【解決手段】蒸気によって内部の食品を殺菌する殺菌室2が設けられた食品殺菌装置1であって、殺菌室2の減圧手段と、蒸気供給手段と、殺菌室2の開口部81、91に設けられ、殺菌室2を開放または密閉する開閉機構85、95と、開口部81、91を取り囲むように第1のパッキンと、開口部81、91を取り囲むように第2のパッキンと、を備え、開閉機構85、95は外扉82o、92oと、内扉82i、92iと、を有し、壁8、9を挟んで外扉82o、92oおよび内扉82i、92iが回動し、第1のパッキンを介して外扉82o、92oが外壁面に押し付けられ、第2のパッキンを介して内扉82i、92iが内壁面に押し付けられることにより開口部81、91を密閉する食品殺菌装置。
前記減圧手段は、前記殺菌室と、前記外扉および前記内扉によって挟まれて閉じられた前記開口部の空間とを真空引きする真空装置であることを特徴とする請求項1に記載の食品殺菌装置。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る食品殺菌装置の概要図。
【
図3】無菌包装米飯の製造工程を示すフローチャート。
【
図4】食品殺菌装置の前方における特徴的開閉構造を示す部分断面図(閉鎖時)。
【
図5】食品殺菌装置の前方における特徴的開閉構造を示す部分断面図(開放時)。
【
図6】食品殺菌装置の前方におけるパッキンを示す概要図。
【
図7】食品殺菌装置の後方における特徴的開閉構造を示す部分断面図(閉鎖時)。
【
図8】食品殺菌装置の後方における特徴的開閉構造を示す部分断面図(開放時)。
【
図9】食品殺菌装置の後方におけるパッキンを示す概要図。
【0015】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0016】
1.無菌包装米飯Rの製造工程
図1は、本発明の実施形態に係る食品殺菌装置1の構成を示している。食品殺菌装置1は、
図2に示される無菌包装米飯R(ここでは便宜上、米r、容器Cなどを包含するものとし、製造工程の完了是非に限らず概念として定義)を製造する過程で使用されうる。具体的には、無菌包装米飯Rの一連の製造工程(
図3参照)における蒸気殺菌工程(ステップS2)で使用されうる。第1節では、装置の説明に先立ち、
図3に示されるフローチャートの各ステップに沿って無菌包装米飯Rの一連の製造工程を簡単に説明する。
【0017】
[開始]
(ステップS1)
酸素不透過性の容器Cに米rを定量充填する。より詳しくは、精米機により精米された米r(精白米)が貯蔵庫に貯蔵されており、洗米・浸漬して10〜30%程度の含水率に調整した上で、容器Cに個食分の定量(例えば50〜300g)を充填する。
【0018】
(ステップS2)
定量の米rが充填された容器Cが食品殺菌装置1における殺菌室2に投入される。その後食品殺菌装置1が有する特徴的開閉構造(第2節にて詳述)により殺菌室2が密閉されるとともに、殺菌室2内の空気を外に排出して殺菌室2内の圧力が減圧される。その後、殺菌室2内に蒸気を供給することで容器Cと容器C内の米rが同時に殺菌される。事前に減圧していることで、蒸気が食品収容部Ca内の隅々まで満遍なく行き渡って全体にムラなく均一に殺菌され、一般生菌だけでなく耐熱生菌をも実質的に死滅させる。同時に、食品収容部Ca内の米rが加熱されることによってアルファ化が若干促進されるため、その後の炊飯を短時間で効率的に行うことができる。
【0019】
(ステップS3)
容器Cの食品収容部Ca内に定量の炊き水(水または湯)を注水する。炊き水はあらかじめ無菌化処理されたものを用い、また、所定pHにあらかじめ調整されたものを用いることができる。なお、混ぜご飯や赤飯などのパック製品を製造する場合は、この工程において、またはその前後に付加した別工程において、必要な調味液、着色液、具材などを添加する。その後、蒸気炊飯機(不図示)に投入して蒸気炊飯が行われる。
【0020】
(ステップS4)
蒸気炊飯が完了後、炊飯された米rを収容する容器Cを順次にシール装置(不図示)に投入して、あらかじめUV殺菌された蓋材Clを容器Cに被着して密封シールする。そして、所定時間蒸らしを行って、炊飯後の上層部と下層部の水分量の均一化を図ると同時にアルファ化の促進を図る。蒸らし処理に先立って、密封シールされた容器Cを上下反転させると、上下の水分量の均等化を促進させるのに有効である。
【0021】
(ステップS5)
最後に、冷却水による冷却、製造年月日や賞味期限などの印刷、ピンホール検査、ウエイトチェックなどといった製品化のために必要な後処理を経て、所望の無菌包装米飯Rが製造される。
[終了]
【0022】
このようにして製造された無菌包装米飯Rは、一連の処理工程の間で外気に触れる可能性のある処理領域はクリーンブースで外気から遮断されており、且つ、酸素不透過性の容器Cおよび蓋材Clで内容物(米r)が外気から遮断されていて二次汚染を防止しているため、実質的な無菌状態が維持され、常温でも長期間(6ヶ月〜1年またはさらにそれ以上)の保存が可能である。したがって、消費者は購入後、電子レンジで1〜3分程度温めれば炊き立てと同様の食味および食感の炊飯された米rを手軽に食することができる。また、コンビニなどの販売店にとっては、過剰な仕入れによる廃棄ロスや過小な仕入れによる売上チャンスロスがなくなり、きわめて大きなコストメリットが得られる。
【0023】
2.食品殺菌装置1
第2節では、
図1および
図4〜
図9を参照しながら、本実施形態に係る食品殺菌装置1について説明する。
【0024】
2.1 殺菌室2における吸排系3〜6
食品殺菌装置1は、装置の略中央に殺菌室2を備え、かかる殺菌室2は、蒸気供給口3と吸気口4とを備える。また、説明の便宜上、
図1における左側を前方と定義し、右側を後方と定義するものとする。
【0025】
殺菌室2に設けられた吸気口4は、真空装置5(特許請求の範囲における「減圧手段」の一例)とパイプ5pを介して接続され、真空装置5は、密閉された殺菌室2中に充満している空気または蒸気を吸気して排出することで殺菌室2内の圧力を最大で略真空状態にまで減圧可能に構成される。本実施形態では、真空装置5が吸気口4を介して行う減圧が、蒸気供給装置6が蒸気供給口3を介して行う蒸気の供給より前に行われることに留意されたい。特に、蒸気の供給前に実施される減圧では、例えば略真空引きされることが好ましい。また、食品殺菌装置1における殺菌室2を密閉するための特徴的開閉構造については、第2.2節において詳述する。
【0026】
殺菌室2に設けられた蒸気供給口3は、蒸気供給装置6(特許請求の範囲における「蒸気供給手段」の一例)とパイプ6pおよび蒸気供給口3を介して接続され、蒸気供給装置6は、密閉された殺菌室2中に蒸気を供給可能に構成される。
【0027】
なお、食品殺菌装置1は、蒸気供給装置6による蒸気の温度、圧力、供給回数、供給時間などを任意に設定可能である。ここで、蒸気の供給回数について補足する。1回の工程では、蒸気供給装置6より蒸気がパイプ6pを介して殺菌室2内に供給され、殺菌室2内が高圧状態となるものの、所定時間経過後、殺菌室内2の蒸気が排気されて、殺菌室2内が常圧に戻る。これらの工程の回数が供給回数である。
【0028】
ところで厚生労働省は、レトルト殺菌食品の規格基準について、pHが5.5を超え、且つ水分活性が0.94を超える食品をレトルト殺菌する場合、食品の中心についてF値4以上またはこれと同等の効力を有する方法で殺菌することを定めている。
【0029】
このような規定があることから、食品の中心まで条件(規格基準)を満たすような殺菌を実施する必要がある。前述の通り本実施形態では、真空装置5が吸気口4を介して行う減圧が、蒸気供給装置6が蒸気供給口3を介して行う蒸気の供給より前に行われることに留意されたい。これにより、減圧を行わずに蒸気を供給する場合に比べて、蒸気が食品収容部Ca内の隅々まで満遍なく行き渡って、全体にムラなく均一に殺菌処理がなされるという有利な効果を奏する。換言すると、厚生労働省が規定する前述の条件を確実に満たすような殺菌を実施することができる。また、適切なF値を設定した上での供給回数は、例えば2〜10回であり、好ましくは3〜6回であり、さらに好ましくは4または5回であり、具体的には例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10回であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0030】
また、1回の蒸気の供給が所定のF値を有するものであった場合に、前述のように事前に減圧してから蒸気を供給すると、減圧を行わずに蒸気を供給する場合に比べて、合計の供給回数を少なくしつつ、前述の条件を満たすような殺菌を実施することができる。なお、少なくすることができる回数の割合は、例えば1〜20%程度である。
【0031】
殺菌室2に投入される製造前の無菌包装米飯Rは、所定のリテーナ7によって複数保持されている。実際の大量生産の現場においては、無菌包装米飯Rを保持したリテーナ7が次々とバッチ連続式に投入・交換され、連続的に第1節において説明したステップS2(
図3参照)が実行されていく。例えば、リテーナ7を
図1におけるX方向(後方から前方に向かう方向)にスライドさせて交換(連続的に次のリテーナ7を投入)することが好ましい。1つのリテーナ7によって保持される製造前の無菌包装米飯Rは、
図1においては6個であるが、あくまでも例でありこの限りではない。例えば、3〜20個であり、具体的には3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0032】
2.2 密閉に係る特徴的開閉構造
図4および
図5は、食品殺菌装置1の前方における特徴的開閉構造を示す部分断面図(閉鎖時および開放時)を示している。ただし、
図1に示される歯車83o、83iについては理解を助けるために敢えて断面に重ねて表示していることに留意されたい。食品殺菌装置1において、殺菌室2の前方の壁8および後方の壁9には、開口部81,91がそれぞれ形成される。そして、開口部81の前後には外扉82oと内扉82iとが設けられ、開口部91の前後には外扉92oと内扉92iとが設けられる。外扉82oおよび内扉82iは、開口部81を挟んで互いに対向するように設けられ、外扉82oおよび内扉82iの閉鎖状態(
図4参照)から、外扉82oは前方に、内扉82iは後方に開放可能に構成される(
図5参照)。以下これらをさらに詳述する。
【0033】
外扉82oは、歯車83oの回転に連動して壁8の外壁面8o(
図5および
図6参照)に平行な軸(
図1における紙面奥行方向の軸)周りに回動する。内扉82iは、歯車83iの回転に連動して壁8の内壁面8i(
図5および
図6参照)に平行な軸(
図1における紙面奥行方向の軸)周りに回動する。ここで、
図1、
図4〜
図6に示されるように、歯車83o,83iは互いに係合しており連動して互いに逆向きに回転するように構成される。また、歯車83iは、
図1に示されるに、ヒンジ84hを介してアーム84aと接続させたアーム84bの先端に取着され、アーム84aは、例えば油圧などの圧力ポンプによって
図1におけるZ方向(上下方向)に運動可能に構成される。アーム84aが上方に変位すると、アーム84bに取着された歯車83iが反時計回りに回転するとともに、これに係合している歯車83oが時計回りに回転する。これに伴って、閉鎖状態の内扉82iおよび外扉82oが開放状態に遷移する。逆に、アーム84aが下方に変位すると、アーム84bに取着された歯車83iが時計回りに回転するとともに、これに係合している歯車83oが反時計回りに回転する。これに伴って、開放状態の内扉82iおよび外扉82oが閉鎖状態に遷移する。以上の構成要素をまとめて開閉機構85と称するものとする。
【0034】
さらに、
図4〜
図6に示されるように、壁8の外壁面8oには、開口部81を囲むように形成されたパッキン86o(特許請求の範囲における「第1のパッキン」の一例)が設けられる。また、壁8の内壁面8iには、開口部81を囲むように形成されたパッキン86i(特許請求の範囲における「第2のパッキン」の一例)が設けられる。換言すると、開口部81を取り囲むように壁8の外壁面8oと開閉機構85との間に、パッキン86оが配置され、開口部81を取り囲むように壁8の内壁面8iと開閉機構85との間に、パッキン86iが配置される。外扉82oおよび内扉82iの閉鎖状態では、パッキン86o,86iが外扉82oおよび内扉82iとそれぞれ密着するため、殺菌室2の気密性をより高めることができる。
【0035】
図7および
図8は、食品殺菌装置1の後方における特徴的開閉構造を示す部分断面図(閉鎖時および開放時)を示している。ただし、
図1に示される歯車93o、93iについては、理解を助けるために敢えて断面に重ねて表示していることに留意されたい。外扉92oおよび内扉92iは、開口部91を挟んで互いに対向するように設けられ、外扉92oおよび内扉92iの閉鎖状態(
図1参照)から、外扉92oは後方に、内扉92iは前方に開放可能に構成される。以下これらをさらに詳述する。
【0036】
外扉92oは、歯車93oの回転に連動して壁9の外壁面9o(
図8および
図9参照)に平行な軸(
図1における紙面奥行方向の軸)周りに回動する。内扉92iは、歯車93iの回転に連動して壁9の内壁面9i(
図4参照)に平行な軸(
図1における紙面奥行方向の軸)周りに回動する。ここで、
図1、
図7〜
図9に示されるように、歯車93o,93i(特許請求の範囲における「第1および第2の歯車」の一例)は互いに係合しており連動して互いに逆向きに回転するように構成される。また、歯車93iは、
図1に示されるに、ヒンジ94hを介してアーム94aと接続させたアーム94bの先端に取着され、アーム94aは、例えば油圧等の圧力ポンプによって
図1におけるZ方向(上下方向)に運動可能に構成される。アーム94aが上方に変位すると、アーム94bに取着された歯車93iが反時計回りに回転するとともに、これに係合している歯車93oが時計回りに回転する。これに伴って、閉鎖状態の内扉92iおよび外扉92oが開放状態に遷移する。逆に、アーム94aが下方に変位すると、アーム94bに取着された歯車93iが時計回りに回転するとともに、これに係合している歯車93oが反時計回りに回転する。これに伴って、開放状態の内扉92iおよび外扉92oが閉鎖状態に遷移する。以上の構成要素をまとめて開閉機構95と称するものとする。
【0037】
さらに、
図7〜
図9に示されるように、壁9の外壁面9oには、開口部91を囲むように形成されたパッキン96o(特許請求の範囲における「第1のパッキン」の一例)が設けられる。また、壁9の内壁面9iには、開口部91を囲むように形成されたパッキン96i(特許請求の範囲における「第2のパッキン」の一例)が設けられる。換言すると、開口部91を取り囲むように壁9の外壁面9oと開閉機構95との間に、パッキン96оが配置され、開口部91を取り囲むように壁9の内壁面9iと開閉機構95との間に、パッキン96iが配置される。外扉92oおよび内扉92iの閉鎖状態では、パッキン96o,96iが外扉92oおよび内扉92iとそれぞれ密着するため、殺菌室2の気密性をより高めることができる。
【0038】
続いて、前述の特徴的開閉構造を有する食品殺菌装置1に関して、外扉82o,92oおよび内扉82i,92iの閉鎖状態に前述の吸排系3〜6を用いた加減圧が実行されると、次のような作用効果が奏されることにも留意されたい。
【0039】
まず、減圧時には外扉82o,92oが殺菌室2の外壁面8o,9oに対して押し付けられる。これにより、外扉82o,92oの回動に連動する歯車83o,93oおよび、歯車83o,93oに係合した歯車83i,93iが回転し、歯車83i,93iの回転に連動する内扉82i,92iを回動させて殺菌室2の内壁面8i,9iに押し付けることができる。
【0040】
一方、加圧時には内扉82i,92iが殺菌室2の内壁面8i,9iに対して押し付けられる。これにより、内扉82i,92iの回動に連動する歯車83i,93iおよび、歯車83i,93iに係合した歯車83o,93oが回転し、歯車83o,93oの回転に連動する外扉82o,92oを回動させて殺菌室2の外壁面8o,9oに押し付けることができる。
【0041】
以上により、殺菌室2を加減圧する際に加わる力を利用して、減圧および加圧時の両方の場合において、開口部81,91を内側と外側の両側から二重に密閉することができる。換言すると、簡易な構成によって、減圧時には外部から殺菌室2への空気の吸引を防止し、加圧時には殺菌室2から外部への蒸気漏れを防止することができる。
【0042】
また、外扉82o,92oおよび内扉82i,92iの閉鎖状態において、真空装置5によって減圧が実行されると、殺菌室2と、外扉82oおよび内扉82iとによって挟まれて閉じられた開口部81の空間も徐々に減圧される。同様に、殺菌室2と、外扉92oおよび内扉92iとによって挟まれて閉じられた開口部91の空間も徐々に減圧される。換言すると、前述の真空装置5は、殺菌室2と、外扉82o,92oおよび内扉82i,92iによって挟まれて閉じられた開口部81,91の空間との両方を真空引き可能に構成されるといえる。
【0043】
開口部81の空間は、殺菌室2が真空引きされ、外扉82oおよび内扉82iがパッキン86o,86iに強固に圧接されるまでの間に、殺菌室2と同様に真空或いは真空近傍まで減圧される。開口部81の空間が真空引きされることにより、蒸気を送り込む際に殺菌室2の熱が外部に逃げることを防止することができる。これにより、加熱殺菌時の殺菌室2の温度低下を防止し、殺菌室2の食品(例えば前述の無菌包装米飯R)をより確実に加熱殺菌することができる。また、外扉82oと外壁面8oとの密着、および内扉82iと内壁面8iとの密着をより強固とし、減圧時の空気の流入および加圧時の蒸気の流出をより確実に防止することができる。
【0044】
3.変形例
なお、次のような態様によって、本実施形態に係る食品殺菌装置1をさらに創意工夫してもよい。
【0045】
第一に、
図5および
図6に示されるように本実施形態においては、壁8の外壁面8oには、開口部81を囲むように形成されたパッキン86oが設けられ、且つ壁8の内壁面8iには、開口部81を囲むように形成されたパッキン86iが設けられているが、パッキン86o,86iの少なくとも一方を外扉82o(外壁面8oと接する側の面)または内扉82i(内壁面8iと接する側の面)に設けてもよい。かかる場合であっても、前述と同様に気密性を高めることができる。
【0046】
第二に、
図8および
図9に示されるように本実施形態においては、壁9の外壁面9oには、開口部91を囲むように形成されたパッキン96oが設けられ、且つ壁9の内壁面9iには、開口部91を囲むように形成されたパッキン96iが設けられているが、パッキン96o,96iの少なくとも一方を外扉92o(外壁面9oと接する側の面)または内扉92i(内壁面9iと接する側の面)に設けてもよい。かかる場合であっても、前述と同様に気密性を高めることができる。
【0047】
第三に、本実施形態に係る食品殺菌装置1を用いて無菌包装米飯R以外の食品を殺菌してもよい。
【0048】
第四に、食品殺菌装置1が開口部81,91の少なくとも一方を有するように実施し、これに合わせて前述の特徴的開閉構造の少なくとも一方を有するように実施してもよい。
【0049】
4.結言
以上のように、本実施形態によれば、減圧時には外部から殺菌室2への空気の吸引を防止し、加圧時には殺菌室2から外部への蒸気漏れを防止することができる簡易な構成の開閉機構85,95を備えた食品殺菌装置1を実施することができる。
【0050】
かかる食品殺菌装置1は、蒸気によって内部の食品(無菌包装米飯R)を殺菌する殺菌室2が設けられたものであって、殺菌室2を減圧する減圧手段(真空装置5)と、殺菌室2に蒸気を供給する蒸気供給手段(蒸気供給装置6)と、殺菌室2の少なくとも1つの壁8,9に形成された開口部81,91に設けられ、殺菌室2を開放または密閉する開閉機構85,95と、開口部81,91を取り囲むように壁8,9の外壁面8o,9oと開閉機構85,95との間に配置される第1のパッキン86o,96oと、開口部81,91を取り囲むように壁8,9の内壁面8i,9iと開閉機構85,95との間に配置される第2のパッキン86i,96iとを備え、開閉機構85,95は、第1の歯車83o,93oの回転に連動して回動する外扉82o,92oと、第1の歯車83o,93oに係合した第2の歯車83i,93iの回転に連動して回動する内扉82i,92iと、を有し、壁8,9を挟んで外扉82o,92oおよび内扉82i,92iが回動し、第1のパッキン86o,96oを介して外扉82o,92oが外壁面8oに押し付けられ、第2のパッキン86i,96iを介して内扉82i,92iが内壁面8iに押し付けられることにより開口部81,91を密閉することを特徴とする。
【0051】
最後に、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
と、前記殺菌室に蒸気を供給する蒸気供給手段と、前記殺菌室の少なくとも1つの壁に形成された開口部に設けられ、前記殺菌室を開放または密閉する開閉機構と、前記開口部を取り囲むように前記壁の外壁面と前記開閉機構との間に配置される第1のパッキンと、前記開口部を取り囲むように前記壁の内壁面と前記開閉機構との間に配置される第2のパッキンと、を備え、前記開閉機構は、第1の歯車の回転に連動して回動する外扉と、前記第1の歯車に係合した第2の歯車の回転に連動して回動する内扉と、を有し、
前記壁を挟んで前記外扉および前記内扉が回動し、前記第1のパッキンを介して前記外扉が前記外壁面に押し付けられ、前記第2のパッキンを介して前記内扉が前記内壁面に押し付けられることによ
本発明では、減圧時には外扉が殺菌室の外壁面に対して押し付けられる。これにより、外扉の回動に連動する第1の歯車、および、第1の歯車に係合した第2の歯車が回転し、第2の歯車の回転に連動する内扉を回動させて殺菌室の内壁に押し付けることができる。また、加圧時には内扉が殺菌室の内壁面に対して押し付けられる。これにより、内扉の回動に連動する第2の歯車、および、第2の歯車に係合した第1の歯車が回転し、第1の歯車の回転に連動する外扉を回動させて殺菌室の外壁に押し付けることができる。以上により、殺菌室を加減圧する際に加わる力を利用して、減圧および加圧時の両方の場合において、開口部を内側と外側の両側から二重に密閉することができる。従って、本発明によれば、簡易な構成によって、減圧時には外部から殺菌室への空気の吸引を防止し、加圧時には殺菌室から外部への蒸気漏れを防止することができる。