特開2020-62898(P2020-62898A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-62898(P2020-62898A)
(43)【公開日】2020年4月23日
(54)【発明の名称】車両用ルーフキャリア
(51)【国際特許分類】
   B60R 9/042 20060101AFI20200331BHJP
【FI】
   B60R9/042
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-193959(P2018-193959)
(22)【出願日】2018年10月15日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1.平成30年4月12日,車両に装着 2.平成30年7月16日,車両に装着
(71)【出願人】
【識別番号】518364698
【氏名又は名称】株式会社イーグル・ジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100106611
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 幸史
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】窪田 正二
【テーマコード(参考)】
3D020
【Fターム(参考)】
3D020AA01
3D020AB01
3D020AB03
3D020AC05
3D020AD03
3D020AD13
3D020AD23
(57)【要約】
【課題】可動レール部材が固定レール部材の長手方向のどの位置にあっても、固定レール部材の長手方向に対する角度を変位させることができ、耐久性にも優れ、可動レール部材を車両の側方に引き下げることができる車両用ルーフキャリアを提供すること。
【解決手段】本発明の車両用ルーフキャリアは、車両1のルーフ2に固定される固定レール部材10と、固定レール部材10に対して変位する可動レール部材20とを有し、固定レール部材10の一端に、固定レール部材10に対して所定角度回動可能にホルダー30を固定し、ホルダー30の上面に摺動部材40を設け、可動レール部材20は、摺動部材40の摺動面に沿って摺動することで固定レール部材10の長手方向Xに変位するとともに、ホルダー30が回動することで固定レール部材10の長手方向Xに対する角度Yが変位することを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルーフに固定される固定レール部材と、前記固定レール部材に対して変位する可動レール部材とを有し、前記可動レール部材を前記車両の側方に引き下げることができる車両用ルーフキャリアであって、
前記固定レール部材の一端に、前記固定レール部材に対して所定角度回動可能にホルダーを固定し、
前記ホルダーの上面に摺動部材を設け、
前記可動レール部材は、
前記摺動部材の摺動面に沿って摺動することで前記固定レール部材の長手方向に変位するとともに、
前記ホルダーが回動することで前記固定レール部材の前記長手方向に対する角度が変位する
ことを特徴とする車両用ルーフキャリア。
【請求項2】
前記固定レール部材の固定レール部材上面、及び前記可動レール部材の可動レール部材上面を閉塞面とする
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用ルーフキャリア。
【請求項3】
前記固定レール部材を、固定レール部材下面、及び一対の固定レール部材側面を閉塞面とするコラム又は角型鋼管とした
ことを特徴とする請求項2に記載の車両用ルーフキャリア。
【請求項4】
前記可動レール部材を、可動レール部材下面が開放されて、前記可動レール部材上面と一対の可動レール部材側面とで断面コの字状に形成し、
前記ホルダーを、前記可動レール部材上面と一対の前記可動レール部材側面とで囲まれた空間に配置する
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の車両用ルーフキャリア。
【請求項5】
一対の前記可動レール部材側面にはスリットを形成し、
前記ホルダーに設けたホルダー規制部材を前記スリットに配置する
ことを特徴とする請求項4に記載の車両用ルーフキャリア。
【請求項6】
前記固定レール部材の他端側には、前記可動レール部材の移動を規制する可動レール規制部材を設け、
前記可動レール部材の一端には、前記ホルダーと係合する係合部材を着脱可能に設け、
前記可動レール部材の他端には、前記固定レール部材に当接して回転するローラ部材を設け、
前記係合部材によって前記可動レール部材を前記ホルダーに係合させることで、前記ローラ部材が前記可動レール規制部材を押圧し、前記可動レール部材を前記固定レール部材に固定する
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車両用ルーフキャリア。
【請求項7】
前記ローラ部材を弾性材とした
ことを特徴とする請求項6に記載の車両用ルーフキャリア。
【請求項8】
前記係合部材を、ナット部又はネジ部によるネジ機構によって形成し、
前記ネジ機構のネジ軸を、前記可動レール部材の前記摺動部材に対する摺動方向とした
ことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の車両用ルーフキャリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のルーフに固定される固定レール部材と、固定レール部材に対して変位する可動レール部材とを有し、可動レール部材を車両の側方に引き下げることができる車両用ルーフキャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
レール部材を車両の側方に引き下げることができる車両用ルーフキャリアは従来から提案されている。
例えば、特許文献1では、車両のルーフに固定される固定レール部材と、固定レール部材に対して変位する可動レール部材とを有し、固定レール部材の端部にローラを設けることで、可動レール部材を車両の側方に引き下げることができる車両用ルーフキャリアを提案している。
特許文献1の車両用ルーフキャリアによれば、可動レール部材が固定レール部材の長手方向のどの位置にあっても、固定レール部材の長手方向に対する角度を変位させることができるため、操作性に優れている。
特許文献2では、車両のルーフに固定される固定レール部材と、固定レール部材に対して変位する可動レール部材とを有し、固定レール部材に複数のローラを設けることで、可動レール部材を車両の側方に引き下げることができる車両用ルーフキャリアを提案している。
特許文献2の車両用ルーフキャリアによれば、可動レール部材を固定レール部材の長手方向に移動させる場合には、複数のローラによって可動レール部材を受けるため、可動レール部材の長手方向への移動時には、複数のローラによる荷重の分散とスムーズな動きを実現できる。
特許文献3では、車両のルーフに固定される固定レール部材と、固定レール部材に対して変位する可動レール部材とを有し、可動レール部材の端部にホルダーを設け、このホルダーによって可動レール部材は固定レール部材に対して摺動するとともにこのホルダーが固定レール部材の端部に位置すると可動レール部材を車両の側方に引き下げることができる車両用ルーフキャリアを提案している。
特許文献4では、車両のルーフに固定される固定レール部材と、固定レール部材に対して変位する可動レール部材とを有し、常に2つのローラによって可動レール部材を固定レール部材に支持した状態で、可動レール部材を固定レール部材の長手方向に引き出すとともに、固定レール部材の長手方向に対して可動レール部材の角度を変位させる動作が行える車両用ルーフキャリアを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−30846号公報
【特許文献2】特開2002−362240号公報
【特許文献3】特開2008−44581号公報
【特許文献4】実用新案登録第2599179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、ローラだけで可動レール部材を受けているため、ローラに対する負担が大きく、耐久性に問題がある。
特許文献2では、固定レール部材の長手方向に対して可動レール部材の角度を変位させる動作では、特許文献1と同様に一つのローラだけで可動レール部材を受けているため、ローラに対する負担が大きく、耐久性に問題がある。
また、特許文献2では、可動レール部材を固定レール部材の長手方向に引き出した後で無ければ固定レール部材の長手方向に対して可動レール部材の角度を変位させる動作を行うことができない。すなわち、可動レール部材を固定レール部材に戻す場合にも、固定レール部材の長手方向に対して可動レール部材の角度を変位させる動作を行った後でなければ、可動レール部材を固定レール部材の長手方向に移動させることができないため、操作性は特許文献1よりも劣る。
特許文献3及び特許文献4についても、特許文献2と同様に、可動レール部材を固定レール部材の長手方向に引き出した後で無ければ固定レール部材の長手方向に対して可動レール部材の角度を変位させる動作を行うことができない。すなわち、可動レール部材を固定レール部材に戻す場合にも、固定レール部材の長手方向に対して可動レール部材の角度を変位させる動作を行った後でなければ、可動レール部材を固定レール部材の長手方向に移動させることができないため、操作性は特許文献1よりも劣る。
また、特許文献3の構造によれば、固定レール部材の上面が開放されるため、雨水が溜まりやすく、耐久性に問題がある。
また、特許文献2から特許文献4のように、固定レール部材と可動レール部材との摺動規制箇所が多くなると、使用状態によって部材の一部に歪みを生じてしまうと動作しなくなってしまうという問題がある。
【0005】
そこで本発明は、可動レール部材が固定レール部材の長手方向のどの位置にあっても、固定レール部材の長手方向に対する角度を変位させることができ、耐久性にも優れた車両用ルーフキャリアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明の車両用ルーフキャリアは、車両1のルーフ2に固定される固定レール部材10と、前記固定レール部材10に対して変位する可動レール部材20とを有し、前記可動レール部材20を前記車両1の側方に引き下げることができる車両用ルーフキャリアであって、前記固定レール部材10の一端に、前記固定レール部材10に対して所定角度回動可能にホルダー30を固定し、前記ホルダー30の上面に摺動部材40を設け、前記可動レール部材20は、前記摺動部材40の摺動面に沿って摺動することで前記固定レール部材10の長手方向Xに変位するとともに、前記ホルダー30が回動することで前記固定レール部材10の前記長手方向Xに対する角度Yが変位することを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の車両用ルーフキャリアにおいて、前記固定レール部材10の固定レール部材上面10U、及び前記可動レール部材20の可動レール部材上面20Uを閉塞面とすることを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項2に記載の車両用ルーフキャリアにおいて、前記固定レール部材10を、固定レール部材下面10D、及び一対の固定レール部材側面10Sを閉塞面とするコラム又は角型鋼管としたことを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項2又は請求項3に記載の車両用ルーフキャリアにおいて、前記可動レール部材20を、可動レール部材下面20Dが開放されて、前記可動レール部材上面20Uと一対の可動レール部材側面20Sとで断面コの字状に形成し、前記ホルダー30を、前記可動レール部材上面20Uと一対の前記可動レール部材側面20Sとで囲まれた空間に配置することを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項4に記載の車両用ルーフキャリアにおいて、一対の前記可動レール部材側面20Sにはスリット26を形成し、前記ホルダー30に設けたホルダー規制部材32を前記スリット26に配置することを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車両用ルーフキャリアにおいて、前記固定レール部材10の他端側には、前記可動レール部材20の移動を規制する可動レール規制部材11を設け、前記可動レール部材20の一端には、前記ホルダー30と係合する係合部材50を着脱可能に設け、前記可動レール部材20の他端には、前記固定レール部材10に当接して回転するローラ部材22を設け、前記係合部材50によって前記可動レール部材20を前記ホルダー30に係合させることで、前記ローラ部材22が前記可動レール規制部材11を押圧し、前記可動レール部材20を前記固定レール部材10に固定することを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項6に記載の車両用ルーフキャリアにおいて、前記ローラ部材22を弾性材としたことを特徴とする。
請求項8記載の本発明は、請求項6又は請求項7に記載の車両用ルーフキャリアにおいて、前記係合部材50を、ナット部又はネジ部51によるネジ機構によって形成し、前記ネジ機構のネジ軸を、前記可動レール部材20の前記摺動部材40に対する摺動方向としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の車両用ルーフキャリアによれば、可動レール部材が固定レール部材の長手方向のどの位置にあっても、固定レール部材の長手方向に対する角度を変位させることができるため操作性に優れている。また、可動レール部材に加わる荷重はホルダーによって受け、可動レール部材の摺動動作はホルダー上面に設けた摺動部材に沿って行われ、固定レール部材の長手方向に対する角度の変位をホルダーの回動によって行うために、荷重に対する耐久性に優れるとともに、使用状態によって可動レール部材又は固定レール部材の一部に歪みを生じても動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施例による車両用ルーフキャリアを示す写真
図2】同実施例による車両用ルーフキャリアの可動レール部材を示す写真
図3】同実施例による車両用ルーフキャリアの動作を示す写真
図4】同実施例による車両用ルーフキャリアの使用状態を示す写真
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態による車両用ルーフキャリアは、固定レール部材の一端に、固定レール部材に対して所定角度回動可能にホルダーを固定し、ホルダーの上面に摺動部材を設け、可動レール部材は、摺動部材の摺動面に沿って摺動することで固定レール部材の長手方向に変位するとともに、ホルダーが回動することで固定レール部材の長手方向に対する角度が変位するものである。
本実施の形態によれば、可動レール部材が固定レール部材の長手方向のどの位置にあっても、固定レール部材の長手方向に対する角度を変位させることができるため操作性に優れている。また本実施の形態によれば、可動レール部材に加わる荷重はホルダーによって受け、可動レール部材の摺動動作はホルダー上面に設けた摺動部材に沿って行われ、固定レール部材の長手方向に対する角度の変位をホルダーの回動によって行うために、荷重に対する耐久性に優れるとともに、使用状態によって可動レール部材又は固定レール部材の一部に歪みを生じても動作させることができる。
【0010】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による車両用ルーフキャリアにおいて、固定レール部材の固定レール部材上面、及び可動レール部材の可動レール部材上面を閉塞面とするものである。
本実施の形態によれば、固定レール部材及び可動レール部材に雨水が溜まることがなく耐久性に優れている。
【0011】
本発明の第3の実施の形態は、第2の実施の形態による車両用ルーフキャリアにおいて、固定レール部材を、固定レール部材下面、及び一対の固定レール部材側面を閉塞面とするコラム又は角型鋼管としたものである。
本実施の形態によれば、固定レール部材の強度を高めるとともに雨水の浸入が少なく耐久性に優れている。
【0012】
本発明の第4の実施の形態は、第2又は第3の実施の形態による車両用ルーフキャリアにおいて、可動レール部材を、可動レール部材下面が開放されて、可動レール部材上面と一対の可動レール部材側面とで断面コの字状に形成し、ホルダーを、可動レール部材上面と一対の可動レール部材側面とで囲まれた空間に配置するものである。
本実施の形態によれば、ホルダーに対する可動レール部材の動作を安定させることができる。
【0013】
本発明の第5の実施の形態は、第4の実施の形態による車両用ルーフキャリアにおいて、一対の可動レール部材側面にはスリットを形成し、ホルダーに設けたホルダー規制部材をスリットに配置するものである。
本実施の形態によれば、ホルダーに対する可動レール部材の離脱を防止できる。
【0014】
本発明の第6の実施の形態は、第1から第5のいずれかの実施の形態による車両用ルーフキャリアにおいて、固定レール部材の他端側には、可動レール部材の移動を規制する可動レール規制部材を設け、可動レール部材の一端には、ホルダーと係合する係合部材を着脱可能に設け、可動レール部材の他端には、固定レール部材に当接して回転するローラ部材を設け、係合部材によって可動レール部材をホルダーに係合させることで、ローラ部材が可動レール規制部材を押圧し、可動レール部材を固定レール部材に固定するものである。
本実施の形態によれば、可動レール部材の固定レール部材への固定を確実に行え、振動による緩みを防止できる。
【0015】
本発明の第7の実施の形態は、第6の実施の形態による車両用ルーフキャリアにおいて、ローラ部材を弾性材としたものである。
本実施の形態によれば、弾性材によることで、振動に対する緩みを更に防止できる。
【0016】
本発明の第8の実施の形態は、第6又は第7の実施の形態による車両用ルーフキャリアにおいて、係合部材を、ナット部又はネジ部によるネジ機構によって形成し、ネジ機構のネジ軸を、可動レール部材の摺動部材に対する摺動方向としたものである。
本実施の形態によれば、可動レール部材の固定レール部材への固定を確実に行え、振動による緩みを防止できる。
【実施例】
【0017】
以下本発明の一実施例による車両用ルーフキャリアについて説明する。
図1は本実施例による車両用ルーフキャリアを示す写真であり、図1(a)は可動レール部材を固定レール部材に固定した状態を示す写真、図1(b)は可動レール部材を取り外した状態を示す写真、図1(c)は図1(b)においてホルダーを所定角度回動させた状態を示す写真である。
【0018】
本実施例による車両用ルーフキャリアは、車両1のルーフ2に固定される固定レール部材10と、固定レール部材10に対して変位する可動レール部材20とを有し、可動レール部材20を車両1の側方に引き下げることができる。
固定レール部材10は、一対の取り付け脚3によって車両1のルーフ2に固定される。
固定レール部材10の一端には、固定レール部材10に対して所定角度回動可能にホルダー30を固定している。
固定レール部材10の他端側には、可動レール部材20の移動を規制する可動レール規制部材11を設けている。
固定レール部材10は、固定レール部材上面10U、固定レール部材下面10D、及び一対の固定レール部材側面10Sを閉塞面とするコラム又は角型鋼管で形成している。固定レール部材上面10Uを閉塞面とすることで固定レール部材10に雨水が溜まることがなく耐久性に優れるが、更に固定レール部材10をコラム又は角型鋼管で形成することで、固定レール部材10の強度を高めるとともに雨水の浸入が少なく耐久性に優れている。
【0019】
ホルダー30は、一端に回動軸31を有し、回動軸31を中心として回動することで他端が固定レール部材10に対して近接離間する。
ホルダー30の上面には摺動部材40を設け、ホルダー30の両側面にはホルダー規制部材32を設けている。
可動レール部材20の一端には、ホルダー30と係合する係合部材50を着脱可能に設けている。
係合部材50は、ナット部によるネジ機構によって形成し、ホルダー30には係合部材50のナット部に対応するネジ部51を設けている。なお、係合部材50をネジ部51によるネジ機構とし、ホルダー30には係合部材50のネジ部51に対応するナット部を設けてもよい。
【0020】
ネジ機構を形成するネジ部51のネジ軸は、可動レール部材20の摺動部材40に対する摺動方向としている。
係合部材50を、ナット部又はネジ部51によるネジ機構によって形成し、ネジ機構のネジ軸を、可動レール部材20の摺動部材40に対する摺動方向とすることで、可動レール部材20の固定レール部材10への固定を確実に行え、振動による緩みを防止できる。
【0021】
図2は本実施例による車両用ルーフキャリアの可動レール部材を示す写真であり、図2(a)は可動レール部材の全体を示す写真、図2(b)は可動レール部材の一端側を示す写真、図2(c)は可動レール部材の他端側を示す写真である。
【0022】
可動レール部材20の一端には操作部材21を設け、可動レール部材20の他端には固定レール部材10の固定レール部材上面10Uに当接して回転するローラ部材22を設けている。
可動レール部材20の他端には、一対の位置決め部材23を設けている。一対の位置決め部材23の間隔は、固定レール部材10の幅よりも広くしており、一対の位置決め部材23によって、ローラ部材22を固定レール部材上面10Uに位置させ、ローラ部材22が固定レール部材上面10Uから外れることを防止している。
可動レール部材20は、可動レール部材上面20Uを閉塞面とし、可動レール部材下面20Dを開放し、可動レール部材上面20Uと一対の可動レール部材側面20Sとで断面コの字状に形成している。可動レール部材上面20Uを閉塞面とすることで可動レール部材20に雨水が溜まることがなく耐久性に優れる。
【0023】
ホルダー30は、可動レール部材上面20Uと一対の可動レール部材側面20Sとで囲まれた空間に配置する。ホルダー30を可動レール部材上面20Uと一対の可動レール部材側面20Sとで囲まれた空間に配置することで、ホルダー30に対する可動レール部材20の動作を安定させることができる。
【0024】
ローラ部材22は弾性材とすることが好ましい。
係合部材50によって、図1(a)に示すように可動レール部材20をホルダー30に係合させることで、ローラ部材22が可動レール規制部材11(図1(b)参照)を押圧し、可動レール部材20を固定レール部材10に固定する。従って、可動レール部材20の固定レール部材10への固定を確実に行え、振動による緩みを防止できる。
【0025】
一対の位置決め部材23は一対の可動レール部材側面20Sから下方に延出させて設けている。
可動レール部材上面20Uには、一端に載置物取り付け部材24a、24bを、他端に載置物取り付け部材24cを設けている。両端部に設けた載置物取り付け部材24a、24cは、主にロープ固定用として用いることができ、載置物取り付け部材24aより中央部側に設けた載置物取り付け部材24bは、載置物留置用として用いることができる。なお、可動レール部材上面20Uには、載置物取り付け部材24bと載置物取り付け部材24cとの間、特に可動レール部材上面20Uの中央に、更に載置物取り付け部材(図示省略)を設けることが好ましい。可動レール部材上面20Uの中央に更に載置物取り付け部材を設けてロープ固定用として用いることで、特に車両1の進行方向に対する載置物の落下防止機能を高めることができる。
可動レール部材上面20Uにおける載置物取り付け部材24bと載置物取り付け部材24cとの間には、緩衝材25を貼り付けている。緩衝材25は滑り止めとしての機能も有する。
一対の可動レール部材側面20Sにはスリット26を形成している。スリット26には、ホルダー30に設けたホルダー規制部材32を配置する(図1(a)参照)。スリット26にホルダー規制部材32を配置することで、ホルダー30に対する可動レール部材20の離脱を防止できる。
【0026】
図3は本実施例による車両用ルーフキャリアの動作を示す写真であり、図3(a)は可動レール部材を固定レール部材の長手方向に変位させた状態を示す写真、図3(b)は可動レール部材を固定レール部材の長手方向及び固定レール部材の長手方向に対する角度を変位させた状態を示す写真、図3(c)は図3(b)の状態から更に可動レール部材を固定レール部材に対して変位させた状態を示す写真である。
【0027】
図3に示すように、可動レール部材20は、ホルダー30の上面に設けた摺動部材40(図1(b)(c)参照)の摺動面に沿って摺動することで固定レール部材10の長手方向Xに変位するとともに、ホルダー30が回動することで固定レール部材10の長手方向Xに対する角度Yが変位する。
可動レール部材20は、固定レール部材10の長手方向Xのどの位置にあっても、固定レール部材10の長手方向Xに対する角度Yを変位させることができるため操作性に優れている。
【0028】
本実施例によれば、可動レール部材20に加わる荷重は、ホルダー30によって受け、可動レール部材20の摺動動作はホルダー30上面に設けた摺動部材40に沿って行われ、固定レール部材10の長手方向Xに対する角度Yの変位をホルダー30の回動によって行うために、荷重に対する耐久性に優れるとともに、使用状態によって可動レール部材20又は固定レール部材10の一部に歪みを生じても動作させることができる。
【0029】
図4は本実施例による車両用ルーフキャリアの使用状態を示す写真であり、図4(a)は可動レール部材を車両の側方に引き下げた状態を示す写真、図4(b)は可動レール部材に長尺載置物を留置させた状態を示す写真、図4(c)は長尺載置物を固定バンドで可動レール部材に取り付けた状態を示す写真、図4(d)は車両のルーフに持ち上げている状態を示す写真、図4(e)は可動レール部材を固定レール部材に固定した状態を示す写真である。
【0030】
図4では、車両1の前方と後方にそれぞれ本実施例による車両用ルーフキャリアを配置し、長尺載置物5である脚立をルーフ2上に載置する場合を示している。
図4(a)に示すように、一対の可動レール部材20A、20Bを車両1の側方にそれぞれ引き下げる。一対の可動レール部材20A、20Bは連結しておらず、独立させているため、それぞれの可動レール部材20A、20Bを個別に操作できる。
一対の可動レール部材20A、20Bを車両1の側方にそれぞれ引き下げた後に、図4(b)に示すように可動レール部材20A、20Bに長尺載置物5を留置させる。長尺載置物5の留置には、載置物取り付け部材24b(図2(a)(b)参照)を用いることができる。
長尺載置物5を可動レール部材20A、20Bに留置させた後に、図4(c)に示すように長尺載置物5を固定バンド4で可動レール部材20A、20Bに取り付ける。
固定バンド4は、載置物取り付け部材24a、24cを用いて取り付けることができる。
固定バンド4で長尺載置物5を可動レール部材20A、20Bに固定した後に、図4(d)に示すように、可動レール部材20A、20Bを車両1のルーフ2に持ち上げ、図4(e)に示すように、可動レール部材20を固定レール部材10に固定する。
このように、長尺載置物5を可動レール部材20A、20Bに固定することで、一対の可動レール部材20A、20Bは長尺載置物5によって連結され、一体として動作させることができる。
【0031】
図4に示すように、本実施例による車両用ルーフキャリアは、長尺載置物5をルーフ2上に載置する場合に特に適している。
本実施例では、車両1の側方を車両1の左右面とした状態を示したが、車両1のリア面を側方として引き下げることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、特に長尺載置物を載置する場合に特に適している。
【符号の説明】
【0033】
1 車両
2 ルーフ
3 取り付け脚
4 固定バンド
5 長尺載置物
10 固定レール部材
10D 固定レール部材下面
10S 固定レール部材側面
10U 固定レール部材上面
11 可動レール規制部材
20 可動レール部材
20A、20B 可動レール部材
20D 可動レール部材下面
20S 可動レール部材側面
20U 可動レール部材上面
21 操作部材
22 ローラ部材
23 位置決め部材
24a、24b、24c 載置物取り付け部材
25 緩衝材
26 スリット
30 ホルダー
31 回動軸
32 ホルダー規制部材
40 摺動部材
50 係合部材
51 ネジ部
X 長手方向
Y 角度
図1
図2
図3
図4