【解決手段】本発明は、モータを使用して車輪(1)を駆動する車両の駆動装置(10)であって、車両の後輪(2a)の間に配置され、後輪を駆動する後輪用モータ(20, 21)と、この後輪用モータを駆動するための電気エネルギーを蓄積したバッテリ(18)と、後輪用モータを駆動するための電気エネルギーを蓄積したキャパシタ(22, 23)と、キャパシタからの電力を後輪用モータに供給するワイヤハーネス(22a, 23a)と、を有し、後輪用モータには、直列に接続されたバッテリ及びキャパシタから電力が供給され、キャパシタは、車両の左右の後輪の間に配置されていることを特徴としている。
さらに、上記左右の後輪の間に配置され、上記左右の後輪に動力を伝達するリヤディファレンシャルギヤを有し、上記キャパシタは、上記リヤディファレンシャルギヤと上記後輪との間に配置されている請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両駆動装置。
さらに、上記左右の後輪の間であって、上記リヤディファレンシャルギヤの前側に配置され、入力された駆動力を上記リヤディファレンシャルギヤに伝達するカップリングを有し、上記キャパシタは、上記カップリングと上記後輪との間に配置されている請求項4記載の車両駆動装置。
上記バッテリは、上記車両の前後方向に延びるように、上記車両の下部に設けられたトンネル部の中、又は上記車両の後部に配置されている請求項1乃至5の何れか1項に記載の車両駆動装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
モータによる車両の駆動は、走行中に二酸化炭素を排出しないため、年々強化される排出ガス規制をクリアするためには有利であるが、バッテリに蓄積可能な電気エネルギーに限界があり、十分に長い航続距離を確保することが困難である。このため、車両用の駆動装置として、モータと共に内燃機関を搭載したハイブリッド駆動装置が広く普及している。また、このようなハイブリッド駆動装置においても、走行中の二酸化炭素排出量を低減するためには、主としてモータによる駆動力を利用する必要がある。
【0006】
このように、モータの駆動力を主体とする車両駆動装置では、十分な走行性能を確保するために、モータにより十分な駆動力を得る必要がある。モータにより十分な駆動力を得るためには、高電圧でモータを作動させる必要がある。即ち、低電圧でモータを駆動した場合には駆動に要する電流が過大なものとなり、送電系統のインピーダンスを極めて小さくすることが要求される。しかしながら、モータを高電圧で作動させる場合には、モータに高電圧を供給する電気系統を電気的に十分に絶縁する必要があり、この絶縁材が車両の全体的な重量を増加させ、車両の燃費を悪化させるという問題がある。
【0007】
従って、本発明は、モータを比較的高電圧で駆動しながら、電力供給系統を絶縁する絶縁材による重量の増加を抑制することができる車両駆動装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明は、モータを使用して車輪を駆動する車両の駆動装置であって、車両の後輪の間に配置され、後輪を駆動する後輪用モータと、この後輪用モータを駆動するための電気エネルギーを蓄積したバッテリと、後輪用モータを駆動するための電気エネルギーを蓄積したキャパシタと、キャパシタからの電力を後輪用モータに供給するワイヤハーネスと、を有し、後輪用モータには、直列に接続されたバッテリ及びキャパシタから電力が供給され、キャパシタは、車両の左右の後輪の間に配置されていることを特徴としている。
【0009】
このように構成された本発明においては、車両の後輪の間に配置された後輪用モータが後輪を駆動する。バッテリ及びキャパシタは後輪用モータを駆動するための電気エネルギーを蓄積しており、直列に接続されたバッテリ及びキャパシタから後輪用モータに電力が供給される。キャパシタは車両の左右の後輪の間に配置されており、キャパシタからの電力は、ワイヤハーネスによって後輪用モータに供給される。
【0010】
このように構成された本発明によれば、直列に接続されたバッテリ及びキャパシタから後輪用モータに電力が供給されるので、バッテリ単体で駆動する場合よりも高電圧で後輪用モータを駆動することができ、駆動電流を低く抑えることができる。また、キャパシタからの電力を後輪用モータに供給するワイヤハーネスには比較的高い電圧が印加されるので、絶縁耐圧を高くしておく必要がある。しかしながら、後輪用モータへの電力の供給は、車両の左右の後輪の間に配置されたキャパシタから行われるため、電力を供給するためのワイヤハーネスを短くすることができる。これにより、ワイヤハーネスの絶縁耐圧を高くしたとしても、重量の増分は少なくなり、絶縁材による重量の増加を抑制することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、キャパシタは、車両の側方から見て、少なくとも一部が後輪と重なる位置に配置されている。
このように構成された本発明によれば、キャパシタが、車両の側方から見て、少なくとも一部が後輪と重なる位置に配置されているので、後輪用モータに電力を供給するワイヤハーネスを更に短くすることができ、絶縁材による重量の増加を更に抑制することができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、後輪用モータは、車両の左右の後輪に夫々設けられたインホイールモータである。
このように構成された本発明によれば、後輪用モータがインホイールモータであるので、後輪用モータの駆動力を後輪に伝達する動力伝達機構を必要とせず、後輪が直接駆動されるので、車両を軽量化することができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、さらに、左右の後輪の間に配置され、左右の後輪に動力を伝達するリヤディファレンシャルギヤを有し、キャパシタは、リヤディファレンシャルギヤと後輪との間に配置されている。
【0014】
このように構成された本発明によれば、左右の後輪がリヤディファレンシャルギヤを介して駆動される車両においても、キャパシタを後輪の近傍に配置することができ、後輪用モータに電力を供給するワイヤハーネスを短縮することができる。これにより、ワイヤハーネスの絶縁材による重量の増加を抑制することができる。
【0015】
本発明において、好ましくは、さらに、左右の後輪の間であって、リヤディファレンシャルギヤの前側に配置され、入力された駆動力をリヤディファレンシャルギヤに伝達するカップリングを有し、キャパシタは、カップリングと後輪との間に配置されている。
【0016】
このように構成された本発明によれば、左右の後輪がカップリングを介して駆動される車両においても、キャパシタを後輪の近傍に配置することができ、後輪用モータに電力を供給するワイヤハーネスを短縮することができる。これにより、ワイヤハーネスの絶縁材による重量の増加を抑制することができる。
【0017】
本発明において、好ましくは、バッテリは、車両の前後方向に延びるように、車両の下部に設けられたトンネル部の中、又は車両の後部に配置されている。
このように構成された本発明によれば、バッテリがトンネル部の中又は車両の後部に配置されているので、バッテリを収容するスペースを十分に確保することができる。また、このようにバッテリを配置することにより、バッテリとキャパシタを直列に接続する配線は比較的長くなる場合があるが、上記配線は比較的低電圧であるため、絶縁材による重量の増加を抑制することができる。
【0018】
本発明において、好ましくは、キャパシタの最大の端子間電圧は、バッテリの端子間電圧よりも高く構成されている。
このように構成された本発明によれば、キャパシタの最大の端子間電圧が、バッテリの端子間電圧よりも高く構成されているので、キャパシタを直列に接続することにより、バッテリの端子間電圧を大きく嵩上げすることができる。この結果、比較的低電圧のバッテリを使用しながら、高い電圧で後輪用モータを駆動することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の車両駆動装置によれば、モータを比較的高電圧で駆動しながら、電力供給系統を絶縁する絶縁材による重量の増加を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態による車両駆動装置を搭載した車両のレイアウト図である。
【0022】
図1に示すように、本発明の第1実施形態による車両駆動装置を搭載した車両1は、運転席よりも前方の、車両の前部に内燃機関であるエンジン12が搭載され、主駆動輪である左右1対の前輪2bを駆動する所謂FF(Front engine, Front drive)車である。また、後述するように、前輪2bは主駆動モータ16によっても駆動され、副駆動輪である左右1対の後輪2aは、副駆動モータによって駆動される。
【0023】
車両1に搭載された本発明の第1実施形態による車両駆動装置10は、前輪2bを駆動するエンジン12と、変速機であるトランスミッション14と、前輪2bを駆動する主駆動モータ16と、バッテリ18と、制御器である制御装置24と、を有する。さらに、車両駆動装置10は、右側の後輪2aを駆動するインホイールモータである副駆動モータ20と、その近傍に配置されたキャパシタ22と、左側の後輪2aを駆動するインホイールモータである副駆動モータ21と、その近傍に配置されたキャパシタ23と、を有する。
【0024】
エンジン12は、車両1の主駆動輪である前輪2bに対する駆動力を発生するための内燃機関である。本実施形態においては、エンジン12として直列4気筒エンジンが採用されており、車両1の前部に配置されたエンジン12がトランスミッション14及びディファレンシャルギヤ(図示せず)を介して前輪2bを駆動するようになっている。また、本実施形態において、エンジン12は、直列に並ぶ4つの気筒が車両1の左右方向に配列される所謂「横置き」にされている。また、エンジン12の排気は、排気管(図示せず)を通って車両1の後端から排出されるが、この排気管は、車両の下部中央に、前後方向に延びるように形成されたトンネル部15の中に通されている。
【0025】
トランスミッション14は、エンジン12の出力軸の回転数を変換して出力する多段変速機であり、トランスミッション14の出力はディファレンシャルギヤ(図示せず)を介して前輪2b各輪に伝達される。
【0026】
主駆動モータ16は、主駆動輪に対する駆動力を発生するための電動機であって、車両1の車体上に設けられ、エンジン12の側方に、エンジン12に隣接して配置されており、車体側モータとして機能する。また、車両1の前部にはインバータ16aが配置されており、このインバータ16aにより、バッテリ18の直流電圧が交流電圧に変換されて主駆動モータ16に供給される。さらに、
図1に示すように、主駆動モータ16はエンジン12と直列に接続されており、主駆動モータ16が発生した駆動力もトランスミッション14を介して前輪2bに伝達される。また、本実施形態においては、主駆動モータ16として、48Vで駆動される25kWの永久磁石電動機(永久磁石同期電動機)が採用されている。
【0027】
バッテリ18は、主として主駆動モータ16を作動させる電気エネルギーを蓄積するための蓄電器である。さらに、本実施形態においては、バッテリ18として、48V、3.5kWhのリチウムイオンバッテリ(LIB)が使用されている。また、
図1に示すように、本実施形態において、バッテリ18は車両下部に設けられたトンネル部15の中に配置されている。或いは、変形例として、
図1に想像線で示すように、車両1の後部にバッテリ18を配置することもできる。
【0028】
次に、副駆動モータ20、21は、副駆動輪である後輪2aに対する駆動力を発生するように、後輪2aに夫々設けられている。また、副駆動モータ20、21はインホイールモータであり、後輪2a各輪のホイール内に夫々収容されている。従って、副駆動モータ20、21は、車両1の左右の後輪2aの間に配置されると共に、車両1の所謂「バネ下」に設けられている。また、
図1に示すように、右側の副駆動モータ20には、キャパシタ(CAP)22からの電流が、インバータ20aにより交流に変換されて夫々供給される。同様に、左側の副駆動モータ21には、キャパシタ23からの電流が、インバータ21aにより交流に変換されて夫々供給される。さらに、本実施形態においては、各副駆動モータ20、21には減速機構である減速機が設けられておらず、副駆動モータの駆動力は後輪2aに直接伝えられ、車輪が直接駆動される。また、本実施形態においては、副駆動モータ20、21として、17kWの誘導電動機が夫々採用されている。
【0029】
右側のキャパシタ22は副駆動モータ20によって回生された電力を蓄積し、左側のキャパシタ23は副駆動モータ21によって回生された電力を蓄積するように設けられている。
図1に示すように、キャパシタ22は、車両1の右側の後輪2aに設けられた副駆動モータ20の近傍に配置され、キャパシタ23は、左側の後輪2aに設けられた副駆動モータ21の近傍に配置されている。また、キャパシタ22からの電力は、車両1の右側の後輪2aに設けられた副駆動モータ20にワイヤハーネス22aを介して夫々供給され、キャパシタ23からの電力は、左側の後輪2aに設けられた副駆動モータ21にワイヤハーネス23aを介して夫々供給される。
【0030】
さらに、各キャパシタ22、23は、バッテリ18よりも高い電圧で電荷を蓄積するように構成されると共に、副駆動輪である左右の後輪2aの間の領域内に配置される。即ち、キャパシタ22、23は、車両の側方から見て、少なくとも一部が後輪2aと重なる位置に配置されている。主としてキャパシタに蓄積された電力により駆動される副駆動モータ20、21は、バッテリ18の端子間電圧よりも高い電圧で駆動される。
【0031】
図1に示すように、制御装置24は、エンジン12、主駆動モータ16及び副駆動モータ20、21を制御して、電動機走行モード及び内燃機関走行モードを実行するように構成されている。具体的には、制御装置24は、マイクロプロセッサ、メモリ、インタフェイス回路、及びこれらを作動させるプログラム(以上、図示せず)等によって構成することができる。
【0032】
次に、
図2乃至
図5を参照して、本発明の第1実施形態による車両駆動装置10の電源構成、及びモータによる車両1の駆動を説明する。
図2は、本発明の第1実施形態による車両駆動装置10の電源構成を示すブロック図である。
図3は、本実施形態の車両駆動装置10において、キャパシタに電力が回生された場合における電圧の変化の一例を模式的に示す図である。
図4は、本実施形態の車両駆動装置10において使用されている各モータの出力と車速の関係を示す図である。
【0033】
図2に示すように、車両駆動装置10に備えられているバッテリ18とキャパシタ22、バッテリ18とキャパシタ23は、夫々直列に接続されている。主駆動モータ16にはバッテリ18の電力が供給される。また、副駆動モータ20には直列に接続されたバッテリ18とキャパシタ22から電力が供給され、副駆動モータ21には直列に接続されたバッテリ18とキャパシタ23から電力が供給される。即ち、主駆動モータ16はバッテリ18の基準出力電圧である約48Vで駆動され、副駆動モータ20、21はバッテリ18の電圧とキャパシタの端子間電圧を合算した電圧で、48Vよりも高い最大120Vの電圧で駆動される。このように、キャパシタ22、23の最大の端子間電圧はバッテリ18の端子間電圧よりも高く設定されている。
【0034】
このように接続されることにより、後輪用モータである副駆動モータ20、21は、バッテリ及びキャパシタに蓄積された電気エネルギーにより駆動される。なお、キャパシタ22には副駆動モータ20に供給する電気エネルギーが蓄積され、副駆動モータ20は、常にキャパシタ22を介して供給された電力によって駆動される。同様に、キャパシタ23には副駆動モータ21に供給する電気エネルギーが蓄積され、副駆動モータ21は、常にキャパシタ23を介して供給された電力によって駆動される。
【0035】
また、主駆動モータ16にはインバータ16aが取り付けられており、バッテリ18の出力を交流に変換した上で永久磁石電動機である主駆動モータ16が駆動される。一方、キャパシタ22の出力(バッテリ18とキャパシタ22を直列に接続した電圧)はインバータ20aに入力され、インバータ20aは、入力された直流電圧を交流に変換した上で、副駆動モータ20が要求する電力を出力し、副駆動モータ20が駆動される。同様に、キャパシタ23の出力はインバータ21aに入力され、インバータ21aは、入力された直流電圧を交流に変換した上で、副駆動モータ21が要求する電力を出力する。
【0036】
さらに、車両1の減速時等には、主駆動モータ16及び各副駆動モータ20、21は発電機として機能し、車両1の運動エネルギーを回生して電力を生成する。主駆動モータ16によって回生された電力はバッテリ18に蓄積され、各副駆動モータ20、21によって回生された電力は主としてキャパシタ22、23に夫々蓄積される。
【0037】
また、バッテリ18とキャパシタ22、23の間には電圧変換器である高圧DC/DCコンバータ26aが接続されており、この高圧DC/DCコンバータ26aはキャパシタ22又は23に蓄積された電荷が不足しているとき(キャパシタの端子間電圧が低下したとき)、バッテリ18の電圧を昇圧してキャパシタ22又は23に充電する。一方、副駆動モータ20又は21によるエネルギーの回生により、キャパシタ22又は23の端子間電圧が所定電圧以上に上昇した場合には、キャパシタに蓄積された電荷を降圧してバッテリ18に印加し、バッテリ18の充電を行う。即ち、副駆動モータ20、21によって回生された電力はキャパシタ22、23に夫々蓄積された後、蓄積された電荷の一部が、高圧DC/DCコンバータ26aを介してバッテリ18に充電される。
【0038】
さらに、バッテリ18と車両1の12V電装品25の間には、低圧DC/DCコンバータ26bが接続されている。車両駆動装置10の制御装置24や、車両1の電装品25の多くは12Vの電圧で作動するので、バッテリ18に蓄積された電荷を低圧DC/DCコンバータ26bにより12Vに降圧して、これらの機器に供給する。
【0039】
次に、
図3を参照して、キャパシタに対する充電及び放電を説明する。なお、ここではキャパシタ22に対する充電・放電について説明するが、キャパシタ23についても全く同様に充放電が行われる。
図3に示すように、キャパシタ22の電圧は、バッテリ18によるベース電圧と、キャパシタ22自体の端子間電圧の合計となる。車両1の減速時等には、副駆動モータ20により電力の回生が行われ、回生された電力はキャパシタ22に充電される。キャパシタ22への充電が行われると比較的急激に端子間電圧が上昇する。充電によりキャパシタ22の電圧が所定電圧以上に上昇すると、高圧DC/DCコンバータ26aによりキャパシタ22の電圧が降圧され、バッテリ18への充電が行われる。
図3に示すように、このキャパシタ22からバッテリ18への充電は、キャパシタ22への充電よりも比較的緩やかに行われ、キャパシタ22の電圧は適正電圧まで比較的緩やかに低下される。
【0040】
即ち、副駆動モータ20により回生された電力は一時的にキャパシタ22に蓄積され、その後、バッテリ18へ緩やかに充電される。なお、回生が行われる期間によっては、副駆動モータ20による電力の回生と、キャパシタ22からバッテリ18への充電がオーバーラップして行われる場合もある。
一方、主駆動モータ16によって回生された電力は、バッテリ18に直接充電される。
【0041】
次に、
図4を参照して、本発明の第1実施形態による車両駆動装置10における車速と各モータの出力の関係を説明する。
図4は、本実施形態の車両駆動装置10において、車両1の速度と、各速度における各モータの出力の関係を示すグラフである。
図4において、主駆動モータ16の出力を破線で示し、1つの副駆動モータの出力を一点鎖線で、2つの副駆動モータ20、21の出力の合計を二点鎖線で、全てのモータの出力の合計を実線で示している。なお、
図4は、車両1の速度を横軸とし、各モータの出力を縦軸として示しているが、車両1の速度とモータの回転数には一定の関係が存在するので、横軸をモータ回転数とした場合でも、各モータの出力は
図4と同様の曲線を描く。
【0042】
本実施形態においては主駆動モータ16には永久磁石電動機が採用されているため、
図4に破線で示すように、モータ回転数が低い低車速域で主駆動モータ16の出力が大きく、車速が速くなるにつれて出力可能なモータ出力が減少する。即ち、本実施形態において、主駆動モータ16は、約48Vで駆動され、1000rpm程度まで最大トルクである約200Nmのトルクを出力し、約1000rpm以上で回転数の増加と共にトルクが低下する。また、本実施形態において、主駆動モータ16は、最低速域において約20kW程度の連続出力が得られ、最大出力約25kWが得られるように構成されている。
【0043】
これに対して、副駆動モータ20には誘導電動機が採用されているため、
図4に一点鎖線及び二点鎖線で示すように、低車速域では副駆動モータ20、21の出力は極めて小さく、車速が速くなるにつれて出力が増大し、車速約130km/h付近で最大出力が得られた後、モータ出力は減少する。本実施形態において、副駆動モータ20、21は、約120Vで駆動され、車速約130km/h付近で1台当たり約17kW、2台合計で約34kWの出力が得られるように構成されている。即ち、本実施形態において、副駆動モータ20、21は、約600乃至800rpmでトルクカーブがピークをもち、最大トルク約200Nmが得られる。
【0044】
図4の実線には、これら主駆動モータ16及び2台の副駆動モータ20、21の出力の合計が示されている。このグラフから明らかなように、本実施形態においては、車速約130km/h付近で最大出力約53kWが得られており、この車速における、この最大出力でWLTP試験において要求される走行条件を満足することができる。なお、
図4の実線では、低車速域においても2台の副駆動モータの出力値が合算されているが、実際には低車速域では各副駆動モータが駆動されることはない。即ち、発進時及び低車速域においては主駆動モータ16のみで車両が駆動され、高車速域で大出力が必要とされたとき(高車速域で車両1を加速させるとき等)のみ2台の副駆動モータが出力を発生する。このように、高回転領域で大きな出力を発生することができる誘導電動機(副駆動モータ20、21)を、高速域のみで使用することにより、車両重量の増加を低く抑えながら必要なとき(所定速度以上での加速時等)に十分な出力を得ることができる。
【0045】
次に、
図5を参照して、本発明の第1実施形態の車両駆動装置10に採用されている副駆動モータの構成を説明する。
図5は、副駆動モータ20の構造を模式的に示す断面図である。なお、ここでは副駆動モータ20の構造を説明するが、副駆動モータ21の構成も全く同様である。
図5に示すように、副駆動モータ20は、ステータ28と、このステータの周囲で回転するロータ30から構成されたアウターロータタイプの誘導電動機である。
【0046】
ステータ28は、概ね円板状のステータベース28aと、このステータベース28aの中心から延びるステータシャフト28bと、このステータシャフト28bの周囲に取り付けられたステータコイル28cと、を有する。また、ステータコイル28cは電気絶縁液室32に収納されており、この中に満たされた電気絶縁液32aに浸漬され、これにより沸騰冷却される。
【0047】
ロータ30は、ステータ28の周囲を取り囲むように概ね円筒状に構成されており、一端が閉塞された概ね円筒形に構成されたロータ本体30aと、ロータ本体30aの内周壁面に配置されたロータコイル30bと、を有する。ロータコイル30bは、ステータコイル28cが生成する回転磁界により誘導電流が発生するように、ステータコイル28cに対向するように配置されている。また、ロータ30は、ステータ28の周囲で円滑に回転するように、ステータシャフト28bの先端に取り付けられたベアリング34によって支持されている。
【0048】
ステータベース28aは、車両1の前輪を懸架する懸架機構(図示せず)によって支持されている。一方、ロータ本体30aは、前輪2bのホイール(図示せず)に直接固定されている。ステータコイル28cには、インバータ20aによって交流に変換された交流電流が流され、回転磁界が生成される。この回転磁界によりロータコイル30bに誘導電流が流れ、ロータ本体30aを回転させる駆動力が発生する。このように、副駆動モータ20により生成された駆動力は、直接、後輪2aのホイール(図示せず)を回転駆動する。
【0049】
次に、
図6及び
図7を参照して、本発明の第1実施形態による車両駆動装置10が適用されている車両1における後輪2aの懸架構造及びキャパシタ22、23の配置を説明する。
図6は、本実施形態の車両駆動装置10を適用した車両1における後輪2aの懸架構造を取り出して示した斜視図である。
図7は車両1の後輪の部分を側方から見た透視図である。
【0050】
図6に示すように、本実施形態においては、後輪2aの懸架構造としてトーションビームアクスル(TBA)形式が採用されている。即ち、後輪2aは、センタービーム8aと、その両端に夫々取り付けられたトレーリングアーム8bと、スプリング8cと、ショックアブソーバ8dと、によって懸架されている。
【0051】
センタービーム8aは車両1の幅方向に延びるトーションビームであり、センタービーム8aの捩れにより、或る程度、左右の後輪2aの独立した動きが許容される。
トレーリングアーム8bは、センタービーム8aの両端に夫々取り付けられ、車両1の前後方向に延びるアーム部材である。右側のトレーリングアーム8bの後端部には副駆動モータ20が取り付けられ、左側のトレーリングアーム8bの後端部には副駆動モータ21(
図6には図示せず)が取り付けられ、各後輪2aが駆動される。
【0052】
スプリング8c及びショックアブソーバ8dは、センタービーム8aの両端部近傍、及びトレーリングアーム8bの後端部に夫々取り付けられ、各後輪2aからの振動の伝達を抑制しながら車体を支持している。
【0053】
また、右側の後輪2aに設けられた副駆動モータ20に電力を供給するキャパシタ22は、センタービーム8aの右側端部近傍に配置され、左側後輪2aの副駆動モータ21(
図6には図示せず)に電力を供給するキャパシタ23は、センタービーム8aの左側端部近傍に配置されている。これにより、
図7に示すように、キャパシタ23は、車両1の側方から見て、後輪2aと重なる位置に配置されている。同様に、車両1の右側に配置されたキャパシタ22も、車両1の側方から見て、後輪2aと重なる位置に配置されている。即ち、キャパシタの少なくとも一部が、車両1の側方から見て、後輪2aと重なる位置に配置されるのが良い。
【0054】
キャパシタ22からの電力は、キャパシタ22の後ろ側に隣接して配置されたインバータ20aによって交流に変換され、ワイヤハーネス22aを介して副駆動モータ20に供給される。同様に、キャパシタ23からの電力は、キャパシタ23の後ろ側に隣接して配置されたインバータ21aによって交流に変換され、ワイヤハーネス23aを介して副駆動モータ21(
図6には図示せず)に供給される。
【0055】
ここで、各副駆動モータ20、21は比較的高電圧で駆動されるため、これらに電力を供給する各ワイヤハーネス22a、23aには高い絶縁耐圧が要求される。しかしながら、各キャパシタ及びインバータは、電力を供給すべき副駆動モータの近傍に配置されているので、短いワイヤハーネスで副駆動モータに電力を供給することができる。このため、ワイヤハーネスの絶縁耐圧を高くしたとしても、絶縁部材を設けることによる重量の増加は僅かであり、副駆動モータを高電圧で駆動することに起因する絶縁材の重量増加を抑制することができる。
【0056】
本発明の第1実施形態の車両駆動装置10によれば、直列に接続されたバッテリ18及びキャパシタ22、23から後輪用モータである副駆動モータ20、21に夫々電力が供給されるので(
図2)、バッテリ18単体で駆動する場合よりも高電圧で各副駆動モータを駆動することができ、駆動電流を低く抑えることができる。また、キャパシタ22、23からの電力を各副駆動モータに供給するワイヤハーネス22a、23aには夫々比較的高い電圧が印加されるので、絶縁耐圧を高くしておく必要がある。しかしながら、副駆動モータ20、21への電力の供給は、車両1の左右の後輪2aの間に配置されたキャパシタ22、23から行われるため、電力を供給するためのワイヤハーネス22a、23aを短くすることができる(
図6)。これにより、各ワイヤハーネスの絶縁耐圧を高くしたとしても、重量の増分は少なくなり、絶縁材による重量の増加を抑制することができる。
【0057】
また、本実施形態の車両駆動装置10によれば、キャパシタ22、23が、車両1の側方から見て、少なくとも一部が後輪2aと重なる位置に配置されているので(
図7)、副駆動モータ20、21に電力を供給するワイヤハーネス22a、23aを更に短くすることができ、絶縁材による重量の増加を更に抑制することができる。
【0058】
さらに、本実施形態の車両駆動装置10によれば、後輪用モータである副駆動モータ20、21がインホイールモータであるので(
図5)、副駆動モータ20、21の駆動力を後輪に伝達する動力伝達機構を必要とせず、後輪2aが直接駆動されるので、車両1を軽量化することができる。
【0059】
また、本実施形態の車両駆動装置10によれば、バッテリ18がトンネル部15の中に配置されているので、バッテリ18を収容するスペースを十分に確保することができる。また、このようにバッテリ18を配置することにより、バッテリ18とキャパシタ22、23を直列に接続する配線は比較的長くなる場合があるが、この配線は比較的低電圧であるため、絶縁材による重量の増加を抑制することができる。
【0060】
さらに、本実施形態の車両駆動装置10によれば、キャパシタ22、23の最大の端子間電圧が、バッテリ18の端子間電圧よりも高く構成されているので(
図3)、キャパシタを直列に接続することにより、バッテリ18の端子間電圧を大きく嵩上げすることができる。この結果、比較的低電圧のバッテリ18を使用しながら、高い電圧で副駆動モータ20、21を駆動することができる。
【0061】
次に、
図8乃至
図10を参照して、本発明の第2実施形態による車両駆動装置を説明する。
図8は、本発明の第2実施形態による車両駆動装置を搭載した車両のレイアウト図である。
図9は、本発明の第2実施形態による車両駆動装置を適用した車両における後輪の懸架構造を取り出して示した斜視図である。
図10は車両の後輪の部分を側方から見た透視図である。
【0062】
本実施形態による車両駆動装置は、エンジンが発生する駆動力の伝達構造、及び副駆動モータの配置が上述した第1実施形態とは異なっている。従って、ここでは、本実施形態による車両駆動装置の、第1実施形態とは異なる部分のみを説明し、同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0063】
図8に示すように、本発明の第2実施形態による車両駆動装置110を搭載した車両100は、運転席よりも前方の、車両の前部に内燃機関であるエンジン112が搭載されている。また、車両100は、エンジン112の駆動力によって主駆動輪である左右1対の前輪2b、及び副駆動輪である左右1対の後輪2aが駆動される所謂4WD(Four Wheel Drive)車である。また、後述するように、前輪2bは主駆動モータ116によっても駆動され、副駆動輪である左右1対の後輪2aは、副駆動モータ120によっても駆動される。
【0064】
車両100に搭載された本発明の第2実施形態による車両駆動装置110は、前輪2b及び後輪2aを駆動するエンジン112と、変速機であるトランスミッション114と、前輪2b及び後輪2aを駆動する主駆動モータ116と、バッテリ118と、制御器である制御装置124と、を有する。さらに、車両駆動装置110は、左右の後輪2aを駆動する後輪用モータである副駆動モータ120と、その近傍に配置されたキャパシタ122と、を有する。
【0065】
エンジン112は、車両100の主駆動輪である前輪2b及び副駆動輪である後輪2aに対する駆動力を発生するための内燃機関である。本実施形態においては、車両100の前部に配置されたエンジン112がトランスミッション114及びディファレンシャルギヤ(図示せず)を介して前輪2bを駆動するようになっている。また、エンジン112が発生した駆動力の一部はパワーテイクオフ(PTO)117aによって取り出され、左右の後輪2aにも伝達される。
【0066】
トランスミッション114は、エンジン112の出力軸の回転数を変換して出力する多段変速機であり、トランスミッション114の出力はディファレンシャルギヤ(図示せず)を介して前輪2b各輪に伝達される。また、トランスミッション114の出力動力の一部はパワーテイクオフ117aによって取り出され、取り出された出力は、プロペラシャフト117b、電磁クラッチであるカップリング117c、及び後輪用のリヤディファレンシャルギヤ117dを介して左右の後輪2aに伝達される。また、プロペラシャフト117bは、車両100の下部中央に、前後方向に延びるように形成されたトンネル部115の中に通され、その後端部にカップリング117cが接続されている。カップリング117cは入力された駆動力をリヤディファレンシャルギヤ117dに伝達する。
【0067】
主駆動モータ116は、主駆動輪及び副駆動輪に対する駆動力を発生するための電動機であって、車両100の車体上に設けられ、エンジン112の側方に、エンジン112に隣接して配置されており、車体側モータとして機能する。また、車両100のトンネル部115の中にはインバータ116aが配置されており、このインバータ116aにより、バッテリ118の直流電圧が交流電圧に変換されて主駆動モータ116に供給される。さらに、
図8に示すように、主駆動モータ116はエンジン112と直列に接続されており、主駆動モータ116が発生した駆動力もトランスミッション114を介して前輪2bに伝達される。
【0068】
さらに、主駆動モータ116が発生した駆動力も、その一部がパワーテイクオフ117aによって取り出され、後輪2aに伝達される。本実施形態においては、主駆動モータ116として、48Vで駆動される25kWの永久磁石電動機(永久磁石同期電動機)が採用されている。また、本実施形態においては、エンジン112及び主駆動モータ116が発生した動力のうちの最大50%が、パワーテイクオフ117a及びカップリング117cによって後輪側に伝達される。
【0069】
バッテリ118は、主として主駆動モータ116を作動させる電気エネルギーを蓄積するための蓄電器であり、トンネル部115の中の、インバータ116aの後ろ側に配置されている。さらに、本実施形態においては、バッテリ118として、48V、3.5kWhのリチウムイオンバッテリ(LIB)が使用されている。
【0070】
次に、副駆動モータ120は、副駆動輪である後輪2aに対する駆動力を発生するように設けられ、カップリング117c及び後輪用のリヤディファレンシャルギヤ117dと一体化されている。従って、副駆動モータ120は、車両100の左右の後輪2aの間に配置されている。また、副駆動モータ120は車両100の車体側に設けられたオンボードモータであり、リヤディファレンシャルギヤ117dを介して左右の後輪2aに駆動力が伝達される。また、
図8に示すように、副駆動モータ120には、キャパシタ(CAP)122からの電流が、副駆動モータ用のインバータ120aにより交流に変換されて供給される。
【0071】
キャパシタ122は、副駆動モータ120によって回生された電力を蓄積するように設けられている。
図8に示すように、キャパシタ122及びインバータ120aは、車両100の幅方向中央に配置されたカップリング117c、リヤディファレンシャルギヤ117d、及び副駆動モータ120の近傍に隣接して配置されている。また、キャパシタ122はバッテリ118と直列に接続され、キャパシタ122からの電力は、インバータ120a、ワイヤハーネス122aを介して副駆動モータ120に供給される。
【0072】
これにより、副駆動モータ120は、バッテリ118の端子間電圧よりも高い電圧で駆動される。さらに、キャパシタ122は、バッテリ118よりも高い電圧で電荷を蓄積するように構成される。なお、バッテリ118とキャパシタ122の間には電圧変換器である高圧DC/DCコンバータ126aが接続されている。この高圧DC/DCコンバータ126aにより、バッテリ118とキャパシタ122の間で双方向に充電を行うことができる。また、バッテリ118と車両100の12V電装品(図示せず)の間には、低圧DC/DCコンバータ126bが接続されており、バッテリ118に蓄積された電荷を12Vに降圧して電装品等に供給することができる。
【0073】
一方、
図8に示すように、制御装置124は、エンジン112、主駆動モータ116及び副駆動モータ120を制御して、電動機走行モード及び内燃機関走行モードを実行するように構成されている。具体的には、制御装置124は、マイクロプロセッサ、メモリ、インタフェイス回路、及びこれらを作動させるプログラム(以上、図示せず)等によって構成することができる。
【0074】
次に、
図9及び
図10を参照して、本発明の第2実施形態による車両駆動装置110が適用されている車両100における後輪2aの懸架構造及びキャパシタ122の配置を説明する。
【0075】
図9に示すように、本実施形態においても、後輪2aの懸架構造としてトーションビームアクスル(TBA)形式が採用され、後輪2aは、センタービーム8aと、トレーリングアーム8bと、スプリング8cと、ショックアブソーバ8dと、によって懸架されている。
【0076】
また、車両100の前部から延びるプロペラシャフト117bは、センタービーム8aの下側を通って、センタービーム8aの後ろ側に配置されたカップリング117cに接続されている。カップリング117cからの出力は、カップリング117cの後ろ側に一体的に設けられたリヤディファレンシャルギヤ117dに入力される。一方、リヤディファレンシャルギヤ117dの後ろ側に一体的に設けられた副駆動モータ120の出力も、リヤディファレンシャルギヤ117dに入力される。リヤディファレンシャルギヤ117dに入力された駆動力は、リヤディファレンシャルギヤ117dの両側面から車両100の幅方向に延びるドライブシャフト117eによって、左右の後輪2aに夫々伝達される。
【0077】
また、副駆動モータ120に電力を供給するキャパシタ122は、左右の後輪2aの間であって、センタービーム8aの左側端部近傍に配置されている。これにより、
図10に示すように、キャパシタ122は、車両100の側方から見て、後輪2aと重なる位置に配置されている。即ち、キャパシタの少なくとも一部が、車両100の側方から見て、後輪2aと重なる位置に配置されるのが良い。また、この配置によれば、キャパシタ122は、リヤディファレンシャルギヤ117dと後輪2aの間、且つカップリング117cと後輪2aの間に位置することとなる。なお、第1実施形態と同様に2つのキャパシタを備え、これらがカップリング117c、リヤディファレンシャルギヤ117d、及び副駆動モータ120の両側に配置されるように本発明を構成することもできる。
【0078】
また、キャパシタ122からの電力は、キャパシタ122の後ろ側に隣接して配置されたインバータ120aによって交流に変換され、ワイヤハーネス122aを介して副駆動モータ120に供給される。ここで、副駆動モータ120は比較的高電圧で駆動されるため、これに電力を供給するワイヤハーネス122aには高い絶縁耐圧が要求される。しかしながら、キャパシタ122及びインバータ120aは、電力を供給すべき副駆動モータ120の近傍に配置されているので、短いワイヤハーネスで副駆動モータに電力を供給することができる。このため、ワイヤハーネスの絶縁耐圧を高くしたとしても、絶縁部材を設けることによる重量の増加は僅かであり、副駆動モータを高電圧で駆動することに起因する絶縁材の重量増加を抑制することができる。
【0079】
本発明の第2実施形態の車両駆動装置110によれば、キャパシタ122が、リヤディファレンシャルギヤ117dと後輪2aとの間に配置されているので(
図9)、左右の後輪2aがリヤディファレンシャルギヤ117dを介して駆動される車両100においても、キャパシタ122を後輪2aの近傍に配置することができる。この結果、後輪用モータである副駆動モータ120に電力を供給するワイヤハーネス122aを短縮することができ、ワイヤハーネス122aの絶縁材による重量の増加を抑制することができる。
【0080】
また、本実施形態の車両駆動装置110によれば、キャパシタ122が、カップリング117cと後輪2aとの間に配置されているので(
図9)、左右の後輪2aがカップリング117cを介して駆動される車両100においても、キャパシタ122を後輪2aの近傍に配置することができる。この結果、後輪用モータである副駆動モータ120に電力を供給するワイヤハーネス122aを短縮することができ、ワイヤハーネス122aの絶縁材による重量の増加を抑制することができる。
【0081】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。特に、上述した実施形態においては、後輪用モータを副駆動モータとして機能させていたが、後輪用モータが主駆動モータとして機能する車両駆動装置にも本発明を適用することができる。また、上述した実施形態においては、エンジン及び主駆動モータの動力が前輪を駆動していたが、前輪を駆動するエンジン及び/又はモータを備えていない車両駆動装置に本発明を適用することもできる。