【解決手段】本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品は、誘電体層と誘電体層を挟んで第1及び第2外側に交互に露出するように積層された第1及び第2内部電極とを含むセラミック本体と、それぞれ第1及び第2内部電極のうち対応する内部電極に連結されるようにセラミック本体の第1及び第2外側に配置された第1及び第2外部電極と、を含み、第1及び第2外部電極はそれぞれ、少なくとも一部分がセラミック本体の第1及び第2外側に接する第1及び第2ベース電極層と、それぞれ第1及び第2ベース電極層をカバーするように配置された第1及び第2ニッケルめっき層と、それぞれ第1及び第2ニッケルめっき層をカバーするように配置された第1及び第2スズめっき層と、をそれぞれ含み、第1及び第2スズめっき層のそれぞれの中心部分の厚さは5μmを超えることができる。
前記第1及び第2外部電極はそれぞれ、前記第1及び第2ベース電極層と前記第1及び第2ニッケルめっき層の間に配置された第1及び第2銅めっき層をそれぞれさらに含む、請求項1または2に記載の積層セラミック電子部品。
前記第1及び第2スズめっき層のそれぞれの中心部分の厚さは、前記第1及び第2ニッケルめっき層のそれぞれの中心部分の厚さより厚く、前記第1及び第2銅めっき層のそれぞれの中心部分の厚さより厚い、請求項3に記載の積層セラミック電子部品。
前記第1及び第2スズめっき層のそれぞれの中心部分の厚さは、前記第1及び第2ニッケルめっき層のそれぞれの中心部分の厚さより厚い、請求項6または7に記載の積層セラミック電子部品。
前記第1及び第2スズめっき層において前記第1及び第2電極パッドに接する表面は、AgとCuのうち少なくとも一つを含有しない、請求項6から9のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0013】
そして、本発明を明確に説明するために、図面において説明と関係ない部分は省略し、複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内において機能が同一の構成要素に対しては、同一の参照符号を用いて説明する。
【0014】
さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外する意味ではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0015】
本発明の実施形態を明確に説明するために六面体の方向を定義すると、図面上に表示されているL、W及びTはそれぞれ、長さ方向、幅方向、及び厚さ方向を示す。ここで、厚さ方向は、誘電体層が積層される積層方向と同じ概念として用いることができる。
【0016】
以下では、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品を説明し、且つ特に積層セラミックキャパシタとして説明するが、これに制限されるものではない。
【0017】
図1は本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品を示す斜視図であり、
図2は本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品を示す側面図である。
【0018】
図1及び
図2を参照すると、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品100は、セラミック本体110、及び第1及び第2外部電極131、132を含む。
【0019】
セラミック本体110は、長さ方向Lの両端面、幅方向Wの両側面、厚さ方向Tの上下面を有する六面体で形成されることができる。かかるセラミック本体110は、複数の誘電体層111を厚さ方向Tに積層した後に焼成して形成され、かかるセラミック本体110の形状、寸法、及び誘電体層111の積層数(1層以上)が本実施形態に示されたものに限定されない。
【0020】
セラミック本体110に配置された複数の誘電体層111は、焼結された状態であり、隣接する誘電体層111の間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認し難いほど一体化することができる。
【0021】
例えば、セラミック本体110は、六面体において8つのコーナーが丸みを帯びた形状を有することができる。これにより、セラミック本体110の耐久性、信頼性は向上することができ、上記コーナーにおける第1及び第2外部電極131、132の構造的信頼性を向上させることができる。
【0022】
誘電体層111は、その厚さを積層セラミック電子部品100の容量設計に合わせて任意に変更することができ、高誘電率を有するセラミック粉末、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO
3)系又はチタン酸ストロンチウム(SrTiO
3)系粉末を含むことができるが、本発明がこれに限定されるものではない。また、セラミックス粉末に、本発明の目的に応じて様々なセラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0023】
誘電体層111の形成に用いられるセラミック粉末の平均粒径は、特に制限されず、本発明の目的を達成するために調節することができ、例えば、400nm以下に調節することができる。これにより、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品100は、IT部品のように小型化と高容量に対する要求が高い部品として用いられることができる。
【0024】
例えば、誘電体層111は、チタン酸バリウム(BaTiO
3)などの粉末を含んで形成されたスラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥し、複数個のセラミックシートを設けることによって形成されることができる。上記セラミックシートは、セラミック粉末、バインダー、溶剤を混合してスラリーを製造し、上記スラリーをドクターブレード法で数μmの厚さを有するシート(sheet)状に製作することにより形成されることができるが、これに限定されない。
【0025】
第1及び第2内部電極121、122はそれぞれ、互いに異なる極性を有する少なくとも一つの第1内部電極121と少なくとも一つの第2内部電極122とで構成されることができ、セラミック本体110の厚さ方向Tに積層される複数の誘電体層111を挟んで所定の厚さで形成されることができる。
【0026】
上記第1内部電極121と第2内部電極122は、導電性金属を含む導電性ペーストを印刷して、誘電体層111の積層方向に沿ってセラミック本体110の長さ方向Lの一端面と他端面に交互に露出するように形成されることができ、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に絶縁されることができる。
【0027】
即ち、第1及び第2内部電極121、122は、セラミック本体110の長さ方向の両端面に交互に露出する部分を介してセラミック本体110の長さ方向Lの両端面に形成された第1及び第2外部電極131、132とそれぞれ電気的に連結されることができる。
【0028】
例えば、第1及び第2内部電極121、122は、粒子の平均サイズが0.1〜0.2μmであり、40〜50重量%の導電性金属粉末を含む内部電極用導電性ペーストによって形成されることができるが、これに限定されない。
【0029】
上記セラミックシート上に上記内部電極用導電性ペーストを印刷工法などによって塗布して内部電極パターンを形成することができる。上記導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。上記内部電極パターンが印刷されたセラミックシートを200〜300層積層し、圧着、焼成してセラミック本体110を製作することができる。
【0030】
したがって、第1及び第2外部電極131、132に電圧が印加されると、互いに対向する第1及び第2内部電極121、122の間に電荷が蓄積される。このとき、積層セラミック電子部品100の静電容量は、第1及び第2内部電極121、122が互いに重なる領域の面積と比例する。
【0031】
即ち、第1及び第2内部電極121、122が互いに重なる領域の面積が極大化する場合、同一サイズのキャパシタであっても静電容量は極大化することができる。
【0032】
かかる第1及び第2内部電極121、122の厚さは、用途に応じて決定されることができ、例えば、0.4μm以下であることができる。これにより、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品100は、IT部品のように小型化と高容量に対する要求が高い部品として用いられることができる。
【0033】
誘電体層111の厚さは、第1及び第2内部電極121、122の間の間隔に対応するため、積層セラミック電子部品100の静電容量は、誘電体層111の厚さが短いほど大きい。
【0034】
一方、第1及び第2内部電極121、122を形成する導電性ペーストに含まれる導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、鉛(Pb)、又は白金(Pt)などの単独又はこれらの合金であることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0035】
第1及び第2外部電極131、132はそれぞれ、第1及び第2内部電極121、122に連結されるようにセラミック本体110の外側に配置されることができ、第1及び第2内部電極121、122と基板の間を電気的に連結させるように構成されることができる。
【0036】
第1及び第2外部電極131、132はそれぞれ、少なくとも一部分がセラミック本体の第1及び第2外側に接する第1及び第2ベース電極層131a、132aと、それぞれ上記第1及び第2ベース電極層131a、132aをカバーするように配置された第1及び第2ニッケルめっき層131b、132bと、それぞれ上記第1及び第2ニッケルめっき層131b、132bをカバーするように配置された第1及び第2スズめっき層131c、132cと、をそれぞれ含む。
【0037】
設計に応じて、第1及び第2外部電極131、132は、第1及び第2ベース電極層131a、132aと第1及び第2ニッケルめっき層131b、132bの間に配置された導電性樹脂層(図示せず)を含むことにより、さらに改善された耐久性を有することができる。
【0038】
第1及び第2ベース電極層131a、132aは、めっき層に比べて相対的に第1及び第2内部電極121、122に容易に結合されることができるため、第1及び第2内部電極121、122に対する接触抵抗を低減することができる。
【0039】
例えば、第1及び第2ベース電極層131a、132aは、金属成分が含まれているペーストにディッピング(dipping)する方法や、セラミック本体110の厚さ方向Tの少なくとも一面上に導電性金属を含む導電性ペーストを印刷する方法で形成されることができ、シート(Sheet)転写、パッド(Pad)転写方式により形成されることもできる。
【0040】
例えば、第1及び第2ベース電極層131a、132aは、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、又は鉛(Pb)などの単独又はこれらの合金であることができる。
【0041】
第1及び第2ニッケルめっき層131b、132bは、第1及び第2ベース電極層131a、132aと第1及び第2スズめっき層131c、132cの間に配置されることによって、第1及び第2ベース電極層131a、132aと第1及び第2スズめっき層131c、132cの間の反応を防ぐことができる。また、第1及び第2ニッケルめっき層131b、132bは、等価直列抵抗(Equivalent Series Resistance、ESR)値や耐熱性、構造的信頼性も向上させることができる。
【0042】
第1及び第2ニッケルめっき層131b、132bと、第1及び第2スズめっき層131c、132cは、スパッタ又は電解めっき(Electric Deposition)により形成されることができるが、これに限定されない。
【0043】
設計に応じて、第1及び第2ニッケルめっき層131b、132bは、ニッケルだけではなく、ニッケルより少ない割合で、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、又は鉛(Pb)などの単独又はこれらの合金をさらに含有することができる。
【0044】
第1及び第2スズめっき層131c、132cは、相対的に低い溶融点を有するため、第1及び第2外部電極131、132の基板実装の容易性を向上させることができる。
【0045】
一般的に、錫めっき層は、Sn−Cu−Ag合金ペーストを含む半田(solder)を介して基板210上の電極パッドに結合されることができる。即ち、スズめっき層は、熱処理(reflow)工程時に半田と互いに溶融して結合されることができる。
【0046】
このとき、錫めっき層は、セラミック本体110を長さ方向の外側に引っ張ることができるため、セラミック本体110は引張応力を受けることができる。かかる引張応力は、セラミック本体110内のクラック(crack)やデラミネーション(delamination)を誘発する可能性があり、セラミック本体110の幅Wに対する厚さTが薄いほど、より頻繁にクラックやデラミネーションを誘発する可能性がある。
【0047】
したがって、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品は、半田を用いなくても基板210上の第1及び第2電極パッド221、222上に実装されることができるように厚い厚さの第1及び第2スズめっき層131c、132cを有する。
【0048】
例えば、第1及び第2スズめっき層131c、132cのそれぞれの中心部分の厚さTcは、第1及び第2ニッケルめっき層131b、132bのそれぞれの中心部分の厚さより厚くてもよい。ここで、中心部分の厚さTcとは、第1及び第2外部電極131、132を長さ方向から見たとき、中心部分における第1及び第2スズめっき層131c、132cの長さ方向の厚さを意味する。
【0049】
下記表1は、積層セラミック電子部品を半田を用いずに基板上に実装する際に、第1及び第2スズめっき層131c、132cの中心部分の厚さTcによる実装不良の頻度を示す。
【0051】
表1を参照すると、第1及び第2スズめっき層131c、132cのそれぞれの中心部分の厚さTcが5μmを超える場合、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品は、半田を用いずに基板210上に高い信頼度で実装されることができるため、実装される際に引張応力を受けない。
【0052】
これにより、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品は、セラミック本体110の厚さTがセラミック本体110の幅Wの1/2倍以下ほどに薄膜化されても、基板上に高い信頼性で実装されることができる。
【0053】
第1及び第2スズめっき層131c、132cが、外部電極131、132と第1及び第2電極パッド221、222の間の結合に直接的に用いられるため、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品は、実装される際に、第1及び第2スズめっき層131c、132cの溶融点に最適化した熱処理(reflow)工程により基板210上に実装されることができる。
【0054】
このとき、第1及び第2スズめっき層131c、132cの一部分は溶融して第1及び第2電極パッド221、222上に流れることができる。第1及び第2スズめっき層131c、132cのうち第1及び第2電極パッド221、222上に流れた部分が、熱処理(reflow)工程後に凝固することにより、外部電極131、132と第1及び第2電極パッド221、222の間を物理的に結合させることができる。
【0055】
これにより、第1及び第2スズめっき層131c、132cのコーナーにおいて、上記第1及び第2電極パッドにより近いコーナー(例えば、下側)の厚さは、第1及び第2スズめっき層の中心部分の厚さTcより厚くてもよい。ここで、コーナーの厚さの方向は、コーナーの表面に垂直であり、厚さ方向と長さ方向に対して45度傾いた方向である。
【0056】
第1及び第2スズめっき層131c、132cが、Sn−Cu−Ag合金ペーストを含む半田(solder)に溶融されないことがあるため、第1及び第2スズめっき層131c、132cにおいて第1及び第2電極パッド221、222に接する表面は、AgとCuのうち少なくとも一つを含有しなくてもよい。
【0057】
図3は本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品において銅めっき層が追加配置された構造を示す側面図である。
【0058】
図3を参照すると、第1及び第2外部電極はそれぞれ、第1及び第2ベース電極層131a、132aと第1及び第2ニッケルめっき層131b、132bの間に配置された第1及び第2銅めっき層131d、132dをそれぞれさらに含むことができる。
【0059】
第1及び第2銅めっき層131d、132dは、めっき層全体の均衡をさらに合わせることができるため、第1及び第2外部電極の耐湿信頼性を向上させ、且つ第1及び第2外部電極の構造的安定性を向上させることができる。
【0060】
第1及び第2スズめっき層131c、132cのそれぞれの中心部分の厚さTcは、第1及び第2ニッケルめっき層131b、132bのそれぞれの中心部分の厚さより厚く、第1及び第2銅めっき層131d、132dのそれぞれの中心部分の厚さより厚くてもよい。これにより、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品は、半田を用いずに基板210上にさらに高い信頼性で実装されることができる。
【0061】
一方、第1及び第2ベース電極層131a、132aはそれぞれ、ニッケルを最も多く含有することができる。これにより、第1及び第2銅めっき層131d、132dは、第1及び第2ベース電極層131a、132a上にさらに安定的に形成されることができる。
【0062】
図4は本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品のスズめっき層の厚さを示す側面図である。
【0063】
図4を参照すると、第1及び第2スズめっき層131c、132cのコーナーにおいて、第1及び第2電極パッド221、222により近いコーナーの厚さT_cornerは、第1及び第2スズめっき層131c、132cの中心部分の厚さTcより厚い。
【0064】
図4を参照すると、第1及び第2スズめっき層131c、132cのそれぞれの中心部分の厚さTcは、第1及び第2ニッケルめっき層131b、132bのそれぞれの中心部分の厚さより厚く。
【0065】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。