【解決手段】作業車両に搭載可能な薬剤散布装置10であって、薬剤タンク11と、その薬剤タンク11から供給される薬剤を噴出させる薬剤噴出部12と、薬剤噴出部12を有し、上下方向に延びる縦向き姿勢の第1噴出支持部31と、薬剤タンク11側から水平方向に延びて第1噴出支持部31を支持する第2噴出支持部32とが備えられ、第2噴出支持部32は、薬剤タンク11側に対して枢支連結され、上下方向に沿う軸心周りで揺動自在に備えられている。
左右方向で前記第1噴出支持部を前記作業車両の外方側端部よりも外方側の使用位置に位置させる第1揺動位置と、左右方向で前記第1噴出支持部を前記作業車両の外方側端部よりも内方側の格納位置に位置させる第2揺動位置とに、前記第2噴出支持部を揺動駆動自在な揺動駆動機構が備えられている請求項1に記載の薬剤散布装置。
前記揺動駆動機構が前記第2噴出支持部を第1揺動位置に揺動駆動させた状態において、左右方向で前記第2噴出支持部が第1揺動位置から前記作業車両の内方側へ揺動するのを許容する揺動許容部が備えられている請求項2に記載の薬剤散布装置。
前記揺動許容部は、左右方向で前記第2噴出支持部を前記作業車両の外方側に揺動するように前記第2噴出支持部に対して付勢力を作用させ、且つ、その付勢力に抗する状態で前記第2噴出支持部の左右方向における前記作業車両の内方側への揺動を許容するように構成され、
前記揺動駆動機構は、前記第2噴出支持部に対する当接部の当接により前記揺動許容部の付勢力による前記第2噴出支持部の前記作業車両の内方側から外方側への揺動を規制して前記第2噴出支持部を第1揺動位置に位置させ、且つ、前記第2噴出支持部に対する当接部の当接により前記揺動許容部の付勢力による前記第2噴出支持部の前記作業車両の内方側から外方側への揺動を規制する状態で、前記第2噴出支持部を第1揺動位置から第2揺動位置に揺動駆動させる揺動駆動部が備えられている請求項3に記載の薬剤散布装置。
前記揺動駆動部が前記第2噴出支持部に対して作用する揺動駆動作用点と、前記揺動許容部が前記第2噴出支持部に対して作用する揺動許容作用点とが異なる位置に設定されている請求項4に記載の薬剤散布装置。
前記第1噴出支持部は、前記第2噴出支持部と、前記薬剤タンク側と前記第1噴出支持部側とに枢支連結されたリンク部とを含む平行四連リンク機構により、上下方向に沿う軸心周りに揺動自在に備えられている請求項1〜5の何れか1項に記載の薬剤散布装置。
前記第1噴出支持部と、前記第2噴出支持部と、前記薬剤タンク側に連結され且つ前記第2噴出支持部を上下方向に沿う軸心周りに揺動自在に支持する連結支持部とが、1つの噴出支持ユニットとして構成されている請求項1〜6の何れか1項に記載の薬剤散布装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の薬剤散布装置では、作業車両を走行させながら作物に薬剤を散布する場合に、第2噴出支持部を第1揺動位置に揺動させて、第1噴出支持部を使用位置に位置させ、薬剤噴出部にて作物の横側から薬剤を散布することができる。作物への薬剤散布を行わない場合には、第2噴出支持部を第2揺動位置に揺動させることができる。
【0007】
しかしながら、第2噴出支持部を第2揺動位置に揺動させた場合に、第1噴出支持部は、起立姿勢の第2噴出支持部から左右方向で作業車両の内方側から外方側に延びる横向き姿勢となっている。よって、第1噴出支持部の一部が、左右方向で作業車両の外方側端部よりも外方側に突出した状態となり、作業領域での走行時や作業領域への往復走行時に、その突出する部位が木や壁等の他物に接触して、第1噴出支持部等の損傷を招く可能性がある。
【0008】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、他物との接触を防止しながら、薬剤散布対象の作物への薬剤散布を行うことができる薬剤散布装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1特徴構成は、作業車両に搭載可能な薬剤散布装置であって、
薬剤タンクと、その薬剤タンクから供給される薬剤を噴出させる薬剤噴出部と、前記薬剤噴出部を有し、上下方向に延びる縦向き姿勢の第1噴出支持部と、前記薬剤タンク側から水平方向に延びて前記第1噴出支持部を支持する第2噴出支持部とが備えられ、
前記第2噴出支持部は、前記薬剤タンク側に対して枢支連結され、上下方向に沿う軸心周りで揺動自在に備えられている点にある。
【0010】
薬剤散布対象の作物に薬剤を散布する場合には、薬剤散布対象の作物が左右方向で作業車両の外方側端部よりも外方側に位置するので、薬剤噴出部を有する第1噴出支持部を左右方向で作業車両の外方側端部よりも外方側に位置させるのが望ましい。逆に、作物への薬剤散布を行わない場合には、作業車両の外方側端部よりも外方側に第1噴出支持部を位置させると、第1噴出支持部が木や壁等の他物と接触して、第1噴出支持部の損傷を招く可能性がある。
【0011】
そこで、本構成によれば、第2噴出支持部は、上下方向に沿う軸心周りで揺動自在であるので、第2噴出支持部を上下軸心周りに揺動させることで、第2噴出支持部に支持された第1噴出支持部も上下軸心周りに揺動させることができる。これにより、作物への薬剤散布を行う場合には、第2噴出支持部を上下軸心周りで揺動させて、第1噴出支持部を左右方向で作業車両の外方側端部よりも外方側に位置させることができる。作物への薬剤散布を行わない場合にも、第2噴出支持部を上下軸心周りで揺動させて、第1噴出支持部を左右方向で作業車両の外方側端部よりも内方側に位置させることができる。よって、作物への薬剤散布を適切に行うことができながら、第1噴出支持部と他物との接触を回避して、第1噴出支持部等の損傷を防止することができる。
【0012】
本発明の第2特徴構成は、左右方向で前記第1噴出支持部を前記作業車両の外方側端部よりも外方側の使用位置に位置させる第1揺動位置と、左右方向で前記第1噴出支持部を前記作業車両の外方側端部よりも内方側の格納位置に位置させる第2揺動位置とに、前記第2噴出支持部を揺動駆動自在な揺動駆動機構が備えられている点にある。
【0013】
本構成によれば、揺動駆動機構が、第2噴出支持部を第1揺動位置と第2揺動位置とに揺動駆動すると、第1噴出支持部が使用位置と格納位置とに揺動される。これにより、揺動駆動機構を備えることで、作物への薬剤散布の要否に応じて、第1噴出支持部を使用位置に位置させる状態と格納位置に位置させる状態とに適切に切り替えることができるので、薬剤散布対象の作物への薬剤散布を行うことも、他物との接触を防止することも、適切に行うことができる。
【0014】
本発明の第3特徴構成は、前記揺動駆動機構が前記第2噴出支持部を第1揺動位置に揺動駆動させた状態において、左右方向で前記第2噴出支持部が第1揺動位置から前記作業車両の内方側へ揺動するのを許容する揺動許容部が備えられている点にある。
【0015】
本構成によれば、揺動許容部は、第2噴出支持部を第1揺動位置に揺動駆動させた状態において、第2噴出支持部が第1揺動位置から作業車両の内方側へ揺動するのを許容しているので、第2噴出支持部が第1揺動位置から作業車両の内方側へ揺動することで、第1噴出支持部も使用位置から作業車両の内方側へ揺動することができる。第1噴出支持部が使用位置に位置する場合に、第1噴出支持部が他物と接触しても、第1噴出支持部が使用位置から作業車両の内方側へ揺動するので、第1噴出支持部の損傷を防止することができる。しかも、第2噴出支持部が上下方向に沿う軸心周りで揺動自在な構成をそのまま利用しているので、構成の簡素化を図りながら、揺動許容部を備えることができる。
【0016】
本発明の第4特徴構成は、前記揺動許容部は、左右方向で前記第2噴出支持部を前記作業車両の外方側に揺動するように前記第2噴出支持部に対して付勢力を作用させ、且つ、その付勢力に抗する状態で前記第2噴出支持部の左右方向における前記作業車両の内方側への揺動を許容するように構成され、
前記揺動駆動機構は、前記第2噴出支持部に対する当接部の当接により前記揺動許容部の付勢力による前記第2噴出支持部の前記作業車両の内方側から外方側への揺動を規制して前記第2噴出支持部を第1揺動位置に位置させ、且つ、前記第2噴出支持部に対する当接部の当接により前記揺動許容部の付勢力による前記第2噴出支持部の前記作業車両の内方側から外方側への揺動を規制する状態で、前記第2噴出支持部を第1揺動位置から第2揺動位置に揺動駆動させる揺動駆動部が備えられている点にある。
【0017】
本構成によれば、揺動許容部は、第2噴出支持部を作業車両の外方側に揺動するように第2噴出支持部に対して付勢力を作用させるので、揺動駆動部は、第2噴出支持部に対して当接する当接部を備え、その当接部を第1揺動位置に対応する位置に位置させるだけで、第2噴出支持部に対する当接部の当接により揺動許容部の付勢力による第2噴出支持部の作業車両の内方側から外方側への揺動を規制して第2噴出支持部を第1揺動位置に位置させることができる。
【0018】
揺動駆動部は、第2噴出支持部に対する当接部の当接により揺動許容部の付勢力による第2噴出支持部の作業車両の内方側から外方側への揺動を規制する状態で、第2噴出支持部を第1揺動位置から第2揺動位置に揺動駆動させるので、第2噴出支持部に対して当接部を当接させるという構成を利用しながら、第2噴出支持部を第2揺動位置にも適切に位置させることができる。
【0019】
揺動許容部は、付勢力に抗する状態で第2噴出支持部の左右方向における作業車両の内方側への揺動を許容している。揺動駆動部は、第2噴出支持部に対する当接部の当接により揺動許容部の付勢力による第2噴出支持部の作業車両の内方側から外方側への揺動を規制しているので、揺動駆動部も、第2噴出支持部の左右方向における作業車両の内方側への揺動を許容している。これにより、使用位置の第1噴出支持部が他物と接触すると、第2噴出支持部が左右方向で作業車両の内方側へ揺動することで、第1噴出支持部を左右方向で作業車両の内方側へ揺動させて、第1噴出支持部の損傷を防止することができる。
【0020】
このように、揺動許容部及び揺動駆動部は、揺動許容部の付勢力を利用しながら、第2噴出支持部に対して当接部を当接させるという簡易な構成を採用することで、第1噴出支持部を使用位置と格納位置とに適切に揺動できるとともに、使用位置の第1噴出支持部と他物との接触による第1噴出支持部の損傷も適切に防止することができる。
【0021】
本発明の第5特徴構成は、前記揺動駆動部が前記第2噴出支持部に対して作用する揺動駆動作用点と、前記揺動許容部が前記第2噴出支持部に対して作用する揺動許容作用点とが異なる位置に設定されている点にある。
【0022】
本構成によれば、揺動駆動作用点と揺動許容作用点とが異なる位置に設定されているので、揺動許容部が第2噴出支持部に対して作用させる付勢力が、揺動駆動部にて第2噴出支持部に対して作用される揺動駆動力にて邪魔されることなく、第2噴出支持部に対して適切に付勢力を作用させることができる。これにより、揺動許容部による付勢力を効率よく利用しながら、第1噴出支持部を使用位置と格納位置とに適切に揺動できるとともに、使用位置の第1噴出支持部と他物との接触による第1噴出支持部の損傷も適切に防止することができる。
【0023】
本発明の第6特徴構成は、前記第1噴出支持部は、前記第2噴出支持部と、前記薬剤タンク側と前記第1噴出支持部側とに枢支連結されたリンク部とを含む平行四連リンク機構により、上下方向に沿う軸心周りに揺動自在に備えられている点にある。
【0024】
本構成によれば、第1噴出支持部は、平行四連リンク機構により上下方向に沿う軸心周りに揺動自在に備えられているので、第2噴出支持部が上下軸心周りに揺動する際に、平行四連リンク機構により第1噴出支持部の向きが維持される。これにより、第1噴出支持部は、向きが変更されることなく、上下軸心周りで揺動されるので、薬剤噴出部からの薬剤の噴出方向を適切に保持することができる。
【0025】
本発明の第7特徴構成は、前記第1噴出支持部と、前記第2噴出支持部と、前記薬剤タンク側に連結され且つ前記第2噴出支持部を上下方向に沿う軸心周りに揺動自在に支持する連結支持部とが、1つの噴出支持ユニットとして構成されている点にある。
【0026】
本構成によれば、第1噴出支持部と第2噴出支持部と連結支持部とが、1つの噴出支持ユニットとして構成されているので、例えば、第1噴出支持部等の位置を調整する際に、第1噴出支持部と第2噴出支持部と連結支持部との間での位置調整を不要とし、噴出支持ユニット単位で位置調整することができ、位置調整作業の簡素化を図ることができる。また、第1噴出支持部等の部材の交換も、噴出支持ユニット単位で行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係る薬剤散布装置を作業車両に搭載した実施形態について図面に基づいて説明する。
この薬剤散布装置10は、
図1に示すように、作業車両としてのトラクタ1の後部に搭載自在に構成されている。作業車両としては、トラクタ1を適用しているが、乗用田植機、コンバイン等の乗用作業車両を適用することができる。
【0029】
トラクタ1の車体部2の前部が左右一対の前輪3で支持され、車体部2の後部が左右一対のクローラ装置4で支持されている。トラクタ1の車体部2の後部には、左右一対のロアリンク5とアッパリンク6とからなる3点リンク機構が備えられ、その3点リンク機構に薬剤散布装置10が装着自在に構成されている。トラクタ1の車体部2の後部には、昇降シリンダ等の油圧装置を有する昇降装置(図示省略)が備えられており、その昇降装置により3点リンク機構を昇降させることで、薬剤散布装置10を昇降可能に構成されている。
【0030】
以下の説明において、薬剤タンク11の左右方向は、トラクタ1の左右方向と同じ方向とし、薬剤タンク11の前後方向は、トラクタ1の前後方向と同じ方向とする。左右方向の右側は、トラクタ1を前進走行させる場合の右側を指し、左右方向の左側は、トラクタ1を前進走行させる場合の左側を指すものとする。左右方向の外方側は、左右方向でトラクタ1の外方側を指し、左右方向の内方側は、左右方向でトラクタ1の内方側を指すものとする。
【0031】
薬剤散布装置10は、
図2及び
図3に示すように、薬剤を貯留する薬剤タンク11と、薬剤タンク11から供給される薬剤を噴霧する薬剤噴出部12とが備えられている。薬剤噴出部12は、
図7に示すように、薬剤タンク11よりも後方側において、左右方向でトラクタ1及び薬剤タンク11よりも外側に突出する状態で左側と右側とに分散して配置されている。
【0032】
ここで、薬剤散布装置10では、各種の部材がボルトナット等の連結具により固定連結されているが、
図2及び
図3では、連結具等を省略して図示しており、
図3以降の
図4〜
図11においても、同様に連結具等を省略して図示している。
【0033】
薬剤タンク11は、
図2及び
図3に示すように、上部が開口された直方体状に形成され、上部の開口を閉塞自在な蓋部13が備えられている。薬剤タンク11の下方側には、薬剤タンク11を受け止め支持するためのタンク支持フレーム14が備えられている。タンク支持フレーム14は、第1フレームF1、第2フレームF2、第3フレームF3、第4フレームF4の複数のフレームを組み合わせて溶接や連結具等により連結して、平面視で矩形枠状に構成されている。
【0034】
図2及び
図3に示すように、第1フレームF1は、薬剤タンク11の前方側で左右方向に延びる姿勢で備えられ、第2フレームF2は、薬剤タンク11の後方側で左右方向に延びる姿勢で備えられている。第1フレームF1及び第2フレームF2は、左右方向で同一の長さに形成され、第1フレームF1が、第2フレームF2よりも前後の幅が幅広に構成されている。第3フレームF3は、薬剤タンク11の左右方向の両端において、第1フレームF1の端部と第2フレームF2の端部とを連結する状態で前後方向に延びる姿勢で備えられている。第3フレームF3は、薬剤タンク11の前後方向の全長よりも長くなるように構成されている。第4フレームF4は、薬剤タンク11の左右方向の中央部において、第1フレームF1と第2フレームF2とを連結させる状態で前後方向に延びる姿勢で備えられている。左右一対の第3フレームF3にて薬剤タンク11の左右方向の両端側を受け止め支持し、第4フレームF4にて薬剤タンク11の左右方向の中央側を受け止め支持するように構成されている。
【0035】
薬剤散布装置10には、
図2及び
図3に示すように、薬剤タンク11の薬剤を薬剤噴出部12に供給する薬剤供給部15が備えられている。薬剤供給部15は、薬剤タンク11の下方側に配置されたポンプ16と、薬剤タンク11の前方側に配置された分配部17とが備えられている。分配部17は、ポンプ16からの薬剤を左右方向で右側に配置される薬剤噴出部12と左側に配置される薬剤噴出部12とに分配させるように構成されている。分配部17は、ポンプ16からの薬剤を左右方向で右側に配置される薬剤噴出部12のみに供給する状態と、ポンプ16からの薬剤を左右方向で左側に配置される薬剤噴出部12のみに供給する状態と、ポンプ16からの薬剤を左右方向で右側に配置される薬剤噴出部12と左側に配置される薬剤噴出部12との両方に供給する状態とに分配状態を切替自在に構成されている。分配部17には、圧力調整弁等が備えられ、各薬剤噴出部12に供給される薬剤の圧力が所望圧力になるように調整自在に構成されている。薬剤タンク11、ポンプ16、分配部17、及び、薬剤噴出部12の各部材の間は、ホース18等を介して連通接続されている。ホース18については、一部を省略して点線にて図示している。
【0036】
ポンプ16の配置構成について説明する。
タンク支持フレーム14(第1〜第4フレームF1〜F4)の下方側には、
図2及び
図3に示すように、第5〜第8フレームF5〜F8を溶接や連結具等により連結して中空空間19が形成され、その中空空間19にポンプ16が備えられている。第5フレームF5は、第1フレームF1の左右方向の両端部から下方側に延び、下方側ほど後方側に位置する傾斜姿勢で備えられている。第6フレームF6は、第2フレームF2の左右方向の両端部から下方側に延びる姿勢で備えられている。第7フレームF7は、第5フレームF5の下端部と第6フレームF6の下端部とを連結する状態で前後方向に延びる姿勢で備えられている。第8フレームF8は、第6フレームF6の下端部同士を連結する状態で左右方向に延びる姿勢で備えられている。中空空間19の後方側には、薬剤タンク11の薬剤を外部に取り出し自在な薬剤取出部23が備えられている。
【0037】
分配部17の配置構成について説明する。
薬剤タンク11の前方側には、
図2に示すように、第1フレームF1の左右方向の両端部の夫々から上方側に延びる第9フレームF9が備えられ、第9フレームF9の上端部同士を連結する状態で左右方向に延びる姿勢の第10フレームF10が備えられている。分配部17は、左右方向で第10フレームF10の一端側に支持されている。
【0038】
左右一対のロアリンク5とアッパリンク6とからなる3点リンク機構に対する薬剤散布装置10の連結構成について説明する。
図2に示すように、第1フレームF1の左右方向の中央側部位と第10フレームF10の左右方向の中央側部位とを連結する左右一対の第11フレームF11が備えられている。第11フレームF11の上方側部位には、複数の連結用孔部F11aが上下方向に並ぶ状態で形成されている。
図1に示すように、アッパリンク6が複数の連結用孔部F11aの何れかに枢支連結されている。
図2に示すように、第11フレームF11に対して揺動自在に後端部が枢支連結された固定用連結リンク20が備えられている。
図1に示すように、固定用連結リンク20の前端側がアッパリンク6の途中部に連結され、アッパリンク6の角度を固定している。ちなみに、固定用連結リンク20を備えずに実施することもできる。
図2に示すように、第5フレームF5の途中部には、複数の丸孔部21が形成されている。複数の丸孔部21の何れかにピン状の第2リンク連結部22が備えられ、
図1に示すように、第2リンク連結部22がロアリンク5に連結されている。ちなみに、
図2では、ロアリンク5及びアッパリンク6の図示を省略している。
【0039】
薬剤噴出部12を支持するために、
図3に示すように、薬剤噴出部12を有し、上下方向に延びる縦向き姿勢の第1噴出支持部31と、薬剤タンク11側から水平方向に延びて第1噴出支持部31を支持する第2噴出支持部32と、薬剤タンク11側に連結自在で且つ第2噴出支持部32を支持する連結支持部33とが備えられている。
【0040】
第1噴出支持部31は、
図3に示すように、上下方向で薬剤タンク11よりも長尺に形成され、左側の薬剤噴出部12を取り付ける左側の第1噴出支持部31と右側の薬剤噴出部12を取り付ける右側の第1噴出支持部31との左右一対備えられている。よって、第2噴出支持部32及び連結支持部33も、第1噴出支持部31と同様に、左右一対備えられている。薬剤噴出部12、第1噴出支持部31、第2噴出支持部32、連結支持部33については、左側に備えられるものと右側に備えられるものとが同様の構成であるので、以下、
図3〜
図6に基づいて、左側と右側のうち、右側のみについて説明する。
図4〜
図6は、トラクタ1の進行方向において右側に配置された第1噴出支持部31、第2噴出支持部32、及び、連結支持部33について図示している。
【0041】
連結支持部33は、
図3に示すように、第2噴出支持部32を第1軸心P1周りに揺動自在に支持している。第2噴出支持部32は、左右方向の外側端部が第1噴出支持部31の上下方向の中央側部位に連結されている。これにより、連結支持部33に対して、第1噴出支持部31と第2噴出支持部32とが一体的に第1軸心P1周りに揺動自在に構成されている。
【0042】
第1噴出支持部31について説明する。
薬剤噴出部12は、
図3に示すように、薬剤を噴霧状に噴出自在に噴霧ノズルにて構成され、縦向き姿勢の第1噴出支持部31の上下方向に間隔を隔てて複数備えられている。第1噴出支持部31は、その内部に薬剤を流通させる流通路が形成された筒状に構成されている。第1噴出支持部31は、上端部に連通接続されたホース18(
図3では省略)から供給される薬剤を内部の流通路を通して複数の薬剤噴出部12の夫々に供給自在に構成されている。薬剤噴出部12は、第1噴出支持部31から外向きに薬剤を噴出させる状態で備えられている。
【0043】
第1噴出支持部31には、
図3に示すように、上下方向に一定の間隔を隔てて複数の取付部34が備えられ、複数の取付部34の夫々に対して薬剤噴出部12が取付自在に構成されている。これにより、複数の取付部34に対する薬剤噴出部12の取付の要否や取付位置等の取付状態を変更することで、薬剤噴出部12の数や取付位置を変更自在となっている。
【0044】
第1噴出支持部31の前方側には、
図3に示すように、第1噴出支持部31を覆うカバー部35が備えられている。カバー部35は、上方側と下方側との2つに分割されており、第1噴出支持部31の上下方向の全長に亘って覆うように構成されている。カバー部35は、
図3及び
図7に示すように、第1噴出支持部31の前方側及び前方側に連続する横内側を覆う前方側部位35aと、第1噴出支持部31の前方側に連続する横外側を覆う横外側部位35bとが備えられている。
図7に示すように、平面視で、前方側部位35aは、外側ほど後方側に位置する傾斜姿勢に備えられ、横外側部位35bは、前方側部位35aよりも後方側に屈曲され、外側ほど後方側に位置する傾斜姿勢に備えられている。カバー部35は、平面視で、外側ほど後方側に位置する傾斜部を2つ備え、2つの傾斜部の間で屈曲させた形状に形成されている。
【0045】
第2噴出支持部32は、
図4に示すように、薬剤タンク11側から左右方向の外方側に延び且つ前後方向の後方側に延びる上側延設部位32a及び下側延設部位32bと、上側延設部位32a及び下側延設部位32bの後端部に連結されて上下方向に延びる第1上下延設部位32cとが備えられている。上側延設部位32aと下側延設部位32bは、平行状態で水平方向に延びる姿勢に備えられている。第1上下延設部位32cの上端部及び下端部が連結プレート36を介して第1噴出支持部31に連結具等により連結されている。第1上下延設部位32cの上端部及び下端部には、長孔部32eが形成され、第2噴出支持部32に対する第1噴出支持部31の取付角度が調整自在に構成されている。
【0046】
連結支持部33による第2噴出支持部32の支持構成について説明する。
第2噴出支持部32には、
図4及び
図5に示すように、第2噴出支持部32の上側延設部位32a及び下側延設部位32bの前端部に、上下方向に延びる第2上下延設部位32dが備えられている。第2上下延設部位32dの上端部及び下端部は、上下軸部38に対して第1軸心P1周りで揺動自在に枢支連結されている。
【0047】
連結支持部33は、
図4及び
図5に示すように、左右方向に延びる上側延設部位33a及び下側延設部位33bと、上側延設部位33a及び下側延設部位33bの左右方向の外側端部に連結された上下方向に延びる上下延設部位33cとが備えられている。上下延設部位33cの上端部及び下端部は、第2噴出支持部32の第2上下延設部位32dの上端部及び下端部よりも上下方向の内側となるように隣接配置され、上下軸部38を第1軸心P1周りで回動自在に支持している。このようにして、連結支持部33は、上下軸部38を介して第2噴出支持部32を第1軸心P1周りで揺動自在に支持している。
【0048】
薬剤タンク11側に対する連結支持部33の支持構成について説明する。
図3に示すように、薬剤タンク11の後方側には、左右一対の第3フレームF3の後端部の夫々が薬剤タンク11よりも後方側に突出する状態で備えられている。左右一対の第3フレームF3の後端部の夫々には、第1〜第3連結部51〜53を介して第3フレームF3から上方側に延びる起立姿勢の上下フレーム54が備えられている。
【0049】
第1連結部51は、
図2及び
図3に示すように、第3フレームF3から左右方向の外側に延びる上面部を有する形状に形成された折り曲げ板状体にて構成されている。第2連結部52は、第1連結部51の上面部に溶接等により固定連結され、左右方向の外側に延びる断面形状がL字状に形成された折り曲げ板状体にて構成されている。第3連結部53は、第3フレームF3から上方側に延びる板状体にて構成されている。上下フレーム54は、その前方側が第2連結部52における上方側に延びる部位に溶接等により連結され、その左右方向の内方側が上方側に延びる第3連結部53に溶接等により連結され、上下方向に延びる起立姿勢を維持するように補強されている。
【0050】
左右一対の上下フレーム54には、
図3に示すように、左右の上下フレーム54に亘る状態で左右方向に延びる水平姿勢の上下一対の左右フレーム55が備えられている。左右フレーム55の左右方向の両端部が、上下フレーム54に対して連結具等により固定連結されている。連結支持部33は、
図4に示すように、上側延設部位33a及び下側延設部位33bが左右フレーム55の後方側に当接する状態で左右方向に延びる姿勢で、連結具等により左右フレーム55に固定連結されている。
【0051】
第2噴出支持部32を第1軸心P1周りで揺動駆動させるための構成について説明する。
第2噴出支持部32を第1軸心P1周りで揺動駆動させるために、
図4に示すように、第2噴出支持部32を第1軸心P1周りで揺動駆動させる揺動駆動部39と、第2噴出支持部32の第1軸心P1周りでの揺動を許容する揺動許容部42とが備えられている。揺動駆動部39と揺動許容部42とにより、
図7に示す第1揺動位置と
図8に示す第2揺動位置とに揺動駆動させる揺動駆動機構が構成されている。
【0052】
図7に示す第1揺動位置は、左右方向で第1噴出支持部31をトラクタ1の外方側端部よりも外方側の使用位置に位置させるように設定されている。
図8に示す第2揺動位置は、左右方向で第1噴出支持部31をトラクタ1の外方側端部よりも内方側の格納位置に位置させるように設定されている。
【0053】
これにより、揺動駆動部39と揺動許容部42とから構成される揺動駆動機構は、トラクタ1を走行させた状態において、
図7に示すように、第2噴出支持部32を第1揺動位置に揺動駆動させる。このとき、第1噴出支持部31が使用位置に位置するので、第1噴出支持部31の薬剤噴出部12から外向きに薬剤を噴出して、トラクタ1の外方側端部よりも外方側に位置する薬剤散布対象の作物に対して薬剤を散布させることができる。
【0054】
揺動駆動機構は、
図8に示すように、第2噴出支持部32を第2揺動位置に揺動駆動させることで、第1噴出支持部31を格納位置に位置させるだけでなく、第2噴出支持部32もトラクタ1の外方側端部よりも内方側に位置させることができる。よって、作業領域での走行時や作業領域への往復走行時等に、作物への薬剤散布を行わない場合には、揺動駆動機構が、第2噴出支持部32を第2揺動位置に揺動駆動することで、薬剤散布装置10がトラクタ1の外方側端部よりも外方側に突出することなく、他物と薬剤散布装置10との接触を回避することができ、薬剤散布装置10の損傷を防止することができる。
【0055】
まず、揺動許容部42について説明する。
揺動許容部42は、
図4及び
図6に示すように、ガスシリンダ43と、ガスシリンダ43の伸縮と第2噴出支持部32の第1軸心P1周りでの揺動とを連係させる許容側連係部44とが備えられている。ガスシリンダ43は、横向き姿勢の筒体43aに対してロッド43bが伸縮自在に備えられ、ロッド43bが筒体43aから伸長する側に付勢力が付与されている。許容側連係部44は、ガスシリンダ43のロッド43bの先端部に溶接等により固定連結された第1許容側連係部44aと、第1許容側連係部44aに対して上下方向に沿う軸心周りで回動自在な上下軸部44bと、上下軸部44bが上下に貫通する状態で固定連結された板状の第2許容側連係部44cと、第2許容側連係部44cに固定連結された上下方向に延びる姿勢の第3許容側連係部44dとが備えられている。
【0056】
第3許容側連係部44dは、
図5に示すように、第2噴出支持部32の上側延設部位32aと下側延設部位32bとに亘る状態で備えられている。許容側連係部44は、ガスシリンダ43のロッド43bの伸縮により、第1許容側連係部44a、上下軸部44b、第2許容側連係部44cを連係させて、第3許容側連係部44dを第1軸心P1周りに揺動させることで、第2噴出支持部32を第1軸心P1周りで揺動させるように連係されている。
【0057】
ガスシリンダ43は、ロッド43bが筒体43aから伸長する側に付勢力が付与されているので、許容側連係部44は、ガスシリンダ43の付勢力により、第2噴出支持部32を第1軸心P1周りで左右方向の内方側から外方側に揺動させるように連係されている。よって、揺動許容部42は、左右方向で第2噴出支持部32をトラクタ1の外方側に揺動するように第2噴出支持部32に対して付勢力を作用させ、且つ、その付勢力に抗する状態で第2噴出支持部32の左右方向におけるトラクタ1の内方側への揺動を許容するように構成されている。
【0058】
次に、揺動駆動部39について説明する。
揺動駆動部39は、
図4及び
図6に示すように、電動式のシリンダ40と、シリンダ40の伸縮作動と第2噴出支持部32の第1軸心P1周りでの揺動とを連係させる駆動側連係部41とが備えられている。シリンダ40は、横向き姿勢の筒体40aに対してロッド40bが伸縮自在に備えられている。駆動側連係部41は、
図5及び
図6に示すように、シリンダ40のロッド40bの先端部から屈曲する状態で水平方向に延びる上下一対の第1駆動側連係部41aと、第1駆動側連係部41aから上下方向に延びる板状の第2駆動側連係部41bとが備えられている。
【0059】
図5及び
図6に示すように、第1駆動側連係部41aの一端部がシリンダ40のロッド40bの先端部に上下軸心周りで揺動自在に枢支連結され、第1駆動側連係部41aの他端部が第2駆動側連係部41bに溶接等により固定連結されている。第2駆動側連係部41bは、上端部及び下端部が上下軸部38に溶接等により固定連結されている。駆動側連係部41は、シリンダ40のロッド40bの伸縮により第1駆動側連係部41aを連係させて、第2駆動側連係部41bを第1軸心P1周りで揺動させるように連係させている。
【0060】
図5及び
図6に示すように、駆動側連係部41の第2駆動側連係部41bと許容側連係部44の第3許容側連係部44dとが左右方向で対向するように配置されている。揺動駆動部39は、シリンダ40の伸縮作動により第2駆動側連係部41bを第1軸心P1周りで揺動自在であるのに対して、揺動許容部42は、ガスシリンダ43の伸縮により第3許容側連係部44dを第1軸心P1周りで揺動自在としている。これにより、
図6に示すように、左右方向で第2駆動側連係部41bの内方側が当接部45に構成され、左右方向で第3許容側連係部44dの外方側が当接部45に当接される被当接部46に構成されている。当接部45が被当接部46に当接することで、第2噴出支持部32の左右方向におけるトラクタ1の内方側から外方側への揺動が規制されている。
【0061】
上述の如く、揺動許容部42は、左右方向で第2噴出支持部32をトラクタ1の外方側に揺動するように第2噴出支持部32に対して付勢力を作用させている。よって、揺動許容部42の付勢力により第3許容側連係部44dが第1軸心P1周りでトラクタ1の内方側から外方側へ揺動され、第2噴出支持部32がトラクタ1の内方側から外方側へ揺動される。このとき、
図6に示すように、左右方向で第3許容側連係部44dの外方側である被当接部46が、第2駆動側連係部41bの内方側である当接部45に当接するまで、第2噴出支持部32がトラクタ1の内方側から外方側へ揺動されることになる。
【0062】
そこで、揺動駆動部39は、シリンダ40を伸縮作動させて、第2駆動側連係部41bの内方側である当接部45を左右方向で所望位置に位置決めすることで、第2噴出支持部32の揺動位置を調整自在に構成されている。揺動駆動部39は、
図6及び
図7に示すように、シリンダ40を伸長作動させて、第2駆動側連係部41bの内方側である当接部45を、第1揺動位置に対応する左右方向で外方側の第1設定位置に位置決めしている。これにより、揺動駆動部39は、第2噴出支持部32における被当接部46に対する当接部45の当接により揺動許容部42の付勢力による第2噴出支持部32のトラクタ1の内方側から外方側への揺動を規制して第2噴出支持部32を第1揺動位置に位置させるように構成されている。
【0063】
揺動駆動部39は、
図8に示すように、シリンダ40を収縮作動させて、第2駆動側連係部41bの内方側である当接部45を、第2揺動位置に対応する左右方向で内方側の第2設定位置に位置決めしている。これにより、揺動駆動部39は、第2噴出支持部32における被当接部46に対する当接部45の当接により揺動許容部42の付勢力による第2噴出支持部32のトラクタ1の内方側から外方側への揺動を規制する状態で、第2噴出支持部32を第1揺動位置から第2揺動位置に揺動駆動させるように構成されている。
【0064】
図6に示すように、揺動駆動部39が第2噴出支持部32に対して第1揺動位置から第2揺動位置への揺動駆動力を作用させる揺動駆動作用点が、当接部45と被当接部46との当接点となっている。揺動許容部42が第2噴出支持部32に対して付勢力を作動させる揺動許容作用点が、第2許容側連係部44cと第3許容側連係部44dとの連結点となっている。当接部45と被当接部46との当接点である揺動駆動作用点は、左右方向で第3許容側連係部44dの外方側に設定され、第2許容側連係部44cと第3許容側連係部44dとの連結点である揺動許容作用点は、左右方向で第3許容側連係部44dの内方側に設定され、揺動駆動作用点と揺動許容作用点とが異なる位置に設定されている。第3許容側連係部44dに対して、揺動駆動部39による揺動駆動力を左右方向の外方側から作用させ、揺動許容部42による付勢力を左右方向の内方側から作用させている。これにより、揺動許容部42による付勢力を、揺動駆動部39による揺動駆動力に邪魔されることなく、第2噴出支持部32に作用させることができ、揺動許容部42による付勢力を効率よく活用することができる。
【0065】
上述の如く、揺動駆動部39は、
図6に示すように、第2噴出支持部32における被当接部46に対する当接部45の当接により揺動許容部42の付勢力による第2噴出支持部32のトラクタ1の内方側から外方側への揺動を規制しているが、当接部45と被当接部46とが離れる側となるので、第2噴出支持部32のトラクタ1の外方側から内方側への揺動は規制していない。揺動許容部42は、付勢力に抗する状態で第2噴出支持部32の左右方向におけるトラクタ1の内方側への揺動を許容している。このことから、
図7に示すように、揺動駆動部39と揺動許容部42とから構成される揺動駆動機構が、第1噴出支持部31が使用位置に位置するように、第2噴出支持部32を第1揺動位置に揺動駆動させている場合でも、第2噴出支持部32の第1揺動位置からトラクタ1の内方側への揺動が許容されている。
【0066】
そこで、例えば、他物がカバー部35等に接触した場合には、カバー部35等と他物との接触により第2噴出支持部32がトラクタ1の内方側に押圧され、
図9に示すように、第2噴出支持部32が第1揺動位置(
図9において点線にて示す位置)からトラクタ1の内方側に揺動することになる。この第2噴出支持部32のトラクタ1の内方側への揺動により、第1噴出支持部31も使用位置(
図7参照)からトラクタ1の内方側に移動して、
図9に示すように、左右方向でトラクタ1の外方側端部よりも内方側(例えば、
図8に示す格納位置)まで移動することになる。このようにして、揺動駆動機構が、第1噴出支持部31が使用位置に位置するように、第2噴出支持部32を第1揺動位置に揺動駆動させている場合でも、第1噴出支持部31及び第2噴出支持部32を左右方向でトラクタ1の内方側に移動させることができ、薬剤散布装置10の損傷を防止することができる。
【0067】
第1噴出支持部31等の配置位置を変更するための構成について説明する。
上述の如く、第1噴出支持部31は、連結支持部33及び第2噴出支持部32により薬剤タンク11側に支持されている。そこで、
図4に示すように、第1噴出支持部31と第2噴出支持部32と連結支持部33と揺動駆動部39と揺動許容部42とが、1つの噴出支持ユニット61として構成されている。これにより、例えば、第1噴出支持部31等の配置位置を変更する場合に、第1噴出支持部31と連結支持部33と第2噴出支持部32との間での位置調整を行わなくても、噴出支持ユニット61の配置位置を変更することで、ユニット単位で配置位置を変更可能に構成されている。また、第1噴出支持部31等の交換についても、ユニット単位で行うことができる。
【0068】
図4及び
図5に示すように、左右フレーム55には、左右方向に間隔を隔てて複数の取付孔部63が形成されている。連結支持部33の上側延設部位33a及び下側延設部位33bにも、左右方向に間隔を隔てて複数の取付孔部33dが形成されている。連結支持部33は、取付孔部63及び取付孔部33dに連結具等を挿通させて左右フレーム55に固定連結されている。連結具等を挿通させる取付孔部63及び取付孔部33dを変更することで、左右方向において左右フレーム55に対する連結支持部33の配置位置を変更することができる。このように、左右方向において左右フレーム55に対する連結支持部33の配置位置を変更するだけで、第1噴出支持部31等の左右方向での配置位置を変更することができる。
【0069】
図4に示すように、上下フレーム54には、上下方向に間隔を隔てて複数の取付孔部62が形成されている。左右フレーム55は、左右フレーム55側に形成された取付孔部(図示省略)及び取付孔部62に連結具等を挿通させて上下フレーム54に固定連結されている。連結具等を挿通させる取付孔部62を変更することで、上下方向において上下フレーム54に対する左右フレーム55の配置位置を変更することができる。
【0070】
薬剤散布装置10の動作について説明する。
図示は省略するが、トラクタ1等に備えられた人為式の操作部による操作に応じて、薬剤散布装置10の作動を制御する制御部が備えられている。制御部は、ポンプ16や分配部17の作動状態、及び、左右一対の電動式のシリンダ40の作動状態等を制御することで、薬剤散布装置10の作動を制御している。
【0071】
例えば、操作部として、トラクタ1の前進方向に対して右側に配置された薬剤噴出部12から薬剤を噴出させるための右側用の操作部と、トラクタ1の前進方向に対して左側に配置された薬剤噴出部12から薬剤を噴出させるための左側用の操作部とが備えられている。
【0072】
右側用の操作部がON操作又はOFF操作された場合も、左側の操作部がON操作又はOFF操作された場合も、同様の動作を行うので、右側用の操作部がON操作又はOFF操作された場合について説明する。
【0073】
右側用の操作部がON操作された場合には、制御部は、右側に対応するシリンダ40を伸長作動させて、第1噴出支持部31を使用位置に位置させるように、第2噴出支持部32を第1揺動位置に揺動させる(
図7参照)。その後、制御部は、ポンプ16や分配部17の作動状態を制御して、使用位置に位置する第1噴出支持部31に備えられた複数の薬剤噴出部12から薬剤を噴出させる。このようにして、制御部は、右側用の操作部によるON操作に応じて、第1噴出支持部31の使用位置への移動と薬剤噴出部12からの薬剤噴出とを順次行うようにしている。
【0074】
右側用の操作部がOFF操作された場合には、制御部は、ポンプ16や分配部17の作動状態を制御して、右側の第1噴出支持部31に備えられた複数の薬剤噴出部12からの薬剤噴出を停止させる。その後、制御部は、右側に対応するシリンダ40を収縮作動させて、第1噴出支持部31を格納位置に位置させるように、第2噴出支持部32を第2揺動位置に揺動させる(
図8参照)。このようにして、制御部は、右側用の操作部によるOFF操作に応じて、薬剤噴出部12からの薬剤噴出の停止と第1噴出支持部31の格納位置への移動とを順次行うようにしている。
【0075】
上述の説明では、第1噴出支持部31を使用位置に位置させるに当たり、
図8に示す1つの使用位置に第1噴出支持部31を位置させるようにしているが、例えば、作物が栽培されている位置等、作物の状況によっては、第1噴出支持部31を、
図8に示す使用位置よりも左右方向の外方側又は内方側に位置させたい場合もある。その要望に応えるために、薬剤散布装置10では、複数の使用位置を設定可能とし、複数の使用位置から特定された1つの使用位置に第1噴出支持部31を使用位置に位置させることも可能となっている。
【0076】
シリンダ40の伸縮度合いを調整することで、第2噴出支持部32を複数の揺動位置に揺動させて、第1噴出支持部31を左右方向で複数の位置に配置させることができる。そこで、第1噴出支持部31を位置させる使用位置として、左右方向において複数の使用位置を設定し、複数の使用位置の夫々を、シリンダ40の伸縮度合いや第2噴出支持部32の揺動位置を関連付けて、不揮発性メモリ等の記憶部に記憶させる。シリンダ40の伸縮度合いについては、例えば、シリンダ40の作動状態等を検出するセンサ等から取得することができ、第2噴出支持部32の揺動位置については、第2噴出支持部32の揺動量を検出するセンサ等から取得することができる。
【0077】
これにより、制御部は、記憶部に記憶された複数の使用位置から1つの使用位置を特定とすると、その特定した使用位置に関連付けられたシリンダ40の伸縮度合いや第2噴出支持部32の揺動位置となるように、シリンダ40の作動状態を制御している。複数の使用位置から1つの使用位置を特定するに当たっては、制御部が、操作部等によるユーザの選択操作に応じて特定することができる。また、制御部が各種の条件に応じて自動的に特定することも可能であり、自動的に特定する場合には、例えば、前回、実際に第1噴出支持部31を位置させた使用位置を記憶部に記憶させておき、記憶部に記憶されている前回の使用位置を特定することもできる。
【0078】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0079】
(1)上記実施形態では、第1噴出支持部31が、第2噴出支持部32に固定連結され、第2噴出支持部32と一体的に揺動するようにしている。例えば、これに代えて、
図10及び
図11に示すように、第1噴出支持部31は、第2噴出支持部32と、薬剤タンク11側と第1噴出支持部31側とに枢支連結されたリンク部71とを含む平行四連リンク機構74により、上下方向に沿う軸心周りに揺動自在に備えることができる。
【0080】
リンク部71は、ロッド状に形成され、その一端部が連結支持部33に備えられた取付部73に枢支連結され、且つ、その他端部が第1噴出支持部31に固定連結された取付プレート72に枢支連結されている。取付プレート72の長さ方向の途中部に第2噴出支持部32が枢支連結されている。これにより、平行四連リンク機構74が、連結支持部33の一部、取付プレート72、第2噴出支持部32、リンク部71から構成されている。第2噴出支持部32を揺動させた場合に、
図10及び
図11に示すように、取付プレート72が、第2噴出支持部32に対する枢支連結箇所を支点として揺動することで、第1噴出支持部31の向きが変わることなく、第1噴出支持部31を揺動させることができる。
【0081】
ちなみに、
図10は、第2噴出支持部32を第1揺動位置に揺動させて、第1噴出支持部31を使用位置に位置させた場合(
図7に対応する状態)を示している。
図11は、第2噴出支持部32を第2揺動位置に揺動させて、第1噴出支持部31を格納位置に位置させた場合(
図8に対応する状態)を示している。
【0082】
(2)上記実施形態では、揺動駆動部39と揺動許容部42とから揺動駆動機構が構成されている例を示したが、例えば、揺動駆動機構は、例えば、電動式のシリンダの伸縮作動により第2噴出支持部32を第1揺動位置と第2揺動位置とに揺動駆動させるように構成することができる。揺動駆動機構は、シリンダの伸縮作動に応じて、第2噴出支持部32を第1揺動位置と第2揺動位置とに揺動させるように連係する連係部を備えることができる。
【0083】
このとき、例えば、カバー部35等に他物との接触を検出する感圧センサ等を備えることができる。第1噴出支持部31が使用位置に位置するように、揺動駆動機構にて第2噴出支持部32を第1揺動位置に揺動駆動している場合に、感圧センサ等によりカバー部35等が他物と接触したことを検出すると、揺動駆動機構が、第1噴出支持部31が使用位置よりも左右方向で作業車両の内方側に位置するように、第2噴出支持部32を第1揺動位置よりも左右方向で作業車両の内方側に揺動駆動することができる。これにより、第1噴出支持部31が使用位置に位置する場合に、カバー部35等が他物と接触しても、第1噴出支持部31を左右方向で作業車両の内方側に移動させて、薬剤散布装置10の損傷を防止することができる。