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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-59513(P2020-59513A)
(43)【公開日】2020年4月16日
(54)【発明の名称】紙製パレットおよび配送方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/34 20060101AFI20200319BHJP
【FI】
   B65D19/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-190046(P2018-190046)
(22)【出願日】2018年10月5日
(71)【出願人】
【識別番号】000114879
【氏名又は名称】ヤマトホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】玉置 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】任 恵景
(72)【発明者】
【氏名】冨 麻衣子
【テーマコード(参考)】
3E063
【Fターム(参考)】
3E063AA03
3E063BA10
3E063BB08
3E063CA04
3E063CA05
3E063CA19
3E063CA21
3E063CD09
3E063EE03
3E063FF01
3E063FF13
3E063GG05
(57)【要約】
【課題】低コストで、ロールボックスパレットを用いた荷物の配送効率を向上することができるロールボックスパレット用の紙製パレットおよび当該紙製パレットを用いた配送方法を提供する。
【解決手段】1枚の四角形の多層段ボール基材4からなり、表面5およびその反対側の裏面6を有するデッキボード2と、多層段ボール基材10を複数層重ねた積層構造で構成された複数の桁部材3であって、多層段ボール基材10の表面11がデッキボード2の裏面6に接着するように、デッキボード2の裏面6にフォーク挿入用の隙間16を空けて接着された複数の桁部材3とを含む、ロールボックスパレット用の紙製パレット1を提供する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1枚の四角形の多層段ボール基材からなり、表面およびその反対側の裏面を有するデッキボードと、
多層段ボール基材を複数層重ねた積層構造で構成された複数の桁部材であって、前記積層構造の表面が前記デッキボードの前記裏面に接着するように、前記デッキボードの前記裏面にフォーク挿入用の隙間を空けて接着された複数の桁部材とを含む、ロールボックスパレット用の紙製パレット。
【請求項2】
前記桁部材は、前記デッキボードの4つの角部、前記デッキボードの4つの周縁部の各中央部および前記デッキボードの中央部に配置されたブロック状の桁部材を含む、請求項1に記載のロールボックスパレット用の紙製パレット。
【請求項3】
多層段ボール基材を複数層重ねた積層構造で構成され、前記デッキボードの前記裏面に接着された補助部材をさらに含む、請求項1または2に記載のロールボックスパレット用の紙製パレット。
【請求項4】
前記デッキボードにおける前記桁部材の接着面に形成された位置マークをさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のロールボックスパレット用の紙製パレット。
【請求項5】
ロールボックスパレットの内寸よりも小さなサイズの紙製パレットであって、少なくとも1枚の四角形の多層段ボール基材からなり、表面およびその反対側の裏面を有するデッキボードと、多層段ボール基材を複数層重ねた積層構造で構成された複数の桁部材であって、前記積層構造の表面が前記デッキボードの前記裏面に接着するように、前記デッキボードの前記裏面にフォーク挿入用の隙間を空けて接着された複数の桁部材とを含む紙製パレットの前記デッキボードの前記表面に荷物を載せるステップと、
前記荷物を載せた前記紙製パレットをフォークリフトで持ち上げて、ロールボックスパレットに載せるステップと、
前記紙製パレットに載せたままの前記荷物を前記ロールボックスパレットで配送するステップとを含む、配送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールボックスパレット用の紙製パレットおよびロールボックスパレットを用いた配送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発荷主側でロールボックスパレットに荷物を積み込み、この荷物が積載されたロールボックスパレットを貨物自動車に積載し、配送途中で荷物の積み替えを行うことなく着荷主に引き渡す配送形態、つまり、1台のロールボックスパレットを1つの配送単位として配送するチャーター便が知られている(たとえば、特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−65888号公報
【特許文献2】特開2011−207593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のやり方は、ロールボックスパレットに荷物を直接積み込む形態である。そのため、荷物を積み込むまでの間に、発荷主先にロールボックスパレットを置いておかなければならず、ロールボックスパレットの仮置きスペースが必要であった。
また、着荷主先で荷物が下ろされた後、残ったロールボックスパレットを配送業者が引き取りに行かなければならないという課題もある。
【0005】
また、従来は、一般的に使用されている110cm×110cmの樹脂製または木製パレットに荷物を積んで移動し、ロールボックスパレットに荷物を積み替えることが一般的であった。そのため、荷物を積み替える手間が発生すること、また、ロールボックスパレットのサイズ(一般的には内寸が約100cm×約100cm)と従来のパレットとのサイズが異なるため、ロールボックスパレットにどのくらいの量の荷物を積むことができるのか判断することが難しかった。
【0006】
本発明の目的は、低コストで、ロールボックスパレットを用いた荷物の配送効率を向上することができるロールボックスパレット用の紙製パレットおよび当該紙製パレットを用いた配送方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係るロールボックスパレット用の紙製パレットは、少なくとも1枚の四角形の多層段ボール基材からなり、表面およびその反対側の裏面を有するデッキボードと、多層段ボール基材を複数層重ねた積層構造で構成された複数の桁部材であって、前記積層構造の表面が前記デッキボードの前記裏面に接着するように、前記デッキボードの前記裏面にフォーク挿入用の隙間を空けて接着された複数の桁部材とを含む。
【0008】
この構成によれば、ロールボックスパレットは、紙製パレットへの荷物の積み込みが完了したときに配送業者に持ち込めばよいので、発荷主先においてロールボックスパレットの仮置きスペースが不要となる。また、荷物の積み込みが完了した紙製パレットを配送業者に集荷しに来てもらうこともできる。その場合には、配送業者がロールボックスパレットを持参するため、この場合においても、発荷主先においてロールボックスパレットの仮置きスペースが不要となる。また、紙製パレットに荷物を載せるまでは、紙製パレットを壁等に立て掛けて置いておけるので、紙製パレットのために大きな仮置きスペースが必要となることもない。
【0009】
また、着荷主先においては、紙製パレットを下ろしさえすれば、配送業者は、ロールボックスパレットをその場で持ち帰ることができるので、効率的である。
また、ロールボックスパレットに積み込む荷物の種類が統一されていない場合でも、紙製パレット上の荷物であれば、ハンドパレットスケール等で荷物の重量(総重量)を一括して簡単に測定することができる。そのため、ロールボックスパレットの最大積載量までの荷物を容易に積み込むことができる。
【0010】
また、本発明の紙製パレットはロールボックスパレット用であるため、パレットからロールボックスパレットに荷物を積み替える手間がない。また、ロールボックスパレットのサイズに準じて紙製パレットのサイズが設計されているため、ロールボックスパレットに積み込み可能な荷物の量(大きさ)を簡単に判断することができる。
また、紙製パレットは、木製パレットや樹脂製パレットに比べて軽い段ボール製なので、パレット自体の重量がロールボックスパレットの最大積載量に与える影響が少なくて済む。さらに、軽いので簡単に持ち運ぶこともできる。しかも、木製パレットや樹脂製パレットに比べて、一般ごみとして、着荷主先で簡単に廃棄することもできる。
【0011】
また、着荷主先での荷下ろしは、荷物が載っている紙製パレットを置くだけでよいので、ロールボックスパレットから1つ1つ下ろす場合に比べて効率がよい。また、着荷主先において、フォークリフトを利用して荷物を簡単に移動させることができる。
また、桁部材は、多層段ボール基材の積層構造の表面がデッキボードに接着するように設けられている。そのため、多層段ボール基材の積層構造の切断端面をデッキボードに接着する態様に比べて、多層段ボール基材の積層構造における段ボールの切り面を少なくすることができる。したがって、予め定めた大きさにカットされた多層段ボール基材を購入して使用する場合に、切り面が少ないので、カット費用を抑えることができる。
【0012】
また、多層段ボール基材を採用しているので、ロールボックスパレットに積み込まれる荷物の積載量に対して、少なくとも1枚の段ボールで十分な強度を発現することができる。そのため、デッキボードに使用する段ボールの枚数が少なくて済むので、紙製パレットの製造に必要な費用を抑えることができる。
本発明の一実施形態に係るロールボックスパレット用の紙製パレットでは、前記桁部材は、前記デッキボードの4つの角部、前記デッキボードの4つの周縁部の各中央部および前記デッキボードの中央部に配置されたブロック状の桁部材を含んでいてもよい。
【0013】
この構成によれば、紙製パレットの4つの端面のどの方向からもフォークリフトのフォークを挿入できるので、荷物の配送効率を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係るロールボックスパレット用の紙製パレットは、多層段ボール基材を複数層重ねた積層構造で構成され、前記デッキボードの前記裏面に接着された補助部材をさらに含んでいてもよい。
【0014】
補助部材は、たとえば、前記デッキボードの前記隙間において前記デッキボードの周縁部に接着されていてもよい。
この構成によれば、たとえば、フォークリフトのフォークが補助部材に当接した時点でフォークの挿入を止めれば、フォークがデッキボードの端面から外側にはみ出ることを防止することができる。これにより、フォークリフトで持ち上げた紙製パレットをロールボックスパレットに置くときに、フォークの先端がロールボックスパレットの奥側の内壁に接触することを防止することができる。その結果、ロールボックスパレットの載置面に紙製パレットをきっちり置くことができる。
【0015】
また、たとえば、デッキボードに加わる重さに部分的な偏りがある場合、比較的大きな重さが加わる部分の近くに補助部材を設けることによって、デッキボードの耐荷重を選択的に補強することができる。
本発明の一実施形態に係るロールボックスパレット用の紙製パレットは、前記デッキボードにおける前記桁部材の接着面に形成された位置マークをさらに含んでいてもよい。
【0016】
この構成によれば、紙製パレットの製造時に、桁部材の最適な接着位置を簡単に視認することができる。
本発明の一実施形態に係る配送方法は、ロールボックスパレットの内寸よりも小さなサイズの紙製パレットであって、少なくとも1枚の四角形の多層段ボール基材からなり、表面およびその反対側の裏面を有するデッキボードと、多層段ボール基材を複数層重ねた積層構造で構成された複数の桁部材であって、前記積層構造の表面が前記デッキボードの前記裏面に接着するように、前記デッキボードの前記裏面にフォーク挿入用の隙間を空けて接着された複数の桁部材とを含む紙製パレットの前記デッキボードの前記表面に荷物を載せるステップと、前記荷物を載せた前記紙製パレットをフォークリフトで持ち上げて、ロールボックスパレットに載せるステップと、前記紙製パレットに載せたままの前記荷物を前記ロールボックスパレットで配送するステップとを含む。
【0017】
この構成によれば、本発明の紙製パレットを用いるので、上記のように、低コストで、ロールボックスパレットを用いた荷物の配送効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る紙製パレットの表面側の斜視図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る紙製パレットの裏面側の斜視図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る紙製パレットの部分的な断面図である。
図4A図4Aは、前記紙製パレットの作製方法を説明するための図である。
図4B図4Bは、図4Aの次の工程を示す図である。
図5A図5Aは、前記紙製パレットを用いた配送方法を説明するための図である。
図5B図5Bは、図5Aの次のステップを示す図である。
図5C図5Cは、図5Bの次のステップを示す図である。
図5D図5Dは、図5Cの次のステップを示す図である。
図6図6は、前記紙製パレットの変形例を示す図である。
図7図7は、前記紙製パレットの変形例を示す図である。
図8図8は、前記紙製パレットの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る紙製パレット1の表面側の斜視図である。図2は、本発明の一実施形態に係る紙製パレット1の裏面側の斜視図である。図3は、本発明の一実施形態に係る紙製パレット1の部分的な断面図である。
紙製パレット1は、ロールボックスパレットを用いた荷物の配送に使用されるものであり、デッキボード2と、桁部材3とを含む。
【0020】
デッキボード2は、この実施形態では、1枚の多層段ボール基材4からなっており、表面5およびその反対側の裏面6と、多層段ボール基材4の切断面からなる端面7とを有している。多層段ボール基材4は、一般的な段ボール基材に比べて強度が強く、たとえば、硬質ダンボールと称してもよい。
多層段ボール基材4は、図3に示すように、たとえば2層段ボール板を裁断したものであり、3枚のライナ8a,8b,8cの各間に、断面視波形状に芯材9a,9bを挟んで貼り合わせることによって一体となった2層状に形成されている。デッキボード2に使用される多層段ボール基材4は、図3のように2層段ボール基材であってもよいし、3層以上の段ボール基材であってもよい。このような多層段ボール基材4の元となる多層段ボール板の市販品としては、たとえば、王子インターパック株式会社製の「ハイプルエース」等が挙げられる。
【0021】
デッキボード2は、四角形状(この実施形態では、正方形状)に裁断されており、そのサイズは、使用されるロールボックスパレットの内寸よりもL1(縦の長さ)およびL2(横の長さ)が小さく設定されている。たとえば、底板の内寸が幅×奥行き=104cm×104cmのロールボックスパレット用であれば、長さL1=90cm〜100cm、長さL2=90cm〜100cmであってもよい。なお、このサイズは、あくまでも一例に過ぎず、ロールボックスパレットの底板に積載可能なサイズであれば、適宜変更することができる。また、デッキボード2の厚さT(多層段ボール基材4の厚さ)は、たとえば、1cm〜1.5cm程度であってもよい。つまり、多層段ボール基材4の1層が、約5mm程度であってもよい。
【0022】
また、デッキボード2の表面5には、図示はしないが、デッキボード上で荷物がずれないようにするための滑り止め手段(たとえば、滑り止めシート、滑り止めスプレーによる膜等)が設けられていてもよい。さらに、デッキボード2の防水性を高めるための防水手段(たとえば、防水シート、防水スプレーによる膜等)が設けられていてもよい。
桁部材3は、デッキボード2と同様に、多層段ボール基材10を用いて形成されている。つまり、多層段ボール基材10は、図3に示すように、たとえば2層段ボール板を裁断したものであり、3枚のライナ14a,14b,14cの各間に、断面視波形状に芯材15a,15bを挟んで貼り合わせることによって一体となった2層状に形成されている。
【0023】
桁部材3は、図3に示すように、多層段ボール基材10を複数層重ねた積層構造で構成されており、多層段ボール基材10のライナ14aからなる表面11およびその反対側の裏面12と、多層段ボール基材10の切断面からなる端面13とを有している。
各多層段ボール基材10の間は、多層段ボール基材10の表面同士が接着剤で接着されることによって、互いに動かないように固定されている。接着剤としては、たとえば、日栄化工株式会社製の「ライフボンド」等を使用できる。
【0024】
桁部材3は、この実施形態では、多層段ボール基材10の3層構造で構成されたブロック状に形成されている。桁部材3のサイズは、たとえば、L3(縦の長さ)=8cm〜12cm(たとえば、10cm)、L4(横の長さ)=8cm〜12cm(たとえば、10cm)、H(高さ)=4cm〜5cm(たとえば、4cm)であってもよい。
つまり、長さL3および長さL4に対して高さHが1/2以下である扁平な形状に形成されている。桁部材3を扁平な形状にしておくことで、ロールボックスパレットの高さ制限(たとえば、170cm程度)に与える影響が少なくて済む。なお、桁部材3の上記サイズは、あくまでも一例に過ぎず、適宜変更することができる。
【0025】
そして、複数の桁部材3は、多層段ボール基材10の積層構造の表面11がデッキボード2の裏面6に接着するように、デッキボード2の裏面6にフォーク挿入用の隙間16を空けて配置されている。
この実施形態では、桁部材3は、図2に示すように、デッキボード2の4つの角部17および4つの周縁部18(端面7付近の部分)の中央部にそれぞれ配置され、全体として合計9個の桁部材3が行列状に配置されている。これにより、デッキボード2の裏面6には、行列状の桁部材3によって区画され、デッキボード2の4つの端面7の全てにおいて開放した格子状の隙間16が形成されている。
【0026】
また、各桁部材3は、図2に示すように、各端面13がデッキボード2の端面7に一致するように配置されていてもよいし、図3に示すように、各端面13がデッキボード2の端面7よりも内側に位置するように配置されていてもよい。
また、各桁部材3の裏面12には、図示はしないが、ロールボックスパレット上で紙製パレット1がずれないようにするための滑り止め手段(たとえば、滑り止めシート、滑り止めスプレーによる膜等)が設けられていてもよい。さらに、桁部材3の防水性を高めるための防水手段(たとえば、防水シート、防水スプレーによる膜等)が設けられていてもよい。
【0027】
次に、図4Aおよび図4Bを参照して、紙製パレット1の作製方法を説明する。
紙製パレット1を作製するには、たとえば、図4Aに示すように、予め定めたサイズに裁断されたデッキボード2が準備される。デッキボード2の裏面6(桁部材3の接着面)には、桁部材3の位置決めのための位置マーク19が形成されていてもよい。位置マーク19があることによって、桁部材3の最適な接着位置を簡単に視認することができる。
【0028】
位置マーク19の形態は、桁部材3の位置決めができれば特に制限されない。この実施形態の位置マーク19は、桁部材3と同じサイズの四角形状のマークで構成されている。また、位置マーク19は、印刷、ペン等、様々な手法で形成することができる。
また、デッキボード2の準備の一方で、複数の多層段ボール基材10を用いて桁部材3が形成される。より具体的には、予め定めたサイズに裁断された多層段ボール基材10の表面同士を接着剤で接着することによって、図3に示すような、桁部材3が形成される。
【0029】
次に、位置マーク19の領域に接着剤が塗布され、図4Bに示すように、位置マーク19上に桁部材3が押し付けられる。その後、接着剤が乾燥して桁部材3が固定されることによって、前述の紙製パレット1が得られる。
次に、図5A図5Dを参照して、紙製パレット1を用いた配送方法を説明する。
まず、図5Aに示すように、発荷主先において紙製パレット1が準備される。紙製パレット1は、後述するロールボックスパレット22の内寸(L5×L6)よりも小さなサイズである。つまり、ロールボックスパレット22の幅L5>紙製パレット1の長さL1、ロールボックスパレット22の奥行きL6>紙製パレット1の長さL2である。
【0030】
次に、図5Aに示すように、紙製パレット1のデッキボード2上に、たとえば、人の手によって、配送予定の荷物20が積み込まれる。その後、図示しないが、荷物20を安定化させるため、荷物20の周囲を梱包用ラップ(たとえば、ストレッチフィルム)で巻いて、紙製パレット1に固定してもよい。
次に、図5Bに示すように、荷物20を載せた紙製パレット1の隙間16にフォークリフト(図示せず)のフォーク21が挿入され、紙製パレット1が持ち上げられる。
【0031】
次に、図5Cに示すように、たとえば、ロールボックスパレット22が準備される。ロールボックスパレット22は、下面にキャスター23が取り付けられた底板24と、底板24の周囲に設けられた左右側面壁枠25,26、背面壁枠27および前面壁枠31とを備え、左右側面壁枠25,26、背面壁枠27および前面壁枠31で囲まれた空間が荷物20の収納空間28である。このロールボックスパレット22の内寸(収納空間28の寸法)は、たとえば、幅L5×奥行きL6=104cm×104cmであってもよい。前面壁枠31は、収納空間28への荷物の出し入れを行うために、左右側面壁枠25,26に対してヒンジ等で開閉自在に取り付けられている。
【0032】
ロールボックスパレット22の準備後、フォークリフトで持ち上げられた紙製パレット1が、ロールボックスパレット22に載せられる。紙製パレット1の載せ方は、ロールボックスパレット22の位置までフォークリフトを移動させて行ってもよいし、フォークリフトは移動させず、ロールボックスパレット22をキャスター23で移動させて行ってもよい。後者の方法であれば、フォークリフトに比べて移動が軽快であり、また、ロールボックスパレット22の内寸とほぼ同じサイズの紙製パレット1をロールボックスパレット22の収納空間28に収める際の位置の微調整を簡単に行うことができる。
【0033】
次に、図5Dに示すように、紙製パレット1の隙間16からフォークリフトのフォーク21が引き抜かれ、前面壁枠31が閉じられ、ロールボックスパレット22が貨物自動車等に積載されて、着荷主先に配送される。
以上、この実施形態の構成によれば、ロールボックスパレット22は、図5Aのステップで紙製パレット1への荷物20の積み込みが完了したときに発荷主先に持ち込めばよいので、発荷主先においてロールボックスパレット22の仮置きスペースが不要となる。また、ロールボックスパレット22を配送業者に持ち込まなくても、荷物20の積み込みが完了した紙製パレット1を配送業者に集荷しに来てもらうこともできる。そのため、この場合においても、発荷主先においてロールボックスパレット22の仮置きスペースが不要となる。また、紙製パレット1に荷物20を載せるまでは、紙製パレット1を壁等に立て掛けて置いておけるので、紙製パレット1のために大きな仮置きスペースが必要となることもない。
【0034】
また、着荷主先においては、紙製パレット1を下ろしさえすれば、配送業者は、ロールボックスパレット22をその場で持ち帰ることができるので、効率的である。
また、ロールボックスパレット22に積み込む荷物20の種類が統一されていない場合でも、紙製パレット1上の荷物20であれば、ハンドパレットスケール等で荷物20の重量(総重量)を一括して簡単に測定することができる。そのため、ロールボックスパレット22の最大積載量までの荷物20を容易に積み込むことができる。
【0035】
また、紙製パレット1はロールボックスパレット22用であるため、紙製パレット1からロールボックスパレット22に荷物を積み替える手間がない。また、ロールボックスパレット22のサイズに準じて紙製パレット1のサイズが設計されているため、ロールボックスパレット22に積み込み可能な荷物の量(大きさ)を簡単に判断することができる。
また、紙製パレット1は、木製パレットや樹脂製パレットに比べて軽い段ボール製なので、パレット自体の重量がロールボックスパレット22の最大積載量に与える影響が少なくて済む。さらに、軽いので簡単に持ち運ぶこともできる。
【0036】
しかも、木製パレットや樹脂製パレットに比べて、一般ごみとして、着荷主先で簡単に廃棄することもできる。たとえば、使用後の紙製パレット1を水分で湿らせて柔らかくすることによって、簡単に形状を小さくすることができるので、簡単に廃棄することができる。
また、着荷主先での荷下ろしは、荷物20が載っている紙製パレット1を置くだけでよいので、ロールボックスパレット22から1つ1つ下ろす場合に比べて効率がよい。また、着荷主先において、フォークリフトを利用して荷物20を簡単に移動させることができる。
【0037】
また、桁部材3は、多層段ボール基材10の積層構造の表面11がデッキボード2に接着するように設けられている。そのため、多層段ボール基材10の積層構造の切断端面13をデッキボード2に接着する態様に比べて、多層段ボール基材10の積層構造における段ボールの切り面を少なくすることができる。
たとえば、多層段ボール基材は、簡単にカットできないので、多層段ボール基材10の供給業者に予め定めた大きさにカットしてもらい、カット後の基材を購入する場合がある。この場合、切り面(切断面)の数が増えると費用が増加することがある。そのため、前述の桁部材3のようなブロック形状を、多層段ボール基材10の積層構造の切断端面13がデッキボード2に接着される態様で形成しようとすると、桁部材3に使用する多層段ボール基材10が横方向に積層されることになり、必然的に必要な多層段ボール基材10の数が多くなる。その結果、供給業者における切り面の数が増えるため、カット費用が上昇する不具合がある。
【0038】
これに対し、この実施形態のように、多層段ボール基材10の積層構造の表面11がデッキボード2に接着する態様では、必要な多層段ボール基材10が少なくて済み、切り面が少ないので、カット費用を抑えることができる。
また、デッキボード2に多層段ボール基材4(硬質ダンボール)を採用しているので、ロールボックスパレット22に積み込まれる荷物20の積載量に対して、少なくとも1枚の段ボールで十分な強度を発現することができる。そのため、デッキボード2に使用する段ボールの枚数が少なくて済むので、紙製パレット1の製造に必要な費用を抑えることができる。
【0039】
また、フォーク挿入用の隙間16が格子状に形成されているので、紙製パレット1の4つの端面7のどの方向からもフォークリフトのフォーク21を挿入することができる。そのため、荷物20の配送効率を向上させることができる。
また、図示はしないが、デッキボード2の表面5に広告等を印刷することもできる。
また、紙製パレット1を着色することもできる。これにより、たとえば、荷物の種類ごとに紙製パレット1の色を決めておけば、荷物を空けなくても荷物の内容物を把握することができる。
【0040】
また、使用後の紙製パレット1の桁部材3を糸鋸等で切断することによって、荷造りするときの緩衝材として再利用することもできる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の実施形態では、桁部材3は、デッキボード2の4つの角部17および4つの周縁部18の中央部のみに配置されていたが、図6に示すように、デッキボード2の隙間16におけるデッキボード2の周縁部18に、桁部材3と同じ構造の補助部材29が接着されていてもよい。
【0041】
この構成によれば、たとえば、フォークリフトのフォーク21が補助部材29に当接した時点でフォーク21の挿入を止めれば、フォーク21がデッキボード2の端面7から外側にはみ出ることを防止することができる。これにより、フォークリフトで持ち上げた紙製パレット1をロールボックスパレット22に置くときに、フォーク21の先端がロールボックスパレット22の背面壁枠27に接触することを防止することができる。その結果、ロールボックスパレット22の底板24に紙製パレット1をきっちり置くことができる。
【0042】
また、たとえば、図7に示すように、デッキボード2の中心部付近に、桁部材3と同じ構造の補助部材30を追加してもよい。この補助部材30は、たとえば、デッキボード2に加わる重さに部分的な偏りがある場合、デッキボード2の中心部付近に限らず、比較的大きな重さが加わる部分の近くに設ければよい。これにより、デッキボード2の耐荷重を選択的に補強することができる。
【0043】
また、図8に示すように、桁部材3は、ブロック状ではなく、デッキボード2の端面7に沿う直線板状であってもよい。この場合、直線板状の桁部材3は、互いに間隔を空けてストライプ状に配置されていてもよい。
また、前述の実施形態では、まず紙製パレット1に荷物20を積み込み、その紙製パレット1をフォークリフトでロールボックスパレット22に載せたが、たとえば、荷物20の積み込み前に紙製パレット1だけをロールボックスパレット22にセットし、その紙製パレット1に、たとえば人の手で荷物20を積み込んでもよい。
【0044】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【実施例1】
【0045】
次に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は下記の実施例によって限定されるものではない。
<紙製パレットの作製>
王子インターパック株式会社製の「ハイプルエース」を使用して、図1図3に示す形態の紙製パレット1を作製した。デッキボード2のサイズは、L1×L2=100cm×100cmとした。また、桁部材3のサイズは、L3×L4×H=10cm×10cm×4cmとした。なお、デッキボード2と桁部材3との接着には、日栄化工株式会社製の「ライフボンド」を用いた。
<紙製パレットの耐久性>
上記で得た紙製パレット1の上に、一斗缶32缶、合計で18kg×32=576kgの荷物を積み込んだ。この紙製パレット1をフォークリフトで持ち上げ、ロールボックスパレット22(底板の内寸が幅×奥行き=104cm×104cm)に積み込んだ。
【0046】
この過程で、紙製パレット1の状態を確認したが、段ボール折れもなく、フォークリフトのフォークの抜き差しも問題なく行うことができた。
【符号の説明】
【0047】
1 紙製パレット
2 デッキボード
3 桁部材
4 多層段ボール基材
5 表面
6 裏面
7 端面
10 多層段ボール基材
11 表面
12 裏面
13 端面
16 隙間
17 角部
18 周縁部
19 位置マーク
20 荷物
21 フォーク
22 ロールボックスパレット
29 補助部材
30 補助部材
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8