基を分子内に有するワックスは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0058】
本発明の伸縮性ホットメルト組成物中のワックス(C)の含有量は、伸縮性ホットメルト組成物を100質量%として、5〜40質量%が好ましく5〜35質量%がより好ましく、10〜30質量%が更に好ましい。ワックス(C)の含有量の下限が上記範囲であると伸縮性ホットメルト組成物の2倍伸長時の応力がより一層向上する。ワックス(C)の含有量の上限が上記範囲であると、伸縮性ホットメルト組成物の永久歪みがより一層向上する。
【0059】
(他の添加剤)
本発明の伸縮性ホットメルト組成物は、本発明の目的を本質的に妨げない範囲で、他の添加剤を含有していてもよい。上記他の添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、粘着付与樹脂、液状ゴム、微粒子充填剤等が挙げられる。
【0060】
酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,4−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルべンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−〔1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル〕フェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ぺンチルフェニル)]アクリレート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン等のヒンダードフェノール系酸化防止剤;ジラウリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)等のイオウ系酸化防止剤;トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系酸化防止剤等が挙げられる。酸化防止剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0061】
本発明の伸縮性ホットメルト組成物中の酸化防止剤の含有量としては、伸縮性ホットメルト組成物を100質量%として、0.01〜2質量%が好ましく、0.05〜1.5質量%がより好ましく、0.1〜1質量%が更に好ましい。酸化防止剤の含有量が0.01質量%以上であると、伸縮性ホットメルト組成物の熱安定がより一層向上する。酸化防止剤の含有量が2質量%以下であると、伸縮性ホットメルト組成物の臭気が低減する。
【0062】
紫外線吸収剤としては、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;サリチル酸エステル系紫外線吸収剤;シアノアクリレート系紫外線吸収剤;ヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。紫外線吸収剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0063】
本発明の伸縮性ホットメルト組成物中の紫外線吸収剤の含有量としては、伸縮性ホットメルト組成物を100質量%として、0.01〜2質量%が好ましく、0.05〜1.5質量%がより好ましく、0.1〜1質量%が更に好ましい。紫外線吸収剤の含有量が0.01質量%以上であると、伸縮性ホットメルト組成物の耐候性が向上する。紫外線吸収剤の含有量が2質量%以下であると、伸縮性ホットメルト組成物の臭気が低減する。
【0064】
粘着付与樹脂としては、天然ロジン、変性ロジン、天然ロジンのグリセロールエステル、変性ロジンのグリセロールエステル、天然ロジンのペンタエリスリトールエステル、変性ロジンのペンタエリスリトールエステル、天然テルペンのコポリマー、天然テルペンの三次元ポリマー、天然テルペンのコポリマーの水素化誘導体、テルペン樹脂、フェノール系変性テルペン樹脂の水素化誘導体;C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5C9系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂等の石油樹脂、また、それら石油樹脂に水素を添加した部分水添石油樹脂、完全水添石油樹脂等が挙げられる。粘着付与樹脂としては、伸縮性ホットメルト組成物の臭気、熱安定性に優れている点で、石油樹脂、部分水添石油樹脂、及び完全水添石油樹脂が好ましく、部分水添石油樹脂、及び完全水添石油樹脂がより好ましい。これら粘着付与樹脂は1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0065】
粘着付与樹脂の環球式軟化点温度は、伸縮性ホットメルト組成物の伸縮性、熱安定性がより一層優れる点で、80℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましい。また、粘着付与樹脂の環球式軟化点温度は、伸縮性ホットメルト組成物により一層柔軟性を持たせ、より一層脆弱化を抑制することができる点で、125℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましい。なお、本明細書において、粘着付与樹脂の環球式軟化点温度は、JIS K2207に準拠して測定される値である。
【0066】
本発明の伸縮性ホットメルト組成物中の粘着付与樹脂の含有量は、伸縮性ホットメルト組成物を100質量%として30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。粘着付与樹脂の含有量が30質量%以下であると、伸縮性ホットメルト組成物が硬くなりすぎず、伸長後の伸縮回復性がより一層向上する。
【0067】
液状ゴムとしては、液状ポリブテン、液状ポリブタジエン、液状ポリイソプレン及びこれらの水添樹脂が挙げられる。液状ゴムは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0068】
本発明の伸縮性ホットメルト組成物中の液状ゴムの含有量は、伸縮性ホットメルト組成物を100質量%として、1〜20質量%が好ましく2〜15質量%がより好ましく3〜10質量%が更に好ましい。液状ゴムの含有量が1質量%以上であると、伸縮性ホットメルト組成物の溶融粘度が低下し、塗工適性がより一層向上する。液状ゴムの含有量が20質量%以下であると、伸縮性ホットメルト組成物が柔らかくなりすぎず、2倍伸長時の応力がより一層向上する。
【0069】
微粒子充填剤としては、特に限定されず、例えば、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化チタン、雲母、スチレンビーズ等が挙げられる。微粒子充填剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0070】
本発明の伸縮性ホットメルト組成物は、180℃における溶融粘度が40,000mPa・s以下である。溶融粘度が40,000mPa・sを超えると、伸縮性ホットメルト組成物の塗工適性が十分でない。伸縮性ホットメルト組成物の180℃における溶融粘度は、28,000mPa・s以下が好ましく、22,000mPa・s以下がより好ましい。また、伸縮性ホットメルト組成物の180℃における溶融粘度の下限は特に限定されず、5,000mPa・s程度であってもよい。
【0071】
本明細書において、「溶融粘度」は、一定の温度で加熱溶融状態となったホットメルト接着剤の粘度である。180℃における溶融粘度の測定方法としては、例えば、伸縮性ホットメルト組成物を加熱溶融し、180℃における溶融状態の粘度を、ブルックフィールドRVT型粘度計(スピンドルNo.29)を用いて測定する測定方法が挙げられる。
【0072】
本発明の伸縮性ホットメルト組成物は、−60℃から−20℃において、動的粘弾性測定によって周波数1Hzで昇温過程において測定された損失正接tanδ(損失弾性率G”/貯蔵弾性率G’)が極大となる温度でのtanδが1.5以下であることが好ましく、1.3以下であることがより好ましく、1.1以下であることが更に好ましい。tanδの値が1.5以下であると伸縮性ホットメルト組成物の粘性的な性質が低くなるため粘着性が低下し、且つ、硬くなるので、伸縮性ホットメルト組成物の2倍伸長時の応力がより一層向上する。また、上記tanδの下限は特に限定されず、0.2程度である。
【0073】
上記動的粘弾性測定は、周波数を1Hzに固定して回転せん断モードで測定される。動的粘弾性測定は、具体的には、以下の方法により測定される。すなわち、伸縮性ホットメルト組成物を180℃で加熱溶融した後、離型処理されたPETフィルム上にたらす。次いで、離型処理された別のPETフィルムを伸縮ホットメルト組成物上に離型面が伸縮性ホットメルト組成物に接触するよう重ね合わせる。次いで、120℃に加熱した熱プレスで圧縮し、伸縮性ホットメルト組成物の厚みが約1〜2mmとなるように調整する。伸縮性ホットメルト組成物を離型フィルム間に挟んだ状態で23℃にて24時間静置した後、離型フィルムを除去して動的粘弾性測定用のサンプルを作製する。当該サンプルについて、動的粘弾性測定装置を用いて、周波数1Hzにて回転せん断モードで−80から130℃まで5℃/分の条件で昇温して、動的粘弾性測定(昇温過程)を行う。測定された貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G”から、損失正接tanδ(損失弾性率G”/貯蔵弾性率G’)を算出する。−60℃から−20℃の間にあるtanδが極大となる温度におけるtanδの値を記録し、tanδ極大値とする。なお、動的粘弾性測定装置としては、例えば、ティーエーインスツルメント社製ローテェーショナルレオメーター(商品名「AR−G2」)などが挙げられる。
【0074】
本発明の伸縮性ホットメルト組成物は、動的粘弾性測定によって周波数1Hzで−80℃から130℃まで昇温速度5℃/分の昇温過程で測定された場合、−60℃から−20℃の間で損失正接tanδ(=損失弾性率G”/貯蔵弾性率G’)が極大となる温度を有することが好ましい。伸縮性ホットメルト組成物を−80℃から昇温すると、分子運動の増加に伴い、ガラス状態からゴム状態へ転移する。この際、tanδの値は極大値をとり、その時の温度はガラス転移温度として評価される。
【0075】
本発明の伸縮性ホットメルト組成物の伸長性は350%以上が好ましく、450%以上がより好ましく、550%以上が更に好ましい。伸縮性ホットメルト組成物の伸長性が350%以上であると、衛生材料着用時に伸縮性ホットメルト組成物が伸長された際の破断が抑制される。また、伸縮性ホットメルト組成物を延伸させて伸縮性積層体を作成する場合、伸縮性ホットメルト組成物の破断を抑制しつつ、延伸率を好適に変更することができる。
【0076】
本発明の伸縮性ホットメルト組成物の伸長性は、以下の方法により伸縮性ホットメルト組成物の塗工サンプルを調製した上で、当該塗工サンプルを用いて以下の測定方法により測定される。
【0077】
(伸縮性ホットメルト組成物の塗工サンプル作成方法)
伸縮性ホットメルト組成物を180℃の塗工温度で、離型処理されたPETフィルム上にスロット塗工で塗布する。塗布量は50g/m、塗布幅は100mmとする。次いで、離型処理された別のPETフィルムを積層し、室温下で圧着させることで積層体を作成する。得られた積層体を23℃、相対湿度50%雰囲気下で24時間保管し、伸縮性ホットメルト組成物を室温に冷却して、伸縮性ホットメルト組成物の塗工サンプルを調製する。
【0078】
(伸長性の測定方法)
伸縮性ホットメルト組成物の塗工サンプルを、塗工方向に対して幅50mm、塗工方向に対して垂直な方向に100mmの短冊状に切断し、試験片を調製する。次いで、両面の離型処理されたPETフィルムを剥がし、治具幅50mmに設定した引張試験機へ伸縮性ホットメルト組成物の塗工方向と垂直な方向が上下に位置するように試験片を治具で固定し、引張速度500mm/分で試験片が破断する点まで引っ張る。試験片が破断した変位を破断伸び(%)とし、伸縮性ホットメルト組成物の伸長性の評価基準とする。
【0079】
本発明の伸縮性ホットメルト組成物の2倍伸長時応力は、2.0×10−4N/mm以上が好ましく、3.2×10−4N/mm以上がより好ましく、4.0×10−4N/mm以上が更に好ましい。伸縮性ホットメルト組成物の2倍伸長時応力が2.0×10−4N/mm以上であると、衛生材料着用時のずれ落ちがより一層抑制される。
【0080】
本発明の伸縮性ホットメルト組成物の2倍伸長時応力は、2.0×10−4N/mm未満であってもよい。伸縮性ホットメルト組成物の2倍伸長時応力が2.0×10−4N/mm未満である場合、上述の衛生材等以外の他の用途に好適に用いることができる。この場合、伸縮性ホットメルト組成物の2倍伸長時応力は、2.0×10−4N/mm以下が好ましく、1.8×10−4N/mm以下がより好ましく、1.5×10−4N/mm以下がさらに好ましい。また、この場合の伸縮性ホットメルト組成物の2倍伸長時応力の下限は特に限定されず、0.1×10−4N/mm程度である。
【0081】
本発明の伸縮性ホットメルト組成物の2倍伸長時応力は、上記伸縮性ホットメルト組成物の塗工サンプルを用いて、以下の測定方法により測定される。
【0082】
(2倍伸長時応力の測定方法)
伸縮性ホットメルト組成物の塗工サンプルを、塗工方向に対して幅50mm、塗工方向に対して垂直な方向に100mmの短冊状に切断し、試験片を調製する。次いで、両面の離型処理されたPETフィルムを剥がし、治具幅50mmに設定した引張試験機に、伸縮性ホットメルト組成物の塗工方向と垂直な方向が上下に位置するように試験片を治具で固定し、引張速度500mm/分で試験片の歪み変位が300%となる点まで引張る。次いで、速度500mm/分で初期の位置まで戻す。歪み変位が300%となる点まで引張り、初期の位置まで戻す工程を1サイクルとして、同一の試験片について2サイクル繰り返す。1サイクル目の引張り時において歪み変位が100%となる点における応力の値を記録し、2倍伸長時応力(N/mm)とする。
【0083】
本発明の伸縮性ホットメルト組成物の永久歪みは55%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。伸縮性ホットメルト組成物の永久歪みが55%以上であると、伸縮性ホットメルト組成物の伸長後の伸縮回復性がより一層良好となる。
【0084】
本発明の伸縮性ホットメルト組成物の永久歪みは、上記伸縮性ホットメルト組成物の塗工サンプルを用いて、以下の測定方法により測定される。
【0085】
(永久歪みの測定方法)
伸縮性ホットメルト組成物の塗工サンプルを、塗工方向に対して幅50mm、塗工方向に対して垂直な方向に100mmの短冊状に切断し、試験片を調製する。次いで、両面の離型処理されたPETフィルムを剥がし、治具幅50mmに設定した引張り試験機に、伸縮性ホットメルト組成物の塗工方向と垂直な方向が上下に位置するように試験片を治具で固定し、引張速度500mm/分で試験片の歪み変位が300%となる点まで引張る。次いで、速度500mm/分で初期の位置まで戻す。歪み変位が300%となる点まで引張り、初期の位置に戻す工程を1サイクルとして、同一の試験片について2サイクル繰り返す。横軸を歪み変位(%)、縦軸を応力(N/mm)としたグラフにおいて、1サイクル目の引張り時における積分値をS1、2サイクル目の引張時における積分値をS2とし、以下の式により永久歪み(%)を算出する。 永久歪み(%)=(S2/S1)×100
【0086】
本発明の伸縮性ホットメルト組成物は公知の方法で製造される。例えば、熱可塑性エラストマー、可塑剤、ワックス、各種添加剤等を150℃に加熱した双腕型混練機へ投入し、加熱しながら溶融混練することによって製造される。
【0087】
当該伸縮性ホットメルト組成物の用途としては特に限定されず、例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、病院用ガウンなどいわゆる衛生材料等が挙げられる。
【0088】
本発明の伸縮性ホットメルト組成物は、伸縮性フィルム、及び、伸縮部材を含む伸縮性積層体の伸縮部材として好適に用いられる。このような伸縮性積層体としては、例えば、上記伸縮性ホットメルト組成物の少なくとも片面側が不織布と接合されている伸縮性積層体が挙げられる。伸縮性積層体に用いられる不織布としては特に限定されず、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布等が挙げられる。
【0089】
伸縮性積層体の用途としては特に限定されず、例えば、紙おむつ、生理用ナプキンなどいわゆる衛生材料に好適に用いることができる。
【0090】
本発明の伸縮性ホットメルト組成物は、伸長性不織布や紙などいわゆる多孔質性基材に塗布することで、多孔質性基材の伸縮性補強材として好適に用いられる。このように、多孔質性基材に上記伸縮性ホットメルト組成物が塗布されて形成された伸縮性積層体も、本発明の伸縮性積層体の一つである。
【0091】
上記伸長性不織布は一定の方向に引張ることで一定量伸長するが、引張る力を除いた際に元の長さまで戻り難い。本発明の伸縮性ホットメルト組成物を伸縮性不織布等の多孔質性基材に塗布して伸縮性積層体を形成することで、伸縮性補強材として機能し、伸縮性積層体に元の長さまで戻る機能を付与することができる。
【0092】
伸長性不織布としては特に限定されず、例えば、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布等が挙げられる。多孔質性基材に伸縮性ホットメルト組成物を塗布する塗布方法としては特に限定されず、スロット塗布、カーテンスプレー塗布、スパイラルスプレー塗布、膜状塗布等が挙げられる。スロット塗布により伸縮性ホットメルト組成物を塗布した場合、伸縮性ホットメルト組成物が多孔質性基材に浸み込み易いため、伸縮性積層体の応力がより一層向上する。また、スプレー塗布により伸縮性ホットメルト組成物を塗布した場合、多孔質性基材への伸縮性ホットメルト組成物の浸み込みが抑制されるため、風合いと通気性がより一層向上する。
【0093】
多孔質性基材への伸縮性ホットメルト組成物の塗布量としては特に限定されず、1〜200g/mが好ましく、5〜150g/mがより好ましく、10〜100g/mが更に好ましい。塗布量の下限が上記範囲であると、伸縮性積層体の応力、伸縮回復率がより一層向上する。塗布量の上限が上記範囲であると、伸縮性積層体の風合いがより一層向上する。
【実施例】
【0094】
以下、本発明の実施例について説明する。本発明は、下記の実施例に限定されない。
【0095】
なお、実施例及び比較例で用いた原料は以下のとおりである。
【0096】
スチレン系ブロック共重合体(A1)
・スチレン−エチレン/ブチレン/スチレン−スチレン(S−E/B/S−S)共重合体 クレイトンポリマー社製 MD6951(スチレン含有量34質量%、Mw=100,000)
スチレン系ブロック共重合体(A2)
・スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)共重合体 クレイトンポリマー社製 MD1648(スチレン含有量20質量%、Mw=54,000)
スチレン系ブロック共重合体(A3)
・スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)共重合体 旭化成社製 H1041(スチレン含有量30質量%、Mw=61,000)
【0097】
可塑剤(B)
・パラフィン系プロセスオイル(B1) 出光興産社製 PS−32(流動点−17.5℃)
・炭化水素系合成オイル(B2) 三井化学社製 ルーカントHC−10(流動点−32.5℃)
・ナフテン系プロセスオイル(B3) Nynas社製 Nyflex222B(流動点−35℃)
【0098】
可塑剤(ワックス)(C)
・酢酸ビニルワックス(C1) Honeywell社製 AC−400(軟化点92℃、酸価13mgKOH/g)
・無水マレイン酸変性ワックス(C2) 日本精蝋社製 MAW−0300(軟化点75.5℃、酸価105mgKOH/g)
・ポリエチレンワックス(C3) Honeywell社製 AC−8(軟化点113℃)
【0099】
酸化防止剤
・フェノール系酸化防止剤 BASF社製 IRGANOX1010
【0100】
(実施例及び比較例)
上述した原料を、それぞれ表1に示した配合量で、加熱装置を備えた攪拌混練機中に投入した。150℃で90分間加熱しながら混練して、伸縮性ホットメルト組成物を製造した。
【0101】
得られた伸縮性ホットメルト組成物について、以下の測定条件により特性を評価した。
【0102】
(180℃溶融粘度)
ホットメルト接着剤を加熱溶融し、180℃における溶融状態の粘度を、ブルックフィールドRVT型粘度計(スピンドルNo.29)を用いて測定した。
【0103】
(塗工適性)
伸縮性ホットメルト組成物を、180℃に加熱した溶融タンクに投入し、180℃に加熱したスロットノズルから吐出させて、離型処理されたPETフィルムへ接触塗工した。この際の伸縮性ホットメルト組成物の塗工性を目視により観察し、以下の評価基準に従って評価した。
○:塗布ムラなく塗工可能である。
△:やや塗布ムラが見られるが使用上問題ない程度である。
×:塗布ムラが顕著に見られる、又は、所定量の伸縮性ホットメルト組成物が吐出されない。
【0104】
伸縮性ホットメルト組成物の塗工サンプルの調製方法
伸縮性ホットメルト組成物を180℃の塗工温度で、離型処理されたPETフィルム上にスロット塗工で塗布した。塗布量は50g/m、塗布幅は100mmとした。次いで、離型処理された別のPETフィルムを積層し、室温下で圧着させることで積層体を作成した。得られた積層体を23℃、相対湿度50%雰囲気下で24時間保管し、伸縮性ホットメルト組成物を室温に冷却して固化させた。次いで、固化した伸縮性ホットメルト組成物の両面のPETフィルムを剥離して、伸縮性ホットメルト組成物の塗工サンプルを調製した。
【0105】
(伸長性)
伸縮性ホットメルト組成物の塗工サンプルを、塗工方向に対して幅50mm、塗工方向に対して垂直な方向に100mmの短冊状に切断し、試験片を調製した。次いで、両面の離型処理されたPETフィルムを剥がし、治具幅50mmに設定した引張試験機へ伸縮性ホットメルト組成物の塗工方向と垂直な方向が上下に位置するように試験片を治具で固定し、引張速度500mm/分で試験片が破断する点まで引っ張った。試験片が破断した変位を破断伸び(%)とし、伸縮性ホットメルト組成物の伸長性の評価基準とした。
【0106】
(加熱安定性)
伸縮性ホットメルト組成物20gを70mlのガラス瓶に入れ、180℃で3日間静置した。次いで、室温条件下でホットメルト接着剤の分離、変色について目視で観察し、以下の評価基準に従って評価した。なお、評価が△以上であれば実使用において問題ないと評価できる。
◎:ホットメルト接着剤の分離は見られず、変色もない。
○:ホットメルト接着剤の分離は見られないが、変色の度合いが軽微である。
△:ホットメルト接着剤の分離は見られないが、変色の度合いが濃い。
×:ホットメルト接着剤の分離が見られ、変色の度合も濃い。
【0107】
(永久歪み)
伸縮性ホットメルト組成物の塗工サンプルを、塗工方向に対して幅50mm、塗工方向に対して垂直な方向に100mmの短冊状に切断し、試験片を調製した。次いで、両面の離型処理されたPETフィルムを剥がし、治具幅50mmに設定した引張り試験機に、伸縮性ホットメルト組成物の塗工方向と垂直な方向が上下に位置するように試験片を治具で固定し、引張速度500mm/分で試験片の歪み変位が300%となる点まで引張った。次いで、速度500mm/分で初期の位置まで戻した。歪み変位が300%となる点まで引張り、初期の位置に戻す工程を1サイクルとして、同一の試験片について2サイクル繰り返した。横軸を歪み変位(%)、縦軸を応力(N/mm)としたグラフにおいて、1サイクル目の引張り時における積分値をS1、2サイクル目の引張時における積分値をS2とし、以下の式により永久歪み(%)を算出した。
永久歪み(%)=(S2/S1)×100
【0108】
(2倍伸長時応力)
伸縮性ホットメルト組成物の塗工サンプルを、塗工方向に対して幅50mm、塗工方向に対して垂直な方向に100mmの短冊状に切断し、試験片を調製した。次いで、両面の離型処理されたPETフィルムを剥がし、治具幅50mmに設定した引張試験機に、伸縮性ホットメルト組成物の塗工方向と垂直な方向が上下に位置するように試験片を治具で固定し、引張速度500mm/分で試験片の歪み変位が300%となる点まで引張った。次いで、速度500mm/分で初期の位置まで戻した。歪み変位が300%となる点まで引張り、初期の位置まで戻す工程を1サイクルとして、同一の試験片について2サイクル繰り返した。1サイクル目の引張り時において歪み変位が100%となる点における応力の値を記録し、2倍伸長時応力(N/mm)とした。
【0109】
(動的粘弾性測定(tanδ極大値))
動的粘弾性測定装置を用いて、周波数を1Hzに固定して回転せん断モードで動的粘弾性測定を測定した。具体的には、以下の方法により動的粘弾性測定を行った、すなわち、伸縮性ホットメルト組成物を180℃で加熱溶融した後、離型処理されたPETフィルム上にたらした。次いで、離型処理された別のPETフィルムを伸縮ホットメルト組成物上に離型面が伸縮性ホットメルト組成物に接触するよう重ね合わせた。次いで、120℃に加熱した熱プレスで圧縮し、伸縮性ホットメルト組成物の厚みが約1〜2mmとなるように調整した。伸縮性ホットメルト組成物を離型フィルム間に挟んだ状態で23℃にて24時間静置した後、離型フィルムを除去して動的粘弾性測定用のサンプルを作製した。当該サンプルについて、動的粘弾性測定装置を用いて、周波数1Hzにて回転せん断モードで−80から130℃まで5℃/分の条件で昇温して、動的粘弾性測定(昇温過程)を行った。測定された貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G”から、損失正接tanδ(損失弾性率G”/貯蔵弾性率G’)を算出した。−60℃から−20℃の間にあるtanδが極大となる温度におけるtanδの値を記録し、tanδ極大値とした。なお、動的粘弾性測定装置は、ティーエーインスツルメント社製ローテェーショナルレオメーター(商品名「AR−G2」)を用いた。
【0110】
結果を表1に示す。
【0111】
【表1】
【0112】
伸縮性ホットメルト組成物の不織布塗工サンプルの調製方法
以下の方法により、実施例13及び14の不織布塗工サンプルを調製し、実施例13、14及び比較例3の試験片を調製した。
【0113】
実施例13
表1の実施例5の伸縮性ホットメルト組成物を、190℃の塗工温度で、スパンレース不織布(Suominen社製 F2650 目付:25g/m)上にカーテン塗工で塗布した。伸縮性ホットメルト組成物の塗布量は50g/mであった。次いで、離型処理されたPETフィルムを積層し、室温下で圧着させることで積層体を作成した。得られた積層体を23℃、相対湿度50%雰囲気下で24時間保管し、伸縮性ホットメルト組成物を室温に冷却して、伸縮性ホットメルト組成物の不織布塗工サンプルを調製した。
【0114】
上述のようにして調製した不織布塗工サンプルの片面の離型処理されたPETフィルムを剥離して、伸縮性積層体を調製した。次いで、伸縮性ホットメルト組成物の塗工方向(スパンレース不織布のMD方向)に50mm、塗工方向と垂直な方向(スパンレース不織布のCD方向)に100mmの大きさに切り出して、試験片を調製した。
【0115】
実施例14
伸縮性ホットメルト組成物の塗布量を80g/mとした以外は実施例13と同様にして、伸縮性ホットメルト組成物の不織布塗工サンプルを調製し、試験片を調製した。
【0116】
比較例3
伸縮性ホットメルト組成物を塗布していないスパンレース不織布(Suominen社製F2650 目付:25g/m)を用い、実施例13と同様の大きさに切り出して、試験片を調製した。
【0117】
実施例13、14及び比較例3で調製した各試験片を用いて、以下の測定方法により伸縮性積層体の永久歪み、及び、積層体の伸長時応力を測定した。
【0118】
(伸縮性積層体の永久歪み)
治具幅50mmに設定した引張り試験機に、伸縮性ホットメルト組成物の塗工方向と垂直な方向が上下に位置するように試験片を治具で固定し、引張速度500mm/分で試験片の歪み変位が50%となる点まで引張った。次いで、速度500mm/分で初期の位置まで戻した。歪み変位が300%となる点まで引張り、初期の位置に戻す工程を1サイクルとして、同一の試験片について2サイクル繰り返した。横軸を歪み変位(%)、縦軸を応力(N/mm)としたグラフにおいて、1サイクル目の引張り時における積分値をS’1、2サイクル目の引張時における積分値をS’2とし、以下の式により伸縮性積層体の永久歪み(%)を算出した。
伸縮性積層体の永久歪み(%)=(S’2/S’1)×100
【0119】
(伸縮性積層体の伸長時応力)
治具幅50mmに設定した引張り試験機に、伸縮性ホットメルト組成物の塗工方向と垂直な方向が上下に位置するように試験片を治具で固定し、引張速度500mm/分で試験片の歪み変位が50%となる点まで引張った。次いで、速度500mm/分で初期の位置まで戻した。歪み変位が50%となる点まで引張り、初期の位置に戻す工程を1サイクルとして、同一の試験片について2サイクル繰り返した。1サイクル目の引張り時において歪み変位が50%となる点における応力の値を記録し、伸縮性積層体の伸長時応力(N/mm)とした。
【0120】
結果を表2に示す。
【0121】
【表2】