(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-62635(P2020-62635A)
(43)【公開日】2020年4月23日
(54)【発明の名称】熱電除湿器
(51)【国際特許分類】
B01D 53/26 20060101AFI20200331BHJP
F24F 13/22 20060101ALI20200331BHJP
F25B 21/02 20060101ALI20200331BHJP
【FI】
B01D53/26 100
F24F13/22 222
F25B21/02 D
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-228390(P2018-228390)
(22)【出願日】2018年12月5日
(31)【優先権主張番号】107136831
(32)【優先日】2018年10月18日
(33)【優先権主張国】TW
(71)【出願人】
【識別番号】390023582
【氏名又は名称】財團法人工業技術研究院
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 奕瑞
(72)【発明者】
【氏名】宋 柏毅
(72)【発明者】
【氏名】張 秉宏
【テーマコード(参考)】
4D052
【Fターム(参考)】
4D052AA08
4D052BA06
4D052BB01
4D052BB02
4D052GA01
4D052GB01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】周囲の温度および湿度の影響を低減し、除湿効率を高めることができる熱電除湿器の提供。
【解決手段】チャンバ1、熱電エレメント2、冷温側熱交換エレメント31、高温側熱交換エレメント32、およびファン4を備える熱電除湿器100が提供される。チャンバ1は、第1給気口101、第1排気口102、および第1給気口と第1排気口とを接続するU字状チャネルを有する。熱電エレメント2は、チャンバ内に配置され、冷温側および高温側を有する。冷温側熱交換エレメント31は、チャンバ内に配置され、冷温側に接続され、且つ、第1給気口101に隣接する。高温側熱交換エレメント32は、チャンバ内に配置され、高温側に接続され、且つ、第1排気口102に隣接する。ファン4は、U字状チャネル内における冷温側熱交換エレメント31と高温側熱交換エレメント32との間に配置される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1給気口、第1排気口、および前記第1給気口と前記第1排気口とを接続するU字状チャネルを有するチャンバと、
前記チャンバ内に配置され、冷温側および高温側を有する熱電エレメントと、
前記チャンバ内に配置され、前記冷温側に接続され、且つ、前記第1給気口に隣接する冷温側熱交換エレメントと、
前記チャンバ内に配置され、前記高温側に接続され、且つ、前記第1排気口に隣接する高温側熱交換エレメントと、
前記U字状チャネル内における前記冷温側熱交換エレメントと前記高温側熱交換エレメントとの間に配置されるファン
とを備える熱電除湿器。
【請求項2】
第1給気口、第1排気口、および前記第1給気口と前記第1排気口とを接続するU字状チャネルを有するチャンバと、
前記チャンバ内に配置され、冷温側および高温側を有する熱電エレメントと、
前記チャンバ内に配置され、前記冷温側に接続され、且つ、前記第1給気口に隣接する冷温側熱交換エレメントと、
前記チャンバ内に配置され、前記高温側に接続され、且つ、前記第1排気口に隣接する高温側熱交換エレメントと、
前記U字状チャネル内に配置されるファンと、
前部熱交換エレメントおよび後部熱交換エレメントを備える予冷部
とを備え、
前記前部熱交換エレメントは前記第1給気口と前記冷温側熱交換エレメントとの間に配置され、前記後部熱交換エレメントは前記冷温側熱交換エレメントと前記高温側熱交換エレメントとの間に配置される熱電除湿器。
【請求項3】
前記冷温側熱交換エレメントに隣接する第2給気口をさらに備える請求項1または2記載の熱電除湿器。
【請求項4】
前記第2給気口と前記第1給気口とが非平行である請求項3記載の熱電除湿器。
【請求項5】
前記U字状チャネルが、第1チャネル、第2チャネルおよび接続チャネルを有し、前記第1チャネルは第1方向に沿って伸びており、前記冷温側熱交換エレメントは前記第1チャネル内に配置され、前記高温側熱交換エレメントは前記第2チャネル内に配置され、前記接続チャネルは前記第1チャネルと前記第2チャネルとを接続している請求項1または2記載の熱電除湿器。
【請求項6】
前記冷温側熱交換エレメントの法線方向が、前記第1チャネルの前記第1方向に直交する請求項5記載の熱電除湿器。
【請求項7】
前記第1給気口の外側に配置され、前記第1方向と角度を形成するフローガイドエレメントをさらに備える請求項5記載の熱電除湿器。
【請求項8】
前記U字状チャネルの前記接続チャネルに配置される水受け皿をさらに備え、前記水受け皿の開口が、前記第1チャネルの前記第1方向と向い合っている請求項5記載の熱電除湿器。
【請求項9】
前記ファンが、前記冷温側熱交換エレメントと前記第1排気口との間に配置される請求項2記載の熱電除湿器。
【請求項10】
前記ファンが、前記冷温側熱交換エレメントと前記高温側熱交換エレメントとの間に配置される請求項2記載の熱電除湿器。
【請求項11】
前記冷温側熱交換エレメントは、前記冷温側に接続される第1底面積を有し、前記高温側熱交換エレメントは、前記高温側に接続される第2底面積を有し、前記第1底面積は前記第2底面積と非同等である請求項1または2記載の熱電除湿器。
【請求項12】
前記予冷部が、前記前部熱交換エレメントと前記後部熱交換エレメントとを接続する熱伝導エレメントをさらに備える請求項2記載の熱電除湿器。
【請求項13】
前記高温側熱交換エレメントと前記熱電エレメントの前記高温側とを接続する熱伝導エレメントをさらに備える請求項2記載の熱電除湿器。
【請求項14】
前記熱伝導エレメントがヒートパイプである請求項12または13記載の熱電除湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、除湿器、より詳しくは、熱電除湿器(thermoelectric dehumidifier)に関する。
【背景技術】
【0002】
熱電除湿器の作動原理は、以下の通りである。水分を含む空気はファンによってチャンバ内に吸入される。水分が冷温側でフィンを通過した後、空気中に含まれる水分は、水滴として凝縮する。水滴がある大きさまで溜まった後、水滴は重力により水受け皿の中に落ちる。そして、空気は温度を下げるべく高温側のフィンまでガイドされ、排気口を介して放散される。
【0003】
熱電除湿器の湿気除去は、周囲の温度および湿度に影響されるので、実際の使用において得られる熱電除湿器の除湿効率(dehumidification efficiency)と理想的な実験環境において得られる除湿効率との間には大きな相違が存在する。
【0004】
従って、一般的に知られる技術において遭遇する問題を解決するために、進歩した熱電除湿器を提供することが、産業界における主要な課題となっている。
【0005】
2002年5月28日に発行された米国特許第6,393,842号明細書は、個々の冷却/加熱のための空調装置を提供する。
【発明の概要】
【0006】
本発明の実施形態によれば、チャンバ、熱電エレメント、冷温側熱交換エレメント、高温側熱交換エレメント、およびファンを備える熱電除湿器が提供される。チャンバは、第1給気口、第1排気口、および第1給気口と第1排気口とを接続するU字状チャネルを有する。熱電エレメントは、チャンバ内に配置され、冷温側および高温側を有する。冷温側熱交換エレメントは、チャンバ内に配置され、冷温側に接続され、且つ、第1給気口に隣接する。高温側熱交換エレメントは、チャンバ内に配置され、高温側に接続され、且つ、第1排気口に隣接する。ファンは、U字状チャネル内における冷温側熱交換エレメントと高温側熱交換エレメントとの間に配置される。
【0007】
本発明の他の実施形態によれば、チャンバ、熱電エレメント、冷温側熱交換エレメント、高温側熱交換エレメント、ファン、および予冷部を備える熱電除湿器が提供される。チャンバは、第1給気口、第1排気口、および第1給気口と第1排気口とを接続するU字状チャネルを有する。熱電エレメントは、チャンバ内に配置され、冷温側および高温側を有する。冷温側熱交換エレメントは、チャンバ内に配置され、冷温側に接続され、且つ、第1給気口に隣接する。高温側熱交換エレメントは、チャンバ内に配置され、高温側に接続され、第1排気口に隣接する。ファンは、U字状チャネル内に配置される。予冷部は、前部熱交換エレメント、後部熱交換エレメントおよび熱伝導エレメントを備える。前部熱交換エレメントは、冷温側熱交換エレメントの前に、且つ、第1給気口と冷温側熱交換エレメントとの間に配置される。後部熱交換エレメントは、冷温側熱交換エレメントの後ろに、且つ、冷温側熱交換エレメントと高温側熱交換エレメントとの間に配置される。熱伝導エレメントは、前部熱交換エレメントと後部熱交換エレメントとを接続するか、または高温側熱交換エレメントと熱電エレメントの高温側とを接続する。
【0008】
上記の実施形態によれば、本発明は、チャンバ、熱電エレメント(thermoelectric element)、冷温側熱交換エレメント(cold-side heat exchange element)、高温側熱交換エレメント(hot-side heat exchange element)、およびファンを備える熱電除湿器を提供する。チャンバは、U字状チャネルを有する。熱電エレメント、冷温側熱交換エレメントおよび高温側熱交換エレメントは、チャンバ内に配置される。ファンは、U字状チャネル内に配置される。熱流場(heat flow field)の実験および分析により、エレメント(熱電エレメント、冷温側熱交換エレメント、高温側熱交換エレメント、ファンなど)とU字状チャネル内の空気の流れとの間の相関関係が調整され、それによって、熱電エレメントにおける冷温側での湿度除去および高温側での熱低減の機能が高められ、周囲の温度および湿度の影響が低減され、熱電除湿器の除湿効率が高められる。
【0009】
本発明の上記およびその他の態様は、好ましいが限定的ではない1以上の実施形態の下記の詳細な説明に関して、よりよく理解される。下記の説明は、添付の図面を参照してなされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】本発明の一実施形態による熱電除湿器の構造の断面図である。
【
図1B】本発明の他の実施形態による熱電除湿器の構造の断面図である。
【
図2A】本発明の別の実施形態による熱電除湿器の構造の断面図である。
【
図3A】本発明の一実施形態による熱電除湿器の構造の断面図である。
【
図3B】
図3Aの熱電除湿器の異なる吸気態様を示す断面図である。
【
図3C】
図3Aの熱電除湿器の異なる吸気態様を示す断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による熱電除湿器の構造の断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態による熱電除湿器の構造の断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態による熱電除湿器の構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、周囲の温度および湿度の影響を低減し、熱電除湿器の除湿効率を高めることができる熱電除湿器を提供する。この技術分野における当業者であれば、本発明の目的、技術的特徴および利点がより容易に理解さるように、いくつかの例示的な実施形態が、詳細な説明および添付の図面と共に、以下に開示される。
【0012】
なお、これらの実施形態は、例示および説明目的のためのものであり、本発明の保護の範囲を限定するためのものではない。発明は、他の特徴、要素、方法およびパラメータを用いて実施され得る。好ましい実施形態は、本発明の技術的特徴を例示するためだけのものであって、保護の範囲を限定するためのものではない。発明の技術分野における当業者であれば、発明の主旨に反することなく、以下に開示された仕様に基づいて、適切な修正または変更を加え得るであろう。添付の図面に共通の符号は、同じ、または同等の要素を示すために使用される。
【0013】
図1Aを参照すると、本発明の一実施形態による熱電除湿器100の構造の断面図が示されている。熱電除湿器100は、チャンバ1、熱電エレメント2、冷温側熱交換エレメント31、高温側熱交換エレメント32およびファン4を備える。チャンバ1は、第1給気口(a first air inlet)101、第1排気口(first air outlet)102ならびに第1給気口101と第1排気口102とを接続するU字状チャネルを有する。本発明のいくつかの実施形態において、U字状チャネルは、第1チャネル11、第2チャネル12、および接続チャネル13を備える。空気の流れは、第1方向Dにおいて第1給気口101からU字状チャネルの第1チャネル11に向けられ、接続チャネル13を通過した後、空気は180度曲げられて第2チャネル12に流れ、その後、第1排気口102を介して、第1方向Dに平行且つ逆向きにチャンバから放散される。
【0014】
熱電エレメント2は、チャンバ1内に配置され、冷温側(cold side)21および高温側(hot side)22を有する。本発明のいくつかの実施形態において、熱電エレメント2は、少なくとも、(小ブロックに分割されたP型半導体材料のような)第1の熱電材料および(小ブロックに分割されたN型半導体材料のような)第2の熱電材料から形成される。第1の熱電材料と第2の熱電材料とは、ワイヤ(図示せず)によって接続され、P型半導体材料およびN型半導体材料から形成される複数の熱電変換エレメント(thermoelectric conversion element、図示せず)を形成する。熱電エレメント2が外部回路に接続されると、N型半導体材料の電子キャリアおよびP型半導体材料のホールキャリアは動かされて移動すると共に熱電変換エレメントの半導体材料の2つの側面(冷温側21および高温側22)の間に温度差を生成し、それによって、熱電エレメント2の冷温側21での温度が下降し、高温側22での温度が上昇する。
【0015】
冷温側熱交換エレメント31は、チャンバ1内に配置され、熱電エレメント2の冷温側21に接続される一の側、および、第1給気口101から第1チャネル11に流れる空気流に直接接触するために第1給気口101に隣接し、且つチャンバ1の第1チャネル11内に突き出されている他の側を有する。高温側熱交換エレメント32は、チャンバ1内に配置されており、熱電エレメント2の高温側22に接続される一の側、および、第2チャネル12に沿って第1排気口102に流れる空気流に直接接触するために第1排気口102に隣接し、且つチャンバ1の第2チャネル12内に突き出されている他の側を有する。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態において、冷温側熱交換エレメント31は、基板311および、冷温側熱交換エレメント31が直接空気に接触する熱吸収領域を増やすための、基板311の表面から突き出された突出部312を備えていてもよい。高温側熱交換エレメント32は、基板321および、高温側熱交換エレメント32が直接空気に接触する熱放散領域を増やすための、基板321から突き出された突出部322を備えていてもよい。突出部312および322はそれぞれ、フィン、指状突出物(finger-like protrusions)、または高程度の表面積を有する多孔質ブロック(porous blocks)によって形成され得る。本実施形態では、冷温側熱交換エレメント31の基板311および高温側熱交換エレメント32の基板321はそれぞれ、熱電エレメント2の2つの向かい合っている側面上(すなわち、冷温側21および高温側22)に配置される。冷温側熱交換エレメント31の突出部312は、基板311に垂直な法線方向Kに沿って第1チャネル11内に突き出されている。高温側熱交換エレメント32の突出部322は、基板321に垂直な法線方向Kに沿って第2チャネル12内に突き出される。法線方向Kは、第1方向Dに直交する。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態において、冷温側熱交換エレメント31の基板311の底の部分は、冷温側21との接続のための第1底面積(first base area)を有し、高温側熱交換エレメント32の基板321の底の部分は、高温側22との接続のための第2底面積(second base area)を有し、第1底面積は、第2底面積と同等であってもよく、または非同等であってもよい。本実施形態では、冷温側21と接続するための基板311の底部の第1底面積は、高温側22と接続するための基板321の底部の第2底面積と同等である。エネルギー保存の法則に基づいて、高温側22での熱放散能力は、熱電エレメント2の入力パワーと冷温側21での冷却能力との合計と同等であることが、
図2A〜
図2Bに示される以下の実施形態から理解され得る。言い換えれば、高温側22での熱放散能力は、冷温側21での冷却能力よりも大きい。従って、空気流量が同じであって、同じタイプの熱交換エレメントが採用されると仮定すれば、高温側22と接続するための、高温側熱交換エレメント32の基板321の底部の第2底面積は、冷温側21と接続するための、冷温側熱交換エレメント31の基板311の底部の第1底面積よりも大きい。
【0018】
ファン4は、U字状チャネル内において、冷温側熱交換エレメント31と高温側熱交換エレメント32との間に配置される。本実施形態において、ファン4は、第2チャネル12と接続チャネル13との間の接合部に配置される。すなわち、高温側熱交換エレメント32は、第1排気口102とファン4との間に配置される。冷温側熱交換エレメント31から見ると、ファン4は、空気を吸い出して負圧を生じさせ、水分を含む外気をチャンバ1の第1チャネル11内に吸引し、それによって、空気は、層流のような形態で冷温側熱交換エレメント31を通過する。温度が下げられた冷温側熱交換エレメント31の表面を空気が通過した後に、空気に含まれた水分は凝縮し始める。凝縮した水分がある大きさまで溜まると、凝縮した水分は、水滴41を形成し、水滴41は重力の作用により第1チャネル11の下部に落下する。高温側熱交換エレメント32から見ると、ファン4は、空気が乱流の形態で高温側熱交換エレメント32を通過し、第1排気口102へ流れるように空気を吸入する。
【0019】
しかしながら、熱電除湿器100のファン4の配置は上記の例示に限定されない。
図1Bを参照すると、本発明の他の実施形態による熱電除湿器100’の構造の断面図が示されている。熱電除湿器100’の構造は、熱電除湿器100’のファン4’が高温側熱交換エレメント32と第1排気口102との間に配置されることを除いて、
図1Aの熱電除湿器100の構造と同じである。
【0020】
冷温側熱交換エレメント31および高温側熱交換エレメント32から見ると、ファン4または4’双方は、空気を吸い出して負圧を生じさせ、水分を含む外気をチャンバ1の第1チャネル11内に吸引し、それによって、空気は、層流のような形態で冷温側熱交換エレメント31を通過する。空気が冷温側熱交換エレメント31を通過後、空気は、層流のような形態で高温側熱交換エレメント32を通過し続け、第1排気口102へ流れる。
【0021】
同じ条件下で、上記の実施形態で開示された2つの熱電除湿器100および100’および市販の熱電除湿器(比較例)について、除湿試験が行なわれ、その結果が下記の表1に記載される。
【0023】
上記試験結果は、外部に空気を放散するための、チャンバ1内に配置されたファン4または4’と組み合わされた、冷温側熱交換エレメント31および高温側熱交換エレメント32を備える、上記の実施形態で開示された2つの熱電除湿器100および100’の装置が、高温側22での温度を著しく低減させることができ、従って、除湿効率が高められ得ることを示している。本発明の一実施形態において、高温側22に隣接して配置されるファン4または4’を採用することが、高温側22での温度を略1℃下げることができ、冷温側での温度を略2℃〜3℃下げることができ、1日毎の湿度除去を約8%増やすことができる。
【0024】
いくつかの他の実施形態において、熱電除湿器200は、フローガイドエレメント(flow guide element)111および112および水受け皿(water tray)5を備えていてもよい。
図2Aおよび
図2Bを参照。
図2Aは、本発明の別の実施形態による熱電除湿器200の構造の断面図である。
図2Bは、
図2Aの熱電除湿器200の構造の透視図である。熱電除湿器200の構造は、熱電除湿器200が、さらに、フローガイドエレメント111および112、ならびに水受け皿5を備え、第1方向Dが重力の方向と平行であるように調整されていることを除いて、
図1Aの熱電除湿器100と同様の構造である。すなわち、熱電除湿器200の第1給気口101および第1排気口102の開口が上側に向くように変更されている。
【0025】
本実施形態において、フローガイドエレメント111は、第1給気口101の外側に配置され、第1方向Dに対して角度θ
1を形成する複数の回転可能な羽根(blades)を備え、フローガイドエレメント112は、第1排気口102の外側に配置され、第1方向Dに対して角度θ
2を形成する複数の回転可能な羽根(blades)を備える。フローガイドエレメント111および112は、第1排気口102から放散される乾燥した高温の空気が再度第1給気口101内に吸引されて熱電除湿器200の除湿効率に影響を及ぼすことを避けるために、空気が第1給気口101内に入る方向および空気が第1排気口102から出ていく方向をガイドする。
【0026】
熱電除湿器200の水受け皿5は、接続チャネル13の底部に配置され、第1チャネル11の第1方向Dおよび冷温側熱交換エレメント31と向い合う開口を有する。温度が下げられた冷温側熱交換エレメント31の表面を空気が通過した後に、空気に含まれた水分は凝縮し始める。凝縮した水分がある大きさまで溜まると、凝縮した水分は、水滴を形成し、水滴は、下に配置された水受け皿5に重力作用によって落下する。
【0027】
いくつかの他の実施形態において、熱電除湿器300は、複数の給気口を備えていてもよい。
図3A〜
図3Cを参照。
図3Aは、本発明の一実施形態による熱電除湿器300の構造の断面図である。
図3Bおよび
図3Cは、
図3Aの熱電除湿器300の異なる吸気態様を示す断面図である。熱電除湿器300の構造は、熱電除湿器300が、さらに、第2給気口103および水受け皿5を備え、第1方向Dが重力の方向に平行であるように調整されていることを除いて、
図1Aの熱電除湿器100と同様の構造である。すなわち、熱電除湿器300の第1給気口101および第1排気口102の開口が上側に向くように変更されている。
【0028】
本実施形態において、熱電除湿器300は、上を向く開口を有する第1給気口101および、第1チャネル11の側壁に配置され、第1給気口101に対して直交する第2給気口103を備えていてもよい。外気は、第1給気口101および第2給気口103を経由してチャンバ1内に吸引され得る(
図3A)。外気が第2給気口103を経由してのみチャンバ1内に吸引され得るように、カバー301が第1給気口101をシールし得る(
図3C)。または、外気が第1給気口101を経由してのみチャンバ1内に吸引され得るように、カバー302が第2給気口103をシールし得る(
図3B)。
【0029】
熱電除湿器300の吸気態様は、熱電除湿器300の除湿効率に影響を及ぼす。同じ条件下で、上記の実施形態(
図3A〜
図3C)において開示されたような異なる吸気態様を有する熱電除湿器300について、除湿試験が行なわれ、その結果が下記の表2に記載される。
【0031】
空気が上から下へと第1給気口101に吸入される吸気態様は(
図3Aおよび
図3B)、吸気の流れの方向が水滴41の落下方向と同じであるので優れた除湿効果を生じさせ、一方、空気が側面から第2給気口103に吸入される吸気態様は(
図3C)、吸気の流れの方向が水滴41の落下方向と垂直であるため、より低い効果を生じさせることを、上記試験結果は示している。
【0032】
いくつかの実施形態において、熱電除湿器400は、複数の給気口および複数の排気口を備えてもよい。
図4を参照すると、本発明の一実施形態による熱電除湿器400の構造の断面図である。熱電除湿器400の構造は、熱電除湿器400がさらに第2給気口403および第2排気口404を備えることを除いて、
図2Aの熱電除湿器200の構造と同じである。
【0033】
本実施形態において、第2給気口403は、第1チャネル11の側壁に第1給気口101と垂直に配置される。第2排気口404は、第2チャネル12の側壁に第1排気口102と垂直に配置される。熱電除湿器400の給気口および排気口の数量および吸気/排気の態様を変更することによって、冷温側熱交換エレメント31および高温側熱交換エレメント32を通過する空気の流量および接触時間が調整され得ると共に、熱電除湿器400の除湿効率が高められ得る。
【0034】
いくつかの実施形態において、熱電除湿器500は予冷部(pre-cooling component)50をさらに備えてもよい。
図5を参照すると、本発明の一実施形態による熱電除湿器500の構造の断面図が示される。熱電除湿器500の構造は、熱電除湿器500が、さらに予冷部50を備えることを除いて、
図2Aの熱電除湿器200の構造と同じである。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態において、予冷部50は、前部熱交換エレメント(front heat exchange element)51、後部熱交換エレメント(rear heat exchange element)52、および熱伝導エレメント(thermal conduction element)53を備える。前部熱交換エレメント51は、冷温側熱交換エレメント31の前に、且つ、第1給気口101と冷温側熱交換エレメント31との間に配置される。後部熱交換エレメント52は、冷温側熱交換エレメント31の後ろに、且つ、冷温側熱交換エレメント31と高温側熱交換エレメント32との間に配置される。熱伝導エレメント53は前部熱交換エレメント51と後部熱交換エレメント52とを接続する。
【0036】
本実施形態において、前部熱交換エレメント51は、第1チャネル11内に、且つ、第1給気口101と冷温側熱交換エレメント31との間に配置される二次的冷却フィン(secondary refrigeration fin)の一種により実現され得る。後部熱交換エレメント52も、第2チャネル12内に、且つ、冷温側熱交換エレメント31と高温側熱交換エレメント32との間に配置される二次的冷却フィンの一種により実現され得る。前部熱交換エレメント51は、熱交換エレメント53(ヒートパイプまたは他の高熱伝導性エレメントなど)を介して後部熱交換エレメント52と熱的に接続され、高温側熱交換エレメント32に向かって流れる空気流が予冷され得る。
【0037】
なお、本実施形態において、予冷部50は前部熱交換エレメント51および後部熱交換エレメント52を共に備え、前部熱交換エレメント51および後部熱交換エレメント52は第1チャネル11を第2チャネル12から分離するように構成された側壁仕切り(sidewall partition)上に互いに対してずらせて配列されているが、予冷部50の配置は上記の例示に限定されない。
【0038】
図6を参照すると、本発明の一実施形態による熱電除湿器600の構造の断面図が示されている。熱電除湿器600の構造は、熱電除湿器600の予冷部60の配置を除いて、
図5の熱電除湿器500の構造と同じである。
【0039】
本実施形態において、前部熱交換エレメント61および後部熱交換エレメント62は、第1チャネル11を第2チャネル12から分離するように構成された側壁仕切りの2つの向かい合う側面上の同じ位置に配置され、それぞれの底部(図示されず)を介して熱的に接続されている。冷温側熱交換エレメント31および高温側熱交換エレメント32は、第1チャネル11を第2チャネル12から分離するように構成された側壁仕切り上に互いに対してずらして配列されている。冷温側熱交換エレメント31は、熱電エレメント2の冷温側21に配置される。高温側熱交換エレメント32および熱電エレメント2の高温側22は、熱伝導エレメント63を介して熱的に接続される。
【0040】
上記の実施形態によれば、本発明は、チャンバ、熱電エレメント、冷温側熱交換エレメント、高温側熱交換エレメントおよびファンを備える熱電除湿器を提供する。チャンバはU字状チャネルを有する。熱電エレメント、冷温側熱交換エレメントおよび高温側熱交換エレメントは、チャンバ内に配置される。ファンは、U字状チャネル内に配置される。熱流場の実験および分析により、エレメント(熱電エレメント、冷温側熱交換エレメント、高温側熱交換エレメントおよびファンなど)とU字状チャネル内の空気流れとの間の相関関係が調整され、それによって、熱電エレメントにおける冷温側での湿度除去および高温側での熱低減の機能が高められ、周囲の温度および湿度の影響が低減され、熱電除湿器の除湿効率が高められる。
【0041】
本発明を例示により、また好ましい1以上の実施形態の観点で説明したが、本発明は、それらに限定されるものではない。むしろ、各種の修正および同等の配列および手順を含むことが意図され、従って、添付の請求項の範囲には、かかる全ての修正ならびに同等の配列および手順を含むように最も広い解釈が与えられるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2020年1月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1給気口、第1排気口、および前記第1給気口と前記第1排気口とを接続するU字状チャネルを有するチャンバと、
前記チャンバ内に配置され、冷温側および高温側を有する熱電エレメントと、
前記チャンバ内に配置され、前記冷温側に接続され、且つ、前記第1給気口に隣接する冷温側熱交換エレメントと、
前記チャンバ内に配置され、前記高温側に接続され、且つ、前記第1排気口に隣接する高温側熱交換エレメントと、
前記U字状チャネル内に配置されるファンと、
前部熱交換エレメントおよび後部熱交換エレメントを備える予冷部
とを備え、
前記前部熱交換エレメントは前記第1給気口と前記冷温側熱交換エレメントとの間に配置され、前記後部熱交換エレメントは前記冷温側熱交換エレメントと前記高温側熱交換エレメントとの間に配置される熱電除湿器。
【請求項2】
前記冷温側熱交換エレメントに隣接する第2給気口をさらに備える請求項1記載の熱電除湿器。
【請求項3】
前記第2給気口と前記第1給気口とが非平行である請求項2記載の熱電除湿器。
【請求項4】
前記U字状チャネルが、第1チャネル、第2チャネルおよび接続チャネルを有し、前記第1チャネルは第1方向に沿って伸びており、前記冷温側熱交換エレメントは前記第1チャネル内に配置され、前記高温側熱交換エレメントは前記第2チャネル内に配置され、前記接続チャネルは前記第1チャネルと前記第2チャネルとを接続している請求項1記載の熱電除湿器。
【請求項5】
前記冷温側熱交換エレメントの法線方向が、前記第1チャネルの前記第1方向に直交する請求項4記載の熱電除湿器。
【請求項6】
前記第1給気口の外側に配置され、前記第1方向と角度を形成するフローガイドエレメントをさらに備える請求項4記載の熱電除湿器。
【請求項7】
前記U字状チャネルの前記接続チャネルに配置される水受け皿をさらに備え、前記水受け皿の開口が、前記第1チャネルの前記第1方向と向い合っている請求項4記載の熱電除湿器。
【請求項8】
前記ファンが、前記冷温側熱交換エレメントと前記第1排気口との間に配置される請求項1記載の熱電除湿器。
【請求項9】
前記ファンが、前記冷温側熱交換エレメントと前記高温側熱交換エレメントとの間に配置される請求項1記載の熱電除湿器。
【請求項10】
前記冷温側熱交換エレメントは、前記冷温側に接続される第1底面積を有し、前記高温側熱交換エレメントは、前記高温側に接続される第2底面積を有し、前記第1底面積は前記第2底面積と非同等である請求項1記載の熱電除湿器。
【請求項11】
前記予冷部が、前記前部熱交換エレメントと前記後部熱交換エレメントとを接続する熱伝導エレメントをさらに備える請求項1記載の熱電除湿器。
【請求項12】
前記高温側熱交換エレメントと前記熱電エレメントの前記高温側とを接続する熱伝導エレメントをさらに備える請求項1記載の熱電除湿器。
【請求項13】
前記熱伝導エレメントがヒートパイプである請求項11または12記載の熱電除湿器。
【外国語明細書】