【解決手段】本発明の電動二輪車100は、二次電池110を含んでおり、電動二輪車100の傾きを制御するためのモータの端子電圧により傾きの角速度を検出し、角速度に応じた力で地面を押圧し、傾きを戻すための復元トルクを生成する側車を含む電動補助輪120を備えている。電動補助輪120は、それぞれモータを備え、モータの回転により、側車を上下動することにより、復元トルクを生成している。
前記電動補助輪は、それぞれ前記モータを備え、前記モータの回転により、前記側車を上下動することにより、前記復元トルクを生成する、請求項1に記載の電動二輪車。
前記端子電圧の差を前記電動補助輪により生成される前記復元トルクにフィードバックする不安定制御を行う制御装置を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電動二輪車。
【背景技術】
【0002】
我が国も少子高齢化が進み、老人だけで生活する家庭も多くなってきている。また、高度経済成長期に造成された住宅地は、繁華街から比較的離れている場合も多く、買い物などに自動車、オートバイや自転車などの二輪車を使用する必要も多い。さらに、自動車、オートバイなどは、高齢化による免許返納の後には運転できなくなるので、高齢者に残された移動手段は、自転車となる。
【0003】
しかしながら、老人になると筋力の衰えや平衡感覚の低下などの理由から、高齢者が自転車を運転してもふらついて、自転車に乗るのが怖くなることが多い。このため、高齢者は、スーパーへ買い物に行けなくなり、業者による食材配達などに頼らなければならなくなり、さらに日常の活動性が低下するので早く老ける恐れもある。
【0004】
一方、自転車は、駆動力が人力なので、低速では不安定で、転倒しやすいという問題がある。自転車で転倒すると、老人の場合、骨折など怪我をして、さらに日常生活が制限されるという問題もある。三輪車や四輪車といったタイプの多輪自転車も存在するが、その操縦性は、二輪自転車とは大きく異なり、また、多輪自転車特有の操縦性に慣れないと、いわゆるハイサイドとして知られているように曲がる方向に対して外側に転倒してしまうという問題も生じる。
【0005】
また、子供が自転車の操縦を練習する場合、補助輪を装着し、転倒を防止する機構も知られているが、操縦性に劣り、必ずしも安全というわけでもない。このため、幼児や高齢者が気軽に安全に搭乗して運転することができる二輪車が必要とされていた。また、近年では、電動アシスト自転車など、高出力の二次電池を搭載する自転車も普及しており、補助輪を電気的に制御することも可能となっている。
【0006】
例えば、自動二輪車に関しては、自立走行可能な自動二輪車が開発されており、例えば、特開2005−199782号公報(特許文献1)には、旋回時には,車体に積極的にバンク姿勢を与えるようにして、ライダーに違和感を与えない旋回を可能にした補助輪付き二輪車が記載されている。特許文献1に記載された技術は、車体の傾きを検知し、補助輪の接地圧、速度、操舵角などを検出して、左右の補助輪を上下に揺動させるものである。特許文献1に記載の技術でも転倒しないように自動二輪車を制御することができるが、その機構が複雑で高価格となり、二輪自転車用として安価に提供することができない。
【0007】
また、特開平3−61184号公報(特許文献2)では、自動昇降補助輪を備える二輪車が記載されているが、発進、停止時の転倒防止を目的とするのであり、走行時には非接地となるため、走行時における転倒防止を目的とするものではない。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を例示的な実施形態をもって説明するが、本発明は、後述する実施形態に限定されるものではない。
図1は、例示的実施形態の電動二輪車100を示す。電動二輪車100は、概ね20インチ程度の大きさの電動アシスト自転車として構成することができ、サドルの下には、リチウムバッテリーといった二次電池110を搭載する。二次電池110の上側には、本実施形態の制御装置130が配置されていて、本実施形態の電動補助輪120の制御を行っている。
【0018】
電動補助輪120は、本実施形態では、地面140を常に押圧しており、電動二輪車100の傾きに応じて傾いた方向に対して反対側に復元する復元トルクを生成させるべく、適切な押圧力を発生させるように制御装置130により制御される。また、電動二輪車100が垂直を超えて反対側に傾き始めると、それまで動作していた側の電動補助輪120への電力供給が停止され、傾いた側の電動補助輪120に対して電力供給が開始され、電動二輪車100を垂直姿勢付近で安定化させている。
【0019】
電動補助輪120は、電動補助輪120の垂直方向の高さを制御するためのモータ(図示せず)を備えており、電動補助輪120の垂直方向の高さを左右独立して制御する。
【0020】
図2は、本実施形態の電動補助輪120の概略的な構成200を示す。電動補助輪120は、支持フレーム210L,Rにより、電動二輪車100の後輪ハブ220に固定されている。支持フレーム210L,R上には、ラックアンド・ピニオンギア(R/P)250L,R(以下、R/P250L,Rと略する。)と、側車240L,Rと、R/P250L,Rと、側車240L,Rとを連結するレバーアーム260L,Rとを含んで構成されている。R/P250L,Rには、さらにギアボックス270L,Rを介してモータ280L,Rが連結されていて、モータ280L,Rが回転すると、ギアボックス270L,Rを介してギア比によって増大された回転力がR/P250L,Rに伝達される。モータ280L,Rの回転力は、R/P250L,Rのピニオンギアを回転させ、R/P250L,Rのラックギアを上側に移動させる。
【0021】
ラックギアの下部には、レバーアーム260L,Rの一端が、例えばユニバーサルジョイントを介して連結されていて、ラックギアの上方移動させようとする力に従って、一端を上方向に変位する力を発生する。レバーアーム260L,Rは、適切な位置で支持フレーム210L,Rにピボット連結されている。レバーアーム260L,Rは、ピボット軸を介して反対側においてレバーアーム260L,Rの他端に連結された側車を、説明する実施形態ではラックギアの上方向への変位に連動して、図中下側(地面140側)に変位させようとする力を発生するリフターを構成する。この変位により、
図2に示すように地面からの抗力Fが発生し、電動二輪車100の後輪の接地点230を中心として、反時計回りの復元トルクが発生する。
【0022】
以下、本実施形態における数学的関係を定式化しながら説明する。電動二輪車100の傾き角をφとし、右側に倒れる方向を正とする。電動自転車100の傾きの角速度をω
x=dφ/dtとし、右に傾く場合の正とする。電動自転車100の左側の側車240Lを駆動するモータ280Lへの供給電流をi
L、右側の側車240Rを駆動するモータ280Rに供給する電流をi
Rとする。電動自転車100の側車は、常に地面140に接地するようにi
L、i
Rが制御される。電動自転車100が右に傾く角速度ω
xを発生するとモータ280L,Rが回転しそれぞれ逆起電力E
L、E
Rを発生するが、これは、モータ280L,Rの電圧係数K
v、ギアボックス270L,Rのギア比GR
1、レバーアーム260L,Rの等価的なギア比GR
2により下記式(1)で与えられる。
【0023】
E
L=K
vGR
1GR
2ω
x
E
R=−K
vGR
1GR
2ω
x
ω
x=E
AV/(K
vGR
1GR
2)
E
AV=1/2(E
L−E
R)
(1)
【0024】
また、両側の側車240L,Rが電動自転車100を右側に倒すトルクをT
xswとすると、T
xswは、モータの電流i
L、i
Rによって発生するトルクT
L、T
Rによって次の関係が成立する。
【0025】
T
L=K
TGR
1GR
2i
L
T
R=K
TGR
1GR
2i
R
T
xsw=T
L−T
R=K
TGR
1GR
2(i
L−i
R)
(2)
【0026】
次に電動自転車100の傾き角φの変化について説明する。電動自転車100の傾き角φは、ハンドルを切って旋回するときに発生する遠心力によるトルクT
xcent、傾きによって発生するトルクT
xgravおよび側車による復元トルクT
xswにより、概ね下記式(3)の関係が成立する。
【0027】
Js
2φ=T
xcent+T
xgrav+T
xsw
J=mh
2
(3)
【0028】
上記式中、Jは、電動自転車100の傾きに関する慣性能率であり、電動自転車100と操縦者の質量の和mと重心の高さhにより、概ね決定される、また、T
xgravは、下記式(4)で与えられる。s=d/dtは、ヘビサイド演算子である。
【0030】
上記式中、gは、重力加速度であり、g=9.8m/s
2である。式(4)を式(3)に代入し、変数φを解くと、下記式(5)の関係が得られる。
【0031】
φ=(1/mh
2)×{1/(s
2−g/h)}(T
xcent+T
xsw)
(5)
【0032】
ここで、制御対象の伝達関数Gp(s)を下記式(6)で定義する。
【0033】
Gp(s)=(1/mh
2)×{1/(s
2−g/h)}
(6)
【0034】
本実施形態の制御装置130は、傾き角の角速度ω
xを検出することなく、左右のモータ280L,Rの逆起電力の差から取得する。逆起電力の差から傾き角の角速度ω
xを取得する場合には、誤差の発生を考慮しなければならないが、その際に、制御装置130は、下記式(7)で与えられる伝達関数を実装することが好ましい。
【0035】
T
xsw=−(K
2s
2+K
1s)/(s
2-L
1s-L
0)ω
x=−G
c(s)ω
x (7)
【0036】
上記式中、G
c(s)は、制御の伝達関数であり、K
1、K
0、L
1、L
2は正のパラメータである。以下、さらにG
c(s)を実現するための具体的な方法について詳述する。側車240L,Rは、常時地面140に接地されている。またモータ280L,Rは、直流制御されている。傾き角φの角速度ω
xが正になる場合、左側のモータ280Lの逆起電力は正に、右側のモータ280Rの逆起電力は負になる。これらは、各モータの端子電圧V
TL、V
TRとして検出され、それぞれ下記式(8)で与えられる。
【0037】
V
TL=r
ai
L+E
L
V
TR=r
ai
R+E
R (8)
【0038】
上式中、r
aは、モータ280L,Rの内部抵抗である。したがって、各モータの端子電圧がわかれば、i
L、i
Rは計測可能なのでE
L、E
Rが計算でき、電動自転車100の傾き角の角速度ω
xを、下記式(9)として得ることができる。本実施形態では不安定制御系の伝達関数を使用して角速度ω
xの誤差を除去している。下記式中、K
Mは、モータの電圧係数、トルク係数、モータのギア比、R/P250のギア比とレバーアーム260L,Rの構造により与えられる定数である。
【0040】
また、制御装置130は、電動自転車100の側車240L,Rによる復元トルクT
xswの正負によって各モータへの電流を下記関係を使用して配分する。
【0041】
if T
xsw
>0 then
{iL=1/(K
TGR
1GR
2)*|T
xsw|+iL
0
iR=iR
0}
if T
xsw <0 then
{iL=iL
0
iR=1/(K
TGR
1GR
2)*|T
xsw|+iR
0} (10)
【0042】
上式において、iL
0、iR
0は、電動二輪車100が中立しているときの初期電流値、すなわち側車を常に地面に押圧するための電流値であって、iL
0=iR
0である。
【0043】
次いで、本実施形態において使用する制御装置130の制御を説明する。操縦者が左にハンドルを切った場合、電動二輪車100は、遠心力によって右に傾こうとし、ω
xは正となる。これは左側のモータ280Lの逆起電力が正となる一方で、右側のモータ280Rの逆起電力は負になる。これにより電動自転車の傾きを制御する場合、側車240Rの復元トルクT
xswは、負すなわち反時計回りに制御される。T
xswを制御する操作は、右側のモータ280Rへの電流i
Rを増加させ、左側のモータ280Lへの電流i
Lを所定値iL
0に保持することによって達成される。
【0044】
T
xswが負となることで、電動自転車100の右側への傾きの角加速度ω
xは減少し、電動自転車100の姿勢が平衡に達したときにゼロとなる。安定制御系の場合、角加速度ω
xがゼロとなったときにT
xswもゼロとなるように制御するが、本実施形態では不安定制御系を採用しているので、平衡状態であってもT
xswの値は負の値を保持し、自転車は、さらに左に復元し続け、電動自転車100に作用する遠心力と、電動自転車100が左側に傾くことによる重力に起因して発生するトルクが釣り合った状態に到達する。この動作が、電動自転車100が左旋回する際の制御装置130の制御である。
【0045】
以上の復元トルクの生成は、二輪車の操縦に熟練した操縦者がハンドル操作で無意識に行っている制御と同等のものであり、本実施形態では、老齢者など運動能力に制限のある操縦者においても同等の操縦性を提供することが可能となる。
【0046】
例えば、
図2に示した実施形態において、矢線Aで示した方向に電動二輪車100が傾くと、傾き角φの角速度ω
xは、正となる。これにより右側の側車240Rは、F方向に変位し、ラックギアを下方向に移動させる。この移動に伴ってピニオンギアが回転しギアボックス270Rを介してピニオンギアの回転がモータ280Rに伝達される。モータ280Rは、当該回転を受けて逆起電力を生成し、これが右側のモータ280Rの端子電圧V
TRに反映される。
【0047】
したがって、E
avは、右側方向に傾斜する場合には、正、左側方向に傾斜する場合には負の値を与える。また、逆起電力E
L、E
Rは、モータの回転速度により増加するので、逆起電力の大きさは、電動二輪車100の傾き角の角速度ω
xに比例する。
【0048】
図4は、本開示における電動二輪車100の傾斜と逆起電力との関係を示す。
図4(a)は、電動二輪車100が垂直の場合であり、この時、左右のモータ280L,Rは、電動二輪車100の荷重と、モータ280L,Rにより発生する地面140に対する押圧力が釣り合っているので回転せず逆起電力は発生せず、両方のモータ280L,Rの端子電圧は、入力電圧Vである。また、
図4(b)、
図4(c)は、電動自転車100が、左側に傾斜した後、右側に復帰する場合のモータ280L,Rの端子電圧V
TL、V
TRを示す。
図4に示した左側に傾斜した電動自転車100を右側に復帰させる場合、左側のモータ280Lは、順回転するので、逆起電力E
Lにより、端子電圧は増加する。右側のモータ280Rは、逆回転するので逆起電力E
Rは負となり、端子電圧V
TRは減少する。このため、E
avは、正となる。この逆に、電動二輪車100を左側に復帰させる場合には、E
avは、負となる。
【0049】
すなわち、本開示においては、電動二輪車100の制御は、
図4に示すように、例えば右側へと傾く⇒左側に復帰⇒左方向へと傾く⇒右側に復帰の制御が反復され、不安定状態を中立状態を中心として揺動させるように制御するものであり、中立の状態に制御しようとするのではない。一方、電動二輪車100が回転するために例えば左側に傾かざるを得ない場合には、回転方向への傾き角ω
xを一定のまま保持するように、両方のモータ280L,Rを、荷重と、地面に対する押圧力とを釣り合うようにして制御することで、電動二輪車100のスムーズな回転を可能とする。
【0050】
図5に、本開示の制御機構のブロック図を示す。本開示の制御機構400は、伝達関数制御部410と、機械系制御部420とを含んで構成されている。さらに、伝達関数制御部410の処理に対応して左右のモータ280を駆動するための駆動電流i
L、i
Rを生成するための電流制御装置430を備える。伝達関数制御部410と、電流制御装置430は、電流制御を行うことで、左右のモータ280L,Rを駆動させるための電流i
L、i
Rをそれぞれのモータ280L、280Rに供給してR/P250L,Rを含む側車制御部421を動作させ電動自転車100の姿勢制御を可能とする。また、機械制御部420は、角速度検知部422を備えており、角速度検知部は、モータ280L、280Rの逆起電力E
L,E
Rをモニタして、角速度ω
xを検出し、検出された角速度ω
xを伝達関数制御部410にフィードバックする。
【0051】
伝達関数制御部410は、上記式(7)で与えられる処理を行うが、式(7)で与えられる伝達関数G
c(s)は、分母に負の係数が2つ有り、そのまま実装すると、制御予測性が低下するため、本開示においては、α、βという定数を導入し、以下の式(11)として伝達関数を分割する。
【0052】
G(s)={(L
0K
2-(K
1+L
1K
2)β)/(s+β)+(K
1+L
1K
2)+K
2}/(s-α)+K
2
(11)
【0053】
式(11)の結果は、電流制御装置430に送付され、モータ280L、280Rを駆動するための電流が生成され、モータ280L、280Rに送付される。なお、本開示では、E
avの正負に応じて、
図4に記載したように、E
avが正の場合には、左方向に復帰するように、i
Rを制御し、E
avが負の場合には、右方向に復帰するように、i
Lを増加させる。
【0054】
なお、電動二輪車100が垂直に安定している場合の他、電動二輪車100が旋回して一定の傾きで安定している場合には角速度ω
xがゼロとなるが、この状態では、モータ280L、280Rへの駆動電流は維持されるので、垂直付近での姿勢および旋回中の傾きを維持することが可能となる。
【0055】
図6は、本開示における電動二輪車100の第2の実施形態を示す。第2の実施形態では、支持フレーム210L,Rにモータ280L,Rおよびラックギアが固定され、モータ280L,Rの回転軸に固定されたピニオンギアで、R/P250L,Rが構成されている。また、ラックギアの下部には、レバーアーム260L,Rが固定されていて、レバーアーム260L,Rの他端には側車240L,Rが回転可能にとりつけられている。なお、
図6に示した実施形態では、レバーアーム260L,Rの剛性をサポートすると共に側車240L,Rの傾斜運動を可能とするためにヒンジ部材290L,Rが追加されていて、ラックの矢線D方向の移動を側車240L,Rの上下運動に反映するリフターとして構成されている。
【0056】
図7は、本開示による電動二輪車100の傾き角φ、傾き角φの角速度ω
xの時間変化を示したグラフである。
図7(a)は、縦軸を電動二輪車100の傾き角φ(radian)、横軸を時間として、本開示による傾き制御による電動二輪車100の傾きを示したグラフであり、
図7(b)は、電動二輪車100の傾き角φの角速度ω
xの変化を示したグラフである。
【0057】
図7(a)では、電動自転車100の操縦者がハンドルを8°左方向に切ったものとしている。遠心力は、電動二輪車100の舵を切った方向とは反対に作用し、その結果、右側に約0.02radian(約1.1°)傾斜する。その後、側車240Rの作用で左側への旋回が開始し、車体が左側に傾斜した状態となる。
図7(b)は、その動作に対応した車体の角速度の変化を示したものである。左にハンドルを切った後、遠心力により右側に車体が傾斜し、その後車体を左側に傾けて遠心力に釣り合う向心力を生じさせ、その姿勢で車体の傾斜が安定することが示されている。
図7に示した時間スケールは、自転車が約3m/sで走行したときを仮定しており、本開示による制御で十分対応可能な時間スケールということができる。
【0058】
図8は、本開示による制御で生成される正規化された復元トルクu=T
xsw/mh
2の時間変化を示したグラフである。
図8(a)が、縦軸を復元トルク、横軸を時間としてプロットした復元力uであり、
図8(b)が、正規化された復元トルク×角速度(u・ω
x)を縦軸とし、横軸を時間としてプロットした図である。操縦者が左側にハンドルを切ると、遠心力により車体は右側に傾くが、復元力は、左方向に生成され電動自転車100の姿勢の回復と共に0となる。また、
図8(b)では、モータの最大パワーが求められる。u・ω
xの最大値は、約0.07であり、最大パワーは、mh
2×0.07となり、m=80kg、h=1mの場合、モータの最大パワーは、5.6Wである。最初は、正規化された復元トルクuと、角速度ω
xとの方向が異なるために負側に変化し、正規化された復元トルクuの作用により車体が起き始めると正側に触れ、車体が安定するにつれて0に収束するのが分かる。
【0059】
以上説明した通り、本実施形態によれば、不安定制御方式を使用することで、電動二輪車100の旋回性を損ねることなく電動二輪車100の傾きを効率的に修正し、転倒防止を行うことができる電動二輪車を提供することができる。また、本実施形態に電動二輪車100は、電動自転車および電動バイクといった二輪車であれば、特に制限なく適用でき、また、電動補助輪120の設置位置も後輪ハブ220ではなく、適宜適切か位置に設置することができる。
【0060】
これまで本発明を図面に示した実施形態をもって説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。例えば、逆起電力Eavによってω
xを検出することに代えて、モータに取付けたパルス発生器により角速度ω
xを検出することもできる。また、モータ電流の代わりにトルクセンサを用いて直接トルクT
L、T
Rを制御しても良い。