【課題】卵焼き、煮魚、おでんや煮物等の和惣菜や、ハンバーグ、ロールキャベツ、カレーやシチュー等の洋惣菜の、高温の食品である被包装物をトレーに収納して、被包装物が高温のまま包装容器内をガス置換して、蓋フィルムをトレーに熱溶着して密封し、包装容器内と包装容器外を異なる環境にして、包装容器内を被包装物の品質を保持する最適な環境を作り上げる包装容器を提供する。
【解決手段】蓋フィルム10とトレー20からなる包装容器1の、耐熱性を有する素材からなるトレー20は、高温の被包装物3を収納する収納部31と、該収納部31の周囲に蓋フィルム10を熱溶着して密閉可能とするフランジ21を設け、該包装容器1内は被包装物3に適するガスを保持可能とした。
蓋フィルムとトレーからなる包装容器の、耐熱性を有する素材からなるトレーは、高温の被包装物を収納する収納部と、該収納部の周囲に蓋フィルムを熱溶着して密閉可能とするフランジを設け、該包装容器内は被包装物に適するガスを保持可能としたことを特徴とする包装容器。
トレーシーラーに設置した下部金型にフランジを有するトレーを配置し、トレー上に高温の被包装物を収納し、トレー内の被包装物とフランジを蓋フィルムで覆い、フランジと蓋フィルムの間から脱気して包装容器内を400mbarから700mbarにするとともに、包装容器内に被包装物に適するガスを包装容器内が750mbarから950mbarに到達するまで封入し、上部金型を下降し、フランジと蓋フィルムを熱溶着して密閉する包装容器の製造方法。
【背景技術】
【0002】
食品業界では、消費者が購入した食品を消費する時点まで、食品の製造時点の品質を保持することが必須であり、食品を収納して保護しつつ流通可能とする包装容器は、食品衛生面を備えて消費者に安全・安心を届けるための重要な機能を有している。
【0003】
ここで、食品を取り巻く外界の環境である空気中には、水蒸気、酸素、窒素、二酸化炭素、アルゴン、二酸化硫黄、一酸化炭素、アンモニア、二酸化窒素、オゾン、炭化水素などの気体や、微生物、塵埃なども含まれている。
【0004】
これら、空気中の含有物の中には、食品の色、味や香りを変質させ、食品が腐敗する原因となるものがある。
【0005】
そこで、包装容器内と包装容器外の環境とを異なる環境にして、被包装物である食品の品質を保持できる最適な環境を作り上げることができれば、変質を防いで、様々な流通、保管状態を経ても被包装物は、安全・安心な状態で消費者の下に届き、フードロスを削減することができ、環境問題にも貢献することができる。
【0006】
従来、被包装物の品質を維持するための包装でトレーに入れた被包装物を包装する手法として、トレーシーラーを用いた包装が採用されている。
【0007】
ここで、特許文献1には、
図9に示すとおり、トレーシーラーで蓋をして製造したガス置換包装体の包装容器の発明が開示されている。
【0008】
具体的には、ガス置換包装体60は、シールパック製ガス置換トレーシーラー機を用い、トレーに対する蓋材としてのフィルム61をヒートシールし、ガスバリア性が高く、食品トレーとの密封シール性と防曇性とを兼備するフィルム61を提供し、ラップフィルムのような美観性を持ち、包装された食品64の賞味期限の長期化を果たす機能を有するものである。
【0009】
さらに、
図10に示すように、特許文献2には、トレーシーラーとこれを用いて製造するガス置換包装体の発明が開示されている。
【0010】
具体的には、ガス置換包装体は、トレーシーラー78で蓋となるフィルムをヒートシールするものであり、トレーシーラー78は、包装システムの2本のレーンが、それぞれ、2組のコンベヤ70、71、72および73、74、75によって特徴付けられている。食品を含むプラスチックトレー80は、コンベヤによってレーンに沿って方向79に運ばれ、コンベヤ71、74上に蓄積され、各コンベヤ71、74が5枚のトレーを運ぶと、グリッパーアーム(図示せず)が起動して、ヒートシーリングツール82内へ、5枚のトレーを2組移送する。それらは、ツール84の基台上に2列に並べて置かれ、プラスチックシールフィルム91は、貯蔵用ロール90から供給され、ヒートシール用ツール82内の各レーンに対応して横方向に間隔を置いて並べられた2つのプリンタ92、94を通り過ぎて、ピックアップローラ96上へ供給され、ヒートシーリングツール82の基台84の上には、支持ブロック86内に取り付けられた5つの個別の加熱プレート(図示せず)が、2列配置され、シールされていないトレー80が、一旦、ヒートシーリングツール82内に配置されると、加熱プレート(上部支持ブロック86内に取り付けられた)が、支持ブロック86の動きによって、トレー80と、プレートおよびトレーの間のフィルム91と、係合される。熱がプレートに加えられ、フィルム91の対応した形状の部分をウェブから切り取り、各トレーにヒートシールさせ、シール後、支持ブロック86が上昇し、グリッパーアームが稼動してシールされたパッケージをツール82の外へ移送し、コンベヤ72、75上に運び、次いでフィルム91のウェブの残りは、ピックアップローラ96上に集められ、ガス置換包装体となるものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、特許文献1および特許文献2の発明で開示されたガス置換包装体の包装容器は、収納する被包装物が常温のものを包装するにとどまり、卵焼き、煮魚、おでんや煮物等の和惣菜や、ハンバーグ、ロールキャベツ、カレーやシチュー等の洋惣菜の、高温の食品である被包装物をトレーに収納して、被包装物が高温のまま包装容器内をガス置換して、蓋フィルムをトレーに熱溶着して密封することができないという課題があった。
【0013】
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、高温の被包装物を収納してガス置換して蓋のフィルムによって密封できる包装容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するため請求項1記載の本発明は、蓋フィルムとトレーからなる包装容器の、耐熱性を有する素材からなるトレーは、高温の被包装物を収納する収納部と、該収納部の周囲に蓋フィルムを熱溶着して密閉可能とするフランジを設け、該包装容器内は被包装物に適するガスを保持可能としたことを要旨とするものである。
【0015】
請求項1記載の本発明によれば、調理したての高温の卵焼き、煮魚、おでんや煮物等の和惣菜や、ハンバーグ、ロールキャベツ、カレーやシチュー等の洋惣菜である被包装物をトレーに収納して、被包装物が高温のまま包装容器内をガス置換して、蓋フィルムをトレーに熱溶着して密封できるため、包装前に被包装物となる食品を冷却する手間と時間が不要となる。
【0016】
本包装容器は耐熱性を有するため、高温の被包装物を収納しても変形や変性せずに、被包装物を確実に包装できる。
【0017】
従来の包装容器の場合は、加熱調理した食品を常温以下にしてから包装する必要があり、被包装物となる食品を調理した鍋や窯からバット等の容器に移し替えて、室内又は冷蔵庫等の台やラックに蓋をせずに放置して温度を下げるため、冷却中に空気中の浮遊バクテリアが食品に落下して、被包装物に混入する危険があるが、本包装容器の場合、食品である被包装物が高温のまま包装容器内をガス置換して、蓋フィルムをトレーに熱溶着して密封し包装できるため、冷却中のバクテリアの混入の恐れがない。
【0018】
また、従来の包装容器の場合は、加熱調理した食品の冷却中の湯気で風味や水分が抜け、さらに空気に触れて油脂等が酸化したり、食品の品質が劣化する恐れがあるが、本包装容器の場合、食品である被包装物が高温のまま包装容器内をガス置換して、蓋フィルムをトレーに熱溶着して密封し包装できるため、加熱調理した食品からでる湯気が密封された包装容器の内部に保持されて風味や水分も保持され、さらに、空気に触れないため酸化の恐れがなく、食品の劣化の恐れがなく、加熱調理後のおいしさが保持できる。
【0019】
さらに、冷却中に食品から水分や油分が流出する冷却減耗が起こり、ハンバーグは約5%、卵焼きは9%重量が減るといわれているが、調理したての高温のまま、冷却せずに被包装物3としてトレーに収納し、包装容器内をガス置換して、蓋フィルムをトレーに熱溶着して密封し包装できるため、被包装物となる食品の歩留まりが向上する。
【0020】
包装容器内と包装容器外を異なる環境にして、包装容器内を被包装物の品質を保持する最適な環境を作り上げる包装容器を提供することができる
【0021】
包装容器に封入されたガスを確実に包装容器内に保持することが可能となり、包装容器内を被包装物である食品の品質を保持できる最適な環境を維持することができ、変質を防いで、様々な流通、保管状態を経ても被包装物は、安全・安心な状態で消費者の下に届き、フードロスを削減して、環境問題にも貢献することができる。
【0022】
さらに、包装容器内と包装容器外の環境とを異なる環境にして、被包装物である食品の品質を保持できる最適な環境を作り上げることができ、変質を防いで、様々な流通、保管状態を経ても被包装物3は、安全・安心な状態で消費者の下に届き、フードロスを削減可能として、環境問題にも貢献することができる。
【0023】
請求項2記載の本発明は、トレーは結晶性ポリエチレンテレフタレートまたはポリプロピレンからなることを要旨とするものである。
【0024】
請求項2記載の本発明によれば、トレーは結晶性ポリエチレンテレフタレート(C−PET)またはポリプロピレン(PP)からなり、耐熱性を有するため、高温の被包装物を収納しても変形や変性せずに、被包装物を確実に包装できる。
【0025】
請求項3記載の本発明は、被包装物は50℃から100℃であることを要旨とするものである。
【0026】
請求項3記載の本発明によれば、従来の包装容器の場合は、加熱調理した食品を常温以下にしてから包装する必要があり、被包装物となる食品を調理した鍋や窯からバット等の容器に移し替えて、室内又は冷蔵庫等の台やラックに蓋をせずに放置して温度を下げるため、冷却中に空気中の浮遊バクテリアが食品に落下して、被包装物に混入する危険があるが、本包装容器の場合、食品である被包装物が高温のまま包装容器内をガス置換して、蓋フィルムをトレーに熱溶着して密封し包装できるため、冷却中のバクテリアの混入の恐れがない。
【0027】
また、従来の包装容器の場合は、加熱調理した食品の冷却中の湯気で風味や水分が抜け、さらに空気に触れて油脂等が酸化したり、食品の品質が劣化する恐れがあるが、本包装容器の場合、食品である被包装物が高温のまま包装容器内をガス置換して、蓋フィルムをトレーに熱溶着して密封し包装できるため、加熱調理した食品からでる湯気が密封された包装容器の内部に保持されて風味や水分も保持され、さらに、空気に触れないため酸化の恐れがなく、食品の劣化の恐れがなく、加熱調理後のおいしさが保持できる。
【0028】
さらに、冷却中に食品から水分や油分が流出する冷却減耗が起こり、ハンバーグは約5%、卵焼きは9%重量が減るといわれているが、調理したての高温のまま、冷却せずに被包装物3としてトレーに収納し、包装容器内をガス置換して、蓋フィルムをトレーに熱溶着して密封し包装できるため、被包装物となる食品の歩留まりが向上する。
できる。
【0029】
請求項4記載の本発明は、トレーシーラーに設置した下部金型にフランジを有するトレーを配置し、トレー上に高温の被包装物を収納し、トレー内の被包装物とフランジを蓋フィルムで覆い、フランジと蓋フィルムの間から脱気して包装容器内を400mbarから700mbarにするとともに、包装容器内に被包装物に適するガスを包装容器内が750mbarから950mbarに到達するまで封入し、上部金型を下降し、フランジと蓋フィルムを熱溶着して密閉する包装容器の製造方法を要旨とするものである。
【0030】
請求項4記載の本発明によれば、包装容器内の空気を除外する脱気をすると、包装容器内の気圧が低下していくにつれ、被包装物の沸点も低下していくが、1気圧に近い状態で、ガスを封入しながら包装容器内から空気を除外するため、被包装物を突沸せずに、ガス置換して密封できる。
【0031】
これにより、高温の食品である被包装物をトレーに収納して、被包装物が高温のまま包装容器内の気圧を低下させずに、脱気するとともにガスを封入する、ガス置換をして、蓋フィルムをトレーに熱溶着して密封し、包装容器内と包装容器外を異なる環境にして、包装容器内を被包装物の品質を保持する最適な環境を作り上げる包装容器を製造することができる。
【0032】
蓋フィルムの内面部と被包装物の間にガスを封入したスペースが有るため、易開封性を有する(イージーピール)蓋フィルムの一部をトレーから外し、包装容器の一部を開封して電子レンジで加熱しても、被包装物がトレーや包装容器内から外へ吹きこぼれることがない。これにより、被包装物を改めて食器に移すことなく、被包装物を加熱したトレーをそのまま食器として利用でき、コンビ二エンスストアのイートインコーナーや屋外、野外などで喫食することが簡便になる。
【発明の効果】
【0033】
本発明は、卵焼き、煮魚、おでんや煮物等の和惣菜や、ハンバーグ、ロールキャベツ、カレーやシチュー等の洋惣菜の、高温の食品である被包装物をトレーに収納して、被包装物が高温のまま包装容器内をガス置換して、蓋フィルムをトレーに熱溶着して密封し、包装容器内と包装容器外を異なる環境にして、包装容器内を被包装物の品質を保持する最適な環境を作り上げる包装容器を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下本発明を実施するための形態について説明するが、本発明はこれに限定されたものでないことは、言うまでもない。
【0036】
以下図面を用いて本発明の包装容器1の実施の形態を詳細に説明する。
【0037】
図6は本発明の包装容器1の1実施形態を示す斜視図で、本発明の包装容器1は、蓋フィルム10とトレー20からなる。トレー20は、底部23の周囲から立ち上がり、側面を構成する立ち上がり部22と、立ち上がり部22の上部にフランジ21を有する。
【0038】
蓋フィルム10でフランジ21を覆い、蓋フィルム/トレーシール部33を熱溶着して包装容器1を密封する。
【0039】
次に、本発明の包装容器1の製造工程および製造方法を詳細に説明する。
【0040】
トレーシーラー50のシール装置52内に設置した下部金型42にトレー20を配置し、トレー20の収納部31に高温の被包装物3を収納し、トレー20内の被包装物3とフランジ21を蓋フィルム10で覆い、フランジ21と蓋フィルム10の間から脱気して包装容器1の内部2を真空にするとともに、包装容器1の内部2に被包装物3に適するガスを封入し、上部金型41を下降し、開口部32を蓋フィルム10で熱溶着して密閉して包装容器1を形成する。
【0041】
トレーシーラー50に設置した下部金型42にフランジ21を有するトレー20を配置し、トレー20上に高温の被包装物3を収納し、トレー20内の被包装物3とフランジ21を蓋フィルム10で覆い、フランジ21と蓋フィルム10の間から脱気して包装容器1内を700mbarにするとともに、包装容器1内に被包装物3に適するガスを包装容器1内が750mbarに到達するまで封入し、上部金型41を下降し、フランジ21と蓋フィルム10を熱溶着して密閉して包装容器1を形成する。
【0042】
本発明の包装容器1は、高温の被包装物3をトレー20上の収納部31に収納、蓋フィルム10を被せて収納部31に収納後、収納部31の空気を所定のガスと置換をした後、蓋フィルム10とフランジ21とを熱溶着して、被包装物3を密閉するものである。
【0043】
図1から
図4は、被包装物3をトレー20上に置き蓋フィルム10を被せて収納部31に収納した包装容器1を、トレーシーラー50に設置した金型内に収納した後、上部金型41が下降して下部金型42と接するまでの工程を示す。
【0044】
図1から
図4は、包装容器1の製造工程1から4であり、トレーシーラー50のガス置換と熱溶着の具体的手順を示す。
【0045】
図1は、下部金型42の上部に被包装物3を収納した包装容器1を設置した後、開口部32から白抜きの矢印の方向に空気が吸引され、開口部32から収納部31に存在する空気が吸引されていく状態を示す。
【0046】
図2は、開口部32から黒矢印の方向に任意のガスが封入され、開口部32から収納部31に任意のガスが充満して、さらに白抜きの矢印の方向に空気が包装容器1内から吸引されていく状態を示す。
【0047】
図3は、黒矢印の方向に任意のガスが封入され、蓋フィルム10とトレー20間には空気がなくなりガスが充満した状態を示す。
【0048】
図4は、上部金型41が下部金型42に向かって下降し、蓋フィルム10とフランジ21が熱と圧力で熱溶着して、包装容器1内部2が密封する。
【0049】
本発明において、大気圧(1気圧)の条件下で、常温とは約15℃から約25℃の範囲をいい、高温とは約50℃以上をいう。
【0050】
食中毒原因菌の多くは25℃〜35℃前後で活発に繁殖する中温菌である。
【0051】
加熱調理した食品を包装容器1に密閉する際、トレー20上に器具やノズルを介して収納した時点では、被包装物3である食品の温度は約50℃以上の高温を維持しているため、被包装物3から湯気が出ている状態である。
【0052】
約50℃以上の高温を維持している被包装物3である食品において、万が一中温菌である食中毒原因菌が混入していたとしても活発に繁殖することはできない。
【0053】
一実施形態として、トレーシーラー50のシール装置52の下部金型42設置したトレー20の収納部31に約90℃の食品である被包装物3を収納し、トレー20内の被包装物3とフランジ21を蓋フィルム10で覆い、フランジ21と蓋フィルム10の間から脱気して包装容器1内部2を400mbarから700mbar程度にするとともに、包装容器1内部2に被包装物3に適するガスを包装容器1内部2が750mbarから950mbarに到達するまで封入し、上部金型41を下降し、フランジ21と蓋フィルム10を熱溶着して密閉すると、
図5に示すとおり、被包装物3から湯気が上がり、包装容器1の内部2の圧力が高まり、蓋フィルム10の内面部12を押し上げ、蓋フィルム10の表面部11がドーム状に膨らむ。その後、被包装物3の封入された包装容器1全体の温度が下がると、被包装物3から立ち上る湯気がおさまり、包装容器1内部2の圧力は大気圧と同一となり、
図6に示すように蓋フィルム10は水平に近い状態となる。
【0054】
図7は、包装容器1に被包装物3を収納して蓋フィルム10を熱溶着して密封するトレーシーラー50を示す。
【0055】
図8に示す水蒸気圧曲線のとおり、1気圧の条件下では水は100℃で沸騰するが、気圧が低く0.7気圧の場合水は90℃で沸騰する。
【0056】
なお、1気圧は約1,000mbrであり、0.7気圧は約700mbrである。
【0057】
包装容器1内の気圧の設定は、内容物の温度により異なり、一般的な真空包装あるいはガス置換包装においては、包装容器1内を50mbar以内まで脱気することが常識である。
【0058】
次に本発明の包装容器1の使用方法を記載する。
【0059】
ガス置換して熱溶着して密封した包装容器1は、蓋フィルム10とトレー20の端部をつまみ、上下に開いて開封する。
【0060】
次に本発明の包装容器1の効果を詳細に記載する。
【0061】
調理したての高温の卵焼き、おでんや煮物等の和惣菜や、ハンバーグ、ロールキャベツ、カレーやシチュー等の洋惣菜である被包装物3をトレー20に収納して、被包装物3が高温のまま包装容器1内をガス置換して、蓋フィルム10をトレー20に熱溶着して密封できるため、包装前に被包装物3となる食品を冷却する手間と時間が不要となる。
【0062】
本包装容器1は耐熱性を有するため、高温の被包装物3を収納しても変形や変性せずに、被包装物3を確実に包装できる。
【0063】
従来の包装容器の場合は、加熱調理した食品を常温以下にしてから包装する必要があり、被包装物3となる食品を調理した鍋や窯からバット等の容器に移し替えて、室内又は冷蔵庫等の台やラックに蓋をせずに放置して温度を下げるため、冷却中に空気中の浮遊バクテリアが食品に落下して、被包装物3に混入する危険があるが、本包装容器1の場合、食品である被包装物3が高温のまま包装容器1内をガス置換して、蓋フィルム10をトレー20に熱溶着して密封し包装できるため、冷却中のバクテリアの混入の恐れがない。
【0064】
また、従来の包装容器の場合は、加熱調理した食品の冷却中の湯気で風味や水分が抜け、さらに空気に触れて油脂等が酸化したり、食品の品質が劣化する恐れがあるが、本包装容器1の場合、食品である被包装物3が高温のまま包装容器1内をガス置換して、蓋フィルム10をトレー20に熱溶着して密封し包装できるため、加熱調理した食品からでる湯気が密封された包装容器1の内部2に保持されて風味や水分も保持され、さらに、空気に触れないため酸化の恐れがなく、食品の劣化の恐れがなく、加熱調理後のおいしさが保持できる。
【0065】
さらに、冷却中に食品から水分や油分が流出する冷却減耗が起こり、ハンバーグは約5%、卵焼きは9%重量が減るといわれているが、調理したての高温のまま、冷却せずに被包装物3としてトレー20に収納し、包装容器1内をガス置換して、蓋フィルム10をトレー20に熱溶着して密封し包装できるため、被包装物3となる食品の歩留まりが向上する。
【0066】
包装容器1内と包装容器1外を異なる環境にして、包装容器1内を被包装物3の品質を保持する最適な環境を作り上げる包装容器1を提供することができる
【0067】
トレー20は結晶性ポリエチレンテレフタレート(C−PET)やポリプロピレン(PP)からなり、耐熱性を有するため、高温の被包装物3を収納しても変形や変性せずに、被包装物3を確実に包装できる。
【0068】
包装容器1に封入されたガスを確実に包装容器1内に保持することが可能となり、包装容器1内を被包装物3である食品の品質を保持できる最適な環境を維持することができ、変質を防いで、様々な流通、保管状態を経ても被包装物3は、安全・安心な状態で消費者の下に届き、フードロスを削減して、環境問題にも貢献することができる。
【0069】
さらに、包装容器1内と包装容器1外の環境とを異なる環境にして、被包装物3である食品の品質を保持できる最適な環境を作り上げることができ、変質を防いで、様々な流通、保管状態を経ても被包装物3は、安全・安心な状態で消費者の下に届き、フードロスを削減可能として、環境問題にも貢献することができる。
【0070】
本発明において「ガス置換する」とは、
図1から
図4で示す工程をとることにより、まず包装容器1内から空気を抜き、次に大気中に存在する窒素、酸素、炭酸ガスの比率を、被包装物3の保存に適するように配合して、かつ、安全なガスに置き換えて包装することをいう。ガス置換することにより、包装容器1内を安全なガスに置き換えることができ、被包装物3の鮮度が保たれ、品質保持期限の延長が可能となる。
【0071】
本発明の包装容器1では、
図1から
図4で示す工程をとること、ガスの置換率を99.9%まで高めることが可能となり、酸化や菌の繁殖を抑制し商品の鮮度を保持することができる。
【0072】
ガス置換において包装容器1内に封入するガスは、被包装物3により異なる。不活性ガスでは、静菌作用を有する炭酸ガス、無味・無臭の不活性ガスである窒素ガスを採用することができる。
【0073】
より具体的には、油脂を多く含む食品等の被包装物3の酸化防止のためには、窒素を配合することにより、被包装物3の香りや色を自然な状態に保つことができる。さらに、二酸化炭素を配合することにより、細菌やカビ等の繁殖を抑制できる。
【0074】
ここで、包装容器1のトレー20上に高温の被包装物3を置き、ガスを充填し、蓋10を被せて、蓋フィルム10とフランジ21を熱溶着することで、ガスを封じ込め、包装容器1内の環境を維持し、食品の酸化や菌の増殖を抑制することで劣化を遅らせることができる。
【0075】
本発明の包装容器1の蓋フィルム10およびトレー20の種類は特に限定はないが、ガス置換したガスが抜けたり変質しないで保持し、被包装物3が収納された収納部31の環境を保持する材質で製造されたものが好ましい。また、その材質と被包装物3により包装容器1の蓋フィルム10およびトレー20の厚みおよび形状も異なる。
【0076】
具体的には、鮮度を保持するガスバリア性、香り移りの無い保香性、湿度を一定に保ち乾燥や湿気から守る密封性、必要な強度で熱溶着でき手指で開封可能な開封性、基本的な食品を守る安全性、内部に付着する結露を防止する防曇性、衝撃に強く壊れにくい耐久性が必要である。
【0077】
具体的なトレー20の材質として具備すべき特徴は、ヒートシール性を有し、酸素バリア性があり、かつ耐熱性を有することである。
【0078】
これらを実現するトレー20の材質は、大きく分けて外層とシール層の2層以上からなり、外装には結晶性ポリエチレンテレフタレート(C−PET)やポリプロピレン(PP)等の強度を有するフィルムを使用し、シール層にはポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等の熱シール性を有するフィルムを用いることが好ましい。
【0079】
特に酸素バリア性を付与する場合は、外層とシール層の間に中間層を設け、中間層にはエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)からなるフィルムを配置することが好ましい。
【0080】
トレー20を製造する際に用いられるフィルムとしては、ポリプロピレン(PP)と共押し出ししたEVOH(エチレン−ビニルアルコール共重合体)/Ny(ポリアミド)/PE(ポリエチレン)、あるいは、ポリプロピレン(PP)との積層フィルムが考えられる。
【0081】
具体的な蓋フィルム10の材質として具備すべき特徴は、イージーピール性を有し、かつ、ヒートシール性、酸素バリア性と耐熱性を有することである。
【0082】
これらを実現する蓋フィルム10の材質は、大きく分けて外層と中間層とシール層の3層からなり、外装にはPP等の耐熱性を有するフィルムを使用し、中間層にはNy(ポリアミド)等の強度を構成するフィルムを使用し、シール層にはポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等の熱シール性を有するフィルムを用いることが好ましい。
【0083】
特に酸素バリア性を付与する場合は、中間層とシール層の間にエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)からなるフィルムを配置することが好ましい。
【0084】
本実施形態の包装容器1のトレー20の形状は、特に限定はなく、略長方形の底部23を備えた短手、長手を有する略長方体形状、略直方体形状のものでもよく、トレーシーラー50の金型でガス置換と、熱溶着の工程をとることのできる形状であれば特に限定はない。
【0085】
本発明においてトレーシーラー50は、トレーシーラー50のシール装置52内に設置した下部金型42にトレー20を配置し、トレー20の収納部31に高温の被包装物3を収納し、トレー20内の被包装物3とフランジ21を蓋フィルム10で覆い、フランジ21と蓋フィルム10の間から脱気して包装容器1の内部2を真空にするとともに、包装容器1の内部2に被包装物3に適するガスを封入し、上部金型41を下降し、開口部32を蓋フィルム10で熱溶着して密閉して包装容器1を形成する装置であり、トレー20の移動のためにコンベヤ51と、蓋フィルム10をトレー20に熱溶着した後の不要部分を巻取るための蓋フィルムスクラップ巻取装置53を設けた。
【0086】
図1から
図4で示す工程を経ることにより、ガス置換前後の収納部31内の圧力差を最小限となるよう気圧調節しつつ脱気し、ガスを充填することで、包装容器内の気圧を低下させずに、高温の食品である被包装物3が高温のまま形状を変化させることなく包装することができる。
【0087】
包装容器内の気圧の設定は、内容物の温度により異なり、一般的な真空包装あるいはガス置換包装においては、包装容器内を50mbar以内まで脱気することが常識である。
【0088】
従来の蓋フィルムの内面部と被包装物の間にガス封入のないいわゆる「満杯包装」や、「スタンディングパウチ包装」のでは、トレーの淵ぎりぎり、包装容器内いっぱいに被包装物が封入されているため、開封した段階で被包装物が包装容器買いに漏れ出たり、電子レンジ等で加熱した場合に包装容器外へ吹きこぼれたりして、包装容器そのままで喫食するのは不可能であり、改めて食器に移し替える必要がある。
【0089】
蓋フィルム10の内面部12と被包装物3の間にガスを封入したスペースが有るため、易開封性を有する(イージーピール)蓋フィルム10の一部をトレー20から外し、包装容器1の一部を開封して電子レンジで加熱しても、被包装物3がトレー20や包装容器1内部2から外へ吹きこぼれることがない。これにより、被包装物3を改めて食器に移すことなく、被包装物3を加熱したトレー20をそのまま食器として利用できる。
【0090】
包装容器1を使用することで、コンビ二エンスストアのイートインコーナーや屋外、野外などでも喫食することが簡便になる。
【0091】
本発明において被包装物3には、卵焼き、煮魚、おでんや煮物等の和惣菜や、ハンバーグ、ロールキャベツ、カレーやシチュー等の洋惣菜の高温の食品が考えられる。