【課題】スマートフォン等の厚さが薄い電子機器に搭載可能な薄型のセンサーシフト方式の構成を有する撮像素子駆動装置、この撮像素子駆動装置を搭載したカメラ装置及び電子機器を提供すること
固定部と、前記固定部に対して移動する撮像素子組立体と、駆動機構と、支持機構と、を備え、前記撮像素子組立体は、矩形状の撮像素子を有し、この撮像素子の受光面の法線方向を第一軸方向とし、前記第一軸方向に直交すると共に互いに直交する方向を第二軸方向及び第三軸方向として、前記駆動機構は、前記撮像素子組立体を前記固定部に対して前記第二軸方向又は前記第三軸方向に駆動させるコイル部と、前記コイル部に対向する磁石部と、を備え、前記コイル部は、前記撮像素子組立体又は前記固定部の一方に配置され、前記磁石部は、前記撮像素子組立体又は前記固定部の他方に配置され、前記支持機構は、前記撮像素子組立体を前記固定部に対して移動可能に支持している撮像素子駆動装置。
前記支持機構は、環状で薄板状のスプリングを有し、前記スプリングは、前記固定部に固定される幅広部と、前記ワイヤ部材を取り付ける取り付け部と、を有し、前記取り付け部は宙に浮いた状態に設けられる
請求項11記載の撮像素子駆動装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態の一例を説明する。
【0011】
[第一実施形態]
図1〜
図4を参照して第一実施形態を説明する。第一実施形態の撮像素子駆動装置1Aは、固定部、撮像素子組立体、駆動機構及び支持機構を備えている。また、撮像素子駆動装置1Aは、部品ごとでは、本体部3、端子4、スプリング5、磁石固定板6、磁石部7、コイル部8、ワイヤ部材9、回路基板10、撮像素子組立体11、及び底板14を備えて構成されている。
【0012】
撮像素子組立体11は、受光面を備えている撮像素子13が基板12の上に実装されて構成されている。
【0013】
以下、第一実施形態から第四実施形態では、
図2に示すように、撮像素子13の受光面の法線方向を第一軸方向25とし、
図4に示すように、第一軸方向25に直交すると共に互いに直交する方向を第二軸方向26及び第三軸方向27としている。また、第一軸方向25で光が入射してくる側(
図2の左下側)を前側、結像する側(
図2の右上側)を後側としている。
【0014】
撮像素子13の受光面は、第二軸方向26及び第三軸方向27に広がる平面である。
【0015】
固定部は、カメラ装置の内部に固定的に取り付けられる箱体2を含んで構成されている。箱体2は、第一軸方向25から見て四角形の箱状の本体部3と、第一軸方向25から見て四角形状の板状の底板14とを備えている。本第一実施形態において、本体部3と底板14はそれぞれ磁性体であるが、非磁性体であってもよい。底板14の外側縁に本体部3の外周壁の後端が取り付けられて形成される空間内に撮像素子組立体11が収容されている。本体部3の前側壁の中央には撮像素子13に向かう光が通る貫通孔が設けられている。本体部3の四つの側壁それぞれの上端側に段差15が設けられている。
【0016】
図3に示すように、第一軸方向25における段差15の後側の面に、金属製のスプリング5と、FPC(Flexible Printed Circuits)からなる端子4とが取り付けられている。端子4を介して後述するコイル部8への給電が行われる。
【0017】
スプリング5は、四角環状の薄板状に形成され、各辺の中央部には幅広部が設けられていて、各角部にはワイヤ部材9を固定するための固定用孔5aが設けられている。
【0018】
端子4もスプリング5と同様に、四角環状の薄板状に形成され、各辺の中央部には幅広部が設けられていて、各角部にはワイヤ部材9を取り付けるための取り付け部である固定用孔4aが設けられている。さらに、一方の対向する二辺の幅広部からコイル接続部4bが第一軸方向25の後方へ伸びており、コイル接続部4bは、
図1に示すように、本体部3の側壁の後端から外部に露出している。
【0019】
スプリング5の幅広部は端子4の幅広部を介して本体部3の段差15の後側の面に固定される。従って、幅広部以外のスプリング5及び端子4は宙に浮いた状態となるので、ワイヤ部材9はスプリング5によって弾性的に支持されることになる。
【0020】
本体部3の前側壁の後側面における前記貫通孔の周囲には、
図3に示すように、薄肉部16が形成されている。図示していないが、カメラ装置のレンズを第一軸方向25に移動させるレンズ駆動装置(不図示)がこの薄肉部16に取り付けられる。そして、このレンズ駆動装置の後端側に磁石固定板6が取り付けられて固定される。従って、磁石固定板6は、箱体2に対して、位置及び姿勢が変化しないので、本第一実施形態において、磁石固定板6も固定部に含めて扱う。
【0021】
回路基板10は、FPCで構成され、
図2に示すように、平板10aと側板10bを有する。本第一実施形態では、側板10bは、平板10aの対向する二つの辺のそれぞれから第一軸方向25の前側へ立ち上がり、第二軸方向26及び第三軸方向27に伸びている。各側板10bの端部は、本体部3の側壁の内側に取り付けられ、
図1に示すように、外部に露出している。撮像素子組立体11は平板10aの前側面に固定され、各側板10bを介して通電される。また、
図3に示すように、平板10aの後側面に金属板10cが取り付けられている。金属板10cは、回路基板10の放熱を行う。
【0022】
駆動機構23は、コイル部8と、コイル部8に対向する磁石部7と、を備え、撮像素子組立体11を箱体2に対して第二軸方向26又は第三軸方向27に移動させる駆動力を発生する。
【0023】
コイル部8は、第三軸方向27の駆動力を発生する第一コイル17と、第二軸方向26の駆動力を発生する第二コイル18と、を備えている。
【0024】
本第一実施形態では、コイル部8は、
図2、
図4(a)に示すように、第一軸方向25から見て環状で四角形状の板状体であり、撮像素子13の周囲である基板12の前側面に取り付けられる。コイル部8は、撮像素子13を間に挟んで、一組の第一コイル17、17と、一組の第二コイル18、18と、が配置されて構成される。また、
図4(a)に示すように、各第一コイル17と各第二コイル18は、撮像素子13の中心を中心として90度の間隔で交互に配置されている。
【0025】
図4(a)に示すように、各第一コイル17は、第一軸方向25を巻線軸方向として、第二軸方向26に直線状に延伸する二本の直線部と、この二本の直線部の端部を連結する二つの半円部で構成されている。また、各第二コイル18は、第一軸方向25を巻線軸方向として、第三軸方向27に直線状に延伸する二本の直線部と、この二本の直線部の端部を連結する二つの半円部で構成されている。また、各第一コイル17は、第三軸方向27に沿って配置され、各第二コイル18は、第二軸方向26に沿って配置されている。また、本第一実施形態においては、各第一コイル17と各第二コイル18は、それぞれ撮像素子13を間に挟んで対向して設けられている。
【0026】
本第一実施形態では、
図4(a)に示すように、各第一コイル17は、それぞれ二つの第一小コイル19、19で構成され、各第二コイル18は、それぞれ二つの第二小コイル20、20で構成されている。各第一小コイル19は、第一軸方向25を巻線軸方向として、第二軸方向26に直線状に延伸する二本の直線部とこの二本の直線部の端部を連結する二つの半円部で構成されている。また、各第二小コイル20は、第一軸方向25を巻線軸方向として、第三軸方向27に直線状に延伸する二本の直線部とこの二本の直線部の端部を連結する二つの半円部で構成されている。各第一コイル17における第一小コイル19、19は、各直線部が同一直線になるように第二軸方向26に沿って配置されている。また、各第二コイル18における第二小コイル20、20は、各直線部が同一直線になるように第三軸方向27に沿って配置されている。また、一方の第一コイル17の第一小コイル19、19は、他方の第一コイル17の複数の第一小コイル19、19と撮像素子13を間に挟んで対向し、一方の第二コイル18の複数の第二小コイル20、20は、他方の第二コイル18の第二小コイル20、20と撮像素子13を間に挟んで対向している。
【0027】
コイル部8の四つの角部にはそれぞれ、
図4(a)に示すように、ワイヤ部材9を固定するための固定用孔8aが設けられている。この固定用孔8aは撮像素子組立体11の外側に位置するように設けられる。
【0028】
磁石部7は、各第一コイル17に対向する第一磁石7aと、各第二コイル18に対向する第二磁石7bとを備えている。本第一実施形態では、磁石部7は、
図2に示すように、第一軸方向25から見て四角形状の棒状体の一組の第一磁石7a、7aと、一組の第二磁石7b、7bと、を備え、磁石固定板6の後側面に固定されている。第一磁石7aは第一軸方向25で第一コイル17に対向し、第二磁石7bは第一軸方向25で第二コイル18に対向している。また、各第一磁石7aと各第二磁石7bは、撮像素子13の中心を中心として90度の間隔で交互に配置されている。
【0029】
各第一磁石7a及び第二磁石7bは、各第一コイル17及び第二コイル18の二本の直線部に対向する面の磁極が互いに異なるように着磁されている。即ち、この第一磁石7aの着磁面は第三軸方向27で互いに異なる磁極に着磁されており、第二磁石7bの着磁面は第二軸方向26で互いに異なる磁極に着磁されている。
【0030】
第一コイル17に電流が流れると、第三軸方向27の電磁力が発生し、撮像素子組立体11を第三軸方向27に移動させる駆動力が生成される。第二コイル18に電流が流れると、第二軸方向26の電磁力が発生し、撮像素子組立体11を第二軸方向26に移動させる駆動力が生成される。
【0031】
同じ第一コイル17の隣り合う第一小コイル19、19に異なる向きの電流が流れると、互いに反対向きの第三軸方向27の電磁力が発生する。同じ第二コイル18の隣り合う第二小コイル20、20に異なる向きの電流が流れると、互いに反対向きの第二軸方向26の電磁力が発生する。これによって、撮像素子13の中心を軸にして撮像素子組立体11を第一軸方向25回りに回転させる駆動力が生成される。
【0032】
各第一磁石7aと各第二磁石7bは、第一小コイル19と第二小コイル20に対応させて、それぞれ複数の小磁石で構成することもできる。この場合、第一磁石7aは、第一小コイル19、19に対向する二つの第一小磁石で構成され、各第一小磁石は、第二軸方向26に沿って配置される。また、第二磁石7bは、第二小コイル20、20に対向する二つの第二小磁石で構成され、各第二小磁石は、第三軸方向27に沿って配置される。
【0033】
支持機構24は、撮像素子組立体11を箱体2に対して移動可能に支持する機構である。本第一実施形態では、支持機構24は
図2に示すように、第一軸方向25に延出している四本のワイヤ部材9を備えている。
図3(b)に示すように、各ワイヤ部材9の第一軸方向25における前側の端部が、端子4の四つの角部に設けられている固定用孔4aと、スプリング5の四つの角部に設けられている固定用孔5aに嵌められている。この際、ワイヤ部材9は端子4と電気的に接続されるが、スプリング5とは電気的に接続されないようにする。また、各ワイヤ部材9の第一軸方向25における後側の端部が、コイル部8の固定用孔8aに嵌められて固定され、ワイヤ部材9は、コイル部8と電気的に接続される。これにより、端子4の各コイル接続部4bはコイル部8に電気的に接続され、端子4、各ワイヤ部材9を経てコイル部8へ給電される。この構造により、各ワイヤ部材9は、箱体2と撮像素子組立体11とを連結し、撮像素子組立体11を、箱体2に対して第二軸方向26、第三軸方向27又は第一軸方向25周りの回転方向へ移動可能に支持する。
【0034】
このように、本第一実施形態では、各ワイヤ部材9は、箱体2と撮像素子組立体11とを連結し、撮像素子組立体11を、箱体2に対して第二軸方向26、第三軸方向27又は第一軸方向25周りの回転方向へ移動可能に支持している。また、駆動機構23は、第一小コイル19で構成される第一コイル17、第二小コイル20で構成される第二コイル18と、各第一コイル17に対向する第一磁石7a、各第二コイル18に対向する第二磁石7bとを備えている。そのため、駆動機構23は、撮像素子組立体11を、箱体2に対して第二軸方向26、第三軸方向27又は第一軸方向25周りの回転方向へ移動させる駆動力を生成することができる。
【0035】
駆動機構23は、コイル部8が撮像素子組立体11に配置され、磁石部7が固定体を構成する磁石固定板6に配置される構造となっている。支持機構は、撮像素子組立体11を固定部に対して移動可能に支持している。そのため、撮像素子駆動装置1Aは、第一軸方向25の厚みを小さくすることができる。
【0036】
なお、第一コイル17と第二コイル18の構成は、上述した構成の他、種々の構成を採用することができる。例えば、第一小コイル19及び第二小コイル20を用いずに、各辺に配置されるコイルを一つの第一コイル17又は第二コイル18としてもよい。その場合、第一軸方向25周りの回転移動はできないが、より簡単な構成とすることができる。
【0037】
また、
図4(b)に示すように、対向する一組の第一コイル17、17が互いに第二軸方向26へずれて配置され、対向する一組の第二コイル18、18が互いに第三軸方向27へずれて配置されている構成としてもよい。この場合、各第一コイル17に第三軸方向27の同じ向きに電磁力が発生するように電流を流すと、撮像素子組立体11は第三軸方向27のこの向きに移動する。各第二コイル18に第二軸方向26の同じ向きに電磁力が発生するように電流を流すと、撮像素子組立体11は第二軸方向26のこの向きに移動する。各第一コイル17に第三軸方向27の逆向きに電磁力が発生するように電流を流すと、各第一コイル17の第二軸方向26の共通する直線部で発生する第三軸方向27の電磁力は互いに打ち消し合うが、各第一コイル17の第二軸方向26へずれている直線部17a、17aで発生する電磁力は打ち消し合わずに、第一軸方向25周りの回転力として作用する。第二コイル18も同様であり、各第二コイル18の第三軸方向27へずれている直線部18a、18aで発生する電磁力は打ち消し合わずに、第一軸方向25周りの回転力として作用する。これにより、撮像素子組立体11を、第一軸方向25を回りの回転方向へ移動させることができる。
【0038】
なお、本第一実施形態において、磁石部7は磁石固定板6に固定される。しかし、これに限るものではなく、磁石固定板6を廃止し、磁石部7は前述のレンズ駆動装置の後側の底面部に固定してもよい。また、レンズ駆動装置がレンズを駆動磁石と駆動コイルで駆動する装置である場合、この駆動磁石に磁石部7の働きを兼ねさせてもよい。
【0039】
また、磁石部7が撮像素子組立体11に配置され、コイル部8が磁石固定板6の代わりのコイル固定板に配置されても構わない。
【0040】
また、コイル部8への給電は、端子4とワイヤ部材9を経由して行われているが、回路基板10と撮像素子組立体11を経由して行われてもよい。
【0041】
[第二実施形態]
図5、
図6を参照して第二実施形態を説明する。本第二実施形態の撮像素子駆動装置1Bは、第一実施形態の撮像素子駆動装置1Aとはコイル部8と磁石部7の配置が変更されている。その変更に関連しない構成については第一実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0042】
撮像素子駆動装置1Bは、コイル部8が撮像素子組立体11の後側を向いた面に配置され、磁石部7が箱体2の底板14の前側を向いた面に配置されている構造となっている。例えば、
図5に示すように、各第一コイル17の二つの第一小コイル19、19と、各第二コイル18の二つの第二小コイル20、20が、撮像素子組立体11の後側の位置に配置されている。また、二つの第一磁石7a、7aと二つの第二磁石7b、7bが底板14の前側の面に配置されている。そのため、磁石固定板6を使用していない。コイル部8を箱体2に配置し、磁石部7を撮像素子組立体11に配置する構造とすることもできる。
【0043】
なお、磁石部7の着磁面は、
図5(b)に示すように、内側部分を単一の磁極(例えばN極)に着磁して、第一コイル17の内側部分及び第二コイル18の内側部分に対向させるように配置し、外側部分を他の単一の磁極(例えばS極)に着磁して、第一コイル17の外側部分及び第二コイル18の外側部分に対向させるように配置してもよい。
【0044】
本第二実施形態でも、各ワイヤ部材9は、箱体2と撮像素子組立体11とを連結し、撮像素子組立体11を、箱体2に対して第二軸方向26、第三軸方向27又は第一軸方向25周りの回転方向へ移動可能に支持している。また、駆動機構23は、コイル部8が撮像素子組立体11又は箱体2の一方に配置され、磁石部7が撮像素子組立体11又は箱体2の他方に配置される構造となっている。そのため、第一軸方向25の厚みを小さくすることができる。
【0045】
また、本第二実施形態においては、第一コイル17と第二コイル18は、第一軸方向25から見て、撮像素子13と重なるように配置できる。そのため、撮像素子駆動装置1Bの第二軸方向26及び第三軸方向の寸法を小さくできる。
【0046】
また、本第二実施形態においては、
図6に示すようなコイル部8の配置とすることもできる。即ち、第一コイル17と第二コイル18は、撮像素子13の中心を中心として90度の間隔で交互に配置されている。磁石部7は、一つのN極又は一つのS極が一つの第一コイル17の半分と一つの第二コイル18の半分とに対向している。また、
図6(b)に示すように、第二軸方向26と第三軸方向27とを、撮像素子13に対して45度回転させた状態で第一コイル17と第二コイル18とを配置してもよい。
【0047】
[第三実施形態]
図7を参照して第三実施形態を説明する。本第三実施形態の撮像素子駆動装置1Cは、第一実施形態の撮像素子駆動装置1Aとはコイル部8と磁石部7の配置が変更されている。その変更に関連しない構成については第一実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0048】
撮像素子駆動装置1Cは、コイル部8が撮像素子組立体11の外側面に配置され、磁石部7が箱体2の本体部3の内側面に配置されている構造となっている。例えば、
図7に示すように、各第一コイル17の二つの第一小コイル19、19と、各第二コイル18の二つの第二小コイル20、20が、撮像素子組立体11の外周壁に配置されている。また、二つの第一磁石7a、7aと二つの第二磁石7b、7bが、箱体2の本体部3の内周壁に配置されている。そのため、磁石固定板6を使用していない。撮像素子組立体11の外周壁は、基板12の板面から立設するように設けてもよい。コイル部8を箱体2に配置し、磁石部7を撮像素子組立体11に配置する構造とすることもできる。
【0049】
第一コイル17は第三軸方向27を巻線軸方向とし、第二軸方向26に延伸する二つの直線部を第一軸方向25に並べている。また、第二コイル18は第二軸方向26を巻線軸方向とし、第三軸方向27に延伸する二つの直線部を第一軸方向25に並べている。第一磁石7aの着磁面は、第三軸方向27で第一コイル17と対向し、その着磁面は全面が単一の磁極になるように着磁される。第二磁石7bの着磁面は、第二軸方向26で第二コイル18と対向し、その着磁面は全面が単一の磁極になるように着磁される。第一コイル17に電流が流れると、第三軸方向27に電磁力が発生し、撮像素子組立体11は第三軸方向27に移動する。第二コイル18に電流が流れると、第二軸方向26に電磁力が発生し、撮像素子組立体11は第二軸方向26に移動する。また、同じ第一コイル17の隣り合う第一小コイル19、19又は同じ第二コイル18の隣り合う第二小コイル20、20の少なくとも一方に、逆方向に電磁力が発生するように電流を流すと、撮像素子13の中心を軸として第一軸方向25周りに回転移動するよう駆動力が発生する。
【0050】
撮像素子組立体11の基板12には、撮像素子13の四つの角部に対応する位置にそれぞれ、
図7(b)に示すように、ワイヤ部材9を固定するための固定用孔12aが設けられている。本第三実施形態では、
図7(a)に示すように、各ワイヤ部材9の前側の端部が、第一実施形態と同様に端子4の固定用孔4aと、スプリング5の固定用孔5aに嵌められている。しかし、各ワイヤ部材9の後側の端部は、コイル部8ではなく、基板12の固定用孔12aに嵌められている。この構造により、各ワイヤ部材9は、箱体2と撮像素子組立体11とを連結し、撮像素子組立体11を、箱体2に対して第二軸方向26、第三軸方向27又は第一軸方向25周りの回転方向へ移動可能に支持する。
【0051】
本第三実施形態でも、各ワイヤ部材9は、箱体2と撮像素子組立体11とを連結し、撮像素子組立体11を、箱体2に対して第二軸方向26、第三軸方向27又は第一軸方向25周りの回転方向へ移動可能に支持している。また、駆動機構23は、コイル部8が撮像素子組立体11又は箱体2の一方に配置され、磁石部7が撮像素子組立体11又は箱体2の他方に配置される構造となっている。そのため、第一軸方向25の厚みを小さくすることができる。特に、コイル部8と磁石部7を第一軸方向25に重ね合わせて配置していないので、第一軸方向25の厚みをさらに小さくすることができる。
【0052】
[第四実施形態]
図8を参照して第四実施形態を説明する。本第四実施形態の撮像素子駆動装置1Dは、第一実施形態の撮像素子駆動装置1Aとは支持機構24が変更されている。その変更に関連しない構成については第一実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0053】
撮像素子駆動装置1Dの支持機構24は、箱体2と撮像素子組立体11の間に配置される磁気吸引機構28を備え、撮像素子組立体11は、球状部材21と磁気吸引機構28によって支持されている。例えば、
図8に示すように、磁石部7とコイル部8の間の四つの角部それぞれに、球状部材21が設けられている。さらにコイル部8の各辺部には磁性体板22が設けられ、磁石部7に吸引されている。つまり、磁石部7と磁性体板22によって磁気吸引機構28が形成され、撮像素子組立体11は、この球状部材21が磁気吸引機構28に挟まれることによって支持される。そのため、スプリング5及びワイヤ部材9は使用していない。また、端子4は回路基板10に統合される。この構造により、球状部材21と磁気吸引機構28は、箱体2と撮像素子組立体11とを連結し、撮像素子組立体11を、箱体2に対して第二軸方向26、第三軸方向27又は第一軸方向25周りの回転方向へ移動可能に支持する。駆動機構23も、コイル部8が撮像素子組立体11又は箱体2の一方に配置され、磁石部7が撮像素子組立体11又は箱体2の他方に配置される構造となっている。そのため、本第四実施形態では、第一軸方向25の厚みを小さくすることができる。
【0054】
なお、磁性体板22は、各第一コイル19の二つの第一小コイル19、19の間、及び各第二コイル18の二つの第二小コイル20、20の間に配置されている。しかし、この構造に限らず、磁性体22は、各第一磁石7aと各第二磁石7bと対向する全面に設けられてもよい。また、磁性体板22は軟磁性体であるが、磁石で構成されてもよい。また、球状部材21は、軟磁性体で形成されてもよい。
【0055】
[カメラ装置、電子機器の実施形態]
上述した各実施形態の撮像素子駆動装置1A〜1Dは、カメラ装置やスマートフォン等の電子機器に組み込まれる。撮像素子駆動装置1A〜1Dは、固定部と、固定部に対して移動する撮像素子組立体11と、駆動機構23と、支持機構24と、を備えている。撮像素子組立体11は、矩形状の撮像素子13を有している。この撮像素子13の受光面の法線方向を第一軸方向25とし、第一軸方向25に直交すると共に互いに直交する方向を第二軸方向26及び第三軸方向27とする。駆動機構23は、撮像素子組立体11を固定部に対して第二軸方向26又は第三軸方向27に駆動させるコイル部8と、コイル部8に対向する磁石部7と、を備えている。コイル部8は、撮像素子組立体11又は固定部の一方に配置され、磁石部7は、撮像素子組立体11又は固定部の他方に配置される。支持機構24は、固定部に対して、撮像素子組立体11を移動可能に支持している。
【0056】
これによって、撮像素子駆動装置1A〜1Dは、センサーシフト方式で手振れ補正を行うことができると共に第一軸方向25の厚みを小さくすることができる。そのため、撮像素子駆動装置1A〜1Dが採用されている本実施形態のカメラ装置や、スマートフォン等の本実施形態の電子機器は、センサーシフト方式で手振れ補正を行うことができるとともに薄型にすることができる。
【0057】
以上、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々に変更可能である。