【課題】対象の袋が、液状体の漏出をもたらしうる意図しない穴が形成されている袋か否か、及び液状体の漏出をもたらしうる意図しない穴が形成される蓋然性が高い袋か否かを、長期間にわたって安定的に精度良く確認することが可能なリーク検査装置を提供する。
【解決手段】搬送部31の搬送ベルト41は載置面41aを有し、内部空間に液状体95を収容し且つ密封された袋90が載置面41aに載せられる。搬送部31の搬送駆動部43は、搬送ベルト41を搬送方向D1に走行させる。加圧部32は、載置面41aに載せられている袋90の内部空間の圧力を上昇させる。受入部33は、載置面41aから落下した液状体95を受け入れて排出する。検出部34は、受入部33から排出される液状体95を検出する。制御部70は、検出部34の検出結果に基づいて液状体95の漏れ出しの有無を確認する。
内部空間に液状体を収容し且つ密封された袋が載せられる載置面を有する搬送ベルトと、前記搬送ベルトを搬送方向に走行させる搬送駆動部と、を有する搬送部であって、前記搬送ベルトは無端形状を有し、前記載置面は、上向きに向けられた状態で前記搬送方向に移動し且つ下向きに向けられた状態で前記搬送方向とは逆側に移動する、搬送部と、
前記載置面に載せられている前記袋の前記内部空間の圧力を上昇させる加圧部であって、前記内部空間の圧力を上昇させることによって前記袋から前記液状体が漏れ出した場合には当該漏れ出した前記液状体が前記載置面に付着しうる加圧部と、
前記載置面から落下した前記液状体を受け入れて排出する受入部と、
前記受入部から排出される前記液状体を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて、前記袋からの前記液状体の漏れ出しの有無を確認する制御部と、を備えるリーク検査装置。
前記加圧部は無端形状の押圧ベルトを有し、前記載置面に載せられている前記袋は前記搬送ベルト及び前記押圧ベルトにより狭まれて圧力が加えられる請求項1に記載のリーク検査装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
【0019】
以下では、包装システムに対してリーク検査装置が適用される場合を例示的に示す。ただし、本発明の実施形態に係るリーク検査装置及び当該リーク検査装置に関連する技術は、包装システム以外の装置及び方法に対しても応用可能である。
【0020】
なお以下の説明において「上方」、「下方」、「上向き」及び「下向き」の用語は、特に断りのない限り、重力が作用する鉛直方向と平行な高さ方向を基準とする。また「上流」及び「下流」の用語は、特に断りのない限り、袋の搬送方向を基準とする。
【0021】
[包装システム]
図1は、包装システム10の概略構成を示す図である。
図1に示す包装システム10は、包装機11、中継機12及びリーク検査装置13を備える。
【0022】
包装機11は、グリッパー21に把持されている袋90(パウチ)に対して包装処理を行い、包装処理後の袋(製品袋)90を排出ステーションSdに配置する。排出ステーションSdにおいてグリッパー21は開かれ、袋90はグリッパー21から解放されて落下する。
【0023】
排出ステーションSdに配置される袋90は、液状体95を含む内容物91を収容しており、袋90の口部92はシールされている。このように内部空間に内容物91(液状体95)が収容され且つ密封された袋90は、製品袋とも呼ばれる。なお本実施形態において、排出ステーションSdに配置されて包装機11から放出される袋90(製品袋)の内部空間は、周囲環境の圧力(一般的には大気圧)とほぼ同じ圧力を有する。
【0024】
包装機11で行われる包装処理の具体的な内容は限定されない。典型的には、各種情報(例えば処理年月日等)を袋90に印字する印字処理、袋90の口部92を開く開口処理、口部92を介して袋90内に内容物91を入れる充填処理、及び口部92をシールするシール処理(例えば加熱処理及び冷却処理)、等が包装機11によって行われるが、包装機11は、これらの処理の一部又は全部を行わなくてもよいし、他の処理を行ってもよい。袋90は、対応のグリッパー21によって把持されつつ、複数のステーション(排出ステーションSdを含む)を順次巡るように間欠的又は連続的に搬送され、それぞれのステーションにおいて対応の処理を受ける。
【0025】
図示の袋90は、アルミニウムや合成樹脂などの柔軟な材料で作られた容器である。袋90の具体的な材料、形状及びその他の特性は限定されないが、後述のリーク検査装置13によって力が加えられた際に内部の圧力が上昇する特性を袋90は有する。
【0026】
内容物91は限定されないが、液状体95を含む。液状体95は流動性を有する物質であるが、その流動性(すなわち粘性)の程度は限定されない。図示の袋90は、液状体95のみから成る内容物91と残留気体(例えば空気や不活性ガス等)とが内側に収容された状態で、口部92が気密に且つ液密にシールされている。したがって袋90の内側と外側との間において、空気等の気体及び液状体95等の液体の流入及び流出は基本的に行われない。なお内容物91は、液状体95に加え、他の形態の物質を含んでいてもよく、固体(固形物及びゲル体を含む)や気体を含んでいてもよい。
【0027】
中継機12は、排出ステーションSdにおいて包装機11から排出された袋90を、リーク検査装置13に誘導する。中継機12の具体的な構成は限定されない。図示の中継機12はシュート25及びローラーコンベア26を有する。
【0028】
排出ステーションSdにおいてグリッパー21から解放された袋90は、シュート25の案内面に沿って落下し、袋90の姿勢はシュート25によって起立姿勢から横臥姿勢に向けて徐々に変えられる。より詳細には、袋90の底部が下流側に向けられ且つ口部92が上流側に向けられるように、袋90の姿勢は徐々に変えられる。シュート25から排出された袋90は、横臥姿勢でローラーコンベア26に載せられて水平方向へ搬送され、ローラーコンベア26の下流側に設けられたリーク検査装置13に送られる。
【0029】
ローラーコンベア26は複数の回転可能ローラーを含み、各回転可能ローラーの回転に応じて袋90のリーク検査装置13への移動が促される。各回転可能ローラーは、図示しない駆動装置から供給される駆動力によって能動的に回転してもよいし、駆動装置からの駆動力は供給されずに受動的に回転してもよい。
【0030】
リーク検査装置13は、包装機11から中継機12を介して送られてくる袋(製品袋)90の液漏れに関する異常(以下、「リーク異常」とも称する)の有無を確認する。
【0031】
図示のリーク検査装置13は、袋90に圧力を加え、袋90における意図しない穴(ピンホール等)の有無及び袋90のシール強度の異常の有無を確認する検査を行う。この検査を行うことによって、例えば後段において複数の袋90がお互いに積み重ねられる場合のように、各袋90に圧力が加えられても各袋90から液状体95が漏れ出さないことを、高い信頼度を持って保証することができる。
【0032】
リーク異常が検出された袋90(以下、「リーク異常袋」とも称する)に対してリーク検査装置13が行う具体的な処理は限定されない。例えばリーク検査装置13は、リーク異常が検出されていない正常な袋90とは別の場所に向けてリーク異常袋を排出したり、リーク異常袋の検出に応じてアラームを発したりリーク検査装置13を停止させたり、エラーフラグ情報をリーク異常袋の識別情報(識別番号等)に関連づけたりする。エラーフラグ情報が関連づけられた袋90(すなわちリーク異常袋)は、後段において、エラーフラグ情報が関連づけられていない袋90(すなわち正常な袋90)とは別個に扱われることが可能である。
【0033】
[リーク検査装置13]
次に、リーク検査装置13の具体的な構成例について説明する。
図2は、
図1に示すリーク検査装置13の一部の拡大図である。
図3は、
図1の断面線III−IIIに沿ったリーク検査装置13の断面を水平方向に見た図である。
図4は、制御構成を示すブロック図である。
【0034】
図1〜
図3に示すリーク検査装置13は、搬送部31、加圧部32、受入部33及び検出部34を備える。
【0035】
[搬送部(搬送コンベア)]
搬送部31は、袋90を上流側から下流側に向けて搬送する。図示の搬送部31は、第1搬送ベルト41と、第1搬送ベルト41よりも下流側に設けられる第2搬送ベルト42とを有する。
【0036】
第1搬送ベルト41は、中継機12(特にローラーコンベア26)から送られてくる袋90を受け取って、当該袋90を第2搬送ベルト42に向けて搬送方向D1に搬送する。第2搬送ベルト42は、第1搬送ベルト41から送られてくる袋90を受け取って、当該袋90を後段に向けて更に下流側に搬送する。
【0037】
第1搬送ベルト41は、袋(製品袋)90が載せられる載置面41aを有し、載置面41aに載せられている袋90を、搬送方向D1に上流側から下流側に向けて搬送する。図示の第1搬送ベルト41は無端形状を有し、上流側及び下流側に設けられた2つの搬送案内ローラー43に掛け渡されている。第1搬送ベルト41の載置面41aは、上向きに向けられた状態で、袋90が載せられて搬送方向D1に移動する。また載置面41aは、下向きに向けられた状態で、搬送方向D1とは逆側の方向(
図1の左から右への方向)に移動する。
【0038】
第1搬送ベルト41の載置面41aは、液状体95(内容物91)が染み込まない特性を有することが好ましい。また第1搬送ベルト41は、載置面41aが下向きに向けられた状態で載置面41a上の液状体95が重力によって載置面41aから自然に簡単に落下することができるような特性を有することが好ましい。したがって第1搬送ベルト41の載置面41aは、液状体95に対して撥液性を示す部材によって構成されることが好ましい。そのような撥液性は、第1搬送ベルト41を構成する材料自体が本来的に備えていてもよいし、第1搬送ベルト41を構成する材料に対して表面処理を行うことでそのような撥液性を後天的に第1搬送ベルト41の載置面41aに付与してもよい。
【0039】
第1搬送駆動部は、第1搬送ベルト41を搬送方向D1に走行させる。図示の第1搬送ベルト41は無端形状を有するので、第1搬送ベルト41のうち2つの搬送案内ローラー43よりも上方の部分が搬送方向D1に走行し、2つの搬送案内ローラー43よりも下方の部分は搬送方向D1とは逆側の方向に走行する。
【0040】
図示の第1搬送駆動部は、第1搬送ベルト41が掛け渡されている2つの搬送案内ローラー43と、これらの搬送案内ローラー43のうちの少なくとも一方を回転させるモータ等の第1動力発生部71と、を含む。第1動力発生部71は、制御部70(
図4参照)によって制御され、必要に応じて第1搬送ベルト41の走行を停止させることも可能である。
【0041】
第2搬送ベルト42は、上述の第1搬送ベルト41と同様に構成される。すなわち第2搬送ベルト42は、無端形状を有し、袋90が載せられる載置面42aを有し、上流側及び下流側に設けられた2つの搬送案内ローラー43に掛け渡されており、第2搬送駆動部によって走行させられる。第2搬送駆動部は、第2搬送ベルト42が掛け渡されている2つの搬送案内ローラー43と、これらの搬送案内ローラー43のうちの少なくとも一方を回転させるモータ等の第2動力発生部72と、を含む。
【0042】
第2搬送ベルト42及び第2搬送駆動部は、制御部70(
図4参照)の制御下で、上述の第1搬送ベルト41及び第1搬送駆動部と同様に動作する。すなわち第2動力発生部72は、制御部70によって制御され、必要に応じて第2搬送ベルト42の走行を停止させることも可能である。
【0043】
[加圧部]
加圧部32は、第1搬送ベルト41の載置面41aに載せられている袋90に力を加え、袋90の内部空間の圧力を上昇させる。本実施形態の加圧部32は、周囲環境の圧力(一般的には大気圧)よりも高い圧力に袋90の内部空間の圧力を上昇させる。加圧部32によって内部空間の圧力を上昇させることによって袋90から液状体95が漏れ出した場合、当該漏れ出した液状体95は載置面41aに付着しうる。
【0044】
図示の加圧部32は、載置面41aに載せられている袋90に力を加える無端形状の押圧ベルト50を有する。この押圧ベルト50は、上流側及び下流側に設けられた2つの押圧案内ローラー51に掛け渡されている。押圧ベルト50のうち載置面41aと対向する部分(すなわち対向面50a)は、搬送方向D1に走行する。載置面41aに載せられている袋90は、第1搬送ベルト41及び押圧ベルト50により狭まれて圧力が加えられる。
【0045】
第1搬送ベルト41の載置面41a上の袋90は、押圧ベルト50と第1搬送ベルト41とによって挟まれる。すなわち袋90は、上方から押圧ベルト50によって押され、下方から第1搬送ベルト41によって押され、押圧ベルト50及び第1搬送ベルト41の双方から圧力を受けて上下から圧迫される。第1搬送ベルト41と押圧ベルト50との間で袋90が挟まれることによって、袋90の内部空間の圧力は上昇する。そのような圧力上昇を適切且つ確実に達成するために、第1搬送ベルト41(特に上向きの載置面41a)と押圧ベルト50(特に下向きの対向面50a)との間隔が、袋90の特性(例えば厚み等のサイズ)や内容物91(液状体95)の特性に応じて定められる。
【0046】
例えば、押圧ベルト50と第1搬送ベルト41との間の高さ方向の最小間隔は、外力が積極的に加えられていない状態の袋90の高さ方向の厚さよりも小さい。また押圧ベルト50と第1搬送ベルト41との間で挟まれている袋90の内部空間の大きさが、外力が積極的に加えられていない状態の袋90(すなわち押圧ベルト50と第1搬送ベルト41とによって挟まれる前の袋90)の内部空間の大きさよりも小さくなるように、第1搬送ベルト41と押圧ベルト50との間の間隔が決められる。
【0047】
なお押圧ベルト50(特に下向きの対向面50aを構成する部分)は、高さ方向に昇降可能に設けられてもよいし、昇降しなくてもよい。そのような押圧ベルト50の昇降は、制御部70(
図4参照)によって制御されてもよいし、制御部70によって制御されることなく規則的に行われてもよい。図示の押圧ベルト50は高さ方向に固定されており、押圧ベルト50(特に下向きの対向面50aを構成する部分)の高さ方向位置は変動しない。
【0048】
加圧駆動部は、押圧ベルト50を駆動して、押圧ベルト50を搬送方向D1に走行させる。図示の加圧駆動部は、押圧ベルト50が掛け渡されている2つの押圧案内ローラー51と、これらの押圧案内ローラー51のうちの少なくとも一方を回転させるモータ等の動力発生部(図示省略)と、を含む。
【0049】
加圧駆動部は、押圧ベルト50のうち第1搬送ベルト41の載置面41aに対向する対向面50a(すなわち下向きの対向面50a)が搬送方向D1に移動するように、押圧ベルト50を走行させる。図示の押圧ベルト50は無端形状を有するので、押圧ベルト50のうち2つの押圧案内ローラー51よりも下方の部分が搬送方向D1に走行し、2つの押圧案内ローラー51よりも上方の部分が搬送方向D1とは逆側の方向に走行する。
【0050】
[受入部]
受入部33は、第1搬送ベルト41よりも下方に設置され、載置面41aから落下した液状体95を受け入れて、当該液状体95を排出する。受入部33によって受け入れられる液状体95は、基本的に重力の影響のみを受けて載置面41aから自然に落下した液状体95であるが、重力以外の影響を受けて載置面41aからの落下が促された液状体95であってもよい。
【0051】
図示の受入部33は、水平方向のうち幅方向D2と垂直を成す方向(すなわち
図1の左右方向;例えば搬送方向D1)に関し、下方に向かって徐々に小さくなる先細形状を有する。すなわち受入部33は、受け面33aと、受け面33aの上方端部に形成される上方開口部61と、受け面33aの下方端部に形成される下方開口部62と、を有する。
【0052】
受け面33aは、仕切部材63により構成されている。図示の受入部33は、仕切部材63によって囲まれる内部空間を有し、当該内部空間が上方開口部61及び下方開口部62とつながっている。受入部33の内部空間は、受け面33aが露出される空間であり、第1搬送ベルト41の載置面41aから落下した液状体95が通過する空間である。図示の受入部33の内部空間は、幅方向D2の対向位置に配置され鉛直方向と平行に延在する2つの仕切部材63と、搬送方向D1の対向位置に配置され鉛直方向に対して傾斜して延在する2つの仕切部材63と、によって囲まれている。これらの仕切部材63は単一の部材から構成されていてもよいし、相互に別の部材によって構成されていてもよい。幅方向D2の対向位置に配置される2つの仕切部材63によって形成される受け面33aは、鉛直方向と平行に延びる。搬送方向D1の対向位置に配置される2つの仕切部材63によって形成される受け面33aは、下方に向かって傾斜し且つ鉛直方向とは非平行に延びる
【0053】
受け面33aは、上方開口部61と下方開口部62との間で延在し、滑らかな形状を有する。図示の受け面33aは、突起が存在せず、上方開口部61から下方開口部62に向かって直線的に延びる。なお受け面33aは、上方開口部61から下方開口部62に向かって非直線的(例えば曲線的)に延びていてもよい。受け面33aは、付着した液状体95の自然落下を阻害しない形状を有することが好ましく、例えば上方開口部61から下方開口部62に向かう途中で上向きに延びる部分を含まないことが好ましい。
【0054】
載置面41aから落下した液状体95は、上方開口部61を通過し、その後、受け面33a上に着地して下方開口部62に案内され、或いは受け面33a上に着地することなく下方開口部62を通過する。受入部33によって受け入れられる液状体95は、受け面33a上に着地して下方開口部62に案内される液状体95と、受け面33a上に着地することなく下方開口部62を通過する液状体95と、の両者を含む。
【0055】
受け面33aは、重力を利用して液状体95を下方開口部62に向けて案内するために、液状体95が染み込まないことが好ましい。したがって、受け面33aは、液状体95に対して撥液性を示す部材(例えばステンレスやその他の金属(特に液状体95によって腐食されない材料))によって構成されることが好ましい。そのような撥液性は、仕切部材63を構成する材料自体が本来的に備えていてもよいし、仕切部材63を構成する材料に対して表面処理を行うことでそのような撥液性を後天的に受け面33aに付与してもよい。
【0056】
図示の受け面33aの幅は、第1搬送ベルト41の載置面41aの幅よりも大きい。すなわち水平方向のうち搬送方向D1と垂直を成す幅方向D2(
図1の紙面と垂直な方向)に関し、受け面33aは第1搬送ベルト41よりも大きく、幅方向D2に関して載置面41aの全体を覆うように配置されている。
【0057】
上方開口部61は、下向きに向けられた第1搬送ベルト41の載置面41aと対向する位置に設けられる。搬送方向D1に関し、上方開口部61の具体的な範囲は限定されない。図示の上方開口部61は、第1搬送ベルト41のうちの下流側端部を含む一部分(具体的には、下流側の搬送案内ローラー43に掛け渡される部分を含む第1搬送ベルト41の範囲)を下方から覆うように設けられている。
【0058】
図示の上方開口部61の平面形状は長方形であるが、上方開口部61の平面形状は限定されない。
【0059】
幅方向D2に関し、上方開口部61のサイズは、第1搬送ベルト41の載置面41aのサイズよりも大きい。そのため載置面41aの幅方向D2の位置によらず、載置面41aから落下した液状体95は、上方開口部61を通過させられることができる。
【0060】
また上方開口部61の最も下流側の開口位置は、載置面41aの移動軌道のうちの最も下流側の位置よりも、更に下流側にある。すなわち受入部33の上方端部を構成する上方開口部61の最も下流側の端部は、第1搬送ベルト41の最も下流側の端部よりも更に下流側に位置する。図示の第1搬送ベルト41において、下流側の搬送案内ローラー43上を走行する第1搬送ベルト41の載置面41aの位置が、載置面41aの移動軌道のうちの最も下流側の位置に相当する。したがって搬送方向D1(すなわち水平方向のうち幅方向D2と垂直を成す方向)に関し、上方開口部61の一部は第1搬送ベルト41よりも下流側に向けて突出している。これにより、慣性等の影響によって載置面41aから下流側に向かって飛翔した液状体95も、上方開口部61を通過させて、受入部33によって受け入れられることができる。
【0061】
下方開口部62は、上方開口部61よりも下方に配置されている。搬送方向D1に関し、下方開口部62のサイズは、上方開口部61のサイズよりも小さい。その一方で、幅方向D2に関し、下方開口部62のサイズは、上方開口部61のサイズとほぼ同じである。したがって下方開口部62は、幅方向D2に細長く延びるスリット形状を有する。
【0062】
なお下方開口部62は、必ずしもそのような細長いスリット形状を有している必要はない。例えば下方開口部62の幅方向D2のサイズは、上方開口部61の幅方向D2のサイズよりも小さくてもよいし、第1搬送ベルト41の載置面41aの幅方向D2のサイズよりも小さくてもよい。図示の下方開口部62の平面形状は長方形であるが、下方開口部62の平面形状は限定されない。下方開口部62の平面形状は、長方形以外の多角形、円形、或いは他の形状であってもよい。
【0063】
[検出部]
検出部34は、下方開口部62を通って受入部33から排出された液状体95(すなわち受入部33から落下する液状体95)を検出する。
【0064】
通常は、第1搬送ベルト41の載置面41aから落下した液状体95は、上方開口部61を通って受入部33の受け面33aに着地し、受け面33aに沿って下方に流れ、下方開口部62を通って落下する。ただし、第1搬送ベルト41の載置面41aから下方開口部62に向かって落下する液状体95は、上方開口部61を通って、受け面33aに着地することなく、下方開口部62を通過することがある。受入部33から排出される液状体95は、受け面33aに着地した後に下方開口部62を通過する液状体95だけではなく、受け面33aに着地することなく下方開口部62を通過する液状体95も含み、これらの液状体95が検出部34によって検出される。
【0065】
図示の検出部34は、下方開口部62よりも下方に配置され、下方開口部62から排出された液状体95を検出する。検出部34の検出範囲は、水平方向(特に幅方向D2)に延び、下方開口部62の幅方向D2の全体をカバーする。したがって検出部34は、下方開口部62を通過して受入部33から排出されるあらゆる液状体95(液滴)の存在を検出することが可能である。
【0066】
検出部34の具体的な構成は限定されない。一例として、光学センサによって検出部34を構成することが可能である。図示の検出部34は、幅方向D2に検出光34c(例えばレーザー光)を発する発光素子34aと、発光素子34aから発せられた検出光34cを受光する受光素子34bとを具備する。発光素子34aから受光素子34bに至る検出光34cの伝搬路の少なくとも一部は、下方開口部62の下方に位置する。
【0067】
下方開口部62から落下した液状体95は検出光34cを遮る。そのため、受光素子34bが検出光34cを適切に受光できている間は、下方開口部62から落下する液状体95は存在せず、ひいては対応の袋90から液状体95は漏れ出ていないと認定することが可能である。一方、受光素子34bが検出光34cを適切に受光できない場合には、下方開口部62から落下する液状体95が存在し、ひいては対応の袋90から液状体95が漏れ出ていると認定することが可能である。したがって制御部70(
図4参照)は、検出部34(すなわち発光素子34a及び受光素子34b)を制御し、受光素子34bにおける検出光34cの受光状態を監視する。制御部70は、検出部34(特に受光素子34b)の検出結果に基づいて、袋90からの液状体95の漏れ出しの有無を確認することができる。
【0068】
下方開口部62の下方にはトレイ35が設けられている。下方開口部62を通って受入部33から排出されて検出部34により検出された液状体95は、トレイ35に貯留される。トレイ35の具体的な構成は限定されない。トレイ35に貯留された液状体95は、自動的にトレイ35から排出されてもよいし、手動的にトレイ35から排出されてもよい。トレイ35からの液状体95の排出は、任意のタイミングで行うことができ、例えば検出部34が液状体95を検出した場合に、トレイ35から液状体95を排出してもよい。
【0069】
[作用及び効果]
次に、図示の包装システム10で行われる作動の概略について説明する。
【0070】
包装機11は、袋90内に内容物91を投入した後に口部92をシールし、袋(製品袋)90を排出ステーションSdに配置する。袋90は、排出ステーションSdにおいて包装機11のグリッパー21から解放され、中継機12のシュート25によって案内されつつ下方に落下する。
【0071】
袋90の姿勢は、落下とともにシュート25によって起立姿勢から横臥姿勢に向けて徐々に変えられ、シュート25から排出される袋90は横臥姿勢でローラーコンベア26に載せられる。
【0072】
袋90は、ローラーコンベア26上を移動してリーク検査装置13に送られ、搬送部31の第1搬送ベルト41と押圧ベルト50との間に進入する。この際、袋90の底部を先頭にした状態で袋90は第1搬送ベルト41と押圧ベルト50との間に進入し、口部92は最後に第1搬送ベルト41と押圧ベルト50との間に進入する。
【0073】
袋90は、第1搬送ベルト41と押圧ベルト50との間において、第1搬送ベルト41(特に上向きの載置面41a)及び押圧ベルト50(特に下向きの対向面50a)の搬送方向D1への移動に応じて、搬送方向D1へ移動させられる。この際、袋90は、第1搬送ベルト41の載置面41aに載せられ且つ押圧ベルト50の対向面50aに接触し、押圧ベルト50及び第1搬送ベルト41によって上下方向から継続的に力が加えられ、袋90の内部空間の圧力が上昇させられる。これにより、例えば袋90に意図しない穴(ピンホール等)が形成されている場合には、当該穴を介して液状体95(内容物91)が袋90の内側から外側に漏れ出す。またシール強度不足等のシール不良を袋90が有する場合、内部空間の圧力が上昇することによってシールが破綻し、破綻箇所を介して液状体95(内容物91)が袋90の内側から外側に漏れ出す。このようにして漏れ出した液状体95は、袋90から落下し、第1搬送ベルト41の上向きの載置面41aに付着する。一方、意図しない穴を有さず且つシール不良を有さない袋90が第1搬送ベルト41及び押圧ベルト50によって圧迫されても、液状体95(内容物91)は袋90から漏れ出さず、第1搬送ベルト41の載置面41aに液状体95は付着しない。
【0074】
袋90は、第1搬送ベルト41及び押圧ベルト50の双方によって搬送方向D1へ移動させられ、第1搬送ベルト41の載置面41a上から第2搬送ベルト42の載置面42a上に移動させられる。第2搬送ベルト42の載置面42aに載せられた袋90は、第2搬送ベルト42の走行に応じて、下流側に搬送される。なお押圧ベルト50(加圧部32)は、第2搬送ベルト42と対向する位置には設けられないため、第2搬送ベルト42の載置面42aに載せられた袋90は、加圧部32によって力が加えられず、袋90内の圧力は基本的に周囲環境の圧力(一般的には大気圧)とほぼ同じ大きさを有する。
【0075】
第1搬送ベルト41の載置面41aが上向きに向けられている間(すなわち袋90が載せられている間)、載置面41aに付着した液状体95は、載置面41aに付着した状態のまま、第1搬送ベルト41の走行とともに搬送方向D1に移動する。そして第1搬送ベルト41の載置面41aは、下流側の搬送案内ローラー43に到達した後に反転され、下向きに向けられた状態で上流側の搬送案内ローラー43に向かって移動させられる。この際、載置面41aに付着していた液状体95は、重力によって載置面41aから落下し、上方開口部61を通過して受入部33によって受け入れられる。
【0076】
受入部33によって受け入れられた液状体95は、受入部33の下方開口部62から落下し、検出部34によって検出された後に、トレイ35によって受けられる。このように、第1搬送ベルト41の載置面41aから落下した液状体95は、受入部33によって案内され、検出部34の検出範囲を通過させられる。第1搬送ベルト41の載置面41aからの液状体95の落下タイミングや落下位置は一定しないが、受入部33を使うことによって、落下タイミング及び落下位置によらず、載置面41aから落下した液状体95を検出部34によって確実に検出することができる。
【0077】
以上説明したように本実施形態の包装システム10(特にリーク検査装置13)によれば、袋90に収容されている液状体95(内容物91)の電気特性を問わず、検査対象の袋90が、液状体95の漏出をもたらしうる意図しない穴が形成されている袋か否か、及び液状体95の漏出をもたらしうる意図しない穴が形成される蓋然性が高い袋か否かを、長期間にわたって安定的に精度良く確認することが可能である。
【0078】
特に、袋90から漏れ出す液状体95は第1搬送ベルト41の載置面41aに対してランダムに付着する。また液状体95が第1搬送ベルト41の載置面41aから落下するタイミングもランダムであり、液状体95の落下位置(特に搬送方向D1に関する落下位置)も一定しない。しかしながら、搬送方向D1及び幅方向D2の双方に関して十分な大きさの上方開口部61及び受け面33aを具備する受入部33を使うことによって、載置面41a上の液状体95の付着位置や載置面41aからの液状体95の落下タイミングによらず、載置面41aから落下した液状体95を精度良く検出部34によって検出することができる。
【0079】
また受入部33(特に上方開口部61)の最下流側位置を、第1搬送ベルト41の最下流位置よりも更に下流側に設けることによって、慣性等によって第1搬送ベルト41の載置面41aから搬送方向D1に飛翔した液状体95も、受入部33によって受け入れられ、検出部34によって検出することができる。
【0080】
また下方開口部62が直線的に延在するスリット形状を有することによって、比較的安価且つ簡素な構造を有する光学センサ等のセンサを検出部34として使用することができる。特に、検出部34として複数組のセンサデバイスを設けることなく、1組のセンサデバイスのみによって検出部34を構成することが可能である。
【0081】
またリーク検査装置13は、重力を利用して液状体95を第1搬送ベルト41の載置面41aから検出部34の検出範囲に導く構成を採用しているため、載置面41a上の液状体95の有無を、ひいては袋90からの液状体95の漏出の有無を、安価で簡素な構成によって精度良く確認することができる。特に図示のリーク検査装置13では、第1搬送ベルト41の載置面41aに対して袋90以外の物体が接触しないため、第1搬送ベルト41の載置面41aの損傷を効果的に防ぐことができる。
【0082】
[変形例]
本発明は、上述の実施形態及び変形例には限定されない。例えば、上述の実施形態及び変形例の各要素に各種の変形が加えられてもよい。
【0083】
加圧部32は、ベルト構造(すなわち押圧ベルト50)を採用していなくてもよい。加圧部32は、載置面41aに載せられている袋90の内部空間の圧力を上昇させることが可能な任意の手段を具備することが可能である。例えば、加圧部32は、押圧ベルト50の代わりに板状或いは棒状の部材(例えば搬送方向D1に延在する部材)を具備していてもよい。また加圧部32は、搬送方向D1及び/又は幅方向D2に関して袋90の全体に力を加えてもよいし、袋90の一部のみに局所的に力を加えてもよい。
【0084】
また受入部33の受け面33aが露出される空間は、仕切部材63によって完全には囲まれていなくてもよい。例えば受け面33aが露出される空間は、幅方向D2に関し、仕切部材63によって仕切られていなくてもよい。この場合、受け面33aが露出される空間は、幅方向D2に関して外部とつながっている。また受入部33は、搬送方向D1に関して単一の仕切部材63のみが設けられていてもよく、搬送方向D1の上流側及び下流側のうちの一方の側に関して受け面33aが外部に露出していてもよい。したがって受入部33は、1つの仕切部材63のみによって構成されていてもよい。
【0085】
また本発明によって奏される効果も上述の効果に限定されず、各実施形態の具体的な構成に応じた特有の効果も発揮されうる。このように、本発明の技術的思想及び趣旨を逸脱しない範囲で、特許請求の範囲、明細書、要約書及び図面に記載される各要素に対して種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。