【解決手段】基体と、基体に設けられ、複数の柱状部を有する積層体と、を有し、柱状部は、第1半導体層32と、第1半導体層と導電型の異なる第2半導体層36と、第1半導体層と第2半導体層との間に設けられている発光層340と、を有し、第1半導体層は、ファセット面2と、c面4と、m面6と、を有し、発光層は、ファセット面に設けられているファセット面領域340aと、c面に設けられているc面領域340bと、を有し、発光層は、m面に設けられている領域を有しておらず、積層体の積層方向から見た平面視において、c面領域は、ファセット面領域よりも大きい、発光装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0012】
1. 第1実施形態
1.1. 発光装置
まず、第1実施形態に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、第1実施形態に係る発光装置100を模式的に示す断面図である。
【0013】
発光装置100は、
図1に示すように、基体10と、積層体20と、第1電極50と、第2電極52と、を有している。
【0014】
基体10は、例えば、板状の形状を有している。基体10は、例えば、シリコン(Si)基板、窒化ガリウム(GaN)基板、サファイア基板などである。
【0015】
積層体20は、基体10に設けられている。図示の例では、積層体20は、基体10上に設けられている。積層体20は、例えば、バッファー層22と、複数の柱状部30と、絶縁層40と、を有している。なお、本発明において、「主面」とは、基体10の上面、すなわち、基体10の、積層体20が設けられている側の面である。
【0016】
なお、本発明において、「上」とは、積層体20の積層方向(以下、単に「積層方向」ともいう)において、柱状部30のSQW(Single Quantum Well)層34からみて基体10から遠ざかる方向であり、「下」とは、積層方向において、SQW層34からみて基体10に近づく方向である。また、本発明において、「積層体20の積層方向」とは、柱状部30の第1半導体層32とSQW層34との積層方向であり、第1半導体層32のc軸方向である。
【0017】
バッファー層22は、基体10上に設けられている。バッファー層22は、基体10の主面11に設けられている。バッファー層22は、例えば、シリコンがドープされたn型のGaN層である。バッファー層22上には、柱状部30を形成するためのマスク層60が設けられている。マスク層60は、例えば、チタン層、酸化チタン層、酸化シリコン層、酸化アルミニウム層などである。
【0018】
柱状部30は、バッファー層22上に設けられている。積層方向から見た柱状部30の平面形状は、例えば、多角形、円などである。柱状部30の径は、nmオーダーであり、例えば、10nm以上500nm以下である。柱状部30は、ナノコラム、ナノワイヤー、ナノロッド、ナノピラーとも呼ばれる。柱状部30の積層方向の大きさは、例えば、0.1μm以上5μm以下である。
【0019】
なお、本発明において、「径」とは、柱状部30の積層方向から見た平面形状が円の場合は、直径であり、柱状部30の積層方向から見た平面形状が多角形の場合は、該多角形を内部に含む最小の円、すなわち最小包含円の直径である。
【0020】
柱状部30は、複数設けられている。隣り合う柱状部30の間隔は、例えば、1nm以上500nm以下である。複数の柱状部30は、積層方向から見た平面視において(以下、単に「平面視において」ともいう)、所定の方向に所定のピッチで配列されている。複数の柱状部30は、平面視において、例えば、三角格子状、四角格子状などに配置されている。複数の柱状部30は、フォトニック結晶の効果を発現することができる。
【0021】
柱状部30は、第1半導体層32と、SQW層34と、第2半導体層36と、を有している。
【0022】
第1半導体層32は、バッファー層22上に設けられている。第1半導体層32は、基体10とSQW層34との間に設けられている。第1半導体層32は、例えば、窒化ガリウムを含むn型の半導体層である。第1半導体層32は、例えば、シリコンがドープされたn型のGaN層である。
【0023】
SQW層34は、第1半導体層32上に設けられている。SQW層34は、第1半導体層32と第2半導体層36との間に設けられている。SQW層34は、不純物がドープされていないi型の半導体層である。SQW層34は、発光層340と、バリア層342と、を有している。SQW層34は、発光層340およびバリア層342から構成された単一量子井戸構造を有している。
【0024】
発光層340は、積層方向において、バリア層342に挟まれている。発光層340は、窒化インジウムガリウム(InGaN)を含む。発光層340は、例えば、不純物がドープされていないi型のInGaN層である。発光層340は、第1半導体層32と第2半導体層36との間に挟まれ、電流が注入されることで光を発生させる層である。
【0025】
バリア層342は、窒化ガリウムを含む。バリア層342は、例えば、不純物がドープされていないi型のGaN層である。なお、バリア層342は、i型のInGaN層であってもよい。この場合、バリア層342のインジウムの濃度は、発光層340のインジウムの濃度よりも低い。バリア層342のバンドギャップは、発光層340のバンドギャップよりも大きい。
【0026】
第2半導体層36は、SQW層34上に設けられている。第2半導体層36は、第1半導体層32と導電型の異なる層である。第2半導体層36は、例えば、窒化ガリウムを含
むp型の半導体層である。第2半導体層36は、例えば、マグネシウム(Mg)がドープされたp型のGaN層である。第1半導体層32および第2半導体層36は、SQW層34に光を閉じ込める機能を有するクラッド層である。
【0027】
絶縁層40は、隣り合う柱状部30の間に設けられている。絶縁層40は、マスク層60上に設けられている。絶縁層40は、柱状部30の側面を覆っている。すなわち、絶縁層40は、第1半導体層32の側面、SQW層34の側面、および第2半導体層36の側面を覆っている。絶縁層40の屈折率は、柱状部30の屈折率よりも低い。例えば、絶縁層40の屈折率は、第1半導体層32の屈折率、SQW層34の屈折率、および第2半導体層36の屈折率よりも低い。絶縁層40は、例えば、窒化ガリウムを含むi型の半導体層である。絶縁層40は、例えば、不純物がドープされていないGaN層である。
【0028】
絶縁層40は、SQW層34で発生した光を伝搬する光伝搬層として機能する。また、絶縁層40は、SQW層34の側面での非発光再結合を抑制するための保護膜としても機能する。なお、絶縁層40は、GaN層に限定されず、光伝搬層および保護膜としての機能を有していれば、AlGaN層など、その他の絶縁層であってもよい。
【0029】
第1電極50は、バッファー層22上に設けられている。バッファー層22は、第1電極50とオーミックコンタクトしていてもよい。第1電極50は、第1半導体層32と電気的に接続されている。図示の例では、第1電極50は、バッファー層22を介して、第1半導体層32と電気的に接続されている。第1電極50は、SQW層34に電流を注入するための一方の電極である。第1電極50としては、例えば、バッファー層22側から、Ti層、Al層、Au層の順序で積層したものなどを用いる。なお、基体10が導電性の場合には、図示はしないが、第1電極50は、基体10の下に設けられていてもよい。
【0030】
第2電極52は、積層体20の基体10側とは反対側に設けられている。図示の例では、第2電極52は、第2半導体層36上に設けられている。第2半導体層36は、第2電極52とオーミックコンタクトしていてもよい。第2電極52は、第2半導体層36と電気的に接続されている。第2電極52は、SQW層34に電流を注入するための他方の電極である。第2電極52としては、例えば、ITO(indium tin oxide)などを用いる。
【0031】
発光装置100では、p型の第2半導体層36、SQW層34、およびn型の第1半導体層32により、pinダイオードが構成される。発光装置100では、第1電極50と第2電極52との間に、pinダイオードの順バイアス電圧を印加すると、SQW層34に電流が注入されて発光層340において電子と正孔との再結合が起こる。この再結合により発光が生じる。発光層340において発生した光は、第1半導体層32および第2半導体層36により積層方向と直交する方向に絶縁層40を通って伝搬し、複数の柱状部30によるフォトニック結晶の効果により定在波を形成し、発光層340において利得を受けてレーザー発振する。そして、発光装置100は、+1次回折光および−1次回折光をレーザー光として、積層方向に出射する。
【0032】
なお、図示はしないが、基体10とバッファー層22との間、または基体10の下に反射層が設けられていてもよい。該反射層は、例えば、DBR(Distributed Bragg Reflector)層である。該反射層によって、発光層340において発生した光を反射させることができ、発光装置100は、第2電極52側からのみ光を出射することができる。
【0033】
図2は、第1半導体層32、SQW層34、および第2半導体層36を模式的に示す断面図である。
【0034】
第1半導体層32は、例えば、ウルツ鉱型結晶構造を有するGaN結晶である。第1半
導体層32は、
図2に示すように、ファセット面2と、c面4と、m面6と、を有している。c面4は、例えば、
図1に示す基体10の主面11に対して平行な面である。ファセット面2は、例えば、基体10の主面11に対して傾斜している面である。すなわち、ファセット面2は、c面4に対して傾斜している。m面6は、基体10の主面11に対して垂直な面である。すなわち、m面6は、c面4に対して垂直である。c面4は、(0001)面であり、ファセット面2は、例えば、{1−101}面、{11−22}面などであり、m面6は、例えば、{10−10}面である。
【0035】
発光層340は、第1半導体層32のファセット面2に設けられているファセット面領域340aと、第1半導体層32のc面4に設けられているc面領域340bと、を有している。本実施形態では、発光層340は、第1半導体層32のm面6に設けられている領域を有していない。
【0036】
ファセット面領域340aは、発光層340において、第1半導体層32のファセット面2の影響を受けて結晶成長した領域である。図示の例では、ファセット面領域340aは、バリア層342を介して、第1半導体層32のファセット面2に設けられている。ファセット面領域340aは、第1半導体層32のファセット面2で窒化ガリウムをエピタキシャル成長させて形成されたバリア層342上で、窒化インジウムガリウムをエピタキシャル成長させて形成されている。そのため、ファセット面領域340aは、第1半導体層32のファセット面2の影響を受けて結晶成長する。ファセット面領域340aの下面3aおよび上面3bは、ファセット面である。
【0037】
c面領域340bは、発光層340において、第1半導体層32のc面4の影響を受けて結晶成長した領域である。図示の例では、c面領域340bは、バリア層342を介して、第1半導体層32のc面4に設けられている。c面領域340bは、第1半導体層32のc面4でエピタキシャル成長させて形成されたバリア層342上で、窒化インジウムガリウムを結晶成長させて形成されている。そのため、c面領域340bは、第1半導体層32のc面4の影響を受けて結晶成長する。c面領域340bの下面5aおよび上面5bは、c面である。
【0038】
なお、上記では、第1半導体層32と発光層340との間にバリア層342が設けられている場合について説明したが、第1半導体層32上に、直接、発光層340が設けられていてもよい。この場合、第1半導体層32のファセット面2に、直接、設けられた発光層340がファセット面領域340aを構成し、第1半導体層32のc面4に、直接、設けられた発光層340がc面領域340bを構成する。
【0039】
ファセット面領域340aの膜厚は、c面領域340bの膜厚よりも小さい。ファセット面領域340aの膜厚は、下面3aの垂線方向におけるファセット面領域340aの厚さである。c面領域340bの膜厚は、下面5aの垂線方向におけるc面領域340bの厚さである。なお、図示はしないが、ファセット面領域340aは、c面領域340bから離れるに従って膜厚が薄くなっていてもよい。
【0040】
第1半導体層32のm面6には、
図1に示すように、絶縁層40が設けられており、発光層340は設けられていない。このように、柱状部30は、コアシェル構造を有していない。コアシェル構造とは、柱状の第1半導体層32の全体をSQW層34および第2半導体層36で覆うように形成された構造である。
【0041】
c面領域340bのインジウムの濃度は、ファセット面領域340aのインジウムの濃度よりも高い。
【0042】
図3は、発光層340を模式的に示す平面図である。
図3に示す平面図は、積層方向から見た平面視における発光層340を図示している。
【0043】
図3に示すように、積層方向から見た平面視において、c面領域340bは、ファセット面領域340aよりも大きい。積層方向から見た平面視におけるc面領域340bの大きさは、
図2に示すc面領域340bの上面5bの面積である。また、積層方向から見た平面視におけるファセット面領域340aの大きさは、ファセット面領域340aの上面3bの面積をSとし、
図2に示すc面領域340bの上面5bに対するファセット面領域340aの上面3bの傾きをθとした場合に、S×cosθで表される。なお、積層方向から見た平面視は、例えば、c面領域340bの垂線方向(c軸方向)から見た平面視と言い換えることができる。
【0044】
発光装置100は、例えば、以下の特徴を有する。
【0045】
発光装置100では、発光層340は、第1半導体層32のファセット面2に設けられているファセット面領域340aと、第1半導体層32のc面4に設けられているc面領域340bと、を有し、平面視において、c面領域340bは、ファセット面領域340aよりも大きい。そのため、発光装置100では、柱状部30の結晶欠陥を減少させることができる。以下、その理由について説明する。
【0046】
例えば、平面視において第1半導体層32のc面4がファセット面2に比べて小さい場合、c面領域340bはファセット面領域340aよりも小さくなる。ここで、発光層340を結晶成長させる場合、c面領域340bは、ファセット面領域340aよりも多くのインジウムを取り込むことができ、成長速度が速い。そのため、平面視において第1半導体層32のc面4がファセット面2に比べて小さい場合、c面領域340bの膜厚が大きくなる。この結果、格子不整合による歪みが大きくなり、結晶欠陥が生じてしまう。このような結晶欠陥は、電流リークの原因となる。
【0047】
発光装置100では、平面視において、c面領域340bがファセット面領域340aよりも大きいため、c面領域340bがファセット面領域340aよりも小さい場合と比べて、c面領域340bの膜厚を薄くできる。そのため、格子不整合による歪みを小さくでき、結晶欠陥を減少させることができる。
【0048】
このように、発光装置100では、柱状部30の結晶欠陥を減少させることができるため、高い発光効率を有することができる。
【0049】
また、発光装置100では、平面視において、c面領域340bがファセット面領域340aよりも大きいため、柱状部30間を積層方向と直交する方向に伝搬する光(電場)と、発光層340との重なりを大きくできる。これにより、発光層340に光を閉じ込める効果を高めることができる。また、発光装置100では、c面領域340bの膜厚を薄くできるため、インジウム組成の揺らぎを低減でき、発光波長のばらつきを低減できる。
【0050】
発光装置100では、第1半導体層32のm面6には、発光層340が設けられていない。そのため、発光装置100では、高い発光効率を有することができる。ここで、第1半導体層32のm面6に設けられた発光層340には、貫通転位などによって非発光部位が多く形成されるため、発光効率が低下してしまう。発光装置100では、第1半導体層32のm面6には、発光層340が設けられていないため、発光層340の非発光部位の低減を図ることができ、高い発光効率を有することができる。
【0051】
発光装置100では、c面領域340bのインジウムの濃度は、ファセット面領域34
0aのインジウムの濃度よりも高い。ここで、柱状部30間を伝搬する光の伝搬方向は、c面の面内方向である。また、発光層340のインジウムの濃度が高いほど、発光層340に光を閉じ込めることができる。したがって、発光装置100では、柱状部30間を伝搬する光を、発光層340に効率よく閉じ込めることができる。
【0052】
発光装置100では、ファセット面領域340aの膜厚は、c面領域340bの膜厚よりも小さい。そのため、発光装置100では、ファセット面領域340aにおいて、格子不整合に起因する結晶欠陥を減少させることができる。
【0053】
1.2. 発光装置の製造方法
次に、発光装置100の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
図4および
図5は、発光装置100の製造工程を模式的に示す断面図である。
【0054】
図4に示すように、基体10上に、バッファー層22をエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長させる方法としては、例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法などが挙げられる。
【0055】
次に、バッファー層22上に、マスク層60を形成する。マスク層60は、例えば、電子ビーム蒸着法やプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法などによる成膜、ならびにフォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によるパターニングによって形成される。
【0056】
図5に示すように、マスク層60をマスクとして、バッファー層22上に、第1半導体層32をエピタキシャル成長させる。
【0057】
第1半導体層32は、
図2に示すように、平面視において、c面4がファセット面2よりも大きくなるように形成される。例えば、第1半導体層32をMOCVD法によって形成する場合、ガリウムの供給量に対して、窒素の供給量を増加させることで、平面視においてc面4をファセット面2よりも大きくできる。また、例えば、第1半導体層32をMBE法によって形成する場合、マスク層60をマスクとして、バッファー層22上にGaN層を成長させた後、ガリウムと窒素の比を変えてGaN層を成長させる。このようにして第1半導体層32を成長させることにより、平面視においてc面4をファセット面2よりも大きくできる。
【0058】
次に、例えば、第1半導体層32上に、SQW層34をエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長させる方法としては、例えば、MBE法が挙げられる。
【0059】
本工程では、まず、ガリウムおよび窒素を供給して、第1半導体層32上に、バリア層342の一部をエピタキシャル成長させる。次に、インジウム、ガリウム、および窒素を供給して、バリア層342上に、発光層340をエピタキシャル成長させる。これにより、
図2に示すように、ファセット面領域340aおよびc面領域340bが形成される。第1半導体層32は、平面視において、c面4がファセット面2よりも大きくなるように形成されているため、平面視において、c面領域340bはファセット面領域340aよりも大きく形成される。また、c面領域340bは、ファセット面領域340aよりもインジウムを多く取り込むため、c面領域340bのインジウムの濃度は、ファセット面領域340aのインジウムの濃度よりも高くなる。次に、インジウムの供給を遮断して、ガリウム、および窒素を供給し、発光層340上に、バリア層342をエピタキシャル成長させる。以上の工程により、SQW層34を形成することができる。
【0060】
なお、図示はしないが、バリア層342上に発光層340をエピタキシャル成長させる
際に、InGaN層が第1半導体層32のm面6に設けられる場合がある。第1半導体層32のm面6に設けられたInGaN層は、第1半導体層32および第2半導体層36に挟まれていないため、発光層340とはいえない。第1半導体層32のm面6に設けられたInGaN層の膜厚は、例えば、c面領域340bの膜厚よりも小さい。これにより、InGaN層に生じる結晶欠陥を減少させることができる。m面6に設けられるInGaN層の膜厚は、例えば、5nm以下である。
【0061】
次に、
図5に示すように、SQW層34上に、第2半導体層36をエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長させる方法としては、例えば、MBE法が挙げられる。
【0062】
以上の工程により、基体10上に、複数の柱状部30を形成することができる。
【0063】
図1に示すように、隣り合う柱状部30の間に、絶縁層40を形成する。絶縁層40は、例えば、MOCVD法、スピンコート法などによって形成される。絶縁層40は、第1半導体層32の側面であるm面6、SQW層34の側面、および第2半導体層36の側面に設けられる。以上の工程により、積層体20を形成することができる。
【0064】
次に、バッファー層22上に第1電極50を形成し、第2半導体層36上に第2電極52を形成する。第1電極50および第2電極52は、例えば、真空蒸着法などにより形成される。なお、第1電極50および第2電極52の形成順序は、特に限定されない。
【0065】
以上の工程により、発光装置100を製造することができる。
【0066】
2. 第2実施形態
2.1. 発光装置
次に、第2実施形態に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。
図6は、第2実施形態に係る発光装置200を模式的に示す断面図である。
図7は、発光装置200の、第1半導体層32、MQW(multi quantum well)層35、および第2半導体層36を模式的に示す断面図である。
【0067】
以下、第2実施形態に係る発光装置200において、上述した第1実施形態に係る発光装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0068】
上述した発光装置100では、柱状部30は、SQW層34を有していた。これに対して、発光装置200では、柱状部30は、MQW層35を有している。MQW層35は、
図7に示すように、複数の発光層340を有する多重量子井戸構造を有している。
図7に示す例では、発光層340は、3つであるが、その数は特に限定されない。
【0069】
発光装置200では、3つの発光層340は、それぞれファセット面領域340aと、c面領域340bと、を有している。また、平面視において、c面領域340bは、ファセット面領域340aよりも大きい。そのため、発光装置200では、柱状部30の結晶欠陥を減少させることができる。
【0070】
2.2. 発光装置の製造方法
発光装置200の製造方法は、SQW層34に変えてMQW層35を形成する点を除いて、上述した発光装置100の製造方法と同じであり、その説明を省略する。
【0071】
3. 第3実施形態
次に、第3実施形態に係るプロジェクターについて、図面を参照しながら説明する。図
8は、第3実施形態に係るプロジェクター1000を模式的に示す図である。
【0072】
プロジェクター1000は、本発明に係る発光装置を有している。以下では、本発明に係る発光装置として発光装置100を有する場合について説明する。
【0073】
プロジェクター1000は、
図8に示すように、光源としての発光装置100と、光変調素子120と、クロスダイクロイックプリズム130と、投射レンズ140と、を有している。プロジェクター1000は、さらに、図示はしないが、筐体を有している。筐体は、発光装置100、光変調素子120、クロスダイクロイックプリズム130、および投射レンズ140を収容している。
【0074】
プロジェクター1000は、赤色光、緑色光、青色光をそれぞれ出射する赤色光源100R、緑色光源100G、青色光源100Bと、を有している。赤色光源100R、緑色光源100G、および青色光源100Bの各々は、例えば、複数の発光装置100をアレイ状に配置させ、複数の発光装置100において基体10を共通基板としたものであってもよい。なお、便宜上、
図8では、赤色光源100R、緑色光源100G、および青色光源100Bを簡略化している。
【0075】
光変調素子120は、光源100R,100G,100Bから出射された光を、画像情報に応じて変調させる。光変調素子120は、例えば、光源100R,100G,100Bから出射された光を透過させる透過型の液晶ライトバルブである。プロジェクター1000は、LCD(liquid crystal display)プロジェクターである。
【0076】
光変調素子120は、複数設けられている。具体的には、光変調素子120は、3つ設けられている。3つの光変調素子120のうちの第1光変調素子120Rは、赤色光源100Rから出射された光を変調させる。3つの光変調素子120のうちの第2光変調素子120Gは、緑色光源100Gから出射された光を変調させる。3つの光変調素子120のうちの第3光変調素子120Bは、青色光源100Bから出射された光を変調させる。
【0077】
図示の例では、プロジェクター1000は、入射側偏光板150と、出射側偏光板152と、を有している。入射側偏光板150は、光源100R,100G,100Bから出射された光の偏光を整え、光変調素子120R,120G,120Bに入射させる。出射側偏光板152は、光変調素子120R,120G,120Bを透過した光を検光し、クロスダイクロイックプリズム130に入射させる。なお、光源100R,100G,100Bから出射された光が直線偏光であれば、入射側偏光板150を備えていなくてもよい。
【0078】
クロスダイクロイックプリズム130は、赤色光源100Rから出射された光、緑色光源100Gから出射された光、および青色光源100Bから出射された光を合成する。図示の例では、クロスダイクロイックプリズム130は、第1光変調素子120Rで変調された光、第2光変調素子120Gで変調された光、および第3光変調素子120Bで変調された光を合成する。
【0079】
クロスダイクロイックプリズム130は、4つの直角プリズムを貼り合わせて形成され、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に配置されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成され、カラー画像を表す光が形成される。
【0080】
投射レンズ140は、クロスダイクロイックプリズム130で合成された光を、図示せぬスクリーン上に投射する。スクリーンには、拡大された画像が表示される。
【0081】
なお、上記では、プロジェクター1000が光変調装置として透過型の液晶ライトバルブを用いた場合について説明したが、反射型のライトバルブを用いてもよい。例えば、本発明に係るプロジェクターは、反射型のライトバルブを用いたLCoS(Liquid Crystal
on Silicon)プロジェクターであってもよい。
【0082】
また、光源100R,100G,100Bを、光源100R,100G,100Bからの光をスクリーン上で走査させることにより、表示面に所望の大きさの画像を表示させる画像形成装置である走査手段を有するような走査型の画像表示装置の光源装置にも適用することが可能である。
【0083】
4. 第4実施形態
次に、第4実施形態に係るプロジェクターについて、図面を参照しながら説明する。
図9は、第4実施形態に係るプロジェクター2000を模式的に示す図である。
図10は、第4実施形態に係るプロジェクター2000の光変調素子120を模式的に示す断面図である。
【0084】
以下、第4実施形態に係るプロジェクター2000において、上述した第3実施形態に係るプロジェクター1000の例と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。
【0085】
上述したプロジェクター1000は、
図8に示すように、光変調素子120は、透過型の液晶ライトバルブであった。これに対し、プロジェクター2000は、
図9および
図10に示すように、光変調素子120は、光源100R,100G,100Bから出射された光を反射させるDMD(Digital Micromirror Device、登録商標)である。プロジェクター2000は、DLP(Digital Light Processing、登録商標)である。
【0086】
プロジェクター2000は、
図9に示すように、TIR(Total Internal Reflection)プリズム160を有している。光源100R,100G,100Bから出射された光は、クロスダイクロイックプリズム130で合成された後、TIRプリズム160を介して、光変調素子120に入射する。TIRプリズム160は、クロスダイクロイックプリズム130で合成された光を、光変調素子120に導き、かつ、光変調素子120で変調された光を、投射レンズ140に導く。
【0087】
光変調素子120は、クロスダイクロイックプリズム130で合成された光を変調させる。プロジェクター2000は、光変調素子120を1つ有している。図示の例では、光変調素子120は、クロスダイクロイックプリズム130で合成され、TIRプリズム160を通った光を変調させる。
【0088】
光変調素子120は、
図10に示すように、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)基板230と、ヨークアドレス電極232,234と、ミラーアドレス電極236と、ヨーク238と、支柱240と、ミラー242と、を有している。
【0089】
CMOS基板230は、1画素に相当するミラー242ごとに、SRAM(Static Random Access Memory)回路を有している。SRAM回路は、CMOS基板230に設けられたヨークアドレス電極232,234とミラーアドレス電極236とに、ミラー242の向きを定めるための電圧を供給する。図示の例では、ヨークアドレス電極232,234間に、SRAM回路と電気的に接続された配線244が設けられている。
【0090】
ヨーク238には、図示はしないが、両端が支持された梁状のヒンジが設けられている
。ヨーク238は、剛性のある膜である。ヨーク238に、支柱240を介して、ミラー242が設けられている。ミラー242およびヨーク238は、ヒンジによって、傾斜可能に設けられている。
【0091】
ミラー242は、複数の画素に対応して複数設けられている。複数のミラー242は、2次元マトリックス状に配置されている。光変調素子120は、入力された画像情報に応じて、入射した光に対しミラー242の向きを変えることで光を変調させる。
【0092】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0093】
上述した実施形態では、発光装置100が、レーザーである場合について説明したが、本発明に係る発光装置は、LED(Light Emitting Diode)であってもよい。また、本発明に係る発光装置は、光励起によってレーザー動作を行う装置であってもよい。
【0094】
また、本発明に係る発光装置の用途は、上述した実施形態に限定されず、プロジェクター以外にも、屋内外の照明、ディスプレイのバックライト、レーザープリンター、スキャナー、車載用ライト、光を用いるセンシング機器、通信機器等の光源としても用いることが可能である。
【0095】
本発明は、本願に記載の特徴や効果を有する範囲で一部の構成を省略したり、各実施形態や変形例を組み合わせたりしてもよい。
【0096】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成を含む。実質的に同一の構成とは、例えば、機能、方法、及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成である。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。