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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-62316(P2020-62316A)
(43)【公開日】2020年4月23日
(54)【発明の名称】取付具付きフック
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/00 20060101AFI20200331BHJP
【FI】
   A47G29/00 L
   A47G29/00 H
   A47G29/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-197333(P2018-197333)
(22)【出願日】2018年10月19日
(71)【出願人】
【識別番号】318014289
【氏名又は名称】ながしまや株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】中島 義雅
【テーマコード(参考)】
3K100
【Fターム(参考)】
3K100AA02
3K100AC01
3K100AD07
3K100AE01
3K100AF04
3K100AF06
3K100AG01
3K100AG03
3K100AH19
3K100AH22
3K100AJ05
(57)【要約】
【課題】フックの脱落が生じにくく、フックが斜めに取付けられにくく、見映えの良い、取付具付きフックを提供する。
【解決手段】壁面50(被取付面)に取付け可能に形成された取付具2と、取付具2に取付け可能に形成されたフック3と、が設けられている。そして、取付具2には、その外周面に嵌合部20aが設けられている。また、フック3は、取付具2を覆う中空部3aが形成されていて、壁面50に対して略直交する回転軸Mを中心に回転させることにより嵌合部20aに嵌合する被嵌合部3bが設けられている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付面に取付け可能に形成された取付具と、
前記取付具に取付け可能に形成されたフックと、
を備え、
前記取付具は、その外周面に嵌合部を具備し、
前記フックは、前記取付具を覆う中空部が形成されて、前記被取付面に対して略直交する回転軸を中心に回転させることにより前記嵌合部に嵌合する被嵌合部を具備したことを特徴とする取付具付きフック。
【請求項2】
前記フックの前記中空部は、その内周面に、前記取付具に向けて回転軸方向に前記フックを移動させたときに前記嵌合部との当接を避ける凹部と、前記取付具に向けて回転軸方向に前記フックを移動させて前記凹部によって前記嵌合部との当接を避けた状態から前記フックを前記回転軸を中心に回転させることにより前記嵌合部に嵌合する前記被嵌合部と、を具備したことを特徴とする請求項1に記載の取付具付きフック。
【請求項3】
前記フックは、被吊下げ部材が吊下げられるフック部が、前記被取付面に接する面から形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の取付具付きフック。
【請求項4】
前記フックは、被吊下げ部材が吊下げられるフック部に、角部が形成されていないことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の取付具付きフック。
【請求項5】
形状と色と材質とのうち少なくとも1つが異なる前記フックを前記取付具に着脱可能に構成したことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の取付具付きフック。
【請求項6】
前記取付具は、複数のピン釘を前記被取付面に対して放射状にそれぞれ異なる方向に傾斜して打ち込み可能な複数のピン穴が形成された取付具本体を、周状に複数配列して保持可能に形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の取付具付きフック。
【請求項7】
前記複数の取付具本体をそれぞれ保持する複数の凹状部が形成されていない部分に、複数の釘を前記被取付面に対して略直交する方向に打ち込み可能な複数の釘穴が形成されたことを特徴とする請求項6に記載の取付具付きフック。
【請求項8】
前記取付具は、前記回転軸の周りに複数のピン釘を前記被取付面に対して放射状にそれぞれ異なる方向に傾斜して打ち込み可能な複数のピン穴と、前記複数のピン穴が形成されていない部分に複数の釘を前記被取付面に対して略直交する方向に打ち込み可能な複数の釘穴と、が形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の取付具付きフック。
【請求項9】
前記取付具に対する前記フックの回転方向の位置が定まるように、前記取付具に対する前記フックの前記回転軸を中心にした回転を規制する規制手段を備え、
前記フックに所定値以上の回転力が付与されたときには、前記規制手段の規制に抗するように前記取付具に対して前記フックが前記回転軸を中心に回転するように構成されたことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の取付具付きフック。
【請求項10】
前記規制手段は、
前記フックの前記中空部の内周面に形成された略半球状の突起部又は穴部と、
前記取付具の前記外周面において前記突起部又は前記穴部が咬合するように周状に間隔をあけて形成された複数の略半球状の咬合部と、
であることを特徴とする請求項9に記載の取付具付きフック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、石膏ボードやコンクリート壁面などの被取付面に取付られて、衣類や鞄などの被吊下げ部材を吊下げるための取付具付きフックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、被取付面に取付具を釘などで固定して取り付けて、その取付具を介してフックを取付けたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
詳しくは、特許文献1では、壁などの被取付面に、ベース板(取付具)が釘や両面テープなどによって固定されている。そして、そのように被取付面に固定されたベース板の一部が隠れるように、座部上にフックが形成された取付具本体がベース板に被せられ係止されている。
【0004】
他方、特許文献2には、複数本のピン釘が、被取付面に対して傾斜し、かつ、取付具本体を中心として放射状に打ち込まれるように構成された取付具が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の技術は、被取付面に固定した取付具(ベース板)にフック(取付具本体)を被せるように設置しているため、取付具からフックが脱落しやすかった。特に、重量のある被吊下げ部材がフックに吊下げられる場合には、その重さでフックの脱落が生じやすくなっていた。
また、従来の技術は、被取付面に対して取付具(ベース板)が真直ぐ固定されずに斜めに固定されてしまうと、フック(取付具本体)も同じように斜めに取付けられてしまっていた。
さらに、従来の技術は、取付具(ベース板)にフック(取付具本体)を被せるように設置しているものの、被取付面に固定した取付具の一部が露呈してしまい、見映えが悪かった。
【0006】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、フックの脱落が生じにくく、フックが斜めに取付けられにくく、見映えの良い、取付具付きフックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明における取付具付きフックは、被取付面に取付け可能に形成された取付具と、前記取付具に取付け可能に形成されたフックと、を備え、前記取付具は、その外周面に嵌合部を具備し、前記フックは、前記取付具を覆う中空部が形成されて、前記被取付面に対して略直交する回転軸を中心に回転させることにより前記嵌合部に嵌合する被嵌合部を具備したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、フックの脱落が生じにくく、フックが斜めに取付けられにくく、見映えの良い、取付具付きフックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明の実施の形態における取付具付きフックが壁面に取付けられた状態を示す側面図である。
図2】取付具が壁面に取付けられた状態を示す斜視図である。
図3】フックを示す斜視図である。
図4】壁面に取付けられた取付具にフックが取付けられる動作を示す図である。
図5】(A)フックの被嵌合部が取付具の嵌合部に嵌合していない状態を側方から示す断面図と、(B)フックの被嵌合部が取付具の嵌合部に嵌合した状態を側方から示す断面図と、である。
図6】(A)フックの被嵌合部が取付具の嵌合部に嵌合していない状態を正面側からから示す断面図と、(B)フックの被嵌合部が取付具の嵌合部に嵌合した状態を正面側から示す断面図と、である。
図7】(A)取付具の中継部材に取付具本体がセットされた状態を示す断面図と、(B)取付具本体に石膏ボード用のピン釘がセットされた状態を示す正面図と、である。
図8】取付具の中継部材にコンクリート壁面用の釘がセットされた状態を示す断面図と、
図9】従来の取付具付きフックを示す図である。
図10】変形例1としての、取付具が壁面に取付けられた状態を示す斜視図である。
図11】変形例2としての、フックを示す斜視図である。
図12】変形例3としての、(A)フックの被嵌合部が取付具の嵌合部に嵌合していない状態を正面側からから示す断面図と、(B)フックの被嵌合部が取付具の嵌合部に嵌合した状態を正面側から示す断面図と、である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0011】
まず、図1図3を用いて、本実施の形態における取付具付きフック1の全体的な構成・動作について説明する。
図1は、取付具付きフック1が、被取付面としての壁面50(壁部)に取付けられた状態を側方から示す図である。
図1に示すように、取付具付きフック1は、主として取付具2とフック3とからなり、フック3が取付具2を介して壁面50に固定されるように構成されている。すなわち、取付具2は、被取付面(壁面50)に取付け可能に形成されていて、フック3は、取付具2に取付け可能に形成されている。
そして、取付具付きフック1のフック3に、衣類や鞄などの被吊下げ部材100が吊下げられることになる。
【0012】
なお、図1では、被吊下げ部材100として衣類(例えば、コートなどである。)の襟の部分が、フック3に掛けられた状態を模して図示している。フック3(取付具付きフック1)に掛けられる吊下げ部材100は、衣類に限定されることなく、鞄や帽子やハンガーなど種々のものが対象になる。
また、図1における壁面50(被取付面)は、一般的な建物の室内の壁面として利用される石膏ボードやコンクリート壁面であって、壁紙などが貼着されたものも含む。しかし、取付具付きフック1が取付けられる被取付面は、そのような壁面50に限定されることなく、例えば、屋外の壁面など種々のものが対象になる。
また、本実施の形態では、フック3や取付具2(金属材料からなるピン釘22や釘23は除く。)が、いずれも、樹脂材料で形成されている。
【0013】
ここで、図2等を参照して、取付具2には、その外周面に嵌合部20aが設けられている。
詳しくは、取付具2は、中継部材20や、4つの取付具本体21(及び、ピン釘22)などで構成されている。取付具2の中継部材20は、略円柱状に形成されていて、その外周面の2箇所(180度ずれて対向する位置である。)にそれぞれ嵌合部20aが形成されている。嵌合部20aは、取付具2の外周面から径方向(外側)に同心円状に突出するように形成されている。また、嵌合部20aは、中継部材20の円柱部の肉厚よりも薄い肉厚で形成されている
そして、本実施の形態では、2つの嵌合部20aが上下方向に向くように、取付具2が壁面50に取付け固定されることになる。そのような取付具2の取付方向については、取付具2に目印をつけたり、取付説明書に明記したりすることができる。
なお、取付具2の壁面へ50の取付け方法については、後でさらに詳しく説明する。
【0014】
そして、図3図4(A)等を参照して、フック3には、取付具2を覆う中空部3aが形成されている。
詳しくは、フック3には、壁面50(被取付面)に接する当接面の側から内部の側に向けて凹んだ略円柱状の中空部3aが形成されている。中空部3aの深さは、取付具2の肉厚(高さ)と同等であるか、それよりも僅かに長くなるように設定されている。
そして、壁面50上において取付具2にフック3が取付けられると、図1図4(C)に示すように、この中空部3aの中に取付具2がすっぽり入り込んで、取付具2の全部がフック3に覆われて露呈しないことになる。そのため、壁面50に取付けられた取付具付きフック1は、デザイン性に優れたフック3のみが露呈することになり、取付具が露呈したものに比べて、見映えが良くなる。
【0015】
そして、図3図5図6に示すように、フック3には、壁面50(被取付面)に対して略直交する回転軸M(図4(B)参照)を中心に回転させることにより取付具2の嵌合部20aに嵌合する被嵌合部3bが設けられている。
詳しくは、被嵌合部3bは、フック3の中空部3aにおいて、壁面50に接する当接面の側で、内周面から径方向(内側)に同心円状に突出するように形成されている。被嵌合部3bは、取付け部2の嵌合部20aに合わせて、中空部3aの内周面の2箇所(180度ずれて対向する位置である。)にそれぞれ形成されている。また、被嵌合部3bは、その肉厚が、壁面50に設置された取付具2の嵌合部20aと壁面50との隙間と同等であるか、それよりも僅かに薄くなるように設定されている。また、2つ被嵌合部3bの内径(互いの内周部の離間距離)は、2つの嵌合部20aの外径(互いの外周部の離間距離)よりも短くなるように設定されている。また、被嵌合部2bの周方向の範囲は、嵌合部20aの周方向の範囲よりも充分に長くなるように設定されている。
【0016】
そして、図4(A)に示すように、壁面50に固定された状態の取付具2に対して、側方に約90度回転させた姿勢のフック3を、取付具2が中空部3aに覆われるように白矢印方向に移動する。そして、図4(B)に示すように、取付具2にセットしたフック3(壁面50に軽接触又は微小に離間した状態である。)を回転軸Mを中心に約90度回転させて、フック3の被嵌合部3bを取付具2の嵌合部20aに嵌合させて、図4(C)に示すように取付具付きフック1の取付け(固定)が完了することになる。
また、取付具2に取付けたフック3を取付具2から取り外すときには、図4(A)〜(C)で説明した組付け時の手順とは逆の手順で作業がおこなわれることになる。
【0017】
ここで、図3図5図6に示すように、フック3の中空部3aの内周面には、被嵌合部3bの他に、凹部3c(逃げ部)が設けられている。
この凹部3cは、図4(A)に示すように、取付具2に向けて回転軸方向(白矢印方向)にフック3を移動させたときに、嵌合部20aとの当接を避けるためのものである。
詳しくは、図3図5図6に示すように、凹部3cは、フック3の中空部3aにおいて、壁面50に接する当接面の側から中空部3aの内周面に沿うように形成されている。凹部3cは、被嵌合部3bが形成されていない周方向の2箇所の領域(180度ずれて対向する位置であって、嵌合部20aの周方向の領域よりも僅かに広い領域である。)に形成されている。また、凹部3cは、その深さが、中空部3aの深さと同等に形成されている。また、対向する2つ凹部3cの内径(互いの内周部の離間距離)は、2つの嵌合部20aの外径(互いの外周部の離間距離)よりも長くなるように設定されている。
【0018】
このような構成により、図4(A)、(B)に示すように、側方に約90度回転させた姿勢のフック3を白矢印方向に手動で移動して、壁面50上の取付具2にセットしたときに、図5(A)、図6(A)に示すように、取付具2の嵌合部20aにフック3の被嵌合部3bが衝突しないことになる。そして、その状態からフック3を矢印方向に手動回転することで、図5(B)、図6(B)に示すように、取付具2の嵌合部20aにフック3の被嵌合部3bが嵌合して、図1図4(C)に示すように、取付具付きフック1の組付けが完了して壁面50に取付具付きフック1が固定されることになる。すなわち、取付具2に向けて回転軸方向(図4(A)の白矢印方向)にフック3を移動させて凹部3cによって嵌合部20aとの被嵌合部3bの当接を避けた状態から、フック3を回転軸Mを中心に回転させることにより、被嵌合部3bが嵌合部20aに嵌合することになる。
なお、取付け部2にセットされたフック3を回転軸Mを中心に手動回転させるときの抵抗は、手動回転が充分に可能な程度のものであるとともに、手動回転を停止したときにフック3が回転停止してその回転位置を維持できる程度のものであって、主として被嵌合部3bと嵌合部20aとの嵌合の度合いを最適化することで調整している。
【0019】
このように、本実施の形態における取付具付きフック1は、取付具2の嵌合部20aに対してフック3の被嵌合部3bがしっかりと嵌合した状態で組付けられるため、ある程度重量のある被吊下げ部材100がフック3に吊下げられた場合であっても、取付具2からのフック3の脱落が生じにくくなる。特に、本実施の形態では、取付具付きフック1の上下方向で被嵌合部3bと嵌合部20aとが嵌合するように構成しているため、被吊下げ部材100の重量によって、壁面50に接するフック3の下端を支点としてフック3が脱落するような不具合を充分に軽減することができる。
したがって、ユーザーは、ストレスなどなく、取付具付きフック1に被吊下げ部材100を吊下げることができる。特に、被吊下げ部材100としての衣類や鞄などは、取付具付きフック1への吊下げと取り外しとが頻繁に繰り返しおこなわれる可能性が高いため、このような脱落がなく強度の高い取付具付きフック1が有用になる。
これらのことは、取付具2がある程度小径であったり薄肉であったりしても、フック3をある程度強固に保持することができることも意味することになる。そのため、取付具2を中空部3aに収納するように形成されたフック3の形状の制約も少なくなって、例えば、フック3が壁面50から離れる方向に斜め上方に急激に立ち上がるなど、フック3の形状の自由度を高めることができる。
【0020】
また、本実施の形態における取付具付きフック1は、取付具2に対してフック3が壁面50に沿うように回転されて組付けられるため、壁面50に対して取付具2が真直ぐに固定されずに多少斜めに固定されてしまっても、フック3の回転時の姿勢を調整することで、フック3を傾けずに真直ぐ固定することができる。すなわち、取付具2の回転方向の取付精度にほとんど依存することなく、フック3を回転方向に精度良く組付けることができる。したがって、ユーザーが取付具2を壁面50に固定するときに、回転方向の取付精度に細心の注意をはらう必要もなく、その作業が容易になる。
また、本実施の形態における取付具付きフック1は、先に説明したように、取付具2の全部がフック3に覆われた状態で組付けられるため、その見映えが良くなる。
【0021】
すなわち、図9に示す従来の取付具付きフック110は、壁面50に固定した取付具111の突出部111aにフック112の座部112aを被せるように設置しているため、取付具111からフック112が図9(A)の矢印方向に脱落しやすかった。
また、従来の取付具付きフック110は、図9(B)に示すように、壁面に対して取付具111が真直ぐ固定されずに斜めに固定されてしまうと、フック112も同じように斜めに取付けられてしまっていた。
さらに、従来の取付具付きフック110は、図9(A)に示すように、壁面50に固定した取付具111の一部が露呈してしまい、見映えが悪かった。
これに対して、本実施の形態における取付具付きフック1は、上述したように、それらの不具合をそれぞれ軽減することができる。
【0022】
ここで、本実施の形態における取付具付きフック1は、形状と色と材質とのうち少なくとも1つが異なるフック3を取付具2に着脱可能(交換可能)に構成されている。
先に図4(A)〜(C)を用いて説明したように、フック3は、取付具2に対して手動回転によって着脱されるものである。そのため、壁面50に取付具2を固定した状態で、既設のフック3を取り外して、中空部3aの構造が共通化された別のフック3を代わりに取付けることが可能になる。
したがって、ユーザーの用途や好みに合わせて、形状や色や材質の異なるフック3を取付具2に自由に付け替えることが可能になる。
【0023】
ここで、図3を参照して、本実施の形態におけるフック3は、被吊下げ部材100が吊下げられるフック部3d(図3にてハッチングにて示した部分である。)が、壁面50(被取付面)に接する面から形成されている。
すなわち、本実施の形態におけるフック3は、図9に示す従来のフック112のように座部112a(フック部として機能しない部分である。)が形成されておらず、壁面50に組付けられた状態で露呈する部分の全部がフック部3dとなるように構成されている。
そのため、壁面50とフック3との一体感や、壁面50からフック3が生え出たような特殊なデザイン性を得ることができる。
【0024】
また、図3を参照して、本実施の形態におけるフック3は、被吊下げ部材100が吊下げられるフック部3dに、角部(エッジ部)が形成されていない。
すなわち、本実施の形態におけるフック3は、図9に示す従来のフック112のように角部が形成されておらず、壁面50に接する部分以外のフック部3dが曲面のみで形成されている。
そのため、フック部3dに被吊下げ部材100を吊下げたり取り外したりするときに、被吊下げ部材100がフック部3dに引っ掛かってキズつく不具合が生じにくくなる。また、人がフック部3dに触って怪我をする不具合も生じにくくなる。
【0025】
さらに、図1図3に示すように、フック3(壁面50に取付けられた状態のものである。)は、その上面が、壁面50から離間するにつれて上方に位置するようにカーブ状に形成されている。また、そのようにフック3の上面が描くカーブは、フック部3dに吊下げられた被吊下げ部材100が、その重力によってフック部3dから脱落しない程度のものである。また、そのようなフック3の上面の形状に合わせて、その他の面が調和するような曲面で形成されている。換言すると、フック3は、「天狗の鼻」のような形状をしている。すなわち、フック3は、全体として、先端が半球状のこん棒が壁面50から離れる方向に斜め上方に隆起するような形状をしている。
【0026】
ここで、図2図7を参照して、本実施の形態における取付具2は、複数の取付具本体21(本実施の形態では、4つの取付具本体21である。)を周状に配列して保持可能に形成されている。取付具本体21には、複数のピン釘22(本実施の形態では、3本のピン釘22である。)を壁面50(被取付面)に対して放射状にそれぞれ異なる方向に傾斜して打ち込み可能な複数のピン穴21a(本実施の形態では、3つのピン穴21aである。)が形成されている。
【0027】
詳しくは、取付具2は、3つのピン穴21aがそれぞれ形成された4つの取付具本体21と、4つの取付具本体21をそれぞれ保持する4つの凹状部20bが形成された中継部材20と、などからなる。
中継部材20は、先に説明したように、略円柱状に形成されていて、その外周面の2箇所にそれぞれ嵌合部20aが形成されている。また、その略円柱状の中継部材20には、その中心から離れた位置に、周方向に等間隔に凹状部20bが4つ形成されている。そして、その凹状部20bに、図7に示すように、取付具本体21が嵌め込まれて、取付具本体21のピン穴21aと、凹状部20bの底部に形成された貫通穴と、を介して、ピン釘22が壁面50に打ち込まれる。図2図7の例では、壁面50は石膏ボード(表面に壁紙が貼られたものも含む。)であって、ピン釘22は石膏ボード用の釘である。
【0028】
図7(A)に示すように、ピン穴21aは、壁面50に対して垂直ではなくて傾斜するように形成されている。そして、図7(B)において破線矢印で示すように、3つのピン穴21aの傾斜方向は、それぞれ異なり、取付具本体21の中心近傍に向かうようになっている。そして、このように形成された3つのピン穴21aを介して壁面50に打ち込まれるピン釘22は、互いにぶつかることなく、互いにネジレの関係で交差することになる。そのため、壁面50としての石膏ボードに取付具2が強固に固定されることになる。
特に、本実施の形態では、複数の取付具本体21が周状に配列されて、それぞれの取付具本体21を用いて複数のピン釘22が壁面50に打ち込まれている。そのため、取付具2が全体として、周方向のあらゆる方向にも強い力で固定されることになる。すなわち、壁面50に固定された取付具2(取付具付きフック1)に、上下方向の力の他に、左右方向などその他の方向の力が作用しても、壁面から取付具2が外れてしまう不具合が生じにくくなる。
【0029】
ここで、図2図8を参照して、本実施の形態における取付具2は、複数の取付具本体21をそれぞれ保持する複数の凹状部20bが形成されていない部分に、複数の釘23を壁面50(被取付面)に対して略直交する方向に打ち込み可能な複数の釘穴20cが形成されている。
詳しくは、中継部材20において、周状に配列された4つの凹状部20bの、隣接する凹状部20bと凹状部20bとの間にそれぞれ釘穴20c(4つの釘穴20c)が形成され、さらに中心位置に1つの釘穴20cが形成されている。これらの5つの釘穴20cは、いずれも、壁面50に対して略直交するように形成されている。そのため、このような釘穴20cを介して壁面50に打ち込まれた釘23は、図8に示すように、壁面50に対して真直ぐな姿勢になる。
このように釘穴20cを用いて釘23を壁面50に真直ぐに打ち込む場合としては、壁面50がコンクリート壁面(表面に壁紙が貼られたものも含む。)であって、釘23はコンクリート壁面用の釘となる。コンクリート壁面は、石膏ボードに比べて硬質なため、コンクリート壁面用の硬質な釘23を真直ぐ打ち込むことが必要になる。また、このような場合には、取付具2において取付具本体21(及び、ピン釘22)は不要になり、中継部材20のみで取付具2を構成することが可能になる。
このように、壁面50の材質に応じて、取付具2の構成を変更して最適化することができるように構成することで、ユーザーにとっての利便性が高められることになる。
【0030】
<変形例1>
図10は、変形例1としての取付具2が壁面50に取付けられた状態を示す斜視図であって、本実施の形態における図2に対応する図である。
変形例1における取付具2は、取付具本体30とピン釘22(又は、釘23)とで構成されている点が、取付具2が中継部材20と取付具本体21とピン釘22(又は、釘23)とで構成されている本実施の形態のものと相違する。
図10に示すように、変形例1における取付具2(取付具本体30)は、回転軸M(図4参照)の周りに複数のピン釘22(石膏ボード用釘)を壁面50(被取付面)に対して放射状にそれぞれ異なる方向に傾斜して打ち込み可能な複数のピン穴30dと、その複数のピン穴30dが形成されていない部分に複数の釘23(コンクリート壁面用釘)を壁面50に対して略直交する方向に打ち込み可能な複数の釘穴30cと、が形成されている。
詳しくは、取付具本体30には、壁面50に対して傾斜する3つのピン穴30dが周状に形成されている。そして、3つのピン穴30dを介して壁面50に打ち込まれるピン釘22は、互いにぶつかることなく、互いにネジレの関係で交差することになる。壁面50が石膏ボードである場合に、このようなピン穴30dを介して壁面50にピン釘22が打ち込まれる。
また、取付具本体30には、壁面50に対して略直交する4つの釘穴30cが形成されている。4つの釘穴30cのうち、3つの釘穴30cは隣接するピン穴30dとピン穴30dとの間にそれぞれ形成され、1つの釘穴30cは中心位置に形成されている。そして、4つの釘穴30cを介して壁面50に打ち込まれる釘23は、いずれも壁面50に対して略垂直に打ち込まれることになる。壁面50がコンクリート壁面である場合に、このような釘穴30cを介して壁面50に釘23が打ち込まれる。
また、取付具本体30の外周面には、対向する2箇所にそれぞれ嵌合部30aが形成されている。この嵌合部30aは、本実施の形態における嵌合部20aと同じように機能するものである。
変形例1のように取付具2を構成した場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。特に、変形例1では、ピン釘22(又は、釘23)の数が少なくなるため、本実施の形態のものに比べると壁面50に対する取付強度が低くなりやすくなるものの、その取付性は向上することになる。
【0031】
<変形例2>
図11は、変形例2としてのフック3を示す斜視図であって、本実施の形態における図3に対応する図である。
変形例2におけるフック3は、本実施の形態のものと中空部3a(被嵌合部3bや凹部3cが形成されている。)の構造が同じであるが、フック部3dの形状が本実施の形態のものと相違する。
図11に示すように、変形例2におけるフック3は、その上面が平面に近い形状になっていて、全体的に「舌」を斜め上方に突き出したような形状をしている。このような形状のフック3は、鞄の肩掛けベルト(肩掛け紐)などを引っ掛けるのに適している。そして、このような形状のフック3は、本実施の形態におけるフック3の代わりに、壁面50に設置された取付具2に取付けることができる。
そのため、ユーザーの用途や好みに合わせて、形状(又は、色や材質)の異なるフック3を取付具2に自由に付け替えることが可能になる。
【0032】
<変形例3>
図12(A)は、変形例3としてのフック3の被嵌合部3bが取付具2の嵌合部20aに嵌合していない状態を正面側からから示す断面図であって、図12(B)は、そのフック3の被嵌合部3bが嵌合部20aに嵌合した状態を正面側から示す断面図であって、それぞれ本実施の形態における図6(A)、(B)に対応する図である。
変形例3における取付具付きフック1には、本実施の形態のものとは異なり、取付具2に対してフック3の回転方向の位置決めをするための規制手段としての穴部3e及び咬合部20e1〜20e3が設けられている。
この穴部3e及び咬合部20e1〜20e3は、取付具2に対するフック3の回転方向の位置が定まるように、取付具2に対するフック3の回転軸Mを中心にした回転を規制する規制手段として機能するものである。
そして、穴部3e及び咬合部20e1〜20e3(規制手段)は、フック3に所定値以上の回転力が付与されたときには、穴部3e及び咬合部20e1〜20e3(規制手段)の規制に抗するように、取付具2に対してフック3が回転軸Mを中心に回転するように構成されている。
すなわち、フック3がある程度大きな力(手動回転できる程度の力である。)で回転されようとすると、多少の抵抗はあるものの、その力で取付具2に対してフック3が回転されることになる。これに対して、そのような力よりも小さな力でフック3が回転されそうになっても、穴部3e及び咬合部20e1〜20e3(規制手段)の抵抗によって、取付具2に対してフック3が回転されないことになる。
ここで、穴部3eは、フック3の中空部3aの内周面に、略半球状に形成されたものである。また、咬合部20e1〜20e3は、取付具2の外周面において穴部3eが咬合するように周状に間隔(短いピッチである。)をあけて複数形成された略半球状の突起である。
このように構成することにより、まず、図12(A)に示すように、嵌合部20aに被嵌合部3bが衝突しないように、取付具2にフック3がセットされた状態からフック3が回転される。そして、図12(B)に示すように、嵌合部20aに被嵌合部3bが噛合する位置であって、3つの咬合部20e1〜20e3のうちの1つ(図12(B)の例では、2番目の咬合部20e2である。)が穴部3eに咬合する位置で、取付具2に対するフック3の位置が定められることになる。こうして、取付具付きフック1の組み付けが完了することになる。
このとき、壁面50に対して取付具2が回転方向に僅かに傾いて固定されてしまっても、3つの咬合部20e1〜20e3のうち穴部3eに咬合させるものを変えることで、壁面50に対してフック3を回転軸方向に大きく傾けることなく取付具2に位置決めして取付けることが可能になる。具体的に、取付具2が図12(B)の反時計方向に傾いた状態で壁面50に固定された場合には、3つの咬合部20e1〜20e3のうち左側の咬合部20e1が穴部3eに咬合する位置で、取付具2に対するフック3の位置が定められることになる。
なお、取付具2に対してフック3の回転方向の位置決めをするための規制手段は、変形例3に記載したような形状のものに限定されず、例えば、咬合部が周方向の一部ではなくて周方向全域に形成されたものを用いることもできる。さらに、フック3の中空部3aの内周面に形成された略半球状の突起部と、その突起部が咬合するように取付具2の外周面において周状に間隔をあけて形成された複数の略半球状の咬合部と、によって規制手段を構成することもできる。
そして、変形例3のように取付具付きフック1を構成した場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0033】
以上説明したように、本実施の形態における取付具付きフック1は、壁面50(被取付面)に取付け可能に形成された取付具2と、取付具2に取付け可能に形成されたフック3と、が設けられている。そして、取付具2には、その外周面に嵌合部20aが設けられている。また、フック3は、取付具2を覆う中空部3aが形成されていて、壁面50に対して略直交する回転軸Mを中心に回転させることにより嵌合部20aに嵌合する被嵌合部3bが設けられている。
これにより、フック3の脱落が生じにくく、フック3が斜めに取付けられにくく、見映えの良い、取付具付きフック1を提供することができる。
【0034】
なお、本実施の形態では、フック3や取付具2(金属材料からなるピン釘22や釘23は除く。)を、いずれも、樹脂材料で形成した。これに対して、フック3と取付具2とのうち、少なくとも一方(又は、その一部)を、金属材料など他の材料で形成することもできる。特に、フック3(又は、その表面)を金属材料で形成した場合には、取付具付きフック1全体としての高級感を出すことが可能になる。また、フック3の表面に、滑り止めのための塗装(表面処理)などを施すこともできる。
そして、そのような場合であっても、本実施の形態のものとほぼ同様の効果を得ることができる。
【0035】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0036】
1 取付具付きフック、
2 取付具、
3 フック、
3a 中空部、
3b 被嵌合部、
3c 凹部、
3d フック部、
3e 穴部、
20 中継部材、
20a 嵌合部、
20b 凹状部、
20c 釘穴、
20e1〜20e3 咬合部、
21 取付具本体、
21a ピン穴、
22 ピン釘(石膏ボード用釘)、
23 釘(コンクリート用釘)、
30 取付具本体、
30a 嵌合部、
30c 釘穴、
30d ピン穴、
50 壁面(被取付面)、
100 被吊下げ部材。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0037】
【特許文献1】特開2009−247819号公報
【特許文献2】特開2015−24109号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12