(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-58618(P2020-58618A)
(43)【公開日】2020年4月16日
(54)【発明の名称】洗面器
(51)【国際特許分類】
A47K 1/04 20060101AFI20200319BHJP
【FI】
A47K1/04 Z
A47K1/04 E
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2018-191959(P2018-191959)
(22)【出願日】2018年10月10日
(11)【特許番号】特許第6443959号(P6443959)
(45)【特許公報発行日】2018年12月26日
(71)【出願人】
【識別番号】509168092
【氏名又は名称】石嶋 節子
(74)【代理人】
【識別番号】100160990
【弁理士】
【氏名又は名称】亀崎 伸宏
(72)【発明者】
【氏名】石嶋 節子
(57)【要約】
【課題】水面に石鹸の泡が残ることを防止すると共に蛇口から出た湯水が水面で跳ねることを防止した洗面器を提供する。
【解決手段】洗面器1は、上方が開口している椀状の外側容器10と、外側容器10との間に湯水の流水路FWが形成されるように外側容器10の内側に重ねられていて、上方が開口している椀状の内側容器20と、を備えている。外側容器10は、上方が開口していることで蛇口から出た湯水を受け入れると共に受け入れた湯水を流水路FWに引き渡す湯水受入部10cを有している。内側容器20は、底面に入水孔WHを有している。湯水受入部10cから受け入れた湯水は、流水路FWを経由して入水孔WHから内側容器20の内側に流れて内側容器20内に溜まり、内側容器20内の水量が増えることで洗面器1から溢れ出る。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方が開口している椀状の外側容器と、前記外側容器との間に湯水の流水路が形成されるように前記外側容器の内側に重ねられていて、上方が開口している椀状の内側容器と、を備えている洗面器であって、
前記外側容器は、上方が開口していることで蛇口から出た湯水を受け入れると共に受け入れた湯水を前記流水路に引き渡す湯水受入部を有し、
前記内側容器は、底面に入水孔を有し、
前記湯水受入部から受け入れた湯水は、前記流水路を経由して前記入水孔から前記内側容器の内側に流れて前記内側容器内に溜まり、前記内側容器内の水量が増えることで前記洗面器から溢れ出ることを特徴とする
洗面器。
【請求項2】
前記湯水受入部は、湯水が前記洗面器から溢れ出る際の前記内側容器内の水位よりも高位であることを特徴とする
請求項1に記載の洗面器。
【請求項3】
前記内側容器は、前記外側容器に対して着脱可能であることを特徴とする
請求項1又は2に記載の洗面器。
【請求項4】
前記入水孔は、複数であることを特徴とする
請求項1〜3のいずれかに記載の洗面器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗面器に関する。
【背景技術】
【0002】
洗面器は、洗面などを行うために蛇口から出る湯水(水又はぬるま湯)を溜めておく器のことである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−152529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
石鹸を用いて洗面を行う場合、洗面器内の水面に石鹸の泡が残るので、洗面器に溜まった湯水を一旦捨てて新しい湯水を入れる必要があり、その間目を瞑ったまま湯水が溜まるのを待たなければならない。石鹸の泡が目に入った場合は、石鹸の泡による痛みを堪えて待たなければならない。蛇口から湯水を出しっぱなしにしておくことで、溢れ出る湯水と共に石鹸の泡も流れ出るので、洗面器内の水面に石鹸の泡が残りにくくなるが、蛇口から出た湯水が水面で跳ねて衣服などを濡らしてしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、水面に石鹸の泡が残ることを防止すると共に蛇口から出た湯水が水面で跳ねることを防止した洗面器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は、上方が開口している椀状の外側容器と、前記外側容器との間に湯水の流水路が形成されるように前記外側容器の内側に重ねられていて、上方が開口している椀状の内側容器と、を備えている洗面器であって、前記外側容器は、上方が開口していることで蛇口から出た湯水を受け入れると共に受け入れた湯水を前記流水路に引き渡す湯水受入部を有し、前記内側容器は、底面に入水孔を有し、前記湯水受入部から受け入れた湯水は、前記流水路を経由して前記入水孔から前記内側容器の内側に流れて前記内側容器内に溜まり、前記内側容器内の水量が増えることで前記洗面器から溢れ出ることを特徴とする洗面器である。
【0007】
本発明によれば、洗面器から溢れ出る湯水と共に、洗面器内の水面に浮かぶ石鹸の泡も流れ出るので、洗面器内の水面に石鹸の泡が残ることを防止できる。また、蛇口から出た湯水は、洗面器内の水面に直接注がれず、湯水受入部で受け入れられるので、洗面器内の水面で跳ねることはない。
【0008】
(2)本発明はまた、前記湯水受入部は、湯水が前記洗面器から溢れ出る際の前記内側容器内の水位よりも高位であることを特徴とする上記(1)に記載の洗面器である。
【0009】
上記発明によれば、蛇口と湯水受入部とをホースなどで接続することなく、蛇口から出た湯水を湯水受入部で受け入れることができ、湯水受入部で受け入れた湯水が湯水受入部から溢れ出てしまうことを防止できる。
【0010】
(3)本発明はまた、前記内側容器は、前記外側容器に対して着脱可能であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の洗面器である。
【0011】
上記発明によれば、内側容器を外側容器から取り外すことで、外側容器を一般的な洗面器と同じように使用することができると共に、洗面器自体を洗うことができる。
【0012】
(4)本発明はまた、前記入水孔は、複数であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の洗面器である。
【0013】
入水孔の位置に応じて洗面器内の湯水の流れが決まるので、上記発明によれば、入水孔の位置が所望の位置となるように設計しておくことで、洗面器内の水面に浮かぶ石鹸の泡を効率的に流れ出させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の上記(1)〜(4)に記載の洗面器によれば、水面に石鹸の泡が残ることを防止でき、また、蛇口から出た湯水が水面で跳ねることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る洗面器の上面図である。
【
図2】
図1の矢印II−II方向に視た洗面器の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る洗面器1について詳細に説明する。
【0017】
まず、
図1及び
図2を用いて、洗面器1の構成について説明する。
図1は、洗面器1の上面図である。
図2は、
図1の矢印II−II方向に視た洗面器1の縦断面図である。
【0018】
図1及び
図2に示す洗面器1は、洗面を行うために蛇口から出る湯水を溜めておく器である。具体的に、洗面器1は、外側容器10と、内側容器20と、を備えている二重構造を採用している。
【0019】
外側容器10は、上方が開口していて、内側容器20と比較して一回り大きい椀状の器であり、上面視で卵形状である。この外側容器10には、当該外側容器10との間に湯水の流水路FWが形成されるように、当該外側容器10の内側に、着脱可能でありながら湯水による力で当該外側容器10から外れることがないように内側容器20が重ねられている。具体的に、外側容器10は、外側容器本体10aと、内側容器嵌入部10bと、湯水受入部10cと、を有し、金型で一体に成型されたプラスチック製である。
【0020】
外側容器本体10aは、外側容器10のベースをなす。内側容器嵌入部10bは、外側容器10における開口している上端の外周縁の一部分を構成し、外周縁の他の部分と比較して下方に窪んだ凹部である。凹部であるこの内側容器嵌入部10bには、内側容器20における溢水部20bが嵌まり込んで隙間から湯水が漏れることのないように内側容器20を受け入れる。湯水受入部10cは、外側容器10における開口している上端の外周から連続するように、上面視で外側の方向に膨らんでいる形状に構成されている。この湯水受入部10cは、湯水が洗面器1から溢れ内側容器20内の水位よりも高位であり、上方が開口していることで蛇口(図示省略)から出た湯水を受け入れると共に受け入れた湯水を流水路FWに引き渡す。
【0021】
内側容器20は、上方が開口していて、外側容器10と比較して一回り小さい椀状の器であり、上面視で提灯形状である。この内側容器20は、外側容器10との間に流水路FWが形成されるように、外側容器10の内側に、着脱可能でありながら湯水による力で外側容器10から外れることがないように重ねられている。具体的に、内側容器20は、内側容器本体20aと、一又は複数の溢水部20bと、を有し、金型で一体に成型されたプラスチック製である。
【0022】
内側容器本体20aは、内側容器20のベースをなし、底面に複数の入水孔WHを有していると共に、底面に鏡30が取り付けられている。溢水部20bは、内側容器20における開口している上端の外周から連続するように、かつ、上面視で外側の方向に延びるように、樋状に構成されている。樋状であるこの溢水部20bは、内側容器20に溜まった湯水が溢れ出る際の流路であり、外側容器10における内側容器嵌入部10bに嵌まり込んで隙間から湯水が漏れることのないように外側容器10に内側容器20が受け入れられる。
【0023】
次に、
図1及び
図2を用いて、洗面器1の作用について説明する。
【0024】
洗面器1は、湯水受入部10cが蛇口の直下に位置するように配置される。蛇口から出た湯水は、湯水受入部10cから受け入れられる。湯水受入部10cから受け入れられた湯水は、流水路FWを経由して入水孔WHから内側容器20の内側に流れて内側容器20内に溜まる。内側容器20の水量が増えることで内側容器20内の水位が上昇し、内側容器20内の湯水は、溢水部20bを通じて洗面器1から溢れ出る。
【0025】
以上説明したように、このような洗面器1によれば、洗面器1から溢れ出る湯水と共に、洗面器1内の水面に浮かぶ石鹸の泡も流れ出るので、洗面器1内の水面に石鹸の泡が残ることを防止できる。また、蛇口から出た湯水は、洗面器1内の水面に直接注がれず、湯水受入部10cで受け入れられるので、洗面器1内の水面で跳ねることはない。
【0026】
そして、洗面器1によれば、湯水が洗面器1から溢れ出る際の内側容器20内の水位よりも湯水受入部10cが高位であるので、蛇口と湯水受入部10cとをホースなどで接続することなく、蛇口から出た湯水を湯水受入部10cで受け入れることができ、湯水受入部10cで受け入れた湯水が湯水受入部10から溢れ出てしまうことを防止できる。
【0027】
また、洗面器1によれば、内側容器20が外側容器10に対して着脱可能であるので、内側容器20を外側容器10から取り外すことで、外側容器10を一般的な洗面器と同じように使用することができると共に、洗面器1自体を洗うことができる。
【0028】
入水孔WHの位置に応じて洗面器1内の湯水の流れが決まるので、洗面器1によれば、複数ある入水孔WHの位置が所望の位置となるように設計しておくことで、洗面器1内の水面に浮かぶ石鹸の泡を効率的に流れ出させることができる。
【0029】
さらに、洗面器1によれば、内側容器20の底面に鏡30が取り付けられているので、洗面器1に顔を近づけて洗面をする際に、鏡30に映る目の周りの部分を見ながら洗面をすることができる。
【0030】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。すなわち、各構成の位置、大きさ、数量、長さ、形状、材質などは適宜変更できる。
【0031】
例えば、上記実施形態において、顔や手を洗うために湯水を入れて使用する場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の洗面器は、野菜や果物を洗うために湯水を入れて使用するものであってもよい。
【0032】
あるいは、上記実施形態において、持ち運び可能なプラスチック製の洗面器1の場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の洗面器は、洗面台に据え付けられる陶器製のもの等であってもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 洗面器
10 外側容器
10a 外側容器本体
10b 内側容器嵌入部
10c 湯水受入部
20 内側容器
20a 内側容器本体
20b 溢水部
30 鏡
FW 流水路
WH 入水孔