【実施例】
【0017】
以下本発明の一実施例による車両用ルーフキャリアについて説明する。
図1は本実施例による車両用ルーフキャリアを示す写真であり、
図1(a)は可動レール部材を固定レール部材に固定した状態を示す写真、
図1(b)は可動レール部材を取り外した状態を示す写真、
図1(c)は
図1(b)においてホルダーを所定角度回動させた状態を示す写真である。
【0018】
本実施例による車両用ルーフキャリアは、車両1のルーフ2に固定される固定レール部材10と、固定レール部材10に対して変位する可動レール部材20とを有し、可動レール部材20を車両1の側方に引き下げることができる。
固定レール部材10は、一対の取り付け脚3によって車両1のルーフ2に固定される。
固定レール部材10の一端には、固定レール部材10に対して所定角度回動可能にホルダー30を固定している。
固定レール部材10の他端側には、可動レール部材20の移動を規制する可動レール規制部材11を設けている。
固定レール部材10は、固定レール部材上面10U、固定レール部材下面10D、及び一対の固定レール部材側面10Sを閉塞面とするコラム又は角型鋼管で形成している。固定レール部材上面10Uを閉塞面とすることで固定レール部材10に雨水が溜まることがなく耐久性に優れるが、更に固定レール部材10をコラム又は角型鋼管で形成することで、固定レール部材10の強度を高めるとともに雨水の浸入が少なく耐久性に優れている。
【0019】
ホルダー30は、一端に回動軸31を有し、回動軸31を中心として回動することで他端が固定レール部材10に対して近接離間する。
ホルダー30の上面には摺動部材40を設け、ホルダー30の両側面にはホルダー規制部材32を設けている。
可動レール部材20の一端には、ホルダー30と係合する係合部材50を着脱可能に設けている。
係合部材50は、ナット部によるネジ機構によって形成し、ホルダー30には係合部材50のナット部に対応するネジ部51を設けている。なお、係合部材50をネジ部51によるネジ機構とし、ホルダー30には係合部材50のネジ部51に対応するナット部を設けてもよい。
【0020】
ネジ機構を形成するネジ部51のネジ軸は、可動レール部材20の摺動部材40に対する摺動方向としている。
係合部材50を、ナット部又はネジ部51によるネジ機構によって形成し、ネジ機構のネジ軸を、可動レール部材20の摺動部材40に対する摺動方向とすることで、可動レール部材20の固定レール部材10への固定を確実に行え、振動による緩みを防止できる。
【0021】
図2は本実施例による車両用ルーフキャリアの可動レール部材を示す写真であり、
図2(a)は可動レール部材の全体を示す写真、
図2(b)は可動レール部材の一端側を示す写真、
図2(c)は可動レール部材の他端側を示す写真である。
【0022】
可動レール部材20の一端には操作部材21を設け、可動レール部材20の他端には固定レール部材10の固定レール部材上面10Uに当接して回転するローラ部材22を設けている。
可動レール部材20の他端には、一対の位置決め部材23を設けている。一対の位置決め部材23の間隔は、固定レール部材10の幅よりも広くしており、一対の位置決め部材23によって、ローラ部材22を固定レール部材上面10Uに位置させ、ローラ部材22が固定レール部材上面10Uから外れることを防止している。
可動レール部材20は、可動レール部材上面20Uを閉塞面とし、可動レール部材下面20Dを開放し、可動レール部材上面20Uと一対の可動レール部材側面20Sとで断面コの字状に形成している。可動レール部材上面20Uを閉塞面とすることで可動レール部材20に雨水が溜まることがなく耐久性に優れる。
【0023】
ホルダー30は、可動レール部材上面20Uと一対の可動レール部材側面20Sとで囲まれた空間に配置する。ホルダー30を可動レール部材上面20Uと一対の可動レール部材側面20Sとで囲まれた空間に配置することで、ホルダー30に対する可動レール部材20の動作を安定させることができる。
【0024】
ローラ部材22は弾性材とすることが好ましい。
係合部材50によって、
図1(a)に示すように可動レール部材20をホルダー30に係合させることで、ローラ部材22が可動レール規制部材11(
図1(b)参照)を押圧し、可動レール部材20を固定レール部材10に固定する。従って、可動レール部材20の固定レール部材10への固定を確実に行え、振動による緩みを防止できる。
【0025】
一対の位置決め部材23は一対の可動レール部材側面20Sから下方に延出させて設けている。
可動レール部材上面20Uには、一端に載置物取り付け部材24a、24bを、他端に載置物取り付け部材24cを設けている。両端部に設けた載置物取り付け部材24a、24cは、主にロープ固定用として用いることができ、載置物取り付け部材24aより中央部側に設けた載置物取り付け部材24bは、載置物留置用として用いることができる。なお、可動レール部材上面20Uには、載置物取り付け部材24bと載置物取り付け部材24cとの間、特に可動レール部材上面20Uの中央に、更に載置物取り付け部材(図示省略)を設けることが好ましい。可動レール部材上面20Uの中央に更に載置物取り付け部材を設けてロープ固定用として用いることで、特に車両1の進行方向に対する載置物の落下防止機能を高めることができる。
可動レール部材上面20Uにおける載置物取り付け部材24bと載置物取り付け部材24cとの間には、緩衝材25を貼り付けている。緩衝材25は滑り止めとしての機能も有する。
一対の可動レール部材側面20Sにはスリット26を形成している。スリット26には、ホルダー30に設けたホルダー規制部材32を配置する(
図1(a)参照)。スリット26にホルダー規制部材32を配置することで、ホルダー30に対する可動レール部材20の離脱を防止できる。
【0026】
図3は本実施例による車両用ルーフキャリアの動作を示す写真であり、
図3(a)は可動レール部材を固定レール部材の長手方向に変位させた状態を示す写真、
図3(b)は可動レール部材を固定レール部材の長手方向及び固定レール部材の長手方向に対する角度を変位させた状態を示す写真、
図3(c)は
図3(b)の状態から更に可動レール部材を固定レール部材に対して変位させた状態を示す写真である。
【0027】
図3に示すように、可動レール部材20は、ホルダー30の上面に設けた摺動部材40(
図1(b)(c)参照)の摺動面に沿って摺動することで固定レール部材10の長手方向Xに変位するとともに、ホルダー30が回動することで固定レール部材10の長手方向Xに対する角度Yが変位する。
可動レール部材20は、固定レール部材10の長手方向Xのどの位置にあっても、固定レール部材10の長手方向Xに対する角度Yを変位させることができるため操作性に優れている。
【0028】
本実施例によれば、可動レール部材20に加わる荷重は、ホルダー30によって受け、可動レール部材20の摺動動作はホルダー30上面に設けた摺動部材40に沿って行われ、固定レール部材10の長手方向Xに対する角度Yの変位をホルダー30の回動によって行うために、荷重に対する耐久性に優れるとともに、使用状態によって可動レール部材20又は固定レール部材10の一部に歪みを生じても動作させることができる。
【0029】
図4は本実施例による車両用ルーフキャリアの使用状態を示す写真であり、
図4(a)は可動レール部材を車両の側方に引き下げた状態を示す写真、
図4(b)は可動レール部材に長尺載置物を留置させた状態を示す写真、
図4(c)は長尺載置物を固定バンドで可動レール部材に取り付けた状態を示す写真、
図4(d)は車両のルーフに持ち上げている状態を示す写真、
図4(e)は可動レール部材を固定レール部材に固定した状態を示す写真である。
【0030】
図4では、車両1の前方と後方にそれぞれ本実施例による車両用ルーフキャリアを配置し、長尺載置物5である脚立をルーフ2上に載置する場合を示している。
図4(a)に示すように、一対の可動レール部材20A、20Bを車両1の側方にそれぞれ引き下げる。一対の可動レール部材20A、20Bは連結しておらず、独立させているため、それぞれの可動レール部材20A、20Bを個別に操作できる。
一対の可動レール部材20A、20Bを車両1の側方にそれぞれ引き下げた後に、
図4(b)に示すように可動レール部材20A、20Bに長尺載置物5を留置させる。長尺載置物5の留置には、載置物取り付け部材24b(
図2(a)(b)参照)を用いることができる。
長尺載置物5を可動レール部材20A、20Bに留置させた後に、
図4(c)に示すように長尺載置物5を固定バンド4で可動レール部材20A、20Bに取り付ける。
固定バンド4は、載置物取り付け部材24a、24cを用いて取り付けることができる。
固定バンド4で長尺載置物5を可動レール部材20A、20Bに固定した後に、
図4(d)に示すように、可動レール部材20A、20Bを車両1のルーフ2に持ち上げ、
図4(e)に示すように、可動レール部材20を固定レール部材10に固定する。
このように、長尺載置物5を可動レール部材20A、20Bに固定することで、一対の可動レール部材20A、20Bは長尺載置物5によって連結され、一体として動作させることができる。
【0031】
図4に示すように、本実施例による車両用ルーフキャリアは、長尺載置物5をルーフ2上に載置する場合に特に適している。
本実施例では、車両1の側方を車両1の左右面とした状態を示したが、車両1のリア面を側方として引き下げることもできる。